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米中ともに大減税なのに、日本だけは増税?

http://hrp-newsfile.jp/2019/3484/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆米中英仏が「減税」を決定

安倍政権は消費税増税を目指していますが、世界の主要国は減税に向けて動いています。

米国で成立した「トランプ減税」をはじめとして、英仏の法人税減税や、中国での減税などが進んでいるのです。

3月の全人代で中国の減税プランが固まったので、四カ国の減税を紹介し、日本の増税路線の是非を考えてみます。

◆トランプ減税 10年間で1.5兆ドルの衝撃

 

まず、トランプ政権下で17年12月に成立した共和党の減税法案を振り返ってみます。

10年間で約167兆円(1.5兆ドル)となる減税の中身は以下の通りです。

―――

〇所得税

・最高税率引下げ:39.6%⇒37%

・二種の控除を統合:12000ドルに拡大

・児童控除を倍増(1000ドル⇒2000ドル)

・家族控除を新設(500ドル)

〇遺産税(日本でいう相続税)

・控除枠を倍増(550万ドル⇒1100万ドル)

〇法人税

・連邦法人税率を引下げ:35%⇒21%

・小規模ビジネスの事業所得への20%控除を創設

―――

特に注目を集めた法人税減税では、21%の税率の上に州法人税がかかります。

(州法人税の税率は0~12%の範囲。50州のうち23州が3~6%台。6州が0%)

日本の法人税は約30%(実効税率)なので、米国との税率差が広がりました。

◆英国、フランスの法人税減税

英国の法人税は19%ですが、これが2020年4月以降は17%になります。

EU離脱の衝撃を考えれば、これは、必要な措置です。

また、フランスでは、現行33.33%の法人税(実効税率)が2020年には25%にまで下がります。

中小企業に15%の軽減税率が適用されることも決まりました(「売上高が763万ユーロ未満」等の条件がある)。

これは、成長鈍化への対策として打ち出された大幅減税です。

◆何と、中国で「大減税」が進行中

そして、興味深いのは、景気減速を恐れた中国の「大減税」です。

すでに18年には21兆円相当(1.3兆元)の減税が実施されています。

―――

〇18年減税

・消費税に相当する「増値税」を1%減税(16%/10%/6%の三段階)

・法人税減税(研究開発控除の拡大、赤字を翌年損金に計上、小規模企業への優遇税制など)

・個人所得税の課税最低限引上げ:3500元⇒5000元

―――

18年の所得税減税で、年収200万円の会社員の負担は年5万円ほど減ると見られています。

19年3月の全人代では、33兆円(2兆元)もの追加減税が決まりました。

―――

〇19年減税

・製造業の増値税:16%⇒13%

・交通、運輸、建築業の増値税:10%⇒9%

・企業の税負担と社会保険料の軽減

―――

トランプ政権の減税は1年あたり16兆円程度でしたが、19年の中国の減税額は、その二倍の規模です。

◆日本だけは、なんで「増税」?

 

このように、日本よりも経済成長率の高い国々が、未来に備えて減税を進めています。

2018年の実質GDPの伸び率は、米国は2.9%、英国は1.4%、フランスは1.5%。

中国は6.6%とされますが、日本は0.8%でした。

にもかかわらず、安倍政権は「景気がよいから大丈夫」と楽観し、消費税10%を目指しています。

残念ながら、成長率の低い日本のほうが、増税を選んでいるわけです。

しかし、本来、増税ができるのは景気がよい国であり、減税が必要なのは、景気の悪い国のほうです。

経済の常道から見れば、自公政権がいう消費税増税は撤回しなければなりません。

幸福実現党のいう、消費税5%への減税が必要なのです。

(参考)
※財務省主税局調査課 『「トランプ税制改革」について』(日向寺裕芽子/塩田真弓)
※TAX FOUNDATION “State Corporate Income Tax Rates and Brackets for 2018″(Morgan Scarboro)
※日経電子版「中国、年5兆円規模の所得減税 貿易戦争に備え」(2018/9/27)
※JETRO「李克強首相、4月1日から増値税率引き下げを発表」(2019/3/18)
※JETRO「全人代で2019年も増値税率引き下げの方針を発表」(2019/3/15)

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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