Home/ 2020年 July 2020年 July 香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ【後編】 2020.07.09 https://youtu.be/LrWt8Mr8FjU 幸福実現党党首 釈量子 ◆ナチズムの特徴を持つ中国 前編では、香港国家安全維持法によって香港がどうなるかを見て参りました。後編では、同法を別の角度から追及して参ります。 中国の「香港国家安全維持法」の恐ろしさは、第二次大戦のナチスドイツが持っていた「全体主義国家」の特徴が表れている点です。 全体主義国家とは、「国家のために人民・国民がある」と考える政治体制のことで、国家のため、全体のために「個人の自由」をすりつぶしていくような国のことです。 この「全体主義の起源」を解き明かしたのが、ハンナ・アレントという女性政治哲学者です。 実はこのアレントこそ、幸福実現党の創立者の大川隆法総裁の「政治思想の源流」です。 『大川隆法思想の源流 ハンナ・アレントと自由の創設』に、総裁の東大法学部当時の論文もそのまま収められています。 一般的に、宗教というと全体主義のように見えるのですが、その真逆で、全体主義に対抗する「自由の創設」を政治の理想と考えています。 アレントは、全体主義の特徴として、3点挙げています。 ◆全体主義の3つの特徴 まず一点目は、「秘密警察」です。 全体主義は、秘密警察あるいは特別警察のようなものがあり、国民を常に監視していることです。 中国ではインターネット上の監視、AIや監視カメラを利用した監視社会が出来ています。 今回の法律でも、「国家安全維持公署」を設置し、香港の監視を強めようとしています。 二点目は「強制収容所」の存在です。 政権を批判したら、逮捕・監禁して、物言わせない仕組みです。 ウイグルの収容所では100万人、あるいは300万人以上とも言われるイスラム教徒が信仰を理由に収容されています。 三点目は、「粛清」あるいは「虐殺」です。 時の政権に都合の悪い人たちは、十分な裁判手続きもないままに、抹殺していく。これも、チベットや内モンゴル、ウイグルで起きているものです。 香港でも、行方不明者が多数出ています。このように全体主義を見抜くことが可能だということです。 昨年の香港デモの際には、「China(中国)」と「Nazi(ナチ)」を組み合わせた造語「Chinazi(チャイナチ)」というフレーズが使われていました。 実際に、中国はナチズムと同じ特徴を持っています。香港は今、中国の全体主義に飲み込まれようとしているのです。 ◆チャイナチから香港の自由を守る 今後、中国は香港の繁栄を失い、経済的ダメージを受けるととともに、今後ますます国際的に孤立していくことは確実です。 アメリカは「香港人権民主主義法案」などを制定し、当局者への制裁、優遇措置の廃止などで、香港の人々の自由を守ろうとしています。 また、日本やドイツ、フランスなどの27か国は声明で、中国を香港の「一国二制度」が保障する高度な自治と権利、自由を害するものだと非難しました。 日本はさらに、延期になっている習近平国家主席の国賓待遇での来日も中止すべきだし、日本の産業界に対しても、政府は国内回帰の路線を促すべきだと思います。 最後に、今年4月に逮捕された香港民主主義の父と呼ばれる李住銘マーティン・リー氏とお会いした時、次のように語っておられました。 「どんなに自分の無力さを感じても、神は全能です。神は未来がどうなるかをご存知で、私たちを導いている。何も心配することはないと思っている。」 欧米では「経済よりも、また政治体制よりも、神や信仰心はその上にあるものだ」という価値観があります。 神になり代わろうとする中国の指導者が「野心の塊」だと見抜き、世界は人間の尊厳をかけて、力の支配に立ち向かうべきだと思います。 「自由・民主・信仰」という価値観を基盤とした政治を目指すこと、神は自由化、民主化を願っておられる、それこそが神の意思であるということを信じることが未来を拓くことにつながるのではないでしょうか。 香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ【前編】 2020.07.08 https://youtu.be/LrWt8Mr8FjU 幸福実現党党首 釈量子 ◆香港国家安全法で、「香港の自由」は死んだ 6月30日、中国の全人代常務委員会で「香港国家安全維持法」が全会一致で可決・施行されました。 翌7月1日には早くも「国家安全法」違反で、10人が逮捕、違法集会などの容疑でも約360人が逮捕されています。 香港の代表的な活動家である黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏は所属する民主派団体「デモシスト」からの離脱を表明し、すでに香港から脱出した活動家もいます。 「香港の自由」は死んだに等しい状況です。 香港国家安全法の主な内容は、(1)国家分裂、(2)政権転覆、(3)テロ活動、(4)外国勢力との結託を処罰し、最高刑は終身刑です。 4つを犯罪行為としているのですが、いずれも定義があいまいで、「香港独立」旗の所持程度の非暴力的な手段でも逮捕されています。 香港の企業や外国人、香港外の犯罪にも適用され、香港在住の日本人や企業も対象に含まれます。 中国が国家安全維持公署を設置し、中国政府の出先機関として、「秘密警察」のような役割を担うと報道されています。 捜査では、通信傍受や盗聴が可能となり、捜査を名目に、監視・尾行・盗聴などやりたい放題です。 学校、メディア、インターネットなどの監督・管理も強化され、中国に批判的な書き込みや報道がなくなる恐れがあります。 また、国家安全の罪で有罪判決を受けた者は、選挙に立候補できません。これは9月に行われる「香港立法会選挙」に向けた布石と言われています。 香港国家安全維持法は香港の他の法律よりも優先され、個人の自由や人権よりも、中国共産党が理想とする社会の安全を優先することになります。 ◆香港の今後 この法律施行によって、香港は、どのようになるのでしょうか。 人や企業が、他の国へ移転する流れが強くなるのは確実で、すでに台湾や、旧宗主国のイギリスも、移民受け入れを表明しています。 香港に拠点を置く外国企業なども、香港脱出を検討しています。 1992年にアメリカ議会で成立した「米国―香港政策法」で、「中国製品に課している関税を香港には適用しない」といった、優遇措置がとられてきました。 中国は、香港を経由すれば関税がかからないので、製品をまず香港に持ち込み、そして香港から世界各地に再輸出することで、アメリカなどの中国に対する関税を回避することができたのです。 しかし、今回、アメリカが「香港人権民主主義法」などを制定し、当局者への制裁、香港の優遇措置が見直されることになり、「特別な地位」が失われます。 中国が利用してきた抜け道がなくなるということです。 また金融面では、中国は香港の金融市場を利用して外国資金を呼び込んでいました。 例えば、2004年に中国最大のインターネット企業であるテンセント、2018年にはスマホメーカーのシャオミ、2019年にはアリババが香港市場に上場しました。 現在、香港市場に上場している中国関連企業は約420社あり、その時価総額は、1兆5千億米ドルを超え、香港市場全体の3分の1以上を占めています。 今後、香港の金融機関がシンガポールなどに本社機能を移転する動きが加速し、香港の金融センターの機能が弱まれば、中国企業の資金調達は難しくなるでしょう。 さらに、アメリカは今後の制裁案として、香港ドルと米ドルの交換を停止することも検討しています。 このように、中国は「国家安全維持法」によって、香港の貿易・物流センター、金融センターとしての機能を失おうとしています。 コロナショックと相まって、中国経済に与える影響は甚大です。 後編では、中国の「香港国家安全維持法」について、また別の角度から見て参ります。 (つづく) サバクトビバッタの大襲来!――「世界の胃袋・中国」に食糧危機はくるのか?【後編】 2020.07.05 https://youtu.be/5mq_rM6ei98 (6月19日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国で食糧危機が起こるかもしれない4つの要因 前編では、中国の万全にみえる食糧体制を紹介しましたが、それを根底から揺るがしかねない要因が、今回のサバクトビバッタです。それ以外にもいくつか出てきました。 (1)国内穀倉地(黒龍江省)でのイナゴの大量発生? 6月に入り、中国東北部の黒龍江省、吉林省、また南部の湖南省などでイナゴの大量発生が確認されています。 これはサバクトビバッタとは異なる種類ですが、中国一の穀倉地域と言われる黒龍江省での蝗害発生は中国にとってただ事ではありません。 (2)中国の食糧庫・アフリカのバッタ被害 習近平体制にとって「一帯一路」構想で一気に緊密化してきたアフリカ諸国におけるサバクトビバッタの被害は甚大です。 中国はアフリカを戦略的に「中国の食糧基地」と捉え、農業関連の投資を行ってきました。サバクトビバッタはこうした地域を食い荒らしています。 (3)コロナ責任論による中国への禁輸措置 更に、世界中で巻き起こる中国コロナ責任論が、中国の食料サプライチェーンを破壊する可能性も否めません。 実際に、オーストラリアが新型コロナの発生源について、独立した調査を実施したことに中国が強く反発しました。 その報復としてオーストラリアの大手4社から牛肉の輸入を停止するという強硬措置に出ました。 こうした中国コロナ責任論が更に飛び火し、アメリカや南米諸国など、輸出国から禁輸制裁を受ける可能性もあります。 ◆日本はどうすべきか? 世界を襲う食糧危機問題は、日本にとって対岸の火事では絶対に済まされません。 なぜなら、日本の食料自給率は37%、また飼料自給率は25%という低水準で、食料の自給率を少なくとも7割ぐらいを目指すべきではないかと思います。 まず、調達先を多角化し、あらゆる状況に応じてリスク分散を図ることができる供給体制を構築することが肝要です。 その有力候補がロシアです。小麦においては世界最大の輸出国です。 ただ、2018年時点で日本はわずか1.8万トンしか輸入出来ておらず、現状は米国、カナダ、オーストラリアの3か国にほとんど依存している状況です。 今後、中国包囲網を強化する意味でも、ロシアとのさらなる関係強化に力を入れてもいいと思います。 また、大豆やトウモロコシについてはウクライナという販路を開拓することも大事です。 国民の生命・安全を守るためにも、国内における食糧の自給体制をエネルギー自給率と合わせて一刻も早く整えることこそ、日本が採るべき「国家戦略」です。 サバクトビバッタの大襲来!――「世界の胃袋・中国」に食糧危機はくるのか?【前編】 2020.07.04 https://youtu.be/5mq_rM6ei98 (6月19日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆サバクトビバッタによる食糧危機は? 本年に入ってから東アフリカ・アラビア半島周辺で発生したサバクトビバッタは、6月にインドのパキスタンに国境を接したラジャスタン州やインド北部の街アラハバードまで襲来しています。 (ラジャスタン州に襲来するサバクトビバッタの様子は、上記収録映像の0:20〜0:44で見ることができます) アラハバードからネパールまではわずか200kmで、今まで移動してきた距離を考えれば、中国に到達するのも時間の問題です。 サバクトビバッタの大量発生について、国連食糧農業機関(FAO)は、「東アフリカで2,500万人以上、イエメンでは1,700万人が食糧不足に陥ると予測(6/19産経ネット版)」しています。 (※7月3日現在、南米でもサバクトビバッタが大量発生し、世界各地で猛威を振るっています。) 「世界的な食糧危機が起こるのか?」という点については否定的な見方があるのは確かです。 というのも世界の穀物生産は8年連続の豊作となっており、穀物の主要生産地である南北アメリカ、ロシア・ウクライナ等でバッタの被害は全く出ていないからです。 ◆極めて不安定な「穀物」の特性 しかしながら「食糧(穀物)」を国際市場における「商品」として捉えると、いかに不安定な資源であるかがわかります。 大豆・小麦・トウモロコシ等の穀物は「基礎食料」であり、国内での消費・備蓄が最優先されるという特性があります。 その上で余った穀物が輸出されるため、どうしても数量は限られてしまうのです。 こうした穀物国際市場の特徴は「薄いマーケット(thin market)」と表現され、国際市場に出る穀物は、生産量のたった「約7分の1」にしか過ぎません。 また、投機マネーの対象となり、穀物の主要輸出国と輸入国が共にかなり限定されるので、今回のコロナ禍での禁輸措置などの要因が大きく作用し、価格が急に「乱高下する」という特性があります。 ◆穀物の不作から起こった「アラブの春」 近年でも「穀物」の不安定性が、世界的な大変動の要因の一つとなりました。 それが2011年に北アフリカから起こった民主化運動「アラブの春」です。 2010年に発生したエルニーニョの影響で干ばつが発生し、小麦輸出国世界1位のロシア、世界5位のウクライナが「輸出しない」と急遽禁輸を発表したのです。 この2か国のみで世界に出回る約3割の小麦を輸出していた上に、世界4位のカナダも豪雨で輸出が減少したため、世界2位の小麦輸出国であるアメリカに買いが殺到しました。 小麦を十分に確保できなかった北アフリカ・中東諸国で主食となるパンの価格が急騰し、食べられない庶民の不満が爆発したのが「アラブの春」の直接の引き金となったのではないかという説があります。 その結果、革命によってチュニジアやエジプト、リビア、イエメンといった国々の政権が転覆したのです。 ◆食糧危機で革命が起きてきた中国 中国史を見ても、多くの王朝が食糧不足による飢饉がおこり、民衆の反乱によって滅亡に至りました。 チンギス・ハーンが興した元帝国も、その後に続いた明も食糧危機が革命の直接的な原因の一つとなりました。 現代の中国は世界最大の人口14億人を食べさせなければなりません。 その「世界の胃袋」と言える中国では、2019年時点で6億トン強の食糧生産を誇り、ここ21世紀に入って20年間で約2億トンもの増産に成功しています。 トウモロコシ、小麦といった2品目においてはアメリカに次ぐ世界第2位の生産量を誇ります。 ◆中国の穀物消費量と増え続ける国民食「豚肉」 しかしながら、ここ10年、中国は輸入に頼らざるを得ない状況になっています。その要因は中国の国民食「豚肉」の存在です。 トウモロコシ、小麦、大豆といった穀物は、豚の餌として必要不可欠です。 特に、自給体制が整わない大豆については、米国、ブラジル、アルゼンチンといった輸出国からおよそ1億トン弱も輸入している状況です。 実に中国は世界の穀物在庫の過半を占めており、世界の小麦の51.6%、トウモロコシの67%、コメの64.7%を中国が「備蓄」しています。 国連食糧農業機関(FAO)が適正と考える在庫率が約2か月分の消費量にあたる17~18%と考えるとその3倍以上で、驚くべき備蓄率を誇っています。 以上、中国の穀物事情を見てきましたが、後編では、中国で起こるかもしれない食糧危機と日本への影響とその対策を述べて参ります。 (つづく) 産業界の「米中戦争」――カギを握るのは日本と韓国【後編】 2020.07.03 https://youtu.be/XXe6Moz8R9c 幸福実現党党首 釈量子 ◆文在寅大統領の手中にあるサムスンの難しい状況 残りは韓国、サムスンの動向です。 中国も「米国によるサムスン取り込み」の動きに気付いており、自国内での半導体生産体制をしっかりと守ろうと試みています。 年内には、習近平国家主席が韓国訪問を進めるべく、文在寅大統領との電話会談があったという報道もありましたが、中韓のつながりというのは非常に注目されます。 現段階では、サムスンの技術がなければ、最先端の製品を一つも作れず、ファーウェイの天下は一夜にして終焉してしまう状況です。 一般的に、サムスンは親米派と考えられていますが、サムスングループの事実上トップとされるサムスン電子の副会長、李在鎔(イ・ジェヨン)氏が不正疑惑で逮捕されています。 検察に捜査を受けている状況のため、完全に親中・文在寅政権のコントロール下にあります。 そのため、米中のどちらの味方をするのか、企業としては決められない状態にあると言えるでしょう。 ◆「米中技術戦争」のカギを握る国・日本 こうした「米中技術戦争」の動向を左右しうる国が日本です。 まず、韓国との関係です。 サムスンが最新鋭の半導体を製造する際には、日本の超高純度のフッ化水素が必要不可欠で、これなしでは製造が止まってしまいます。 ところが昨年7月、軍事転用を防ぐ取り組みが甘いとして、日本は韓国への輸出管理を厳格化しました。 一部輸出も再開していますが、未だ全面的な解禁には至っておりません。 韓国は自国でもフッ化水素を製造できると主張していますが、日本ほどの高純度の製品は難しいようです。 そのため、韓国への輸出管理の強化は、「日米連携での韓国への圧力ではないか」という見方が有力です。 ◆決定的な弱点を抱える中国の半導体業界 更に、中国との関係です。 ファーウェイのスマホに、日本企業の部品が多用されていることは知られていますが、中国の半導体専門メディアの報道によると、タブレットを分解したところ部品の8割が日本製だとしています。 ファーウェイ梁華会長へのインタビュー内容によれば、「2019年の日本企業からの調達額が過去最高の1兆1000億円に上る」「日本のサプライヤーとパートナーに感謝を申し上げたい」と述べています。(Business Insider Japan) ファーウェイに半導体や電子部材を供給している日本企業は、公表されているのは11社ですが、実際は20社に及ぶとも言われています。 また前述の通り、中国は半導体の自前化を進めていますが、中国も韓国と同様に欠点があります。 「中国半導体のゴッドファーザー」とも呼ばれる、新興半導体メーカー芯恩会長の張汝京(リチャード・チャン)氏は、「中国の半導体産業にはいくつか欠点があり、特に材料と設備がサプライチェーンの中でも最も弱い」と述べています。 そして「半導体材料の国産化こそが、半導体全体の国産化の中でも、非常に喫緊かつ困難な仕事である」と中国が抱える決定的な弱点を明らかにしています。 ◆既に日米で持ち上がる6G 構想 つまり、現時点においてはサムスンもファーウェイも、日本の技術がなくては成り立たないということです。 しかし、米国の対中規制が強化され、前述の通り25%ルールの基準が10%に変われば、日本からの中国への輸出は困難になる可能性があります。 今後は、中国との取引による経済的なメリットは失われるばかりか、日本も米国から制裁を受けかねないとも言えます。 現在、5Gを一気に飛び越えて、6Gを構築しようという構想が日米の間で持ち上がっています。 実際、昨年10月にはソニー、インテル、が次々世代6Gの通信規格で連携するという日経新聞の報道がありました。 今のところ、2031年に実用化が見込まれていますが、もし6Gの目処が立てば、下位規格の中国を外すことが可能になり、日本がアドバンテージを握る「虎の子の技術」があるというのは非常に朗報です。 最後に、日本は韓国や中国との取引を続けて目先の利益を選ぶのか、それともアメリカとの連携を強化し、中長期の繁栄を選ぶのか、答えは明白です。 そのためにも政治サイドは、サプライチェーンの国内回帰の後押しをして、法人税の減税、未来産業への思い切った投資などを進めるべきです。 幸福実現党としては、日本の高度な技術を、人権抑圧ではなく、世界の自由と繁栄を守るために使われるような環境を整えていきたいところです。 産業界の「米中戦争」――カギを握るのは日本と韓国【前編】 2020.07.02 https://youtu.be/XXe6Moz8R9c 幸福実現党党首 釈量子 ◆トランプ大統領のG11構想の思惑とは…? 今回は「産業界における米中戦争の勝敗のカギを握るのは日本と韓国」というテーマです。 5月末、トランプ大統領から突如G11構想について、以下のような発言が飛び出しました。 「現行のG7の枠組みは世界の状況を適切に反映しておらず、極めて時代遅れだ。ロシア、オーストラリア、インド、韓国を招待して、G10またはG11にしたい」というものです。 この発言に大喜びしたのが、文在寅大統領の側近でもある李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使です。 李大使は「新たな世界秩序を形成・管理していくにあたり、参加できる招待状を得たのと同じ」。また、「韓国は(米中双方から)選択を強いられる国ではなく、選択できる国だという自負心を持っている」と、かなり不用意な発言をしてしまいました。 これに対しては、韓国国内からも「米中の確執が広がる敏感な時期に、外交的に不適切だ」という批判が出たほどです。 ◆韓国に踏み絵を迫る米国 もちろん、アメリカがG11構想を持ち出したのは韓国のご機嫌を取るためではありません。 狙いは「中国と韓国の引き離し」です。 G11構想に先立って、米国は、日韓を含む有志国とサプライチェーンの再編を推進する「経済繁栄ネットワーク(EPN=Economic Prosperity Network)」構想を表明しています。 EPN構想とは、次世代通信システム「5G」を含む、幅広い分野において、自由主義陣営でサプライチェーンを構築しようとするもので、要するに「反中経済同盟」です。 李駐米大使の発言の後、米国は韓国外交部と電話会談を行い、「経済繁栄ネットワーク」について説明して、参加を公式に要求したと言われています。 米国が韓国に対して「米国と中国、どちらを選ぶのですか?」と踏み絵を迫ったと見ることもできます。 ◆米国が中国と韓国を引き離したい真相 米国が韓国を引き込もうとする最大の要因は、韓国最大の企業サムスンの首根っこを押さえたいからでしょう。 米国は以前から、5Gから中国企業のファーウェイを外すよう、他国に迫ってきました。 なぜなら、このファーウェイが5Gを構築する上で外せないのがサムスンの技術だからです。 「7nm(ナノ)プロセス技術」という超細密な技術を持っているのは、現在のところ、台湾企業の「TSMC」と韓国の「サムスン」だけです。 この技術レベルの半導体がなければ、次世代通信規格の5GやAIは製造できません。 スマホが5G規格になれば、「超高速」「大容量」「同時多接続」となり、今度産業分野でも、IoTや自動運転技術などに拡大し、更に、安全保障分野、軍事での活用も見込まれています。 実際に、TSMCの技術を利用して製造した米国半導体大手のザイリンクスの製品は、米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35」などにも使われています。 要するに、TSMCとサムスンを中国に取られてしまうと、技術面で米国は敗北してしまうわけです。 ◆ファーウェイから距離を取る台湾企業のTSMC 昨年5月になされた米国での輸出規制によって、米国製品が25%以上含まれている製品は、自由に輸出できないことになっていました。 しかし、今後は規制が更に厳格化し、米国製品が10%以上含まれるものから禁輸対象となる見込みです。 この方針を受け、TSMCは、ファーウェイからの新規受注を停止しました。 その理由は、TSMCが米企業の半導体製造装置を使用しているためです。 更に、米国はTSMCに対して、軍事用半導体を米国内で製造するように要請し、より微細な5㎚プロセスの工場をアリゾナ州に建設するプロジェクトが進んでいます。 後編では、サムスンの動向から見て参ります。 (つづく) マイナンバーと口座紐付けは、コロナ自粛に伴う増税準備!【後編】 2020.07.01 https://youtu.be/B8iTRnNncKQ 幸福実現党党首 釈量子 ◆「財政出動から大増税」はいつか来た道 前編では、マイナンバーと口座の紐付けの危険性を述べました。後編では、話を増税に戻します。 「コロナ後の増税」をさらに予感させるのが、政府の専門家会議に入った「経済専門家」です。その顔触れは、「増税による財政均衡」を主張する人たちです。 このうち、小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹と、大竹文雄大阪大学大学院教授は、東日本大震災のあと、「復興増税」を提案した人物でした。 小林慶一郎氏は、「災害を受けて国民の結束が高まり、復興支援への合意が得られやすい現在は、政治的には増税の好機である」と訴えています。 また、大竹文雄教授は、さらに「基礎年金を消費税で全額賄う」ことを提唱しています。基礎年金を全額消費税で賄うとすると、それだけで消費税は18%に跳ね上がるそうです。 「復興増税」は、今もなお私たちの収入から引かれ続けていますが、「コロナからの復興」にも増税ということになれば、ダブルで「復興税」が取られる可能性もあるわけです。 ◆増税の「負のスパイラル」 他にも、「減税措置や優遇税制をやめ、事実上の税金である社会保険料を上げる」という形での増税も考えられます。 5月29日に成立した「年金改革法」も、従業員500人以下の中小企業への事実上の「増税」と言えるわけで、「コロナで免除してもらいたい」という声は多数あります。 さらに驚くのは、「コロナ防止」を名目とした増税案がもう出てきていることです。 それが「交通税」です。東京大学准教授の植田健一氏は日経新聞電子版で、「高速道路や鉄道、航空機といった交通手段に関し、例えば2020年度中だけでも、一定程度の税を課すのはどうだろう」と提言しています。 「首都圏などの地方自治体は期間限定で、飲食店などでの消費へ新税を導入する余地もあろう」と、塗炭の苦しみから必死に立ち上がろうとしている民間に対して、あまりの仕打ちです。 今回のコロナ感染者の多くは「医療施設」で確認され、市中感染とは関係がありません。 人々の恐怖心をあおり、人為的に、人々の行動を抑制しれば、経済的に苦しむ人が増え、給付金などの政府のサポートを求める人が増え、将来の増税につながる。こうした「負のスパイラル」に陥りつつあります。 ◆減税で経済を活性化 政府は「取れるところから取る」と言う発想で血眼ですが、むしろ、今行うべきは減税です。 ドイツは、期間限定で日本の消費税にあたる「付加価値税」を3%減税しました。食品にかかる軽減税率も2%減税です。 アメリカのトランプ大統領も、コロナからの復興を目指して、給与税の年内免除と、7.6%の減税を主張しています。 日本も、消費税を5%に恒久的に減税すると共に、年内だけでも法人税、固定資産税を減免すれば、景気刺激策としても、雇用維持の意味でも、効果が高いと言えます。 ◆コロナから復活する本道とは すでに、三次補正を求める声も上がっています。事業を継続させ、雇用を守ろうと努力する人たちに対して、スピーディな支援は不可欠ですが、永遠にこれは続きません。 そもそも現金給付は、一生懸命額に汗して国民が働いた血税です。営業の自由を奪い、仕事を奪い、人為的に経済を停滞させ、「給付金を大盤振る舞いして増税する悪循環」をやめようではありませんか。 「給付がもらえるなら働かなくていいじゃないか」という声もありますが、言葉を換えれば、政府の「補助金」に頼ることは、政府の奴隷になるということです。 補助金行政の癒着の温床にもなっています。「補助金をもらう代わりに、業界ごとに票を取りまとめる」という政治が続いてきたわけです。 そういう「補助金」を出すよりも「減税」です。減税は年齢や業界に関わらず、隅々まで行き渡る公平で平等な経済政策です。 日本の方向性としては、「自由の大国として繁栄する国づくり」を目指すべきです。 コロナ危機で、どさくさまぎれに人間の生き甲斐でもある仕事を奪って、「国がお金を払えばいいじゃないか」とか、変な方向に政治が流れないように注意すべきだと思います。 危機の時代だからこそ、自由主義市場を維持して、政府の介入に目を光らせる必要があることを今強く感じています。 すべてを表示する