Home/ 生涯現役 生涯現役 『ハッピー生涯現役人生』を目指して 2015.01.30 文/幸福実現党・宮崎県本部副代表 河野 一郎 ◆104歳の現役アスリート「宮崎秀吉さん」に学ぶ 昨年のニュースで「104歳のシニアアスリート宮崎秀吉さん!100mで世界記録」が記憶に残っています。 2014年、北上陸上競技場で開かれたアジアと全日本のマスターズ陸上競技選手権大会、4日目、注目の100メートル走に大会最高齢者の104歳、宮崎秀吉(ひできち)さん(京都市)が出場し、会場を沸かせました。 ちょうどその日が誕生日で、最高齢104歳になられ、ニュースでの話題となっていました。 大会では100歳を超すクラスに出場したのは宮崎さんのみ。記録は34秒61で4年前にご自身が出した100歳超の世界記録29秒83には及びませんでしたが、ご本人は100歳以上の短距離100mの世界記録保持者です。 1910年、明治43年生まれ。92歳でマスターズの存在を知って興味をもち、陸上競技を始め、100歳のときに100~104歳男子100mの部で29秒83の世界記録を樹立したそうです。現在も毎朝5時に起きてトレーニングを続けているそうです。 元気の秘訣は、 ○今日できることは今日のうちに終え、安心して寝る ○腹八分目の食事と最低30回はよく噛んで食べること ○朝昼晩 足踏み体操と関節が固くならないようにヒザの屈伸運動 ○日常生活は、出来る限り自分の力でやること などです。 ◆「生涯現役人生」の方法 幸福実現党は「生涯現役人生」を提唱しています。高齢者の幸せのひとつに、健康で長生きを挙げています。 宮崎さんのように、高齢になっても介護を必要とせず、自立独立し、健康であることの幸福を提唱しています。 幸福実現党創始者兼総裁 大川隆法著書『生涯現役人生』の中では、長寿のための方法論として5つを掲げています。 『生涯現役人生』 大川隆法著書/幸福の科学出版 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=837 1、楽天的に生きる 長寿をしている大勢の方がこのマインドを持っています。「積極主義」とは少し違います。もう少しこだわらない生き方です。基本的には競争世界や戦いにどっぷり浸からない生き方です。 2、健康をイメージする 自分が長く健康であることを強く信じ、それをイメージすることです。肉体と心は不即不離の関係です。特に高齢になるほど、心の方が先行が大切になります。 3、体の鍛錬を怠らない 「努力は必ず報われる」医学的には毎年2%体力が落ちていきます。しかし毎日運動をしていると0.5%ぐらいしか落ちないそうです。お勧めは歩くことです。 4、常に新しいことを学習する 脳を活性化させるには新しいことにチャレンジすることです。若い頃から鍛えながら、時間がある老後に新しいことにチャレンジすることです。 5、他の人から必要とされる人を目指す これは他人に依存せず、必要とされる人を目指すということです。豊かに老後を送るためには、自立独立の気概を持つことで、逆に家族、友人などと上手く付き合えます。健康、経済共に準備することです。 ◆「生涯現役人生」の104歳のアスリート宮崎氏 宮崎さんの例は特殊のようですが、高齢者が健康で長生きできる秘訣があるように感じます。 1、「楽天的に生きる」 宮崎さんは真っ先に挙げられていました。その中でも人から借金をしないなどもありました。 1日1日を安心して眠りに入ることは長寿において大切な心構えです。 2、「健康をイメージする」 宮崎さんは100m走を全力で走るためには当然並外れた健康のイメージを持っているはずです。しかも常識を超えています。100歳で100m走を完走することを考える人はほとんどいません。イメージの力を最高に使っています。 3、「体の鍛錬を怠らない」 宮崎さんは毎日5時に起きてトレーニングを欠かしていません。娘さんがサポートしながら、毎日トレーニング内容と体の調子を記録して決して無理はさせません。「継続は力なり」を実践しています。 4、「常に新しいことを学習する」 宮崎さんは90歳でマスターズ陸上100m走に関心を持ち、92歳から本格的にチャレンジしています。凄いチャレンジ精神です。体も活性化しますから、脳も活性化している宮崎さんです。 5、「他の人から必要とされる人を目指す」 いつも明るく周りの人に元気・勇気を与えています。昨年のマスターズ会場では100m走の世界記録保持者の「ボルト選手ポーズ」をして会場を沸かせています。宮崎さんのような人が存在するだけで希望や勇気が出てきます。 これだけだと、宮崎さんは元々健康でスポーツや運動を続けてきた方と思われるので、以下の事柄も補足させていただきます。 マスターズを始めてからも決して順風満帆ではなく、怪我や故障、大病も患い、2007年には骨折、3ヶ月の車椅子生活も体験されています。 92歳で陸上を始めた宮崎さんは、90歳で前立腺がん、92歳で硬膜下出血も経験しています。宮崎さん自身は90歳までは普通の人生を歩まれていた方です。 ◆「ハッピー生涯現役人生」が高齢者社会を明るい未来に変える 2013年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、男性が初めて80歳を超えたことが厚生労働省の調査で分かっています。女性も4年ぶりに過去最高を更新しました。 高齢化社会への政策は介護・福祉・高齢者医療など支援中心だと日本の未来は暗く重いものになります。当然介護を必要とする人には、充実した介護制度は必要です。 しかし、高齢化社会とは支援を受ける人が増える続けるなら、介護・福祉・高齢者医療の財源はどんどん増えます。また、「若者一人で高齢者一人を支える」という恐怖の予言のような少子高齢化社会では若者はやる気がなくなります。 ある種の試算によると、国民がボケる年齢を一年先延ばしにすれば、年間で1千5百億ほどの国家予算が浮くそうです。もし、高齢者の方が健康で自分のことは自分ででき、80歳、90歳でも元気な人がどんどん増えれば、医療費や介護費が激減します。 医療が進歩して、治療などで寿命が伸びた面もありますが、できるかぎり自助努力で、健康で長生きをする人をケア、支援できる体制を作る必要を感じます。 高齢者とは老人で介護が必要のイメージを変え、元気でかくしゃくとしている老後をイメージすべきです。「生涯現役人生」や「ピンピンコロリ」を合言葉に、宮崎さんのように若者に希望を与えられるような高齢者をたくさん輩出する体制をつくることです。 健康で長生きの老後を送れる高齢者自身も幸福です。高齢者がいろいろなことにチャレンジできる社会を支援できる政策も必要です。 そして高齢者が自立独立できれば、多くの高齢者が望む、「孫といっしょに暮らす」「子供たちといっしょに暮らす」ことのできる条件が揃います。二世代、三世代、場合によって四世代いっしょに暮らせます。 幸福実現党の高齢者政策「生涯現役人生」は、このような明るい高齢化社会を目指しています。 最高齢「天才マジシャン」に学ぶ長寿社会の幸福 2014.05.31 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆最高齢「天才マジシャン」 全国的に放映されている「ナイトスクープ」という番組があります。同番組は、あの「永遠の0」の百田尚樹氏が、放送作家として関わった番組です。 「ナイトスクープ」は、いろんな情報をお笑いタレントが調査するという番組ですが、ある日、視聴者から「最高齢マジシャンが福岡にいるらしいので調べてほしい」という調査依頼が寄せられました。 お笑いタレントが、その最高齢マジシャンの自宅を突き止めると、なんと93歳のおじいちゃんで、その場でテレビカメラを前に伝説のマジックを見せてくれたのです。 チョビヒゲに、シルクハットをかぶり、膝まであるナガ~イ・ネクタイ姿で現れたおじいちゃんは、おもむろに助手からコップと卵を受け取ると、最初のマジックを披露しました。 ところが卵を割ってコップ入れようとすると、卵はコップをかすって机の上に落ち、それでもなにもなかったように平然とこぼれた卵をすくってコップに入れるのでした。 さらにコップに入った卵を、今度はシルクハットに入れ頭にかぶりました。シルクハットを脱いで一礼すると消えるはずの卵が消えずに頭からタラ~リ。それでも動ずることなくおじいちゃんは不動心でマジックを終了。 二つ目に披露したのは、箱に鳩を入れサルに変わってしまうというマジックらしい?…鳩を箱に入れたまでは良かったのですが、突然、おじいちゃんは、助手に「サルの箱持ってこい!」と命令するのでした。タネがバレバレのマジック、しかも助手との連携もうまくいってない。 サルも感情があります。おじいちゃんのマジックに付き合いきれず家の外に逃げだしました。消えたはずの鳩も、箱から出てきて窓から空に飛んで飛んで・・・。 最後のマジックは、60才を超えた助手の頭に箱をかぶせ剣を刺すマジック。剣を取り出してシャリン・シャリンと音を立てると手がプルプル震え、なかなか箱に刺せません。よく見ると剣が曲がっています。 それでもおじいちゃんは、剣を素手で当たり前のようにまっすぐに直すと、やっと箱に刺したのでした。その瞬間「痛っ!」と箱の中から聞こえる助手の声、それでも容赦なく真顔で剣を刺すおじいちゃん。 マジックが終わってカメラが助手の顔にズームアップすると、笑顔の助手の額からしっかりと血が滲んで、こうして93才のおじいちゃんの「天才的マジック」は終わったのです。 後日談として、おじいちゃんのマジックに酔いしれた視聴者から、数年後97歳になってさらにパワーアップした「おじいちゃんのマジック」を調べてほしいと「ナイトスクープ」に情報が寄せられました。 実は97歳のおじいちゃんの本業は整体師。しかも84歳で整体師の免許を取ったというから驚きです。まだ年数の浅い整体師ですが、年齢だけで、もうベテランの整体師に見えます、たぶん。 もっと驚くのは、おじいちゃんは高齢者を慰問しマジックで楽しませているのです。慰問と言っても、おじいちゃんは90歳を超えていますからほとんど年下です。 ◆ここから400万部の「永遠の0」が生まれた 現役最高齢天才マジシャンは、本当にお腹が痛くなるくらい全国に笑いを提供したのですが、普通はここで笑って終わりです。 ところが、「待てよ!」と思ったのが、「ナイトスクープ」の放送作家であった百田尚樹氏だったのです。当時50歳を超えていた百田氏は、このまま「一放送作家で人生を終わっていいのだろうか」と日ごろから思っていたのでした。 現役最高齢天才マジシャンで、84歳で整体師の免許を取り、しかも今も本業。マジックで多くの人に驚きを提供…いや「笑い」を提供しているのを見て、「50歳なんてはなたれ小僧だ。50歳から新しいことはまだまだ出来る」百田氏はそう思ったのです。そこから生まれたのが「永遠の0」でした。 百田氏によると、「永遠の0」は、戦中派の父親の世代が、子供たちに戦争体験を語っても、孫にはほとんど話さずに亡くなっていく時代になり、50代の自分が、戦争を戦った父の体験を次の世代に伝える役割がある、それで書いたのが「永遠の0」なのだそうです。 しかし、ほとんどの出版社から、「これは売れない」と断られたそうで、やっと出版されても、すぐには売れなかったそうです。しかし徐々に売れ始めると、いまでは400万部を売り上げ、映画化もされて大ヒットしたのです。 ◆長寿社会の幸福とは何か 百田氏の次のヒット作「海賊とよばれた男」は、「出光興産」の創業者・出光佐三(いでみつ・さぞう)の物語です。 終戦直後、出光佐三は60才を過ぎていましたが、すぐに社員を集め「日本は必ず復興する」「ただちに建設にかかれ」「会社より国家のことを考えよ」と社員に檄を飛ばしたそうです。 そんな誇りある日本人の姿は、戦後ゼロから日本を復興させた気概を感じさせます。今の日本人こそ、その精神を学ばねばなりません。 つまり50歳、60歳を過ぎても、「まだまだやれる!」「新しいことに挑戦せよ!」「失敗を恐れるな」「自分のためではなく多くの人のために生きよ!」、元気に社会の役立つ人生を生きること、これが「生涯現役人生」ではないでしょうか。 ちなみに最高齢マジシャンのおじいちゃんは、もうお亡くなりになられたそうですが、百田氏は今でも合掌しておじいちゃんに感謝しています。 そのおじいちゃんの生き方は今後もシニア層に大きな勇気を与えてくれるのではないでしょうか!そんなシニア層がどんどん増えたら日本はもっと元気になることは間違いありません! 「おばあちゃん」が日本の未来を決める! 2014.05.30 文/幸福実現党富山県本部副代表 吉田かをる ◆日本女性の平均寿命は87歳 日本人の平均寿命は、男性おおよそ80歳、女性がおおよそ87歳です。そして、平均の初婚年齢は男性30歳、女性が29歳です。 平均寿命の定義や、女性の初婚年齢は毎年急速に上がってきているという事、また、50歳まで一度も結婚したことのない「生涯未婚率」が男性で20%を超え、女子も10%を超えて、毎年記録を更新しているということなど、問題視すれば論点はたくさん出てきます。 しかし、単純に考えて、30歳男性と29歳女性が結婚し平均寿命通り男性が80歳で亡くなると、あとに残された女性は何年間ひとりで生きることになるのでしょうか? ――答えはおおよそ8年です。 これは、前期高齢者(65歳から74歳)では「性比(女性100人に対する男性人口)」が89.2人なのに、後期高齢者(75歳~)での性比は61.3人であることをみてもわかります。 ◆おばあちゃんが、生き生きと輝く国づくり 言わば、「豊かな日本」かどうかは、「おばあちゃんの生活の在り方」が決めると言っても過言ではありません。 おばあちゃんたちが、生き生きキラキラと輝いて美オーラがあり、精神的にも物質的にも豊かに暮らし、「ニッポンは、成功するチャンスはたくさんあり、また、まじめにコツコツと働き税金もきちんと納めると、あんなに素敵な老後が待っている!」となれば、外国も日本をモデルにするようになるでしょう。 もちろん、日本人の若い世代にも「老後は悪くない・・」と思うようになります。もし、夫が平均寿命を超えて長生きしても、妻が豊かで明るく元気なら「共白髪」で機嫌よく生活できます。 ◆豊かな老後のために必要なこと さて、ではどうしたら「生き生きキラキラ美オーラ、精神的にも物質的にも豊かな老後」になるのでしょうか。方法は段階的に言うと次の通りです。 (1)日本から自虐史観を完全払拭すること。 日本は正義を貫いてきた国です。「先の大東亜戦争は、欧米列強から、アジアの植民地を開放し、白人優位の人種差別政策を打ち砕くとともに、わが国の正当な自衛権の行使としてなされたものである」(2013年8月発表『大川談話』より)ことを深く自覚し、日本は素晴らしくてものすごい国だと自信を持たなければなりません。 (2)他国の侵略から国民を守り外交力と防衛力を強化すること。 日本人としての誇りと自信をもっても、他国から侵略され国自体がなくなってはいけません。近隣の国々の情況や世界情勢を熟慮し、主権国家として日本の守りを盤石にしなければなりません。 (3)日本経済を成長軌道へ。 人々がそれぞれの強みを発揮できるよう、新たな雇用を創出することです。消費増税は間違いです。2015年度からの10%への増税は中止しなければなりません。 原発は、即時に再稼働させます。「絶対の安全性」はありません。しかし、限りなく安全に近づけることは可能です。日本の原発はこの意味で「世界一安全」です。 (4)地方を豊かにする地域振興には、新産業の創造育成と交通革命を同時進行すること。 地方の過疎化、限界集落の増大には早急な対策が必要です。地方や過疎地に産業があれば、若い世代や移民が住み、子育てもでき人口も増えます。 産業を地方で成功させるためには、リニアを含めた大量輸送の交通革命の実現が待たれます。 また、高齢者の足回りが快適になれば「生き生きキラキラ」も可能です。「山間部の集落に一日数往復のバスのみが唯一の交通手段」というのでは廃れる一方です。大量輸送とともに「気軽に出たり入ったりできる交通」が必要です。 高齢者でも安心して運転乗車できる「自動運転の車」をぜひ開発したいものです。「山奥の中の大都市」を発想する起業家を育てなければなりません。 (5)「人生設計」を学校教育の中で必須とすること。 「好きになりましたから結婚します!」ではすみません。生活は親がかり、貯金もありませんでは困ります。個人としての人生計画、家族としての人生計画を作ることができる教育が必要です。 自分の人生の目的は何か。実現したい夢はなにか。実現するためにはどうしたらよいのか? 人生とお金の問題。生活していくうえで、「いついくら必要になるのか」「どうしたら貯金できるか」「結婚したいから、それまでに結婚できる自分を創るためにはどうするか」などという事を考え設計することが必要だという教育をしなければなりません。 この「人生設計」では、たとえ景気が悪くなっても政治体制が変わっても、「自分たち家族は自分たちで守る!」という気概を持たなければならないと教育します。 ◆人間の幸福は社会への貢献から 以上のように「生き生きキラキラ美オーラ、精神的にも物質的にも豊かな老後」を謳歌するおばあちゃんたちは「人の幸せは自分の幸せ」と考えるでしょう。おせっかいおばあさんが地域の中心となって「生き生き美オーラ」が伝染していきます。 「働く女性支援」という美名の下、配偶者控除の見直しなどには、女性の働きから税金を取るための下心が透けて見えます。都市部での待機児童解消や学童保育拡充は、今の問題への対処としては必要ですが、これで出生率が大幅に伸びることはありません。 快適な老後には「お金」「健康」「生きがい」「近隣との良好な関係」が必要だと、私は以前から申し上げております。これは、しかしながら、若いときからの「よき習慣」であることが必要です。 人生の基本は「自助努力の精神」であるといえます。そのためにも学校教育で「人間の幸福は社会への貢献」としっかり教えることが必要でしょう。 ※参考「幸福実現党 2014年政策パンフレット【宗教立国編】」 http://publications.hr-party.jp/files/policy/2014/001/origin/all.pdf 【高齢者と農業】――高福祉国家を超えて「生涯現役社会」への一試案 2014.05.16 文/幸福実現党石川県本部副代表 宮元智 ◆高齢者は農作業がお好き? 「世界最速」で進んでいると言われる日本の少子高齢化。 このままであれば、社会保障制度が破綻することはもとより、国家そのものが消滅してしまうかも知れません。 子供は急に増やせません。また、働いて稼げるようになるまでには20年以上かかります。早晩移民を受け入れざるを得ないとしても、長年単一民族主義で来た日本人にはにわかには受け入れられないでしょう。 ならば、高齢者の方々を、戦力外にしておくのではなく、国富増大のための重要な戦力になっていただきましょう。 仕事をリタイアした高齢者の方々は、ボランティア活動も含めて意外と働いています。つまり、様々な形で付加価値を創造しています。 地方の場合ですが、高齢者の方々は、村が“限界集落”と化しても、都会へ出た息子たちの所へは行かず、身体が元気なうちは不便でも長年住み慣れた土地に暮らすことを選ぶ人が多いようです。 また、高齢者の方は、意外と農作業が好きな人が多いようす。農業を通して、創造の喜びを味わっておられるのかもしれません。 ◆高齢者を“戦力”に 一方、日本の農業に目を向ければ、少子高齢化とも絡んで、後継者不足、膨大な耕作放棄地、補助金漬け、食糧自給率の低さなどの諸問題を抱えています。 高齢者を日本の農業の“戦力”に変えることができるならば、農業の復興と、社会保障費の抑制に貢献できます。まじめで責任感の強い高齢者にとって、生き生きと、余生を完全燃焼できる道となるでしょう。 ◆パワードスーツと植物工場で生産性を高める ただ、農業は、基本的に、重労働です。 農作業好きの高齢者も、自分の体力や能力に応じた範囲でしかできないので、ほとんどの場合、趣味に毛が生えた程度で終わります。生産性や付加価値の面がボトルネックとなります。ゆえに、それをサポートする施策が必要です。 例えば、重労働から解放するために、農作業用“パワードスーツ”の開発なども必要でしょう。 筋力を機械的にサポートするパワードスーツは既に実用化のレベルになっています。医療・介護・軍事だけでなく農業でも応用できれば、よりマーケットは広がり、大量生産により安価になるでしょう。 また、植物工場、野菜工場などで農作物が栽培されるようになれば、農業は今より遥かに生産性の高い産業に変わっていくでしょうし、空調の効いたビルの中での作業ならば、熱中症などの心配もいりません。 さらに、農業が、通常の会社勤務のようなスマートな職場になれば、農業を継ごうと思う若者も村に帰ってくるかも知れません。こうして、高齢者による農業の復興は、過疎や限界集落、後継者不足、耕作放棄地の問題の解決にもつながります。 ◆食糧危機の解決と国富増大への貢献 地球の人口爆発の時代を迎え、人類は食糧危機の問題に直面しています。 安価な食糧を、大量に増産しなければいけません。そうした使命感をもって、日本の高い農業技術を、さらに進化させなければなりません。 さらには、「ルビーロマン」(一房数十万円もする石川県産の高級ブドウ)のような高付加価値の農作物を開発し、世界の富裕層に提供することができたならば、国富増大にも大きく寄与できます。高齢者は、その貴重な担い手になりえます。 ◆未来型国家の条件―愛と自由 世の中に何も貢献することなく、ただ年金を貰って、日々を送るだけの人生は虚しいものです。高齢者も自ら働いて富を得て、かつ税金を納められるような社会は、国家社会主義型の高福祉国家に対するアンチテーゼであり、新しい国家モデルの提示でもあります。 その底流を流れる考えは、「自分以外の他者に対して、何らかのお役に立つことを喜びとする心」であり、宗教的には、「与える愛」と呼ばれます。 「生涯現役社会」の背骨となる思想は、すなわち「愛の思想」なのです。「福祉国家」の美名の下に重税を課す国家の行き着くところは、国家社会主義型の「自由のない社会」です。 私たち幸福実現党の目指す社会は、抑圧や恐怖によって支配される社会ではなく、愛と自由に満ちた繁栄する社会です。 その未来型国家モデルを示すことがリーダー国家・日本の使命でもあります。ただ社会保障費を削るために高齢者にも働いてもらうという発想ではなく、「愛と自由」、「繁栄」という観点から、「生涯現役社会」も構築されていくべきと考えます。 社会保障費の増大をどうみるか 2013.12.23 ◆増大の一途を辿る社会保障費 先日21日、政府は、来年度一般会計の総額が95兆8800億円となる過去最大規模の予算案を固め、24日に閣議決定する予定です。 今年よりも増額となったのは、公共事業費5兆9600億円、防衛費4兆8800億円、文化、教育、科学技術関連費5兆4400億円などです。 日本の未来にとって必要な部門に対する予算増額は良としても、1.5兆円増加し、初めて総額30兆円を超える社会保障費については、根本から問い直すべきです。 安倍総理は本年10月に「税と社会保障の一体改革」として消費増税を決定しましたが、この根底にある思想は人間機械論、共産主義的なユートピア幻想です。 本来日本の社会が進むべきは、仏の子として人間を尊重し、自助努力によって繁栄を実現する真の資本主義精神を徹底させ、心身ともに豊かな人を増やしていくことです。 ◆地獄への道は「善意」で舗装されている 「増税して社会保障を手厚くする」には際限がありません。例えば戦費調達のための増税であれば、「終戦」がありますが、社会保障という「善意」に満ちた大義名分には、「持続的拡大」しかありません。 誰もが年をとり、将来において介護、医療、年金のお世話になると思えばこそ、抵抗することが難しいのです。 もちろん我が党は、セーフティネットそのものを否定しているわけではありませんが、あくまで「自助のすすめ」として「生涯現役思想」という、より積極的な考え方を打ち出し、国のあり方を根本的に変革しようとしているのです。 ◆ハイエク流の自由の哲学 膨張する社会保障費については、過剰部分を見極め、カットしていくことは不可欠ですが、他方において中長期的な視点の抜本策が必要です。 つまり、増税から減税路線へ転換し、徹底的なる経済成長路線に舵を切ることで、社会保障の原資たるGDPを増やすとともに、現役世代を増やすべく積極的な人口増加策を講ずることです。 『隷属への道』でハイエクは、「私有財産が自由の基礎である」と強調していますが、個人の経済的自由を確保することが、実は広い意味では社会保障にもつながります。 個人でできる自衛範囲を広げることになるからです。経済成長を続けることこそが、実は、社会保障を機能させるための条件でもあるのです。 なお、先般、大川隆法総裁が「ハイエク流自由の哲学を考える」と題し、ハイエクの霊言を収録されました。現在のハイエクの考えを伺い知ることができる本当に稀有なる機会です。ぜひ拝聴をお勧めいたします。 ハイエクの霊言「ハイエク流自由の哲学を考える」 (拝聴は全国各支部にて) http://info.happy-science.jp/lecture/2013/9055/ ◆まず景気回復ありき ところで、来年度の税収は、消費増税と、法人税などの自然増収で、今年度より7兆円ほど増加し、50兆円を見込んでいます。 ここで改めて特筆すべきは、年初からのアベノミクス効果により、3兆円程度の自然増収が見込まれることです。景気が回復すれば増税など必要なく、結果的には財政健全化への道筋も見えてくるのです。 しかし、足元を見れば、先日16日に発表された日銀短観でも、大企業の設備投資計画が減額修正されており、消費増税に備え、生産者も「忍耐」し始めています。 今年1年のアベノミクスを振り返ってみても、金融緩和によって円安・株高基調が続き、大企業の業績は回復したものの、中小企業は仕入れコスト高でむしろ減益しています。消費者も円安の影響で、生活必需品である小麦や燃料費も値上げされて打撃を受けました。 さらに来年からはこれに消費増税が重くのしかかります。政府は5兆円規模の経済対策を講ずるとしていますが、その効果はいかほどでしょうか。 ◆宗教政党として 我が党は、宗教政党として霊的人生観を背景とした社会保障の構築を含め、全ての人が「幸福」に生きられる社会の実現を目指し、これからも「正論」と「志」を武器に「闘魂の挑戦」を続けてまいります。 (HS政経塾 二期生 古川裕三) 長寿社会で輝く日本――「知識社会」で輝く高齢者の未来 2013.06.27 ◆社会保障の財源をどうするか 先日、街頭演説をしたところ、「消費税増税ストップを言うのなら、社会保障をどうするかを話すべきだ」と、ご指摘を受けました。 確かに、消費税率を上げてもトータルの税収は増えないので、消費増税は社会保障問題の解決策になりませんが、消費増税をストップしても、「増大する社会保障費をどうするのか」という問題は残ります。 これに対して、幸福実現党は「社会保障の問題を解決するためには『生涯現役社会』を目指すべきだ」と訴えています。 幸福実現党は、7月6日にHRPブックレットシリーズvol.5『生涯現役社会~豊かな長寿社会を目指して~』を発刊致します。ぜひ、ご高覧頂けましたら幸いです。 ◆高齢者の肉体的若返りが進む 年金制度の背景には「高齢者は体力も落ちて、運動能力も落ちるので、働かせるのはかわいそうである」という思想があります。 しかし、近年の研究では、高齢者は健康で、頭もシャープであることが明らかになっています。 「老齢学」では、年齢に比例して徐々に老化が進むのではなく、死の直前まで多くの能力が良い状態で維持されることが明らかになってきました。 特に、「概念で考えたり、価値判断を行う」能力といわれている「言語性能力」は、70代、80代になっても向上することが分かっています。 ◆10年で10歳ほど若返った高齢者層 現在の60代、70代の方の方々は、昔の同年代と違って、元気で、若々しい印象がありますが、これは科学的にも立証されています。 実際、高齢者の通常歩行速度を比較すると、高齢者の歩行速度が10年で10歳ほど若返っているという研究結果が出ています。(鈴木隆雄他「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」(2006年4月 第53巻第4号「厚生の指標」)) 歩行速度は「若さと健康のバロメーター」とも言われており、現在は健康寿命が10歳程度伸びていると考えることができます。 その意味で、60~65歳定年制が導入された時期より肉体年齢が10歳若返っていることを考えると、幸福実現党が提唱する「75歳定年制」は妥当なラインであることが分かります。 実際、65~69歳の年齢層では、介護保険を受給している人は男性で2.4%、女性で2.0%に過ぎません。 さらに、75歳~79歳でも9割近くの方々は介護保険を利用していません。男性で介護給付を受けている人は8.8%、女性では11.8%に過ぎません。(厚生労働省「平成23年介護保険給付実態調査」より) 今後、少子化で労働人口の急減が懸念されていますが、今こそ、「体力が弱くなり、働けない高齢者」というイメージを払拭し、高齢者の方々が元気に働ける「生涯現役社会」を築くべきです。 ◆仕事の喪失は「生きがい」の喪失 政治活動を通じて、私が何よりも驚いたのは、60代で年金を受け取られている男性の方々に「自分の好きなことができる時間があっていいですね」というと、「いや、実は何もすることが無くて、退屈なんだ」という答えが沢山かえってくることでした。 仕事に追われている内は、仕事が無い生活に憧れますが、実際、仕事がなくなると、途方にくれてしまう方々は多いのです。 実際、高齢者の「いつまで働きたいか」という意識調査をみると、80%の人が70歳ぐらいまでは働きたいと考えています。(2011/6/22 経済産業省「長寿社会における成長戦略」) その意味で、「生涯現役社会」は社会保障費抑制策としてだけではなく、老後も「生きがい」を持って生きていくために非常に重要な政策であります。 ◆高齢者は若者に無い「財産」を持っている 高齢者の方々は、若者が持っていない「経験・知識・人脈」という財産を持っておられます。 P.F.ドラッカーは、現代社会は、「知識」が資源となる「知識社会」へと移行しつつあることを指摘しました。 「知識」ということに焦点に当てれば、高齢者の方々は若者よりも豊富な知識を有しています。実際、ドラッカー自身も95歳まで現役で活躍していました。 幸福実現党は、高齢者こそ「知識社会」で最も輝く人材であると考え、高齢者の方々が活躍し続ける「生涯現役社会」を築いて参ります。(幸福実現党 東京都第1区支部長 伊藤のぞみ) 「快適な老後」のための4つの鍵――高齢化を日本発展の起爆剤にするために 2013.05.25 「超高齢化社会」に突入した日本 日本は4人に1人が65歳以上の「超高齢社会」に突入しています。 65歳以上の高齢者人口は3,074万人(前年比102万人)で、総人口に占める割合は24.1%(前年比0.8ポイント増)となり、人口、割合共に過去最高となりました。(総務省統計局人口統計、2012年9月15日現在) これは「団塊の世代」と呼ばれる世代が65歳に達したことによります。 高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)7~14%が「高齢化社会」、14~21%が「高齢社会」、21%~が「超高齢社会」と呼ばれていますが、日本はあらゆる国に先駆けて「超高齢社会」に突入しています。 日本の高齢化の特徴は「3S」 日本の高齢化の特徴は「3S(スリーエス)」に集約されます。 第一は「スピード(Speed)」です。「高齢化社会(高齢化率7%)」から「高齢社会(高齢化率14%)」に達する所要年数は、フランスが115年、スウェーデンが85年、イギリスが47年、ドイツが40年であるのに対して、日本は25年しかかかっていません。 これは世界最速です。こうした急速な高齢化の変化に対して、社会全体の仕組みが追いついていないことに問題の本質があります。 第二は「シニア(Senior)」です。75歳以上は「後期高齢者」と呼ばれています。あまり響きの良い呼び方ではありませんが、この「シニア」の人口が多いのも特徴です。 2012年9月15日の統計では、75歳以上の人口が初めて1500万人を超えました。後期高齢者は今後とも増加を続け、5年後には前期高齢者の人口を上回ります。 第三は「スケール(Scale)」です。日本は高齢化率のみならず、実数においても、65歳以上の人口が3,000万人を超えています。 高齢化が進んでいると言われるスウェーデンの高齢人口(65歳以上人口)171万人と比べても、日本の高齢人口の多さが分かります。 「快適な老後」のための4つの鍵 このように、日本は世界に類を見ない「超高齢化社会」に突入していますが、シニアの方々が豊かで幸福な社会を築いていくためには、どうしたら良いでしょうか? 「快適な老後」のためには「4つの鍵」があります。それは、「お金」「健康」「生きがい」「近隣との良好な関係」です。 (1)「お金」に関しては、若いときからコツコツと貯めるか、健康な限りは働いて経済的収入を確保するか、またはその両方になります。 高校生までに「人生設計と家庭経済の関係」「生涯現役に向けた人生計画」について、しっかり教育すべきです。 また、高齢者雇用を進める企業の税制優遇や、高齢者の起業を支援する仕組みづくりも急務です。 (2)「健康」については、高齢化に伴う医療保険制度の破綻を回避すべく、「予防医学」を推進していく必要があります。 また、「病気にならない生活と精神態度(心の持ち方)」について、啓蒙していくことが大切です。 (3)「生きがい」については、「人様のお役に立つことが幸福(生きがい)である」という精神を啓蒙していくことが大切です。 定年退職後、仕事を失って「生きがい」を喪失する高齢者の方が増えています。高齢になっても、仕事を通じて社会に貢献していくことが「生きがい」を失わない鍵となります。 (4)「近隣との良好な関係」は、高齢者にとって住み良い街作りを推進すると共に、地域社会や宗教的ネットワークを活用して、高齢者の暮らしを見守ることが大切です。 また、「家族」の大切さを啓蒙すると共に、多世帯同居を税制面で優遇するなどの具体化も大切です。 幸福実現党には、高齢者の「お金」「健康」「生きがい」「近隣との良好な関係」という「4つの鍵」を支援するための政策があります。 超高齢化を日本発展の起爆剤に! 幸福実現党は、希望する高齢者は75歳ぐらいまで働き続けることができる「生涯現役社会」を強力に推進し、高齢化を日本発展の起爆剤にして参ります。 高齢者の雇用を増やすためには、消費増税をストップし、「本物の景気回復」を実現して参ります。 憲法9条を改正し、中国や北朝鮮による国難を乗り越え、いつまでも安心して暮らせる国にして参ります。 また、幸福実現党は自虐史観を払拭し、「自分の生まれたこの国、日本は素晴らしい国だ。この国に生まれ、この時代に生まれてよかった」という「愛国心」を育んで参ります。 そして、「今の日本を創ってくださったご先祖さま、諸先輩方に感謝し、更なる高みを目指し、その高い精神性で社会に貢献する」という「真のリーダーシップ」「先人に感謝し、敬う心」を涵養して参ります。 今、時代に求められているのは「正義に基づく政治」です。「ご都合主義」の既存の政治では、これらのことは実現できません。 「何が正しいか」に基づいて未来を切り拓く事ができるのは、幸福実現党以外にありません。 (文責・幸福実現党富山県参議院選挙区代表 吉田かをる) 高齢者雇用で若者の雇用機会は失われるのか? 2013.05.15 幸福実現党は、この夏の参院選に3本の政策の柱を掲げて戦っています。⇒http://www.hr-party.jp/topic/policy3/ その中の一つに「生涯現役社会の実現」があり、高齢者向けの仕事を増やし、75歳まで生きがいを持って働ける社会を目指しています。 これは高齢者にとっても経済的自立や生きがい、健康を維持でき、現役世代にとっても社会保障費増大(に伴う増税)を抑えることができる効果的な施策で、幸福実現党は立党以来、提言を重ねて参りました。 そして今年4月から「改正高年齢者雇用安定法」により、「65歳定年制」が施行。また、厚生労働省が今年に入り、「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」を開催するなど、政府の取り組みも急ピッチで進んでいます。 こうした「生涯現役社会」の進展に伴い、「高齢者の雇用機会が増えることで、若者の雇用機会が減るのではないか?」というご指摘を頂くことがあります。 今回は、高齢者の雇用拡大が、若者世代にとってマイナスになるのかについて考えて参ります。 (1)景気回復で、雇用のパイの拡大を 本年4月1日より、希望する社員を65歳まで雇用することを企業に義務付ける「65歳定年制」が施行され、「若者の雇用が圧迫されるのではないか」という声も出ていました。このことについて、過去の統計から推測してみましょう。 1994年には「高年齢者(対象は主に55歳以上)雇用安定法」が改正され、1998年以降の60歳以上定年制が義務化されました。しかし、これに伴って若者の求人倍率が著しく下がったというデータはありません。 例えば、1995年の20~24歳の常用労働者の有効求人倍率は0.68倍、同じく60~64歳の倍率は0.08倍でしたが、雇用義務化導入後の1999年は、20~24歳の有効求人倍率が0.63倍、60~64歳が0.06倍であり、義務化によって年齢別の差は大きく変わっていません。(厚生労働省職業安定局「労働市場年報」より) むしろ、有効求人倍率の変動要素として最も大きかったものは「景気」です。2006年には、有効求人倍率が14年ぶりに1.0を上回りましたが、その際には、20~24歳の有効求人倍率も1.16倍となりました。 その意味で、「生涯現役社会」の実現は、幸福実現党の経済政策、景気回復策とセットで進め、若者も高齢者も雇用を増やしていくことが大切です。 幸福実現党の政策が実現すれば、新たな基幹産業を創り出すことで、若者にとっても魅力的な職場が増えていくことが期待されます。 (2)少子化により、労働力の需要が増える 第二に、労働力人口の減少を若者だけでは補えないという現実があります。 満15歳以上で、実際に就業している人、休業・失業中の人の合計を「労働力人口」と呼びますが、2004年と比べると、2015年には労働力人口は約110万人減少すると見込まれます。 その中で、若者世代(15~29歳)は約220万人も減少します。一方、働く意欲のある高齢者が増えているため、60歳以上の労働力人口は約170万人増加するとされています。 もちろん、様々な希望職種がありますので、労働力人口の多寡だけで単純に若者の雇用機会が確保されるとは言えませんが、社会の活力を維持するためには働く高齢者が増えていくことが不可欠です。 (3)成果主義の採用で、お互いの強みを生かす 「高齢者の高い給与で人件費が圧迫され、若者の雇用が減らされるのではないか」という指摘もあります。これは、各企業の工夫と努力によるところが大きいと思われます。 例えば、パソナキャリアが提供している「キャリアエージェントサービス」では、高齢者も若手と同じようなノルマがあり、ノルマの達成率によって給与が変動する成果主義を採用しています。 このような成果主義であれば、若手と高齢者に公平なチャンスが与えられますので、お互いの不満が出にくく、高齢者もやりがいを持って仕事にあたれます。 実際、顧客が高齢者であるため、高齢者の立場に立てる高齢社員が重宝され、若手も高齢者に学ぶことができ、お互いの強みを生かし合っています。 (4)「自助努力」社会の到来で、現役世代の社会保障負担が軽減される 現在のままであれば、年金制度は確実に破綻します。ある試算によれば、2010年は高齢者1人に対し、生産人口2.77人、2031年には1.83人の生産人口で1人の高齢者の年金を負担することとなるそうです。 そのために、消費税を上げようとしているわけですが、消費税増税は景気を冷え込ませ、そのしわ寄せは全世代に及びます。 仮に社会保障にかかる費用をすべて消費税でまかなおうとすれば、今世紀の半ばには、消費税率はなんと60%に及ぶと予測されています。 過去のHRPニュースファイルにもありますように、高齢者が仕事を続けることによって、老後も自活ができ、健康の増進や長寿をもたらします。 ⇒「超・高齢化社会」に備えよ(2)――エイジレス社会への突破口 「自分の老後は自分で面倒を見る。また、納税もできる」という自助努力型の高齢者が増えることは社会保障費の削減になり、これは高齢者を支える若者世代にとってもありがたいことでしょう。 高齢者と若者世代が雇用のパイを奪い合うのではなく、お互いの強みを生かし合い、力を合わせて社会を発展させていくことが、「生涯現役社会」が目指すところでもあるのです。(文責・小川佳世子) 相続税、15年から課税対象者倍増――相続税を即刻、廃止せよ! 2013.04.05 富裕層の課税強化へ 参院本会議は3月29日、平成25年度税制改正の関連法案を可決。同法は成立しました。 設備投資額を前年度より10%超増やした企業は、生産設備などへの投資額の3%を法人税額から控除できるようにするなど、成長強化に向けた投資減税が行われます。(3/29 日経「成長強化へ投資減税 13年度税制改正法が成立」) 幸福実現党は法人税減税を主張していますが、アベノミクスによる金融緩和を「投資の拡大」という景気回復効果に繋げるためには、(まだまだ不十分ですが)こうした法人税減税は不可欠です。 それと同時に、今回の税制改正では、消費増税をにらんで、「低所得者ほど負担が重くなる」という消費税の逆進性に対する批判をかわすために、公平性の観点から富裕層への課税が強化されることが決定しました。 所得税は2015年1月から課税所得4000万円超の部分を対象に税率を40%から45%に引き上げられます。2007年度に最高税率が引き上げられて以来の所得増税です。 相続税の課税対象が倍増! そして、富裕層への課税強化の最大の目玉は、相続税の増税です。 税制改正により、相続税は税額から差し引くことができる基礎控除が4割縮小されます。具体的には、2015年1月1日以後の相続から以下のように基礎控除が変更されます。 【現行】5000万円+1000万円×法定相続人の数 【改正後(2015年~)】3000万円+600万円×法定相続人の数 例えば、相続人が2人の場合、現行の税制であれば7000万円以上ないと相続税は発生しませんが、改正後は4200万円以上あれば相続税が課税されます(基礎控除4割減)。 これにより、都市部を中心に、相続税の課税対象者が倍増すると言われています。(4/3 財経新聞「平成25年度の税制改正法案が参院本会議で可決・成立」) 不動産コンサルタントの長嶋修氏は「都心での地価の底入れを考慮すると、改正後は課税割合が20~30%(注:東京国税局管内の2011年の課税割合は約7%)に膨らむことも考えられる。富裕層だけが相続税の対策をすればいいという時代は終わった」と指摘しています。(2/20 日経「相続増税、まずは財産把握」) また、合わせて相続税の税率が引上げられました。課税対象となる遺産が2億円超~3億円以下の場合は現行の40%から45%に、6億円超の場合、現行の50%から55%に増税されます。 相続税を即刻、廃止せよ! 幸福実現党は立党以来、「相続税廃止」を訴えています。そもそも、税制の基本原則に「二重課税の禁止」がありますが、相続税は「二重課税」の疑いがあります。 個人の所得に対して所得税や住民税がかかり、その残りが私有財産になるわけですが、そこに再度、死亡時に課税することは極めて理不尽です。 そもそも相続税はマルクスの『共産党宣言』に掲げられた「相続権の廃止」に思想的淵源があり、相続税増税は、「私有財産の侵害」「国家社会主義」に繋がります。 渡部昇一氏は『対論「所得税一律革命」』(光文社,1999年)で「相続財産を含めた私有財産こそが自由の砦であり、私有財産が国家のものになったら、本当に自由も何もなくなるということなのです。 自由をとるか、それとも相続税をとるか――比べて悩む人は社会主義思想に汚染されている危ない人です。自由をとる人ならば、相続税ゼロ、相続税廃止に反対する人は絶対にいないはずです」と述べています。 そもそも「相続」とは、親から子・孫へと努力の成果を受け継ぐ「絆」です。 相続税が増税されれば、親から子孫に渡す財産が減り、子孫にとっては親や先祖への感謝や「絆」を感じる基(もとい)が減ることになります。 そればかりか、地価が高い地域では、子孫が保有している財産だけでは相続税を払えず、相続した家や土地、財産等を手放さざるを得ないケースが増えており、親から子への文化・伝統の継承が途切れてしまいます。 幸福実現党は社会保障を政府に頼るのではなく、社会保障はセルフヘルプ(自助努力・「生涯現役」社会の実現)と、家族・地域の助け合いを基本とすべきと考えており、そのためにも相続税は廃止すべきと訴えています。 実際、スイス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スウェーデン、イタリアでは既に相続税が廃止されています。 「相続税廃止」は先祖代々の文化・伝統の継承の尊重に繋がり、愛国心の涵養に資することを信じてやみません。(文責・黒川白雲) 「生涯現役社会」に向け、規制緩和と減税でパイを増やす発想を! 2013.04.03 希望者を65歳まで雇用するよう義務づける「改正高年齢者雇用安定法」施行 本年4月1日より、希望する社員を65歳まで雇用することを企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。 2006年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」は、65歳まで働ける制度を導入するように促すもので、労使協定や就業規則等で定めた基準に合わなければ、希望者であっても再雇用されないこともありました。 今回の改正法では、企業は雇用する社員を選別することはできなくなり、「60歳以降も働きたい」と希望する社員は、原則65歳まで働くことができるようになります(2025年までは経過措置あり)。 ただ、それぞれの事情を考慮することなく、各企業に高齢者雇用を義務付けることは歪みを生みます。 みずほ総合研究所の試算によれば、事実上の定年が65歳になる2025年度には、企業全体で年間の人件費は1.9兆円、約1%程度増加するとのことです。 この数値をベースに計算すると、各産業の利益率を0.1ポイント押し下げるとの試算も出ています。(3/4 日経ビジネス) しかし、ドラッカーが述べているように「知識労働者をコストではなく資産として遇すること」によって、生産性を高め、人件費増加を補って余りあるだけの利益を上げる道はあります。 実際、多くの企業は高齢者の智慧と経験を活かそうと、様々な工夫を凝らしています。 消費増税を中止し、景気回復を優先せよ! ただ、企業が雇用を維持・増加しようとする前提として、景気の回復と経済成長が必要です。 その足を引っ張るのが消費増税です。消費増税で景気が悪くなって倒産が増えれば雇用も減ります。 1997年に消費税が3%から5%に引き上げられた際には、それまで3%台だった失業率が、その翌年の98年には4.11%に上がりました。その後も少しずつ上昇し、2001年には5%台になりました。 経済成長の足かせとなる消費増税を阻止し、新産業への投資を行って若い世代に魅力的な職場を与えると共に、高齢者も貴重な戦力とされるような環境作りを急がねばなりません。 労働市場の流動化を進め、「チャンスの平等」を実現せよ! その上で、長期的には、労働市場の流動化を進めることが重要です。 この度の法改正は、一律に65歳まで雇用し続けることを義務化するものですが、業種によっては高齢者に向かない仕事もあります。 例えば、住宅建材等の運送を手掛けるアルプス運輸建設では、体力や判断力が衰える高齢者にトラックの運転をし続けてもらうことはリスクがあると判断し、新規事業として農業を始め、高齢社員に稲作に従事してもらうことにしています(3/4 日経ビジネス)。 ただ、これは全ての企業ができることではありません。 現在の日本では、正規社員の解雇についての規制が非正規社員に比べて強すぎるため、一度職を失った人、これから社会に出る若者にとって不利な状況が生まれています。 今後、65歳までの雇用が義務付けられるようになれば、ますます正規雇用を控える企業が増えるでしょう。 雇用に関する規制を緩和して労働市場の流動化を進め、転職をしやすくする環境をつくることで、長期的にはチャンスの平等が生まれます。 転職が当然の社会になれば、各自の年齢や経験、体力や技能に応じた職場への道も開けるでしょう。 ドイツでは、一度採用したら解雇はほとんど無理と言われるほど厳しい規制がありましたが、法律を改め、解雇をしやすくしたところ、短期的には失業者が500万人を超えましたが、長期的には雇用の流動性が高まり、企業の活力も高まって失業者が減りました。(2011/8 WEDGE http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1422?page=1) 高齢者雇用のパイを増やせ! さらには、高齢者雇用のパイをいかに増やしていくかを考えるべきです。 介護人材派遣業を営む㈱かい援隊本部は「介護分野の人手不足の問題を元気な高齢者を雇用することで克服したい」という志でスタートしたベンチャー企業です。 このような高齢者雇用を積極的に推し進めようとする企業や、高齢者による起業に対して、投資や税制優遇などの支援を行うことも必要です。 「生涯現役社会」に向けたマインド転換を! 最後には社会全体のマインド転換が必要です。 幸福実現党は「セルフヘルプの精神」に基づいて、老後の生活を政府に依存するのではなく、個人や民間企業の力、家族の助け合いで生計を立てることができる、充実した「生涯現役社会」を目指しています。 その具体的政策として「75歳定年制」を提唱しています。 戦後長らく55~60歳定年が常識だったため、75歳は突拍子もなく聞こえるかもしれませんが、55歳定年が一般的だった1951年に男性60.8歳、女性64.9歳だった平均寿命は、50年間で男性18年、女性20年も伸び、男性78歳、女性84.9歳となりました。 余命を考えれば、「75歳定年」はむしろ自然の流れだと言えるでしょう。(文責・政務調査会部長代理 小川 佳世子) すべてを表示する « Previous 1 2 3 Next »