今こそ、善悪の価値判断ができる日本へ
文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川 裕三
◆イスラム国の新たな要求
27日、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が拘束している後藤健二さんとみられる男性の新たな動画がネット上に公表され、24時間以内にヨルダン政府が収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放するよう要求しました。
28日午前、官邸で開いた関係閣僚会議で安倍首相は「きわめて卑劣な行為に強い憤りを感じる」とイスラム国を非難したうえで、「後藤さんの早期解放に向けヨルダン政府に協力を要請する方針に変わりはない」と述べました。
なお現時点では真偽のほどはわかりませんが、28日の夕方の報道によれば、イスラエルの通信社は、リシャウィ死刑囚と後藤健二さんの解放について、合意したと報じ、地元・ヨルダンのメディアでも、このリシャウィ死刑囚をまもなく移送すると報じています。
◆善悪の価値判断ができない日本
今回の人質事件において改めて浮き彫りとなったことは、有事において日本政府は主体的な善悪の価値判断ができず、行動もとれないということです。
こうした人質事件が発生すれば、欧米諸国であれば当然のこととして、特殊部隊を派遣して人質奪還に向けたオペレーションをとるのに対し、日本では、憲法九条によって、国内的には〝軍隊を保持していない“ため、議論すら及びません。
挙句には28日、自民党副総裁の高村氏が記者団に対し、「昨年の(集団的自衛権の行使容認の)閣議決定に基づいて安全保障法制の整備ができた場合、日本は有志連合に参加して過激派組織「イスラム国」と戦闘できるかといえば、幸か不幸かそれはできない。こんなことは当たり前のことで、改めて言うまでもないと思う」と発言しています。
改憲派でタカ派と言われる安倍首相であっても、「何らの行動もとれない」という意味において、結局は護憲派の左翼陣営と基本的には変わらないということです。
加えて、安倍首相は28日午前、参院本会議の各党代表質問で戦後70年に際しての新談話について、「安倍政権としては村山談話をはじめ、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく」と述べました。
ここに、自民党の限界を感じます。「この道しかない」と先の衆院選で大勝した与党ですが、年明け早々の有事に際し、皮肉にも「この道は行き止まりである」という事実が明るみになりました。
◆「空気」の支配から、「正義」の支配へ
かつてイザヤ・ベンダサンのペンネームで活躍された評論家、山本七平氏は「『空気』の研究」などを著して「日本教」という独特の表現で、いかに日本人が「空気」によって支配され、動いているかを指摘しました。
その「日本教」について、「現代日本を支配する『空気』の正体 山本七平の新・日本人論」(大川隆法著)では、「『自分の命がいちばん惜しい』というのが日本教の本質」と述べられています。つまり、「人命第一主義」で、これは「日本教徒」が誰も反対しない「教義」というわけです。
「現代日本を支配する『空気』の正体 山本七平の新・日本人論」大川隆法著/幸福の科学出版
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=980
ただ、大事なことは、「憤りを感じる」とだけ言うのではなく、イスラム国の行為は正しいのか間違っているのか、その判定を下し、発言することです。
日本という大国の宰相であるならば、「あなた方の行為はイスラム教の教えに照らしても間違っている。人質を処刑にしたら我が国に対する宣戦布告と見なし、諸外国と連携して行動する」くらいのメッセージは発信していただきたいものです。
幸福実現党の大川総裁は、24日、「正しさからの発展」と題する法話で、このイスラム国という過激派組織が広がり、彼らの行為が極端までいった場合、人類を幸福にするかということを想像し、仮定してみれば善悪の判断はできるという趣旨で、価値判断の基準を提示しました。
「正しさからの発展 及び 質疑応答」
http://info.happy-science.jp/lecture/2015/12658/
◆今必要なのは正しい宗教政党
「日本教」の正体についてさらに言えば、戦後の日本はまさしく「神なき民主主義、「空気」という名の多数派が支配する衆愚制」に堕していると言えるのではないでしょうか。
イスラム国の行為は間違っています。しかしだからと言って、欧米のキリスト教国が言うように、イスラム教自体が悪魔の教えであるわけではありません。
これらの宗教の開祖にあたるイエスやムハンマドの考え方、思想の根本を明らかにでき、それらの相違を超克できる普遍的な「智慧」をベースとしてできた「正しき国家の探究」をし続ける宗教政党の存在が今、時代的な要請なのです。