高性能で安全な次世代原子力発電の開発を!
12日、福島第一原子力発電所の敷地内が事故後、初めて報道陣に公開され、各紙がカラーの写真を大きく掲載しました。
激しく崩れ落ちた原子炉建屋、大津波で破損した設備など、8か月が経過した今も、生々しい爪痕をさらけだしました。事故の完全な収束と廃炉作業は、原発の信頼回復に欠かせません。
収束に向けて確実な遂行を目指すべきですが、息を飲む光景を写真公開することで、人々の恐怖心だけが増大するようなことがあってはなりません。
廃炉作業が最終工程まで「30年以上」の長丁場だとすると、継続して担う人材の質と規模が作業の成否の鍵を握ります。
そのためにも、菅前首相の場当たり的な「脱原発」とはキッパリと決別し、高性能で安全な次世代原発の研究に取り組むべきです。
経産省前では「9条改憲阻止の会」という左翼団体が経産省前の公共領域にテントを設置し、2ヶ月以上に渡って違法な座り込み活動を続け、「原発廃止運動」を起こしています。
しかし、これまで幸福実現党が主張して来た通り、ヨーロッパと違い、日本の地理的条件や地政学的リスクに鑑みるに、化石燃料にのみ頼るエネルギー政策は危険であります。
現時点で、日本が原子力エネルギーを捨てる選択をすることは、国家の安全保障を揺るがします。
反原発団体は「今夏、原発が減っても、計画停電は起こらなかった」「原発が無くてもやっていけるじゃないか」と主張しています。
しかし、計画停電を回避することができたのは、企業や家庭の献身的な節電の協力があってこそです。
この影響で、復興が遅れたことは否めません。東京電力と東北電力の管内大口需要家に対する「電力使用制限令」(前年比15%節電)が実施された7月以降、生産の回復は突然失速しています。
対象となった工場では稼働時間を短縮したり、休日を変更して、土日に生産をするなど、必死の努力が行われました。
経産省が発表している鉱工業指数(対前月比)を見てみると、3月に-15.3%と落ち込みますが、4月に1.0%、5月に5.7%、6月に3.9%と3ヶ月連続の急回復が見られましたが、7月は0.6%、8月は0.8%と急に回復が頭打ちになっています。
また、今夏の電力危機を乗り越えた背景には、火力発電所を猛烈なスピードで復旧・稼働させた電力会社やメーカーの努力がありました。
しかし、今夏は老朽化した火力発電所を無理矢理、動かしてきたため、故障やトラブルが相次いでおり、今冬も供給不安は続いています。
原子力エネルギーは、恐怖心を拡大する方向ではなく、防災対策を強化すべきです。
すなわち、「もう一段、大きな震災や、外部からの攻撃に対してどれだけの安全性を高められるか」についての研究が必要です。
今回、福島第一原子力発電所の吉田所長は「事故一週間は『死ぬだろう』と思うことが数度あった」と語っていますが、「原発そのものが悪い」のではなく、問題は「地震も津波も規模の小さなものしか想定していなかった」という甘さです。
原子炉の技術自体というよりも、地震や津波の想定が低すぎたという、「低い想定」の設定自体に問題があったのです。
原子炉自体は安全であっても、原子力発電所全体での災害対策強化は不可欠です。電源システムや配管の強化など、大きな地震や津波に耐えうる設計にすることは現在の技術でも十分対応可能であり、費用を惜しむべきではありません。
また、万一、日本が軍事的な攻撃を受ける場合、原発は最初に狙われる可能性が高く、ミサイルなどの攻撃を受けても問題が生じないように対策すべきです。
例えば、緊急時のシェルター構造をもう一回り外側につくり、少なくとも半径数百メートル以内で完全にシャットアウトするなど、考えれば作れるはずであり、こうした研究に政府はお金を惜しむべきではありません。
防災と安全保障は大きく連動しております。「最悪の事態」を想定し、事前に対策しておくことが一番です。「備えあれば憂いなし」です。
今後、原発事故の解明が進んでいきますが、それでもって「脱原発」「反原発」に向かうのではなく、「世界一安全な原発をつくろう」という発展・繁栄の方向を目指してまいりましょう!
人類の文明の進化は、「プロメテウスの火」の神話にあるように、自然災害との戦いの歴史でもあり、また、それを克服、コントロールして来た歴史でもあります。
私たちは決して江戸時代の生活へと「昔帰り」するのではなく、「今まで以上の繁栄を取り戻す!」という決意と覚悟で、新たな道を切り拓いていきたいと思います。
11月25日、幸福実現党発行のブックレット『これが真実(ホント)の放射能の話』(放射能問題研究会著)が発刊されます。是非、合わせてお読みください。 ⇒http://www.irhpress.co.jp/detail/html/P7002.html
(文責・竜の口法子)