Home/ 2011年 October 2011年 October 楽観視できないカダフィ後のリビア 2011.10.21 「私は殉教者として死ぬ」と支持者たちの前で叫んだカダフィ大佐は20日、体制派と反体制派の戦闘に巻き込まれて死亡しました。「アフリカの王の中の王」と呼ばれた独裁者は生まれ故郷のシルトで最後を迎えました。 カダフィ大佐は1969年の革命以来、42年間に渡ってリビアの独裁者として君臨して来ました。カダフィ大佐が死亡したことは、リビアに自由と民主主義をもたらす希望と同時に、情勢次第によっては今後、リビアの混乱が更に継続することも考えられます。 カダフィ大佐の死亡によって、反体制派のリビア国民評議会は今日、明日にも全土解放宣言を行う予定ですが、リビアはカダフィの死亡によって簡単には安定化しないと考えられます。 リチャード・ハース米外交問題評議会会長は「カダフィの死はリビア情勢を部分的に変化させるかもしれないが、それを抜本的に変化させることはない。…当面、国内で戦闘が続く可能性もある」と述べています。(FOREIGN AFFAIRS REPORT 2011/10) リビアの不安定要因の第一は、政治勢力として各地域に根差した部族間の動向にあります。 元々、リビア国内は3つの地域(ベンガジを中心としたキレナイカ地方、トリポリを中心としたトリポリタニア、リビア西部のフェザーン地方)に分かれており、その中でも、キレナイカ地方は今後の安定化のカギを握る地域です。 1969年のカダフィ大佐による革命前は、国王が主権を握る王制であり、国王イドリース1世の出身地域はキレナイカ地方でした。カダフィが実権を握った後は、キレナイカ出身の人間は出世などにおいて冷遇されてきたことが指摘されています。 反体制派が掲げる国旗は王制時代のリビア国旗であり、国民評議会は新生リビアの政治権力をどのように調整し、各地域間をコントロールするか、難しい舵取りが予想されます。 リビアの不安定要因の第二は、今後、どの勢力が新生リビアでリーダーとなるのかが未だ混沌としていることにあります。 現時点で国際的に承認を受けた勢力はリビア国民評議会だけですが、国内には別の勢力もカダフィ体制打倒に貢献しています。特に、トリポリ軍事委員会は国民評議会も無視することができない勢力を保っています。 両者の意見調整が出来なかった場合、トリポリとベンガジを中心とした勢力間で内戦が行われる可能性も捨てきれません。 リビアの不安定要因の第三は、リビア内戦によって落ち込んだ石油生産の回復についてです。 リビアの今後の石油生産で焦点となる地域としてフェザーン地方の油田を指摘できます。同地方は全石油生産量の五分の一を占めており、この地域は遊牧系の武装勢力が標的として石油施設を狙う可能性があります。 カダフィ派の残存勢力がこの地域でゲリラ活動に動いた場合、治安が不安定化することは避けられません。 これら三つの要因によって、今後もリビアは不安定な状態が続くことが予想されます。 ヨーロッパは、リビア内戦への介入を主導してきましたが、カダフィ後の体制づくりには、手助けしようにも、欧州債務危機が足を引っ張り、対応が困難な状況にあります。 カダフィ後のリビアが、こうした多くの難題を克服し、自由と民主主義、希望と繁栄に満ちた国家を築くべく、日本を含めた国際社会は広範な支援を進めていく必要があります。(文責・黒川白雲) メタンハイドレート開発を進め、「資源大国」を目指せ!! 2011.10.20 19日の報道によると、政府は「メタンハイドレート」の実用化を目指し、来年1月からアメリカの大手エネルギー会社と共同で採掘実験を行うことで合意しました。 メタンハイドレートは天然ガスの一種で、メタンガスと水が結びついて氷状になったもので、日本近海の海底にも豊富な埋蔵量が確認されており、石油などに代わる新たなエネルギーとして期待されています。 今回の合意では、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構がアメリカの大手エネルギー会社・コノコフィリップスと共同してアラスカ州北部で採掘実験を開始。 地下1000メートルまで井戸を掘り、陸上でどの程度の量のメタンガスを採掘できるのかを検証し、海底からの採掘の実用化につなげていく方針です。 「資源小国」といわれる日本ですが、実は日本近海には、莫大な資源が眠っていることが分かっています。 特にメタンハイドレートは世界有数の埋蔵量を誇っており、1996年の時点でわかっているだけでも、天然ガス換算で7.35兆m3(日本で消費される天然ガスの約96年分)以上と推定されています。 さらに、尖閣諸島近海の海底には、実にイラクの埋蔵量に匹敵する石油が眠っていると言われ、天然ガスなどを含めると、日本は世界有数のエネルギー資源大国になれる可能性があるのです。 なお、中国が尖閣諸島の領有権を主張しはじめたのは、こうした調査結果が明らかになった直後であり、中国の海洋進出の一端がこうした日本の海洋資源確保を目的としているのは明らかです。 しかし、残念ながら、技術とコスト面などから、日本ではこうした海洋資源の採掘がほとんど進んでいません。 メタンハイドレートに関しては、2001年~2008年で基礎研究、2015年までが実証研究、2018年まで技術整備を行い、その後、商業ベースに乗せるという、かなりゆっくりとした計画が組まれているだけです(独立法人・科学技術振興機構ホームページより)。 そうした採掘技術開発の最大ネックになっているのが、我が国の政治家のビジョンと指導力の不足、そして予算でしょう。 実際、今回の共同採掘実験で、日本側の石油天然ガス・金属鉱物資源機構が負担する費用は、わずか700万ドル(5億4000万円)に過ぎません。 もちろん、実験の規模にもよりますが、民主党による「子供手当て」(初年度2010年度の総支給額が約2兆2500億円)などのバラマキ予算と比較すれが、いかに少ないかが分かります。(ちなみに、日本の国家予算における科学技術関係予算の総額は約4兆円です)。 幸福実現党は、増税によらない景気回復によって経済復興を実現し、しっかりとエネルギー戦略を実行し、日本の科学技術の発展と国家の繁栄を実現して参ります。(文責・矢内筆勝) インフレで財政再建は無理なのか? 2011.10.19 10月17日の新聞で「インフレで財政再建は無理=過大な税収増を否定」という記事が出ました。内閣府から発表された報告書を受けてのものです。 内閣府の経済社会構造に関する有識者会議(座長・岩田一政元日銀副総裁)がまとめた報告書では、名目成長率が1%高まると税収が何%増えるかを示す税収弾性値を詳細に分析しています。 注目に値するのが、一般には、2000年代以降の税収弾性値が4を計測されていますが、当該期間中に多くの税制改正が行われたことが大きく影響しているので、税制改正の影響を取り除く必要があるとしている点でしょう。 同報告書では、同期間の税収弾性値は3.13まで小さくなることが指摘するだけではなく、現在の税収弾性値は1.3を下回る可能性があるとしています。 推計結果がどうであれ、税収弾性値が低いという結果をどう考えるべきでしょうか。 実は、背景事情を知ると、同報告書の背後に見え隠れする財務省と日銀の思惑が滲み出てきます。 論点は、大きくわけて三点です。 一点目は、名目成長率とインフレによる自然税収を過小評価しています。その一方、税収弾性値が低いので、増税してもGDPに与える影響は小さいということをほのめかしています。 その証拠に、同時に発表された資料の中には、過去の税率引き上げが必ずしも景気後退の主犯だとしていない点やドイツやイギリスの付加価値税増税が、景気に及ぼす効果は限定的だとしています。 第二点目は、物価の上昇が財政収支を悪化させるとしている点です。同報告書では、少子高齢化社会を迎える我が国では、財政支出増は不可避だとします。そのためには、社会保障の効率化をはじめとした歳出削減が大事であることを主張しているのは正論です。 ただ、問題だと思われるのが、名目成長率が高まれば物価だけではなく金利も上昇して、国債の利払い費が膨らんで財政収支が悪化するという視点です。これは、典型的な財務省の見解です。 確かに、金利上昇による利払い費の上昇はありえるでしょう。しかしながら、金利の上昇がいったん国債などの債券に盛り込まれれば、固定金利が多い国債ではそれ以上の利払い費の増加は起こりません。 2年ないし3年のスパンを経ますが、確実に所得税や法人税の自然増収があとを追いかけてきます。利払増を過大評価する必要はありません。 そして、同報告書で特徴的なのは、名目成長率よりも実質成長率を重視していることです。実質成長率とは、名目成長率から物価上昇率を引いた値です(厳密には予想物価上昇率)。例えば、現在が1%前後の成長率ですから、物価上昇率は0%から1%以下であればよいということになります。 ただ、日本経済は、90年以降のトレンドはデフレです。技術的な話として、消費者物価上昇率は2%ほどの上昇バイアスがあるという指摘が経済学者から出されており、日銀の金融政策は「デフレ目標政策」であるとの批判があるくらいです。 例えば、物価上昇率が0%を達成されたとしても、実際はマイナス2%ということです。裏返せば、実質成長率を重視する限り、デフレの脱却は極めて難しいでしょう。 これは、インフレを警戒する日銀の姿勢と見事に一致しています(同報告書の別資料には、インフレを招く日銀の国債直接引受も断固否定している)。 そして、三点目は新しい増税を主張していることです。有識者会議には増税論者として有名な井堀利宏教授がいます。同教授は、消費税を15%まで徐々に引き上げていくことを主張しています。同教授の著書を紐解けば、報告書と同じ結論が出てきます。低い税収弾性値税の見積もりから、増税による景気悪化効果と成長による自然増収効果を過小評価している点には疑問符がつきます。 このニュースファイルで何度も指摘している通り、デフレ不況下の増税は許されるものではありません(増税のタイミングには慎重論を入れているが、増税路線には変わりない)。 適度なインフレと成長を肯定し、日本を繁栄させる! 要するに、同報告書は、財務省と日銀の御用学者が書いた「日本経済衰退宣言」なのです。デフレ不況と震災で苦しむ日本経済において、増税と金融引き締めを正当化し、成長とインフレを否定してどうやって日本経済を繁栄させるのでしょうか。私には、彼らの指摘からは、明るい未来は見えてきません。 幸福実現党は、『日本経済再建宣言』に明記した通り、成長と適度なインフレを肯定しています。特に、国際標準では、3%から4%程度のインフレは、経済に対する悪影響を及ぼさず、経済成長に寄与します。 これは、ノーベル経済学者が主張していますので、それほどおそれることではないはずです。むしろ、成長とインフレを肯定し、日本の繁栄を復活させることの方がよほど健全ではないでしょうか。(文責:中野雄太) 世界初の商業宇宙港がオープン!宇宙旅行は一人1500万円。 2011.10.18 宇宙観光を準備中のヴァージン・ギャラクティック社は17日、米ニューメキシコ州南部の砂漠地帯に、宇宙船が離着陸するスペースポート・アメリカ(宇宙港)を完成させました。 スペースポート・アメリカは世界初の民間宇宙港で、標高1400m、年間晴天日数が約300日と高く、上空が飛行禁止区域となっているため、宇宙船を打ち上げるのに最適な場所です。 その日はイベントも開催され、リチャード・ブランソン会長、スサナ・マルティネス州知事らが参加し、ヴァージン・ギャラクティック社の宇宙旅行予約者も招かれました。 イベントの中で、同社を率いるリチャード・ブランソン会長は「今日はヴァージン・ギャラクティック社のための歴史的な1日です。21世紀で最も重要な新しい産業を作るために、私たちは素晴らしい人々のグループと一緒にここにいます。少数の開拓者が始めた航空産業のように、この美しい建物も時代を変える」と述べ、宇宙旅行時代の到来を宣言しました。 いよいよ、宇宙旅行が目前に迫ってきました。 旅行代金は1人約20万ドル(約1500万円)。宇宙船が実用化されれば、健康な人であれば80代の方でも乗れます。日本人も含めて既に455人が予約しています。 70代の方も予約しています。 すでに宇宙旅行を予約しているのは、F1ドライバーのミハエル・シューマッハ選手やルーベンス・バリチェロ選手、デザイナーのフィリップ・スタルク氏、イギリスの物理学者スティーヴン・ホーキング博士。日本人として、小僧com株式会社の代表取締役会長兼社長である平松庚三氏、元外資系IT企業勤務の稲波紀明氏ら3人も参加する予定です。 宇宙へのロマンに不況という言葉は関係ありません。 ヴァージン・ギャラクティック社のサブオービタル宇宙旅行は早ければ2011年末から2012年初にスペースポート・アメリカで開始する予定となっています。 宇宙船「スペースシップツー」を載せた「ホワイトナイトツー」は、約1万8000m上空まで上昇した後、「スペースシップツー」を切り離します。(→スペースシップ2) 切り離された「スペースシップツー」はロケットエンジンを点火し、一気に高度約110kmの宇宙空間へ上昇。6名の乗客は約5分間の無重力を体験でき、丸い地球を眺めることもできます。 まずは来年2012年に宇宙旅行がスタートすれば、人類は新しいステージに立つことになるでしょう。日本も宇宙開発(=ロマン)に投資していくことで、まだまだ富を創造する道はあります。(文責:小島一郎) 「格差=悪」ではない!嫉妬心を正義としてはならない! 2011.10.17 ニューヨークに端を発した反経済格差デモ「ウオール街を占拠せよ!」は15日、英国やドイツ、イタリア、スペインなどの欧州から韓国、台湾などアジアまで世界各地に広がりました。 今回の一斉行動は、ニューヨークのデモ主催者が「世界一斉行動日」と位置付け、facebook等を通じてデモが呼びかけられました。ネットで連携し、世界80カ国で「反格差」デモとして行われ、ローマでは参加者が車に放火するなど暴徒化しました。 まるで「レミングの大量死」のように、世界中が洗脳されて同じ方向を向き、「暗黒思想」に取り憑かれたかのようです。 「資本主義の精神」には、宗教的信条に基づく「自由」と「自助努力の精神」「個性の尊重(分業と特化)」が根本にあり、そこに「格差」が生まれるのは当然のことです。 繁栄を求めるならば格差は避けられません。格差を認めない社会とは、共産主義社会のような「貧しさの平等」以外にありません。 こうしたデモは「ジャスミン革命」を装っていますが、「反格差」とは、これまでマルクス主義者達が主張して来た「結果平等」と同義です。 この日は、東京でも約3カ所でデモ行進がありました。日比谷公園のデモは「反格差」といっても、「みんなに家を!職を!」「原発反対」「学費が高い」「TPP反対」など、バラバラな主張でした。 しかし、根っこは同じで、そこには日本を覆う深い「嫉妬心」を感じます。 「誰かを犠牲に安穏と生きるのは卑怯な生き方だ」と書いたプラカードもありましたが、「嫉妬心」を「正義」と勘違いしてはいないでしょうか?このような偽物の正義のもとで、幸福になる者は一人もいません。 イギリスのサッチャー元首相は格差問題批判に対して、「金持ちを貧乏にすることによって、貧乏な人は豊かにはならない」と言い切っています。 嫉妬を合理化する社会から成功者は生まれません。「格差是正」という名のバラマキ型国家運営では国家財政は必ず破綻し、頑張った人の努力が報われず、経済は衰退していきます。これは、社会主義の失敗を見れば明白です。 東京六本木の100人のデモは「東京を占拠せよ(Occupy Tokyo)」という、スローガンで、会場と米国をインターネット電話で結び、世界に繋がっていることをアピールしたそうです。 世界経済ベスト3を占める経済大国、米国と日本で「反格差」デモで連携してどうするのしょうか?恥ずかしいことです! 世界の未来は「規制、独裁、貧しさの平等」ではなく、「自由と繁栄」の方向にあることを示し、中国のような共産主義や社会主義の国をも民主化していく使命をもった、世界のリーダーがアメリカと日本だったはずです! 「自助努力をし、智慧を絞り、汗を流した人は報われる」「富はそれを否定する人には入ってこない」―どこの国よりも強く信じたアメリカに「アメリカン・ドリーム」は起こったのです! 経済の大部分は心理経済、人間の「共通心理」によって動いています。「格差=悪」の思想から、世界中で大恐慌を待ちわびる潜在意識があり、その心理が不況を作り出してるのです。 そうではなく、米国経済を立ち直らせたスティーブ・ジョブズのような成功した企業家を多数輩出してこそ、雇用が増え、景気が良くなり、給料も増え、国家全体が豊かになるのです。 マスコミは悪いことだけ大きく報道し、「暗黒思想」をばら撒いています。「格差」と叫ぶ声の奥に「嫉妬」があるならば、それを「祝福」へと変えましょう!何度でも、明るい光明思想で打ち消し、打ち勝たなくてはなりません。 「反格差(結果平等)」という「結果」ではなく、自由の中で「自助努力」が報われ、自身が成長していく「過程」にこそ、人間の本当の生きがいと幸福、人生を生きる意味があるのです。 政治も経済も「人間は神仏の子であり、一人ひとりが自立できる尊い存在である」という力強い人間観を持ち、政府に頼らず、一人ひとりが自立して力強く立ち上がることを目指す「小さな政府」「自由からの繁栄」を実現すべきです! 世界恐慌は起こりません!日本は沈没しません!暗黒思想に負けることなく、明るい未来を強く信じてまいりたいと思います。(文責・竜の口法子) 日本の空が危ない!――制海権のみならず、制空権を拡大する中国 2011.10.16 10月14日の朝日新聞一面によると、日本周辺に近づいてきた中国機に対する航空自衛隊の緊急発進(スクランブル)は今年4~9月、前年同期比3倍超の83回に達し、半年間としては過去最多になりました。 昨年は3月に早期警戒機型1機が中間線付近まで進出しただけでしたが、今年3月には情報収集機型など2機が中間線を越え、尖閣諸島周辺の日本領空約50キロまで接近しています。 今年7月にも中国の情報収集機型が2回、中間線を越えており、8月中旬には中国の「戦闘機」が初めて東シナ海の日中中間線を越え、海上自衛隊の情報収集機を追尾しました。 このように、昨年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件以来、日本領空に接近する中国機は急増しています。(2011年9月7日産経) しかも、中国は「情報収集機」から「戦闘機」に格上げし、日中中間線を越え、着実に東シナ海での「制空権」を拡大させています。 空だけでなく、海でも中国漁船衝突事件後、海上保安庁が尖閣海域で中国漁船による領海侵入に対して行った退去警告は既に300件以上。周辺海域では今も多い日には約50隻の中国などの漁船が確認され、海保幹部は「今後急増する可能性もあり、予断を許さない」と警告を発しています。(2011年9月7日読売) 尖閣諸島付近で中国軍機や中国船の侵出が急増している最大の原因は、中国漁船衝突事件において、民主党政権が中国漁船船長を釈放し、日本領における主権(統治権)を放棄したことによります。 あれから一年を経て、前政権で内閣官房参与を務めた松本健一氏が「中国人船長を処分保留のまま釈放したのは、当時の菅首相と仙谷由人官房長官の政治判断によるものだった」との報道もされています。(2011年9月26日産経) このように、民主党政権が国防の務めを放棄したことが原因で、中国は今、日本の国防の隙を突いて制海権、制空権を拡大しつつあります。 もはや、尖閣諸島海域は中国漁船、中国漁業監視船、中国調査船が自由に航行できる海と化しています。今後は、制海権のみならず、日本の制空権も確実に中国に奪われ、拡大されていくでしょう。 先の民主党代表選挙でも国防政策について全く触れず、国防の素人であることを自慢する防衛大臣を誕生させた野田政権に国防強化を期待することは全くできません。 民主党政権の間に、中国は日本侵攻に向けて、着々と歩を進めていくことは間違いありません。 今、沖縄や本土も含めた日本の防衛は尖閣諸島を突破口にして、中国の圧倒的な軍事圧力の前に破られようとしています。 もはや民主党政権に国防強化は全く期待できない以上、国を憂える心ある志士達が立ち上がる以外にありません。それが私たち幸福実現党の使命でもあります。(文責・佐々木勝浩) 「新聞週間」――メディアは国民の「知る権利」に奉仕せよ 2011.10.15 本日10月15日から「新聞週間」が始まります。社団法人日本新聞協会は、毎年、記念行事を開催すると共に、新聞が担う使命や責任を問い直す節目としています。 新聞の発行部数は、人口の多い中国、インドに次いで日本は世界第3位であり、この上位3ヵ国を成人人口で比較すると日本は断突の1位です。 また、一世帯あたりの部数は0.92部となり、ほぼ全世帯に行き届いている計算になります。文字離れが叫ばれて久しい日本ですが、世界の中では最も活字に溢れた国だと言えます。(新聞協会HP/『World press trends』2010年版) 特に、日本では新聞各紙の活字が社会に与える影響が世界で最も大きいことを踏まえ、新聞やメディアが本当の意味で、国民の「知る権利」に奉仕しているのかを厳しく問うべきです。 「新聞週間」にちなんで、東京新聞では「当たり前の新聞目指す 新聞週間に寄せて」(10/14論説主幹・清水美和氏)という記事で「庶民は正確な情報さえあれば賢い判断を下します」と主張しており、この点、的を得ています。 しかし、その後の行(くだり)を見ると、「膨大な借金を抱える日本は将来の増税もやむを得ないでしょう」と結論付け、短絡的に世論を「増税」に誘導しています。 また、「沖縄の人々が集中する米軍基地に反感を募らせていては、日米関係は安定しません」として、「米軍基地反対」を世論として誘導する意図が見られます。 上記は一例に過ぎませんが、新聞情報には、このような偏向報道が随所に見られます。偏った情報に基づいては、私たち国民は「正しい判断」や「正しい政治家の選択」をなすことが出来ません。 国民の側としても、メディアは単なる判断材料に過ぎないと自覚し、新聞の言論を鵜呑みにせず、情報の発信源は何処の誰か、本当に信頼に足るものなのか、そして隠された意図は何かなど、「メディア・リテラシー」(メディアから正しい情報を読み解く見識)を高めていく必要があります。 「増税」に関して言えば、増税が消費を冷え込ませて不況を深刻化させ、倒産やリストラが増大すること。消費税増税が自殺者が年間3万人を超える引き金となったこと。増税しても税収が減っている事実など、メディアは増税のデメリットも報じるべきです。 そして、「経済成長なくして、税収増(財政再建)も、社会保障の拡充も実現できない」という、世界では常識となっている国家経営の基本を国民に伝えるべきです。 また、「沖縄の米軍基地」に関して言えば、東シナ海や南シナ海における中国の覇権主義の脅威、日本の主要都市に照準を合わせている中国や北朝鮮の核兵器の脅威等を伝え、抑止力として日米同盟が不可欠であることを伝えるべきです。 実際、中国は、米軍がベトナムから撤退した年にベトナムに攻め込んでおり、また、フィリピンでも米軍が撤退した直後に、領海侵犯を行い、実効支配を始めています。 地政学的にも、沖縄に米軍基地が無くなれば、中国や北朝鮮の脅威から、日本や台湾、韓国等を守ることは困難になり、アジアの平和を守ることは出来ないという現実を伝えるべきです。 福島原発の報道においても、マスコミは中途半端な科学的知識を弄して不安を煽り立て、風評被害を拡大させていることに鑑みると、「風評被害」というよりも、「マスコミ被害」というべきものがあります。 また、「政権交代」の大合唱の結果、民主党政権の2年におよぶ混乱と政治空白による国難をもたらした責任を、新聞・マスコミ各社はどのように取るおつもりでしょうか。 新聞各社が国民に確かな視座を与えること無くして、国民は正しい判断は出来ず、日本再建を成し遂げることは出来ません。マスコミは公論を論じる重さを自覚し、その責任を果たして頂きたいと思います。 「新聞週間」の機会に、新聞は本当の意味で、国民の「知る権利」に応えるべく自己変革すべきですし、私たち国民はマスコミ報道の真偽を見抜き、情報を活用していく見識を高め、政治・経済の再建を成し遂げてまいりたいと思います。(文責・小川俊介) 欧米経済危機――減税による内需型成長モデルへの転換を急げ 2011.10.14 国際通貨基金(IMF)は13日、アジア太平洋地域の経済見通しを発表しました。欧州の政府債務問題や米国経済の原則の影響を受け、アジア経済は「明らかに下振れリスクが高い」としています。 また、ニッセイ基礎研究所は14日、来年度から10年間の日本のGDPの平均成長率を実質1.3%とする見通しを発表。 欧州の債務危機や米国の内需の低下による世界経済の減速を見込むと、消費税率を1%引き上げた初年度の実質GDPは0.24%低下するとしています。 消費税増税の前年に想定される駆け込み需要を考慮しても、今後10年間の平均成長率は1.3%に低迷するとしています。 同研究所の櫨浩一・研究理事チーフエコノミストは「深刻な景気後退リスクが増大しており、各国で協調するしかない。日本は内需主導の経済成長を目指す転換が必要だ」と述べています。 実際、ヨーロッパの債務危機はアジア経済に深刻な影響を与えつつあり、13日、中国の9月貿易統計発表された後、中国の税関当局幹部は「輸出に対する多くの不安定要素がある。主な要因は欧州などからきている」と語っています。 アメリカも雇用回復の鈍化と住宅市場の低迷が続き、かつてのように世界経済を牽引する力を失っています。 こうした状況を鑑みると、円高が続くことはトレンドとして避けられず、日本経済は「加工貿易」「外需依存」という、これまで成功して来た成長モデルから脱却し、新しい「内需拡大成長モデル」を確立することが求められます。 実際、09年の日本の輸出依存度は11.4%と、主要国では米国に次いで低く、今後は本格的な「内需拡大」に力点を移していくべきです。 世界経済危機の中で成長していくためには、円高で有利になった資源輸入を最大限に活かし、内需拡大に向けた「消費型経済」を盛り上げていくことが不可欠です。 そのためには、復興増税や、社会保障と税の一体改革に関連した消費税引き上げは断じて行うべきではありません。 ニッセイ基礎研究所の見通しからも明らかなように、増税によって、国民の可処分所得が減少すれば、GDPの約6割を占める個人消費を冷え込ませ、景気回復の足を引っ張ります。 週刊ポスト10/21号は「『増税で税収減』が世界の常識」として、「97年に税率を3%から5%からに引き上げた際には、それまで4年連続で成長を続けていたGDPが翌年からすぐさまマイナスに転じ、その後の経済縮小トレンドを招いた」として、幸福実現党が主張しているように「増税が税収減」を招くと警告しています。 消費税のみならず、所得税や法人税の増税も深刻な影響を及ぼします。日本の所得税・住民税を合わせた最高税率は50%で、高福祉・高負担といわれるデンマーク、スウェーデンなどに次ぎ、世界で4番目に高い水準にあります。 また、10日、米経済誌『フォーブス』がまとめた「世界の法人税の税率ランキング」によると、法人税率40%の日本は世界で法人税が最も高い国であることが指摘されています。 世界ではこの数年、法人税の引き下げ競争が進んでいますが、日本だけは潮流に乗り遅れて断トツに高いままで、法人税を半分程度に減税しなければ、企業は海外に逃げ出し、外資も日本への投資を避けていきます。内需拡大に必要な企業家精神も冷え切ります。 内需型成長モデルに転換していくためには、絶対に増税してはなりません。むしろ、減税により、法人や個人の可処分所得を増やしていくことが何よりも先決です。 増税を回避し、内需型経済への転換に成功すれば、世界経済が低迷しようとも、超円高が続こうとも、自立して成長路線を歩むことができます。 減税や規制緩和、民営化等で多くの企業家が自由で活躍しやすい経済空間を造り出し、日本経済を高度経済成長路線に乗せることこそ、喫緊に必要な最重要の経済政策であります。(文責・黒川白雲) 中国の接近阻止戦略と日本の安全保障 2011.10.13 先週のニュースファイルで、9月末に大連に行き、中国海軍が密かに建造をすすめている空母(通称「ワリヤーグ」――ウクライナから購入して改装中)を視察してきたことをご報告致しました。(海からの国難に備えよ!中国空母「ワリヤーグ」と中国の海洋支配) 中国はこの「ワリヤーグ」導入を皮切りに、2020年までに国産空母数隻を建造し、その強大化する軍事力を背景に、南沙諸島、西沙諸島、尖閣諸島といった島々の領有権確保を目指しています。 そして、それによって広大な他国の排他的経済水域の獲得を狙っています。 そんな中国の「意思」の一端が露になったのが、2010年9月に起きた尖閣諸島中国漁船衝突事件 です。 この事件で改めて日本人が驚いたことは、明らかに日本の領土である尖閣諸島(中国は1971年、この周辺の海底に地下資源が発見された直後に突然、領有権を主張しはじめました)を、中国政府のみならず、中国人の大部分が自国の領土であると声高に出張していることです(もちろん、そう中国政府が教育・宣伝しているからではありますが……)。 私たち日本人から見れば、そんな「横暴極まりない」ことを、なぜ中国は平然と主張するのでしょうか? 実は、この考えを裏付ける理論が中国共産党の「戦略的国境(戦略的辺疆)」という概念です。 「国境は、そのときの国力や国際環境によって変わる」――つまり、国境とは軍事力で変えられるという理論です。 かつてヒトラーは「国家が生存発展に必要な資源を支配下に収めることは、成長する国家の正当な権利である」と言って周辺諸国に侵攻しました。 それと全く同じ理論で、中国は今、増強する海軍力を背景に、外洋の「戦略国境」を拡大せんと行動を起こしているのです。 そうした中国の軍事力、とりわけ海軍力の中軸が「空母」ですが、実はもう一つ、中国が開発した秘密兵器があるといわれています。それが「空母キラー」といわれる新型の弾道ミサイルです。 中国共産党系の新聞『環球時報』は今年2月、中国軍が開発を進めてきた新兵器、対艦弾道ミサイル(ASBM)「東風(DF)21D」の配備を既に開始したと伝えています。 これについてはアメリカ国防省も認めており、報告書で「この対艦ミサイルは、2000km離れた地上から移動中の空母に命中させる性能があり、マッハ6~10で接近するため防御方法がとない」としています。 もし、このミサイルが実戦配備され、米空母の東シナ海への接近が阻止される事態となれば、日本の安全保障体制を根本から揺さぶられることになります。 なぜなら、そのミサイルが本当にそうした性能を有するなら、中国が台湾や尖閣諸島に侵攻した有事の際、アメリカの空母機動部隊が、中国の沿岸に近づけなくなるだけでなく、台湾や日本の港にはいることすら危険になります。 その結果、米軍の行動は、大きく制限されることになるからです。 実は、こうした「米空母機動部隊の接近阻止」こそ、現在、中国海軍が進めている戦略目標と考えて良いでしょう。 なぜなら、既にアジアにおいて、軍事的に中国に個別に対抗しうる国はもはやなく、現状で唯一、中国の軍事力を上回るのは、日米同盟によってアジアにプレセンス(存在)を維持している米軍だけだからです。 この米軍の戦力(特に空母機動部隊)さえ、アジアから排除(接近阻止)できれば、南シナ海や東シナ海の島々や資源のみならず、周辺諸国は、中国の思うがままにできるからです。その時、日本は中国の属国とならざるを得ない状況に追い込まれます。 そうした戦略の一環として、中国海軍の戦力増強はあり、また日米同盟を分断しようとするさまざまな外交活動や工作を画策しているのが、現在の中国共産党です。 日本人は一日も早く、こうした事実に眼を開かなければなりません。幸福実現党が憲法改正、そして日米同盟堅持を強く訴えている理由は、まさにここにあるのです。(文責・矢内筆勝) 復興財源――なぜ、復興債の日銀直接引受か 2011.10.12 幸福実現党は、東日本大震災の復興には、増税ではなく復興債の発行と日銀の直接引受を主張しています。理由は、迅速に財源が確保できることにつきるでしょう。そして、早急に復興支援対策として財政出動ができることが主な理由です。 確かに、野放図に直接引き受けを行えば、インフレとなる可能性はありますが、現時点は被災地の被害総額とデフレギャップを加味した金額は20兆円強だと推計されています。裏を返せば、20兆円程度までならインフレは起きないことを意味しているのです。 また、同じような金融政策に、日銀による国債買い切りオペというのがあります。言葉は難しいですが、既に発行されている国債を金融機関などから購入することを指します。つまり、既発国債の購入を買い切りオペ、新発国債の購入を直接引受と言って区別しています。 両者の違いをもう一点付け加えるとすれば、買い切りオペは日銀が金融市場から調達するのに対して、直接引受は財政法5条の例外規定によって政府が日銀に指示ができます。買い切りオペの場合は、政府が日銀に指示できるものではない点、実効性は不明だと言えるでしょう。 しかしながら、日銀はどちらの政策にも否定的な見解を示しており、このままでは政府と財務省主導の増税路線が先鋭化してしまいます。 政府は、復興対策として増税を検討しています。特別会計から財源を確保して、できる限り増税額を圧縮しようとする努力は見られますが、デフレと震災不況が蔓延しており日本経済で増税をかけるのはあまりにもリスクが高すぎます。 加えて、増税の場合は税収が確定するのが来年度以降となりますので、それだけ復興財源が確保するのが遅くなることを意味します。被災地の復興を考慮すれば、国債を発行して日銀に直接引受をしてもらい、一日も早く財源を確保するのが第一の任務です。 「復興には数年を要するので、増税によって獲得した財源を来年度以降に使うからよいではないか」というご意見もありますが、この議論の弱点は、増税による経済へのマイナス効果を過小評価していることです。 消費税のような間接税(税金を支払う主体と納める主体が違うケース)であろうが、所得税や法人税のような直接税(税金の支払いと納める主体が一致しているケース)であろうが、増税によって国民の可処分所得(税引き後の所得のこと)は確実に減ります。 実際、1990年以降の日本経済では、増税によって税収が増えているとは言えません。かえって、トータルの税収は減っています。 一番顕著な例は、1997年です。消費税、特別減税の廃止、医療費上昇などの総額は9兆円にも上り、97年までは2%台の成長率だったものが、98年にはマイナス1.9%まで低下しました。一般税収もわずか1年で54兆円から49兆円強まで落ち込んでいます。 97年には、東アジアで通貨危機や山一證券の破綻といった金融危機も起こったことも強く影響しているのは言うまでもありません。 このように、90年の「バブル崩壊」から少しづつ回復していた日本経済が、増税路線によって見事にマイナス成長となった事例を忘れるべきではありません。同じ過ちをわざわざ繰り返す必要などないのです(実際、橋本首相は当時の政策が誤りであったことを国民に謝罪した)。 当時は、まだ成長段階でしたが、現在は震災と原発事故による経済的損失も加わっています。財政法5条には、「特別な事由」がある限り、国会の議決を経た範囲内で日銀の直接引受を行うことができます。 「千年に一度」と言われる未曾有の震災と言われている以上、日銀の直接引受を行う正当性は法的にも担保されているのです。 財政学の原則でも、人災の被害を最小化するには、増税ではなく国債の発行です。原理原則に即して考えても、増税が復興支援になるとは言えないのです。 以上、幸福実現党が復興増税ではなく東日本復興債(破壊されたインフラ整備をする以上、建設国債が妥当)の発行と日銀直接引受を主張する理由を述べました。 日銀の直接引受と聞いただけで拒否反応を起こすような論調が目立ちますが、私たち幸福実現党は、理論と関連法案、経済史などを考慮して日銀直接引受を主張しています。 震災復興という特殊な環境下での政策ですので、永久に実施するものではありません。今、必要なのは「非常事態の経済学」なのです。日銀の直接引受は、その最たるものなのです。(文責・中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 Next »