Home/ 2019年 November 2019年 November 訪台レポート 台湾有識者や議員が日本に期待すること 2019.11.28 本日は、「訪台レポート 台湾有識者や議員が 日本に期待すること 」をお送りいたします。 (広報本部) 訪台レポート 台湾有識者や議員が日本に期待すること https://www.youtube.com/watch?v=hxxqzH4_zuw 幸福実現党 幹事長(兼)選対委員長(兼)政務調査会長 江夏正敏 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆台湾訪問の目的 10月末、幸福実現党の地方議員団有志とともに台湾を訪問し、日台友好のため台湾のシンクタンク、陳水扁元総統の元高官、親日の文化人の方々と、さまざまな交流、懇談、意見交換を行いました。 最近、中国の空母が台湾海峡を堂々と通過しましたが、中国の脅威に対して日本と台湾の絆を深めることが今回のメインテーマです。 ニューヨーク・タイムズが、中国の内部文書をリークし、習近平主席が「独裁の仕組み」を活用して、ウイグルに対して「情け容赦は無用」の全面闘争を指示したと報じています。 チベット、ウイグル、香港も大変な状況ですが、中国の脅威は台湾にもやってくることを見込んで、自由主義、民主主義陣営としての絆を深めるために訪台した次第です。 ◆中国との「平和協議」の危険性 中国は、台湾を国際関係から孤立させようとしています。現在、台湾と国交のある国は、だいぶ少なくなり15カ国にまで減りました。 今回お会いした某シンクタンクの李明峻(り・みんしゅん)氏はこんなことを言っていました。 来年1月の台湾総統選で、国民党は「中国と平和協議を結ぶ」という公約を掲げています。 実はチベットやウイグルも「平和協議」を結んでから、中国の一部とされてしまい、いまは大変な状況になっています。 台湾も「平和協議を結ぶことはいいことではないか」と思うかもしれませんが、これが危険なのです。 ですから、李明峻氏は来年1月の総統選の結果次第では台湾が中国に飲み込まれるかもしれない状況に警鐘を鳴らしています。 そして「アメリカの台湾関係法のようなものが日本であればありがたい」と要請されました。 ◆日台の絆を深めるために また台北市議の江志銘(こう・しめい)氏は、このように言っていました。 「日本の国会が安全保障協定の決断をしてくれたら台湾は安全です。日台友好や安保協定締結に向けて働きかけてくれるとありがたい。」 しかし日本政府は中国の顔色を伺って、台湾との関係を正面から取り組むことを避けています。 なぜかと言うと、戦後、大陸の中国と国交を回復するにあたって、日本が一方的に台湾との国交を断絶した経緯があるからです。 国交がないため、日台関係は民間同士の交流になっており、極めて脆弱な関係にあります。 ◆幸福実現党の提言 幸福実現党は、日本の国内法で条約でなくてもいいのでアメリカの「台湾関係法」のようなものをつくるべきだと提言しております。 さらに自由貿易協定(FTA)の締結です。経済交流が盛んになると政治的な結びつきも強くなります。 そして将来的に正式な国交回復は当然としつつ、台湾を独立国として国連の加盟を後押しすることを政策に掲げています。 とはいえ、一足飛びにそこまではいかないことは我々も台湾も承知しています。 台湾の駐日大使に当たる謝長廷(しゃ・ちょうてい)氏は、日本のホテルで開催した国慶節で次のように言っていました。 一つ目、地方自治体との交流を活性化したい。 二つ目、民間の交流をもっと活性させたい。 三つ目、災害があったらお互いに助け合いましょう。 東日本大震災の際には台湾から多くの義援金が届きました。台湾の方は、日本にこれだけの思いがあって、日本が困った時には助けようとしているのです。 それを日本は無下にしてはいけません。台湾は本当に謙虚で日本の立場もわかるから、まずは地方自治体からやりましょうと言っています。 ◆自由・民主・信仰の価値観を世界に 私たちは、自由・民主・信仰という価値観が世界に広がっていくことが非常に大切だと考えています。 今、その最前線が香港です。もし万が一、中国の前に香港が陥落した場合はその最前線は台湾になります。 台湾も中国は虎視眈々と狙っています。 それでも、もし万が一にも台湾が陥落したら、次に中国は尖閣、沖縄に確実に来ます。 香港、台湾で自由主義・民主主義・信仰・宗教的自由という価値観のある場所を確保しないと日本もアジアも危なくなります。 そして独裁国家中国が東アジアを席巻し、世界を席巻したら世界が暗黒になるということです。 私たちはそれを危惧しており、台湾だけじゃなく香港も含めて支援していきたいと思っております。 米議会は香港デモ制圧に黙っていない。日本からも声を! 2019.11.18 本日は、「米議会は香港デモ制圧に黙っていない。日本からも声を! 」をお送りいたします。 (広報本部) 米議会は香港デモ制圧に黙っていない。日本からも声を! https://www.youtube.com/watch?v=czByXfPrW_8 幸福実現党 党首 釈量子 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆香港情勢が急展開 ここ数日で、香港情勢が急展開しています。 11月4日、習近平主席は、香港の林鄭月蛾長官に「高い信頼を寄せている。暴動を止め、秩序を回復することが最も重要な任務だ」と期待を寄せました。 そこから、一気に弾圧が強化され、11日には、21歳の男性が警察に実弾で撃たれました。 翌12日、香港警察は、香港中文大学を襲い、催涙弾を2千発以上も打ち込み、14日には、香港理工大学に向けて催涙弾を発射しています。 香港警察は、「大学が火炎瓶の製造拠点や犯罪者の隠れ蓑になっている」と非難し、取り締まりを強化しています。 ◆香港デモをテロに仕立て上げる北京政府 北京政府は、香港デモを「テロ」とレッテル貼りし、鎮圧を正当化するために、変装させた武装警察を潜り込ませ、デモ活動を過激に見せていると言われています。 例えば、最近、プロテスターらしい男性が口論の最中、相手に火をつけ、火だるまにさせる動画が拡散されました。 この動画について、香港で取材を続けているアメリカのジャーナリスト、マイケル・ヨン氏は、「フェイク」だと断言しています。 彼は、その根拠として、(1)動画の出元は? (2)被害者の名前は誰なのか (3)治療を受けた病院などの重要な情報が一切明らかにされていないといったことを挙げています。 もちろん、真相はわかりませんが、残念ながら香港警察に公平な調査を担保することができないことです。 警察が北京政府と一体化している今、共産党の常套手段には注意が必要だと思います。 ◆リーダー不在の活動に求められるもの 香港のプロテスターたちのルールの一つに「使用対等武力」というのがあります。「脅威に見合うだけの武力以外用いてはいけない」ということです。 しかし、最近は「報復」という言葉を使い始めています。 リーダー不在の活動の難しいところもあるのだと思いますが、国際的な支援を広く得るためにも、キング牧師のようにもっと宗教性を高めたり、「暴力」対「暴力」の図式で報道させない工夫があってもよいのかもしれません。 ただ、現地は、そのようなことを言っていられない状況になってきているのも事実です。 ◆アメリカの香港市民を守る意志 そうした中、香港市民が一番待ち望んでいるのは、10月中旬、アメリカの下院を通った「香港人権・民主主義法案」です。 同法案の上院での採決はスムーズに進みませんでした。上院の院内総務マコネル氏が、法案の採決を後回しにしていたからです。 背景には、トランプ政権の対中貿易交渉があります。「第一段階の合意」を目指す過程で、マコーネル氏とトランプ政権の間で、何らかの話があったことも考えられます。 しかし、11月13日、マルコ・ルビオ上院議員とジム・リッシュ上院議員が、マコーネル氏との会談を行い、上院での法案採決を早く進めるように強く促したのです。 ですから、今後、上院では同法案可決に向けた動きが出てくるはずです。残すは、トランプ大統領のサインです。 香港の若者たちを守るためにも、トランプ大統領が一日も早くサインすることを望みます。 ◆日本も香港の民主化の支援を 香港民主活動家のマーティン・リー氏は、次に様に語っていました。 「香港の状況がどんなに厳しくても、どんなに自分の無力さを感じても、神は全能です。神は未来がどうなるかをご存知で、私たちを導いている。」 私も、同じように感じています。 日本は価値判断し、中国に「一国二制度の約束を守れ」と促し、守らないなら経済制裁に踏み切るべきです。 万が一武力鎮圧するなら、2万人の邦人保護のために避難の方法も検討すべきです。 国が動かないなら、各地の議会で「香港支持決議」を行うこともできるのではないでしょうか。 いま、一人ひとりが、できることを考える時です。 米国VS中国 ハイテク分野の攻防戦。中国が技術を奪う「6つの手法」とは? 2019.11.12 本日は、「米国VS中国 ハイテク分野の攻防戦。中国が技術を奪う「6つの手法」とは?」をお送りいたします。 (広報本部) 米国VS中国 ハイテク分野の攻防戦。中国が技術を奪う「6つの手法」とは? https://www.youtube.com/watch?v=gCmyAQdliwQ 幸福実現党 党首 釈量子 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆中国が技術を奪う「6つの手法」とは 前回は、米中貿易交渉は進んでいるけれども、あくまで「第一段階の合意」に過ぎない、知的財産や技術を巡る交渉はこれからだ、という話をしました。 そこで今回は、中国がどのような手法で、アメリカの知的財産やハイテク技術を盗もうとしているのか。そして、アメリカはどのような対策をしているのか、についてお話したいと思います。 中国は「孫氏の兵法」の国なので、その手法は多岐に亘りますが、6つのカテゴリーに分けて説明したいと思います。 (1)中国企業によるアメリカ企業への直接投資 中国が投資を強化している分野は、人工知能(AI)と半導体です。 半導体の分野では、2013年から2016年の4年間で、27以上のアメリカ企業に投資しています。 人工知能(AI)の分野では、2010年~2016年の7年間で、51以上のアメリカ企業に投資しています。 2016年には約5兆円ものアメリカ企業への投資がありましたが、その後、トランプ政権が外国投資の審査を強化し、2018年には年間約5300億円まで減っています。 (2)中国企業や中国系ファンドによる、ベンチャー企業への投資 先進的な技術を開発しているベンチャー企業で、上場前の世間に知られていない初期段階で投資を行っています。 昨年12月、ファーウェイのCFOである孟晩舟氏がカナダの空港で逮捕されましたが、同日、スタンフォード大学の物理学教授の張首晟氏が大学の敷地内で自殺しました。 張氏はノーベル物理学賞候補にも挙がっていたほどの天才で、中国政府の支援を受けた「ダンファキャピタル」の創業者で、人工知能(AI)などの分野で、有望なベンチャー企業を探し出す「目利き」の役割をしていたようです。 対してアメリカは、2018年8月、トランプ政権が「対米外国投資委員会(CFIUS)」を改革し、ベンチャー企業への外国投資も厳しい審査対象になりました。 (3)外国企業が中国に進出するときに合弁事業を強いる 中国に外国企業が進出するためには地元企業との合弁事業しか方法がない場合があります。 例えば、アメリカ半導体大手アドバンストマイクロデバイズ(AMD)は、多額の債務で悩んでいた頃、中国の「中科曙光(中国のスーパーコンピュータ大手)」がAMDとの合弁事業を持ちかけました。 「中科曙光」は念願の半導体技術を手に入れ、その後、「次世代スーパーコンピューター開発」で成功しました。 現在そのスパコンの桁外れの計算力が軍事転用され、「核兵器」や「ミサイル防衛」「暗号」などのシステム開発に利用されていると言われています。 これに対してトランプ政権は、今年6月、「安全保障」を理由に、「中科曙光」もブラックリストに入れ、アメリカのハイテク技術を利用できないように禁輸措置をとりました。 (4)ライセンス契約 中国政府は、アメリカ企業にライセンスを与える代わりに、技術供与を求める、ということです。 例えば、中国に工場を新設するには、当局のライセンス、許諾が必要です。しかし、この申請の手続きをするなかで、外国企業には、詳細な商品情報や製造プロセスの機密情報を提供するよう、強いられることがあります。 (5)サイバースパイ活動 あるシンクタンクの調査によると、中国の国家ぐるみのスパイ活動によって、アメリカは年間2兆円から3兆円の損害を受けたに等しいと言われます。 2018年10月、アメリカの法務省は、GE航空や他の航空会社から、サイバースパイ活動で企業秘密を盗んだことを理由に、中国の国家安全部の役人を起訴しました。 (6)高度人材を確保することでハイテク技術を盗む 2006年より「111プロジェクト」が始まりました。世界のトップ100の大学や研究機関から、1000人以上を中国に招き、100の研究チームを作ると決めました。 これは、「海外人材呼び戻し」では対象にならない世界のトップ頭脳を獲得しようとするもので、その後、2009年までに、ノーベル賞受賞者39人、学者591人を集めて、研究させていたとされます。 2008年12月には、「千人計画」が始まりました。2014年半ばまでに、4000人以上の海外で博士号を取得した高度人材を中国に招聘しました。 また、中国はアメリカとの人材交流も上手に活用し、ある報告書によると、2008年以降2500人以上の人民解放軍の科学者や技術者が、アメリカの大学に行き、中国の軍事力の向上を助けてしまっています。 しかし、2018年6月、トランプ政権は、ハイテク分野を学ぶ中国人大学院生の滞在ビザを1年に制限するなどの対抗措置をとりました。 ◆日本のハイテク技術を守れ トランプ政権はアメリカの「安全保障」と「経済的繁栄」の両面から「ハイテク技術」を守ることを考えていますが、実は日本技術も、狙われています。 日本の軍事転用できるような技術を、中国が奪いに来ています。日本も、守るべき国益をしっかり守り抜こうではありませんか。 そして、アメリカと共に、アジアの自由と平和に貢献していくべきだと思います。 日本、米国、英国 保守とリベラルの違いとは?【後編】 2019.11.10 本日は、「日本、米国、英国 保守とリベラルの違いとは?【後編】」をお送りいたします。 (広報本部) 日本、米国、英国 保守とリベラルの違いとは?【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=jQMHeuD7jWg 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆「保守」の概念を変えたレーガン大統領 前編では、リベラルの概念が変わったことを述べましたが、その対立軸にある保守の概念も変わってきました。 それは1980年代、共和党のロナルド・レーガン大統領の時です。 この時に、「保守は、小さな政府」という理念を打ち出します。当時の保守勢力としては、まったく新しい理念でした。 民主党が「大きな政府」であるなら、共和党は「小さな政府」。ここからアメリカの保守、共和党は「小さな政府」を掲げる政党になっていったのです。 ここで共和党が保守で「小さな政府」、民主党がリベラルで「大きな政府」という対立構図が生まれました。 ◆「小さな政府」を掲げたサッチャー首相 19世紀のイギリスは保守党と自由党の対立構図でしたが、自由党は、その後小さくなり今は労働党です。今は、保守党と労働党が二大政党です。 保守党が保守で「小さな政府」、労働党がリベラルで「大きな政府」です。 イギリスにおいてアメリカと同じ概念をつくったのがマーガレット・サッチャーです。 サッチャー首相は、レーガン大統領と同じように「小さな政府」を前面に出して、これを具体的な政策にしました。 ◆日本の政党の対立軸 日本の政治には、先に説明した通り対立軸はなく、自民党も野党もリベラルです。そして「大きな政府」です。 日本には保守で「小さな政府」にあたる政党がありません。 結局、「大きな政府」は税金を無駄遣いし、お金をばらまくことによって票につなげようとする。そうなると政府にぶら下がる民間の勢力が増えていくわけです。そうして民間の力がそがれていくのです。 経済学者ハイエクは「資本主義の精神」ということを説きました。 「資本主義の精神」とは、「政府にぶら下がるのではなく、自助努力で創意工夫して利益を上げる。この精神があって初めて経済というのは繁栄に向かうのだ」と。 政府がやるべきことは、資本主義の精神を盛り上げることであって、これを削ぐことではない。だから「大きな政府」はいけないと説いたわけです。 その意味で言うと、アメリカのトランプ大統領によって行われている政策は減税によって民間の力を引き出すことにあります。 ◆日本的共和党の姿 もしアメリカの共和党を日本に当てはめるとどうなるでしょうか。 アメリカの共和党は共和制を推進しているわけではありません。 日本は御皇室の存在があります。御皇室をヨーロッパの国王と見るべきかどうかは、また別の議論ですが、日本は共和制ではありません。 つまり、御皇室を廃止して日本を共和制にするということではありません。 そうではなく、あくまでも目的は「小さな政府」です。 日本は、保守とリベラルの対立軸で見ると、自民党も野党もリベラルの位置にあり、保守のポジションがありません。 であるならば幸福実現党こそ、保守のポジションに立つべきなのです。 今の日本の国会には、アメリカの共和党にあたる保守政党が空席です。ここがないと本当の意味で日本の政治の中に対立軸ができないのです。 幸福実現党こそ、日本の共和党にあたる。このことを皆様に共有させていただきたいと思います。 日本、米国、英国 保守とリベラルの違いとは?【前編】 2019.11.09 本日は、「日本、米国、英国 保守とリベラルの違いとは?【前編】」をお送りいたします。 (広報本部) 日本、米国、英国 保守とリベラルの違いとは?【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=jQMHeuD7jWg 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆日本には保守政党がない 今の日本は安倍自民党が出している政策と野党が出している政策にあまり差がなく、対立軸がありません。 政治の対立軸とは、「保守」対「リベラル」で、一番わかりやすいのがアメリカの政党です。 アメリカは、共和党が保守で、民主党がリベラルになります。 日本では、自民党が保守、野党がリベラルかというとそうではありません。 「最低賃金を上げる」とか、「社会保障」とか、「教育の無償化」とか、野党がやるべきリベラルの政策を自民党がやっています。 結局、日本の政党には対立軸がなく、日本にはアメリカの共和党のような保守政党がないのです。 ◆保守とリベラルの違い 保守とリベラルの違いは、「国家」と「個人の自由」のどちらに重きを置くかにあります。 この保守とリベラルの違いが出てきたのは19世紀のイギリスの政治からです。 19世紀のイギリスには保守党と自由党という二大政党がありました。 保守党が「保守」、自由党が「リベラル」です。 保守党は、「国家が個人の自由より大事」。国の歴史とか伝統を守ることが大事で、他国から自分の国が攻め込まれたら個人の自由もなくなるので、まず「国家が大事」という考えです。 対する自由党は、「個人の自由が国家よりも大事」。国家によって個人の自由が奪われることは絶対に許さないという考え方です。 ◆産業革命で変わったリベラルの概念 しかしリベラルの概念は、時代が進み変わってきました。 イギリスで産業革命が起き自由主義が進んでいく中で、貧富の格差が大きくなりました。その貧しい人たちを救う動きが社会に出てきたのです。ここから「社会主義」が生まれます。 社会主義を簡単に言うと、「個人の自由ではなく平等を重んじる」ということです。そのため貧しい人たちの面倒を政府が見るためには、どうしても「大きな政府」になっていきます。 そして経済は「統制経済」になり、「増税」を行うようになります。これが、社会主義が「大きな政府」になる理由です。 こうしてリベラルの概念は、「個人の自由」ではなく「平等」を重んじる方向に変化したのです。 ◆ルーズベルト大統領が変えたリベラルの概念 世界大恐慌のアメリカでは30%を超える人たちが失業者になりました。この時の大統領がフランクリン・ルーズベルトです。 ルーズベルト大統領は民主党ですので、立場としてはリベラルですが、ニューディール政策は、「国家が経済を統制」する典型的な「大きな政府」に向かう社会主義政策です。 この時に、「個人の自由」よりも「国家」が上に行きました。 本来、リベラルは「個人の自由」が大切だったはずですが、ルーズベルト政権の時に、特に貧しい個人を救うために「政府」の方が大事だというふうに変わりました。 これがアメリカのリベラルの概念は変わりました。 (つづく) 小さな政府で成功した日米の事例とは?【後編】 2019.11.08 本日は、「小さな政府で成功した日米の事例とは?【後編】」をお送りいたします。 (広報本部) 小さな政府で成功した日米の事例とは?【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=QVLc59tI2w8 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆日本のPPPの例 前回、アメリカのサンディ・スプリングスのPPPの例を紹介しました。日本はPPPが遅れているのかというとそうでもありません。 例えば、豊島区の区役所は、税金ゼロで造られた新しい区役所です。区役所の上はタワーマンションです。 山口県にある美弥社会復帰推進センターは、日本初の民間の経営による刑務所です。 そして日本のPPPの事例の中で、今とっても注目されているところが岩手県の紫波町です。 ◆岩手県の紫波町の例 岩手県の紫波町は、県庁所在地の盛岡市の南に位置し、人口はわずか3万人です。 地方は人口が減り、大きな産業もなく地価は下がり、税収もどんどん減っています。 紫波町は、町が持っている唯一の強みである町有地を生かしてプロジェクトを始めました。それが、オガール・プロジェクトです。 民間の経営者グループに、放置されていた町有地10.7ヘクタールの活用を依頼し、今では3万人しか住んでいない町に、なんと年間80万人集まるようになりました。 まず、経営者グループは綿密な調査を行い、バレーボールの巨大なマーケットに注目しました。 例えば長野県の菅平にはラグビーの聖地があり、夏になると、実業団や大学、高校のチームが夏合宿に来ます。 バレーボールはそういう聖地がなかったのです。バレーボール人口は実はすごく多く、プロバレーボールから春高バレーがあり、そしてママさんバレーとチームは全国にあるわけです。 バレーボールは、床が特殊な樹脂でいないと国際試合ができず、日本では、そういうバレーボール専用の体育館がまだありませんでした。 紫波町はバレーボール専用の体育館を日本で初めて造りました。それ専用のホテルも造ったことで年間80万人が集まるようになったのです。 この地域では農産物の直販場の売り上げも年間4億円になり、地価が2年連続で上がるという、地方であり得ないことが起きたのです。 ◆PPPを成功させる条件 ただ、PPPで民間になんでも委託してうまくいくかというとそうではありません。必ずリスクがあります。 そのリスクマネジメントを行うのが自治体の仕事です。 先に紹介したアメリカのサンディ・スプリングスは5つの民間企業に行政サービスを委託していすが、1年ごとに仕事の成果の再評価をしています。 評価次第で会社をいくらでも入れ替える。ここに官民のパートナーシップがあります。そのパートナーシップは、「利権」でも「馴れ合い」でもありません。 それは地元住民の厳しい監視の目にさらされながら緊張感のあるパートナーシップです。だからこそ成果がでるのです。 ◆PPPを国ベースで実現するには PPPは、今のところアメリカでもヨーロッパでも、そして日本でもそうですが、「地方自治体ベース」です。 これをアメリカだと連邦政府レベルでやろうとしているのがトランプ政権です。 この「小さな政府」「安い税金」「PPP」を今の日本こそ、実現すべきではないかと思います。 政治評論家の方々からは、景気が悪いときに「小さな政府」なんかにして、政府までお金を使わなくなったら、どうやって景気を良くするんだと大体言われます。 しかし景気を良くするために、税金さえ使えばいいのかというとそうではありません。 「小さな政府」で税金の無駄遣いはさせないというポリシーがあるからこそ、大胆な知恵を使ったプロジェクトができるわけです。 私たち幸福実現党は、「小さな政府」による税金の無駄遣いをさせない政治を強く訴えています。 小さな政府で成功した日米の事例とは?【前編】 2019.11.07 本日は、「小さな政府で成功した日米の事例とは?【前編】」をお送りいたします。 (広報本部) 小さな政府で成功した日米の事例とは?【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=QVLc59tI2w8 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆税金を使わない大規模なインフラ投資の実現 これまで、「なぜ小さな政府なのか」について述べてまいりましたが、今回は、「小さな政府」をアメリカの具体例で説明致します。 前にもアメリカの減税推進団体ATRの会長であるグローバー・ノーキストという方を紹介しました。 数年前に、アメリカの大統領選挙やっている時に、ワシントンでノーキスト会長と話す機会がありました。 トランプとクリントンが一騎打ちをやっている時で、その時は間違いなくヒラリーが勝つだろうと言われていた時です。 ワシントンにいる政治関係者のほとんどが、共和党の人でもトランプを否定していました。 しかし驚いたことに、ノーキスト会長は「間違いなくトランプが勝つ」と言い、その理由は、「減税を言っているのはトランプだけだから」というものでした。 そこで私は、ノーキスト会長に次のように質問しました。 「トランプは減税を公約にしながら、交通インフラに大規模な投資をすると言っています。大規模なインフラ投資は、間違いなく増税につながるので、これでは共和党の支持が得られないのではないですか」と。 これに対して、ノーキスト会長は、「トランプが言う、大規模なインフラ投資というのは税金投入ではない。だから増税にはならない」と答えました。 では大規模なインフラ投資をするための、そのお金はどこから出てくるのでしょうか。 ◆ゴールデンブリッジの例 大規模なインフラ投資を税金を使わずに実現した例として、サンフランシスコのゴールデンブリッジがあります。今ではゴールデンブリッジはサンフランシスコで一番人気のある観光地になっています。 ゴールデンブリッジの工事は1933年に始まり1937年に完成しました。この時代は世界大恐慌で、1929年から、なんと10年以上も景気低迷が続いた時期です。 この時期に、サンフランシスコのある銀行と民間企業4社が、民間の資金だけで造ったのがこのゴールデンブリッジです。この時、自治体は補助金を一銭も出しませんでした。 官は許可をだし、民間企業だけで橋などを造ることをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)と言います。日本語で言うと「官民連携」です。 これ以来、アメリカでは官民が連携(PPP)して、必ずしも税金を投入しないで、橋や道路を造ったりするようになりました。 インフラへの大規模投資に、一体誰が資金を提供したのか。それが例えば次のようなところです。 アメリカ最大の公的年金基金であるカリフォルニア州の職員退職者年金基金、通称カルパース(CalPERS)です。 世界最大の公的年金基金は日本の公的年金基金なのですが、世界的に有名なところはこのカルパースです。 カルパースのような大手年金基金は、国1個分くらいのお金持っており、株とか債権だけではなく、大規模なインフラにも投資しています。インフラ投資は長期運用ができて、着実にリターンがあるからです。 このように橋や高速道路などニーズがあれば、PPP による税金を使わないインフラ投資が実現できるのです。 ◆サンディ・スプリングスの例 このPPP で、アメリカで特に有名になったのが、アメリカ南部のジョージア州アトランタの北側にあるサンディ・スプリングスという市です。 この地域は特に土地の税金が高かったため、市民たちは独立して民間で町を運営すると決めました。 どんな町になったかというと、市長は1人、市会議員は6人。市の職員はわずか9人です。人口は9万人ですが、昼間の人口は大きな企業があるので20万人ぐらいになります。 ちなみに日本は人口9万人の市だったら、市会議員は20人くらいではないでしょうか。 同じ規模の市であればコストは約5000万ドルかかるところですが、サンディ・スプリングスは5つの民間企業に行政サービスを任せ、そのコストが1700万ドル。わずか3分の1です。市が直接行っているのは警察と消防署ぐらいです。 だから安い行政コストで運営でき、かつサービスのクオリティはものすごく高いわけです。 その結果、この街には全米だけでなく世界中の地方自治体の人たちが視察にやってきています。 (つづく) 中国が3兆円の半導体ファンド新設。米中ハイテク覇権争いは新局面へ 2019.11.04 本日は、「中国が3兆円の半導体ファンド新設。米中ハイテク覇権争いは新局面へ」をお送りいたします。 (広報本部) 中国が3兆円の半導体ファンド新設。米中ハイテク覇権争いは新局面へ https://www.youtube.com/watch?v=mtHwAFRBPAM 幸福実現党 党首 釈量子 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆「米中ハイテク覇権戦争」は終わらない 昨年3月から始まったのが米中貿易摩擦ですが、米中それぞれが関税をかけ続ける、応酬が続いてきました。 6月の大阪サミット後、閣僚級の話し合いが進み、「第一段階」の合意に至りそうだという報道が出ています。 その内容は、中国が4兆~5兆円(400~500億ドル)の農産物を輸入する代わりに、アメリカは10月に引き上げる予定だった関税を先送りする、というものです。 一見すると、米中の対立は緩和の方向に動いているように見えます。 しかし、あくまで「第一段階」の合意の段階で、「本丸」が控えているわけです。 ◆ハイテク分野で世界の覇権を目指す中国 その「本丸」が、AIやロボティクスなどの分野です。 10月25日、中国は約3兆円(290億ドル)規模の「国家半導体ファンド」を新たに設立しました。 5GやIOT、自動運転などの新しい産業、もしくは、高度な軍事作戦を行うためには、最先端の半導体が不可欠です。 ところが中国の技術は、インテルやサムスンに比べて数年遅れていて、中国は、半導体の輸入国だったわけです。 2018年、中国は半導体分野だけで33兆円以上(3120億ドル)を海外から輸入しています。 輸入してきた半導体を、これから設計から製造までを自前でやろうと腹を決めたわけです。 この「国家半導体ファンド」は、国内の半導体を育成し、ハイテク分野で覇権を握るという野望を持っていることがよくわかります。 ◆中国への技術流出を防ぐアメリカ トランプ政権はすでに対抗措置を取っています。 ファーウェイや、AI企業などを次々とブラックリストに入れて、禁輸措置を取り、これには、中国もかなり焦っています。 一例ですが、清華大学が経営する半導体企業「紫光集団」が2015年に、アメリカの半導体大手「マイクロン」を買収しようとしましたが、「CFIUS」が買収を阻止しました。 「CFIUS」(対米外国投資委員会)とは、外国からのアメリカ企業に対する投資が、国の安全保障に影響がないか調べて、規制する政府の組織です。 ◆日本の最先端技術 実は、日本にも、中国が欲しくてたまらない最先端技術を持っている企業がたくさんあります。 日本の半導体産業は、1980年代後半に世界シェアの50%以上を占めるほどの勢いでしたが、その後のバブル崩壊もあって、かなりの技術者が、韓国のサムスンにヘッドハンティングされました。 その結果、日本の半導体産業は国際的な競争力を失っていったわけです。 しかし日本は、もう一度巻き返し、半導体の製造装置を作る「半導体製造装置」の分野で世界をリードしています。 ちなみに、2018年は世界トップ15位のなかに、日本企業が7社入っています。日本人の強みである緻密で高度な技術で、国際的な競争力を持っています。 他にも日本には、アメリカの戦闘機に使われている、軽くて丈夫な炭素繊維や電子部品など、数多くの先端技術があります。 ◆日本の先端技術を守るためポイント こうした日本の先端技術を守るために、2つ提言致します。 一つ目は、経済と安全保障を分けて考えてはいけない、ということです。 ノーベル賞の生みの親であるアルフレッド・ノーベルは、「すべての新技術は軍事転用される」と言いました。 蒸気機関から戦艦が生まれ、エンジンから戦闘機が生まれ、インターネットはミサイルに応用されました。今後は、AI技術がAI兵器に転用されるでしょう。 貿易や経済活動は重要ですが、安全保障にも目配りが必要です。 二つ目は、日本への投資について、安全保障の観点から審査する必要があると思います。 アメリカのCFIUS「対米外国投資委員会」を参考に、日本も「外為法改正」で対応を進めていますが、後手に回っているのは間違いありません。 CFIUSは、企業への投資だけではなく、土地などへの投資も審査しています。 沖縄や北海道では中国人による土地の爆買いが問題になっていますが、安全保障の観点から、アメリカと同じように審査する仕組みを構築すべきです。 日本も国際競争の中で勝ち残っていくためには、現在の最先端技術を守りつつ、研究開発にもっと力を入れ、新しい技術を開発しなくてはなりません。 なぜ増税しても財源が足りないのか?【後編】 2019.11.03 本日は、「なぜ増税しても財源が足りないのか?【後編】」をお送りいたします。 (広報本部) なぜ増税しても財源が足りないのか?【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=7am60ZTUV8s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆どんな国でも所得税は15%以下でいい 前回、経済を強くするためには政府はできるだけ規制や干渉をすべきではないことを申し上げましたが、規制や干渉の一番象徴的なものが「税金」です。 政府は税金によって民間をいくらでも規制できる。その税金こそ制限すべきであるとハイエクはこう言っています。 「どんな国でも所得税は15%以下でいいはず」だと。 ハイエクがかつて来日した際、当時の大蔵省の官僚に、「所得税は15%以下でいいはず、いや10%でいいはず」だと話したことがあります。 それに対しての大蔵省の官僚は、「国民の皆さんから取らせていただいたら、所得税10%は入りません。7%で結構です」と即座に答えたそうです。 今の日本のGDPが約500兆円で、GDPを日本の所得の合計の数値と考えたら500兆円に10%の税率だったら50兆円の税収があるはずです。 実際に所得税の税収は20兆円もありません。法人税を加えても35兆円くらいです。 ハイエクはこの時、「抜け道なしに税金を10%にすると、日本人がのびのびする」とも言っています。 抜け道とは、「控除」のことです。「控除」を止め、どんなお金持ちであっても10%しか取られない。 10億円稼いでいる人は、1億円の税金を払ったら、後は税務署がやってこない。もうお互いすっきりしているので、税務署が追ってくることもない。 そうすると、日本人が「のびのび」する。これが一番重要なことです。 ◆減税で「社会のムード」を変える ハイエクはなぜ、「小さな政府」にすべきだと言い続けたのか。その答えが「社会のムードを変える」ことです。 考えてみると30年前のバブルの時代は積極的で明るい社会のムードでした。 しかし、バブルがはじけてこの30年間、未来に対して希望を持てなくなってしまったというのが、今の「社会のムード」ではないでしょうか。 「社会の空気」と言ってもいい。この空気というものは目に見えませんが、しかし人々の心を支配し、人々の心を動かす最も強い力を持っています。 この「社会のムード」を変えて、日本人の心を自由にする、のびのびすることによって、日本の経済は真に復活するはずです。 ◆西郷南洲の遺訓――税金を少なくして国民生活を豊かに 明治時代の元勲西郷南洲の『西郷南洲遺訓』の中の13訓にこういう言葉があります。 「税金を少なくして国民生活を豊かにすることこそ国力を養うことになる。だから国にいろいろな事柄が多く、財政の不足に苦しむことがあっても、税金の定まった制度を守り、上層階級の人々をいためつけたり、下層階級の人たちをしいたげたりしてはならない」 この言葉は光り輝く真理だと思います。 金持ちや大企業を優遇すべきじゃないと言って、上層階級の人たちを痛めつけても社会は良くなりません。 ましてや消費税という庶民を痛めつける税金をどんどん上げ、下層階級の人たちをしいたげてもいいことは何もありません。 それでは、「社会のムード」は、ますます悪くなるだけです。 西郷南洲が言われた通り、税金の定まった制度を守って、どんなに財政が不足して苦しんでいるとしても、それは政府が努力して頑張るべきことです。 それを、ましてや国民にツケを回すというのはもってのほかです。 今こそ、この明治維新の精神に立ち返って、日本を「小さな政府」にすべきではないでしょうか。 なぜ増税しても財源が足りないのか?【前編】 2019.11.02 本日は、「なぜ増税しても財源が足りないのか?【前編】」をお送りいたします。 (広報本部) なぜ増税しても財源が足りないのか?【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=7am60ZTUV8s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆「税収の推移」からわかること 下記は、財務省のホームページに出ている税収の推移です。 一般会計税収の推移(財務省) https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf 30年前、日本の税収は60兆円ありました。しかしバブルがはじけた後、民主党政権の時代には38兆円ぐらいまで減りました。 その後、自民党に政権が戻ってから、昨年、約30年ぶりに税収が60兆円を超え、過去最高になったのです。 この税収の内訳を見ると非常に面白い特徴があります。 「30年前の税収60兆円」と「昨年の税収60兆円」は、金額としては一緒です。ただし内訳が全く違います。 30年前の税収60兆円は所得税と法人税で稼いでいました。消費税の税収はせいぜい3兆円、4兆円でした。 所得税の税収は、30年前は26兆円でしたが、今は20兆円を切っています。端的に言えば「日本人全体が貧乏になった」ということです。 法人税の税収は、30年前は19兆円でしたが、今は12兆円です。 バブルが崩壊して30年も経っているのに企業の納税額が下がっているということは、日本の「産業界全体も貧乏になった」ということです。 しかし唯一上がったのが消費税の税収です。 消費税の税収は、30年前はわずか3兆円、4兆円でしたが、今や20兆円です。今の日本の税収の稼ぎ頭と言ってもいいのが消費税です。 結局、「30年前の税収60兆円」と「昨年の税収60兆円」は、税収としては全く一緒ですが、個人と企業は貧しくなり、強制的に取られている消費税の税収で帳尻が合っているだけです。 税収は戻ったけれども日本経済は全然戻ってない、これをまず認識しなければいけないと思います。 もちろん法人税は減税されていますが、「減税されたから法人税の税収が減った」と、必ずしも原因結果の法則では言えません。法人税の税収が下がったのは確かです。 ◆与党も野党も「増税」 消費増税に反対している人たちは大企業と金持ち優遇ではないかと批判しています。 この消費増税に反対している人たちの主張は次のようなものです。 「消費税を少なくとも5%に減税せよ」 「そして、法人税を増税すべきである」 しかし法人税を増税しても効果がありません。実際には労働者の賃金が下がるだけです。 なぜなら、税率が上がった分を企業の経営者は、社員の人件費カットで対応しようとするからです。 野党の「消費税の減税」は個人的には賛成ですが、しかし「法人税の増税」には賛成しかねます。 結局は、実際にはどちらも増税だということです。 ◆政府による国民の奴隷化 前回も説明しましたが、政府にお金を与えたら、それを補助金に使って、結局自分たちの天下りのために利用するだけです。 政府が使えるお金は逆に限定して、税金を無駄遣いさせないということが「小さな政府」の発想です。 この「小さな政府」を提唱していた方が、ノーベル経済学賞を受賞したフリードリヒ・ハイエクで、代表的な著作が『隷従への道』です。 『隷従への道』とは「奴隷になる道」のことで、ハイエクは次のように言っています。 「政府による計画の行き過ぎは政府の権力を増大させる。その権力が経済を支配すると自由が失われ、人は奴隷と化してしまう」 そして、「経済を強くするには、国家はできるだけ規制や干渉をすべきではない」と提唱しています。 国家の権力が強くなってしまうと、経済に口出しをし始め、例えば民間の企業の経営者に対して「社員の働く時間は週何時間にしろ」とか、「何曜日は何時にみんな帰せ」だとか、経営者が決めるべきことを政府が決め始めるわけです。 その結果、その国の経済は確実に弱くなります。経済を強くするためには政府はできるだけ規制や干渉をすべきではありません。 (つづく) すべてを表示する 1 2 Next »