Home/ 2017年 January 2017年 January リビングウィルの法制化で尊厳ある生き方を 2017.01.31 広島第3選挙区支部長 HS政経塾6期生 野村昌央 ◆リビングウィルとは? 2016年2月、「リビングウィル」の法制化を検討する超党派の議員連盟が、いわゆる「尊厳死法案」の国会への提出に向けて東京都内でシンポジウムを開きました。 「リビングウィル」とは「生前意思」のことで、自らの死後に資産をどうするか、葬儀はどのように行って欲しいかなどを記した遺言状の一種です。 その中でも、終末期の医療における意思表示に関し、法制化するかどうかの議論が行われています。 上述のシンポジウム後には、参院選を控えていたこともあり、議論を呼ぶことが懸念される尊厳死法案は国会に提出されませんでした。 終末期の医療における意思表示の法制化の議論では、「もうこれ以上治療の手立てが無い」患者の延命医療を施すのか、また、継続していくかの判断を、あらかじめ自分自身の意思表示をしたものに法的実行力を持たせるかどうかが検討されています。 医療技術の進歩によって、それまでは生命の危機となるような状況であっても、人工呼吸器や人工心肺などの装置の使用や、胃瘻を行うなど栄養することによって、生命を維持することができるようになってきました。 しかし、同時に、肉体機能を維持しているものの、意識は戻らず回復の見込みはない、衰弱していくのを待っているだけという患者も増えてきました。 ◆延命医療の現状と法制化についての議論 2007年に厚労省から発表された終末期医療に関するガイドラインでは、「本人の意思表示」を優先して治療方針を決定することが示されていますが、あくまでガイドラインであるため、各々の病院の方針や家族の要望によっては尊重されない場合も考えられます。 また、本人の意思表示が示されていない場合には家族が本人の意思を推定することになっていますが、一旦延命措置を始めてしまうと本人が苦しんでいたとしても、その機械を外すことになかなか踏み出せない場合もあります。 平成24年度に内閣府が実施した調査によると、「延命のみを目的とした医療は行わず自然にまかせてほしい」という回答が91%でした。 しかし、リビングウィルの普及率は3.2%というアンケート結果も出ています(平成26年「終末期医療に関する意識調査検討会)。こうした状況を鑑みても、リビングウィルを法制化することでしっかりと本人の意思を尊重できる環境を整えることも検討する時期が来ています。 リビングウィルの法制化については、「そもそも病気を抱えて生きている人の医療機器を外させるのか」「新たな治療法が後から開発されたらどうするのか」「自殺幇助になるのではないか」などの反対する意見があります。 やはり、あくまでも「これ以上治療の手段が無く、尊厳を持って生きられない状態になった時に、延命医療を行うかどうか」の意思表示について法制化し、上述した反対意見のような状況は起こらないようにするべきです。 ◆安心して人生を生き切る 自らの人生の終末期の治療方針をどう望むか、延命医療に関してどう考えるかについて、やはり自己決定権は持つべきであると考えます。 実際、法制化が進んでいる国では、遺言状と同じようにリビングウィルの普及も進んでいます。こうした状況は自分自身だけでなく、家族にとっても安心できるものです。 また、リビングウィルを用意することで、多くの方が尊厳を持って人生を生き切るということに関心を持ち、この世での人生を終えた時にスムーズなあの世への旅立ちを迎えていける方が増えていくことを願っています。 ※「“人生の最終段階における医療”の決定プロセスに関するガイドライン」(2015年 厚生労働省) ※「高齢者の健康に関する意識調査」(平成24年度 内閣府) ※「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(平成26年 終末期医療に関する意識調査等検討会) 幸福実現党「日本を変える!123の政策」より http://publications.hr-party.jp/files/policy/2016/008/origin/all.pdf ■終末期 はあの世に旅立つための準備期間と捉え、苦痛の期間を延命治療によって過度に長引かせることなく、幸福に旅立つ権利を尊重します。 ※ 人間の本質は、神仏によって創られた霊的存在であり、魂である。この世に生まれ、さまざまな経験を通じてつかんだ学びを持って、あの世に還る――その繰り返しのなかで、人間は魂の向上を目指しているという人生観のこと。 学問の自由を脅かす文部科学省の天下り問題【後編】 2017.01.29 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな 前回取り上げた「文部科学省の天下り問題」について、さらに掘り下げ考えて参ります。 ◆文科省が脅かす学問の自由 文部科学省の天下りが、さらに問題なのは「学問の自由」を侵しているということです。 例えば、日本では新設大学を創る場合、厳しい「大学設置基準」があり、審議会を経て、文科大臣の認可が必要です。 また、この審議会は非公開、構成委員は競合相手ともいうべき私立大学の関係者が含まれています。 そのためもあり、ここ数年、不認可や厳しい意見が相次ぎ、新規参入を阻む「規制強化」となっており、実質的には「学問の自由」を奪っているといえる状態です。 本来、私立の大学にはもっと自由が認められるはずです。 しかし、文科省の言い分は「教育は公共性が高い」ため、大学の倒産は望ましくなく、簡単に新規参入を許可することはできないというものです。 ある意味倒産を防ぐために、私学助成金も支給されています。当然、文科省には、認可の権限があるというのでしょう。 一方アメリカでは、連邦政府は大学の認可には関与すらせず、民間団体が教育の質をチェックし、州政府が認可するという簡単なものがほとんどです(州政府によってばらつきがあります)。 もし、連邦政府が認可に関わるようなことがあれば、憲法違反で訴えられる可能性が高いといいます。 日本の文科省は多額の税金を使い、大学を補助金漬けにすることで、大きな権限を維持してきました。しかし、大学の財政基盤を健全化させるためにも、教育の自由を守るためにも、過度な私学助成は見直すべきです。 そのためには、教育の質の低い大学は自由競争の中で淘汰されるという自由競争が必要なのではないでしょうか。 学生の救済措置をしっかりと定めつつ、教育の自由性を確保することで、日本の大学の教育の質は向上するはずです。 ◆バウチャー制度で補助金行政の見直しを 私学助成の目的の一つにあった学生の経済的負担の軽減策としては、バウチャー制度の活用が有効です。 バウチャー制度とは、教育目的に限定した個人への補助金の支給にすることで、これによって大学への補助金を背に文科省が大学に天下りを斡旋したり、学問の自由を脅かすような権限を振りかざすことは防ぐことができます。 私学助成の見直しによって浮いた予算をこのように転用することで、低所得家庭の学生に対しても学問の自由が保障されます。 私学助成の全てが「悪」であるとは言えません。しかし、今の助成制度では私学の赤字補てんという意味合いが強く、文科省の権力を増大させ、私学の自由、創造性を奪っており、天下りの温床となっています。 政府の借金が1000兆円を超え、政府が「増税止むなし」を訴えている中、今回のように税金を補助金としてばら撒くことで利権を得ようとする官僚の不正は許されることではありません。 私学助成についても、卒業生の業績や新しい価値のある研究など「成果」に対する助成を主流にするべきだと考えます。 「成果」をだすための大学側の努力やチャレンジが教育の質を向上させることにもつながります。そのためにも新しい大学の創設や大学の新たなチャレンジにも広く門戸を開く「学問の自由」を守ることこそ文部科学省の使命です。 なくならない官僚の「天下り」問題――。まずは、学生たちの「人格の完成」を指導する立場の教育行政のトップである文部科学省から、襟を正していくことが求められます。 幸福実現党は、日本を弱体化させる補助金行政を見直し、民間の自由を拡大していくための政策提言を行ってまいります。 学問の自由を脅かす文部科学省の天下り問題【前編】 2017.01.28 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな ◆文部科学省の天下り問題 文部科学省の元高等教育局長が退職の2か月後に私立大学の教授に就いた「天下り」問題が霞が関を騒がせています。 政府の再就職等監視委員会による文科省への調査では、10件のあっせん行為について国家公務員法違反であると認定され、この件に直接関与した前川喜平文科次官が辞任、6人の幹部が懲戒処分となる事態にまで発展しました。 さらにその後、文科省側が再就職等監視委員会の調査に対して想定問答を作成していたことも発覚し、同省が規制をすり抜けるため口裏合わせをしていたことも明らかとなりました。 これらのことから、文科省から私立大学への天下りは、組織的に、常習的に行われていたことが疑われています。 文科省の管理職経験者で退職後2年以内に大学に再就職したケースは、ここ5年間で79人(2011年~2015年度)に上ります。 この内、監視委員会が疑わしいとする事例は上記の10件以外にも28件あるとされ、詳細な調査が行われています。 さらに、安倍首相は、全省庁を対象とした実態調査を指示しました。 ◆天下りの弊害 国家公務員として働いていた官僚などが、退職後に関連する民間企業や特殊法人などの重職につくことを天下りといいます。 そもそも天下りが「悪」だとされる主な理由として、汚職や官民の癒着が起こることや無駄なポストが増えることがあげられます。 これまで民間企業などへ天下った官僚が、その見返りに、仕事を斡旋したり、補助金を増やすことが、官製談合事件などの汚職や補助金行政の温床となってきました。 また、官僚が天下り場所を確保するために独立行政法人等の不必要な機関が増え、省庁の影響の強い無駄なポストが作られてきました。 このような天下りが更なる既得権を生み、許認可行政でがんじがらめの状態を招いていることが天下り問題の弊害と言われています。 しかし、公務員であっても職業選択の自由は保障されています。そのため、民間への再就職の全てを禁止することはできません。 そこで、2007年に国家公務員法(106条)が改正され、「天下り斡旋等の禁止」という現在の規制体系が作られました。 天下りの規制が厳格化されて10年。今回の文科省の天下り問題では、組織ぐるみの斡旋行為があったことは明白であり、現在の法規制に「抜け穴」があることを意味しています。 ◆文科省と私学助成 国の行政機関である文科省の官僚と、「私立」の大学との間にどのような癒着関係があるのでしょうか。 戦後、教育界では「私学の自主性」が重んじられ、国による私学への規制は緩やかでした。 しかし、少子化などの影響で私学経営が困難になったことや、私学に進む学生の経済的負担を減らすため1970年代頃から国や地方行政による私立学校への助成が本格的に行われるようになりました。 平成27年度の「私立大学等経常費補助金」は、大学だけでも566校、約2940億円となっています。(日本私立学校振興・共済事業団ホームページより) 国からの補助金は私立大学だけではなく、法人化された国立大学の経営においても大きな影響を持っています。 多くの大学で定員割れを起こしている現在、文科省からの補助金は大学の存続に関わる重大なものです。文科省は補助金によって、大学が文科省のいいなりにならざるを得ない体制を作り上げてきたのです。 このような体制の下で、「天下り」の斡旋も行われているといえます。 そもそも、私学に対する助成には、経済的負担の軽減と経営の健全化という目的がありました。しかし、補助金なしでは経営自体が立ち行かず、経営の健全化とは反対の結果となっています。 日本の大学を弱体化させたのは、補助金行政の弊害といえます。 (つづく) 世界秩序の大転換――米国に続き大国となれ日本 2017.01.26 HS政経塾5期生 水野善丈 ◆グローバル化の盟主を気取る中国 「米国第一主義」を掲げたトランプ新米大統領が誕生する3日前、スイスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、中国の習近平国家主席が基調講演を行いました。 そこで習近平氏は、「自由貿易の発展の堅持」と「保護主義への明確な反対」を訴え、中国の輸出品に高関税をかける政策を考えているトランプ大統領に牽制した格好となりました。 また翌日の国連欧州本部での演説では、「核兵器のない世界を実現するため、核兵器は完全に禁止され、時間をかけて破壊されるべきだ」と、核兵器を量産する国とは思えない発言もしました。 こうした一連の様子から、強い米国を再び取り戻す政策へとシフトしたトランプ政権へ警戒する中国がうかがえます。 ◆グローバリズムで成長した覇権国家中国 日本のマスコミ各紙では、今までの自由貿易のグローバリズムの流れを否定し、孤立主義へと向かっているように見えるトランプ政権の政策に対して、批判的な記事が連なっています。 しかし、今までのグローバリズムの流れによって、東南アジアや中国などの発展途上国は、経済発展し恩恵を受けてきた反面、日本や米国などの先進国は、途上国が優位な条件下で税金を払う企業が国外を出て、税収や雇用が途上国へ奪われてきたのも事実です。 特に中国は、2001年に世界貿易機構に加盟を承認され、補助金や通貨安誘導で対米輸出を不当に膨らませ、自由貿易システムであらゆる機会を捉えて利益を最大化し自国の経済を発展させてきました。 そして、同時に軍事拡張を推し進め、中国の覇権を強める原動力ともなりました。 ◆「戦わずに勝つ」戦略 そのため、トランプ大統領は「Make America Great Again」とスローガンを掲げ、まず強いアメリカを取り戻し、外交面で覇権を握ろうと考えています。 法人税の大幅な引き下げによる企業誘致を促し、米国の実体経済を強めながらも、中国などに対しては関税自主権を武器に公平な貿易を推し進めます。 また、外交においても、ロシアのプーチン大統領との関係を改善し、中国包囲網やイスラム国掃討作戦を考えるのと同時に、台湾と近づく姿勢を見せることで、中国の「一国二制度」の体制に亀裂をいれて、中国との交渉を優位に進める布石を打っています。 ◆新しい世界秩序の構築に向けて動き出した米国 現在の国際社会の常識から見ればトランプ大統領の米国は、「孤立主義」の方向へ進んでいるように見えます。 しかし、今までの常識を変えていくことで、秩序のある国際社会を構築しようと考えているように思えます。 ノーベル平和賞を受賞したオバマ前大統領の下の8年間では、ISISが誕生し、イランとは核合意、北朝鮮は水爆実験も成功させ、核弾頭の小型化に向けた開発を進め脅威が増しています。 また、中国は南シナ海にミサイル基地を設置するまで覇権を広げるに至りました。 オバマ氏の正義なき宥和政策が、米国のプレゼンツを弱め、世界のパワーバランスを歪め、結果、脅威が絶えない世界へとなっているのも事実です。 トランプ大統領が「意見をいうだけで、行動を起さない政治家にはもう容赦しない。文句をいい続け、それが仕事になっているような政治家たちだ。中身のない対話の時代の終わりだ。行動を起すときが来た。」と、大統領就任演説で訴えかけたように、正義のなき、中身のない政治は終わりを告げて、新しい世界秩序の構築に向けて動き出しそうです。 ◆変革のチャンスにかかる日本 一方で、日本では、米国のTPPの離脱を受けて、安倍首相は国際社会に呼びかけこの流れを変えようとしているのが現状です。 しかし、今なすべきは「国際社会の呼びかけ」よりも自国を変革していくことです。 米国に国防も経済も依存してきた日本に変化が問われているのではないでしょうか。 その方向は、社会保障中心の「大きな政府」ではなく、国際競争力に負けず、国民の経済活力を取り戻す、減税と規制緩和を中心とした「小さな政府」への移行であり、憲法9条の改正をはじめ、自主防衛体制を整えていく方向であると考えます。 続・日露国交回復60周年フォーラム「大転換時代の日本」 モスクワ現地レポート(2) 2017.01.25 ■「THE FACT」放映 里村英一専務理事 × 神武桜子副党首 「幸福実現党 神武桜子副党首がロシアでスピーチ」 https://info.hr-party.jp/2017/4082/ ◆ロシアのテーマは『孤立からの脱却』 「ロシアにとっては『孤立からの脱却』というテーマがあります」とも語っていました。 里村: ロシアにとっては一番痛いところは孤立化ですからね。経済も天然資源以外になかなか決定打がありません。 その辺で日本から大技を掛けていって、その流れで領土問題等も解決されていくべきだと、私なんかは思っていますが。 神武: そのとおりですね。最近では、中国とロシアが接近しているという報道が出ています。ですが、パノフ氏は、「それはアメリカへのシグナルなのだ」と。 ロシア側の軍事専門家の方も、「別に中国と信頼関係があるわけではなくて、信頼関係を作っていく段階の一つとして、軍事演習があるのだ」と、「これは他のところへのメッセージなのだ」と言っていました。 里村: そのメッセージを、やはり日本は重く受け止めなきゃいけないですね。ロシアと中国の間に信頼関係ができて、軍事同盟まで結ばれてしまったら、もう日本は勝てませんから。アメリカが一緒にいたとしても危ない。 だから、何としてもロシアと中国の間の関係に、くさびを打ち込まなくてはいけないと思います。 幸福実現党としては、これから特にロシア関係は、どのようにしていこうと。 神武: 安全保障として日米同盟を重視するのは変わらないのですが、トランプ革命が起きて、世界秩序が変わろうとするなか、日本としてはロシアも新しい安全保障のパートナーとしても見ていこうと。 というのも、北朝鮮の核問題について、ロシア側の発表で「簡単に解決できる」ということを示唆していました。 里村: できる感じがしますね。このプーチン大統領であれば、できると思います。 ◆新幹線を通してシベリアからモスクワへ ただ、そこまで持っていくには、神武さんがおっしゃったように、例えば、新幹線でシベリアからモスクワ、そしてパリ、フランスに行くという大動脈を日本から作るとか、それぐらいの技を仕掛けないと。 そうすると、日本からヨーロッパまで船便と鉄道で3週間近くかかるところを、3日で行けますから。 神武: そうですね。滞在中、ロシアのお野菜にトマトとキュウリが多くて。美味しいのですが、物流がよくなれば、日本の高級な果物や野菜を新鮮な状態で届けられると思うと、夢が広がりますね。 里村: 北海道に行って、鉄道や新幹線の大動脈を作ると言うと、非常に喜ばれます。今、JR北海道で不祥事が続いていて、廃線に次ぐ廃線です。 JR東海1社でリニアモーターカーを通すために20兆円のお金を出してやっています。この規模になると、JR北海道だけではもちろん無理なので、国もやるべきです。 それはロシアに対する日本のシグナルになるわけです。「ロシアを大事な国と見ているから、ここまで日本はやりますよ」というところがないと、なかなか信頼関係は難しいですね。 神武: そうですね。 ◆信仰深いロシア 神武: また、現地に行って思ったことですが、予想以上に宗教の復活が起きていて、ロシアの方と話しても、とても信仰深い方が多いようでした。 ロシア正教では1月7日がクリスマスなのですが、一緒に話したロシア人で、その時期に断食をするという人がいました。断食といっても、肉やお酒をとらず、お野菜とかを食べるのですが、ストイックに生きて自分の信仰を確かめるのだそうです。宗教的な生活を誰に強制されるわけでもなくやっているのです。 また、クレムリン宮殿近くのお土産さんで、「ホーリー・ロシア(聖なるロシア)」というDVDを売っていました。ロシア正教の歴史についてのDVDなのですが、お土産屋さんのおばさんが、これを指して片言の英語で「Very good」と言っていました。 DVDを見ましたら、「タタールのくびき」と言って、モンゴルがロシアまで支配して時代のことが描かれていました。それを打ち返すときに、モスクワ大公のドミトリー・ドンスコイが、聖人扱いされているロシアの修道士セルギイから力を授かって、モンゴルを打ち返すことができた、国を守るために信仰の力があったと表現されていました。 今後、ロシアと信頼関係を作るためには、ロシアの宗教に対する理解は大切だと思いました。 里村: 先の戦争でのソ連の行いのため、日本ではロシアの人気が今一つなのですが、そうした宗教的な話を聞くと、これからの国家戦略として、日本人がロシアの宗教も含めたいろいろな部分を理解して、そして何か日本から仕掛けていくということが必要だと思います。 神武: クレムリンのすぐそばに、高さ18メートルの大きな十字架を持ったウラジミール大公の像が昨年11月4日にできました。988年にこの方が洗礼を受けてキリスト教の信者となり、キエフ大公国をキリスト教国としたことが、ロシアの始まりとされています。 プーチン氏は、この方がロシアの精神的基盤を築いたと発言しているので、ここからも宗教を基盤に国を整えていくところが見えます。 里村: ぜひ安倍首相や自民党も、ロシアとの外交の重要性をきちんと理解していただきたいですね。幸福実現党にも、ロシア外交を担えるよう、ぜひお願いしたいと思います。 神武: はい。力をつけてまいります。ありがとうございます。 (完) 続・日露国交回復60周年フォーラム「大転換時代の日本」 モスクワ現地レポート(1) 2017.01.24 前回、神武副党首がモスクワで開かれた「大転換時代の日本」をテーマとした「日露国交回復60周年フォーラム」に参加し、スピーチした内容をお送りいたしました。 今回は、その様子について、別角度から、ネット番組「THE FACT」で、里村英一 幸福の科学専務理事と神武桜子副党首が対談した様子を2回に分けてお届けします。 ■「THE FACT」放映 里村英一専務理事 × 神武桜子副党首 「幸福実現党 神武桜子副党首がロシアでスピーチ」 https://info.hr-party.jp/2017/4082/ ◆日本がロシアとの関係を大事にしなければならない理由 里村: 12月22日、23日で、神武さんは、モスクワ国際関係大学で開かれた「日露国交回復60周年フォーラム」でスピーチをされました。いったい、どんなスピーチをされたのですか? 神武: 日本にとって、ロシアとの関係を強めていくのがとても大事だ、という趣旨の話をさせていただきました。 里村: 具体的なポイントは、どういうところになるでしょう。 神武: 2014年にクリミア危機が起きて、日本は欧米諸国のロシア制裁に同調していたのですけれども、それがよくありませんでした。 むしろ、日本がホストであった伊勢志摩サミットにロシアを呼び、ロシアがG8に復帰できるように協力すべきでした。 あと、近隣国の軍事拡大に備えて、安全保障と経済の面で日露の関係を強くして、日露平和条約を早く結び、シベリアと日本を鉄道で結んで物流革命を起こしましょう、と話しました。 里村: こういう場なので「近隣国」と表現したと思いますが、要するに中国、もちろん北朝鮮のことですね。 神武: そうです。「近隣国」と、ストレートには言いませんでした。 ですが、ロシア側から「中国や北朝鮮の軍事拡大は、日本とっては脅威ではないのか」という発表もあり、かなりストレートに「中国」「北朝鮮」と名指ししていました。 ◆ロシアの反応 里村: 会議には日本の駐ロ大使や、ロシア研究では日本の第一人者と言われる方々も参加していましたね。参加者の反応はどうでしたか? 神武: 特にロシア側の反応が良くて、「おもしろかった。日本では珍しい考え方だね」とか、「日本で若い人が政治をやっているのにびっくりした」と言われました。 里村: なるほど。トランプ大統領やプーチン大統領と日本がこれから付き合っていくときに、「何を考えているか」「何を目標にしているか」を明確にしないと、交渉相手と認識されない時代になってきています。 やはり、はっきりと主張を打ち出すことは大事ですね。 神武: そうですね。 ◆衝撃的だった元日本大使のパノフ氏の発言 里村: 他の方の発言は、どんな感じでしたか? 神武: ロシア側の元日本大使のパノフ氏の発言は、おもしろかったというか、衝撃的でした。 12月15日、16日の日露首脳会談への見解として、「安倍首相としては何も手柄がなかったのではないか」「日露関係に信頼関係がないから、平和条約が結べないのだ」と話していました。 「安倍政権では日露平和条約は結べないと思っている」とも言っていました。 驚いたことに、この方の発言がNHKのネットニュースに出ていました。そのネットニュースでは、パノフ氏の「他に選択肢はなかったから、正しいアプローチだったのだ」という発言だけを取り上げて、まるで安倍首相を評価しているというニュースになっていたのです。 里村: 全く違ったニュアンスで紹介されていたと。 安倍首相はプーチン氏が帰ったあと、とにかくテレビに出演し続けて、「会談は大成功だった」と言い続けました。 神武: そうですね。共同開発が大成功だと(笑)。 里村: そして、日露首脳会談で、どんなことが話し合われたか分析や検証がなされる前に、見事に真珠湾訪問へ飛んでいますね。 神武: そうですね。 里村: 日本のメディアは、まさに「馬の鼻っ面にニンジン」状態でそっちへ向かったので分からないのですが、ロシア側の事情通から、「安倍政権では日露平和条約は結べない」という話が出ていたというのは、結構衝撃ですね。 神武: そうですね。他にも、パノフ氏は、「北方領土をお金で買いたいという、日本の意向も我々は知っている」「しかし、もし二島返還したら、三島、四島と取られていくから、プーチンはお金で北方領土を売ることはない」と発言をしていました。 (つづく) 「日露国交回復60周年フォーラム」 モスクワ現地レポート 2017.01.22 幸福実現党・神武桜子副党首 兼 広報本部長レポート 「大転換時代の日本」をテーマとした「日露国交回復60周年フォーラム」で話し合われた内容など詳しい状況をレポートいたします。 ◆「日露国交60周年フォーラム」に出席 昨年12月、安倍首相がプーチン氏と会談し、北方領土に関して外交的失敗を喫した1週間後、私はモスクワでの「日露国交60周年フォーラム」に出席いたしました。 その場で、私は「日露関係を大切にすべき」という主旨で、「伊勢志摩サミットで、日本はロシアをG8へ復帰させるきっかけを作るべきだった」「極東近隣国の軍事拡大に備えて、安全保障・経済両面での関係強化と平和条約締結を実現するべき」「「幸福実現党はシベリア鉄道を日本の北海道にまで伸ばし、物流革命を起こして、日露を豊かな経済圏にしたい」と、述べました。 スピーチ後、ロシアの方から、「日本では珍しい意見で面白い。もっと知りたい」「幸福実現党は初日終了後話題になった。日本人で若い人が政治に興味を持って活動しているのを知って驚いた。日本では政治に興味があるのは50代あたりからだと思っていた。日本人らしくない」という話をお聞きしました。 また、注目すべきはロシア側の発表です。日露関係に関して、元駐日ロシア大使のパノフ氏の発言が興味深かったので、少し長いのですが重要な点をお伝えさせていただきます。 ◆モスクワ国際関係大学教授、元駐日ロシア大使 パノフ氏の主張 「日本が北方領土を買いたいと思っていることは知っている。しかし、プーチンは売らない。2島返還したら、3島目、4島目と領土を取られてしまうことを懸念しているからだ。私見だが、戦略的な解決策や最後の道筋が見えるまで、交渉において日露のどちらかが一方的に上の立場になることはない。日本にとって、ロシアは極東における経済的に理想的なパートナーではないだろうか。」 「ロシアには、『孤立からの脱却』というテーマがある。日本がロシアと平和条約締結を目指しているのは、増大する中国の脅威に対抗するためだと理解している。日本は中国市場に依存するのをやめて、ロシアにも新しい市場の可能性があると知るべきだ。日本のエネルギーは限られており、農業は伸び悩んでいる。」 「追い込まれた状況の中、日本の最良のパートナーとなるのが、ロシアだ。極東地域では日露が農業分野で協力するという計画も始まっている。ロシアが中国と組んでいるのは、あくまでも経済的な利益のためである。日本の新市場開拓は極東での日露共同開発が端緒になるだろう。」 「安倍政権下での平和条約締結は難しいと思っている。安倍首相は北方領土の共同管理・開発を提案して、今の膠着状態を改善すると言っているが、共同管理についてロシアの国内世論は反対だ。」 「平和条約が締結できないのは、根本的には信頼がないから。信頼があれば、ロシアは北朝鮮の水爆実験の問題解決にも貢献できる。ロシアは日本に対して軍事的脅威を感じていない。長期的に見れば、日露間に壁(前線)を作るべきではない。ロシアの日本研究家はネガティブな情報を強調する傾向があるが、積極的な方向を見出すことが大事だと思う。」 参考:The Liberty Web URL:http://the-liberty.com/article.php?item_id=12388 また、そのほかにも、ロシア側の方々の発言として、「北方領土を最終的に日本に取られるのではないかというのが、ロシア国民の意見」「露中で軍事演習をしていて、日本ではすごいニュースになるが、中国と信頼関係があってやっている訳ではない。信頼関係醸成の途中段階として軍事演習をしている」「北朝鮮の核について、露日は一緒に仕事できる」という話がありました。 ロシア側は極めて率直にリアリスティックな観点から、「中国、北朝鮮問題を考えたとき、日露関係は重要だ」と考えています。 日本側にロシアに対する理解がないために、日露関係は進展せず、北方領土問題も座礁していますが、ロシア側の本音を理解すれば、友好な日露関係を構築することは可能なのです。 特に、今のロシア人は、驚くほど宗教を大切にしています。「信仰の大切さを知っている幸福実現党は、ロシアへの理解を深め、ロシアと共に世界の平和・安定に貢献していきたい」──そう決意を新たにしました。 【参考】12月30日放送「THE FACT」 里村英一専務理事 × 神武桜子副党首 「幸福実現党 神武桜子副党首がロシアでスピーチ」 https://info.hr-party.jp/2017/4082/ トランプ米新大統領の誕生を受けて(党声明) 2017.01.21 昨日、下記、党声明を発表しましたのでお知らせいたします。 ■トランプ米新大統領の誕生を受けて(党声明) https://info.hr-party.jp/press-release/2017/4138/ 幸福実現党は、ドナルド・トランプ氏の米新大統領への就任を歓迎します。 「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏に対し、世界や日本の先行きを不安視する向きもありますが、米新政権の発足は、「トランプ革命」とも言うべき時代潮流の変化をもたらし、世界秩序の大きな転換点となるとともに、わが国に対しては、自立を促すものとなるはずです。 安全保障面では、中国や北朝鮮による軍事的脅威への備えが急務であり、米国の対日政策の変化も見据え、日米同盟の双務性を高めることで同盟強化を図りつつ、憲法9条の改正をはじめ、自主防衛体制を整えるべきというのが、わが党の考えです。 トランプ新政権は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を正式表明しましたが、中国の台頭を招いたグローバリズムの「反転」が起きているなか、日本も情勢変化に即応すべきです。中国抑止の姿勢を鮮明にする米新政権と歩調を合わせ、通商戦略の見直しを図るとともに、対中牽制を強めるべきです。 また、トランプ氏は就任演説で、貿易や税制、移民、外交のあらゆる決定に関して、「米国の労働者と家族に利益をもたらすようにする」と言明しましたが、メキシコ国境の壁建設をはじめ、米国の繁栄に向けて、同氏がこれまで示してきた政策方針は極めて明確です。 言葉が躍るばかりで具体論に乏しい既存の政治家との違いは明らかであり、政策実行に責任を持つ政治が行われるものと期待します。 翻って、日本経済に停滞感が漂うなか、安倍首相は「アベノミクスは道半ば」などと強弁していますが、その経済財政運営の失敗は明白です。増税路線や経済界への賃上げ要請など、現政権が進める国家社会主義的な政治手法では、経済成長の原動力である民間活力を弱め、国力低下をもたらすばかりです。 消費税の5%への減税や法人実効税率の大幅な引き下げをはじめ、大胆な減税や規制緩和により民間の自由を拡大することで、経済成長と雇用拡大を図るべきだと考えます。 日本を覆う閉塞感の打開には、確かな国家ビジョン、責任ある政治の確立が必要です。わが党は、国益の確保に向けて「日本ファースト」の政策を掲げるとともに、この国を世界の平和と繁栄、正義の実現に貢献できる国家へと新生させるべく、力を尽くす所存です。 平成29年1月21日 幸福実現党 アメリカで北朝鮮への軍事攻撃が議論に 2017.01.19 幸福実現党・政務調査会 都市計画・インフラ部会長 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆今、アメリカで北朝鮮への軍事攻撃が検討されている 今年に入り、外交関連の情報筋のレポートを見ていると、北朝鮮関連のレポートが増えたように感じています。 特に年頭に「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験が最終段階に達した」と金正恩氏が述べ、トランプ氏がツイッターでそれを批判する投稿を行う中、ワシントンポスト紙でペリー元米国防長官が北朝鮮への爆撃について反対するなど、米軍による北朝鮮への軍事攻撃に関する論説が注目されます。 ◆機能しない韓国政府 現在、韓国では朴大統領の弾劾審判が行われ、完全にレームダック状況にあり、政府がまともに機能していない状況にあります。財界も含めたスキャンダル疑惑の中、韓国は混乱の最中にあります。 また、釜山にある日本の総領事館前に、ウィーン条約に反して、違法に慰安婦像が設置され、日韓関係が悪化。日本は駐韓大使を「一時帰国」させるなど、報復措置をとる事態に発展しています。 さらには、1月17日の産経新聞で報じられているように韓国の京畿道の議員団が、こともあろうに我が国の領土である竹島に、慰安婦像を年内に設置することを目指して16日から募金活動を始めたようです。 この挑発的な韓国政界の態度に強い怒りを感じるものですし、日本側が外交的な報復措置をとったのは支持できるものであります。 ◆安倍政権の行った日韓合意そのものが日本の先人に対する冒涜 しかし、そもそも日本国民としては、いわゆる「慰安婦問題」でいわれるような、「20万人もの朝鮮半島の少女を強制連行して、『従軍』の慰安婦として『性奴隷』とされた」などというでっち上げのストーリーに対して、それを否定し、国際社会にむけた発信を行うことこそ、祖国への誇りを取り戻す上で熱望してやまないことです。 日本の政府はこれまで全く十分な努力をしてきませんでした。その間に慰安婦像は世界中にばら撒かれ、世界中の人々が「虚偽の歴史」を信じてしまっています。 さらに、もしもユネスコに登録などされてしまうと、半永久的に「ありもしないこと」で祖国が辱められ続けることになります。 その意味で、一昨年末の日韓合意を行ったことそのものが間違いであり、さらには岸田外相が「軍の関与」を認めたことなどは、我が国の先人への冒涜以外何ものでもありません。 ◆日本は毅然とした態度を維持すべき 日本側が、ある意味で「誠実に」履行している以上、日本側から日韓合意を破棄することはないでしょう。 しかし、次の韓国大統領候補筆頭とも目される「共に民主党」の文在寅氏などは日韓合意を認めない方針の発言を行うなど、韓国側からの一方的な「合意破棄」は考えられなくはありません。 しかし、本来、日本側がそれを過度に恐れる必要は無く、国際社会に対して真実の歴史を明らかにし、積極的にアピールすべきです。 ◆裏に潜む、北朝鮮の工作 冒頭述べたように、今アメリカでは北朝鮮に対する軍事攻撃の検討が行われるなど、いつ有事になってもおかしくありません。 ちょうど今トランプ政権が誕生する直前になりますが、トランプ政権で国防長官に指名されているマティス氏は、12日の議会承認公聴会において北朝鮮のICBM開発はアメリカにとって深刻な脅威であり、軍事的対応も選択の一つだとしています。 アメリカ大統領選の前は、北朝鮮はトランプ氏を歓迎するかのような発信をしていましたが、トランプ大統領を甘く見ていたことに今気づき始めているのではないでしょうか。 しかし今、韓国政府がまともに機能しない中、慰安婦像設置に動いている市民団体の裏には北朝鮮の工作があることが報道でも明らかになっています。 (参考:「慰安婦像をソウルと釜山の日本公館前に設置した団体は北朝鮮と連携し、日韓関係を悪化させることを目的としている」1月17日産経新聞『政論 慰安婦像の撤去が先だ』) ◆韓国国民に課された責任 これに対して韓国の政治家が同調し、韓国政府も像の撤去を行わず、それを韓国国民が支持している状況です。 仮にも民主主義国家に住む韓国国民は、自らが選んだ政府や政治家に対して責任を取らなければなりません。 日本としても朝鮮半島有事の際に、日韓政府間連携がまともにできないと、在韓邦人の救出などに不安を残します。 しかし、我が国にも譲れない一線があってしかるべきです。結局、日本に見放されて一番困るのは、韓国のはずです。 すくなくとも日本政府としては、「慰安婦像の撤去をしない限り、駐韓大使の帰任はさせない」という意志を示すべきではないでしょうか。 ◆日本は目も前の危機から目をそらさず、自国を護る防衛力向上を 韓国は政府もまともに機能しておらず、今後政府間の信頼関係が築けるのはいつの日になるかわかりません。しかし、朝鮮半島有事はいつ起きるかわからない状況です。 日本国民自身、政府やメディアを通じて、北朝鮮の核開発がどれほど危険で、自分たちがどれほどの脅威にさらされているのか知る必要があります。 余談ですが、金正恩氏が年頭の辞で「いつも気持ちだけで、能力が追いつかないもどかしさと自責の念にかられながら・・・」などと述べたのも何とも不気味な状況です。 日本は、次期トランプ政権と一刻も早く信頼関係を醸成すると同時に、我が党がかねてより主張しているように、北方領土問題を一旦棚上げしてでも日ロ関係を前進させ、アメリカ・ロシア両国と連携して北朝鮮と中国に睨みを利かせることが重要です。 そして何よりも日本国内において、真剣に我が国の安全を護る議論を進め、防衛力強化と有事にむけた法整備を、全力で、そして全速で取り組む必要があると思います。 現在の国際情勢から考える日本の核装備について 2017.01.17 HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆いよいよ、より自立していくべき日本の国防政策 今月20日、ついにトランプ新大統領が誕生します。 公益財団法人「世界平和研究所」(会長・中曽根康弘元首相)は12日、「米国新政権と日本―新時代の外交安保政策―」を発表し、日本政府に提言しました。 同提言は、トランプ新政権は「より自立した日本を求める可能性が少なくない」とし、日本には「日米同盟を機軸とした政策路線を堅持」し、「独力でできることは可能な限り実行していく」安全保障上の取り組み姿勢が求められるとしています。 ◆「世界平和研究所」の安全保障提言内容 同提言は、核開発を進める北朝鮮と、海洋進出を進め軍事力でアメリカに迫りつつある中国という周辺状況を念頭に、日本の安全保障政策を以下のように提言しています。 ・提言A:国家安全保障戦略と防衛計画の大綱を改定すべき ・提言B:日本は、通常戦力による「反撃能力」を段階的に整備すべき ・提言C:我が国の防衛力を強化すべき 注目したいのは提言Bの「通常戦力による『反撃能力』を段階的に整備すべき」という点です。 提言は、日本が武力攻撃を受けた場合には相手国の基地を攻撃するという「敵基地攻撃能力」を持つことを日本政府に求め、それを国内外に周知させておくことを求めています。 ◆敵基地攻撃に関する政府の認識 政府は、自衛のための敵基地攻撃能力は憲法上認められるという立場です。 1956年には鳩山一郎首相が「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」と、敵基地攻撃を自衛の範囲にあると答弁、2013年には安倍晋三首相も「保有することは現時点では考えていないが、憲法上は許される」と答弁しています。 敵基地攻撃用の打撃力として、日本でこれまで議論されてきたのは主に、(1)GPSで精密誘導される「トマホーク」などの誘導ミサイル、(2)ステルス性のある航空機による対地攻撃、などです。 同提言は、「敵基地攻撃能力」を持っていることを国外にも知らせれば相手国をけん制できるので、いっそう効果的に防衛体制を構築できるとしています。 ◆日本の国防の現状 日本は現在、ミサイル攻撃に対して、これを打ち落とすミサイル防衛システムを採用し、地上配備型の地対空誘導弾「PAC3」を配備しています。ですがPAC3は飛距離が短く、十分な防衛措置ができません。 昨年2月に北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2」改良型を発射したときに、PAC3が対応できなかったことを覚えている方も多いと思います。 稲田朋美防衛大臣は13日、PAC3よりも高高度の目標を迎撃する「THAAD」(高高度ミサイル防衛システム)を米空軍基地で視察し、導入についてはひとつの選択肢として検討したいと述べましたが、同提言はこれ以上の能力を保有することを訴えています。 日本の安全保障環境が悪化するなか、反撃能力保有の具体的検討が進むことは非常に大事であり、よいことだと思います。 ◆核兵器の脅威にはどう対応するのか? ただ、今回の提言で不足している部分があります。 同提言は、トランプ政権下で日本が求められる可能性のある自国防衛の自立の度合いについて考えたものですが、他国が兵器の精度を上げることが想定されていません。 つまり、北朝鮮が核兵器の使用をちらつかせてきた場合の対処です。 「テポドン2」は、実用化されればアメリカ東海岸を射程に収めるものです。これは、現在日本の安全保障上、頼みの綱であるアメリカが、北朝鮮に核で脅される未来もありうることを意味します。 そうなった場合アメリカは日本を見捨てるかもしれません。そのとき自分の国をどのように守るのか、ここを検討する必要があります。 核兵器を使わせないようにするには、核兵器を持ってするしかありません。政府の見解としても、防衛上必要最低限度のものであれば核兵器の保有は禁止されていません。 ◆日本は高尚な誇りを持って核装備を検討せよ 幸福実現党は宗教政党です。過去、広島長崎に落とされた原爆の犠牲者の方々には心から哀悼と慰霊の気持ちを持っていますし、二度と戦争を起こしたくないと考えています。 だからこそ、横暴な振る舞いで国際社会の秩序を乱す国を放置はできません。核兵器の最大の効用は、「相手に核兵器を使わせないようにすること」なのです。 核装備をする国には、高尚な誇りが必要とされるべきでしょう。私たち幸福実現党は、憲法13条に保障されているとおり、国民が生命、自由、幸福追求を阻害されない安全な国をつくります。 また、日本を、「不当な侵略主義から他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神」にすることを目指しています。 核兵器のない世界は追求すべきですが、日本の安全と世界の幸福のために日本の核装備を検討する必要性のある時期もあると、重ねて訴えてまいりたいと思います。 すべてを表示する 1 2 Next »