Home/ エネルギー政策 エネルギー政策 CO2排出量実質ゼロがもたらす日本の安全保障危機 【後編】 2020.12.03 https://youtu.be/eqPU4TAIgVw 幸福実現党党首 釈量子 ◆懸念1 壮大な虚構の上に血税を無駄遣い 前編で述べた「2050年カーボンニュートラル」について懸念される点が2つあります。 第一の懸念は、「血税の壮大な無駄遣い」になるということです。 報道によりますと、政府は、「脱炭素」につながる設備投資減税を検討しています。また、「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)を通して、1兆円の基金を拠出する方向です。 もちろん、こうした産業の活性化につながる可能性もあります。しかし、「温暖化全体主義」による国民の血税を壮大な無駄遣いをすることになります。 また注意したいのが、減税を打ち出すと同時に、二酸化炭素排出に対しては増税も検討していることです。 すでに2020年7月に財務省出身の中井徳太郎氏が、環境省事務次官の就任会見で「炭素税」の必要性に言及しています。 石炭・石油・天然ガスなど化石燃料の二酸化炭素の含有量に応じて課税するというもので、スウェーデン並みに1トン15000円が課税されれば、ガソリン満タン35リットルで約1200円の負担増です。 「炭素税」とは、ガソリンや灯油、電気やガス料金、また輸送コストにかかるので物価が上がり、企業ばかりか個人に直接影響が及びます。増税すれば、コロナ禍の中、景気が冷え込むのは確実です。 ◆懸念2 安全保障上の危機 加えて、「脱炭素」を一気に進めれば、日本の安全保障を確実に危険に晒します。 2018年現在の日本の電源構成 比は、LNG火力38%、石炭火力32%、石油火力7%、水力8%、原子力6%、新エネルギー等が9%です。 政府は火力発電を全廃するとは言ってはいないのですが、7月に「非効率な石炭火力発電所の廃止」が報じられました。今後、火力発電、中でも32%を占める石炭火力への風当たりは、ますます厳しくなってくることは確実です。 もともと、石炭は世界中各地に存在するので、地政学的リスクは少なく、熱量当たりの単価も化石燃料の中では最も安いので重宝されてきました。 石炭が駄目ということになれば、当面、LNG(液化天然ガス)への依存度を高めることになります。日本は原発を停止して以来、LNGの輸入が急増し、現在、世界最大の輸入国となっています。 LNGの輸入は、オーストラリアから南シナ海を通ります。中国は10月末の「5中総会」で「戦争に備えた訓練の全面強化」を確認するなど軍事的緊張が高まっており、有事になれば供給が止まります。 太陽光発電や風力発電は、需要に合わせて発電できず、安定供給のためには、調整弁として一定の火力発電を残す必要があります。 ただ火力発電所は稼働率が悪く、経営が成り立たないので、発送電分離や電力自由化を行った国では、再エネの拡大に伴って、採算が合わず火力発電の撤退が起きており、電力系統がガタガタになる懸念もぬぐえません。 さらに安全保障上の危機としてもう一つ、「技術自給率」という問題があります。例えば太陽光パネルはいまや中国製がほとんどです。 IoTの技術が進む今、部品の中にバックドアを仕込まれればサイバー攻撃の対象になる可能性もあります。こうした危険性も考えなければいけないと思います。 ◆日本の選択 以上、いくつかの懸念をお伝えしましたが、菅首相は、カーボンニュートラルを目指した莫大な投資によって、経済と環境の好循環が到来するといいます。 しかし、それほど経済効果が期待できるというのならとっくに民間が投資しているはずです。 莫大なコストがかかり、経済的な負担が大きくなるから進んでこなかったのであって、政府が新しい環境規制を増やすことは必ず民間の力を削ぐことになります。 コロナ戦争でアメリカが中国に敗れたような形となり、世界情勢が不安定になる中、やはり大切なことは、「日本として、エネルギー供給を安定させること」です。 もともと日本の電気料金は、先進国の中でも最も高く、中国に工場を置く日本企業が「日本回帰」しようにも、消費税や、高い電気代などで日本に戻ることを躊躇せざるを得ません。 今は、全力で原発の再稼働や新設を進めるべきであり、燃料を繰り返し使う高速増殖炉の研究・実用化の促進も必要です。 長引く不況とコロナ禍であえぐ企業を痛めつけるのをやめ、電力供給量を大幅に増やし、安くて大量の電気を供給することが日本経済の生命線です。 仮説にすぎない「二酸化炭素イコール地球温暖化」論に惑わされることなく、国として何をなすべきかを考えるべきです。 CO2排出量実質ゼロがもたらす日本の安全保障危機 【前編】 2020.12.02 https://youtu.be/eqPU4TAIgVw 幸福実現党党首 釈量子 ◆「カーボンニュートラル」とは何か アメリカ大統領選挙が混乱する中、気候変動、温暖化防止のための「パリ協定」から脱退宣言したトランプ氏を「非科学的だ」と批判していた勢力が、一斉に色めき立っています。 日本でも、菅首相が、大統領選に先立つ10月26日、所信表明演説で「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言いたしました。 小泉環境相も「バイデン氏になったら日米関係はカーボンニュートラル同盟だ」と発言しています。 日本のエネルギー自給率は2018年現在11.8%。資源のない日本にとって、エネルギーは国家安全の根幹中の根幹です。 まず「カーボンニュートラル」とは、そのまま訳すと「炭素中立」ですが、二酸化炭素の排出をゼロにする、ということではありません。 「二酸化炭素の排出量と森林などで吸収されたり、排出量の取引などを通して、全体として均衡させて「実質ゼロ」にすることを意味します。 これは、2015年にフランスのパリで国連変動枠組み条約締約国会議(通称COP21)が開催され、ここで「パリ協定」が採択されたことに基づきます。 最近は「気候変動」ではなく「気候危機」という言葉が使われ始め、「パリ協定」では「地球の平均気温を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことを各国が合意したわけです。 ところがその後、2018年に韓国で開催されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会で、「1.5度特別報告書」が採択されました。 この内容が、2018年末ポーランドでの「COP24」の議論に反映され、世界各国で「2050年排出実質ゼロ、カーボンニュートラルを目指す」と宣言する動きが一気に出てきたわけです。 ◆トランプ氏は「温暖化全体主義」と戦った しかし、こうした「温暖化の原因は二酸化炭素なのか」という世界中の「思い込み」をバッサリ一刀両断したのが、トランプ大統領でした。 アメリカの海洋大気庁(NOAAノア)が「人工衛星から測定した温度によると、IPCCの示す測定データに比べてはるかに温暖化が緩やかであることを示しています。 そもそも「IPCC1.5度報告書」の前提となったコンピューターによるシミュレーション「世界気候モデル(GCM)」も、二酸化炭素の果たす役割が過大評価されている、と指摘する学者もいます(気象学者J・レイ・ベイツ教授)。 そもそも地球温暖化は、今日のように化石エネルギーを使用していなかった1850年ごろに始まっています。人為的な二酸化炭素が大量に増えたのは、戦後の1946年からです。 現実には、地球は温暖化と寒冷化を繰り返しているという自然のサイクルだという説のほか、太陽活動の活発化、地軸の傾きなど、二酸化炭素よりも地球の気温により大きな影響を及ぼしていると指摘する地球物理学者もいます。 現在、二酸化炭素温暖化論に疑問を呈する政治家や科学者にレッテルを張り、マスコミがセンセーショナルに取り上げていますが、これは地球規模で「炭素全体主義」まかり通っているといっていいでしょう。 ◆化石燃料から急激に脱却したら日本は… 世界120か国以上が「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、バイデン氏も大統領選挙の公約で掲げています。 バイデン氏は、4年の任期中に2兆ドルを投資する予定で、その予算を捻出するために、軍事予算の削減が予想されます。 ちなみに中国は2050年ではなく2060年にカーボンニュートラルを目指すといっています。 日本では、すでに安倍政権で「2050年に80%削減」という長期目標を掲げていた時点で、かなり野心的と言われていました。 工場や家庭では石油やガスを一切使わず、自動車や航空機もすべて二酸化炭素の排出をなくし、火力発電をすべて止め、一部の産業以外の二酸化炭素排出は認めないとしないと、実現できない水準だったわけです。 それを超える「2050年カーボンニュートラル」は、民間に相当な負担を強いるのは間違いありません。 当然、民間からは「国がやるというなら、それなりの措置を講じてください」と、国の投資がなければできないと、口を揃えて主張している状況です。 では、具体的に、どのようなことが心配されるのでしょうか。 (つづく) コロナ禍、次なる危機はエネルギー問題。世界中で高まる戦争リスク【後編】 2020.04.23 https://youtu.be/0-hhkjXtda8 幸福実現党党首 釈量子 (2)すぐに対応すべきこと:パリ協定からの離脱 いますぐ対応すべきことの2つ目として、パリ協定からの離脱を提言します。 既に原発の廃炉も進んでいるので、既存の原発を全て再稼働してもエネルギー自給率の根本的な解決にはつながらないと言えます。 短期的な方策として、地政学的リスクを少なくする決断をすべきであり、それが「パリ協定」からの離脱です。 「パリ協定」とは、地球温暖化を抑制するために、世界規模でCO2の削減を進める枠組みですが、いかに不公平であり、今まで努力してこなかった中国に非常に有利な協定であるかを知る必要があります。 コロナ・ショックで、グローバリズムが機能しなくなる中、日本が「パリ協定」に残り続ければ、それだけ日本が不利な状況に立たされ続けるわけです。 ◆日本が世界に誇る石炭火力の技術力 特に、現在、最も批判されているものの1つが石炭火力発電ですが、なぜなら石炭が天然ガスと比べると、より多くのCO2を排出するからです。 一方で、石油や天然ガスと比べて、最も南シナ海での有事の影響が少ないのが、石炭です。 石炭の多くは、オーストラリアから南シナ海を通らずに、太平洋を通って日本に輸入されます。また、オーストラリア以外でも、世界各地で豊富に埋蔵しているのも石炭の特徴です。 日本の石炭火力は、高効率で環境に対する負荷が低い世界に誇れる技術ですが、「環境に悪い」というイメージが広がり、石炭火力は危機的状況です。 従って、パリ協定から離脱し、国内のCO2排出規制を撤廃することで、戦略的に石炭火力発電を維持していくべきではないでしょうか。 (3)すぐに対応すべきこと:天然ガスの輸入増加と調達先の多様化 更に3つ目として、ロシアや米国からの天然ガスの輸入量を増やし、調達先を多様化することです。 輸入している液化天然ガス(LNG)の多くが、南シナ海を通過している現状を鑑み、有事の際も、困らないエネルギー体制を築かなければなりません。 その中でも、日米同盟のある米国に加えて、ロシアからの輸入量を増やすことが重要です。 特に、ロシアからの輸入増加は、お互いにWin-Winの関係をもたらし、ロシアの中国接近を防ぐという意味でも有効です。 また、パイプラインも建設することで、エネルギー調達手段を多様化させ、リスクを分散することが出来ます。 一方で、ロシアに日本が接近することには、米国への配慮が必要で、アメリカのシェールガスの購入量を増やすような対策をとるべきです。 ◆メタンハイドレートを一刻も早く実用化するには? 以上のように、短期的には日本のエネルギー安全保障を確立するために、①原発再稼働②パリ協定からの離脱③天然ガスの調達先の多様化という3つの政策が有効だと考えます。 一方、長期的には、日本のエネルギー自給率を高める大胆な投資が必要です。 まずメタンハイドレートの本格的な開発です。メタンハイドレートは「燃える氷」と呼ばれ、日本が使う天然ガスの100年分以上が日本の海底に存在していると言われています。 しかし、国内の石油や天然ガスの地質調査や、メタンハイドレートの研究開発などの事業費の今年の予算は、258億円と期待される事業規模の割に投資額は非常に少なく、実用化のペースを早めるためにも、更に投資を行うべきです。 ◆本格的なエネルギー国産化を目指す政治を! また、次世代型の再生可能エネルギーの大胆な開発と主力電源化も必要です。 例えば、マグマから直接エネルギーを取り出す次世代地熱発電、温かい海水と冷たい海水の温度差で発電する海洋温度差発電などに、大胆に投資すべきで、技術立国としての意地を見せる必要があります。 また、原発も次世代型原発を増設していくべきです。 現在、世界では次世代型原発として、SMRと呼ばれる出力30万kW以下の小型原発が盛んに研究されていますが、その中でも、高温ガス炉と呼ばれる原子炉は非常に有望です。 原子炉は通常、水などで、止まった後も、冷やし続ける必要があります。しかし、高温ガス炉は、自然に止まり、自然に冷える構造になっているので、飛躍的に安全性が高まります。 また、1000℃という高熱を利用して、水素も製造でき、水素の大量製造ができるようになれば、水素ガスタービンでの火力発電や、炭素回収技術と組み合わせて石油やガスの人工合成も可能になります。 幸福実現党としては、今回の新型コロナという危機をバネにして、原発再稼働などエネルギー安全保障の強化を迅速に進めるとともに、エネルギーを国産化する次世代型技術への大胆な投資を提言してまいります。 コロナ禍、次なる危機はエネルギー問題。世界中で高まる戦争リスク【前編】 2020.04.22 https://youtu.be/0-hhkjXtda8 幸福実現党党首 釈量子 ◆極めて低い日本のエネルギー自給率 今回はコロナ・ショックにおけるエネルギー安全保障体制について考えていきたいと思います。 エネルギー安全保障とは、海外でもしもの危機があった時、電気や石油など、生活に必要なエネルギーを安定供給する体制づくりで、特に日本の場合、自給率が低いのが食料とエネルギーと言われております。 世界的に経済活動が自粛されており、日本においても電力需要は間違いなく減少していますが、需要がいくら減っても、電気を途絶えさせるわけには絶対にいきません。 いま重篤な肺炎症状の為に、人工呼吸器など医療機器は不可欠で、電力の有無が生死を分けることになってしまいます。 またテレワークで在宅勤務が主流となっても、電力は必要不可欠ですし、金融や交通産業等、多くの産業でIoTが進んでおり、全て電力が必要となります。 ◆中国共産党の危険な体質 コロナウイルスの感染拡大で誰の目にも明らかになってきたのが、中国共産党の危険な体質です。 全世界に感染拡大させた元凶は紛れもなく中国ですが、その責任を感じることなく、対外的に異様な動きを見せています。 2月17日、中国海軍のミサイル駆逐艦フフホトがハワイ沖300kmまで進出し、訓練を行いました。 中国海軍が単独でハワイ沖に進出したのは初めてですが、この帰路に米海軍の対潜哨戒機に対して、軍用レーザーを照射、米軍が中国に対して厳重抗議を行うという事態が発生しました。 また3月16日には、複数の中国軍機が台湾の空域に初の夜間飛行を実施し、尖閣諸島周辺の海域にも中国の公船は30日以上連続で進出し、覇権への野心を顕わしています。 ◆シーレーンから見る日本のエネルギー安全保障の危うさ 原油等の重要な戦略物資を輸送する海上ルートのことをシーレーンと呼びますが、特に中東ホルムズ海峡からのシーレーンは、中国の南側に面した南シナ海を通過するため、米中対立の影響をダイレクトに受けます。 南シナ海を通らずに迂回するルートもありますが、輸送する時間もコストも大きく上昇してしまいます。 また、日本が化石燃料をどの地域からの輸入に依存しているかを見ると、中東地域から原油を約9割、天然ガスを約2割も輸入していることが分かります。 以上の観点から、日本は次の危機を見据え、世界の地理的な影響による地政学的リスクの軽減とエネルギー源の多様化を、今すぐに進めるべきです。 (1)今すぐに対応すべきこと:原発再稼働 エネルギー安全保障を確立するために、今すぐやるべきことは原子力、石炭、天然ガスといった3つのエネルギー資源をいかに確保し、有効に活用するかという点に集約されます。 まず一つ目は、安全性が確保された原発の再稼働です。 原子力発電を動かすことは、すなわち日本のエネルギー自給率を高めることを意味するため、日本のエネルギー安全保障上、非常に重要だと考えます。 2010年には20.3%だった日本のエネルギー自給率ですが、東日本大震災以降、原発が停止してしまったため、2017年には9.6%まで半減しており、主要国のなかでも、日本がずば抜けて低い水準となっています。 ◆日本の原発は世界一厳しい安全性基準 一方で、原発の安全性については世界で最も厳しい基準が求められています。 東日本大震災における福島第一原発で事故が発生した原因は、津波の海水によって非常用電源が故障し、原子炉の熱を継続的に下げる冷却ポンプが機能しなくなったことにあります。 そうした教訓を生かし、電源を守る取り組みや、原子炉そのものの耐震性を強化する、あるいは冷却できなくても、放射性物質をなるべく外に出さないなど、様々な対策が練られてきました。 リスクとコストのバランスは、考える必要がありますが、東日本大震災以降、日本の原発の安全面は、大幅に増強されてきました。 ◆技術・法律の両面で原発を止める必要はない? こうした経緯から、2020年3月末の時点で、全国で6基が稼働していますが、これら稼働中の原発も再び運転を停止する予定となっており、原発再稼働は、今や風前の灯火です。 原発が停止する理由は、テロ対策に向けた施設、要するに「たとえ旅客機が突っ込んできても安全」なレベル、いわゆる「特重施設(特定重大事故等対処施設)」の工事が間に合わないためです。 しかし、この特重施設の工事は、テロが起きても大丈夫なように、バックアップの施設は作ることになりますが、技術的・法律的にも、審査中に必ずしも原発を止める必要はありません。 法律不遡及の原則からいけば、建築基準法上、耐震基準が強化された場合、今までの建物を無理やり使用中止にはできませんが、原発施設においては、それがまかり通っています。 ◆政治家は腹を括って原発再稼働に舵を切れ 安全確保は大切なことですが、それによって生じた損害は、憲法における財産権の侵害であり、本来、国が賠償すべきものです。 少なくとも、原発が審査で再稼働できないツケを電気料金という形で、国民が払うのは筋が通りません。 原子力規制委員会の在り方にも大きな問題があり、現状では、国家としての大局観を欠いた、技術専門家による「議論のための議論」に陥っている状況です。 また、原発を使える期40年に限定する廃炉規制も即時撤廃すべきです。 現在、廃炉を決めている原発は24基ありますが、これらは安全にもかかわらず、40年規制で経営が成り立たないから、廃炉に追い込まれている現状があります。 もともと日本では60年運転を前提とした検査体系が運用されていたため、原子炉等の主要設備はもっと長寿命で、廃炉の時期は個別の設備の劣化状況に応じて決めるべきであり、廃炉検討中の原発は、今すぐに廃炉ストップをかけるべきです。 日本のなかで再稼働ができない「空気」はあるかと思いますが、日本の政治家は腹をくくって、エネルギー自給率を高める原発再稼働を推し進めるべきではないでしょうか。 (つづく) トランプ大統領の中東和平案で世界はどうなる? 2020.02.13 https://www.youtube.com/watch?v=dREVIaOlXMQ (1月31日収録) 幸福実現党党首 釈党首 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆トランプ大統領の「新たな中東和平案」 今回は、1月末、トランプ大統領が出した新しい「中東和平案」に注目してみたいと思います。 中東というとまず「石油」「テロ」など思い浮かべますが、国際社会で「中東問題」といえば、「イスラエルとパレスチナの紛争」が根幹です。 この「イスラエルとパレスチナの問題」に、巨大な波紋を広げつつあるのが、トランプ大統領が1月30日に世界に公表した「新たな中東和平案」です。 この和平案、建て前ではイスラエル、パレスチナの「二国家共存」をうたっています。しかし、極めてイスラエルに偏った内容となりました。 「ヨルダン川西岸地域」は、パレスチナ政府とイスラエル軍とが支配する場所が複雑に入り組んでいます。 パレスチナ自治区ではあるものの、すでに120か所にのぼる入植地ができていて、これまでの和平案では、入植活動は凍結されていました。 しかし今回、ユダヤ人の入植地を、「正式にイスラエルの領土」とし、パレスチナ領からは削られることになりました。 そして何といってもより重大な案件が、「聖都エルサレム」の扱いです。歴代のアメリカの政権はエルサレムの帰属は、双方の交渉に任せられていました。 しかし昨年、トランプ大統領は、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転させて、アラブ世界を震撼させました。そして今回の和平案で、「エルサレムはイスラエルの不可分の首都である」と公式に認定しました。 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三宗教の聖都を、イスラエルが勝ち取ったかのようなものです。 今回の和平案では、パレスチナに対しては、国家の樹立を認めましょう。首都は東エルサレムの郊外につくったらどうかと。その代わり巨額の経済援助を行いますと、事実上の「立ち退き」を申し出たわけです。 アッバス議長はその場に呼ばれることもなく、また事前の協議もありませんでしたが、この和平案が発表されると「世紀の侮辱だ」と切って捨て、拒否を表明しました。 つまり、今回の和平案は「イスラエル」と「パレスチナ」の仲介はではありません。 ◆「和平案」に込められたトランプ大統領の思惑 では、トランプ大統領は誰と誰を仲介したのか? 一人は、イスラエルのネタニヤフ首相です。そしてもう一人、和平の場に呼んだのが、ネタニヤフのライバル、政敵である政党連合「青と白」の共同代表、ベニー・ガンツ氏でした。 昨年4月からイスラエルの右派ネタニヤフ首相の「リクード党」を中心とした与党と、「青と白」を中心とした野党連合が、政治的にぶつかり合い、ネタニヤフ首相自身の汚職疑惑等も足を引っ張り、組閣が1年近く進まないという異例の事態が発生していました。 つまり「イスラエルとパレスチナ」の仲介ではなく、「イスラエル右派」と「イスラエルの左派・リベラル」、いうなればイスラエルの与党と野党の仲介が目的だったといえるでしょう。 同時に、トランプ大統領にも見返りはあります。ずばり今年11月の大統領選挙、ここでアメリカの4分の1を占めると言われる「キリスト教福音派」(エバンジェリカル)の支持を固めることです。 ◆今後の展開はどうなるのか 周辺のアラブ諸国から大反発が巻き起こるかと思えば、当のパレスチナを除いて、意外にも冷静な反応でした。 例えば、パレスチナと同じイスラム教スンニ派国家のエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の3か国は、いずれもトランプ氏の新たな和平案に賛成しています。時代が変わり、アメリカとの関係がよくなったからです。 一方で、心配なのが、中東地域では完全に崩壊したと思われた「イスラム国」が亡霊の如く、蘇りつつあることです。 ISはバクダディが殺害されましたが、その次の指導者と見られるアミル・サルビという人物が、今回の和平案が出される直前に、IS全戦闘員にイスラエル攻撃予告を呼びかけています。 皮肉なのは、IS掃討の先頭にたってきたのが、イラン革命防衛隊であり、先日米軍に暗殺されたソレイマニ司令官だったということです。 トランプ大統領は、「テロリスト」として殺害しましたが、人格高潔な人物だったことが知られています。 トランプ大統領のイスラエル重視の中東政策は、「安定」をもたらすかどうかは分かりません。 ◆日本は、中東問題を避けては通れない 日本にとって石油資源などエネルギー安全保障上、必要不可欠な地域です。日本は、この中東問題を避けては通れないと思います。 あるアラブ系メディアの世論調査によると、アラブ18か国の56%以上が中東和平の仲介役として日本が相応しいという回答が出ています。 キリスト教国でもイスラム教国でもない、宗教的に寛容な日本に仲介役を期待する声は大きいわけです。 日本は、戦争が起きるのを止め、世界平和の実現のために、宗教的理解を求め、世界に意見を発信していくべきではないかと思います。 地球温暖化問題の不都合な真実。CO2 排出削減は正しいのか?【後編】 2020.01.06 本日は、「地球温暖化問題の不都合な真実。CO2 排出削減は正しいのか?【後編】」をお送りいたします。 (広報本部) 地球温暖化問題の不都合な真実。CO2 排出削減は正しいのか? https://www.youtube.com/watch?v=g1CaDh6tBCU&t=7s 幸福実現党党首 釈量子 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆CO2は生命に不可欠であるという事実 地球は温暖化と寒冷化を繰り返していることは分かっており、気候変動自体はあるとしても、CO2によるものではなく、それ以上に太陽の活動などに大きく影響を受けているという説の方が有力なのです。 太古の地球は CO2の濃度は現代の5倍もあったと言われますが、同時に当時の地球の気温は現代とほぼ同じであったということも、数多くの学術論文で示されています。 また「CO2は生命に必要不可欠なもの」「濃度が高いほうが動物も植物もよく育つ」と言われる物理学者もいます。 更に、CO2による温暖化が原因で、近年自然災害が甚大化しているという意見も多いのですが、ここ60年間の気象庁データを見る限り、台風の数はほとんど変わっていないのが実情です。 ◆日本は地球温暖化をゼロベースから考え直すべき トランプ大統領がパリ協定から離脱を表明した経緯を改めて考えてみれば、経済活動優先で子供たちの未来を疎かに考えているわけではなく、今まで信じられてきた地球温暖化に関して、科学的に検証し直した結果、こうした判断に至っているわけです。 日本も同じようにゼロベースから見直すべきであり、特に、日本は国際政治の中で、エネルギー安全保障に関する、極めて慎重な注意が必要です。 日本の CO2排出の内、9割以上が「燃料・電気・熱」の使用に伴って排出されており、前述した石炭火力に使用される石炭は、現在7割をオーストラリアから輸入している状況です。 もし石炭火力が使用できなくなると、次は石油に依存することになりますが、そうするとホルムズ海峡など情勢不安定な中東で有事が起きた場合、エネルギー資源の確保が大変厳しくなります。 あるいは、南シナ海や台湾海峡など、石油が入ってくるシーレーンが封鎖されたら、これも途端に厳しくなり、要するに、日本のエネルギー安全保障は極めて危険な状況に陥るということです。 かつて日本はアメリカに石油を禁輸され、自衛戦争をせざるを得なくなったという歴史があります。 「油の一滴は血の一滴」と言われますが、エネルギー資源がなくなれば、国家は生き延びることができません。 ◆地球温暖化対策で巨額の税金が「無駄遣い」されている真実 また、地球温暖化対策で国税・地方税合わせて年間5兆円が費やされているという、知られざる真実があります。 現状が続けば、2030年までに100兆円が費やされるという試算がありますが、それによって下げられる気温は最大0.001度だという試算があり、これは完全に誤差の範囲と言わざるを得ません。 まさに 「CO2排出が地球温暖化の原因ではない」という見地からすれば、これは「壮大な無駄遣い」になってしまいます。 ◆地球温暖化問題の背景にある「世界レベルでの共産主義運動」 さらに問題なのは、こうした対策自体が、先進国の経済活動の足を引っ張り、世界レベルで「貧しさの平等」を逆に実現してしまう懸念があることです。 実際に、「国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」 の最高幹部の1人が「温暖化対策とは世界の富を再分配し富裕国から貧困国にお金を流すものである」と言っており、つまり世界レベルでの共産主義運動と言えるでしょう。 この動きを批判しているのが、前述した通りトランプ大統領と、またプーチン大統領です。 トランプ大統領は「恐ろしく金がかかり、不公平なパリ協定から離脱する」とこの枠組み自体を批判し、プーチン大統領はグレタさんに対して「皆さんを落胆させるかもしれないが、(グレタに)共感していない。現代の世界が複雑で多様であることを誰もグレタに教えていない」と批判をしています。 日本もグレタさんの主張への対策を疎かにすると、途上国に転落する危険があり、この流れを甘く見ない方がいいと思います。 最後に、これまで日本は八方美人のように、あらゆるところにいい顔をしてきましたが、亡国の危機に立っている今、アメリカと同様、パリ協定を離脱すべきです。 日本は大気汚染や水質汚染など高い技術でこれまで環境問題を克服してきましたし、日本が大いに発展することが途上国を貧しさや環境汚染から救う道にもつながると思います。 これから地球人口は100億人時代を迎える中、日本の役割はますます大きくなるものだと確信しています。 地球温暖化問題の不都合な真実。CO2 排出削減は正しいのか?【前編】 2020.01.05 本日は、「地球温暖化問題の不都合な真実。CO2 排出削減は正しいのか?【前編】」をお送りいたします。 (広報本部) 地球温暖化問題の不都合な真実。CO2 排出削減は正しいのか? https://www.youtube.com/watch?v=g1CaDh6tBCU&t=7s 幸福実現党党首 釈量子 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆世界を二分する地球温暖化に関する議論 スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが、2019年9月国連気候行動サミットで「あなたたちを許さない!」と世界各国の首脳たちを叱りつけ、一躍時の人になりました。 一方で、アメリカのトランプ大統領はパリ協定からの離脱を正式に通告し、対照的な動きを採っていますが、日本はこの方向性の違いを、どのように理解すればよいのでしょうか。 実は今、これまで正しいと信じられてきた地球温暖化説の根拠が揺らぎ始めていて、それがトランプ大統領の決断にも影響しているのです。 今回は、地球温暖化を巡る別の視点をご紹介しつつ、「日本はどうあるべきなのか」を考えてみます。 ◆環境分野で国際的に割を食う日本 19年12月、スペイン・マドリードで開かれたCOP25には190カ国が参加し、13日間に渡り、気候変動に関して様々なテーマで話し合いが行われましたが、結局何もまとまりませんでした。 なぜなら、アメリカのトランプ大統領が一石を投じたからです。 確かにトランプ大統領は、大統領選挙の時から「温暖化抑制は製造業への打撃になり、中国の排出量の抑制にはつながらない」と否定的でしたが、COP25 に先立ち、19年11月にパリ協定の正式離脱を表明しました。 対照的に、日本はCOP25において「温暖化対策に消極的」と見なされ、国際NGO が独断と偏見で選ぶ「化石賞」を受賞してしまいました。 中でも、特に槍玉に挙げられたのが、石炭を使った石炭火力発電ですが、実に日本の電源の33%を石炭火力が支えており、これを抑制されてしまうと日本は非常に厳しい状況になります。 ◆本当の「化石賞」は中国? 今の日本に必要なのは、「二酸化炭素(以降CO2)が地球温暖化の原因だ」という説を改めて検証し直すことではないでしょうか。 統計的に見れば、日本は先進国では排出量はかなり少なく、GDP比の日本のCO2の排出量は世界18位で、既に現時点でかなり真面目に取り組んでいることが分かります。 反面、最もCO2排出量が多い国は中国で、トランプ大統領が「温暖化対策に最も力を入れなければならない中国に何の影響もない」という批判をしてきましたが、本当の「化石賞」は中国であるべきでしょう。 ちなみにこの「化石賞」を受賞したのは、ほとんどが先進国ですが、中国は先進国の枠組みには入っておらず、途上国の中に入っています。 この非常に恣意的な基準自体が、日本に対して更なる負荷をかけようとする政治的意図と考えられ、トランプ大統領が言う通り、少なくとも「フェアではない」と言えます。 ◆「CO2悪玉論」の不都合な真実 次に、「CO2悪玉論」について考えてみます。 温室効果ガスの大半を占めるのがCO2で、グレタさんは演説の中で、「科学者の声を聞き、そして科学に基づいて団結して行動してほしい」と発言していますが、科学的な根拠に照らして、知らなければならないことがあると思います。 第一に、地球温暖化説を説明する際、よく用いられる「ホッケースティック曲線」についてです。 このホッケースティック曲線は、要するに産業革命が起きた時点から化石燃料の使用が急激に増え、地球温暖化に結び付いているという論拠になっています。 ところが最近では「中世にもあったはずの温暖化を無かったことにして、データを改ざんしている」ということで、この曲線自体の信頼性に疑義を呈する声が学者の一部からも上がりました。 最終的に、名誉棄損で訴訟になりましたが、原告側の「ホッケースティック曲線」側の学者が元データの開示を拒み、逆に敗訴した経緯もあります。 第二に、地球温暖化説でよく引き合いに出される「ツバル」という島国の海面上昇についてです。 24年間にわたって、潮位の変化を測定したイギリス国立海洋学センターのデータによると、海面の上下はあっても、上昇の傾向はほぼありません。 第三に、地球温暖化と共に、やせ細った死にそうなシロクマなどの動画が出てきますが、カナダの著名なシロクマ研究者によると、シロクマの頭数は過去最高に増加しているそうです。 以上のように「CO2によって地球が温暖化している」という通説はあまり信用できないと言えるのではないでしょうか。 (つづく) エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(12) 送配電の費用負担方法を変える 2019.07.24 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(12) 送配電の費用負担方法を変える 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆電気料金の3割を占める託送料金 小売全面自由化が施行された2016年4月以降の電気料金は、原則として事業者の裁量で算定される費用(発電費、購入電力料、販売費等)と、法令に基づき算定される費用(託送料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金等)で構成されています(※1)。 このうち託送料金は、おもに送電・変電・配電にかかる費用で、一般送配電事業者が総括原価方式により算定し、政府が認可する料金です(※2)。 電気料金のうち託送料金の占める割合は、家庭用で約30%、産業用で約20%となっています(※3)。 ◆日本では固定費の多くが従量料金で賄われている 送配電事業は典型的なインフラ型産業であり、総費用のうち約80%が固定費、約20%が可変費(変動費)です。 一方、託送料金の内訳は27%が基本料金、73%が従量料金であり、固定費を基本料金で回収する英国やドイツと異なり、日本では固定費の大部分を従量料金に上乗せして回収する仕組みになっています。(※4) これは、電気を多く使う利用者が、あまり使わない利用者に比べて多額の固定費を負担することを意味しますが、日本では省エネを促し社会的弱者を保護する目的もあって、これまで正当化されてきました。 しかし、今後再エネのコストが下がり、ほぼ「限界費用ゼロ」(※5)で供給できるようになると、固定費を従量料金で回収する制度は潤沢なエネルギーの使用を妨げます。 また、需要側の蓄電池や電気自動車(EV)などを送配電ネットワークの安定運用に用いる際にも、充放電のたびに従量料金が発生すると、有効活用が難しくなってしまいます。 送配電ネットワークの固定費負担の公平性を高め、柔軟なアクセスを可能とするため、託送料金における基本料金の比率を高めることが望ましいといえます。 ◆固定費回収をめぐる経済学の論争 インフラの費用負担の方法について、経済学では古くから論争があります。 米国の経済学者ホテリングは、あらゆるものは限界費用で販売されるときに社会的厚生が最大となることから、電気、水道、鉄道など固定費の比率が高い事業においては、価格を限界費用の水準まで下げるため、政府が税金を通じて固定費を賄うべきだと主張しました。 彼は橋の例を引いて、「通行料金が無料の橋と有料の橋で建設費は変わらないが、無料の場合は橋を迂回することなく通行者が増えるため、社会が受ける恩恵は、無料の橋のほうがはるかに大きい」と説明しています。 実際に、米国のF・ルーズベルト(民主党)政権がニューディール政策の一環として設立したテネシー川流域開発公社(TVA)では、このような考え方に従って連邦政府の資金を大胆に拠出して送電網や発電設備が建設され、ほぼ「限界費用ゼロ」の水力発電によって安い電気を広い地域に供給し、経済発展を後押ししました。 これに対して米国の経済学者コースは、価格は限界費用と同じであることが望ましいという点は認めつつも、政府が消費者の需要を正確に見積もることはできず、非効率な設備投資を招くおそれがあることから、民間の独占企業に委ね、限界費用に一定の料金を上乗せして固定費を回収すべきだと主張しました。(※6) 日本では、1951年に松永安左エ門氏が地域独占・民営の電気事業体制を構築したときから、政府が平均費用で価格規制を行い、固定費を税金ではなく電気料金で回収する制度となっています。 前述の2人の経済学者の中では、どちらかというとコースの考え方に近いといえます(※7)。 ◆インフラの費用負担に対する日米の考え方の違い しかし、米国では民主党だけでなく、「小さな政府」を標榜する共和党政権であっても、インフラに巨額の国費を投入してきました。 例えば、アイゼンハワー政権は、ドイツのアウトバーンに倣い、全米の都市を結ぶ原則無料の州間高速道路(※8)を建設しました。総延長は約8万kmに達し(※9)、経済成長と安全保障を支えてきました。 また、現トランプ政権も、総額2兆ドル(約220兆円)のインフラ投資に向けた協議を進めています(※10)。 一方、日本では伝統的に、インフラのコスト負担を直接の利用者に求めてきました。日本では高速道路の建設費を通行料金で返済する「償還主義」が採用され、諸外国と比べて非常に高い水準の通行料金が課されています。 これは戦後の資金不足も理由の一つですが、自家用車がぜいたく品だった頃に、税金で高速道路を整備することには国民の理解を得られなかったという事情もあります。 現在も日本では、インフラに投資するよりも社会保障の充実や教育の無償化など消費的経費に税金を使うほうが、政治家が票を集めやすい傾向があります。 しかし、自家用車の有無にかかわらず、高速道路は人の移動や物流の大動脈として全国民に恩恵を与えており、直接の利用者からの通行料金で固定費を回収する考え方には、あまり合理性がありません。 ただ、日本では高速道路の料金が高いことが、新幹線や大都市圏における鉄道網の健全経営をもたらしたことも事実です。 ◆送配電ネットワークに国費を さて、今後は送配電ネットワークの増強・更新・次世代化のために、多額の投資が必要です(※11)。 現政権はそのコストを託送料金に上乗せして回収することを検討していますが(※12)、これでは日本の電気料金はますます高くなり、製造業の国際競争力の低下や国外流出が一段と進む可能性があります。 将来の送配電ネットワークの役割は、これまでの単なる電気の流通・販売経路から、海洋や地下を含む各地の未利用エネルギーへのアクセス、植物工場等における農業生産のエネルギー源、EVや空飛ぶクルマによるモビリティ(交通)サービスの基盤などにも拡大し、その便益は電気の直接の利用者だけでなく、広く社会に及ぶものです。 このことを考慮すれば、送配電ネットワークのコストは、託送料金を通じて直接の利用者だけに負担を求めるべきではなく、国費を投入し、公共財として整備していくことも有力な選択肢の一つです。政府が低金利の長期資金を確保し、託送料金の固定費を税金で賄うようにすれば、託送料金を安く抑えることができます。 なお、国内のエネルギー資源が乏しく、日本と似た一次エネルギー供給構造を持つ韓国の電気料金は、資源国である米国よりは高いものの、日本の半額程度です(※13)。このため、製造業が安い電気を求めて韓国に立地し、コスト高の日本と競争しています。 韓国の電気料金が安い理由は、政府出資の電力会社が電気を供給し、電気料金を政策的に安く抑え、全てのコストを電気料金で回収していないことにあります。 このため、電力会社が赤字になっても、安い電気料金が維持されています。韓国の電気事業体制には、政治が過度に介入して経営の非効率を招くなど問題も数多くありますが、日本の製造業は、このような国家戦略を持った国の製造業とも戦わなければならないのです。(※14) ◆安くて無尽蔵のエネルギーで社会が変わる 原発や再エネなどの化石燃料に依存しない電源は、多額の固定費を長期にわたって回収する仕組みがあれば、安い電気を生み出すことができます。また、送配電ネットワークの費用負担方法を変えれば、託送料金を安く抑えることができます。 エネルギーの制約がなければ、未来の社会は大きく変わります。 リニア新幹線で都市間を移動し、都市内では自動運転の「空飛ぶクルマ」やEVで素早く目的地に到達。高品質で安全な農産物が植物工場で生産され、注文した新鮮な野菜がすぐにドローンで配達される。そして、そのコストは驚くほど安い… 幸福実現党は、2050年の社会の大変革を見据え、政府主導で送配電ネットワークの抜本的な再構築を行い、安くて無尽蔵のエネルギーが自由に使える環境を整備していきます。 参考 ※1 「料金設定の仕組みとは?」 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/pricing/ ※2 「各一般送配電事業者の託送料金平均単価等」 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/pricing/pricelist.html 例えば、低圧の場合の1kWhあたりの託送料金平均単価(税込)は、東京エリアでは9.26円、関西エリアでは8.43円で、小売会社が受け取った電気料金から支払っている。 ※3 「小売電気料金及び託送料金の推移 日本と海外の比較」 消費者庁 2016年6月29日 https://www.cao.go.jp/consumer/history/04/kabusoshiki/kokyoryokin/doc/004_160629_shiryou2.pdf ※4 「送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討WG」資料 電力・ガス取引監視等委員会 2017年6月20日 https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/saisei_dounyu/pdf/004_03_01.pdf ※5 限界費用: ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。 ※6 『限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭』 ジェレミー・リフキン NHK出版 ISBN978-4-14-081687-5 ※7 正確には、基本料金と従量料金の「二部料金制」を支持した日本の経済学者・植草益(産業組織論)の考えに近い。 ※8 州間高速道路: インターステート・ハイウェイ(正式名称はDwight David Eisenhower National System of Interstate and Defense Highways) ※9 Public road length by functional system and Federal-aid highways, Highway Statistics 2017, Federal Highway Administration, US Department of Transportation https://www.fhwa.dot.gov/policyinformation/statistics/2017/hm18.cfm ※10 「トランプ氏と野党、2兆ドルインフラ投資へ協議開始」 日本経済新聞 2019年5月1日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44378660R00C19A5000000/ ※11 「エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(11) 送配電ネットワークを次世代化」 HRPニュースファイル 2019年6月24日 http://hrp-newsfile.jp/2019/3671/ ※12 「再生エネ、送電線増強へ全国負担 コストなお課題」 日本経済新聞 2019年5月16日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44890860W9A510C1EE8000/ ※13 「電気料金の国際比較 2016年までのアップデート」 筒井美樹ほか 電力中央研究所 2018年1月 https://criepi.denken.or.jp/jp/serc/source/pdf/Y17504.pdf ※14 「『電力がぶ飲み大国』韓国の現実」 野口透 JBpress 2011年8月4日 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/17408 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(11) 送配電ネットワークを次世代化 2019.07.23 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(11) 送配電ネットワークを次世代化 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆送配電ネットワークは増強・更新・次世代化の時期に 日本では1951年に地域独占・民営の電気事業体制が構築されたときから、電力会社ごとに最適な経営が行われてきました。 このため、地域内の送配電ネットワークはとても充実し、高い電力品質が維持されてきた半面、会社をまたぐ地域間連系線の整備があまり進まないという問題がありました。 東日本大震災の際にはこれがボトルネックとなって、西日本から東日本に十分な電気を融通することができませんでした(※1)。 近年は、送電線の容量の制約により、再生可能エネルギーがあっても活用できない問題が顕在化しています。北海道・東北には大量の再エネ資源がありますが、一部しか使うことができません(※2)。 九州では太陽光発電(PV)のピーク時に余った電気を本州に全て送電することができず、PVの出力制御を行っています(※3)。関東でも東京電力が千葉県内での出力制御の検討を始めたと報道されています(※4)。 また、従来の送配電ネットワークでは、火力・原子力発電所などの大規模集中型電源から需要側に向けて、高圧から低圧への一方向に電気を供給することを前提としていたため、分散型の再生可能エネルギーや需要側の蓄電池の利用などには、あまり適していません。 分散型電源、蓄電池、電気自動車(EV)などを既存の大規模電源と柔軟に組み合わせて、未利用エネルギーを効率的に使いながら安定的な電力供給を行うには、送配電ネットワークの仕組みを変えていく必要があります。 日本の送配電設備の多くは1960年代以降の高度経済成長期に建設されたため、老朽化した設備の更新時期が到来することから(※5)、幸福実現党は、この機会をとらえて新しい考え方を導入し、送配電ネットワークの次世代化を進めます。 ◆全国を結ぶ直流の基幹送電線を新設 我が党は送配電ネットワーク増強の一つとして、高圧直流(HVDC)による基幹送電線を新設することを提案しています。 これは、地域をまたぐ再エネの利用促進や災害時の安定供給のためだけでなく、今後開発が期待される海洋温度差、潮力、洋上風力、次世代地熱(EGS)等の再エネを大量に導入する際に、インフラとして不可欠なものです。 HVDCは大容量・長距離の送電に適し、再エネとの連系が容易という特長があります。日本では北海道・本州間や紀伊水道等の連系に用いられ、欧州では英仏、英蘭、ポーランド・スウェーデン、イタリア・ギリシャ等の国際連系に数多く導入されています。HVDCの世界市場は今後10年で2倍になるとの見通しもあります(※6)。 我が党は、HVDC送電線を全国の海岸線に沿って新設し、これらを亜熱帯の領海に設置した海洋温度差発電のプラントとも接続し、大量の再エネを利用できる環境を整えます。 また、HVDC送電線を陸上にも新設し、将来は小型モジュール炉(SMR)を含む分散型電源を結び、多重化された強靭な送電ネットワークを構築します。 ◆空の有効利用のため送電線・配電線を地中化 さらに、今後の交通・運輸の変化を考慮すると、架空電線は大きな支障となるため、できるだけ地中化しなければなりません。 現在、オペレーター(操縦士)によって運行されているドローン(小型無人機)は、近い将来に自律飛行が一般的となり、都市内の管制された空間(ドローン航空路)を縦横に飛び交い、物流の“ラストワンマイル”(※7)になることが期待されています。 米アマゾンは2019年にもドローン配送を始めるとしており(※8)、今後日本でもドローン物流が一般的になると予測されます。その際に、架空電線は目印にもなりますが、円滑な飛行の支障になります。 また、「空飛ぶクルマ」の開発が世界で急速に進められていますが、日本でも2025年頃からeVTOL機(電動垂直離着陸機)の運行サービスが始まり、2030年代には本格的に普及するとの予測があります(※9)。 「空飛ぶクルマ」は、当初は空港や高層ビルの屋上などを結ぶ拠点間の交通として始まると考えられ、この段階では架空電線が支障になることはありませんが、都市内の低いビルや道路面にも離着陸の場所を拡大するには、電線を撤去し地下に埋設する必要があります。 また、eVTOL機ではなく、高速道路で助走して離陸するような空陸両用機の場合、日本では道路を横断する送電線や跨道橋が数多くあることから、このままでは離着陸の支障になるため、道路と送電線の両方を改築する必要があります。 このように、現在の送電線・配電線はドローンや「空飛ぶクルマ」等の低空飛行の物体を想定していないことから、我が党は都市景観や災害対策上の理由だけでなく、将来の空の有効利用の観点からも、送電線・配電線の地中化を進めていきます。 参考 ※1 「エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(2) 電気事業の『ゲームチェンジ』」 HRPニュースファイル 2019年5月15日 http://hrp-newsfile.jp/2019/3536/ ※2 「再生エネ、送電線増強へ全国負担 コストなお課題」 日本経済新聞 2019年5月16日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44890860W9A510C1EE8000/ ※3 「太陽光発電の出力制御、対象を500kW未満にも拡大へ」 スマートジャパン 2019年5月10日 https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1905/10/news040.html ※4 「再生エネの出力抑制 東電が千葉で要請検討」 日本経済新聞 2019年5月17日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44962890X10C19A5TJ2000/ ※5 送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討WG資料 電力・ガス取引監視等委員会 2017年6月20日 https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/saisei_dounyu/pdf/004_03_01.pdf ※6 「高電圧直流(HVDC)は知られざる成長分野、EVやデータセンター向けも追い風に」 ビジネス+IT 2018年2月19日 https://www.sbbit.jp/article/cont1/34592 ※7 ラストワンマイル: ここでは、最終拠点から顧客への物流サービスのこと。 ※8 「アマゾン、ドローン配送を開始へ 数カ月以内に」 日本経済新聞 2019年6月6日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45750120W9A600C1000000/ ※9 『空飛ぶクルマ 電動航空機がもたらすMaaS革命』 根津禎 日経BP社 ISBN978-4-296-10187-0 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(10) 地球温暖化政策を無害化 2019.06.21 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(10) 地球温暖化政策を無害化 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆一種の「ポリコレ」となった地球温暖化説 幸福実現党は、人為的な温室効果ガス(GHG)の排出が地球の気温上昇の主な原因であるとする仮説には大きな不確実性があることから、地球温暖化政策を抜本的に見直すべきであると主張してきました。 地球温暖化を専門とする世界の科学者の機関である、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、GHGの濃度が気温上昇に寄与する程度(平衡気候感度)についての不確実性を認めており(※1)、我が党は事実としてこれを指摘しています(※2)。 また、地球温暖化対策の国際枠組み(国連気候変動枠組条約、パリ協定)への参加は、国際衡平性が担保されることが大前提であり、日本が不利になるおそれがある場合には、枠組みからの脱退も含めた措置を講じることを訴えています。 しかし、このような主張を堂々と行う政党は我が党以外になく、特に温暖化の原因に踏み込むことは、政治家も財界人も避けています。この問題は一種の「ポリコレ」(※3)となり、私的にどう考えるかは別として、公的な場で発言すると激しい攻撃を受ける可能性があるからです。 米国のトランプ氏も実業家時代には果敢に“放言”していましたが(※4)、大統領就任後は穏当な発言に抑えています(※5)。 ◆パリ協定における削減目標と負担 パリ協定は、全ての国が参加する2020年以降のGHG排出削減の国際枠組みとして、2015年に採択されました。締約国は、産業革命以前からの地球の温度上昇を2℃より十分下方にとどめ、さらに1.5℃以下に抑えるよう努力することを合意しています。 各国が自国の事情に応じて提出した削減目標の達成には、国際法上の義務はなく、努力目標と解釈されます。 この点は、国連が先進国だけにトップダウンで削減義務を割り当て、中国を含む途上国には削減義務がなかった京都議定書(1997年採択)とは決定的に異なるものであり、日本や米国の主張が反映されています。(※6、※7、※8) しかし、削減目標の実質的な負担には、国によって大きな違いがあります。 日本は2030年に2013年比26%削減、米国は2025年に2005年比26~28%削減、欧州連合(EU)は2030年に1990年比40%削減など、基準年比で排出量を削減する目標を提出していますが、中国は「2030年までに2005年比でGDPあたりの排出量を60~65%削減」と、GDPが増えれば排出量も増やせる目標となっています。 米国トランプ政権は2017年に、米中間にはこのような差異があることを理由にパリ協定からの離脱の方針を発表し、我が党はこれを支持する党声明を発表しました(※2)。 2019年6月に20か国・地域(G20)エネルギー・環境相会合のために来日した米環境保護局(EPA)のウィーラー長官は、記者団の取材に応じ、パリ協定は「米国に不公平な内容だ」と批判しています(※9)。 地球環境産業技術研究機構(RITE)は、削減目標を達成するための2030年における限界削減費用(※10)について、日本は378ドル、EUは210ドル、米国は85ドル(2025年)、オーストラリアは33ドル、ロシアは4ドル、中国・インドはほぼ「ゼロ」と試算しており、日本の経済的負担がきわめて大きいことがわかります(※11)。 ◆国内での規制強化を狙う現政権 パリ協定の削減目標の達成には国際法上の義務がないため、仮に日本が2030年にこれを達成できる見込みがなくても、自国の安全保障や経済成長を犠牲にしてまで無理に達成する必要はないのです。 しかし、日本では環境省等の政府機関、東京都等の地方公共団体等が、まるで削減が義務であるかのように規制の強化や業務・権限の拡大を進め、マスコミや環境NGO等がこれを助長しています。 日本では1978年から、省エネの目的で石油石炭税が導入されていますが、2012年からは「地球温暖化対策のための税」(温対税)をこれに追加して段階的に税率を引き上げました。現在の税収は約2,600億円であり、経済産業省と環境省が半分ずつ所管し、この税収に対応する事業を執行しています(※12)。その税率は二酸化炭素(CO2)1トンあたり289円と、実際にCO2削減の誘因となるほどには高くありません。 しかし、環境省では、化石燃料を使いにくくするために、炭素税や排出量取引等のカーボンプライシング(炭素の価格付け)の導入を検討しており(※13)、その税率・価格は1トンあたり1万円以上ともいわれます。仮に1トンあたり1万円の炭素税をかけると、1リットルのガソリンには23円が課税されます(※14)。 ◆CO2排出規制は日本の安全保障と経済成長を脅かす 現在、日本の火力発電用燃料に石油はあまり使われておらず、液化天然ガス(LNG)が約50%、石炭が約40%という比率です(※15)。 1kWhの発電に伴うCO2排出量は、LNG火力(複合発電)の376gに対して、石炭火力では864gと2倍以上もあることから(※16)、高い炭素税をかければ石炭火力が経済的に不利になるため、石炭からLNGへの転換を誘導することができます。 しかし、LNGの多くはオーストラリア、インドネシア、中東等から南シナ海を含むシーレーンを経由して輸入されるため、中国が台湾や南シナ海で軍事行動を起こせば、供給が止まる可能性があります。 LNGだけに依存せず、不測の事態に備えて、LNGとは異なる資源分布をもち世界各地から輸入できる石炭も利用可能にしておかなければなりません。 また、現状の発電コストはLNGが石炭よりも高く、経済合理性を無視して石炭からLNGに転換すれば、高い日本の電気料金がさらに上昇して経済成長を妨げ、製造業の国外流出が加速するおそれがあります。 ◆不合理な規制は低炭素・脱炭素時代の到来を遅らせる なお、非常に大きな視点で見れば、世界が脱石油文明にシフトしていく潮流はもはや止まることがなく、いずれ低炭素・脱炭素時代が来ることは確実です(※17)。 既に世界で再生可能エネルギーに関する急速な技術革新が始まり、今後は次世代の原子炉や核融合に関する技術や、送電等のエネルギーの輸送方法、交通の電動化なども大きく進化すると考えられます。 しかし、それは政府の規制ではなく技術革新によって起こることであり、規制によって経済成長を阻害すれば、民間による技術開発の原資や低炭素化に向けた投資意欲を奪い、むしろ低炭素・脱炭素時代の到来を遅らせることにつながります。 我が党はCO2排出規制の撤廃を繰り返し訴えていますが、それは当面の日本の安全保障と経済成長を守るためだけではありません。経済成長の中で潤沢な資金を技術開発に回し、新技術を次々と生み出して技術革新を一段と進め、化石燃料に依存しない「新文明」の到来を早めるためでもあるのです。 参考 ※1 「地球温暖化の科学的不確実性」 杉山大志 キヤノングローバル戦略研究所 2018年4月23日 https://www.canon-igs.org/column/energy/20180423_4978.html ※2 「米大統領によるパリ協定離脱表明を受けて(党声明)」 幸福実現党 2017年6月3日 https://info.hr-party.jp/press-release/2017/4762/ ※3 ポリコレ: ポリティカル・コレクトネス(political correctness)、政治的建前。 ※4 “The concept of global warming was created by and for the Chinese in order to make U.S. manufacturing non-competitive.” Donald J. Trump, Twitter Nov. 7, 2012 https://twitter.com/realDonaldTrump/status/265895292191248385 ※5 「トランプ米大統領、米政府の気候変動報告『信じない』」 BBCニュース 2018年11月27日 https://www.bbc.com/japanese/46354080 ※6 「『パリ協定』の曲解で国を滅ぼすことなかれ【前編】」 HRPニュースファイル 2015年12月29日 http://hrp-newsfile.jp/2015/2554/ ※7 「『パリ協定』の曲解で国を滅ぼすことなかれ【後編】」 HRPニュースファイル 2015年12月30日 http://hrp-newsfile.jp/2015/2556/ ※8 パリ協定では各国が当面の削減目標だけでなく、「長期低排出発展戦略」の策定を努力するよう定めており、日本は長期目標として、2050年までに80%のGHGの排出削減を目指すことを決定している。以下を参照されたい。 「『地球温暖化対策計画』の閣議決定について」 環境省 2016年5月13日 https://www.env.go.jp/press/102512.html ※9 「パリ協定は不公平=温暖化軽視を否定-米環境長官」 時事通信 2019年6月16日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2019061600290 ※10 限界削減費用: ここでは、追加的に1トンのCO2を削減するために要する費用(ドル/トン)。 ※11 「パリ協定国別貢献NDCの排出削減努力・政策評価」 秋元圭吾 地球環境産業技術研究機構(RITE) 2017年12月6日 http://www.rite.or.jp/news/events/pdf/akimoto-ppt-kakushin2017.pdf ※12 「地球温暖化対策のための税の施行について(お知らせ)」 環境省 2012年10月1日 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15769 ※13 「『カーボンプライシングのあり方に関する検討会』取りまとめ」 環境省 2018年3月 https://www.env.go.jp/earth/cp_report.pdf ※14 ガソリンのCO2排出原単位:約2.3kg/Lより、炭素税率を1トンあたり1万円とすれば、ガソリン1リットルあたり約23円。 ※15 エネルギー白書2018 資源エネルギー庁 ※16 「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価」 今村栄一ほか 電力中央研究所 2016年7月 https://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/detail/Y06.html ※17 「エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(6) 自給率を高めるには再生可能エネルギーが不可欠」 HRPニュースファイル 2019年5月30日 http://hrp-newsfile.jp/2019/3562/ すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 … 17 Next »