Home/ 2025年 March 2025年 March 製造業こそ国の根幹 「ものづくり大国」日本を取り戻そう【幸福実現党NEW172号解説】 2025.03.22 幸福実現党政務調査会代理 小川佳世子 幸福実現党NEW172号 https://info.hr-party.jp/newspaper/2025/14897/ ◆日本のものづくりが衰退している 日本経済に元気がありません。 昨年、日経平均株価が史上最高値を更新したり、昨年度の賃上げ率が33年ぶりの高水準だったりしたことをもって、政府与党は「わが国の経済には着実に明るい兆しが現れている」などと言っています。 しかし、大半の日本人は、経済がよくなっているという実感を持てないでいるのではないでしょうか。賃上げといっても、電気代やモノの値段の値上がりに追いついていません。 何とか生活はできているけれど、負担ばかりが増えているのが実態ではないでしょうか。 実際、日本の経済成長率は横ばいで、経済規模を示すGDP(国内総生産)は他国に比べて増えていません。その結果、日本のGDPはドイツに抜かれ、今年中にはインドにも抜かれ、世界5位に転落する見込みです。 GDPは、日本国内で生み出されたモノやサービスの付加価値の合計です。 単純に言うと、モノを作ったりサービスを提供したりする時にかかった費用よりも、高いお金を払っても欲しいと多くの人が思うような価値の高いモノやサービスを生み出せたら経済は大きくなるわけです。同時に、私たちの収入も増えて豊かになっていくわけです。 その中でも製造業は、付加価値の金額が大きい産業です。 https://www.stat.go.jp/data/kkj/kekka/pdf/2023youyaku2.pdf かつての日本は、製造業が非常に強く「ものづくり大国」と称されており、「メイド・イン・ジャパン」は高品質の代名詞でした。 しかし現在では、日本の製造業の多くは海外に工場を移し、GDPに占める製造業の割合は減り、今では2割を下回っています。 ◆日本の製造業はなぜ衰退したのか では、なぜ日本の製造業は元気をなくしてしまったのでしょうか。 製造業が海外に生産拠点を移すことは、ある程度は自然なことです。 既存の製品を組み立てるなら、人件費の安い国で作った方が利益は出ますし、為替や関税のことを考えると、例えばアメリカで売る製品はアメリカで作った方が効率はよいからです。 ただ、本当は国内で作りたいのにそれが難しいという事情もあります。 例えば、中国でのものづくりは、重要な技術の漏洩、社員が危険にさらされる、日本に利益を戻せないなどのリスクが顕在化していきました。 そこで、国内に工場を戻そうという動きも出てきたのですが、これにブレーキをかけているのが日本の事情です。 具体的には、高い税金、社会保険料、高い電気代、脱炭素、複雑な規制などです。 まず、企業を苦しめているのは、経営状態が苦しくても払わなければいけない多額の社会保険料です。 昨年10月から、従業員数51人以上の企業で、正社員だけでなく、一定の要件を満たすパートやアルバイトなどの短時間労働者についても社会保険の加入が義務づけられました。 さらに社会保険の加入対象を拡大しようという議論も進んでいます。 この社会保険料は労使折半ですから、従業員だけでなく企業も払わねばなりません。雇用に対する課税のようなもので、人件費を押し上げます。 こうした状況では、中小企業などは新規の雇用を控えるようになり、ものづくりの技術を継承する人材が育たなくなります。 そして特に製造業にとってダメージが大きいのが高い電気代です。 特に鉄鋼業や半導体の製造には大量の電気が必要で、北海道に建てられた半導体製造企業ラピダスの工場で使われる電気は、北海道の電力需要の2割ほどを占めることになると言われています。 電気代が高ければ、ものづくりのコストが押し上げられます。 現在、日本の電気代は世界的なエネルギー価格の高騰と円安のダブルパンチで高くなっており、企業は高い電気代の支払いを余儀なくされています。 原発の再稼働を一日も早く進めていかなくてはいけません。 さらにここに「脱炭素」の取り組みが追い打ちをかけます。大量のエネルギーを使うモノづくりは、結果として大量のCO2を排出します。 そして、来年度から日本では、企業ごとのCO2排出量に「枠」を設け、その排出枠の過不足を企業間で取引する「排出量取引制度」を全国で本格稼働させることになっています。 しかし、前回171号の解説でもお伝えしたように、世界はむしろ、脱炭素の取り組みから離れつつあります。百害あって一利なしの脱炭素政策は、一早く撤回すべきでしょう。 それから、各業界を縛る細かい規制や慣習が山のようにあります。 例えば昨年6月、トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカー5社で「型式認証試験の不正があった」と報じられました。 この「型式認証試験」とは、自動車を大量生産する上で必要な、国が定めたルールなのですが、よく調べてみると、国の基準よりも厳しい基準で安全性に関する検査をしていたら「国土交通省の基準にのっとっていないから不正」という指導が入ったということです。 詳細は、「ザ・リバティ」2024年9月号の記事をお読み頂きたいのですが、この件のみならず、複雑なルールを守るために、企業のコストや労力が相当奪われている実態があります。 「ザ・リバティ」2024年9月号 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=3038 ◆国内での高付加価値のものづくりはなぜ大切か 企業は、このような二重、三重のハンディを背負いながらものをつくっています。 現在は、IT産業も人気が高いのですが、IT産業を成り立たせるためにはコンピューターやスマートフォンが必要です。 また、今はやりのAI、人工知能の開発においても、高性能のコンピューターが必要です。 ものづくりがなければ、私たちの生活は便利で豊かにはならず、IT産業も成立しないわけですから、製造業は非常に大事な産業です。 そして、ものづくりの技術は日本の平和・安全を守る上でも重要です。宇宙産業や防衛産業における技術力の差は、国防力の差となって現れます。 いくら鍛え抜かれた軍隊を持っていても、相手国が性能の高い戦闘機やミサイルなどの武器を持っていたら、そちらに軍配が上がります。 また、サイバー戦争を制するには、高いサイバー技術や情報収集能力が不可欠ですが、コンピューターの処理能力に差があればそれだけでハンディが生じます。 現在の戦争は、ものづくりの技術差で決まる面も大きいわけです。国内で宇宙産業、防衛産業を育てていくことは、安全保障の面からも必要なのです。 ◆「ものづくり大国」を取り戻すために必要なこと では、日本が再び「ものづくり大国」になるためには何が必要でしょうか。 一言でいえば、世界の人が望むような新しい価値を生み出し続ける土壌づくりです。これが、製造業の国際競争力を保つために必要です。 日本の製造業は、安全で燃費がよいクルマ、ソニーのウォークマンのようなまったく新しい製品などを生みました。 現在、「産業のコメ」と言われ、世界情勢にも影響を及ぼす半導体産業においても、日本は1980年代、世界の半導体市場で50%強のシェアを取っていました。 しかし、その後の日本はなかなか新しいものを産み出せていません。 外交力や国際競争戦略の欠如という要因もあったでしょうが、様々な規制や税金、社会保険料などが企業の足を引っ張った面もあります。 安定した安い電力の供給、法人税の減税などで企業の経済活動のコストを下げ、研究開発に割く余裕を生み出すことが大事です。 また、今なら空飛ぶ車や自動運転車などの規制がものづくりのネックになっています。 たとえば、4月から始まる大阪・関西万博においては、ドローン技術を応用した「空飛ぶクルマ」が、来場者を乗せて飛ぶ日本初の商用運航を目指していました。 しかし、安全性を証明する手続きに時間がかかったため、来場者を乗せることができず、デモ飛行のみを行うことになりました。 そして、働き方改革も、新しいものを生み出す足かせになっています。 長時間働けば業績が上がるわけではありませんが、やはりスキルを身に着け、質の高い仕事をするには、まずはある程度の時間、仕事に打ち込まなくてはなりません。 残業時間を規制され、何時までに帰れとうるさく言われれば、新しいものを生み出す研究開発には没頭できないでしょう。 こちらに、日本の年間労働時間とGDPの関係を示したグラフを掲載しています。 日本の高度成長期は、一人当たりの年間労働時間は、ピーク時で2400時間を超えていました。 しかしこれについて、アメリカが「日本は国民に長時間労働を強いて、対外競争力を高めている」と口を挟み、日本国内でも「日本人は働きすぎだ」という世論が高まりました。 そこで政府は1992年、労働者全体の平均労働時間を年間1800時間までにし、完全週休2日制の導入を目指す「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」を制定しました。 このようにして「長時間働くことをやめよう」というメッセージを発した時と、日本経済が停滞し始めた時期は見事に重なっています。 ◆製造業の人材養成を このように、経済をもう一段発展させるには、日本が大切にしてきた「ものづくりの精神」を育てていくことが必要です。 そのためには、教育においては、前例のないことにチャレンジする精神、コツコツと努力する勤勉の精神、また「多くの人に便利さ、豊かさをもたらしたい」という愛の思いなどを育てていくことが大事になります。 そうした思いをもつことで、宗教的に言えば「インスピレーショナブルな頭脳」をつくることになり、この世になかったアイディアを受け止めることができるようになります。 一方、政府の仕事としては、公平な競争環境を整え、中国などに新しい技術やアイディアを盗まれないよう「スパイ防止法」などを整備することに集中し、減税や規制緩和によって企業の仕事の足かせになっているものを取り除くことが必要です。 大川隆法総裁は、著書『創造する頭脳』のあとがきで次のように述べています。 役人の発想は、基本的に、「なぜ、できないのか」「なぜ、ダメなのか」を中心に回っており、それをいかに整然と説明するかに知力を使っているのである。(中略)これは、勇気・責任感・積極性・行動力を中心に形成される経営者マインドの正反対のものである。 いくら税金を投入しても無駄である。むしろ小さな政府を目指して、倒産の恐怖を自分で背負いながらチャレンジしていく民間に任せるべきだ。「創造する頭脳」は未来を積極的に切り拓こうと決断できる勇気の持ち主にこそ与えられるのだ。 (引用終わり) 政府がお金をバラまいて経済が繁栄することはありません。 幸福実現党が言っている「小さな政府、安い税金」の考え方に基づく自由と自助努力の精神が、日本復活の原動力になっていくのです。 日米で力を合わせ、中国の脅威を封じ込めるために【幸福実現党NEW171号解説】 2025.03.01 幸福実現党政務調査会代理 小川佳世子 幸福実現党NEWS(171号) https://info.hr-party.jp/newspaper/2025/14811/ 解説動画 https://youtu.be/FfyiYcvWD94 ◆トランプ政権の外交政策から見えてくる「対中強硬姿勢」 トランプ大統領就任後、世界は大きく動き始めています。 バイデン政権下では、ロシア-ウクライナ戦争が勃発し、中東でイスラエル-ハマスの争いが激しさを増していましたが、トランプ大統領の就任直前、まず中東で動きがありました。 それが、イスラエルとハマスの停戦合意の発表です。トランプ氏は就任前から「大統領就任までに停戦し、人質を解放しなければ、中東に地獄が訪れる」と警告し、双方に圧力をかけていました。 この映像収録時点では、双方が様子を見ながら交渉を続けており、停戦合意が破棄されるかどうか予断を許さない状況ではありますが、何をするか分からないトランプ氏の迫力が、ひとまず停戦をもたらしたことは確かです。 また、3年に渡って続いているロシア-ウクライナ戦争についても、停戦に向けて手を打っています。 トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と個別に電話会談をし、14日には停戦に向けた協議がドイツのミュンヘンで始まりました。 近々、トランプ大統領とプーチン大統領との首脳会談も行われる見込みです。 ウクライナがNATO加盟を求める一方、ロシア側は緩衝地帯であるウクライナにNATO諸国の影響が及ぶことは受け入れがたく、条件によっては停戦まで時間がかかると思われますが、バイデン政権の時には考えられないほどのスピード感を持って、問題解決の手が打たれています。 このように、トランプ大統領がヨーロッパと中東での戦争を終わらせようとしているのは、現在の世界を見渡した時、中国が最大の脅威であると認識しているからです。 バイデン政権の時は、アメリカはウクライナや中東にも軍事力や資源を投じており、相当消耗していたのですが、二つの戦争を終わらせることによって、アメリカの力をアジアに集中させ、中国をのさばらせないようにしようとしているのです。 ◆パリ協定離脱の狙いとは? この「対中国」という観点を持つと、トランプ大統領が進めようとしていることが理解できます。 例えば、大統領就任初日の1月20日、トランプ氏は幾つかの大統領令を出しましたが、その一つに「パリ協定からの離脱」を命じる大統領令があります。 パリ協定とは、地球温暖化対策のための国際的な取り決めで、5年ごとに参加国に新たな温室効果ガスの削減目標を提出することを求めています。 しかし、このパリ協定は中国にとって極めて有利な取り決めです。 中国は表向き「CO2削減を目指す」としていますが、「我々は人口14億人を抱える途上国なので、急にはCO2を減らせない」と言って石炭火力発電所を建設し、CO2をどんどん排出しています。 さらに、世界的にCO2削減の機運が高まり、再生可能エネルギーが推進されると、太陽光パネルや風力発電設備のシェアが世界一である中国が儲かることになります。 一方、CO2削減の目標を掲げ、真面目に達成しようとする国は非常に不利です。 再生可能エネルギーを推進すれば電気代は高くなりますし、石炭発電は止められ、石油や天然ガスの開発もできなくなります。 そこでトランプ大統領は「パリ協定」を離脱し、バイデン前大統領の時代は禁じられていた新たな石油や天然ガスの開発を推し進め、エネルギー価格を下げて、アメリカ経済を再び強くしようとしているのです。 同時に、脱炭素政策が広がることで中国が得るはずだった利益を減らそうとしています。 こうしたアメリカの動きに対して、世界も反応し始めています。 今年2月10日は、「パリ協定」に基づく温室効果ガス削減目標の提出期限でしたが、目標を提出したのは10数か国に過ぎず、日本を含め9割の国が期限までに提出できていません。 CO2が地球温暖化の原因というのはあくまで仮説にすぎず、むしろ無関係という学説も多く発表されています。 自国の経済に大きなダメージを与えるCO2削減に消極的な参加国が増えているなか、中国に次ぐ第二の排出国であるアメリカがパリ協定からの離脱を決めたことで、世界の流れが変わる可能性も出てきています。 ゆえに日本もこの機会に、脱炭素政策を転換すべきです。 「脱炭素」の取り組みをした企業に補助金や助成金を出す、電気自動車に補助金を出すという施策が動いているので、今さら変えられないというのが政府や一部企業のホンネかもしれませんが、「脱炭素」政策をダラダラと続けることは、電気代を高騰させ、日本のものづくりの首を絞め、中国を喜ばせることになるわけです。 政府も企業も目先の利益に踊らされず、国益のためにスパッとやめるべきでしょう。 なお、脱炭素政策の問題点については、幸福実現党のYouTube番組である「言論チャンネル」の、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志氏と釈党首の対談を是非ご覧ください。 ◆国境警備強化と関税強化でアメリカを安全な国に さらにトランプ大統領は、2月4日から中国に10%の追加関税をかけました。今までかけていた関税に加え、中国からのすべての輸入品に10%の関税を上乗せしたのです。 関税の意図としては、幸福実現党NEWS169号の解説でも触れたように、中国の経済力を弱め、最終的に軍事力に回すお金を減らす、すなわち「兵糧攻め」の意味があります。 さらには、カナダやメキシコにも25%の関税を掛けようとしていましたが、両国の関税発動については1か月の猶予期間を設けました。 なぜ、中国だけでなく、カナダやメキシコにも関税をかけようとしたのかといえば、国境を接した両国から不法移民やフェンタニルという麻薬が入ってくるのを止めるためです。 フェンタニルは、医療用としては合法で有効な鎮痛剤ですが、最近ではメキシコなどで密造され、密売人によって違法に売られています。1錠数ドルで手に入り、効き目が強いため薬物中毒になりやすく、またわずかな摂取量で命を落とすこともある恐ろしい麻薬です。 なお、薬物の過剰摂取による死者は2022年、全米で10万8千人近くにのぼるとされます。 アメリカの交通事故による死者数は4万人以上ですので、交通事故による死者数の2倍以上が違法薬物で亡くなっているのです。また、18歳から49歳という現役世代の死因ではトップになっています。 このようにフェンタニルの密輸は、アメリカを混乱、荒廃させる大きな原因となっているため「現代のアヘン戦争」とも呼ばれ、深刻な社会問題となっています。 アメリカ下院の中国共産党に関する特別委員会が昨年4月に出した報告書によれば、中国はフェンタニルの原料となる化学物質の製造に補助金を出して、組織的な輸出を行っているとのことです。 この違法薬物の問題については、バイデン元大統領と中国の習近平国家主席との会談においても、フェンタニルの生産と輸出の抑制に取り組むことで合意したはずなのですが、対策は思うように進んでいません。 そこでトランプ氏は、麻薬の経由地であるカナダやメキシコにも高い関税をちらつかせて、「不法移民や不法な薬物がアメリカに入らないように、しっかり対策をしてくれ」というメッセージを送っているわけです。 アメリカの治安をよくして国民が安心して暮らせるように、麻薬の輸出によってアメリカを混乱させようとする中国の試みは許さない、麻薬を密輸する不法移民も許さないというトランプ大統領の強い姿勢が見てとれます。 ◆中国に毅然とした態度を このように、アメリカが中国への毅然とした姿勢を見せているなか、日本の石破政権は中国寄りの姿勢を崩していません。 特に批判を浴びたのは、昨年末、岩屋毅外務大臣が中国を訪れた際、中国人向けの観光ビザの発行基準を大幅に緩くする方針を発表したことです。 具体的には、富裕層向けに10年間有効な観光ビザを新設する、団体旅行向けのビザで滞在可能な日数を30日に延長する、65歳以上の中国人に限り、これまで求めていた在職証明書の提出を不要にするといった施策です。 これは、中国人観光客によるインバウンド需要を狙ってのことですが、治安の悪化やオーバーツーリズムなどへの懸念の声も出ています。 さらに問題なのは、特定の国、しかも自国民に人権弾圧を行い、日本に対しても軍事的な脅威をちらつかせるような国からの観光客に期待する政府の姿勢です。 中国はこれまでも、他国に観光客を大量に送り込んで経済的に依存させ、これを「外交カード」として利用してきました。 日本がトランプ政権と一緒に厳しい対中姿勢を取らないようにするため、観光客を外交カードとしてちらつかせる可能性は大いにあります。 これは、日本の外交・安全保障にとって大いにマイナスです。 現地時間で7日に日米首脳会談が行われましたが、その際、トランプ大統領は石破首相にかなり気を遣い、顔を潰さないような配慮をしていました。 笑顔で握手はしていましたが、「中国とアメリカ、どちらが大事か分かっているだろうな」という強いメッセージを送っているようにも感じました。 日本としては、「アメリカと中国、どちらについた方が得か」という損得勘定で考えるべきではありません。何が世界的な正義に適うのか、日本として何を目指すのかというビジョンがなければ、簡単に利害で揺さぶられます。 大川隆法党総裁は、『メシアの法』の中で次のように述べています。 総じて、骨太なかたちでの「善悪の価値観体系」を持つべきだと思うし、それを教える「宗教的な原理」というか、「宗教的なメジャーな思想」というのは、本当に今こそ地上に伝えられ、広げられるべきだと思います。(中略) もし、「経済的に利益さえ出ればいい」ということで、日本政府や、あるいは、それにくっついている公明党、創価学会等、日中国交回復を手柄として言っている人たちが、その変化にまだ気がつかないで、政治的行動をしないようにやっているとしたら、それは「悪なる行動である」というように見ざるをえないと思っています。 (引用終わり) トランプ大統領の力強い決断の背景には、宗教的な信念に基づく善悪の価値観があります。日本も、目先の利益ではなく、正義とは何かを追究すべきです。 ◆防衛予算倍増は待ったなし ただ、正義を貫き、中国に毅然とした姿勢を取るためには、「自分の国は自分で守る」国を目指す必要があります。 岸田政権時代、「防衛予算は2027年までにGDP比2%に引き上げる」と述べていました。 しかし、現在のアジアの状況を見た時、今後2年間、日本の安全を脅かすような出来事が何も起きないという保障はありません。 さらに、中国の覇権拡大阻止を訴える国防総省ナンバー3のエルブリッジ・コルビー氏は、「日本は防衛費を今すぐGDP3%程度にするべきだ」と述べています。 それだけアジア情勢は緊迫しているということです。さらに、日本は長らく厳しい武器輸出規制があったことで、国内で防衛産業が十分に育っておらず、アメリカから多くの武器を輸入していますが、現在は円安のため、今までと同じ防衛予算ではそもそも足りません。 こうした状況で、防衛予算を増やすための増税を行うと言っていますが、前回の解説でもお伝えしたように、それは国力を落とす道です。 増税の前に、政府がやるべきでない仕事を思い切って減量する必要があります。 国を強くするためには、国を豊かにしなければいけません。 増税によって日本経済が衰退し、国力が落ちてくると、防衛力に予算を割く余裕もなくなります。ですから、いま、必要なことは政府の仕事を減量して減税することであり、それによって日本経済を立て直すことです。 そのためにも、先ほども述べたように、脱炭素を止めて電気代を安くすること、それから経済の足を引っ張っている「働き方改革」を止めること、個人のみならず企業の負担も増やしている手厚すぎる社会保障を見直すことなどが必要です。 日本とアメリカが力を合わせ、世界に共産主義の精神を輸出しようとしている中国を封じ込めて世界の平和を守るためにも、日本は「神様が望まれる正しさとは何か」を追い求める国へと変わっていかなければならないのです。 すべてを表示する