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「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【後編】

※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガから、前回に引き続き後編をお送り致します。

文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏

◆投資にリスクが伴うのは当然

資本は新しい事業に投資されていきますが、すべてが成功するわけではありません。

ピケティ理論では、「持てる者(資本家)はさらに与えられる」としていますが、投資にはリスクが伴います。

国民の給料の伸びよりも、資本家の投資の方が、儲けの伸び率が高いのでケシカランということですが、リスクに見合う高い収益がないと、だれも投資をしようとしません。

投資しなければ、新たな会社もできず、雇用もなく、失業者が増えてしまいます。お給料そのものがなくなってしまうのです。

これからは、宇宙とか、医療とか、海洋とか、ロボットとか、いろいろな未来産業の可能性がありますが、膨大な投資資金が必要となってきます。

その投資に成功すれば、多くの人が潤います。しかし失敗すれば、すべてが無くなってしまいます。

いろいろな企業家が出てきて、資金を使ってチャレンジしていく中に、未来が切り開かれていきます。その中で、労働者の給料も確保でき、また給料もアップしていくのです。

ちまちまと「格差格差」と怨嗟の声を助長するのではなくて、企業を、国を、世界をダイナミックに発展させていく発想の方が、国民や人類を幸福にしていきます。

◆財産権の侵害、自由の危機

ピケティは、相続税の強化や、資産、資本に課税を提唱していますが、根本的に財産権の侵害であり、憲法違反です。

人間にとって普遍的な価値である「自由」を確保するためにも、私有財産は最後の砦となります。

政府が国民の財産を収奪、没収した場合、国民は生きるために「国家」の言いなりにならざるを得ません(私有財産がなくなると、政府に見捨てられたら生きていけないので)。

ピケティの発想自体が、社会主義的なので確信犯としか言いようがありませんが、社会主義的発想は、独裁国家へとつながっていくので要注意です。

◆富の拡大が必要(グリーンスパン元FRB議長)

グリーンスパン元FRB議長も、ピケティ理論に対して「それは資本主義のやり方ではない。何かほかの手法だ」 「システムが非常に複雑化しているとはいえ、生活レベルを向上させるのは経済に占める資産や富のシェアが拡大したときだ」と述べています。

やはり、パイの奪い合いではなく、新たにパイを焼くことで、生活レベルが向上すると言っているのです。

◆成功者を肯定せよ(コーエン教授)

また、ジョージメイソン大学のタイラー・コーエン教授も「最も成功している市民への法的、政治的、制度的な敬意と支援がなければ、社会がうまく機能するはずがない」「富裕層の富の拡大は戦略的なリスクテイクが必要で、想像以上に難しく、淘汰も多い」と述べています。

成功した人を、悪人のように見なして、課税を強化することは、社会の発展の要因を阻害します。

◆国家の役割

国家の役割は、「機会平等」の環境を整えることであり、「努力した者が報われる社会」を創ることです。所得の再分配という「結果平等」は、国民のやる気を失わせ、国家を衰退させます。

幸福実現党は「小さな政府」を目指し、国民がイキイキと充実した人生を送る幸福を味わっていただくことを目的としていますので、単なる所得の再分配には反対します。

相続税の強化も反対です。なぜ、財産を持っているだけで、国家に収奪されなければいけないのでしょうか。

◆唯物論的!?

「ピケティは不平等の統一場理論を発見した」と称賛されています。

しかし、過去200年以上の欧米諸国のデータを分析して、このままでは格差拡大が必然であるとして、税金を使って悪平等の世界をつくろうとしています。

とてもフランスの左派にありがちな唯物的な傾向が感じられ、人間を本当の意味で幸福にするとは思えません。

◆企業家精神と騎士道精神、そして宗教心

やはり、富を創りだす企業家精神を持った人々を称讃し、努力する者が報われるようなチャンスの平等が約束された社会こそ、健全に国が発展してきます。

世界はまだまだ発展してきます(ピケティは発展は止まったと感じているようです)。大きなビックプロジェクトに取組み、未来産業を打ち立てねばなりません。

資本の収益率が大きいことは良いことです。そのことによって国民の所得も向上していきます。

かつてのアメリカン・ドリーム、そしてジャパニーズ・ドリームを目指して、成功者を多く出すことが国民全体を豊かにしていきます。

成功者に罰則(課税強化)を与えるような、社会システムにしてはいけません。さらに、成功者は倫理的・宗教的な騎士道精神をもって、社会に富を還元するように努力する使命があります。

成功者であるからこそ、お金を有効に使うことができるのです。そこに成功者(大富豪)の修行の道があるのです。

ピケティは「貧しい人にも教育を受ける権利を平等に」と訴えていますが、それに対して異存はありません。だからと言って、短絡的に課税強化をすべきではありません。

貧しい人に対する教育については、成功者が奨学金などを充実させるなど、慈善事業の奨励をすべきでしょう。
もし、成功者が我利我利亡者のようになったら、いずれその成功は終わるでしょう。

やはり、国民に倫理・宗教心をしっかりと根付かせ、その上で「小さな政府」「機会の平等」「安い税金」を目指せば、国民を幸福にすることができると確信します。

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江夏正敏

執筆者:江夏正敏

幸福実現党幹事長(兼)選対委員長(兼)政務調査会長

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