給付金よりも減税を。再生可能エネルギーよりも原発を
文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成
◆12月10日自公政権、地方への2000億円の臨時交付金
自公政権は、急速な円安に伴う燃料高対策や家計負担の軽減のため、12月10日に、地方への2000億円の臨時交付金を配ることを決めました。そして、景気対策の補正予算の総額は3兆円となると見られています。(産経12/11)
これは選挙対策の一つですが、増税で景気を悪化させた後に景気対策の予算を組み、低所得者対策を打ち出すのは、自作自演のマッチポンプの一種です。
◆自公両党が、中小企業や地方経済にもたらした3重の打撃
振り返れば、東日本大震災の後、自民党は公明党や民主党と一緒に原子力規制委員会をつくり、原発再稼働を難しくしました。さらに三党合意のもとに消費税の増税を決めました。
そして、自公政権の発足後は金融緩和で円安路線が進みましたが、円安で輸入原材料価格が上がる中で消費税が8%に上げられました。この時、原発停止に伴う電気料金の上昇が続いていたことも無視できません。
結局、自公両党の政策は、「原発停止に伴う電気料金上昇」+「円安によるコストアップ」+「消費税の増税」という3重の打撃を家計と中小企業、地方経済にもたらしたのです。
大手の輸出企業などを中心に円安の大きな恩恵もありましたが、上記の弊害は無視できないため、自公政権は、マッチポンプ的に、「エネルギー価格の高騰や物価上昇の打撃を受ける低所得者や中小事業者、子育て世代」(産経12/11)などの支援を始めています。
◆必要なのは「金融緩和」と「減税」
この「金融緩和」と「消費税8%への増税」の組み合わせは、円安の恩恵が届かない企業や家計にとっては負担増の連続でしかないので、本当は、「金融緩和」と「消費税5%への減税」が必要だったのです。
円安路線で中小企業と家計の負担が増えるのならば、その痛みを軽減するために消費税は5%へと減税されなければなりません。この「金融緩和」と「減税」を組み合わせた幸福実現党の政策は、「金融緩和」と「増税」がセットの自民党政策とは全くの別物なのです。
もともと、消費税を増税しなければ景気対策の公共事業も要らず、交付金も要らなかったはずですが、そうした事実は「財政再建」の美名の下に隠され、消費税5%への減税という正論を無視し、自公政権は「増税延期」という詭弁を訴えています。
そして、自民党を批判する民主党、共産党、社民党は、給付金の交付や年金の拡充、奨学金の充実(「奨学金の無利子化」「返済不要の奨学金」)などを打ち出していますが、こうしたお金は、結局、富裕層や大企業への増税から生まれるので、この三党の行き着く先は、結局、個人の私有財産と企業の内部留保の没収なのです。
与党と野党のどちらを見ても、お金で票を買う「取引型民主主義」になっています。
しかし、補助金や給付金を一部の人に配れば政治の「公平性」が失われ、全員に配ればお金持ちにもお金が届くため、「合理性」が失われてしまいます。
やはり、あるべき低所得者対策は、お金を配ることではなく、みなの負担を公平に減らす減税政策です。減税は補助金のように政府予算の拡大を招かず、予算の無駄を切り下げる圧力が働くからです。そのため、幸福実現党は消費税5%への減税を訴えています。
◆原発稼働で電気料金を引き下げ、家計と企業の負担を軽減
そして、原発の再稼働を進め、電気料金上昇の負担を減らすべきです。一日百億円もの燃料費の流出をこれ以上、続けるのではなく、すでにある資産として原発を活用すれば、年3兆円以上もお金を使わずに済むからです。
今、幸福実現党と自民党、次世代の党以外はみな脱原発政党であり、再生可能エネルギーの推進を訴えていますが、この路線は危険です。
また、自民党の政治家は、電力自由化で料金が下がると誤解していますが、原発が止まって電気の総量が減る中で自由化しても、電気料金が上がるだけで終わります。
ドイツは1998年に電力自由化を決め、2000年に「再生可能エネルギー買取制度」をつくりましたが、その結果、14年間で電気料金が2倍になりました。脱原発後はその負担が深刻化し、今ではこの制度を見直すための議論が進んでいるのです。
維新の党は脱原発の代案として電力自由化と再生可能エネルギーの推進を打ち出していますが、この路線の先には過去のドイツの失敗の再現が待っています。
ドイツの失敗に学ぶならば、脱原発ではなく、使われていない資産である原発を再稼働すべきです。原発が回れば電気料金が下がり、その分のお金が企業の余力となり、賃上げを促進していきます。
円安対策の給付金よりも、消費税5%への減税が必要です。そして、使われていない原発を回すことで、電気料金を引き下げ、家計と企業の負担を軽減すべきなのです。