全国学力テスト 結果公開で、教育の「社会主義」を終わらせよう【前編】
http://hrp-newsfile.jp/2019/3514/
HS政経塾スタッフ 遠藤明成
◆全国学力テスト 本年は「英語力」も本格調査
4月18日には、小学6年生と中学3年生を対象にした全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)が実施されます。
今回は、国公立校全てと私立校の半分(約50%)が参加し、約212万人が文科省のテストを受ける見込みです(計2万9518校)。
国語と、算数や数学が小中で測られるほか、英語テストが中3で初めて実施されます。「読む、聞く、書く、話す」という領域で語学力が全国的に測定されるのです。
◆結果が「非公開」の学校も多い
この学力テストに関しては「競争が加熱化する」「学校の序列化が進む」「学校運営の負担が増える」などという理由で、日教組が反対を続けてきました。
学力テストは昭和30年代に日教組の反対運動で中止されましたが、脱「ゆとり教育」の一貫で、2007年に復活。民主党政権の頃は抽出調査へと縮小され、安倍政権下で全数調査に戻されたのです。
しかし、いまだ抵抗は根強く、テストの結果は、市町村の教育委員会がOKしなければ公表できません。
例えば、新潟県には全市町村で30の教育委員会がありますが、2018年に結果を公表したのは19の委員会だけでした(新潟日報 2018/4/18)
また、宮城県では36の教育委員会のうち、公表を決めたのは10の委員会のみです(河北新報2018/8/2)。
保護者が知りたくても、我が子の学校のテスト結果がわかるとは限らないわけです。
◆結果が公開されるからこそ、切磋琢磨が進む
こうした状況を改善すべく、幸福実現党は、立党時から学力テストの結果は公開すべきだと訴えてきました。
結果を公開すれば、学校に説明責任が生まれ、不十分な点を改善せざるをえなくなるからです。
また、どの学校が自校よりも優れた成果をあげたのかもわかります。
他校と比較し、その長所を学びながら、改善策を考えられるようになるのです。
しかし、結果が非公開だと、こうした切磋琢磨が進みません。
これは、公務員の情報公開の一貫であり、教育の質を保つための具体策だとも言えます。
◆恵まれた環境でも、学力が伸びるとは限らない
今の日本では「子供の学力の伸びには親の経済力や学歴などの影響が大きい」という論調が強まっています。
しかし、学力テストの結果を見ると、それが必ずしも正しくないことがわかります。
1人あたり県民所得の最も高い東京都の点数(平均正答率)は、小6と中3の三教科において、秋田県と石川県、福井県よりも下回っているからです。
(※仕組みが複雑なので、国語AとB、数学AとB、算数AとBを足して「三教科」とみなしている)
2015年度の1人当たり県民所得を見ると、東京都は538万円ですが、福井県は320万円、石川県は295万円、秋田県は242万円なので、所得の高さが必ずしも学力に結びついていないのです。
テスト結果をみると、小6算数では石川県がトップ。国語と理科は石川県と秋田県がともに1位でした。
中3数学と理科では福井県がトップ。国語では秋田県が1位となっています。
しかし、県民所得でみると、福井県は7位、石川県は17位、秋田県は42位なので、こちらはテスト結果とかけ離れた順位です。
高学歴の人が多く、所得が最も多い東京は、ここ5年間、主要三教科でナンバーワンを取れていませんでした。
(つづく)