放射能アレルギーの払拭から福島の復興を!
文/幸福実現党・広島県本部副代表 佐伯 知子
◆根深い放射能アレルギー
広島県で活動をしている私は、原発の必要性や福島の安全についてをお話しすると、「たくさんの方が放射能被害に苦しんでいるのに!」という感情的な怒りや悲しみをぶつけられることがあります。
この背景には、根深い放射能アレルギーの存在があると感じます。
1895年、ドイツのレントゲン博士による「X線」の大発見の後、20世紀、放射線技術は医療や半導体など、広範囲に実用化が進められました。
ところが不幸なことに最初の実用化は大量破壊兵器としての使用、すなわち広島・長崎への核爆弾となってしまいました。
20万人もの罪無き民間人が命を奪われたことは、到底許されることではありません。
しかしこれによって、多くの日本人にとって「核」「原子力」「放射能」といった言葉が「悪魔」の代名詞のように、無条件に恐怖や怒りを抱いてしまうものとなったのです。
だからといって、現在における福島の強制的な避難状況や反原発運動が正しいとは言えません。
◆必要な正しい知識
一般的に放射線が警戒される理由は、人間のDNAを傷つけガンなどの病気を引き起こす可能性が指摘されているからです。
しかし、そもそも人間は日常的に空気や土壌、食べ物などに含まれる自然界の放射線を浴びながら暮らしています。私たちは、放射線ゼロの世界で生きることはできないのです。
年間100ミリシーベルト以下の被爆であれば人体への影響は無く、ガンによる死亡が増えるという科学的な証拠も無いというのが国際的な常識です。
瞬間的に浴びる放射線も同じく100ミリシーベルト以下であれば人体への影響は確認されていません。
これは、信頼性の高い国際機関である国連科学委会(UNSCEAR)、世界保健機関(WHO)、国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)、及び、日本の放射線医学総合研究所により認められています。
◆政府やマスコミの非科学的対応
広島・長崎での核爆発の瞬間被爆線量が4000ミリシーベルト、チェルノブイリ原発事故が100~900ミリシーベルトであったのに比べ、福島第一原発事故の瞬間被爆線量は2~10ミリシーベルトと、驚くほどの低線量であったというのが現実です。
ところが当時のメディアは福島第一原発の事故はチェルノブイリと同じかそれ以上と報道し、国民の不安を煽りました。広島の原爆投下よりも放射能が強いとまで報道したのです。
そして福島県ではいまだに放射能被害を防ぐという名目で14万人以上の人々が不必要な苦しい避難生活を強いられています。しかしこの強制避難に科学的根拠はありません。
更に当時の民主党政府は福島の除染目標を自然放射線よりも低い、年間1ミリシーベルト以下に設定しました。
これにより、「1ミリシーベルトでも危険だ!」という誤った情報が蔓延し、人々の恐怖心をさらに煽りました。
平時でも、世界の平均は年間2.4ミリシーベルト、日本でも平均1.5ミリシーベルトなのに、です。
◆広島の人々と復興
私が住んでいる広島市には、原爆を目の当たりにされた先輩方が今も多くご健在です。
被爆直後に亡くなった方は別ですが、現在80~90代の彼らは「黒い雨を浴び、放射能を浴びた野菜を食べ、水を飲み、必死で生きぬいた」と話します。
驚くべきことに広島市の女性の平均寿命は86.33歳で政令指定都市中、第1位、死産率の低さも1位でした。(2005年調査)
高濃度の放射線を浴びた方は多いはずですが、実は広島・長崎の生存者を見ても極端に寿命が縮まっているという現象は見られません。
広島は原爆投下から3日後には市内電車が動き始め、水道や電気・ガスもすぐに復旧し、翌年には人口が倍以上の18万人にまで回復しました。4年後、国からの支援が始まると広島の復興は一気に進みました。
チェルノブイリ原発事故の被害を受けたウクライナ・スラブチッチ市も事故から2年足らずでニュータウンを建設し、国内有数の魅力的な都市に生まれ変わっています。
◆福島は安全!放射能アレルギーの払拭を
現在の福島県は、原発事故から5年が経とうとしている今、最も危険視されている帰還困難区域であっても放射線量は年間20~35ミリシーベルトです。
健康被害は全く起きないレベルで今すぐにでも人が住める状況です。本当はすぐにでも復興に入れるのです。
それなのに、福島原発20キロ圏内はいまだに人口0人です。
安倍政権は、民主党政権時代の誤りを明らかにし、避難措置を早急に解除すべきです。
そして、必要の無い避難継続・除染に投じられる多額のお金を、建設的なインフラなど、福島の復興を後押しする方向で使うべきです。
また、日本は根深い放射能アレルギーを払拭し、正しい知識と冷静な判断のもと、経済問題、国防、宇宙や医療などの未来産業に関わる重要な「原子力技術」を世界の最先端に向けて益々、推し進めなければなりません。
人類の未来を拓き、幸福を実現するために。日本の使命がここにあると思います。