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2016年に衆参同時選はあるのか?

文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆なぜ1月4日に国会召集?

年の暮れとなり、来年の計画を考えている方もいるかもしれません。

企業や組織で責任ある立場につかれている方は、「来年の選挙が自社の商売に、どんな影響を与えるのか」と考えることもあるのではないでしょうか。

このたび、安倍政権が1月4日に通常国会を召集する方針を固めたのは、来年の選挙を視野に入れた意志決定だと言われています。

過去の国会召集の日を見ると、2015年は1月26日、14年は24日、13年は28日、12年は24日、11年は24日です。

1月4日は1992年以降で最も早い日時だとも言われています。

国会の当初予定は150日なので、4日に召集すれば、参院選の投票日として6/26、7/3、7/10、7/17、7/24の五通りの日時を選べます。

しかし、1月5日以降に召集すると、参院選の投票日が一つの選択肢に確定されてしまうのです。(1月5日召集の場合は6月26日)

◆選挙日程のからくりを利用して、首相は政治の主導権を握る?

「えっ。どうして」と思われた方もいるかもしれませんが、そのからくりが、『エコノミスト(2015/12/15)』(P90-91)に書かれていました。

執筆者の与良正男氏(毎日新聞専門編集委員)は、公選法が定める参院選の二つの規定に注目しています。

(1)任期満了日の前、30日以内に選挙を行う、

(2)国会閉会日から23日間が「任期満了前30日以内」にかかる場合は、国会閉会日から「24日~30日」の間に選挙を行う

「参院議員の任期満了は来年7月25日で、『30日前』は6月25日となる。1月4日に召集した場合、150日間の会期を延長しなければ閉会日は6月1日」

「このため、(2)の『23日間』規定はぎりぎり適用されず、投票日は6月26日、7月3日、10日、17日、24日の5日曜日を候補にできる」

「1月5日以降に召集した場合は閉会日は6月2日以降。『23日間』規定が適用されて、例えば1月5日召集なら投票日は自動的に6月26日に確定する」

※24日~30日後の範囲は6月26日(日)~7月2日(土)。選挙は普通、日曜日に行われるので、この場合は26日で確定。

そして、憲法では「衆院解散後、40日以内に衆院選を行うと定めている」ので、7月10日に衆参同日選をやれば、選挙活動の日数から見ても、ほどよい長さになります。

かくして、首相は選挙日程の選択肢を持ち、政治の主導権を握るというわけです。

◆与党は、軽減税率という「羊頭」を掲げ、増税という「狗肉」を売ろうとしている

首相が来年に衆院を解散する可能性があるのは、17年4月に消費税を10%に増税した後では、選挙がやりにくいからです。

前掲の与良氏も「可能性は低い」としながらも、「17年4月の消費再増税延期もあり得るのでは」と真顔で述べる国会議員も少なくないと述べていました。

この場合、ちゃぶ台返しのように「そもそも」の前提が変わるため、軽減税率を巡る自公の合意も議論のし直しになるでしょう。

裏を返せば、公明党は「軽減税率」を固めることで、増税延期のための「衆参同日選」を阻止し、増税への道を舗装しているとも言えます。

この議論の本質は「軽減税率があれば、増税してもよいではないか」という論理だからです。

14年4月の消費税増税が景気後退を招いたことを正直に認めれば、5%に減税すべきなのは明らかなのに、与党の政治家やマスコミは、企業に複雑な事務を強いる軽減税率を持ち出しています。

本来あるべき5%への減税を無視して、今の与党は「軽減税率」という「羊頭」を掲げて、「増税」という「狗肉」を売ろうとしているのです。

◆消費税5%、大幅な法人税減税が本道

来年の選挙の行方を考える上で、12月時点で安倍政権と自民党が支持率を取り戻していることは見逃せません。

産経・FNN合同調査では、安倍晋三内閣の支持率は47.8%(+3.6)、不支持は41.2%(+2)でした。自民の支持率は37.9%(+4)、民主党の支持率は9.4%です(産経ニュース2015.12.14)。

同じような傾向がTV朝日の世論調査(12/5-6)でも出てきています。
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201512/index.html

【安倍内閣への支持・不支持】

支持する47.3%(+5.1)
支持しない33.3%(-7.7)
わからない、答えない19.4%(+2.6)

政党支持率でも自民党(47.3%〔+3.1〕)と民主党(11.5%〔-4.2〕)の明暗が分かれていました。

支持率の行方次第では衆参同日選になる可能性もありますが、争点となる経済政策を、軽減税率や増税延期などの「その場しのぎ」でよしとすべきではありません。

本来、あるべき消費税5%への減税を訴える政党が必要なのです。

自公政権は18年度に法人税を29%(※まだ実質3割)に減税する方針ですが、これは細切れの減税でしかありません。法人税に関しても、企業の国際競争力の強化のために、幸福実現党が訴える2割台への大幅減税(長期的には1割台を目指す)こそが必要なのです。

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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