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パート主婦を襲う「106万円の壁」

文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三

◆新たな「106万円の壁」とは

平成28年10月から施行される「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」の法改正により、今まではパート主婦が年収130万円未満で働く場合、健康保険や年金保険料について夫の扶養から外れることはありませんでしたが、今後、これが106万円未満に引き下げられることになります。

俗に言う「130万円の壁」が「106万円の壁」となるわけです。(ちなみに、「103万円の壁」とは、パート年収が103万円を超えると所得税が課税されることを指します。)

実際、この法改正によるパート主婦が被る打撃は大きいものがあります。

短時間労働者の就労実態を分析すると、平均時給を1012円、一日の実労働時間数5.3時間、1か月の実労働日数を17日とする厚労省による平均データを用いて、年収を算出すると、109万円を超えることになります。

年収106万を超えてしまうので、新たに健康保険と厚生年金保険料が給与から天引きされ、手取りが減る家庭が激増します。

年間における保険料負担は、およそ10数万円〜20万円程度と、手取りも大幅に減少します。

今までも「130万円の壁」を超えないようセーブしてきた家庭は多いわけですが、厚労省によれば、来年からの法改正により保険料を新たに納めなければならないパート労働者は約25万人と試算しています。

平成28年11月から夫の扶養から外れてしまう対象は、(1)勤務期間が1年以上となり、(2)労働時間が週20時間以上となり、(3)月額賃金が8.8万円以上(残業代、通勤手当などは含まず)で、(4)従業員が501以上の企業に勤務している方です。

これを受け、企業側も今後、人材を絞り込んで雇用数を減らし、長時間労働を課すような転換を迫られることになります。

他方、人材を多く雇って、短時間労働で賃金を抑えるというやり方もあります。そして、勤続年数を1年未満にするよう雇用調整し、学生を活用するようになるでしょう。

◆「女性が輝く社会」は本当か

この法改正に向けて、労働政策研究・研修機構が12年7月〜8月にかけて実施した調査によると、社会保険の適用が拡大されたら、「働き方を変える」が62%、「適用されるよう、かつ手取り収入が増えるよう働く時間を増やす」が27%、逆に「適用にならないよう働く時間を減らす」が15%という結果でした。(日経新聞朝刊2014年2月5日付)

「女性が輝く社会」を掲げる安倍政権ですが、実態は、「女性にもっと保険料を納めさせる社会」へ、ということではないでしょうか。

所得税や住民税、そして社会保険料も含めて、夫と妻の収入を分けるのではなく、世帯の合計収入の額によって、納める税額や保険料を算出する方式を採用すべきではないでしょうか。

具体的には、以前のHRPニュース「人口増加に向けて世帯課税方式の導入を」でも紹介しましたが、世帯課税方式という、子供が増えるほど減税幅が大きくなる方式を採用するのも一案です。

◆法律は自由を守るもの

いずれにせよ、もうこれ以上、あの手この手で税金や保険料を上げる「お上中心主義」はやめていただきたいものです。

ハイエクが提唱したように、法律は本来、国民の自由の範囲を規定するものであって、自由を縛ることが目的ではありません。

法改正によって、女性の働き方が制限されてしまう、やはり何か違うのではないでしょうか。

あるいは、「女性活躍推進法」など、法律によって女性管理職の登用の比率を決めることも、民間企業の人事に政府が首を突っ込んでいることになりますから、やりすぎです。

◆マイナンバー詐欺にはご注意を

最後になりますが、我が家にも「恐怖の」マイナンバーが届きました。国家が個人を管理し、監視する社会が近づいています。

「自由」の旗手として、国家社会主義への警鐘を鳴らす使命が、幸福実現党にはあります。

増税やマイナンバーなど、国民の自由を侵害するものについては正々堂々と「NO」の声を上げてまいります。

通知カードが届くタイミングを狙った詐欺も横行し始めておりますので、読者の皆様、くれぐれも、マイナンバー詐欺にはご注意ください。

古川 裕三

執筆者:古川 裕三

HS政経塾 担当チーフ

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