今こそ、減税!――行政に民間の力を取り込む発想を
武雄市がTSUTAYAに図書館運営を委託――市民、行政、企業の三者にメリット
4月1日、佐賀県武雄市で、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエス・クラブ(CCC)が運営する武雄市図書館がオープン。5月1日時点での来館者数は10万人を突破しました。(5/4 毎日)
高齢化と人口減少に苦しむ人口5万人の地方都市において、新しく開館した図書館の来場者が、1ヶ月で市の人口の2倍となる10万人を突破したことは全国的にも大きな話題となりました。(4/28 バンキシャ、4/30 報道ステーション他)
同図書館では、図書の貸出だけでなく、雑誌や書籍の販売やDVDやCDの有料レンタルも行われ、公立図書館初となるスターバックスも出店しています。カフェ席では館内の全書籍を閲覧できます。
利用者はTSUTAYAのTカードで図書を借りることができ、Tポイントを貯めることができます。お堅い図書館と言うよりも、お洒落でくつろげるカフェそのものとなり、来場者が激増しています。
蔵書は以前の2倍となる20万冊を揃え、年間34日もあった休館日は年中無休となり、開館時間も午前9時から午後9時までの4時間延長となり、サラリーマンにとっても仕事帰りに利用しやすく好評です。
専門分野のプロである書籍コンシェルジュを各ブースに配置し、書籍探しの相談に応じるなどの来館者サービスも充実しており、これまで1日平均700人だった利用者が、現在、1日平均3,200人に急増しています。
このように、市民にとっては利便性が向上し、佐賀市にとっては民間委託で図書館の年間運営費が約1割削減され、年間600万円の賃料収入が入ります。CCCにとっては物販やレンタルでの収入、TSUTAYA会員の拡大などのメリットがあります。
市民、行政、企業の三者が、それぞれメリットを享受する柔軟なwin-winの関係が築かれています。
行政の経営努力で減税・公共料金値下げを達成
これは、サッチャー首相時代のイギリスで始まった「新しい公共経営」(NPM:New Public Management)の流れで、民間の力を活かし、公共サービスを向上させると共に、財政支出削減を図る「官民連携/公民連携」(PPP:Public–Private Partnership)の一例です。
武雄市では財政難の中、徹底したコスト意識と起業家精神をもって、図書館以外にもPPPによる経費削減効果が上がっています。
例えば、今まで年間2億円の赤字で、総額20億円の負債を抱えていた状態から、市民病院の民営化を断行し、医師の増員や最新医療機器の導入を積極的に行い、毎年1億円の税収が市に入るまでになりました。
さらに、雇用と税収源となる企業誘致を目指して、固定資産税5年間全額免除、市民雇用で最大1億円補助などを打ち出し、3社を獲得しています。
このような経営努力により、武雄市は人件費を30億円削減し、市の400億円の負債を5年間で100億円圧縮しました。
そして、市民への還元として、水道料金15.84%安、固定資産税1.55%から1.48%、介護保険料200円引き下げ等を行い、武雄市への人口流入も始まっています。
また、武雄市では、市の職員の給与を、税収と連動させて「稼ぐ行政」を目指しています。
既に「FB良品」と言う「自治体運営型通信販売サービス」を始動させ、各地の自治体が核となり「地域の良いもの」を掘り起こし、全国に発信し、地域所得の向上を目指しています。⇒http://fb-ryohin.jp/
道州制ではなく、行政に民間の力を取り込む発想を!
幸福実現党では「新・日本国憲法試案」第11条に「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない」ことを掲げ、行政に民間経営と同じシステムを導入し、経営の効率化、減税を実現して参ります。
また、第9条に「公務員は能力に応じて登用し、実績に応じてその報酬を定める」とし、公務員の民間企業並み処遇とモチベーションづくりを掲げています。
行政のスリム化を図るためには、民間企業との連携、そして民間の経営手法の導入が不可欠です。
現在、自公政権は「道州制推進基本法」を国会提出し、その成立に強硬姿勢を示していますが、道州制は単なる「枠組み」に過ぎず、霞ヶ関の官庁機能が11の道州に分裂するだけで、「屋上屋を重ねる」徒労に終わるでしょう。
行政の効率化に向けては、「道州制」といった「枠組み」論ではなく、武雄市の取り組みに見られるような、民間企業やNPO、公益団体等と連携した、新しい行政のあり方を追及すべきです。
(文責・幸福実現党三重県参議院選挙区代表 小川俊介)