Home/ エネルギー政策 エネルギー政策 「パリ協定」の曲解で国を滅ぼすことなかれ【後編】 2015.12.30 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆不確実性が高い米国の参加 米国はパリ協定をオバマ大統領のレガシー(政治的遺産)とするため、議会の同意を必要とせず大統領権限で署名できる「単独行政協定」の範囲にとどめる必要がありましたが、大統領権限だけで本当に署名できるかどうかについては、異論があります。 議会で過半数を占める共和党は、「パリ協定はシュレッダーにかける」と徹底抗戦の構えを見せており(12/23 毎日新聞)、議会の同意が必要となれば、米国はパリ協定に署名することは不可能です。 また、仮に米国が署名したとしても、今後共和党への政権交代があれば、京都議定書のように米国がパリ協定から離脱する可能性は非常に高いといえます。 日本は米国など他国の状況を十分に見ながら、場合によってはパリ協定への署名を拒否する姿勢を持たなければなりません。 ◆パリ協定を「利用」する環境派・環境省に注意せよ このように、パリ協定では各国が削減目標を達成する国際法上の義務はなく、仮に達成する場合でも削減目標の厳しさには大きな差があり、そもそも米国など主要排出国の参加が完全に保証されているわけではありません。 しかし、パリ協定の採択をきっかけとして、またぞろ、環境派のメディア、政治家、学者、NGO、環境省等が、日本国内でのCO2排出削減の強化を主張しています。 パリ協定の採択を受けて、12月22日に安倍総理を本部長とする政府の地球温暖化対策本部が開催され、地球温暖化対策の取組方針が決定されました。 ※パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針について (2015年12月22日 地球温暖化対策本部) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai32/paris_torikumi.pdf それとともに、同日の政府の審議会で地球温暖化対策計画の骨子案が提示されました。 ※地球温暖化対策計画(骨子案) 2015年12月22日 産業構造審議会 産業技術環境分科会 地球環境小委員会・中央環境審議会 地球環境部会 合同会合 資料3 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004000/pdf/044_03_00.pdf この骨子案には、「国民運動の推進」という項目があり、「地球温暖化に対する国民の意識改革と危機意識浸透を図る」、「国民に積極的かつ自主的な行動喚起を促すことで、低炭素社会にふさわしい社会システムの変革やライフスタイルの変革を促進させる」と書かれています。 日本の約束草案は、年率1.7%という控えめな経済成長率のもとで、国民の徹底した省エネ・節電によってエネルギー需要を大幅に削減することが前提となっており、「国民運動の推進」は、国民が自由にエネルギーを使えなくなることを意味します。 また、「慎重に検討を行う」とは書かれているものの、「国内排出量取引制度」について、わざわざ言及しています。 「国内排出量取引制度」は、政府が企業に「CO2を排出できる量」を割り当て、これを達成した企業と達成できなかった企業との間で、余剰排出量を取引する制度であり、EUや米国の一部の州、日本では東京都と埼玉県で導入されています。 CO2は生産活動やエネルギーの使用に伴って必然的に排出されるものであり、その排出上限を政府が割り当てるということは、生産調整やエネルギーの配給制に他ならず、極めて経済統制的な手法であることから、産業界が強く反対しています。 このような政策を実行すれば、製造業は規制の緩い国に生産拠点を移転し、結果としてGDPを減少させ、雇用が失われてしまいます。 このように、特定の目的のために国民の価値観を誘導し資源配分を集中するような、社会主義的・全体主義的な政策が政府によって簡単に提案できてしまうところに、「地球温暖化対策」の本当の恐ろしさがあります。 今後の半年で、政府の「地球温暖化対策計画」の具体化が進むと考えられますが、その内容が国民の自由と繁栄を奪い、経済の低迷に伴って日本の安全保障が脅かされることがないよう、幸福実現党は警鐘を鳴らしてまいります。 「パリ協定」の曲解で国を滅ぼすことなかれ【前編】 2015.12.29 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆万雷の拍手で迎えられた「パリ協定」 12月12日、フランス・パリで開催されていた国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、2020年以降の温室効果ガス削減に関する新たな国際枠組みである「パリ協定」が、196の国と地域の賛成で採択されました。 パリ協定は、京都議定書(1997年)以来18年ぶりに採択された法的拘束力のある国際枠組みであり、各国代表はスタンディングオベーションで採択を歓迎しました。 また、日本政府代表団の事実上のトップであった丸川珠代環境大臣の尽力もあり、これまでの日本の主張が概ね反映されたことから、安倍総理や政府も歓迎を表明しています。 ◆パリ協定で決まったこと パリ協定では世界共通の長期目標として、産業革命以前からの地球の温度上昇を2℃より十分下方にとどめ、さらに1.5℃以下にとどめるよう努力すること(パリ協定 第2条)、世界全体の排出のピークをできるだけ早めること、21世紀後半に人為的な排出と森林による吸収をバランスさせること(パリ協定 第4条)などを決定しました。 先進国が途上国に温暖化対策の資金を提供することを義務付け、中国などの途上国も自主的に資金を提供することが奨励されます(パリ協定 第9条)。 また、世界の排出量の55%以上を占める55か国以上の批准が、パリ協定の発効要件として決まりました(パリ協定 第21条)。 これは、一部の主要排出国が批准しない場合に協定が法的拘束力を持たないようにするためであり、丸川大臣の発言が反映されました。 ◆パリ協定に基づく削減目標を達成する義務はない パリ協定では、全ての国が自主的な削減目標を5年ごとに提出・更新し、その実施状況を報告し、レビューを受けることが決まりました(パリ協定 第4条)。 この点は、国連が先進国だけにトップダウンで削減義務を割り当て、中国を含む途上国には削減義務がなかった京都議定書とは決定的に異なるものであり、日本や米国の主張が反映されています。 各国は削減目標の達成に向けて国内で削減措置を講じる義務がありますが、削減目標を達成することは、京都議定書と異なり、どの国においても国際法上の義務ではありません。 例えば、日本が7月に提出した約束草案「2030年度に2013年度比26%削減」(「日本の約束草案」2015年7月17日 地球温暖化対策本部)は、達成できなかったとしても、パリ協定には違反しません。 ◆日本の削減目標を実際に守ればバカを見る パリ協定で全ての国が自主的な削減目標を提出することになったことは、公平性の観点から一定の評価はできますが、現時点で各国が提出している削減目標(約束草案)を比較すると、その厳しさには大きな差があります。 政府は「欧米と遜色ない約束草案を提出した」と説明していますが、これは基準年を2013年に揃えれば欧米の数字と大差はないという意味であり、石油危機以降に既に世界最高水準のエネルギー効率を達成していた日本と、効率が悪い東欧の旧共産圏諸国を含むEU、シェールガス革命で排出が減った米国とは、大きく事情が異なります。 地球環境産業技術研究機構(RITE)は最新の研究の中で、各国が約束草案を達成すると仮定した場合に、1トンの二酸化炭素(CO2)を追加的に削減するために必要な費用(限界削減費用)を比較した結果を示しています。 ※我が国および世界各国の約束草案の排出削減努力の評価 (2015年12月18日 地球環境産業技術研究機構) http://www.rite.or.jp/news/events/pdf/akimoto-ppt-kakushin2015.pd それによると、CO2の限界削減費用は、日本の378ドルに対して、スイスだけが380ドルとやや高いですが、EUは210ドル、韓国は144ドル、米国は85ドル、オーストラリアは33ドル、ロシアは4ドル、中国とインドに至ってはゼロという、ほぼ日本だけが突出して高い結果となっており、相当なコストをかけなければ、約束草案は達成できないことがわかります。 一方、例えば中国の約束草案は、「2030年に2005年比でGDPあたり60~65%削減」というものであり、実質的に削減目標ではないため、容易に達成できます。 このような中で日本が無理に削減目標を達成しようとすれば、莫大なコストがかかり、決定的な経済のダメージを受けることになってしまいます。 (つづく) あきらめてはいけない!日本の核燃料サイクルの実現 2015.12.08 幸福実現党神奈川県本部副代表/HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆もんじゅ勧告を受け、核燃料サイクルが正念場 高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が起きてから8日で20年となりました。 先月には原子力規制委員会から運営主体の変更を求める異例の勧告が出されており、文部科学省は今月中に検討会議を作るとしていますが、新たな運営主体を見つけることができなければ、もんじゅは廃炉を含めて抜本的な見直しを迫られることになります。 まさに今、もんじゅを中心とした日本の「核燃料サイクル事業」は正念場に立たされております。 ◆日本外交力で勝ち取った現在の日米原子力協定 「核燃料サイクル事業」とは、発電し原子炉から出た使用済み核燃料を再処理して、核燃料として再使用できるようにすることです。 これまで日本は、余剰プルトニウムをもたないということを前提に「核燃料サイクル事業」が進められてきました。しかし、再処理技術を用いて、核燃料サイクルを回すことができる権利があることは、世界では当たり前ではありません。 1988年、日本はアメリカに再三の交渉を行い、日米原子力協定で包括的な同意を勝ち取っております。 敗戦国として軍事力を封じ込められてきた日本に対して、核兵器の開発に転用される可能性が否定できない技術をアメリカが認めたことは重大な出来事でした。 ◆韓国が羨む日本の再処理技術 この日米新原子力協定は、1988年に発効し、30年の有効期間となっており、あと3年で2018年の満了にあたります。核保有国以外にこの再処理技術の許可が認められた国はこれまでありませんでした。 しかし、今年の4月、アメリカと韓国の原子力協定が42年ぶりに改定され、韓国によるウラン濃縮などを事実上禁止していたのを一部緩和し、研究開発による再処理技術を認めております。 韓国は改定に渡り4年以上アメリカに交渉をしておりました。韓国は世界5位の原発強国にもかかわらず、日本のような再処理の実用化は認められておりません。 今、日本が「核燃料サイクル事業」から撤退することは、再処理技術をもっていない国よりも優位な立場をみすみす手放すということとなります。 ◆核燃料サイクル実現が日本を守る力となる 日本では、廃炉に追い込まれる危機にある高速増殖炉ですが、急ピッチで高速増殖炉の開発を進めている国があります。ロシアと中国です。 ロシアでは2014年6月に実証炉が稼働し、初臨界に達し、2025年に商用炉化を目指しています。中国も2025年から実証炉を導入し2030年商用炉導入予定です。 こうした、自国の力を強めたい大国の原子力技術が高まる中において、「プルトニウムを再利用できる技術をもっている」という抑止力につながる技術を途絶えさせることは、安全保障の観点からみて、致命的な選択です。 「もんじゅ」をエネルギー計画から外すことは国家の根幹を揺るがすことになります。最先端科学の原子力開発はその国の科学技術レベルの象徴です。 資源が途絶える危険に瀕し、大東亜戦争に突入していった日本にとって、自国のエネルギーを自国で賄えるチャンスをもっているもんじゅを維持し、「核燃料サイクル事業」を確立していくことは国の発展と繁栄のために絶対に存続すべき道です。 これで良いのか、日本のエネルギー政策 2015.12.02 文/幸福実現党・福井県本部副代表 白川 康之 ◆未来塾フォーラム 11月29日(日)福井県敦賀市にて「未来塾フォーラム」が開催されました。 会場は「福井県若狭湾エネルギー研究センター」で、この施設では原子力発電だけでなく、陽子線治療や、放射線による植物の品種改良、その他の工業分野への活用などを研究しています。 「未来塾」とは、「福井県と日本の未来の繁栄を考える人々の会」であり、月に一度会合を開いており、テーマは、政治、経済、宗教、科学、歴史、文化など様々です。 今回のテーマは、日本の繁栄にとって極めて重要なエネルギー問題でした。 原発の再稼働の遅れが日本の繁栄にとって深刻な影響を及ぼしているということから、なかでも日本最大の原発の集積地域である福井県の住民として、「何故原発が必要なのか」という勉強会でした。 ◆驚くべき電気料金の推移 この「未来塾フォーラム」で、山野直樹教授(福井大学附属国際原子力工学研究所・特命教授)をお招きし、「日本のエネルギー安全保障の行方」と題して講演がありました。 中でも驚くべきことは、「日本の電気料金の推移」(「エネルギー白書2015」)です。2010年度と2014年度を比較すると、電気料金は、家庭用で25.2%、産業用で38.2%も増えているのです。 これでは家庭はもちろんの事、産業界も製造コストが高騰し悲鳴を上げるのは当然です。 電気代高騰の理由は、原発を止めたことで石油などの化石燃料で火力発電を動かしているからです。2010年と2014年を比べると、3.4兆円の燃料費が増加しています。 これは国民一人あたりにすると、年間3万円を負担していることになります。(「エネルギー白書2015」) そうした現状をみると原発によるエネルギー供給がどれだけ重要かがわかります。原発を稼働させれば、当然、火力発電の稼働が抑えられ、電気代は下がります。 ◆原発におけるリスクの受容をどう考えるか ここで重要なことは、原発のリスクも含めて、それでも原発を選択する理由です。山野教授は、講演の中で原発の「リスク」についても解説されました。 人類が生み出した「人工物」には、当然「便益」と「危害」の両方が存在します。この両方を考えた上でリスクを受容するのか、拒否するのか、つまりリスクのトレード・オフ(相関)関係を考慮しなければなりません。 例えば「放射線」には「便益」として高機能材料、病気の早期発見、エネルギー保障、豊かな生活などがあり、「危害」としては、発癌などの健康に対する影響があります。 その上で、原発を選択するのは、原発技術に対する価値観の違いによるものでもあります。 ◆世界人口100億に向けたエネルギー対策 原発技術に対する価値観には、様々あるとは思いますが、世界の人口問題から考えてみましょう。 「世界のエネルギー消費量と人口の推移」(「エネルギー白書2015」)を見ると、エネルギー消費と人口は正の相関関係にあることが明確に分かります。 1950年から2000年の間に、人口は2.4倍、電気の発電容量は21倍になっています。これから世界人口は100億に向かいます。日本は国内のエネルギーだけのことだけ考えていればよい状況ではありません。 日本は世界のリーダーとしての世界のエネルギー政策を支える行動が求められるのは明らかです。 ◆科学技術に退歩はない 動物にない人間の特性は進歩、発展することです。技術というものは開発を続ける限り、進歩することはあっても退歩することはあり得ません。 原発を止めることは簡単ですが、一度止めてしまえば、その技術もなくなってしまいます。 「原発は危ないから停止」ではなく、新たな「科学技術の挑戦」によって問題を解決することもできます。 科学技術の発展によって問題を乗り越え、人類の幸福に貢献することが真の選ぶべき道ではないかでしょうか。 幸福実現党は、エネルギー問題について、原発の稼働を推進し、「科学技術の挑戦」によって解決していくことを訴えて参ります。 もんじゅ見直し勧告、資源小国日本としての受け止め方 2015.11.17 文/HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆原子力規制委による、「もんじゅ」見直し勧告 11月13日、原子力規制委員会は、福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」について、今の日本原子力研究開発機構に代わる運営主体を探すように、文部科学大臣に対して異例の勧告をしました。 回答期限は半年後です。文科省は新たな運営主体を検討するとしていますが、見つからなければもんじゅは廃炉を含めて抜本的な見直しを迫られることになります。 もんじゅは研究段階ですが、日本のエネルギー問題の救世主になりえる存在なので、この問題についてはよく考える必要があります。 ◆「高速増殖炉もんじゅ」についておさらい もんじゅは、使用済み核燃料を再利用しながら増やし続ける「核燃料サイクル」の中核を担う研究開発施設です。 原子力発電の燃料はウランですが、じつはウランのうち発電に使えるのは0.7%だけで、99.3%は燃えなくて発電には使えません。 しかし、この99.7%のウランに中性子を一つ加えると燃えるプルトニウムに変わり、発電に使えるようになるのです。 この技術によってウランを今より60~70倍も有効に利用できるので、日本は数世紀にもわたって使えるエネルギーを確保できることになります。 もんじゅはこの技術を実用化するために研究しています。 「国家の血液」と言われるエネルギーの96%を海外からの輸入に頼っている日本にとって、自国の生命を他国に預けずに済むようになる、まさに「夢の技術」です。 しかしもんじゅは95年12月にナトリウム漏れ事故を起こし、核燃料の安全性自体には問題がなかったもののその情報を隠ぺいしたことが批判され、運転を中断。 組織の改革を経て2010年に運転を再開しましたが、装置の落下事故があり、おととし原子力規制委員会が試験運転を禁止する命令を出しました。 その後も多数の点検漏れが見つかるなど安全管理上の問題がある、というのが規制委の主張です。 ◆もんじゅが廃炉になると何が問題なのか? 今回の件で、もんじゅが廃炉になった場合の問題点を2つ挙げてみます。 (1)核廃棄物処理への高い可能性を放棄することになる 昨年政府は、もんじゅを高レベル放射性廃棄物を減らすことに主眼を置いた減容炉と位置づけ、「高速炉」の研究をすることにしていました。 もんじゅは原子力エネルギーで問題とされる廃棄物を減らしてくれる可能性があるのです。地層処理の研究は進んでいますが、さらに処理問題を前進させたいなら、この技術の開発にこそ注力すべきだと考えます。 安易なもんじゅの廃炉は、見えている廃棄物処理の可能性を一つ潰すことになります。 (2)平和主義国家としての地位が揺らぐことになる 日本は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理ができる、唯一の非核兵器保有国です。 日本はすでに約50トンものプルトニウムを保有しており、高速増殖炉という核燃料サイクルがなくなれば、国際社会から核兵器への転用を疑われかねません。 また逆に、使用済み核燃料の再利用がないのなら、日米原子力協定でのアメリカとのつながりに陰りが差し、日本の安全が揺らぐ可能性があります。 ◆もんじゅ運転は日本人全員に必要 原子力エネルギーは、経済、政治、外交、軍事と多岐にわたる問題です。とくに日本にとっては、最初に指摘した通り、現時点で「国家の血液」を自分で生み出せる唯一のエネルギーです。 民間企業に高速増殖炉の運転経験はなく、求められる技術レベルの高さを考えると、日本原子力機構以外に運営を担える主体はいないのではないでしょうか。 原子力機構の児玉理事長は「非常に幅の広い仕事をしており人材が豊富。しかしシナジー(相乗効果)がない。情報とか設備のシナジーをもっとやれば、1+1が2以上になる。ただ実行が追い付いていない」と発言しています(2015.10.22産経ニュース)。 誇り高く、自立した国として核の平和利用を主導していける国になるために、もんじゅ運営の問題解決について、官民両方の視点から日本全体で考えていく必要があるでしょう。 ≪参考文献≫ The Liberty Web「もんじゅ」の見直し勧告はなぜ理不尽なのか? http://the-liberty.com/article.php?item_id=10449 産経ニュース 2015.09.11「日米原子力協定 継続は安倍首相の課題だ」 http://www.sankei.com/politics/news/150911/plt1509110005-n1.html 産経ニュース 2015. 10.22「『もんじゅ』でまたも不祥事 「極めて異常」と規制委は怒り心頭 ついに廃炉カードもちらつかせ…」 http://www.sankei.com/premium/news/151022/prm1510220004-n4.html 安保法制は「戦争法」ではない3つの視点【後篇】 2015.11.14 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 前回、ポイント1――安保法制は「戦争法」でなく「戦争抑止法」であること。 ポイント2――安保法制は、「邦人救出法」であることを述べて参りました。 ◆ポイント3――安保法制は、「シーレーン防衛法」 南シナ海は、日本のシーレーン(海上輸送路)です。日本に石油を運ぶタンカーは南シナ海を通ってきます。 中国は、国際海洋法を無視し、フィリピンの抗議に対しても軍事的な圧力を加え、南シナ海でサンゴ礁を勝手に埋め立て軍事基地化してきた国です。 南シナ海全部が自分のものだと主張する中国は外国が南シナ海を航行することを制限しようとしているので、このまま何もせず黙っていたら南シナ海は中国の海となり自由に航行ができなくなります。 安保法制に反対する人々は、中国に対して「話し合いで解決すべき」と言いますが、中国軍が南シナ海から撤退するような、どんな効果的な抗議をしたのでしょうか? オバマ大統領は、9月末の米中首脳会談で、この「南シナ海問題」を取り上げ、習近平氏に対して話し合いで「重大な懸念」があると伝えましたが、習近平氏は「南シナ海の島々は中国固有の領土」と反論しました。 中国の南シナ海を支配するための戦略は、「中国とフィリピンの問題」だと主張し、大国アメリカの介入を防ぐことです。中国は軍事力の弱いフィリピン一国が相手であれば、軍事力でひねり潰すことは簡単なことです。 しかし軍事力で上回るアメリカがフィリピンを支援すれば、それだけで中国は手を出すことはできなくなります。 話し合いも通じない中国に対して、ついに米国は南シナ海の「航行の自由作戦」として軍艦を派遣しました。これは決して戦争をするためではありません。 アメリカは軍艦の航行を既成事実化し、中国の南シナ海の軍事基地化を抑止することによって自国の船だけでなく外国船の「自由航行」を守っているのです。 ◆日本を滅ぼす「安保法制反対」「脱原発」 安保法制に反対して国会を取り囲んでいる人々は、原発も反対しています。 脱原発派は、太陽光で電力をつくれば良いと言いますが、現在は火力発電が日本の経済を動かしています。火力発電を動かす石油は中東からインド洋、マラッカ海峡、南シナ海の海上輸送路を通ってきます。 安保法制反対派は、中東方面の海域で機雷が設置されても、その掃海のために自衛隊を派遣することにも反対しています。では誰がそれを取り除くのでしょうか。それもアメリカにやらせるのでしょうか。 また中国が南シナ海を封鎖するようなことがあれば、日本のエネルギーは完全にストップします。 原発を稼働させれば、日本国内でエネルギーをつくることもできますが、エネルギーを石油に頼っている現在、安保法制反対派は、どうやってこのシーレーンを守るのでしょうか? 「脱原発」で自国のエネルギー生産を止めながら、「安保法制反対」で石油を運ぶ海上輸送路の防衛のために自衛隊も派遣しないというわけです。 海上輸送路が危機になれば日本の経済は成り立たなくなります。電力がなければ、企業は倒産します。失業者も増えるでしょう。 「安保法制反対派」「脱原発派」は、今度は「仕事よこせ集会」を国会の前でやらざるを得なくなります。自分たちがその原因をつくったことも気がつかずに。 「一国平和主義」、つまり、自分の国、自分の生活にしか関心がなく、国際情勢がどのように動いているのかも分かっていません。 もっと視野を広く持ち日本が置かれている国際情勢に関心を持てば、いま日本が何をなすべきか気がつくはずです。 安保法制に反対する人々は、だいたい口々に言います。「人は殺してはいけない。もし攻めてくる国があれば自分は逃げる」・・・そんな人々に政治を口にする資格はありません。 自分の命を守ることが第一で、国民の命をどう守るのか、国際社会で日本がどんな責任を果たせるのか、それが政治にかかわる者の責任です。 ◆戦争の原因をつくっている「安保法制反対派」 先の大戦の最大の理由は、石油の70%を頼っていたアメリカに石油を止められたことが大きな原因でした。エネルギーをストップされたから、日本は自滅するか、戦争をするしかなくなくなったのです。 つまり「安保法制反対派」は、「戦争はさせない」と言いながら、逆に戦争の原因をつくっているとも言えます。 以上、安保法制は、「戦争法」ではなく、「戦争抑止法」「邦人救出法」「シーレーン防衛法」です。これを「安保法制反対派」の人々に伝えたら、考えが変わる人もいると思います。 彼らの行動力を凌駕する我々の活動が必要な時です。その為に、今後も幸福実現党は頑張って参ります! COP21:日本はしたたかに国際交渉をリードせよ!【後編】 2015.10.31 幸福実現党神奈川県本部副代表/HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆エネルギーミックスは「絵に描いた餅」 約束草案の根拠になっているのは、今年7月に政府が発表した2030年度における長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)であり、その達成状況によっては、日本の温室効果ガス排出量は大幅に上振れするリスクがあります。 長期エネルギー需給見通しでは、実質経済成長率を1.7%と仮定したうえで電力需要は大幅には増加せず、さらに徹底した省エネが進むと仮定する一方、供給についてはCO2を発生しないゼロエミッション電源44%(原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%)と、火力発電56%(LNG(液化天然ガス)火力27%、石炭火力26%、石油火力3%)を見込んでいます。 しかし、現実にこれほどの省エネが進むとは到底考えられません。 また、国民負担のこれ以上の増加を防ぐために再生可能エネルギーの導入はある程度抑制せざるを得ず、一方で原発の再稼働は遅々として進まず、原発新増設の目途も全く立っていないことから、このままではゼロエミッション電源の比率が想定ほど増えない可能性があります。(2015.03.29 HRPニュースファイル「電源構成――原発の新増設に道をひらけ!」) 現在、原子力規制委員会の安全審査が大幅に遅れており、再稼働したのは川内原発1、2号機だけです。さらに民主党時代に導入した原発40年廃炉規制が追い打ちをかけています。 現行制度では40年を迎える原発は事前に20年延長申請が1度だけできますが、審査中に期限が到来した場合には延長が不可能となることから、事業計画が立てられないことを理由に電力会社は次々に40年廃炉を選択しています。 このまま全ての原発が40年で廃炉された場合、震災前に54基稼働していた原発が18基まで減り、設備容量は震災前の4割に減少します。電力需要がエネルギーミックスの想定どおりになった場合に、2030年度の原発比率は最大でも13%程度にしかなりません(稼働率85%を仮定)。 ◆一定量の石炭火力発電を確保せよ 政府は再稼働だけでなく新増設にも着手すべきですが、地元との調整を含む準備期間の長さを考慮すると、今すぐに始めても2030年度までに運転開始できる原発は限られています。 原発の不足を補う電源として、不安定な再生可能エネルギーは現実的ではないため、当然に火力発電が増加します。CO2排出が比較的少ないLNGは、価格が高く、多くが中東で産出されるためシーレーン封鎖等の国際情勢の変化に対して脆弱です。 このため、経済性や安全保障の観点から、価格が安く生産地が世界各国に遍在する石炭を、発電用の燃料の比率として一定量確保しなければなりません。 しかし、CO2排出がLNGよりも多いことから、環境省や環境NGOが石炭火力の使用を制限しようとしています。 米国オバマ政権が、地球温暖化を理由に、発展途上国での石炭火力発電所の建設に融資することを禁止するよう、世界銀行やOECD(経済協力開発機構)に要請しています。 米国ではシェールガスが石炭よりも安価に産出するようになり、これを背景に他国の石炭火力を抑制する戦術に出ていますが、石炭火力が重要な電源である途上国や、東欧の石炭産出国は反対しており、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)も石炭火力向けの融資は止めないと明言しています。 こうした一部の石炭火力に反対する国内外の動きも踏まえて、環境省は日本国内での石炭火力の建設や運転を規制しようとしています。 しかし、原発が不足する中で石炭火力を減らせば、電力コストが上昇し、電力の安定供給にも支障をきたす可能性があります。 エネルギーミックスを根拠とした約束草案を金科玉条の如く守ろうとすれば、CO2対策によって国民負担の増大を招き、エネルギー多消費産業の国外移転を誘発し、結果として国民の生活水準の低下を招きます。 また、中国軍の南シナ海への進出や不安定な中東情勢に鑑みると、CO2対策に固執するあまり、LNG依存を高めて日本の安全保障を脅かしかねません。 ◆「地球の神」の願いは自由と繁栄 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2014年に発表された第5次評価報告書の中で、「気候システムに対する人為的影響は明らかであり、近年の人為起源の温室効果ガス排出量は史上最高となっている」と述べています。これが現在の温室効果ガス削減に関する国際交渉のベースになっています。 しかし、幸福実現党は宗教政党として、「地球は高次な意識を持った生命体であり、CO2の濃度だけで気候が変化するような、単純な機械のようなものではない」という事実を申し上げたいと思います。 大川隆法・幸福実現党総裁はその著書の中で、「温暖化は、CO2などの温室効果ガスの影響で起きるのではなく、地球自体の天然現象として、温暖化と寒冷化が起きる。地球は、そういう周期を持っている」と述べています(大川隆法著『幸福維新』)。 地球は過去にも何度も気候変動を繰り返しており、人類はそれに適応してきました。気候変動よりももっと恐れるべきは、CO2削減を理由に社会主義的な統制経済を正当化し、創意工夫と自助努力による発展・繁栄の機会が奪われ、ひいては国民の自由と安全が脅かされることです。 「地球の神」の願いは、CO2削減などではなく、地球文明の飛躍的な発展・繁栄にあるということを断言いたします。 ◆技術開発によって世界に抜本的なエネルギーシフトを起こせ 日本は外交上の理由で、今後もある程度は地球温暖化の国際交渉に関与せざるを得ないことは確かです。 また、地球温暖化問題の存在によって利益を得る業界もあり、直ちにこれを全否定することは得策でないでしょう。 しかし、その場合にも日本は、経済成長や安全保障を阻害されることなく、これらを確保しながら技術開発によって長期的にCO2削減を目指す道を主張すべきです。 日本が得意な技術の一つは省エネルギーや高効率化ですが、義務を負わずに経済合理性の範囲内で導入を進めることが重要です。 もう一つは、核を取り扱う技術です。原子力技術の持続的発展はもちろんのこと、核融合に関する技術開発によって、無尽蔵にエネルギーを生産することを目指すべきです。 再生可能エネルギーでは、やがて人口100億人に達する世界を支えることは不可能ですが、エネルギーの供給が化石燃料から核にシフトすれば、エネルギー供給とCO2の問題はほぼ解消します。 今年のCOP21では、日本からは安倍晋三首相や丸川珠代環境大臣の出席が検討されていますが、日本の国益を著しく損ねるCO2削減を約束するような発言を絶対に行わず、日本の得意分野の技術開発によって、世界の抜本的なエネルギーシフトを長期的に推進していくことを主張していただきたいと思います。 COP21:日本はしたたかに国際交渉をリードせよ!【前編】 2015.10.30 幸福実現党神奈川県本部副代表/HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆国益を賭けた地球温暖化の国際交渉 今年の11月末からフランス・パリで開催されるCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、全ての国が参加する2020年以降の新たな温室効果ガス削減の国際枠組みを合意すること(パリ合意)を目指しています。 これに先立ち、新たな枠組みの前提となる各国の削減目標である「約束草案」の提出が求められており、127の国と地域が約束草案を国連に提出済みです(10/27現在)。 日本は、2030年度における温室効果ガス排出量を2013年度比26.0%削減する約束草案を、今年7月に提出しました。 10月下旬にはドイツ・ボンでCOP21に向けた最後の準備会合が開催され、パリ合意文書の草案作成に関する厳しい交渉が行われました。 各国には、シェールガス革命を背景に温暖化対策の実績をオバマ大統領のレガシー(遺産)として残したい米国、これまでの温暖化交渉や排出権市場をリードしてきたEU、今後の経済成長を阻害する削減義務化を極力排除したい中国やインド、温暖化は先進国の責任であるとして莫大な資金援助を求める途上国など、利害の対立するさまざまな主張があり、COP21で法的拘束力(削減義務)のある枠組みを合意することは不可能な見通しです(10/24日経)。 ◆京都議定書は日本外交の敗北 これに対して、1997年のCOP3(京都)で採択された京都議定書は法的拘束力のある枠組みであり、締約国を先進国(附属書Ⅰ国)と発展途上国(非附属書Ⅰ国)とに分け、先進国のみが条約上の削減義務を課されていました。 先進国には基準年(1990年)比削減率に基づいた2008~2012年(第1約束期間)の「排出枠」が割り当てられ、この排出枠の不足分・余剰分を先進国間で取引すること(国際排出量取引)や、途上国の削減量を先進国が排出権として購入し先進国の削減量に充当すること(クリーン開発メカニズム)が認められていました。 しかし、京都議定書には重大な欠陥がありました。クリントン民主党政権のゴア副大統領の強い意向で採択に賛成した米国は、ジョージ・W・ブッシュ共和党政権に交代して京都議定書から離脱。 目標達成が困難なオーストラリアとカナダは目標達成を事実上断念。爆発的な経済成長により世界最大の排出国となった中国には削減義務がなく、同様に途上国に分類されるインドやブラジルも、排出量が大幅に増えても削減義務がありません。その結果、京都議定書で削減義務を負った国の排出量は、2010年には世界の排出量のわずか25%にとどまり、京都議定書を遵守しても世界の削減にはほとんど役立たない状況となりました。 また、基準年を欧州やロシアに有利な1990年に設定したことによって、削減義務を負う先進国の中でも著しい不平等がありました。 EUは1990年比8%の削減義務を課されましたが、1990年以降、EU域内の東欧諸国は社会主義の崩壊によって経済が低迷し、その後は非効率な設備が更新されたことによって大幅に排出量が減ったため、大量の余剰排出枠を抱え、EU全体としては容易に達成できることがわかっていました。 ロシア(1990年比0%の削減義務)、ウクライナ(同0%)等の東欧諸国も、社会主義の崩壊によって大幅に排出量が減ったため、大量の余剰排出枠が発生しています。 一方、日本は京都議定書で1990年比6%の削減義務を負いましたが、日本では1970年代の石油危機以降に省エネ対策が徹底しており、1990年時点では既に世界最高水準のエネルギー効率を達成していたため、日本が経済成長を続けながら第1約束期間に6%のCO2削減を行うことは非常に困難でした。 こうした各国の状況は1997年の京都議定書採択時点でわかっていたことであり、削減義務の達成のため排出権を購入しなければならない日本から、大量の余剰排出枠を抱える東欧諸国や削減義務を負わない中国等の途上国へ、資金が提供されることが狙いだったとも言われています。 日本は「ハメられた」ことになりますが、「京都」の名を冠した議定書であり、外交上の理由で厳しい条件を呑まざるを得ませんでした。 その結果、日本は第1約束期間に東欧や中国から排出権という「紙屑」を大量に購入し、数千億円の国富の流出をもたらしました。 約1億トンの排出権を政府が税金で、約2.7億トンの排出権を電力会社が電気料金で購入し、2008年のリーマンショックに端を発した世界金融危機による景気低迷も手伝って、日本は何とか削減義務を達成することができました。 しかし、日本の排出量は世界の僅か4%にも満たず、全くナンセンスな行為であったことを忘れてはなりません。 ◆約束草案を「削減義務」にするな 京都議定書の反省を踏まえ、日本は2020年以降の新たな枠組みの国際交渉において、「全ての国が参加する公平かつ実効性のある枠組みであること」を繰り返し主張してきました。 また、日本は、EUが主張する、各国に削減義務を割り当てるトップダウン型ではなく、各国が自主的な削減目標を提出して相互に実績を検証する、ボトムアップ型の「プレッジ・アンド・レビュー方式」を主張しており、パリ合意の大きな方向性は日本の主張に沿ったものとなることが見込まれており、前述のとおり、法的拘束力のない枠組みになる見通しです。 しかし、こうした事実に反して、日本が国連に提出した約束草案(2030年度における温室効果ガス排出量を2013年度比26.0%削減)が、あたかも京都議定書のような条約上の日本の削減義務であるかのような誤解や曲解、そして欺瞞が一部で起きています。 左翼系のメディアや政党、環境系の有識者、環境NGO、環境省の一部等が、約束草案が国家の必達目標であるような誤った解釈に基づいて、約束草案を達成するための規制強化、課税強化、経済統制的な制度の導入を正当化するような主張をしています。 ◆地球温暖化問題は「武器なき経済戦争」であることを心得よ 今年のCOP21に対する国内外の関心は非常に高く、日本は丸川珠代環境大臣のほか、安倍晋三首相の出席も検討されています(10/22日経)。 温暖化に関する国際会議はしばしば環境派の政治家のパフォーマンスの場として利用され、これまでにも米国のゴア元副大統領、オバマ大統領、日本では鳩山元首相等が演説を行い、環境NGOや環境行政に携わる人々の喝采を浴びてきました。 しかし、各国とも自国の国益や産業の利益を最優先に、「地球を守るため」という錦の御旗を掲げて戦う「武器なき経済戦争」の面があることも事実であり、鳩山氏のように「地球を守るため」に自国の国益を失うスピーチを行うことは、通常はあり得ません。 日本からCOP21に出席する安倍首相や丸川大臣は、決して一時的な人気取りに走ることなく、長期的な日本の国益を見据えて、経済統制ではなく自由な経済発展の価値観を共有する諸国の利益のために、地球温暖化問題の本質をよく理解した発言をしていただきたいと思います。 (つづく) 豊かで神の恵みを受けた日本としての義務を考える 2015.10.28 幸福実現党・兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆米軍重い腰を上げ、南シナ海にて行動 南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に中国が建設する人工島の12海里(22キロ)内で、アメリカのイージス艦が「航行の自由の確認行動」をとったニュースが新聞の一面をにぎわしました。 島の周りの12海里はその島を所有する国の領海と認められていますが、「海洋法に関する国際連合条約」(UNCLOS)の第60条では、人工島はこれにあたらないとされています。 今回のイージス艦の自由航行は、「人工島を建設しても、その周囲は中国の領海と認められない」ことを示すためのものであったと言えます。 先日のアメリカ訪問でボーイング機などの爆買いを行い、中国の経済力と友好性をアピールした習近平主席でしたが、顔に泥を塗られた形となってしまいました。 ◆南シナ海における中国の蛮行 これまで中国は、南シナ海に於いて傍若無人な行動をとり続けていました。 中国人民兵を岩礁に住ませながら、埋め立てによって人工島を建設し、自分たちの領土としてきました。 南沙諸島や西沙諸島を含む地域を三沙市と勝手に制定し、自らの理論に基づき南シナ海に「中国の赤い舌」と呼ばれる九段線を引き、豊富な漁場・石油や天然ガスなどの資源をむさぼってきたのです。 このような行動をとり続けることができた理由は、中国を止める国がなかったことにあります。 フィリピン・ベトナム・マレーシア・インドネシア・ブルネイなどは中国と領有権問題を抱えていますが、軍事力の差が圧倒的であり、一国で対応することは不可能です。 海上戦力を比較しますと、中国が892艦船持っているのに対し、ベトナムは94、フィリピンは80です。トン数は、中国が142万トンであるのに対し、ベトナムは3.7万トン、フィリピンは4.7万トンで足元にも及びません。 航空戦力においてはさらにこの差は広がります。 今回のアメリカの行動は大変遅いものでありましたが、中国とは圧倒的な戦力差でありながら領土を護るために奮闘してきた国々にとっては心強いニュースであります。 ◆私たちには南シナ海の航海の自由を護る義務がある しかし、南シナ海が中国に浸食されて本当に困るのはアメリカではなく、先述した国々であり私たち日本です。日本は輸出入のほぼすべてを南シナ海経由で行っています。 南シナ海のほぼすべてが中国のものとなってしまえば、航行の自由が奪われ、食料や燃料などの命に直結するものが入ってこなくなる危険性が十分に考えられるのです。 リスク分散として、他の経路の配分を増やしつつも、やはり南シナ海の航行の自由を守るための努力は欠かせません。 具体的には、海上自衛隊の艦船が米艦と「共同演習」として南シナ海を遊弋したり、P3C哨戒機などが空から監視活動したりする平時のパトロールが求められます。 今回の安保法案の改正により、自衛隊が米軍と共に行動し米軍が攻撃を受けた際には、米軍を守るための行動をとることができるようになりました。 また、南シナ海で米中の武力衝突が発生した際には、いくつかの条件付きではありますが米軍への後方支援が可能となります。 日本は東シナ海を護るので手一杯だという説もあるようですが、どうすれば南シナ海も護れるようになるのかを考え、手を打つべき時期が既にもう来ているのです。 9月29日付のWSJ(ウォールストリートジャーナル)では、「世界秩序を守る日本の責任」と題して、“豊かで神の恵みを受けた国としての義務は何か”を日本は問うべきである、との論説が載っていました。 今回の件で、一時的に左翼勢力が盛り上がりを見せたようになりましたが、一国平和主義思想は世界の潮流から完全に外れています。 世界秩序を護るという意思を明確に発信しながら、実績を確実に積み重ねていくことが求められています。 鹿児島県・川内原発2号機と日本の原発再稼働に前進を!【後編】 2015.10.02 ※【前編】のつづきをお送りいたします。 文/幸福実現党 鹿児島県本部 副代表 兼 HS政経塾 4期生 松澤 力(まつざわ・いさお) ◆原発から火力への代替で大幅な「電力コスト上昇」 電力コストに関しては、原発停止に伴う火力の焚き増しにより燃料費は増大しました。 経済産業省がまとめた今年度のエネルギー白書によると、昨年度の電気料金の全国平均は、東日本大震災前に比べて家庭用で25%、産業用で38%上昇しました。原発停止に伴う燃料費の増加は、年間3.4兆円にのぼります。 この電気料金の上昇は国内産業に大きく影響しており、電力を大量消費する11の業界団体は2015年4月に、共同で原発早期再稼働を求める要望書を政府に提出しました。 その中で非鉄金属業界からは「銅製錬所をはじめ多くの非鉄製錬所が採算割れの危機にさらされ、特に電力原単位(kWh/t) が高い亜鉛、フェロニッケル製錬業は国内で存続できなくなる」との大変厳しい実情が述べられました。 非鉄金属業界では、電力会社から全国の製錬所で年間約42億キロワット時の電力を購入しており、2014年度は燃料費変動による電気料金上昇によって業界全体で83億円の負担増になっています。 経済同友会の小林喜光代表幹事からは、8月の川内原発1号機の再稼働を受けて「わが国のエネルギー需給構造の再構築に向けた一歩として評価する」とのコメントを文書で発表すする一方、原発停止により「国民生活や経済活動に深刻な影響が生じている」として、「審査の効率性向上や体制強化を図るべき」との見解も示しました。 原子力規制委員会への規制基準適合性審査の申請は、中部電力が浜岡原発3号機の申請を行い、申請数は全国で15原発25基に達しました。 しかし、現状で審査に合格しているのは、川内原発以外で関西電力の高浜原発3・4号機と四国電力の伊方原発3号機で留まっています。東北電力では、平成28年春に目指していた東通原発1号機(青森県)など2基の再稼働を、平成29年4月以降に延期すると発表しました。 今回の再稼働延期により、東北電力では追加の燃料費が約1,000億円となる見込みです。 ◆原発のさらなる安全性と技術の向上を目指して 原発の再稼働が遅れるほど電力コストが上昇し、家計や企業活動に与える影響がますます深刻なものとなります。また、化石燃料の輸入により、膨大な国富が海外に流出していることも忘れてはなりません。 日本の電源構成を考えるうえで、発電コストや安全性などに加えて、エネルギー安全保障も忘れてはならない非常に重要な論点だと思います。再生可能エネルギーも国産電源ですが、安定供給や発電コストなどの課題も多く存在します。 資源の少ない日本にとって、安全性を確認した原発の活用は欠かせないことです。 今後、日本の原発は、さらに安全性や技術の向上を目指していくことが求められます。日本の未来の発展のため、今後も原発再稼働の推進に努力を重ねて参ります。 すべてを表示する « Previous 1 … 5 6 7 8 9 … 17 Next »