Home/ 2015年 October 2015年 October COP21:日本はしたたかに国際交渉をリードせよ!【後編】 2015.10.31 幸福実現党神奈川県本部副代表/HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆エネルギーミックスは「絵に描いた餅」 約束草案の根拠になっているのは、今年7月に政府が発表した2030年度における長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)であり、その達成状況によっては、日本の温室効果ガス排出量は大幅に上振れするリスクがあります。 長期エネルギー需給見通しでは、実質経済成長率を1.7%と仮定したうえで電力需要は大幅には増加せず、さらに徹底した省エネが進むと仮定する一方、供給についてはCO2を発生しないゼロエミッション電源44%(原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%)と、火力発電56%(LNG(液化天然ガス)火力27%、石炭火力26%、石油火力3%)を見込んでいます。 しかし、現実にこれほどの省エネが進むとは到底考えられません。 また、国民負担のこれ以上の増加を防ぐために再生可能エネルギーの導入はある程度抑制せざるを得ず、一方で原発の再稼働は遅々として進まず、原発新増設の目途も全く立っていないことから、このままではゼロエミッション電源の比率が想定ほど増えない可能性があります。(2015.03.29 HRPニュースファイル「電源構成――原発の新増設に道をひらけ!」) 現在、原子力規制委員会の安全審査が大幅に遅れており、再稼働したのは川内原発1、2号機だけです。さらに民主党時代に導入した原発40年廃炉規制が追い打ちをかけています。 現行制度では40年を迎える原発は事前に20年延長申請が1度だけできますが、審査中に期限が到来した場合には延長が不可能となることから、事業計画が立てられないことを理由に電力会社は次々に40年廃炉を選択しています。 このまま全ての原発が40年で廃炉された場合、震災前に54基稼働していた原発が18基まで減り、設備容量は震災前の4割に減少します。電力需要がエネルギーミックスの想定どおりになった場合に、2030年度の原発比率は最大でも13%程度にしかなりません(稼働率85%を仮定)。 ◆一定量の石炭火力発電を確保せよ 政府は再稼働だけでなく新増設にも着手すべきですが、地元との調整を含む準備期間の長さを考慮すると、今すぐに始めても2030年度までに運転開始できる原発は限られています。 原発の不足を補う電源として、不安定な再生可能エネルギーは現実的ではないため、当然に火力発電が増加します。CO2排出が比較的少ないLNGは、価格が高く、多くが中東で産出されるためシーレーン封鎖等の国際情勢の変化に対して脆弱です。 このため、経済性や安全保障の観点から、価格が安く生産地が世界各国に遍在する石炭を、発電用の燃料の比率として一定量確保しなければなりません。 しかし、CO2排出がLNGよりも多いことから、環境省や環境NGOが石炭火力の使用を制限しようとしています。 米国オバマ政権が、地球温暖化を理由に、発展途上国での石炭火力発電所の建設に融資することを禁止するよう、世界銀行やOECD(経済協力開発機構)に要請しています。 米国ではシェールガスが石炭よりも安価に産出するようになり、これを背景に他国の石炭火力を抑制する戦術に出ていますが、石炭火力が重要な電源である途上国や、東欧の石炭産出国は反対しており、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)も石炭火力向けの融資は止めないと明言しています。 こうした一部の石炭火力に反対する国内外の動きも踏まえて、環境省は日本国内での石炭火力の建設や運転を規制しようとしています。 しかし、原発が不足する中で石炭火力を減らせば、電力コストが上昇し、電力の安定供給にも支障をきたす可能性があります。 エネルギーミックスを根拠とした約束草案を金科玉条の如く守ろうとすれば、CO2対策によって国民負担の増大を招き、エネルギー多消費産業の国外移転を誘発し、結果として国民の生活水準の低下を招きます。 また、中国軍の南シナ海への進出や不安定な中東情勢に鑑みると、CO2対策に固執するあまり、LNG依存を高めて日本の安全保障を脅かしかねません。 ◆「地球の神」の願いは自由と繁栄 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2014年に発表された第5次評価報告書の中で、「気候システムに対する人為的影響は明らかであり、近年の人為起源の温室効果ガス排出量は史上最高となっている」と述べています。これが現在の温室効果ガス削減に関する国際交渉のベースになっています。 しかし、幸福実現党は宗教政党として、「地球は高次な意識を持った生命体であり、CO2の濃度だけで気候が変化するような、単純な機械のようなものではない」という事実を申し上げたいと思います。 大川隆法・幸福実現党総裁はその著書の中で、「温暖化は、CO2などの温室効果ガスの影響で起きるのではなく、地球自体の天然現象として、温暖化と寒冷化が起きる。地球は、そういう周期を持っている」と述べています(大川隆法著『幸福維新』)。 地球は過去にも何度も気候変動を繰り返しており、人類はそれに適応してきました。気候変動よりももっと恐れるべきは、CO2削減を理由に社会主義的な統制経済を正当化し、創意工夫と自助努力による発展・繁栄の機会が奪われ、ひいては国民の自由と安全が脅かされることです。 「地球の神」の願いは、CO2削減などではなく、地球文明の飛躍的な発展・繁栄にあるということを断言いたします。 ◆技術開発によって世界に抜本的なエネルギーシフトを起こせ 日本は外交上の理由で、今後もある程度は地球温暖化の国際交渉に関与せざるを得ないことは確かです。 また、地球温暖化問題の存在によって利益を得る業界もあり、直ちにこれを全否定することは得策でないでしょう。 しかし、その場合にも日本は、経済成長や安全保障を阻害されることなく、これらを確保しながら技術開発によって長期的にCO2削減を目指す道を主張すべきです。 日本が得意な技術の一つは省エネルギーや高効率化ですが、義務を負わずに経済合理性の範囲内で導入を進めることが重要です。 もう一つは、核を取り扱う技術です。原子力技術の持続的発展はもちろんのこと、核融合に関する技術開発によって、無尽蔵にエネルギーを生産することを目指すべきです。 再生可能エネルギーでは、やがて人口100億人に達する世界を支えることは不可能ですが、エネルギーの供給が化石燃料から核にシフトすれば、エネルギー供給とCO2の問題はほぼ解消します。 今年のCOP21では、日本からは安倍晋三首相や丸川珠代環境大臣の出席が検討されていますが、日本の国益を著しく損ねるCO2削減を約束するような発言を絶対に行わず、日本の得意分野の技術開発によって、世界の抜本的なエネルギーシフトを長期的に推進していくことを主張していただきたいと思います。 COP21:日本はしたたかに国際交渉をリードせよ!【前編】 2015.10.30 幸福実現党神奈川県本部副代表/HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆国益を賭けた地球温暖化の国際交渉 今年の11月末からフランス・パリで開催されるCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、全ての国が参加する2020年以降の新たな温室効果ガス削減の国際枠組みを合意すること(パリ合意)を目指しています。 これに先立ち、新たな枠組みの前提となる各国の削減目標である「約束草案」の提出が求められており、127の国と地域が約束草案を国連に提出済みです(10/27現在)。 日本は、2030年度における温室効果ガス排出量を2013年度比26.0%削減する約束草案を、今年7月に提出しました。 10月下旬にはドイツ・ボンでCOP21に向けた最後の準備会合が開催され、パリ合意文書の草案作成に関する厳しい交渉が行われました。 各国には、シェールガス革命を背景に温暖化対策の実績をオバマ大統領のレガシー(遺産)として残したい米国、これまでの温暖化交渉や排出権市場をリードしてきたEU、今後の経済成長を阻害する削減義務化を極力排除したい中国やインド、温暖化は先進国の責任であるとして莫大な資金援助を求める途上国など、利害の対立するさまざまな主張があり、COP21で法的拘束力(削減義務)のある枠組みを合意することは不可能な見通しです(10/24日経)。 ◆京都議定書は日本外交の敗北 これに対して、1997年のCOP3(京都)で採択された京都議定書は法的拘束力のある枠組みであり、締約国を先進国(附属書Ⅰ国)と発展途上国(非附属書Ⅰ国)とに分け、先進国のみが条約上の削減義務を課されていました。 先進国には基準年(1990年)比削減率に基づいた2008~2012年(第1約束期間)の「排出枠」が割り当てられ、この排出枠の不足分・余剰分を先進国間で取引すること(国際排出量取引)や、途上国の削減量を先進国が排出権として購入し先進国の削減量に充当すること(クリーン開発メカニズム)が認められていました。 しかし、京都議定書には重大な欠陥がありました。クリントン民主党政権のゴア副大統領の強い意向で採択に賛成した米国は、ジョージ・W・ブッシュ共和党政権に交代して京都議定書から離脱。 目標達成が困難なオーストラリアとカナダは目標達成を事実上断念。爆発的な経済成長により世界最大の排出国となった中国には削減義務がなく、同様に途上国に分類されるインドやブラジルも、排出量が大幅に増えても削減義務がありません。その結果、京都議定書で削減義務を負った国の排出量は、2010年には世界の排出量のわずか25%にとどまり、京都議定書を遵守しても世界の削減にはほとんど役立たない状況となりました。 また、基準年を欧州やロシアに有利な1990年に設定したことによって、削減義務を負う先進国の中でも著しい不平等がありました。 EUは1990年比8%の削減義務を課されましたが、1990年以降、EU域内の東欧諸国は社会主義の崩壊によって経済が低迷し、その後は非効率な設備が更新されたことによって大幅に排出量が減ったため、大量の余剰排出枠を抱え、EU全体としては容易に達成できることがわかっていました。 ロシア(1990年比0%の削減義務)、ウクライナ(同0%)等の東欧諸国も、社会主義の崩壊によって大幅に排出量が減ったため、大量の余剰排出枠が発生しています。 一方、日本は京都議定書で1990年比6%の削減義務を負いましたが、日本では1970年代の石油危機以降に省エネ対策が徹底しており、1990年時点では既に世界最高水準のエネルギー効率を達成していたため、日本が経済成長を続けながら第1約束期間に6%のCO2削減を行うことは非常に困難でした。 こうした各国の状況は1997年の京都議定書採択時点でわかっていたことであり、削減義務の達成のため排出権を購入しなければならない日本から、大量の余剰排出枠を抱える東欧諸国や削減義務を負わない中国等の途上国へ、資金が提供されることが狙いだったとも言われています。 日本は「ハメられた」ことになりますが、「京都」の名を冠した議定書であり、外交上の理由で厳しい条件を呑まざるを得ませんでした。 その結果、日本は第1約束期間に東欧や中国から排出権という「紙屑」を大量に購入し、数千億円の国富の流出をもたらしました。 約1億トンの排出権を政府が税金で、約2.7億トンの排出権を電力会社が電気料金で購入し、2008年のリーマンショックに端を発した世界金融危機による景気低迷も手伝って、日本は何とか削減義務を達成することができました。 しかし、日本の排出量は世界の僅か4%にも満たず、全くナンセンスな行為であったことを忘れてはなりません。 ◆約束草案を「削減義務」にするな 京都議定書の反省を踏まえ、日本は2020年以降の新たな枠組みの国際交渉において、「全ての国が参加する公平かつ実効性のある枠組みであること」を繰り返し主張してきました。 また、日本は、EUが主張する、各国に削減義務を割り当てるトップダウン型ではなく、各国が自主的な削減目標を提出して相互に実績を検証する、ボトムアップ型の「プレッジ・アンド・レビュー方式」を主張しており、パリ合意の大きな方向性は日本の主張に沿ったものとなることが見込まれており、前述のとおり、法的拘束力のない枠組みになる見通しです。 しかし、こうした事実に反して、日本が国連に提出した約束草案(2030年度における温室効果ガス排出量を2013年度比26.0%削減)が、あたかも京都議定書のような条約上の日本の削減義務であるかのような誤解や曲解、そして欺瞞が一部で起きています。 左翼系のメディアや政党、環境系の有識者、環境NGO、環境省の一部等が、約束草案が国家の必達目標であるような誤った解釈に基づいて、約束草案を達成するための規制強化、課税強化、経済統制的な制度の導入を正当化するような主張をしています。 ◆地球温暖化問題は「武器なき経済戦争」であることを心得よ 今年のCOP21に対する国内外の関心は非常に高く、日本は丸川珠代環境大臣のほか、安倍晋三首相の出席も検討されています(10/22日経)。 温暖化に関する国際会議はしばしば環境派の政治家のパフォーマンスの場として利用され、これまでにも米国のゴア元副大統領、オバマ大統領、日本では鳩山元首相等が演説を行い、環境NGOや環境行政に携わる人々の喝采を浴びてきました。 しかし、各国とも自国の国益や産業の利益を最優先に、「地球を守るため」という錦の御旗を掲げて戦う「武器なき経済戦争」の面があることも事実であり、鳩山氏のように「地球を守るため」に自国の国益を失うスピーチを行うことは、通常はあり得ません。 日本からCOP21に出席する安倍首相や丸川大臣は、決して一時的な人気取りに走ることなく、長期的な日本の国益を見据えて、経済統制ではなく自由な経済発展の価値観を共有する諸国の利益のために、地球温暖化問題の本質をよく理解した発言をしていただきたいと思います。 (つづく) 豊かで神の恵みを受けた日本としての義務を考える 2015.10.28 幸福実現党・兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆米軍重い腰を上げ、南シナ海にて行動 南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に中国が建設する人工島の12海里(22キロ)内で、アメリカのイージス艦が「航行の自由の確認行動」をとったニュースが新聞の一面をにぎわしました。 島の周りの12海里はその島を所有する国の領海と認められていますが、「海洋法に関する国際連合条約」(UNCLOS)の第60条では、人工島はこれにあたらないとされています。 今回のイージス艦の自由航行は、「人工島を建設しても、その周囲は中国の領海と認められない」ことを示すためのものであったと言えます。 先日のアメリカ訪問でボーイング機などの爆買いを行い、中国の経済力と友好性をアピールした習近平主席でしたが、顔に泥を塗られた形となってしまいました。 ◆南シナ海における中国の蛮行 これまで中国は、南シナ海に於いて傍若無人な行動をとり続けていました。 中国人民兵を岩礁に住ませながら、埋め立てによって人工島を建設し、自分たちの領土としてきました。 南沙諸島や西沙諸島を含む地域を三沙市と勝手に制定し、自らの理論に基づき南シナ海に「中国の赤い舌」と呼ばれる九段線を引き、豊富な漁場・石油や天然ガスなどの資源をむさぼってきたのです。 このような行動をとり続けることができた理由は、中国を止める国がなかったことにあります。 フィリピン・ベトナム・マレーシア・インドネシア・ブルネイなどは中国と領有権問題を抱えていますが、軍事力の差が圧倒的であり、一国で対応することは不可能です。 海上戦力を比較しますと、中国が892艦船持っているのに対し、ベトナムは94、フィリピンは80です。トン数は、中国が142万トンであるのに対し、ベトナムは3.7万トン、フィリピンは4.7万トンで足元にも及びません。 航空戦力においてはさらにこの差は広がります。 今回のアメリカの行動は大変遅いものでありましたが、中国とは圧倒的な戦力差でありながら領土を護るために奮闘してきた国々にとっては心強いニュースであります。 ◆私たちには南シナ海の航海の自由を護る義務がある しかし、南シナ海が中国に浸食されて本当に困るのはアメリカではなく、先述した国々であり私たち日本です。日本は輸出入のほぼすべてを南シナ海経由で行っています。 南シナ海のほぼすべてが中国のものとなってしまえば、航行の自由が奪われ、食料や燃料などの命に直結するものが入ってこなくなる危険性が十分に考えられるのです。 リスク分散として、他の経路の配分を増やしつつも、やはり南シナ海の航行の自由を守るための努力は欠かせません。 具体的には、海上自衛隊の艦船が米艦と「共同演習」として南シナ海を遊弋したり、P3C哨戒機などが空から監視活動したりする平時のパトロールが求められます。 今回の安保法案の改正により、自衛隊が米軍と共に行動し米軍が攻撃を受けた際には、米軍を守るための行動をとることができるようになりました。 また、南シナ海で米中の武力衝突が発生した際には、いくつかの条件付きではありますが米軍への後方支援が可能となります。 日本は東シナ海を護るので手一杯だという説もあるようですが、どうすれば南シナ海も護れるようになるのかを考え、手を打つべき時期が既にもう来ているのです。 9月29日付のWSJ(ウォールストリートジャーナル)では、「世界秩序を守る日本の責任」と題して、“豊かで神の恵みを受けた国としての義務は何か”を日本は問うべきである、との論説が載っていました。 今回の件で、一時的に左翼勢力が盛り上がりを見せたようになりましたが、一国平和主義思想は世界の潮流から完全に外れています。 世界秩序を護るという意思を明確に発信しながら、実績を確実に積み重ねていくことが求められています。 増税はあり得ない 2015.10.27 文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治 ◆増税は既定路線? 軽減税率についての報道が増えてきました。 軽減税率とは、生活必需品に限定して税率を下げるというものですが、2017年4月に消費税を10%に増税することを前提にしています。 8%に消費税を増税してからというもの、景気は陰りを見せています。このまま増税してしまってよいのでしょうか。 ◆儲けを生み出すのは誰か 税金とは、公共サービスのために徴収するべきものです。公共サービスとは、儲からないので民間企業ではやれないサービスのことです。 例えば、国防や警察、裁判などが挙げられます。これらは政府や地方自治体といった公的機関が行うべきです。逆に、儲かるサービスは、政府がやらずに民間企業に任せるべきです。 儲かるサービスを民間に任せるべき理由には、いくつかあります。理由の一つは、民間では身分が保障されていないことです。 例えば経営者であれば、その判断には人生をかけるリスクが伴います。失敗したら、自分や従業員の家族まで路頭に迷わせる可能性すらあります。 だから、知恵を絞ってより良い判断をしようとします。公務員のように身分が保証されていると、どうしても甘くなってしまう部分です。 もう一つの理由は、中央の政府からは、末端の市場が見えないことです。これはロシアなど社会主義の計画経済が破綻した原因でもあります。 市場の意思決定は市場に任せた方が良いのです。このように、役割分担ははっきりしています。 儲かる分野は、民間企業が担うべきです。儲けを生み出せない分野が、政府の役目です。 ◆儲けとは 儲けとは何でしょうか。 「もしドラ」で有名になったピーター・F・ドラッカーが端的に述べています。彼は、「利益を企業の目的とするな」と言っています。 「一見はてな」とは思うのですが、続けて「社会貢献を目的とせよ」と言っています。つまり、利益とは社会貢献に対する通信簿だというのです。 儲けとは、製品やサービスを通じた社会貢献の結果なのです。民間ができるだけ自由に商売できるようにすると、その社会貢献を最大化できるのです。 ◆国家を会社に例えると・・・ ところで、会社には直接部門と間接部門があります。直接部門とは、研究開発、製造、営業など、直接もうける部門です。 間接部門とは、経理、人事、総務など、直接部門を支援して効率的に仕事が進むようサポートする部門です。 ここで、国家を会社に例えてみるとどうなるでしょうか。直接部門に相当するのが儲けを生み出せる民間であり、間接部門に相当するのが政府となります。 会社が経営危機の時には、間接部門を縮小して、直接部門に資源を集中させるのがセオリーです。これを国家で考えるとどうなるでしょうか。 今は不景気で、しかも財政難であり、国家としては経営危機にあります。国家としても、直接部門に資源を集中させなければならない時です。 民間ができるだけ儲けられるようにすることが、国家が危機を脱する道です。しかるに増税とは、民間からお金を吸い上げて、政府に割り振る行為です。 これは、直接部門の予算を縮小して、間接部門に割り振ることを意味します。不景気の時にはやってはいけないことです。 ◆打つ手はあるのか とはいえ、社会保障の財源が必要ですし、政府は財政難でもあります。これらが増税の理由にもなっています。 しかし、待ってください。 増税して景気が良くなった例は、歴史上ありません。増税すると必ず景気は悪くなります。景気が悪くなると、税収は減ります。 税収が減ってしまったら、社会保障の確保も財政再建も、遠のくばかりです。財源が足りないならば、こういう時のために国債があるのです。 日本の国債はまだまだ安泰です。国債残高を恐れるあまり増税したのでは、景気が悪くなり税収も下がるというジリ貧の状況を免れません。 まずは減税をはじめとする景気回復策が必要です。景気が回復したら、税収も増えて、社会保障も財政再建も見えてくるのです。 今やるべきことは、直接部門である民間を活性化させて、国家としての儲けの総量を増やすことです。そのためには、減税によって民間に資源を集中することです。 1985年、トルコ政府がイラン駐在の日本人を救った理由 2015.10.24 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆イラク・フセイン大統領が突然、「48時間後に撃墜宣言」! 前回は1890年、紀伊半島沖で発生したトルコ船の海難事故、そしてその救助に当たった日本人の対応に、多くのトルコ国民が感動をしたエピソードをお伝えしました。 今回は、映画「海難1890」に関して、事故からおよそ100年後、1985年(昭和60年)に中東テヘランで実際に起きた出来事についてお伝えいたします。 1985年当時、中東ではイラン・イラク間の戦争が長期化していました。当時、石油ビジネス関連の商社マンを中心に約二百数十名人がイランの首都テヘランに居住していたと言われています。 さて、イラクのフセイン大統領は、戦争の膠着状態を打破する事を意図したのか、1985年(昭和60年)3月17日、突然、以下のような宣言を公表しました。「今から48時間を過ぎれば、イラン上空を通過する全ての航空機を無差別に攻撃する。」 日本人を含め、テヘラン駐在の外国人にとって、この「宣言」は寝耳に水でした。諸国の駐在員は、制限の期日までに帰国の途に就こうとします。 しかし、当時、日本・イラン間の航空便が就航していない日本人には、帰国の手段がありません。駐イラン大使は日本政府に対して緊急に、飛行機の手配を依頼しました。 ◆日本政府が日本人を救出できなかった理由 依頼を受けた日本政府(当時は中曽根首相・安倍外務大臣)は、まず自衛隊機の派遣を検討しましたが、自衛隊法の制約で海外に飛ぶことが不可能ということが分かりました。 [その後、自衛隊法は改正され、現在では同様の事態が発生した時には、自衛隊機による救助は可能] そこで、直ちに日本航空に臨時便を要望しました。 イラン行きを志願するパイロットも出て、順調に出発する準備が進められたのですが、なんと、当時の労働組合が「乗務員の安全が確保されない状態では出発できない」という理由で、出発を拒否したのです。 戦争の中、しかも48時間後には撃墜される可能性がある危険な空域を飛ぶことには、大きなリスクがあります。 組合としての判断は「安全第一」というものでしたが、これも戦後一貫して「平和憲法」を奉じてきたために、リスクを冒すという発想がなかったのかもしれません。同じ日本人として、実に残念な判断でした。 ◆頼みの綱、トルコの判断は? イランに駐在する日本人達が脱出する手段は、他の国の力を借りるしか手段が残されませんでした。 それも極めて望みの薄いもので、時間がどんどん経過していく中、日本人たちの絶望がいかに大きなものであったのかが推測されます。 まず、欧米諸国の航空機会社に依頼して、一人でも多くのチケットの確保を目指しますが、相手は欧州人優先の判断で、ごくわずかに入手できたにすぎませんでした。 そこで、当時の野村豊駐イラン大使は、最後の頼みとして、トルコのビルレル大使を訪れ、トルコ政府に緊急便の依頼をしました。当時イランには、600人あまりのトルコ人がおり、とても日本の支援ができる状態ではなかったので、もともと諦めていたのです。 一方、トルコ政府に対しても、「商社」のルートを通じて、当時のオザル首相にも同様の依頼を行いました。日本人にとっては、ほとんど可能性のない希望でした。 しかし、トルコ側は、日本人が直面した事態の深刻さを理解し、直ちに臨時便の手配を承諾したのです。 その時にトルコのビルセル大使が日本を助ける理由として語った事が、「これは、エルトゥールル号の恩返しなのです」というものでした。 トルコでは「エルトゥールル号の海難事故」については、教科書にも掲載されるなど、100年前に日本人が心を尽くしてトルコ人を救助した逸話を忘れていなかったのです。 そして、先人たちが日本から受けた恩を返す機会だと、快く救助の手を差し伸べてくれたのです。 このように、トルコ政府の決断によって、「緊急の」旅客機1機が出発しましたが、1機だけでは、すべての日本人を救助することができないことが分かりました。 そこで、トルコ側は、もう一機の「定期便」も、日本人のために使ってもらう事を提案しました。 当時、イランに駐在していたトルコ人は、自らが乗り込む予定だった飛行機を諦め、自動車に分乗して、母国トルコに向かったのです。 かれらもこの決定について、「100年前の恩を返そう!」と一致し、ほとんど異論は出なかったと言われています。 このトルコによる救助によって、制限時間以内に、帰国を希望する全ての日本人が無事に日本に帰ることができました。 国際政治の判断には、国益と国益とのぶつかり合いの中で、冷徹な判断が求められるものですが、今回のエピソードのように魂と魂がふれ合う温かみがあることも分かりました。 そうした意味で、日本人として、先人たちの偉業を再認識し、日本人としての誇りを取り戻す一方、日本人を誇りに思っている国もあることを忘れない事も大切だと感じました。 トルコを熱烈な親日国に変えた「海難事故」について 2015.10.23 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆映画「UFO学園の秘密」大絶賛公開中! 現在、全国で、映画「UFO学園の秘密」(幸福の科学出版作品)が公開されています。 宇宙との交流を取り上げている映画は今までにも数多く公開されていましたが、この映画では、宇宙人がさまざまなキャラクターを持っているという事実など、今までにない切り口で宇宙時代の到来を描いたお勧めの映画です。 米国でも同時公開され、「アカデミー賞」を取れるのではないか!と、ネットでも大きな反響をよんでいます。 まだ、ご覧になっていない方は、下記のアドレスからお近くの上映館を検索することができますので、ぜひご覧ください。 http://www.eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=384 ◆12月には「海難1890」(原題「エルトゥールル」)が公開! さて、引き続き12月には映画「海難1890」が公開されます。これは、今から125年前に実際に起きた海難事故と、その後の感動的なエピソードを描いたものです。 125年前の明治23(1890)年、トルコから一隻の軍艦が日本を表敬訪問しました。「エルトゥールル号」と言います。 この年の6月23日に東京で、明治天皇に対しトルコ皇帝からの親書を渡し、その後約3か月にわたり、日本各地で大歓迎を受け、トルコへ帰国することになりました。 ところが、その途上の9月16日、折からの台風が直撃し、エルトゥールル号は、紀伊半島沖の岩礁に激突、その結果、機関が爆発し、沈没するという悲劇に見舞われました。 この爆発にともない、司令官オスマン・パシャをはじめとする乗務員600人が海に投げ出され、多くの乗務員はこの海難で命を落とします。 悲劇的な事故の中、数少ない生存者たちは力を振り絞って、紀伊半島の最南端、大島村(現在は串本町に合併)潮岬付近の沿岸にたどり着きました。 ◆底抜けに善良な日本人にトルコ人が感動 この遭難したトルコ人の第一発見者は、樫野崎灯台の灯台守と言われ、直ちに、地元大島村の区長をはじめとする村民に伝えられます。 トルコ軍艦による明治天皇への表敬は、すでに日本人に知られていたので、事態の重さを感じた大島村民たちは、不眠不休の救助作業を行います。 特に、漂着した潮岬付近は断崖絶壁で、健康な人間でも上るのが困難な場所で台風の中、村民たちは、遭難者を一人ひとり縄でくくりつけ、崖の上に引っ張ったと言われています。 そうして助けたトルコの乗務員は69名。元々、食糧の蓄えが多いわけではありませんでしたが、村民は、浴衣などの衣類、卵、非常用の鶏も供出され、最大限の救護を行いました。 同時にこの大惨事は、明治天皇にも知らされ、天皇は政府に対し、可能な限りの支援を行うように指示がなされました。 各新聞もこの悲劇を報じたことで、日本全国から自発的に義捐金・弔慰金も寄せられました。 生存者の体力が回復した頃を見計らって、日本政府は海軍の最新鋭艦「比叡」と「金剛」の2隻に生存者を乗せ、トルコのイスタンブールまで送り届けることを計画、実行しました。 2隻になったのは、万一、片方の軍艦が沈没しても対応可能なように、との明治天皇の配慮と言われています。 なお、この中には、後の日露戦争、日本海海戦でロシアバルチック艦隊を相手に大勝利を挙げた秋山真之参謀も少尉候補生として乗り込んでいました。 この航海は、トルコの首都イスタンブールを目指しました。 順調に進み、とうとう、地中海からダーダネルス海峡、ボスボラス海峡を経て、トルコ領海に入るところまで来たのですが、大きな問題が発生しました。 ロンドン条約によって、上記の2つの海峡は「外国船」の通過が認められなかったのです。 実は、ここでいう「外国船」とはロシア船を想定しており、ロシアの南下政策への歯止めとなっていたのですが、日本にもこの条約が適用され、残念ながら、日本はトルコ領海に入る一歩手前のエーゲ海で、生存者を引き渡さなければならなくなったのです。 ところが、迎える側のトルコ国民にも「比叡」「金剛」の航海について広く知られており「日本人を首都まで迎えたい!」という要望が強くなりました。 そして、とうとうトルコ皇帝アブディルハミド2世は特例を認め、2隻がイスタンブールまで来る事を認めました。 1891年1月にトルコに到着し、生存者を送り届けた日本海軍の軍人たちは連日、熱烈な歓迎を受け、約1ヵ月滞在ののち、日本に帰りました。 ◆トルコが親日であった理由 トルコは、日本が「明治維新」という世界史的な奇跡、近代化を成功させたことと、同じ「ロシア」という巨大な敵国に直面していることで、親近感を持っていた中、このような日本人と明治天皇の善意に触れ、さらに好意をもったようです。 このエルトゥールル号の遭難事故について、日本人で知っている方は少なく、中学校の歴史教科書では扶桑社が掲載しているにすぎません。 しかし、トルコでは長年にわたって多くの国民に知られており、日本の外務省の調査によると、約3割のトルコ国民がこの事件を「知っている」と回答しました。 映画「海難1890年」では、日本とトルコ両国で育まれた友好関係について、1895年(昭和60年)イラン・イラク戦争の中で、突如発生した日本人の危機をトルコ政府が救う感動的な実話に基づいて物語がつづきます。 マイナンバーの「のぞき」政策化に歯止めを 2015.10.22 文/幸福実現党・青年局部長 兼 HS政経塾部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆分かりにくいマイナンバー制度の現状 マイナンバー通知カードが11月末までに、不在宅を除いて全世帯に送付される段取りで動いており、私たちの身近なものとなりつつあります。 マイナンバーを取り上げる番組も増えている一方で、「結局、何が決まっていて、何が決まっていないのか」がさっぱり分からないという声も多いのではないでしょうか。 ◆今、決まっていること まず、現状を整理します。 来年2016年1月からは、税金関係と雇用保険関係の処理にしかマイナンバーは利用されません。 社会保障の分野で使用されるのは、2017年からとなります。徐々にスタートしながら、情報連携の環境を整えていくスケジュールです。 ◆まだ、決まっていないこと 口座情報がいつでも監視されかねない「銀行口座とのマイナンバーのひも付き化」、「医療分野での利用」については、あくまで検討している段階で、まだ決まっていません。 マイナンバーの便利さのみを強調して、「まだ決まっていないこと」を、あたかも既定路線のように説明する報道がありますが、これには注意が必要です。マイナンバーの使用範囲拡大を、知らないうちに進めてしまうことになるからです。 ◆マイナンバーの利用範囲拡大が怖い理由 マイナンバー制度の懸念点は、利用が公的分野に限られる既存の「住基カード」と異なり、金融機関など民間にも拡大する可能性があることです。 要するに、私たちの生活を、国が「のぞける」状態になることです。 「のぞいて」、それから国民生活に「規制」を課すことができるようになります。また、いくら罰則を強めても個人情報は流出したらもう元には戻せません。 脱税を防止するという意味でマイナンバー制度を進めるべきという意見もありますが、国民を信頼しない発想の先にあるのは、コストばかりかかる窮屈な監視社会です。 ちなみに中国では、拡大する軍拡による国防費よりも、治安対策などに充てる公共安全費のほうが上回っています(2013年公表情報。2014年以降は公共安全費の予算総額は未公表)。 ◆一体、誰が得するのか? マイナンバー制度の導入で行政効率化を目指すのであれば、例えば、その分、人件費等の行政コスト削減目標も合わせて国民に説明するべきだと思います。 最近でも、公募したマイナンバー関連事業の受注に、便宜を図る見返りに現金を受け取ったとして、収賄容疑で厚生労働省の職員が逮捕されるという事件が起きています。 税金を使って、どのような恩恵を国民は受けられるのかも不透明です。 ◆もっと前向きな投資を 8パーセントへの消費税増税以降、明らかに景気が腰折れしている中、TPP交渉の大筋合意した内容も明らかになり、日本経済の活性化に期待がかかります。 ただ、日本経済全体から見れば、輸出入の依存度はそれぞれ1割程度で、日本経済全体を元気にするためには、より抜本的な国内経済へのテコ入れが不可欠です。 そもそも論になりますが、行政効率が上がっても国民の個人情報漏えいリスクが上がる事業に数千億円かけるよりも、富を産む方向で民間投資の呼び水となる産業への投資を考える方が、国民への恩恵は大きいのではないでしょうか。 ◆「のぞき」政策化を止めるためにできること マイナンバー制度には「これから決めること」が多いため、私たちにできることがまだ残されています。 まずは、「マイナンバーの民間利用拡大の呼びかけを控えるよう行政側(政府)に求める」ことです。 行政側の呼びかけに応じて、サービスをマイナンバーと絡めて行う民間会社も増えるので、そうした呼びかけをしないように求めること。 そして、「口座情報とマイナンバーのひも付き化の義務化」等に必要な法改正をストップする機運を高め、法改正できない状況を創ることです。 国民を疑う監視社会ではなく、国民を信頼する自由で活力ある日本とするためにも、マイナンバーの「のぞき」政策化には歯止めをかけるべきです。 月と火星に植民都市を!――「宇宙エレベーター」が可能にする人類の夢 2015.10.21 文/HS政経塾2期卒塾生 幸福実現党・埼玉県本部幹事長代理 川辺賢一 ◆映画「UFO学園の秘密」上映 今月10日より、幸福実現党大川隆法総裁、製作総指揮の映画「UFO学園の秘密」が全国の劇場にて上映開始いたしました。 映画では高校生の主人公たちが宇宙人やUFOに遭遇し、様々な惑星を旅する様子が描かれております。 宇宙人やUFOを否定する人もいるかもしれません。しかし、今後、日本が経済的にも政治的にも、国際競争力を維持していくために、宇宙開発への注力が不可欠であることは論を待ちません。 奇しくも今月14日~16日には東京ビッグサイトにて宇宙航空分野の産業見本市「東京エアロスペースシンポジウム」が開催され、併設のテロ対策特殊装備展、危機管理産業展と合わせて、10万人を超える人で賑わいました。(筆者所属の企業も映画には協賛企業として、展示会には出展企業として参加)。 さて、幸福実現党大川隆法総裁は立党以前から、21世紀日本の国家目標として、宇宙開発のあるべき方向性を提示しています。(参照『愛、悟り、そして地球』) それが表題の「月と火星に植民都市を」です。 地球の人口増加によるストレスを新しいフロンティア、すなわち他惑星への移住政策によって解消し、逆説的ではありますが、宇宙時代に向かって大きく踏み出すことで、地球という星の持つ意味や豊かさがわかるというのです。 ◆宇宙エレベーターの建設を しかし現状、「月や火星に出かける」というのは、我々一般人にとって夢のまた夢です。 理由は莫大な費用がかかるからです。この莫大な費用が人類一般の宇宙旅行や月や惑星の探査、入植地の建設を妨げる現状最大の要因となっております。 現在計画されている民間の宇宙旅行計画では、高度100kmの旅行で1200万円以上、本格的な宇宙旅行で約12億円、月旅行で120億円の費用がかかり、NASAの試算ではアポロ型宇宙船で月面着陸した場合、総計約12兆5千億円もの費用がかかるとされます。 では一体なぜ、これだけの費用がかかるのでしょうか。 現在、宇宙開発の中心は主に「ロケットの打ち上げ」です。人工衛星にしても、有人宇宙飛行にしても、地上から宇宙へ人やモノを輸送する手段は、ロケットの打ち上げに限られております。 そしてこのロケットの打ち上げのなかでも、特に地球からロケットを打ち上げて、高度3万6千kmの静止軌道上にまで物資を運ぶのに、莫大な費用がかかるのです。 逆にもし、より安価な方法で、地球から静止軌道上、及びその先まで、人やモノを輸送する手段が確立されれば、例えば月面基地の建設等も20年後と言わず、来年にでも始めることができます。 そして技術的に実現可能で、ロケットと比較して圧倒的に安価な宇宙輸送手段こそ、宇宙エレベーターなのです。宇宙エレベーターとは、高度10万kmの宇宙空間から垂れ流されたケーブルをつたい、宇宙ステーションまで物資を運ぶシステムです。 これまで宇宙エレベーターは、地球から10万kmに及ぶ機構を支える素材がなかったために夢物語でしたが、1999年頃、鋼鉄の400倍の強度を持つカーボンナノチューブが日本人により発明され、現実に実現可能なアジェンダとなりました。 宇宙エレベーターの建造総費用はたった1.2兆円です。10年間、1200億円の支出に耐えられる国や企業、個人であれば建造可能なのです。 これにより宇宙輸送や月面探査の費用は、何と98%も削減され、運搬可能な積載トン数も増加。利用可能な宇宙空間は一気に広がります。 宇宙エレベーター上に建設される宇宙ステーションは、月や惑星に向かうロケットや人工衛星の発着地となり、人工衛星の運用も格段に安くなることで、宇宙関連市場の拡大や新たな通信システムの構築が促進されるでしょう。 何より宇宙エレベーターの建設によって、人類の月や火星への移住と都市建設が初めて現実的なアジェンダとなるのです。 ◆新たな宇宙時代に大きく踏み出せ さて現在、日本の宇宙開発は、米国やロシア、中国等と比べて、遅れを取っております。 しかし、だからこそチャンスなのです。宇宙エレベーターは、これまでのロケット打ち上げ志向の宇宙開発を陳腐化させ、宇宙開発の在り方を根本から変えてしまう「破壊的技術」だからです。 NASA(米国航空宇宙局)では、10~20年先を見越した事業計画が立てられており、官僚機構であるNASAにとって、ロケット打ち上げを前提とした開発計画を破棄し、過去の慣例的な予算配分を変えるのは、とてつもない冒険です。 また宇宙エレベーターの発着地に最適な場所は、赤道付近で南半球の洋上、大陸の西側とされるため、ロシアや中国にとって有利な地域ではありません。(太平洋の東部から中部にかけての洋上が最適な候補地の一つ)。 ゆえに日本こそ、宇宙エレベーター建設に名乗りを上げるべきです。そして月と火星における植民都市の建設を21世紀の国家目標として掲げ、新たな宇宙開発の地平を切り拓いていくべきです。 宇宙には無限の夢が広がります。何よりも私たちが全く予想もしていなかった知見の発見があるはずです。幸福実現党は宇宙に夢を馳せる全ての人たちが宇宙旅行に飛び立てる時代を創造して参ります。 参考文献 『愛、悟り、そして地球』(大川隆法著) 『救国の秘策』(大川隆法著) 『宇宙旅行はエレベーターで』(ブラッドリー・C・エドワーズ、フィリップ・レーガン 共著) 「正義の国・日本!」―満州事変から大東亜戦争まで【3】(全3回) 2015.10.20 文/幸福実現党・茨城県副代表 中村幸樹 ◆大東亜戦争の原因(1)――「人種差別による日本人排斥」 1919年、日本はパリ会議で、国際連盟規約への「人種差別撤廃条項」を提案し、賛成多数になるも、議長のアメリカ大統領ウィルソンは否決しました。 以後、アメリカの排日運動は勢いづき、1924年5月には、「絶対的排日移民法」が成立しました。 これで、親米的だった大部分の日本人が反米に変わり、日本政府のアメリカ協調外交も難しくなっていきました。 昭和天皇は、戦後「この大戦の遠因はアメリカ移民の問題であり、近因は石油が禁輸されたことである」との主旨を言われましたが、正鵠を得ていたと思います。 そして、正義は、「人種差別撤廃」「植民地解放」を目指した日本にあったからこそ、戦後のアジア・アフリカ諸国は、独立していったのです。 ◆大東亜戦争の原因(2)――「共産主義の工作」 1930年代のアメリカ政府には、共産主義のスパイが何百人も入り込んでおり、「ハル・ノート」を作成した財務次官補ハリー・ホワイトもソ連のスパイでした。 戦後の朝鮮戦争、ソ連との冷戦、ベトナム戦争、中共の台頭を見れば、共産主義を悪と見て、防共に努めた日本に、正義があったと言えます。 ◆大東亜戦争の原因(3)――「ホーリイ・スムート法に始まったブロック経済」 1929年、アメリカ下院議会に上程されたホーリイ・スムート法が、世界恐慌の決定打となりました。約1000品目の巨大な関税障壁により、一年後には、世界の貿易量が半分になりました。 1933年のオタワ会議で、イギリスもブロック経済に入りました。 アウタルキー(自国で出る原料・資源で経済的なことが完結できる政府)ができるアメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ソ連は良くても、アウタルキーができない日本、ドイツ、イタリアには、致命的な問題でした。 戦後、ブレトン・ウッズ体制をとって自由貿易を推進したのは、ブロック経済、保護主義が、先の大戦の遠因だとわかったからです。 ◆大東亜戦争の原因(4)――「石油禁輸とABCD包囲網」 アメリカ、イギリス、シナ、オランダを抱き込んだABCD包囲網で、日本は資産を凍結され、石油や鉄など様々な原材料を輸入できなくなりましたが、致命的なのは石油禁輸でした。 大東亜戦争が自衛戦争であったことは、アメリカ上院軍事外交合同委員会におけるマッカーサーの証言でもわかります。 「日本は絹産業以外には、固有の産物はほとんど何もないのです。彼らは綿がない、羊毛がない、石油の産出がない、錫がない、ゴムがない、その他実に多くの原料が欠如…これらの原料の供給を断ち切られたら、一千万から一千二百万の失業者が発生するであろうことを彼らは恐れていました。従って、彼らが戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったのです。」(マッカーサー証言 抜粋) 大東亜戦争の原因として、日本からアメリカに仕掛けたことは何もありませんでしたが、ルーズベルトは、ドイツと戦うためにも、何がどうあろうと、日本を戦争に追い込むつもりでした。 1941年2月には、日本と戦って屈服させた後の処理を研究する「特別研究部(SR)」を発足させ、7月18日には、150機のB17爆撃機と、250機の戦闘機で東京、横浜、大阪、京都、神戸への爆撃作戦「JB-355」も承認していました。 (戦線が急迫したイギリスに爆撃機を回して実施はされず。) ◆大東亜戦争は、「自衛権の行使」「植民地解放」「人種差別撤廃」の聖戦 大東亜戦争は、人種差別による日本人排斥、共産主義の工作、ブロック経済とABCD包囲網の経済封鎖で追い込まれ、特に石油禁輸が決定打となった「自衛戦争」でした。 日本は、戦わざるを得なくなった以上、正義を貫くべく、全占領地域で現地政府を樹立し、自主独立への教育訓練、人種差別撤廃を推進しました。 大東亜戦争は、「欧米列強から、アジアの植民地を解放し、白人優位の人種差別政策を打ち砕くとともに、わが国の正当な自衛権の行使としてなされたもの」「アジアの同胞を解放するための聖戦として、日本の神々の熱き思いの一部を実現せしもの」(『大川談話』)だったのです。 大川談話―私案― http://special.hr-party.jp/policy2013/okawa-danwa/ 「大東亜戦争は神の意を受けた聖戦であり、激戦の地で戦死した先人たちは英雄である。」(真の平和に向けて あとがき)と断言し、筆を終えます。 『真の平和に向けて』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1464 「正義の国・日本!」―満州事変から大東亜戦争まで【2】(全3回) 2015.10.17 文/幸福実現党・茨城県副代表 中村幸樹 ◆日中戦争の経緯(4)――[南京攻略] 日本は、首都をおさえれば蒋介石も講和に応じるだろうと考え、南京攻略を決断しました。 日本軍は、世界一の規律を守る人道的な軍隊でしたが、南京攻略戦でも、松井石根大将は、後世の模範となる行動をするべく全軍に訓令を出し、軍規を徹底して、終始、立派な指揮をしました。 日本は、住民に被害が出ないように、国民政府軍にオープン・シティ勧告を出しましたが、蒋介石は、勧告を受け入れず、市民を置き去りにして脱出してしまいました。 ドイツ軍に対するパリの如く、オープン・シティにすれば被害が出ないのに、しなかった責任は蒋介石にあります。 日本軍は、慎重に、攻略前にも投降勧告を出し、拒否を確認してから、1937年12月10日、攻撃を開始しました。蒋介石に任された唐生智(トウセイチ)将軍も途中脱出してしまい、日本軍は13日には城内に入り、17日には正式に入城式が行われました。 市民の多くは日本軍が来る前に南京城内から逃げ、逃げ切れなかった市民が第三国がつくった「安全区」に避難しました。日本軍占領後は「南京は安全だ」と分かり市民が戻り始めると、約1か月後には、人口は25万~30万に増えています。 「南京大虐殺」という言いがかりは、中国共産党の覇権に悪用され、日本の自虐史観の原因にもなっていますが、東京裁判で、突如として捏造されたものです。東京大空襲や原爆投下の正当化のためにも、日本の戦争犯罪をでっち上げる必要があったからです。 日本人による虐殺など存在しなかったがゆえに、戦後になるまで噂さえ立たず、蒋介石も米英仏も、当時抗議したことがなく、多数駐在していた欧米マスコミからも指摘されず、東京裁判では実証できず、戦後出てきた「証拠写真」なるものは、すべてインチキと判明しているのです。 ハーグ陸戦規定により、便衣隊(ゲリラ)は、掃討し、処刑するのが国際常識ですが、これは虐殺とは呼びません。 ◆日中戦争の経緯(5)――「欧米諸国の蒋介石支援」 日本は、上海、南京、広東、北京、天津、保定、武漢三鎮(漢口、漢陽、武昌)などの主要都市を皆占領しましたが、蒋介石は重慶の山の中に逃げていました。 米英ロシアが、資金、物資、兵器等を、蒋介石を支援し続けなければ、南京政府を作った汪兆銘と蒋介石を話し合わせ、日本軍が願い続けていた支那からの撤退が可能となったはずです。 ルーズベルトは、米退役将校シェンノート(中華民国空軍航空参謀長)の航空隊「フライング・タイガース」に、アメリカ人飛行士100人と飛行機500機の派兵までしました。日米開戦前の軍事的関与であり、重大な国際法違反です。 ◆日中戦争(支那事変)は、日本の侵略戦争ではない 日中戦争は、すべて受け身で、支那側からの攻撃に対処していったものでした。 開戦責任は支那側にあり、日本陸軍は、引きずり込まれながら、一貫して終結を願い続けましたが、共産主義のスパイ活動、米英の蒋介石支援により、抜け出せなかったというのが真相です。 もし、支那事変が侵略なら、例えば、韓国軍が、突如、アメリカ民間人を大量虐殺し、在韓米軍を攻撃してきたため、米軍が救出に向かったら、アメリカは韓国を侵略したということになります。 そして、米軍が韓国に平和と秩序と繁栄を取り戻し、新たな韓国人リーダーを擁立して撤退しようとしても、もとの韓国軍が北朝鮮の山奥に立てこもり、中国やロシアが兵器や物資、資金を供給し続けるために、撤退できずにいたら、アメリカは韓国を侵略し続けている、ということになります。 つまり、支那事変が日本の侵略戦争なら、朝鮮戦争もベトナム戦争も、アメリカの侵略戦争ということになりますし、世界のほとんどの紛争を侵略戦争と呼ぶことになります。 ですから、支那事変を日本の侵略戦争とするのは不当であると結論づけられます。 すべてを表示する 1 2 3 Next »