Home/ 2019年 March 2019年 March 「賃金」「労働時間」に国家は介入すべきか 2019.03.16 「賃金」「労働時間」に国家は介入すべきか 幸福実現党 山形県本部統括支部長 城取良太 ◆官製春闘は国家社会主義的 安倍首相就任から5年間続いた「官製春闘」が大きな転換点を迎えつつあります。 昨年5月に経団連会長に就任した中西宏明会長は国家介入型のベースアップ(ベア)に反発、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱等の世界的な経済リスクや、経営陣の「ベア疲れ」に配慮し、従来通りの自律的な労使交渉をベースとした春闘に転換を図りました。 その結果、各社におけるベアは前年水準を軒並み大きく割り込んでいます。 安倍政権はデフレ脱却を図る一環として、労使介入型のベアを実施してきた経緯がありますが、昨年度は「賃上げ率3%」といった異例の数値目標まで課しました。 ベア介入は財政負担を生まずに、国民に広くに好感を生むという政府の考えはあるでしょうが、「労使自治」という原則から考えれば、国家社会主義的である点は否めません。 それに対し、消費増税や不透明な景気動向に備えて、一度上げると極めて下げづらく、固定費増大につながるベアに慎重なのは、経営側として至極全うな考えだと言えます。 ◆労働時間を規制して生産性は高まるのか? さて、来月から「働き方改革関連法案」が施行され、多岐に渡って労働環境の変化が予想されますが、「官製春闘」と同様、現場感覚とはかけ離れた内容となっています。 その中心が「労働時間」に関する改革です。 今までは「36協定(労働基準法36条)」による労使合意があれば、どれだけ働かせても罰則(行政指導はあり)は科されませんでした。 これが4月以降、年間最大720時間の残業上限が法制化され、抵触した場合は企業側に6か月以下の懲役、または30万円の罰金が科されるようになります。 この規制の趣旨は、慢性化する長時間労働を国が取り締まることで、生産性を高め、過労死等の健康被害から労働者を守るという点にあるようです。 しかし現場からは、部署内での業務量の増加を管理職が吸い込まざるを得なくなり、本来のマネジメント業務が疎かになる事で、逆に生産性は低下するのではという心配の声はあります。 また、ある調査で60%を超える新入社員が「(一時的には)長時間になろうとも意欲的に挑戦したい」と答えている中、彼らの意欲と成長の機会を奪う結果にならないかという危惧もあります。 ◆労働時間を規制して労働災害は減るのか? 1か月80時間以上の残業が「過労死ライン」と呼ばれ、こうした残業が慢性的に続いた場合、発症との関連性は確かに強くなると統計的には考えられます。 一方、実際の労災支給の原因で最も多いのは「仕事量・仕事内容の大きな変化」と共に、「嫌がらせ、いじめ」、「悲惨な事故、災害の経験など」が同数程度挙げられ、一概に「長時間労働」が諸悪の根源とは言えないところもあります。 また、今回の改革で「産業医・産業保健機能の強化」がしっかり盛り込まれており、あえて労働時間を法律で規制せずとも、対応できるのではないかということも言えます。 2017年度の年間総労働平均時間の国際比較(OECD)を見ても、日本が1710時間なのに対し、アメリカ1787時間、イギリス1681時間、イタリア1723時間、韓国2024時間と、日本が飛び抜けて長時間労働という事実は決してありません。 このように、現場の実態と合わない、国による一律的な労働時間の「総量規制」の強化が、生産性の向上と労働者の健康を守ることにつながるのかは極めて疑問です。 ◆更なる労働時間の規制強化は日本社会に悲劇を招く? 「働き方改革」の中には、シニア雇用の促進や、一定以上の年収を得る知的労働者は労働時間規制の対象から除外する「高度プロフェッショナル制度」など、今後の日本経済にとってプラスになるものもあります。 一方、「同一労働同一賃金」のもと、正規・非正規の平等化を図ろうとする流れに関して、先進国で最も解雇規制が強く、雇用調整が難しい日本では、企業側から見た非正規採用のメリットを失わせ、逆に失業率を高めるとも考えられます。 日本経済が飛ぶ鳥を落とす勢いだった約30年前、欧米諸国から日本企業の労働時間の長さが不当競争、社会的ダンピングと難癖をつけられ、欧米先進国並みの年間1800時間を目標と強いられたのが、1987年の労基法改正であったことを忘れてはなりません。 「失われた30年」の発端の一つとなったのが、前回の法定労働時間の見直し(週48時間→週40時間)であったとしたら、今回の規制強化が日本経済に更なる悲劇を招く可能性もあるのです。 そもそも、労働時間一つとっても「残業は非効率だからさせない」「量が質を生むから長時間働ける人材が欲しい」など経営者の考えは様々で、それは労働者の立場からも同じはずです。 あるべき労働環境は一律に国が価値判断し、規制すべきものではありません。 企業と労働者の自由意思に任せた労働市場の創出こそ、「人財」「天職」との出会いを無数に生み出し、日本社会の豊かさと幸福感を最大化させる道ではないでしょうか。 政府は防災インフラ予算の拡大を 2019.03.14 政府は防災インフラ予算の拡大を HS政経塾8期生 加藤健太 ◆遅々として進まない、日本の河川整備事業 去る3月11日、東日本大震災から8年の月日が流れました。 震災で亡くなれた約2万人の方々に対し、心からのご冥福をお祈りするとともに、いまだに避難を続けておられる5万人を超える方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。 昨年2018年は、豪雪、噴火、地震、台風、豪雨などで死傷者が発生した災害が10件にものぼりました。その中でも、全国各地で237名もの死者数を発生させたのが「西日本豪雨」でした(参考:内閣府『平成30年7月豪雨による被害状況等について』)。 筆者の地元、岡山県もこの豪雨で被災しました。地元のボランティアに初めて参加した私は「なぜ災害でこれ程多くの犠牲者が発生したのか」を調べました。 すると、犠牲者が増大した要因のひとつが、行政のインフラ整備の遅さにある事が判りました。 今回の豪雨で氾濫した小田川と、この川が合流する一級河川の高梁川は100年以上前から台風や豪雨による氾濫が度々起きており、高度経済成長による工業用水の需要増も相まって、1968年、小田川と高梁川の合流地点付近の柳井原貯水池をダムに建て替える構想が立てられました。 しかし、当時の建設予定地は2つの自治体がまたがっており、片方の自治体は計画に猛反対しました。 その背景には、反対していた自治体に約630億円の振興事業を行うという約束がありました。そして、27年も後の1995年にようやく建設が容認されたのです。 ◆「何が」人の命を守るのか ところが、2002年にこのダムは建設中止となりました。 バブル崩壊に伴い、公共事業の見直しが進められるようになった事と、工業用水の需要が低下した事などがその理由です。そのため、肝心の水害対策のインフラ整備は振出しに戻ってしまいました。 しかも、その後の高梁川と小田川の合流地点を付け替える(合流地点を移動させる)整備事業計画は30年かけて建築されるというものでした。そして昨年夏、まさに「災害は忘れた頃に」やってきたのです。 今回の災害による被害は、各自治体の利害関係や、国の緊縮財政型の考え方(後述します)によって行政スピードが著しく阻まれたように思えてなりません。 戦後の高梁川は今回の豪雨を除くと11回もの氾濫を起こしており、そのうちの3回は小田川で発生したものです。 平均して約20年に一度程、氾濫が発生していることを考えると、30年もかかる整備計画では犠牲者の発生も予想できたはずです。 ダム建設などの公共事業が必要な理由は「コンクリートが人の命を守る」からです。建設が中止されず、完成していれば被害を食い止めることもできたでしょう。 ◆自民党の国土強靭化では不十分 今回取り上げたダム計画中止後の整備事業ですが、氾濫した小田川部分の工事にかかる総工費は約280億円でした。 しかし、平成29年6月の高梁川水系の河川整備計が変更された際の資料では、当時の付け替え工事部分の進捗状況が全くの手つかずであった事が判っています。つまり、付け替え部分の工事への予算は実質0円だったという事です。 そして、内閣府の推計によると、今回の西日本豪雨による中国地方での経済損失は、約6千億~1兆円と発表されました。中国5県で等分すると、1県当たり約1千億~2千億円となります。 中国地方では2番目に被害が大きい地域だったため、実際は等分した額よりは大きいと考えられます。 2014年に、安倍政権下では「国土強靭化プラン」が発表され、インフラ整備の推進も謳われていました。 しかし、実際のところ、返り咲いた安倍政権下での公共事業費は、民主党政権交代翌年よりも低く、自民党政権時代から削減されてきた額を上回ってさえいません 参考:国土交通省「公共事業関係費(政府全体)の推移」 http://www.mlit.go.jp/common/001270879.pdf 幸福実現党では、当初10年で交通インフラや防災インフラへの100兆円規模の投資をすることを政策として掲げています。自民党の国土強靭化ではまだまだ不十分なのです。 整備されたインフラにかけたお金は単なる消費ではなく、国家の財産として残りますし、ケインズ経済学における「乗数効果(政府が公共事業に使ったお金は、様々な企業や業者を通して社会を循環するため、景気を向上させるという効果)」も見込めます。 災害後に後手後手の対処や補償にお金を使うよりも、すでにある社会基盤を守り、発展させる事が政治家の使命と言えるのではないでしょうか。 日本人が目を向けるべき中国での宗教弾圧 2019.03.09 日本人が目を向けるべき中国での宗教弾圧 幸福実現党・山形県本部統括支部長 城取良太 ◆加速する「宗教の中国化」 3月5日、中国の国会にあたる全国人民代表大会が北京にて開幕しました。 その中で、寧夏回族自治区がイスラム系少数民族・回族の統制政策を進める方針を明らかにし、習主席が提唱した「宗教の中国化」を先駆けて実行する事を宣言しました。(3/7読売7面) 当自治区では、「ハラル」表記の中国語への書き換えやモスクでの国旗掲揚の強制、建築物の中国様式への建て替え等が行われ、共産党幹部の養成機関では、習主席が行った宗教に関する講話が必須科目となり、「宗教の中国化」を思想的に統一する動きも強化されています。 こうした「宗教の中国化」の成功例として、参考とされるのが新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の弾圧であり、両自治区は協定を結び、「新疆方式」を取り入れることで連携すると報じられています。 こうした動きはムスリムが多く住む甘粛省でも報告され、一気に中国全土に広がる可能性が高いといっていいでしょう。 ◆世界最大の宗教弾圧が行われているウイグル 約1100万人のウイグル族が暮らす新疆ウイグル自治区では、100万人を優に超えるムスリムが拘束、強制収容所で棄教やウイグル族の言語禁止、共産党礼賛教育が強制的に行われ、従わなければ男女問わず、過酷な拷問に晒されます。 収容所の外でも、AIによる顔認証、指紋・音声やDNAサンプルなどで個人の動向を徹底的に監視し、信仰心や教義知識、海外との繋がりなどを数値管理化し、「要注意人物」を割り出す仕組みが既に出来上がっています。 それに対し、昨夏から国際社会でも中国のウイグル弾圧を取り上げ始め、米トランプ政権も、ウイグル族に対する不当な人権侵害について、初めて本腰を上げる姿勢を見せました。 2月には民族的にも同じ「テュルク系」の国、トルコも恣意的な拘束や拷問、洗脳による同化政策を非難、収容所の閉鎖を求める声を国際社会に発しました。 ◆イスラム諸国が沈黙を続ける理由とは 一方、こうした弾圧に対して、同胞であるはずの他のイスラム諸国は沈黙を続けてます。 2月下旬、習主席は記者殺害事件で欧米からの猛烈な非難を受けているサウジアラビアのムハンマド皇太子を自国に招き、欧米による「内政干渉への反対」を表明、擁護する姿勢を示しつつ、経済関係の更なる深化を約束しました。 一方、オバマ政権以降、対米関係が悪化しているエジプトには、「ニューカイロ」と呼ばれる新首都建設やスエズ運河の拡張、エネルギー施設建設等で、IMFの融資を上回る規模のチャイナマネーが流れ込み、ここ数年で一層存在感を高めています。 イスラム過激派の動向に悩まされるシシ大統領としては、この点でも習主席と利害が一致しており、17年にはエジプトに留学中のウイグル人を拘束、強制送還するという弾圧の助長行為まで行っています。 大国を中心に、「一帯一路」構想に参画するイスラム諸国のほとんどが、同胞への弾圧に沈黙を守り続ける理由の一つが、「中国への経済的依存」を保ちたいためです。 また、もう一点は、「人権よりも社会的安定を優先」という点で中国と「同じ穴のムジナ」であり、非難が自国に跳ね返るリスクがあるからです。 2つの点で利害が一致する中国は、イスラム諸国と米国との隙間風が吹く間隙をぬいながら、関係を深め、同胞たちを弾圧しても、沈黙させるだけの影響力を持ってきたと言えるでしょう。 ◆現代の「防共回廊」のカギはウイグルにあり 関岡英之氏の『帝国陸軍知られざる地政学戦略』には、戦前日本がウイグル、回族とも関係を構築し、独立を支援して、反共親日国家を樹立し、中ソによる共産化の拡大を阻止しようとしたという「防共回廊」構想に関して見事に描かれています。 また、現代人よりも遥かに深いイスラムや当地域への造詣を持ち、彼らの独立という悲願を叶えようと一生を捧げた知られざる先人たちの情熱を再認識させられます。 そうした戦前の先人たちの大いなる智慧を継承し、日本はイスラム諸国で唯一、声を上げたトルコと、ウイグルや中国全土に広がるイスラム弾圧について本格的に連携を深めるべきではないでしょうか。 奇しくも、日本・トルコ間の経済連携協定(EPA)の合意に関連し、6月にはエルドアン大統領が来日する見通しとなっているため、そのチャンスを絶対に活かすべきです。 また、中国の「一帯一路」モデルとは一線を画し、技術力や教育力、メンテナンス等の強みを活かしたインフラ輸出等を更に推進し、中国からの脱・経済依存を図っていくべきです。 何より、幸福実現党は日本の政党として唯一、ウイグル弾圧について国連等、国際社会で堂々と訴えて参りました。 民族の誇りや信仰心を強制的に排除し、人間としての幸福感や自由を奪い、思考能力のない機械人間に変えていく―ジョージ・オーウェルの「1984」さながらの思想洗脳が、同時代に行われているという驚くべき事実を、日本の多くの人々に認識頂き、我々の言論に賛同頂けることを心から願います。 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【後編】 2019.03.07 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【後編】 幸福実現党 HS政経塾1期卒塾生 湊侑子 ◆追い込まれる台湾と日本の過ち 前編では、香港に対する中国の政治的圧力を述べて参りました。 同じような未来が、台湾にもおとずれてしまうのでしょうか。 実際に、台湾の現状は厳しくなっています。 蔡英文政権になった2016年5月以降、台湾とエルサルバドルやドミニカ共和国など5か国が断交しました。これらは、台湾断交と同時に中国との国交を持ちました。 台湾が国交を持つのは現在17か国のみであり、国際社会において影響力が小さな国ばかりです。 かつては国連において常任理事国であったその地位を中華人民共和国に奪われて以来、台湾は中国にどんどんと国際社会の隅に追いやられています。 中国の狙いは、台湾という国がこの地上に存在しなかったことにすることでしょう。日本はかつてその狙いに手を貸してしまい、台湾を裏切りました。 1972年、日中国交正常化の際に出された日中共同声明発表後の記者会見の場で、日中国交正常化の結果、 日華平和条約は存続の意義を失い終了した(台湾との断交)との説明を行ったのです。 台湾は日本の方針に強く反発はしましたが、覆すことはできず、日華平和条約に基づいて過去20年間外交関係を維持してきた台湾との国交が断絶しました。 日本は日中共同声明の中で、「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であること」を認め、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」を「日本国政府は、十分理解し、尊重」する、と明記したのです。 しかし本当は、そこまで急いで中国の主張を全面的に受け入れ、日中国交正常化をする必要はなかったのです。一方的に台湾との断交を宣言した結果、台湾は現在の立ち位置まで後退しました。 同じ日本人であったことがある台湾の人々を裏切ったことは、私たちの恥の歴史です。そしてその結果、台湾はこの地上から消えるかもしれない危機を迎えているのです。 日本は一度犯した過ちを、もう二度と繰り返してはならないと思います。 ◆自由と民主主義、繁栄、信仰を守る使命が日本にはある 台湾防衛は、運命共同体である日本人の義務であり、台湾の方々へ誠意を示す最後のチャンスであります。 今後ますますかじ取りが難しくなるであろうアジアの安全保障において、絶対に不可欠な要素が民進党の蔡氏の再選です。 来年1月の総統選への再選出馬を表明した蔡氏は、2月19日のTwitteで、「私の2300万人の仲間の市民のために、明るい未来を築きながら台湾の自由と民主主義を守ることは、戦うに値する目標だ」と綴っています。 私たち幸福実現党も全く同じ思いです。 台湾が数十年かけて手に入れた自由と民主主義、また香港の持つ経済発展のための智慧や繁栄、そして共産党が何よりも恐れる神仏への信仰を中国本土に入れることこそが、台湾2300万人のみならず、中国国民14億人を全体主義の圧政から救い出す道であり、アジアの防衛と幸福の基になるのです。 現在、香港においては中国本土に歯向かう動きをした政党は活動禁止になります。 中国本土では共産党の指導を受け入れ、追認する合法政党があるのみで、実質一党独裁が行われています。 非合法政党が設立宣言を行うと党首・党員が逮捕されるため、中国国外で設立を宣言するしかありません。 しかし中国本土において、自由と民主主義、資本主義による繁栄、そして信仰を掲げる政党の出現こそが、私たちの願いです。 台湾をはじめ、香港や中国本土の幸福の実現のために、私たちは使命を果たすつもりです。 (参考文献) 蔡英文 Twitter https://twitter.com/iingwen?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor Newsweek日本版 香港民主化を率いる若きリーダーの終わりなき闘い 2018年3月10日(土) https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9704.php THE SANKEI NET 香港の若者の半数が移民希望 政治対立に嫌気 https://www.sankei.com/world/news/190107/wor1901070006-n1.html AFPBB News 香港政府、独立派政党に活動禁止命令 返還後初 2018年9月24日 14:08 発信地:香港/中国 [ 中国 中国・台湾 ] https://www.afpbb.com/articles/-/3190680 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【前編】 2019.03.06 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【前編】 幸福実現党 HS政経塾1期卒塾生 湊侑子 ◆中国による台湾進攻は、現実的な問題 本年1月2日、習近平国家主席は北京の人民大会堂において、台湾の私有財産や信教の自由などは十分に保証されるとし、台湾同胞の利益と感情に十分に配慮する前提で、一つの国に異なる制度を認める「一国二制度」の具体化に向けた政治対話を台湾側に迫りました。 同日、この提案に対して、蔡英文氏は台湾の絶対多数の民意として、受け入れを拒絶すると会見で発表しました。 蔡英文は2月28日産経新聞の単独インタビューを受け、日本に安保対話を要請する趣旨の発言を行いました。 そしてその内容を、自身の公式ツイッターで日本語で発信しました。 蔡氏の発信を要約すれば、 (1) 他国(アメリカや日本)と協力して、台湾を中国からの攻撃(世論操作、偽情報、武力)から守りたい。 (2) 中国が言う『一国二制度』は断固拒否する。 (3) 国際社会にもっと台湾の存在を重視してもらいたい。 (4) 経済的に中国以外の国との繋がりを強くしたい(TPPに参加したい)。 (5) そのために、日本と話し合いがしたい。 という内容です。 普段、英語での発信を行う蔡氏にとって、日本語での発信は初めてではないですが、珍しいことです。 また基本的に一日に一投稿なのですが、これに関しては、日本語で四回・英語で五回、計九回連続で投稿を行っています。 中国による台湾進攻が現実性を持って迫っているのだと感じさせる内容です。 ◆幸福実現党は台湾を見捨てない 蔡氏の要請に対して、幸福実現党はすべて答えを用意しています。 (1) 日台関係に関する基本法を制定し、台湾との関係を強化します。台湾への武器供与を行うなど、安全保障面での関係も強化します。 (2) 台湾を独立国家として承認・国交回復を目指します。 (3) 台湾の国連加盟を後押しします。 (4) 日台FTAを締結して経済関係を強化します。 これが、2019年の現時点で幸福実現党が掲げるマニフェストの台湾に関する部分です。 中国共産党設立100周年の2021年、中国は台湾への武力侵攻を本気で考えています。 幸福実現党は台湾防衛に向けて、アメリカと共同作戦が出来るよう、国際標準的な集団的自衛権の全面的な行使を想定しており、憲法9条の改正とともに法整備を考えていることも、明記しています。 一方、自民党HPに掲載されている公約(最新版 自民党政権公約2017)には、「台湾」という言葉や台湾防衛に関することは明記されていません。 中国に配慮してのことでしょうが、経済力においても国際信用力においてもアジアの雄である日本の政権与党の公約としては残念です。 ◆台湾の未来、香港の今 台湾の未来は、香港の今を見れば想像できることです。 1997年にイギリスが中国に香港を返還した際、中国は本土と異なる政治・経済制度を今後50年間維持し、高度な自治を認めると約束しました。 しかし返還から20年も経たない2014年、普通選挙を求める香港市民による雨傘革命が香港・中国政府によって鎮静化させられ、その後は民主派市民の立候補妨害、当選後の議員資格はく奪・民主派政党の活動禁止と圧力が強まっています。 「1国2制度というより、1国1.5制度だ」 「その0.5もどんどん縮小し、完全に中国の支配下に置かれようとしている」 と雨傘革命リーダーの一人、黄之鋒は語っています。 香港中文大の香港アジア太平洋研究所は2019年1月7日、香港18~30歳の若者のうち51%が海外移住を考えているとの世論調査の結果を発表しました。 2017年の前回調査から5.5ポイント増加しています。 理由では「政治的な論争が多すぎ、社会の分裂が深刻」が25.7%で最多を占めています。これらの割合は今後ますます増えていくと予想されます。 次回、後編では、こうした香港の教訓を踏まえ、さらに台湾の現状と日本の役割について明らかにして参ります。 (つづく) トランプ氏が米大統領であることの価値を改めて考える 2019.03.02 トランプ氏が米大統領であることの価値を改めて考える 幸福実現党・山形県本部統括支部長 城取良太 先月末から今後の極東情勢を占う3つの象徴的な課題が立ち並びました。 ◆その1 米朝首脳会談 まず、2月27~28日ベトナムで行われた「米朝首脳会談」です。 初日、トランプ大統領は金正恩委員長と共に和やかなムードを演出していましたが、翌日は一変、昼食会と署名式は急遽キャンセル、事実上の物別れとなりました。 その理由は、米国側が求める「非核化」と、北朝鮮側が求める「経済制裁の解除」の中身に埋まらない隔たりがあったことです。 具体的には「完全なる非核化」へのロードマップ提示に応じて、人道支援等の見返りを準備していた米国側に対し、北朝鮮は約150か所の核施設のうち、寧辺(ヨンビョン)のみの廃棄と引き換えに、「経済制裁の全面解除」を強引に求めた点にあります。 会談結果に関し、北朝鮮に安易な妥協をしなかった点を評価する一方、「トランプ政権の準備不足だ」という論調もあります。 しかし、イランの核合意破棄で象徴されるように、国際世論を敵に回してでも実効性の低い協定には断固「NO」を突き付けるトランプ大統領と、交渉する準備が欠如していたのは、逆に金正恩委員長側だったのではないでしょうか。 有事間際だった1年前から見れば、考えられない進展であるのは確かですが、今回の決裂によって、「完全な非核化」に向けた米国側のプランの中に再び「軍事的オプション」が加わるといっても過言ではありません。 ◆その2 韓国の3.1独立運動 2つ目が、韓国で行われた「3.1独立運動」です。 今年は日本からの独立運動100周年を迎える記念日となり、反日一色となる事が懸念されていましたが、文大統領は例年以上に直接的な批判を控え、意外にも「(未来志向の)日本との協力強化」をも訴える内容でした。 レーダー照射問題を皮切りに、徴用工裁判、慰安婦問題を巡る天皇謝罪発言など、韓国の一方的なスタンスで冷え切っている日韓関係ですが、10月に行われる海上自衛隊の観艦式に、米国やインド、中国を招待する中、「謝罪しない限り(韓国の)招待はありえない」とし、日本も筋を通す姿勢を求めています。 また、ボルトン米大統領補佐官が訪韓を急遽中止した直後、中国軍機が防空識別圏に進入するなど、韓国メディアも「日米韓の安保体制が確固なら、こうした事態は起こらない」と深まる韓国の孤立を懸念する声を上げています。 更に、トランプ大統領の一貫した姿勢による米朝首脳会談の決裂が、文政権には大きな衝撃を与えました。 なぜなら、文大統領が目指す開城や金剛山等での南北協力事業は、事実上見通しが立たず、南北融和という看板も、有名無実化してしまうからです。 こうした背景から、一時的に反日の冷却化を意図とする演説内容だったかもしれませんが、文大統領が日韓合意どころか、日韓基本条約以前に戻ろうとする「過去志向」を持つ限り、基本的な国家間の関係自体、成り立たないはずです。 ◆その3 米中貿易戦争 そして最後に、昨年から激化する「米中貿易戦争」です。 当初、米国は3月2日から年間約22兆円の中国製品への関税率を10%から25%に引き上げる予定でしたが、協議の進展に伴い、交渉期限を延期、3月中に習近平国家主席との首脳会談を開き、最終決着を目指す意向を表明しています。 焦点は国有企業への補助金、外国企業への技術移転の強要など、6分野における構造改革を要求する米国に対し、中国がどこまで飲めるかという点ですが、共産党独裁政の中国が本格的な経済的開国に舵を切れるのか、甚だ疑問は残ります。 一方、長引く貿易摩擦によって、中国経済の失速は著しく、輸出入共に前年を下回り、1年で最も需要が高まる春節においても、内需は振るわず、一刻も早くトランプ関税から逃れたいのが本音でしょう。 難しい選択を迫られる中国は、ギリギリを狙って交渉するはずですが、「時には、交渉の場から立ち去ることが必要」「急ぐよりも、正しくやりたい」と米朝首脳会談後に述べたトランプ大統領の言葉は、これから交渉を控える中国・習近平主席に向けられた明確な警告とも取れます。 ◆トランプが大統領の今は日本にとっての「黄金期」 「トランプ大統領は、中国の共産主義を真正面から敵と捉え、壊滅させようとしている初めての米大統領」と米国研究の大家、日高義樹氏は述べています。 極東情勢が目まぐるしく変化する中、トランプ大統領の在任期間というのは、日本とアジアの平和を脅かす中国の野望を封じ込めながら、極東情勢を好転させる「黄金期間」であることを改めて再認識させられます。 まただからこそ、国内で足を引っ張られながら、世界規模で立ち回るトランプ大統領を補完する真の同盟国としての役割を果たす義務が日本にはあります。 例えば、「拉致被害者問題の解決」といったお願いを繰り返すだけでなく、その分、沖縄基地問題の早期解決等でしっかりと成果を上げ、対中貿易で米国と100%歩調を合わせつつ、国際世論に呼びかける役割も担うべきです。 そして、何よりも中国が虎視眈々と狙う台湾併合の危機です。 トランプ大統領在任期間に日米と台湾が緊密に連携し、極東地域に「自由・民主・信仰」の価値観を広げ、台湾を危機から救っていく使命が、かつての同胞・日本にはあるはずです。 すべてを表示する « Previous 1 2