Home/ その他の時事問題 その他の時事問題 「正しい政治」を取り戻すために! 2014.03.19 文/幸福実現党鹿児島県本部副代表 HS政経塾4期生 松澤力 徳洲会の公職選挙法事件で徳田毅氏が議員辞職したことに伴い、衆院鹿児島2区補欠選挙が4月15日(火)告示、4月27日(日)投開票の予定で実施されます。 ◆衆院鹿児島2区補欠選挙の争点は何か 先週13日、原子力規制委員会は、川内原発の安全審査を優先的に進め、審査に合格すれば夏にも再稼働1号となる公算が大きくなりました。 地元の経済を支えるために安定的でコストの安いエネルギーを確保するため、川内原発が稼動の方向に進んでいることを歓迎したいと思います。 ◆「鹿児島の底力」の発揮を阻む消費増税は反対 今回の選挙の争点は二つです。一つは「日本の経済成長を阻む消費増税」です。 消費増税は、日本経済を根本的に蝕むものであり、幸福実現党は立党以来、消費増税には反対の立場を貫いてきましたが、残念ながら4月1日より施行されることになります。 街中をみると、大手の小売業は「4月から増税、今ならお買い得!」という表示が掲示されており、3月には駆け込み需要があるものの、4月以降の数か月、相当厳しい状況が予想されます。 私は、大手コンビニチェーンの経営企画室に勤務していた経験から消費者の心理を敏感に感じてきましたが、そうした立場からも消費税増税ではなく、減税路線による鹿児島の底力を生かした経済発展を目指すべきであると考えます。 ◆鹿児島、沖縄を中心とする島嶼防衛の強化 二つ目の争点として、離島の安全な生活を守るため、島嶼防衛の強化策です。特に、鹿児島の島嶼部は沖縄と隣接しており、国防の最前線に近い地理的環境にあります。 現在、尖閣諸島を含む空域が中国の「防空識別圏」に入るなど、緊張状態が続いています。また、北朝鮮情勢も予断をゆるさない状況にあります。 安倍政権も国防強化の方向性は打ち出しているものの、今国会の目玉であった「集団的自衛権」の容認について先送りの意思が示されています。 国家を守る政治家として、日米同盟強化につながる集団的自衛権の容認は今国会で行うべき最重要事項です。 ◆「正しい政治」を取り戻せ! 以上、今回の選挙の争点は、「消費増税の是非」「防衛力強化」でありますが、その一方で根本的な政治の在り方を問うものでもあります。 今回の鹿児島2区にお住まいの皆様にとっては、「本来の政治の姿を取り戻してほしい」と願っているはずです。 補選では「理想の実現を目指す政治」「しがらみのない政治」を創る必要があります。そうした意味で、今回の鹿児島補選は、新しい政治に向けての極めて重要な選挙と言えます。 幸福実現党も「正しい政治」を取り戻すため益々の精進を重ねてまいります。 消費不況の足音が聞こえる 2014.03.18 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆実質GDPの下方修正 3月10日、内閣府はGDP(国内総生産)の下方修正を発表しました。 2013年10~12月期の実質GDPの成長率に関し、2月に公表した速報値「前期比0.3%増、年率換算で1.0%増」を「前期比0.2%増、年率換算で0.7%増」に下方修正しました。 日本経済新聞「実質GDP下方修正」(3/10)は、「個人消費と設備投資が速報時の推計よりも少なかった。輸出の伸び悩みが目立ち、景気回復の持続には海外需要の持ち直しが焦点となる」としています。 2013年10~12月期の3ヶ月間を振り返りますと、この間円安が進み、日経平均株価は上がっています。(為替97.88円→105.36円、7.6%円安。株価14,455円→16,294円、12.7%株高) 「円安・株高」を原動力にして来たアベノミクスが、「円安・株高」が進む中で失速したという事を、果たして安倍総理はどう受け止めておられるのでしょうか。 安倍総理のブレーンである浜田宏一・米エール大名誉教授も10~12月の実質GDP成長率の2次速報値が前期比年率0.7%にとどまったことについて「アベノミクスが本当にはうまくいっていない、十分力強くないことの印だと言えるかもしれない」と述べました。(ブルームバーグ3/14) これらの動向は、本年1月24日に閣議決定された「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2014/0124mitoshi.pdf)のアベノミクス「三本の矢」による一体的な取組の政策効果から家計や企業のマインドが改善し、消費等の内需を中心として景気回復の動きが広がっているという楽観的な見通しと齟齬をきたしているのではないでしょうか。 ◆野田前政権時代の水準をも下回った消費者心理 さらに日本経済新聞「2月の消費者態度指数2年5か月ぶり低水準」(3/12)によりますと消費マインドの落ち込みが予想以上であると次のように報道しています。 「内閣府が3/12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.2ポイント低下の38.3と3カ月連続で悪化した。2011年9月(38.2)以来2年5カ月ぶりの低水準。(中略)4月の消費増税後に耐久消費財を買い控えようとする心理が働いたことなどが影響した可能性がある。」 2011年9月は、菅元総理が退陣し、第一次野田内閣が誕生した時期で、消費者態度指数が2011年9月以来の水準まで低下したということは、消費者心理が野田前政権時代の水準をも下回って来たということです。 「消費者心理」という点においては、「アベノミクス効果」は完全に剥げ落ちたということになります。(参考Japan was back. ~ 野田政権時代以下まで冷え込んだ消費者心理~ 近藤駿介氏) ◆アベノミクスの正念場 昨年10月に安倍晋三首相が消費税引き上げを決定した際に、日本経済は4%台のGDP成長率を記録していました。しかし、「景気が順調に回復している」という増税の前提は、今や見る影もありません。 このまま増税に突き進めば、新たな不況を招くと同時に、安倍政権が進めるアベノミクスも空中分解する恐れもでてまいりました。(「減速する日本経済 消費増税の根拠はすでに崩れている」The Liberty Web 3/15) 昨年夏、消費増税の是非について有識者の意見を聴く政府主催の「集中点検会合」があり、招聘された70人のうち、約7割の44人が、本年4月に予定通り3%引き上げるべきと主張しました。 筑波大学名誉教授の宍戸駿太郎氏(計量経済学の専門家として日本最大のマクロ計量モデル「DEMIOS」の開発に携わった)は、数少ない反対者として昨年8月27日第2回集中点検会合に参加されました。 宍戸氏は、「消費増税は計量モデルの分析によればデフレを加速させますよ、日本経済がようやく回復し始めたのがまた元に戻りますよ」と増税反対を主張。 「アベノミクスは、第一楽章は素晴らしかったけれども、第二楽章で葬送行進曲のようなことになってしまって、第三楽章はもう収拾不能、世界の笑い者になるだろう」と昨年9月の段階で警鐘を鳴らされました。 (THE FACT http://www.youtube.com/watch?v=aby8vaXWAZY) あれからわずか半年足らずでその兆候が上述の如く表れてまいりました。 ◆消費税率は8%で凍結すべし! 幸福実現党は、2009年立党以来、選挙戦、あるいは政治活動を通して繰り返し消費増税は消費不況を起こすと訴え続けてまいりました。 8%への増税はもはや覆すことは不可能でありますが、なんとしても10%への増税は止めなければならないと考えております。今後とも、皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。 人口増加に向けて世帯課税方式の導入を 2014.03.17 文責:HS政経塾二期生・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆世帯課税方式とは 今月6日付の日経新聞に「所得税 抜本改革を議論」と題し、世帯課税所得の導入議論に関する記事が掲載されました。 これは、子供の数が多い程、所得税が減税される税方式で、現在フランスが採用しており、少子化対策の一環としてすでに効果を発揮しています。(N分N乗税制) 具体的には、大人を1、第2子までは0.5、第3子以降は1として世帯の人数を算出し、その数で所得総額を割って課税所得を計算し、そこに所得税率をかけて所得税を決めるというものです。 例えば、年収が700万円の夫婦2人世帯と、子供2人の4人世帯の所得税を比べた場合、この方式を採用するとします。(計算簡略化のため各控除を考えないものとする) 夫婦2人世帯の場合は課税所得が350万円で20%の所得税率が適用され、所得税は70万円であるのに対し、4人家族の場合は課税所得が233万円で10%の所得税率が適用され、23万円弱となります。 さらに子供が3人いる5人世帯の場合だと、所得税は8万円台まで下がります。つまり「高収入・大家族ほど減税幅が大きくなる」のです。 ◆世帯構成の変化 一方、現在の日本の所得税の課税単位は「個人」ですが、家族への配慮として、配偶者控除や各扶養控除などの人的諸控除があります。(※民主党政権下の「控除から手当へ」という方針は現政権でも継続されており、15歳以下の扶養控除は廃止されています。) 特に配偶者控除は、専業主婦の「内助の功」に対する配慮であると言われてきましたが、現実には、専業主婦がパートで働くに際して、夫の扶養から外れないように年収を103万円以内に抑えるという、いわゆる「103万円の壁」があり、女性の働き方は制限されてきました。 2013年版男女共同参画白書によると、共働き世帯が1054万世帯に上るのに対して専業主婦世帯は787万世帯であり、97年に共働き世帯が逆転して以降、その差は開き続けています。 すでに共働き世帯の方がメジャーであるという現実を鑑みても、課税単位を家族に変えるべき時期にきているのではないでしょうか。 ◆世帯課税方式のメリット 本課税方式のメリットは、今までパートで働いていた専業主婦層が、年収の上限を気にすることなく稼げるようになり、世帯年収アップが見込めることです。 また、世帯年収が増えることで子供を増やそうという動機づけにもなるばかりか、世帯人数は多ければ多いほど減税されるので、親の面倒をみようという三世代同居への誘因にもなります。 さらに、生涯現役社会の構築により、シニアでも働いて稼げるようになれば、おじいさんの所得でトリプルインカムも実現できます。 そして、日中は、おばあさんが孫の面倒をみれば、現在、都市部で深刻な待機児童問題の解決にも資するかもしれません。 ◆本課税方式の導入が進まなかった理由 実は、本方式の導入については06年の少子化対策においても議論されていました。 しかしこのときは、課税単位を「個人」から「家族」へ変更するというドラスティックな改革について慎重な意見が多く、また、当時行った本税制の導入効果の試算では、1000万円以下の世帯ではほとんど変化がないか若干増税される場合もあるとのことで、本方式よりも扶養控除の金額を引き上げるほうが現実的ではないかという結論に落ち着きました。 しかし、現在では多くの世帯で適用税率が下がり、減税になる可能性が高いと指摘されています。 ◆国はもっとポジティブな発信を! いずれにせよ、安倍政権が本気で「女性の活躍」を応援しようとするのであれば、本税制の採用は重要度の高い政策項目だといえます。 その際には、政府は国民に対し、「結婚し、家族を増やし、収入を増やすことはいいことだ!」というポジティブなメッセージを発信し、今こそ、「少子化対策」という後ろ向きな姿勢から、「人口増加策」という積極的な政策手段へと舵を切るべきです。 参考文献:『これでいいのか少子化対策』岡田雅暢著 東日本大地震から3年――被災地の復興事業と課題 連載第1回 2014.03.16 文/幸福実現党 総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《復旧から復興へ》 東日本大震災から3月11日でちょうど3年になりました。3月9日から12日までの3日間、岩手、宮城県、福島県の被災地を視察してきましたので、何回かに分けて、その報告をさせて頂きます。 この震災で亡くなった方は、1万5884人、行方不明が2633人、そして震災後に亡くなられた方(震災関連死)は実に2916人に及びます。また、福島原発の事故の影響もあって、実に現在でも26万7419人の方が故郷を離れて、今でも避難生活を強いられています。 震災で亡くなられた方々とご遺族に、心よりの哀悼の意を捧げさせて頂くと共に、困難な生活を送っておられる方々が、1日も早く普通の生活を取り戻すことができるよう、今後も幸福実現党一同、精一杯努力して参る所存です。 ◆復旧から復興へ さて、私が最初に被災地に入ったのは、ちょうど3年前、震災の約1か月後でした。当時はまだ東京から被災地に入るルートがなく、秋田空港からレンタカーを借りて、岩手県の三陸沿岸、そして宮城県の石巻市に入りました。 津波の被災地はまだ電気もガスも水道もなく、被災された方々が小学校の体育館などで、救援物資による避難生活を送り、自衛隊が懸命に遺体の捜索活動をしていた時です。 津波の破壊力はすさまじく、一体は文字通りの「瓦礫の山」で、辛うじて被災地への主要な道路の瓦礫が取り除かれ、車が走れるようになっている段階でした。 今回改めて、岩手、宮城、福島県の被災地を視察して実感したのは、「瓦礫の撤去作業は概ね進んでいる」ということです(しかしながら、例外として福島県がありますが、そのことは次回、ご報告します)。 ◆現在の被災地の風景 被災地を車で走ると、いたるところに一面草の生えた原野で、その中に建物の残骸や鉄骨だけが残っている風景が広がっています。そこは大抵、以前の住宅地や市街地です。つまり、3年目にしてようやく、津波によって完全に破壊された地域の「瓦礫の片づけがひと段落した」というのが、被災地の現状です。 岩手県大船渡市 http://box.c.yimg.jp/res/box-s-pvff6c7is323i4sfpz4llswnvi-1001?uid=071f4796-e607-4473-8dba-c7b1fda51009&etag=51934860139473086088212 岩手県陸前高田市 http://box.c.yimg.jp/res/box-s-pvff6c7is323i4sfpz4llswnvi-1001?uid=a6016618-526d-4da7-b7b8-09cae700d24b&etag=123f388f139475157675738 福島県南相馬市 http://box.c.yimg.jp/res/box-s-pvff6c7is323i4sfpz4llswnvi-1001?uid=b68a3be0-0ada-49c2-8090-b9d0f515b267&etag=56155f67139443004784610 ◆これから『復興』に取り組む段階 NPO法人HUGが発刊する『3years 復興の現場から、希望と愛を込めて』によれば(2014年1月の復興庁発表のデータから)、主な被災3県(岩手、宮城、福島)の復興の状況は以下の通りです(http://p.tl/saV3)。 瓦礫の処理=91%、病院=93%、介護施設=83%、道路99%、学校94%、鉄道89%。 そうしたインフラの復旧とは対照的に、仮説住宅に暮らす人=10万2650人、復興住宅=2%、中小企業の売上=37% 特に、震災で避難された(させられた)方々は、震災直後の約47万人から、約26万人と約半数になったものの、うち48%が民間住宅で、今なお37%が仮設住宅での暮らしを余儀なくされています。 少し荒削りな表現になってしまいますが、これらの数字や現地を見る限り、被災地は3年目にしてようやく、「最低限の『復旧』がようやく終わりに近づき、これから『復興』に取り組む段階に近づいた」状況にあると言って良いでしょう。 そのあまりに遅い復興の原因や理由、今後の対策などについて、これから何回かに分けて探って行きたいと思います。 (つづきは次号) ウクライナ危機は対岸の火事にあらず 2014.03.15 文/HS政経塾第1期生 城取良太 ◆ロシアはなぜクリミアにこだわるのか? ロシアとEUの綱引きにより生じたウクライナの政変は、結果としてロシアによるクリミア併合へと緊迫した状況を迎えております。 ロシアがクリミアにこだわる最大の理由は、ロシア黒海艦隊の軍事施設の存在であり、半島全体がロシア軍の拠点であるといっても過言ではありません。 ロシアにとっては黒海の制海権確保のために必要不可欠な拠点であり、もし他国の海軍が展開してくるような事態に進展すれば、モスクワなどロシアの主要都市が巡航ミサイルの射程範囲に入ることになり、ロシアにとって大きな脅威となるのです。 このような背景から、クリミアにおけるロシア通貨ルーブルの早期導入やメディア規制、ロシア型社会保障制度への移行など、実質的な「脱ウクライナ化」が急速に進んでいるのです。 実際に、今月9、10日に行われた現地の世論調査ではロシア編入に賛成は79.7%で、住民投票を前にクリミア住民の「民意」もほぼ決していると言えます。 ◆本格的にリーダーの座から降りつつあるアメリカ 一方、米政府はクリミアの独立は「ウクライナ憲法に違反している」という見解を示し、ロシアの見解と真っ向から対立しております。 いつもは外交面で「弱腰」と国内外から批判を受けるオバマ大統領も、批判を避けるためか、議会の承認が必要ない大統領令による制裁発動に踏み切りました。 しかし、制裁の対象はロシア政府高官や軍関係者、前ウクライナ政権の一部関係者に限られ、制裁の効果は疑問視されており、議会や米民間シンクタンクからは、より強硬な経済制裁や黒海への艦船派遣などを求める声が上がっており、やはりオバマ政権の対応は「腰が入っていない」と批判されています。 オバマ政権が強気になれない最大の要因は、世論において厭戦気分が高まり、内向き志向が強まっていることが言えるでしょう。 昨年12月に発表された世論調査では国民の8割が「国内の問題に集中すべきだ」と答え、過半数以上が「世界のリーダーの役割を担う力は落ちた」と答えております。 オバマ政権はそうした世論に迎合し、イラクやアフガニスタンから撤退し、シリア、イランに対して、介入よりも対話路線を採っておりますが、こうした中東問題への弱気な対応がロシアの強硬的なクリミア介入を招いたといえるでしょう。 政権維持のために、民意に迎合しやすい民主国家の弱点を露呈していると言えます。 ◆中東などで存在感を高めるロシアや中国 中東でアメリカの影響力が低下する中、そこで存在感を発揮しつつあるのは、まぎれもないロシアや中国であります。 例えば、約40年間に亘って「親米国」であり続けたエジプトとアメリカの関係が冷え込んだ間隙を突いて、ロシアがエジプトに急速に接近しており、武器輸出や軍事技術などで協力関係を築き、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)も重ねております。 アメリカが撤退しているアフガニスタンやイラクへは、原油の安定供給を狙う中国が結びつきを強めており、アメリカが抜けた後の国家再建に向けての政治経済両面からの協力を約束しております。 更に今回の震源地、ウクライナへの権益を虎視眈々と狙う中国の姿も浮き彫りとなっております。 欧米とロシアの仲介をするような姿勢を見せている中国ですが、ヤヌコビッチ前大統領在任中から軍事的な協力関係を強化し、「核の傘」の提供まで約束していた経緯や、ウクライナ東部においては、300万ha(日本の農地合計は約450万ha)といった膨大な農地を租借する方向で進んでおり、中国最大の海外農場をウクライナに建設しようとしている現実があります。 ◆ウクライナで起こったことは極東の安全保障につながる いずれにしても、アメリカが世界の警察官の座から降りつつあることで、その「空白地」を狙った各国の国益を睨んだ現実主義的な外交が加速することは間違いありません。 その先頭を走るのは皮肉なことに、民意に対して強いリーダーシップで強権的な対応が採れる独裁「的」国家としての中国やロシアであるのです。 そして、ウクライナで起こっていることは日本にとっても対岸の火事ではなく、今後の極東の安全保障を占うためにも目が離せません。 アメリカの対応が弱腰なら、中国の軍事的拡大を勢いづかせることにもつながり、一方でアメリカがロシアと真っ向から対峙すれば、更なる関与が必要となるため、アジア重視政策は有名無実化し、中国の独走を許すことになりかねません。 また、ロシアにしても、当面は中国どころではなくなり、どちらにしてもこの混沌とした情勢は中国にとって極めて「漁夫の利」を得やすいといえるでしょう。 もちろん、日本としては表立ってロシアの対応を肯定はできませんが、こうした国際情勢の中で倫理的・道義的観点のみでロシアを批判すべきではなく、国益をしっかりと見据えた上でロシアへの対応を冷静に考えるべきであると思います。 ◆緊迫する国際情勢の中で日本はどうするべきか 一つは、ロシアは日本における対中国対策において不可欠なパートナーであり、関係強化は引き続いて必要であるということです。 ロシアは資源依存型経済からの脱却に苦しんでいる上、頼みの天然ガスも「脱ロシア化」が進行している中、彼らにとって日本の産業力、技術力、天然資源の購買力は大きな魅力であるため、彼らのアジア・太平洋重視政策の期待に応え、良き経済的パートナーになるべきです。 同時に、アメリカとの同盟関係も堅持しながらも、ロシアとアメリカの間を取り持ち、国際的なプレゼンスを高めていくような巧みな外交戦略が必要だと言えます。 世界の民主主義に新しい希望を灯すために、幸福実現党は確固たる信念を持って、世論に迎合せずに国を正しく導ける力となって参ります。 政府「移民で日本の人口1億人維持可能」本格議論への提言 2014.03.14 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本の人口「移民で1億人維持可能」 内閣府は、15年以降に移民を毎年20万人受け入れ、出生率も回復すれば100年後も人口は1億人超を保つことができるとの試算を示しました。 試算によれば何もしなければ、2110年には4286万人に人口は減少するため、移民が、働き手の減少や社会保障の負担増に直面する日本を救えるのか、政府は議論を本格化させるとのことです。 (2/25朝日「日本の人口『移民で1億人維持可能』 政府、本格議論へ」 ◆移民政策への提言 理想的には将来の社会保障の負担を解決できる人口増があればよいのです。しかし人口増が難しいとすれば、それに代わる政策が必要となります。その解決策として移民政策を考えようとしているわけです。 日本は、古来より、単一民族として営んできた国なので、移民の受け入れは、抵抗感があります。ですから単に、移民を受け入れればいいというものではありません。 (1)外国人に参政権を与えてはならない たとえば、外国人地方参政権の問題です。移民に安易に参政権を与えてしまった場合、特に中国人や韓国人を大量に移民として受け入れた場合には日本の政治が左右される事態になりかねません。 また移民を受け入れる国家、民族が偏らないようにバランスを考える必要があります。反日国家、犯罪の多い国より、親日国からの受け入れを増やすべきです。 (2)日本への忠誠と日本人としての教育 日本に住んでいても「日本国籍」を取っていない外国人もかなりいるので、永住権から日本の国籍を与える場合は、日本政府がしっかりと日本人としての自覚を持つ教育をする必要があるでしょう。 日本に忠誠を誓う仕組みが必要と考えます。日本の国益に害を及ぶすスパイ行為や犯罪者に対しては「国籍はく奪」「国外追放」の厳しい処置も必要です。 (3) 高度な技術を持った知識層を受け入れ また人手が不足している介護などの労働力としての移民受け入れだけではなく、高度な技術を持った技術者や知識者層の受け入れを考える必要もあります。これが出来れば日本の経済発展にもプラスになります。 (4) 世界の富裕層の日本移住 さらに税金を安くし世界から富裕層を受け入れることができれば税収も増えます。また世界の富裕層の日本移住は、国防面からも日本のプラスになります。 ◆人口は国力でもある 国家の強さは人口が大きなカギを握っています。たとえば国民一人ひとりの生産量が少なくても、人口が多ければ、国家としての総生産量は多くなります。それで経済力も増し、国防費などに使えるお金も増えます。それが現在の中国です。 米国の世界の警察の役割が低下、中国の世界覇権の野望が現実化している中で、世界の平和を維持するためには、道徳心、正義心の高い国家が世界のリーダーとなるべきです。 共産国家で人権弾圧にも罪を感じない中国に世界の覇権を渡すわけにはいきません。ですから米国と協力は必要ですが日本こそが世界のリーダーとなるべきです。そうした国家ビジョンを日本は持つべきです。 理想的には日本人の出世率があがり人口を増やすことができれば言うことはありません。しかし日本が移民を受け入れざるを得ないとすれば、できるだけマイナスを減らして、プラスを生み出していけるような舵取りが不可欠です。 ウクライナ情勢を日露関係前進のテコとせよ 2014.03.13 文責:HS政経塾部長(兼)政務本部部長 幸福実現党東京第9選挙区支部長 吉井としみつ 今、世界中がロシアの動向に注目しており、ウクライナ南部のクリミア半島の行方を巡り、アメリカ・EU諸国とロシアの駆け引きが激化しています。 ◆クリミア半島の情勢 ウクライナ南部のクリミア自治共和国は、16日にロシア領になるか否かを決める住民投票を行う予定です。 クリミア自治共和国の人口の58%はロシア人であることもあり、ロシアへの親和性が強く、多数の賛成によりロシアへの編入賛成することが予想されています。 ロシア側も、クリミア共和国を併合するための手続きを簡素化する法案の審議が進んでいます。 ◆アメリカ・EU諸国の対応 こうした動きを牽制するために、12日に、日米欧の主要7カ国と欧州連合(EU)の首脳が、ロシアによるクリミア自治共和国の編入に向けた動きに対して、停止を求める共同声明を発表しました。 ロシア側の行動が、沈静化しない限り、ロシアに対する資産凍結や渡航禁止の制裁措置を課すことや、6月に予定されているソチでのG8首脳会議を中止に追い込むことを検討しています。 ◆米欧諸国の抱えるジレンマ しかし、米欧諸国とも、ロシアに対する経済措置に対しての足並みは揃っているとは言えません。 EU諸国は、ロシアとの経済的な結び付きも強く、ロシアへの経済制裁は自国の経済にとっても打撃を受けることになるのです。 またEU最大の経済規模を持つドイツがロシアへの経済制裁に対して慎重であることも、ロシアへの経済制裁に足並みが揃わない大きな理由と言えるでしょう。 14日にアメリカのケリー国防長官とロシアのラブロフ外相が、ロンドンで会談することになっていますが、ロシアは米欧の抱えるジレンマを踏まえて交渉すると考えられるため、妥協点を見つけられるかは依然不透明な情勢です。 ◆日本はいかなる対処をするべきか 3/11のFinancial Timesには「ウクライナ情勢は、アメリカのパワーへの試しである」(Ukraine is a test case for American power)というタイトルの論説では、アメリカのロシアへの対応は、今後台頭してくる中国にどう対応するかにも関わってくることが論じられています。 つまり、ウクライナを巡る一連の動きは、一見、日本に無関係に見えるかもしれませんが、日本の安全保障を考える上でも重要で、これからの日露関係に大きく関わっています。 中国が軍事力を高めていくなか、日本がロシアとの関係を強めておくことは、日本の安全保障上、極めて重要です。 欧米諸国は、ロシア国内で同性愛の宣伝を禁止する法律への反発から、ソチ五輪の開会式に欠席しましたが、安倍首相は開会式に出席するなど、就任以来、五度のプーチン大統領との会談を通じて、信頼関係を深めています。 今年の秋もプーチン大統領は来日することが決まっており、今後良好な関係が続けば、長年の懸案である北方領土問題についても、前進する可能性もあります。 アメリカとEU諸国は、ロシアに対する制裁を議論していますが、日本はロシアへの経済制裁についての態度を明確にしていません。 ◆日本に求められるしたたかさ アメリカが先頭になって、ロシアを批判するなか、露骨なロシア擁護を日本はやりにくい状況にあるのは確かです。 ただ、だからといって、せっかく良好になっている日露関係をみすみす悪化させるわけにもいきません。 国家安全保障局の谷内局長が、ロシアのラブロフ外相と12日に会談しており、「いかなる状況でも、日ロ間ではしっかりとした対話と意見交換を持ち続けることが大切だ」(3/13読売2面)という谷内氏のコメントもあり、布石は打っているようにも見えます。 日米同盟に配慮しながら、ロシアとの結び付きを強めていく一手を捻り出さねばなりません。 積極的平和主義には、したたかさも必要なのです。 ◆韓国の「御用マスコミ」朝日新聞――それに屈した日本政府 2014.03.12 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆朝日新聞「従軍慰安婦に日本軍が関与」と報道 朝日新聞は、平成4(1992)年1月11日付の記事で、いわゆる「従軍慰安婦」に関する以下の報道を行いました。 同記事は1面トップで「慰安所の経営に当たり軍が関与、大発見資料」と報じ、社説では「朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」「その数は8万とも20万ともいわれる」と解説、先のニュースファイルでも紹介した吉見義明氏が「軍の関与は明白であり、謝罪と補償を」というコメントを寄せました。 しかも、この朝日新聞の記事は、当時宮沢喜一首相が韓国を訪問する5日前 という絶妙のタイミングで報じられたのです。 朝日新聞が「日本たたき」の格好の材料を提供してくれたことで、宮沢首相は韓国訪問の記者会見の場で執拗に謝罪させられました。これが『河野談話』への伏線となったのです。 まさに朝日新聞は、日本たたきの材料を提供した韓国の「御用マスコミ」という新しい称号を与えたいくらいです。 ◆「関与」という魔法の言葉 ところが朝日新聞が、慰安婦に日本軍が関与した証拠として取り上げた軍の文書は以下のような通達です。 「内地においてこれの従業婦等を募集するに当り、ことさらに軍部諒解などの名儀を利用した軍の威信を傷つけかつ一般民の誤解を招くおそれある」「憲兵および警察当局との連繋を密にし軍の威信保持上ならびに社会問題上遺漏なきよう配慮相成たく」 これを「軍の関与は明白」と報道したのです。 よく読んでみると、「軍の関与」は、「軍が強制連行に関与していた」ということではなく、「軍は日本軍の名義を利用して軍の威信を傷つける慰安婦を募集している業者を取り締まる通達」であったのです。 つまり軍の関与は関与でも、慰安婦業者を取り締まるという意味の通達でした。「関与」という言葉は、魔法の言葉です。「関与」という言葉を使うことで、「軍が慰安婦に関わっていた」という悪いイメージを与えることができます。 ◆「河野談話」――日本政府が認めた? 朝日新聞の報道、宮沢首相の謝罪の伏線のもとで河野官房長官は、平成5(1993)年8月4日に「(韓国人女性は)本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、(日本の)官憲等が直接に荷担したこともあった」と発表しました。 しかし、先のHRPニュースファイルでも紹介したように、2月20日の衆議院予算委員会で、当時事務方のトップであった石原信雄元官房副長官は、韓国元慰安婦16人の聞き取り調査について、裏付け調査をしなかったことを明らかにしました。(2/21産経) さらに今年2014年1月1日の産経新聞の報道で、韓国が「河野談話」を作成する原案段階から関わっていたことも明らかになりました。 韓国側は、「河野談話」で「日本軍が韓国の女性を強制連行」したことがわかるように「日本軍の指示」と表現にするよう要求してきたことも明らかになっています。 最終的に「河野談話」は、韓国からの要求を組んで「軍当局の要請」という「強制性」を思わせるような表現に修正しました。 河野氏は韓国の執拗な謝罪要求に一度謝罪すれば追及がやむだろうと考えたのでしょうが、韓国の謝罪要求は止むどころか、従軍慰安婦を認めた「河野談話」を理由に、いまや米国の慰安婦像やフランスの漫画展にまでおよび、日本たたきは益々エスカレートしています。 ◆こと上げしない日本の文化が災い 日本には、こと上げしない文化(言い訳しない文化)があり、それが原因で韓国に言われるままになっています。日本は、最近ようやく「否定しないことは認めることにつながる」ことを認識しました。 しかし米国への外務省の弁明は、「日本は十分謝罪している」というものです。それが逆に、史実にはなかった「強制連行」「セックス・スレイブ」を認めてしまっています。 これでは、無実の罪を着せられた先人も浮かばれないでしょう。そればかりではなく、私たちの子孫が世界でいじめにあう要因をつくってしまうことにもなります。 韓国が世界に吹聴する日本の無実の罪を晴らすことは、現在生きている私たちの使命です! 「『河野談話』の白紙撤回を求める署名」に是非ご協力をお願い致します! http://info.hr-party.jp/2013/2524/ なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言 《第1回》 2014.03.11 文/岐阜県本部副代表 河田成治 先の大戦において、日本人は大和魂を誇りとし、厳格な規律と、稀に見る勇敢さで、アジアの植民地を解放・独立へと導きました。日本は悪い国だったという自虐史観を一日も早く払拭し、正しく歴史を伝えたいと思います。 この歴史に心よりの敬意を払いつつも、しかし、「なぜ日本は負けたのか?」を考えていきたいと思います。日本軍の欠点や短所を分析し、そこから教訓を学ぶことは、未来への航路を決めるのに極めて重要だからです。 今回は10回に渡って、大東亜戦争(太平洋戦争)の教訓を抽出し、未来への舵取りはどうあるべきか提言させていただきたいと思います。 ◆概論 日本が敗戦した理由は、専門家によって各方面から研究されてきました。 たとえば、 (1)数々の戦闘における失敗、弱点が次の戦いにフィードバックされず、「失敗から学ぶ」ことができなかったこと。 (2)兵員を消耗品として扱い、捕虜になるくらいなら自死を強要したことで、貴重なベテラン戦力をなくしたこと。 (3)インパール作戦やガダルカナルのような補給概念の欠如。 (4)陸海軍の意思疎通の悪さ。 (5)科学的・合理的思考の軽視 (6)情報戦の軽視 (7)人事の失敗などです。 (1)の日本軍の「失敗から学ぶ」、つまり失敗学の研究が十分でないのは、現代でも当てはまります。特に「大東亜戦争の敗因」そのものが、学校教育をはじめ、一般人の教養として、また政治家等の知識となっていないことは、残念なことです。 また、失敗を分析しない傾向性そのものは、いまでも散見されます。一例を挙げれば、消費税の失敗です。 我が国が消費税を導入(1989年に3%)したあと、大不況に陥りました。また、5%に増税(1997年)されると、せっかく上向きかけた景気が再び、不況に逆戻りしてしまいました。 消費税と景気の関係の研究を怠り、再び8%へと増税しようとしています。前回までの教訓からは、今回の消費増税が、再び不況を招くことを示唆しています。 政府は様々な経済対策を打ち出していますが、これこそ「消費税による不況」を恐れている証拠で、一方、政府が進める経済対策が有効かどうかの保証はまったくありません。 同様に、なぜバブルとまで言われた空前の大好況が崩壊したのか?その分析、研究が十分ではなく、経済を冷え込ませないための教訓が得られているように思えません。 (4)の陸海軍の仲の悪さは、致命的でした。太平洋方面の島を守るべき兵員は、わずかしか投入されなかったにもかかわらず、中国大陸には100万もの使われない陸軍兵力が残されたままでした。 また陸軍は、海軍に頼るくらいなら…と、陸軍製潜水艦を設計・建造しましたが、素人丸出しの潜水艦は水漏れが止まらず、使い物になりませんでした。日本の極めて少ない貴重な資源、予算を裂いてもメンツにこだわり、終戦まで陸海軍の仲は改善しませんでした。 現代の自衛隊では、陸海空の「統合運用」を目指していますが、かけ声だけの年月が長く続いています。 昨年のフィリピン台風の際には、海上自衛隊の輸送船(おおすみ)に陸上自衛隊の輸送ヘリを搭載しましたが、もともと陸自ヘリを乗せる設計ではないため、ヘリのローターを取り外さなければ格納できないという苦労を乗り越えて、フィリピンまで海上輸送しています。 陸海空の統合運用が、今後、本格的に進展することを期待しています。 以上、第1回目は、簡単に述べました。次回からは、既出の歴史研究を紹介するというよりも、それらを踏まえた上で、ややオリジナルな観点で「敗戦から学ぶ」べき事を論じてみたいと思います。 3.11を振り返り、災害対策を強化する 2014.03.10 文/HS政経塾 第3期生 新潟県本部副代表 横井 基至 ◆震災から3年目 震災から3年目を迎えるにあたり、被害にあわれ、命を落とされた多くの方々のご冥福をお祈りし、残された家族の心中をお察し申し上げるとともに、小雪舞う冬空のもと、今も復興作業にご尽力されている多くの方々のご尽力に感謝申し上げます。 警察庁緊急災害警備本部2月10日現在の報告によれば、この震災の犠牲者は、15,884人、未だ行方不明者は2,636人、負傷者6,147人と甚大な被害が報告されています。 当初内閣府の被害想定では、死者数は90人~2,700人(※1)と、地震のタイプと防災意識の高低により差はありますが、実際の被害よりもかなり甘い見積もりだったことがわかります。 また、今回の震災での被害者はほとんどが津波による被害でした。津波高も予想と実際の差が最大9倍(同資料)だったと報告されています。津波の被害を受けて、海岸を持つ地域では、今大型堤防の建設が急ピッチで行われています。 ◆「コンクリートから人へ」の見直し 当時民主党政権は、「コンクリートから人へ」と方針転換し、国民の命を守る公共事業の優先度を見誤った結果、このような甚大な被害を発生させました。それは堤防の高さだけではありません。政府は施設整備だけではなく、法整備を含めトータル的な災害対策を行うことが必要です。 現在、政府や地方レベルで新たな被害想定に基づき防災計画が見直されています。 また、災害が起こってからの救助計画も同時に見直されており、住民が安全確保された状態で自宅に帰るまでの一連の流れをシミュレーションし、医療機関・警察・消防・自衛隊・米軍と連携した訓練を行う地方自治体もあります。 しかしまだまだ、各省庁の横のつながりが足りないと考えます。内閣府の主導により、今までつくり上げた連携をさらに強化し、かつ有機的に結びつけるために、2点提言したいと思います。 ◆提言 (1)災害派遣統合部隊構想 現地の災害対策委員会と被災地に派遣された医療機関・警察(海保)、消防、自衛隊・他国の組織などで一つの部隊を作る構想です。緊急時は情報が錯そうするため、指揮命令系統はひとつにまとめることが必要です。 ポイントは現地において災害派遣統合部隊を編成することです。災害の種類、規模、地理特性、派遣部隊の装備等を考慮し、災害派遣統合部隊長を選出し指揮をとります。 (2)災害発生地での航空機の管制 災害時に救助や輸送ヘリコプター等が被災地周辺において過密状態となるため、救助作業の効率化と二次災害防止を目的とします。 1、災害エリアを区切り、救助作業以外の航空機の侵入を制限します。しかしボランティアの航空機を拒むものではありません。一時的に(1)の部隊に入って頂きます。 2、当該エリアの管制権を自衛隊に移します。航空自衛隊には、移動式の管制レーダーJ/TPS-102を持つ移動警戒管制隊という部隊があり、どのような状況でも管制できる腕利きの管制官が24時間待機しています。 3、自衛隊以外の機関または民間の航空機パイロットは、当該エリア内では、自衛隊による管制に従うよう義務付けます。 被害をできるだけ少なくし、一人でも多くの国民を救える体制をつくってゆきたいと思います。震災で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、3月11日の誓いといたします。 (※1)東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会 従来の被害想定と東日本大震災の被害 平成23年8月16日 すべてを表示する « Previous 1 … 36 37 38 39 40 … 64 Next »