Home/ 教育 教育 LGBTQに猛反発?世界大混乱。ロシア、イスラム諸国、グローバルサウス。【後編】 2023.06.08 https://youtu.be/BvYe-R_WVv4 幸福実現党党首 釈量子 ◆ロシア 前編から引き続き、世界の動きとして、ロシアのプーチン大統領の「LGBTQ」に関する発言も見てみます。 昨年9月30日のドネツク・ルガンスク、ザポリージャ・へルソン併合式典での発言です。 「私たち自身のために、とてもシンプルな質問に答えましょう。私たちは、この国、このロシアで、母親と父親の代わりに「親No.1、親No2、親No3」を持ちたいのでしょうか?」 この「親1親2」というのは何かというと、フランスでは2013年から同性婚が合法化され、さらに2019年から、学校が「父親」「母親」という言葉を使用しなくても済むよう法律を修正する案が国民議会で可決しました。 学校で書類などに「父」や「母」などの言葉を使うのをやめ、「親1」や「親2」という表現を使います。 プーチン氏の発言を続けます。 「私たちは、学校という場所で、子どもたちが学校に通い始めたときから、劣化と絶滅につながる倒錯を押し付けられたいのでしょうか?女性や男性とは別の性別が存在するという考えを頭に叩き込み、性別適合手術を受けさせたいのだろうか。それが私たちの国や子どもたちに望むことなのでしょうか。」 「欧米エリートの独裁は、欧米諸国の市民自身を含むすべての社会を対象としています。これは、すべての人への挑戦です。人間であることの意味を完全に放棄し、信仰と伝統的な価値を転覆させ、自由を抑圧することは、『倒錯した宗教』、つまり純粋な悪魔崇拝と似てきています。」 「イエス・キリストは山上の垂訓で、偽メシアを暴くためにこう言った。『その果実によって、あなたがたは彼らを知るであろう』。この毒の果実は、わが国だけでなく、欧米諸国の多くの人々を含むすべての国の人々にとって、すでに明白なものです。」 なお、ロシアでは「ゲイ・プロパガンダ禁止法」が制定されています。これは同性愛行為そのものではなく、同性愛関係が未成年者の発達に及ぼす悪影響を防ぐことを目的としたものです。 ◆グローバルサウス 最後に、新興国・途上国の様子です。 世界の動向を大きく握る「グローバルサウス諸国は、アメリカ型のリベラルに反発する国は多く、最近ではウガンダや、アジアでもインドネシア(人口の90%がイスラム教)とマレーシア(60%)などは、イスラム保守主義の台頭などで、LGBTに対する法律は厳格になりつつ国もあります。 世界70以上の国と地域が、憲法や国内法、または地域法により同性愛行為などを「犯罪」として取り締まりの対象としていて(難民研究フォーラムによる)、法令で死刑を規定している国は8カ国です。 実際に実施していない国もありますし、法律にはないものの、イスラムの「シャリーア」に基づいて「死刑」とされる国もあります。 同性愛嫌悪が強い国では、同性愛に対する迫害が酷く、難民認定申請をして国外に逃げる人もいます。 婚姻などを規定する「シャリーア」は、そもそも婚姻関係以外のすべての性行為が違法、石打ちの刑や鞭打ちの刑に処せられます。ISISの占領下のイラクでは、支配地域ではビルから突き落とされました。 「これはいくら何でもひどすぎる」と思うのが正直なところで、大川隆法党総裁も、イスラム圏に関しては、「自由の風」を流したいとイスラム教改革について言及を何度もされております。 アジアではシンガポールのマハティール首相が、2018年タイで行った講演でこのように語っています。 「アジア人は度々、西洋の価値観を疑問なしに受け入れてしまう。しかし、すべて真似(copy)する必要があるのだろうか。もし彼らが裸で歩き回ると決めたら、私たちも従わねばならないのか。私たちには私たちの価値観がある。だから私は自分たちの価値観があることを誇りに思っている。」 「彼ら(西側)が受け入れたいならば彼らの勝手だ。しかしそれを押し付けるのは、やめていただきたい。」 どの国も歴史や文化、その根底にある宗教に基づいて、独自の判断をしています。 G7サミットで岸田首相は「ジェンダー主流化」の推進を表明しています。 これは「ジェンダー平等」の観点をあらゆる政策や制度に反映することを指すという宣言で、6月24、25日に日光市で開催されるG7男女共同参画・女性活躍担当相会合でも議論される方向です。 日本の政治は、バイデン政権に追随するだけで、あまり考えてもいないというのが現状です。政治の無責任な姿勢がどういう結果をもたらすかを冷静に考えるべきです。 ◆生まれた性で生き抜くことの大切さ 幸福実現党は、LGBTの問題に対しては、「少数者の権利は守らなければいけないし、それが『魔女狩り』みたいになることは避けるべきだ」と考えます。 本当に苦しんでいる方にお伝えしたいところとして、「性への違和感」には根深い「心の問題」があることがよくあります。 例えば、子供の頃、一番身近な親からマイナスの感情をぶつけられたり、暴力を振るわれたりすることでの自己否定観を持ったり、学校で体型などの悪口を言われたことで、自分の性を否定するケースも多いのです。 そういうマイナスの心には、「波長導通の法則」で「憑依」という現象も起きてきます。「確かに」と思い当たる方も結構いるはずです。 自己否定の感覚を紛らわそうと、不特定多数の性関係を持つティーンエイジャーが立っていますが、人間は神仏の子であるという魂の尊厳や、欲望に負けずに自制心を養うことの大切さを教えるべきでしょう。 また、もっと深く突き止めると、「前世の性別の記憶が魂に残り、それが性の違和感に出る」こともあります。 人生は苦しいことが多くいのですが、「魂の修行の場」であり、やがてあの世に還っていきます。 「この世で自分がしたいことをやれることが幸福」という考えで、行き過ぎたリベラルが、男女を造ったという神の心に反し、地球の伝統的価値観を破壊することには反対です。 公教育で「生まれた性が嫌なら変えてもいいよ」と教えるのではなく、「生まれた性で生き抜くことの大切さ」であり、「その性別にとって違和感がある」のも、永遠の生命を持つ魂の歴史からすると学びの機会であるわけです。 こうした観点で、どういう政策が幸福であるべきかを考えてまいりたいと思います。 「LGBT法」世界大混乱。欧米諸国でも、イスラム諸国は猛反発。【前編】 2023.06.07 https://youtu.be/epD63XOXvYs 幸福実現党党首 釈量子 世界ではアメリカの、特にリベラルな民主党的な価値観を受け容れない、受け入れたくない国との価値観の対立が深まっています。 その代表が、「LGBTQ」に関する考え方です。 岸田首相は、サミットで、「LGBTへの差別を禁じる法律がないのはG7で日本だけ」「日本は遅れている」というイメージづくりの中で「日本もちゃんとやっています」と内外にアピールする狙いで国会に法案を提出しました。 アメリカでも、国を二分する激論が起き、イギリスでは行き過ぎた部分についての揺り戻しも起きています。 岸田政権による、点数稼ぎ狙いの法律をあえてつくる必要はないのではないでしょうか。 ◆日本の状況 日本の各党の法案を見てみます。 サミット開幕当日5月19日に、国会に提出した与党案があり、その後、立憲・共産が共同で対案を出しました。これは2年前の2021年に超党派の議連でまとめたものです。 そして26日に日本維新の会と国民民主党案が提出されました。 争点となった文言ですが、立憲・共産の(2021年超党派議連の法案)には、「性自認」という言葉がありました。 「自分自身の性別をどのように認識しているか」、生物学的には男性でも、自分が女性だと認識しているならそれを認めるということです。 しかし自分の認識だけで性別を決められるなら、本気で悩んでいる人と、自称女性の「変態」男性との区別がつきません。アメリカでは女性刑務所で自称女性のトランス男性によるレイプが起きています。 そこで自公案では今回、「性同一性」ということばにして、ある程度、客観性を持たせようという狙いがあります。 しかし、「性同一性」の客観的な要件は法案に書かれておらず、実際には「性自認」との違いはありません。 維新と国民民主は「ジェンダー・アイデンティティ」と、煙に巻いた感じです。 また21年超党派案の「差別は許されない」という言葉も、訴訟の乱発などに繋がらないよう自公は「不当な」という言葉をつけて、配慮したような体を取っています。 しかし、何が不当なのか客観的な要件がなければ、この法律を根拠とした訴訟リスクは無くなりません。 そうこうしている間、保守を中心に「女性の権利侵害」という声も大きくなり、「維新と国民」は「全ての国民が安心して生活できるよう留意」、さらに自公案が「学校でLGBTQ教育を行う」と踏み込んだのに対して「保護者の理解と協力」という文言を追加しました。 6月の会期末までに自公政権で押し切ろうと思えば押し切れる状況ですが、自民党支持層である保守派の反発を招く可能性も高く、成立の見通しは不透明です。 特に、海外では深刻な事態や揺り戻しもみられます。 ◆アメリカ まず、アメリカでは、バイデン政権と共和党支持者の間で、激しく対立しています。 NYで自殺企図のある11歳の女の子が、学校のカウンセラーに相談したところ「性転換手術(現在は性適合手術)」を勧められて保護者が驚いたという話はよくあると現地の方から聞きました。 子供が親の同意なしに、医師やカウンセラーのもとに行き、「性別転換手術」を勧められてしまうことは、合衆国憲法で「男女差別が禁止」されているのに加え、いま22の州では「公共施設における性自認に基づく差別を禁止する法律」があるからです。 一部保険業者や州のメディケイドプログラムは、補助金を使った医療でトランスジェンダーを差別することを禁止しています。 そのため、こうした州では、「性別転換手術」を含む、トランスジェンダーに考慮した医療へのアクセスを積極的に進めている、というわけです。 特にアメリカで激しい論争になったのが「思春期抑制剤」です。思春期が来るのを遅らせるホルモン療法で、性別転換手術の前に考える時間を持つために投与されるようです。 しかし、「不妊を招く恐れ」もあり、副作用について十分な研究もなされていないとして、利益主義の製薬会社への批判が巻き起こりました。 子供は「男の子には、女の子に生まれた可能性があるし、女の子は男の子かもしれない」と教えられ、実際に自分の性別に違和感を感じる子供も増えています。 こうした教育や社会風潮に「おかしい」と感じる世論を代表しているのが、トランプ元大統領です。 「子供たちに押し付けられている左翼的ジェンダーの狂気は、児童虐待行為です。私が次期大統領となったら初日にジョー・バイデンの残酷な政策を撤回し、いわゆるジェンダー・アファーミングケアという、子供に思春期ブロッカーを与えて身体外観を変え、未成年の子供に最終的に手術を施す馬鹿げたプロセスを撤回するつもりです。」 手術で卵巣や精巣など性腺を取れば、元の性には戻れません。特にホルモンは、血管のしなやかさを保つ働きなど生命を維持するために不可欠なので、命に直結します。 ◆イギリス イギリスでは7月から、「新しく建設する公的建造物は男女別のトイレを設けることを義務付ける」ことになりました。揺り戻しが起きています。 ケミ・バデノック女性・平等担当相は、「女性が安心できることは重要」と説明しています。 イギリスの小学校では男女共用トイレが増えた結果、トイレを怖がって学校を休む女子生徒がいたり、中にはトイレに行きたくなくて水も飲まない子もいるとして、数年前から問題になっていました。 保護者の多くは、子供の学校で変更が行われる前に相談を受けなかったと述べています。 日本でも、すでに愛知県豊川市の小学校では「みんなのトイレ」という名称で、「個室化、多様化に配慮」したトイレへのリフォームがなされ、入口は男女一緒で、男女共用もしくは男女別の個室が設置されています。 豊川市で小学生向けの塾に勤務する講師の方によると、小2の女子が「学校のトイレは気持ちが悪い。男の子は男の子にしてほしい」という声があったということで、「一体誰がトクするのか疑問だ」ということでした。 また同じ地域の元小学校校長も「腕白盛りの男子がふざけて女子トイレをノックしただけでおおごとになった。子供や親御さんへのアンケート調査など、丁寧に声を聴いて対応すべき」といいます。 (後編につづく) 現政権の子供政策は、本当に子供のためと言えるのか 2023.04.05 http://hrp-newsfile.jp/2023/4425/ 幸福実現党政務調査会 西邑拓真 ◆こども家庭庁が発足 4月1日、こども家庭庁が発足しました。 こども家庭庁は、子どもに関する政策を束ねる「司令塔機能」を担う目的で創設されました。 政府の財政が緊迫度を高めるなか、新たな省庁を設置するのには膨大なコストがかかります。今、「こども家庭庁」を設置することに、果たして意義は見出せるのでしょうか。 ◆「縦割り」は残ったまま これまで、政府の子ども政策は主に、文部科学省、内閣府、厚生労働省が担当してきました。こども家庭庁発足の背景には、省庁の縦割りを廃して、救済の手から取りこぼれた子どもを救済し、本当の意味で、子どものための政策を打ち出すべきとの考えがあります。 しかし、こども家庭庁を発足しても、「縦割り」は依然として残り続け、子どもや若者、子育て支援策を「一本化」するというのは名ばかりというのが現状です。内閣府の認定こども園、少子化対策、厚生労働省の保育所、虐待防止などは、こども家庭庁に移管されますが、幼稚園や義務教育、いじめ対策は文部科学省に残ることになったのです。 特に、幼稚園、保育園、認定こども園は、それぞれ別の省庁が管轄していましたが、これを一体化する「幼保一元化」を進めることで、各施設の無駄が解消できるのではないかとも言われていました。しかし、今回の「こども家庭庁」では、幼保一元化が実現できませんでした。 こども家庭庁は、子供政策について、文科省と連携するほか、対応が不十分な場合には、勧告権を持つことになっています。しかし、法的拘束力があるわけではなく、実効性が十分にあるかは定かではありません。 概して言えば、厚生労働省や内閣府の関連部署が集められたにすぎず、政策の一元化が必ずしもできるとは限りません。新たな閣僚ポストや新しい組織を立ち上げるためにかかる費用に相応しい効果があるかは明確ではないのであれば、何のために新たな省庁を作ったのでしょうか。 ◆税金を使っても少子化が「反転」するわけではない 子ども予算の一環として、3月31日には、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」のたたき台が明らかになりました。そこには、児童手当の所得制限の撤廃や支給年齢を18歳以下まで引き上げること、さらには男女ともに、出産後に育児休業を取得した場合に、休業前の手取り収入の10割を給付する案が盛り込まれており、まさに「大盤振る舞い」です。 岸田首相は、「子ども予算を倍増させる」としていますが、何を基準に倍増するかも明らかになっていません。このことから、子ども政策や少子化対策の内容を定めることなく、ただ「倍増」という言葉ありきの発想で進められた施策だったと言って過言ではないでしょう。 そもそも、税金をつぎ込んだところで、政府の行う「少子化の反転」に効果があるのかは大いに疑問です。 「子ども予算を拡充すべきだ」という主張の論拠として、よく、「OECD 諸国と比較して、日本は子ども予算がGDPに比べて少ない」ことが挙げられています。 しかし、子育てに関する手厚い保障で先進地域にあるされてきた北欧の出生率は、実は、ここ10年で、大きく下がっているのです。スウェーデンの出生率は1.98(2010年)から1.66(2020年)、フィンランドで1.87(2010年)から1.37(2020年)、アイスランドが2.20(2010年)から1.72(2020年)と、いずれも大きく落ち込んでいます。 北欧諸国における出生率の急落は、「新福祉主義」国家へとひた走る日本がどのような運命を辿るのかを、物語っているかもしれません。 政府による手厚い保障をしたところで、少子化の流れに歯止めをかけることはできないでしょう。むしろ、手厚い保障が、税や社会保険料からなる国民負担を拡大させて若者の経済的不安を高め、少子化を「反転」どころか「加速」させるのではないでしょうか。 本来、少子化対策に向けては、国民負担を下げるという意味でも、社会保障の抜本改革を行うという観点は欠かせないはずです。(幸福実現党政務調査会ニューズレター「バラマキありきの対策では、少子化に歯止めはかからない」(https://info.hr-party.jp/2023/13280/)参照)。 ◆本当の意味で、子供のための政治を こども家庭庁に掲げられた、「こどもの最善の利益を第一に考える」などといった理念は理解できなくもないですが、同庁の実態としては、新たなバラマキの温床として使おうとする「大人」の思惑が見え隠れしています。 どのような形で財源を確保しようが、生き過ぎた福祉は高負担社会につながることに変わりありません。将来の納税者である子ども達に負担を強いる社会は、「こどもまんなか社会」とは到底言えません。 少子化対策だけではなく、いじめや児童虐待の対策についても、犯罪に当たる行為を厳格に処罰したり、正しい宗教・道徳的価値観を教育したりすれば十分対処可能です。 子供たちにとって必要な政策は、あえて新たな省庁を作らなくても実施できるのです。 (参考) ・大山典宏「『こども家庭庁』どこへ行く?このままでは看板倒れに(前編)」(Wedge ONLINE, 2023年1月2日付) ・小倉健一「『異次元の少子化対策』が逆に少子化を進める理由、フィンランドの失敗に学べ」(ダイヤモンドオンライン, 2023年2月7日付) ・木内登英「こども家庭庁の発足と先進国中ほぼ最下位の日本の子どもの精神的幸福度」(野村総合研究所, 2023年3月2日付) ・八代尚宏「『こども家庭庁』で少子化は止まるか? 行方を占う3つのポイント」(日経ビジネス, 2022年1月7日付) デジタル教科書が子供の思考力を奪う?GIGAスクール構想で教育が危ない【後編】 2021.04.18 https://youtu.be/FI22XvltFMM (4月6日収録) 幸福実現党党首 釈量子 前編では、「教育のデジタル化で危惧される3つ視点」の2つまで述べましたが、後編では3つ目の視点からお送り致します。 (3)デジタル教科書と学力 「教育のデジタル化」で危惧される3つ目の視点は、「デジタル教科書」です。 一人一台タブレットが実現すれば、教科書視力の低下もありますが、学習内容の理解度が下がる可能性が指摘されています。 15歳を対象とした国際機関による調査18年では、読解力テストの平均点について、日本は、本を「紙で読む方が多い」と答えた子供が「デジタルで読む方が多い」を大幅に上回っています。(朝日新聞記事)。 デジタルノートの導入も、プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者のデーターによると、パソコンに打ち込むより手書きでノートを取る学生の方が総じて成績が良いことが判明しています。 「手は第二の脳」と言ったのはカントですが「書く」というプロセスは、筆圧や紙との摩擦など感じ、手を動かすなど記憶する上で重要なのだろうと思います。 もっとも塾に通えない子供にとっては、ユーチューブ番組で理解を深めたり、英語ではネイティブの発音をマスターするのにいいという声もあります。 そういう子は中から上の子供が多く、家に帰って勉強しない子供は、「習熟」の面で、置き去りになる可能性もあります。 デジタル教科書は、紙の教科書のような無償給付の対象とはなっておらず、自治体や学校が費用を負担することになります。 民間の調査によれば2025年度のデジタル教科書市場は800億円と推計されていて、今後公的な支援が見込めると期待する向きもあります。 しかし、そうした皮算用の中で、今回の「GIGAスクール構想」はじめデジタル化が進んでしまえば、子供たちの記憶力や思考力を奪い、ひいては「亡国」の政策になる恐れがあると言わざるをえません。 特に、菅政権はデジタルを成長の起爆剤と考え、その方向で人材づくりを考えています。 さらに昨年12月には政府が、小中学生の学習履歴やテストの成績をマイナンバーに紐付けてオンラインで管理すると言い出して批判されました。 政権自体が、まるでロボットのようで、中国のAI全体主義に近づいているような怖さを感じます。 結局、この原因は、現在の教育行政が「唯物論」に基づいているからではないかと思わずにいられません。 特に、2001年文部省と科学技術庁が一つになって「文部科学省」ができてから、「科学によって証明されないものは学問ではない」と思われ始めている傾向が出てきました。 しかし、教育の本質は、「真理」の探究であり、人間として何が正しいことなのか、世界の仕組みや宇宙の法則などを探究していく、そして学問の一番奥にあるものはなにか。未知の奥にはこの大宇宙を創造した神仏の心があるわけです。 昨今の政治家や官僚を見ても、高学歴で優秀な人材が、嘘をつき、保身のために真実を改ざんし隠蔽するような事件が噴出しています。 いくら教育のデジタル化を進めても、自己中の人間ばかり輩出し、戦後共育そのものの失敗を象徴していると思われます。 ではどうするかということです。 ◆一国の興隆は、教育にあり 幸福実現党としては、戦後教育で欠落した「道徳教育・宗教教育」を充実させて、「善悪」の価値観や正義、自助努力の精神、愛や寛容の心などを教えることを重視すべきだと考えています。 仏教の釈尊、イエス・キリスト、孔子やソクラテスといった人類の教師たちの言葉を教え、「人間は等しく神の子である」という真理を学ぶことが、人権の尊厳の根拠を教えることにもなりますし、自己肯定感をはぐくむうえでも重要です。 「二宮尊徳」のような偉人を教えることも、志を立て、自助努力の精神で人生を切り開く力になるはずです。 朝読書や、図書館に司書を置いて充実させたりして、バランスを採る必要もあると思います。 子どもたちの読書時間は、平成18年から少しずつ増えていたのですが、平成28年度は学年が上がるにつれて減少し、今や高校二年生は「ほとんど読まない」と答えています。 一日の携帯スマホの利用時間の長い子供ほど一か月に読む冊数は少なくなる。1日3時間以上使用する子供の5割が「ほとんど読まない」と答えています。 これが何年後かにどういう結果を招くのか、気付いたころには手遅れでしょう。 一国の興隆は、教育の成功に始まり、一国の衰退は、教育の失敗に端を発するものです。 デジタル教科書が子供の思考力を奪う?GIGAスクール構想で教育が危ない【前編】 2021.04.17 https://youtu.be/FI22XvltFMM (4月6日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆「教育のデジタル化」を推進する菅政権 コロナ禍のなか、菅政権は「デジタル化」を推進し、人間の活動は対面からオンラインへと移行する既定路線が進んでいます。 そのような中、予想以上の大きな変化が起きているのが「学校教育」です。 教育のデジタル化は、子供たち、ひいては日本の将来に深刻な影響を及ぼしかねません。 文科省の「GIGAスクール構想」に基づき、小中学生に「一人一台」タブレット端末を配布がほぼ終了し、4月までに通信環境も、全国の小中高の97.9%にあたる3万1538校で整うとのことです。 さらに、「デジタル教科書」導入の動きも進んでいます。 2020年3月の時点では、公立学校全体の7.9%(公立小学校の7.7%、公立中学校の9.2%、公立高校の5.2%)にとどまっています。 「デジタル教科書有識者会議」では、次の小学校用教科書の改訂時期となる2024年の本格導入を求める中間発表をしています。 しかし、こうした教育現場の動きは子供の「学力」を真に上げるのかどうか、警鐘を鳴らす動きも増えてきました。 ◆「教育のデジタル化」で危惧される3つ視点 まず、教育のデジタル化で危惧されている点を3点お伝えします。 (1)脳への影響は? 代表的なものが「スマホ依存」でが、特に、医師や専門家からは、スマホは脳内の伝達物質で依存性と関係があるとされる「ドーパミン」が指摘されています。 たとえば、アルコールやギャンブル、タバコなどの刺激によって、ドーパミンが放出されストレスから逃避できます。 しかし、やがてドーパミンが薄れてくると、更なる刺激を求めてまた、アルコールやギャンブルなどに手を出してしまいます。 スマホやネットゲームもこれと同様のメカニズムから「スマホ依存は薬物依存と同じ」という認識が広がっています。 こうした危機感の中、昨年4月、日本で初めて香川県が「インターネット・ゲーム依存症対策条例」を施行しました。 子供のゲーム利用時間の制限を条例化し、18歳未満のゲーム使用は1日60分(休日は90分)まで。スマホ使用は、中学生以下は午後9時、それ以外は10時までを目安に、子供に守らせる努力義務を親に求めたわけです。 これには、憲法13条の「幸福追求権」を侵害しているとして高校生とその親が訴訟を起こすなど、賛否が分かれました。 施行から1年、香川県が調査結果を発表したところ、平日1時間以上ゲームを利用していると答えた小学生が全体の52%、中学生51%、高校生35%。「4時間以上」も小学生6%、中学生5%、高校生2%です。 また、平日午後9時以降の利用も、小学生は33%、中学生が78%。高校生の86%は同10時以降も利用していることがわかりました。 平日に3時間以上スマホなどを利用する「長時間利用」は17年の調査からそれぞれ2~11ポイント減少。県教委は「条例に一定の効果はあった」としているものの、「小中高生の4~6%に依存傾向がある」とも分析し対策を強化する方向です。 (2)スマホと学力低下 また、スマホが学力を低下させると警鐘を鳴らしている専門家もいます。 仙台市では「標準学力検査および仙台市生活・学習状況調査」を実施し、「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」を立ち上げています。 中心の東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏によると、1日一時間以上、スマホを使うと「平均国語2.3点、数学4.6点、理科3.8点、社会3.8点」下がり、特に数学は「1時間増えるごとに平均5点下がった」といいます。 また仙台市の5~18歳の224名を対象に3年間、脳発達をMRIで計測したところ、ネット習慣の多い子供は、前頭葉や頭頂葉、側頭葉、小脳などかなり広範な領域で大脳皮質の体積があまり増加せず、脳の奥に張り巡らされた神経線維も増加していなかったということで、「脳の発達にブレーキがかかってしまったことになる」と指摘しています。 (後編につづく) 第2波が来たらどうする――学校はコロナ感染源となりえるのか【後編】 2020.06.03 https://youtu.be/bxLfavj2o_o (5月22日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆一斉休校の検証 前編では、休校措置の影響やウイルスの特性のからみた休校措置の是非、海外の学校再開の事例を紹介しました。 では、一斉休校の措置は必要だったのかというところを検証してみたいと思います。 2月25日に、安倍首相は全国すべての小中学校、高校、そして特別支援学校を対象に3月2日から春休みまで臨時休校を要請し、2月29日の会見では何よりも子供たちの健康安全を第一に感染リスクに備えなければならないと語っています。 しかし、専門家会議はまだ一斉休校が感染防止にどれだけ効果があるかを検討しておらず、首相のトップダウンだったとされています。 政治の判断として忘れてはならないのは、中国からの渡航制限よりも1週間早く学校への休校措置を行ったことです。 習近平氏の来日延期の検討が報じられたのが3月1日でした。そして中国からの渡航制限が発表されたのが3月5日です。 これは、日本の子供達の教育よりも中国共産党政府との近しい付き合いを優先したことがうかがえます。 仮に中国人が日本に大量に渡航した春節期間に渡航制限をしていれば、そもそも休校措置は必要なかった可能性もあるわけです。 優先順位を間違え、ツケを子供に回したのではないかという疑念が生じます。 さらに言えば、今回の休校措置では既存の指標を無視して安倍首相が政治判断で休校要請を行ったものでした。 もともと今回の緊急事態宣言のもとになったのは、「新型インフルエンザ特措法」を改正したものです。 新型インフルエンザで示された休校の基準は「10%程度の欠席率」です。「学級閉鎖は1週間程度」でした。 ところが安倍首相はそうした基準を無視して一斉休校を要請したので、現場は大混乱になってしまったわけです。 もちろん、当時は今よりも武漢ウイルスがわかっていなかったので、あえてリスクを取られて決断をなされたのだとは思います。 しかし現在、万単位の死者にはなっておりません。数百人です。そして10代未満と10代の死者はゼロです。 新型インフルエンザが64万人の死者を想定して、休校措置の基準を10%としていたことを考えれば、全国の一斉休校はやりすぎだったのではないでしょうか。 ウイルスは、すでに世界中に広がっております。そして第二波第三波が襲ってくる可能性も当然あるわけです。ただ巣ごもりを続けてもウイルスはなくなりません。 感染リスクをゼロにすると学校に通うことができなくなります。インフルエンザに準じた対応で知恵と工夫を凝らして勉強できる環境を整えてあげるべきだと思います。 そして、最後に日本では感染症に対してさまざまな歴史が残っております。神社においては手水舎(てみずや)で手を洗う習慣があります。 東大寺の大仏や伊勢神宮は感染症、疫病に対してできたということも教えてあげることが大事ではないかと思います。 子供たちにとって不安な時ではありますが、日本人はかつて様々な工夫をし、そして信仰心を持ってこのウイルスに打ち勝ってきたということを知ることが大事なことではないでしょうか。 第2波が来たらどうする――学校はコロナ感染源となりえるのか【前編】 2020.06.02 https://youtu.be/bxLfavj2o_o (5月22日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆休校措置の深刻な影響 コロナに伴う学校の休校措置は、非常に深刻な影響をもたらしました。 「いきなり休校したため、ただ『問題集をすすめて』というアバウトな指示だけで3カ月がたった」(首都圏の学生) 「休校中は、ゲーム漬で子供の生活が昼夜逆転してしまった」(保護者) 「数学や英語のような積み重ね授業は3ヶ月もやらないとほとんど忘れてしまう」(教員) 他にも「学校が休校になり、夕方から通うはずの塾が朝から開いており本末転倒ではないか」という声もありました。 なによりも「友達の頑張りや教員の情熱から受ける刺激がない」という声もあり、学校という環境がどれほど貴重なものであるかが分かりました。 6月1日から学校が再開し、もし第2波の感染が来たらどうするのか。そのあたりをもう一度検証したいと思います。 ◆ウイルスの特性のからみる休校措置の是非 まず確認したいのが「コロナウイルスの特性」です。 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向をみると、10代未満、それから10代の感染者が非常に少ないことがわかります。(URLの動画のグラフを参照) この傾向は、感染の多い国でも変わりません。 米国疾病対策予防センター(CDC)が、新型コロナウイルス感染症の18歳未満の約2,500件を調べたところ、多くは軽度・無症状だったことが分かっています。 安倍首相の休校要請は、それを判断する直前に北海道で感染が広がり、子供同士の感染や子供が媒介者として大人にうつすということが心配されたからです。 厚生労働省クラスター対策班の押谷教授は次のように言っています。 「当初、特に北海道で流行が見えた時に『若年層クラスター』という言葉を使ってしまい、あたかも若い人たちだけがこのウイルスを広げていくような印象を与えてしまったのは、実は間違い。」 また、海外の事例ではフランスの9歳男児がコロナに感染して死亡したケースが1件ありました。ただ男児が感染した後に接触した170人にウイルスはうつっていなかったことが判明しています。 この時の調査員であるフランス保健局のコスタス・ダニス氏は次のように発言しています。 「子供たちには感染することが少ない。あるいは症状が軽いので病気を周りにうつす可能性は低くなる。学校が再開しても症例数が増えるとは考えていない。」 そして、フランスは5月11日から学校を再開しています。 新型コロナウイルスの特性としても子供の間はほとんど感染が見られないということがわかってきており、休校が社会的距離といった他の措置に比べて効果が低いのではないかという話もあります。 ◆海外の学校再開の事例 海外の事例ですが、スイスでは5月11日から学校が再開しました。陽性反応があった患者のうち20代未満の割合は約3%で死亡者はいません。 スイス連邦保険庁のダニエル・コッホ氏は、「子供たちはほぼ確実に、この流行の媒介者ではない。ウイルスによる影響を受けていない」と、休校解除に反対する親や教師が署名活動をされていた方々に、繰り返し事実を伝えていたということです。 デンマークは、ヨーロッパで小学校を再開した最初の国で高校や大学は5月中旬に再開しました。 まず登校時に体温をチェックし、学校では約2メートルの距離を保つようにしているということです。クラスも2つか3つに分け、それぞれ先生をつけています。 生徒は屋外で遊ぶことを推奨し、体育館も開放されているようです。そして頻繁な手洗いを推奨するポスターやビデオが政府から支給されています。 次にノルウェーでは、まず保育園と幼稚園から再開して続いて小学校を再開しました。こちらでも到着時に体温をチェックして衛生管理についての指導があります。 そして台湾は、なんと2月25日に学校を再開しています。 校舎に入る前に検温と消毒をしてマスクの着用をし、また各授業前に手洗い、靴の消毒もしているということです。 アメリカではモンタナ州では5月7日に、小さな学校が再開しております。 モンタナ州は自然が非常に豊かな州で10万人当たりの感染者の数は5月18日時点で、全州で最も少なく、地元の調査では学校再開を待ち望む親の声が多くありました。 (つづく) コロナ禍で深刻化か?虐待防止法改正でも高まる虐待リスク【後編】 2020.04.18 https://youtu.be/Vlnw304lx1E 幸福実現党党首 釈量子 ◆なぜ体罰がいけないのか? では、「なぜ体罰がいけないのか」ということですが、このあたりの智慧も社会にしっかりと共有する必要があると思います。 体罰を受けた子供は、問題行動を起こすことが多いことが指摘されています。 親子関係が悪化し、周りの人を傷つけて反社会的行動を起こしやすく、また、何かあったときに暴力で解決することを学んでしまいます。 そして自らが大人になって子供を持つと「虐待をする親」になるという、いわゆる「虐待の連鎖」が起きると言われる背景にあるものです。 医学的に言っても、子供時代に体罰を受けると、感情コントロールなどを司る、脳の「前頭前野」の容積が平均19.1%減ってしまうという研究結果も出ています。 繊細な子どもの傷ついた思いは、伏流水のように流れて、大人になってからも自己肯定感が低く、自尊心が持てないような子どもが増えていることも、私自身、多くの若者と接する仕事を通して、痛感させられました。 ◆法律だけでは限界がある児童虐待の抑制 「虐待は子供に対する犯罪」なんだということを、社会で共有することは、非常に大事です。 しかし、「してはいけない」と法律で定めたとしても、根本的な考え方が変わらない限り、増える一方の虐待はなくなりそうにありません。 特に、4月から体罰は禁止となりましたが、厚生労働省の指針を出して、事細かく家庭に介入していくのもやりすぎだという声も多くあります。 必要なのは、困った時悩んだ時に「どうするか?」という智慧を広く子供の時から教えていくことではないかと思います。 あるいは親にそうした智慧を共有する場が必要だと思います。 例えば、子育ての支援策として、行政を中心とした「育児相談」や「子育て広場」「子ども食堂」など、自治体でも取り組んでいますが、現代では大半の家庭は孤立状態にあると指摘する識者もいます。 ◆宗教教育が誇る「ゴールデン・ルール」 今こそ「子育ての智慧」や「夫婦関係の構築の仕方」など、「家庭の中の心の教え」をしっかりと学校教育の中から教えていく必要があるのではないかと考えます。 力を入れないといけないと言われている道徳や倫理といった科目もありますが、何よりも「宗教教育」を重視していくことが非常に大切なのではないかと思います。 厚生労働省の「体罰禁止の指針」の中には、「注意しても聞かないので頬をたたく」等が具体例として挙げられており、主に行動面に着目していますが、その奥にある思いの部分を正していかなければ、根本的な解決にはつながりません。 「自分が人からされたくないことを他人になすなかれ。」。「自分が人からしてほしいことを、人に対してしましょう」ということは、「黄金律」、つまり「ゴールデン・ルール」として、古今東西のあらゆる宗教の教えに共通するものです。 こういった宗教的な教えを学ぶことで、自分の頭で考えて、善悪を分けることができるようになります。こうした善悪を分かつ力が「智慧」です。 また、人の痛みを想像して、共感していける人間に成長していくためにも、こうした「ゴールデン・ルール」はなるべく早いうちに教えてあげたいものだと思います。 ◆仏教が誇る「アンガーマネジメント」の智慧 体罰を振るったり、暴力に及ぶ根底に「怒り」、いわゆる「アンガーマネジメント」と言われますが、仏教にとっては非常に強い分野でもあります。 例えば、「心の三毒」として「貪・瞋・痴(とん・じん・ち)」を教えていますが、この三つの毒を食らいながら生きることがいかに愚かなことなのかを教えています。 学校の勉強が出来ることが頭がいいとは言っておらず、そうした知性的な面も大事ではありますが、仏教でいう賢さとはこの「心の三毒」を見抜くことが出来る人のことを指すわけです。 その中でも「瞋(じん)」が、瞬間湯沸かし器のようにカーッと怒ることですが、怒りを統御できない人は愚かだと仏教では教えていますが、この怒りを禅定や怒りの原因を分析したりしながら、クールダウンしていくわけです。 そして、この怒りの炎を吹き消した「涅槃の境地」、つまり心が平らかであることの幸福を、長い間仏教徒は追い求めてきたわけです。 虐待された子どもの心の傷を癒すとともに、虐待してしまう側の親も、厳しい家庭環境で育ち、虐待を繰り返してしまい、サポートを必要とする人であることも確かです。 私たち一人ひとりは完璧な人間ではありません。 ですから、宗教教育をはじめ、自分の心を照らし、力強く生きていく教育にも光を当てていくべきですし、そうした宗教的なコミュニティの活用も、虐待防止の有効な方法ではないかと思います。 コロナ禍で深刻化か?虐待防止法改正でも高まる虐待リスク【前編】 2020.04.17 https://youtu.be/Vlnw304lx1E 幸福実現党党首 釈量子 ◆「休校」「外出自粛」で高まる虐待リスク 中国発のコロナの感染拡大を防ぐ対策として、学校が休校となり、外出を自粛したりと、家族が自宅で過ごす時間が増えています。 狭い家に閉じこもり、経済活動も止まり、先が見えない恐怖や不安などでストレスも高まっています。 それに伴い、家庭の中で虐待リスクが高まっていることが問題となっています。 虐待やDV防止の活動をしているNPO法人などが警鐘を鳴らしていますが、世界的に懸念が広がっています。 今回は、コロナ対策で深刻化する可能性が心配されている「児童虐待」対策を考えてみます。 ◆児童虐待の4つの形態 ~(1)身体的虐待~ まず、「虐待とは何か」といわれると、あまり知られていないのが実態です。 「児童虐待防止法」の第二条に、「児童虐待の定義」として、「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト(育児放棄)」「心理的虐待」の4種類が挙げられます。 例えば、身体的虐待について、条文には「児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること」とありますが、具体的には、殴る、蹴るといった外傷だけではありません。 赤ちゃんを激しく揺さぶることで起きるとされる「硬膜下血腫(こうまっかけっしゅ)」などの頭部外傷もあります。 乳幼児の頭を暴力的に揺さぶる事で現れる一連の症状を「乳幼児揺さぶられ症候群」と言いますが、これが生じると致死率15%、障害を残す可能性50%以上と非常に重篤なことになります。 同時に、たばこの火を押し付けるなども虐待です。 ◆児童虐待の4つの形態 ~(2)性的虐待~ つぎに「性的虐待」ですが、被害にあう年齢は、平均9歳ごろからと言われています。 性的虐待の加害者の35%は実父で、続いて養(継)父、再婚した母親のパートナーによるものが25%を占め、妊娠させられた事例もあります。 これは女児のケースで、男児の報告もあり、県によっては半数が男児だというデータもあります。 性的虐待をした親が、子供に対して「秘密を守れ」「言ったら殺す」というような支配的発言をしたというケースは約3分の1にのぼります。 児童相談所においても、この性的虐待には大変厳しく対処しているようです。 ◆児童虐待の4つの形態 ~(3)ネグレクト(育児放棄)~ 次に「ネグレクト」については、英語で「無視」という意味ですが、この分野においては主に「育児放棄」という意味合いで使われています。 具体的には、子どもを遺棄、置き去りにしたり、また子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない「愛情遮断」などが含まれます。 病気になっても必要な医療を受けさせなかったり、学校に行かせなかったり、 食事、衣服、住居などが極端に不適切でごみ屋敷のようになっていて、健康状態を損なうような環境だったりといった事例です。 この場合、親の側が、精神疾患を抱えていることも多くて、お母さんがうつ病でご飯を作ってもらえない、というような事例もあります。 また、祖父母や保護者の恋人などの同居人や自宅に出入りする第三者が、虐待などの行為を行っているにもかかわらず、それを放置するのもネグレクトに当たります。 ◆児童虐待の4つの形態 ~(4)心理的虐待~ そして、最後に「心理的虐待」については、「ことばによる脅かし」などが主な事例としてありますが、「心理的虐待」は、「身体的虐待」よりもダメージが大きいと言われます。 意外なところでは、「夫婦喧嘩を子供に見せる」「面前DV」は、心理的虐待にあたります。 夫婦喧嘩になって、警察を呼ぶようなケースも多いのですが、警察が駆けつけてそこに子供がいると、警察から親に「これは心理的虐待にあたりますので、児童相談所から注意がいきますよ」と言われます。 そして今は、警察がかかわった案件すべてを、児童相談所に通告するようになり、これによって虐待件数は増えています。 また、「子どもの心を傷つけることを繰り返し言う」とか、「他のきょうだいとは著しく差別的な扱い」をしたりすることも、心理的虐待にあたります。 ◆法制化される「しつけによる体罰禁止」 平成30年度の全国児童相談所における児童虐待相談対応件数は、総数として15万9850件で増加の一方ですが、内容別では、「心理的虐待」が8万8,389件と最も多く、次いで、身体的虐待が4万256件、ネグレクトが2万9,474件、性的虐待が1,731件となっています。 ちょうど2020年4月1日から「改正児童虐待防止法」が施行されており、家庭におけるしつけで体罰を行うことも禁止となりました。 体罰禁止が法制化された背景には、度重なる虐待死事件で逮捕された親が「しつけのため」と供述するケースが後を絶たないからです。 例えば、今年公判が開かれた栗原未亜(みあちゃんの虐待死事件がありましたが、父親の雄一郎被告が「しつけのために水をかけた」「しつけのために立たせた」と供述しています。 今後、しつけによる体罰が禁止されることで、行政が介入しやすくなるのは確かです。 (つづく) 【政策比較:教育】幸福実現党は、なぜ無償化に反対するのか 2019.07.10 【政策比較:教育】幸福実現党は、なぜ無償化に反対するのか HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆政策比較:教育無償化を巡る主張 まず、高校・大学教育の無償化に関する各党の公約を比較してみます。 与党と野党の違いは「所得制限」の有無です。 そして、野党のほうが、大学の学費減免の規模が大きいのが特徴です。 (以下、消費税増税賛成は「賛」、反対は「反」で表記) ・自民党「賛」:年収590万円未満の世帯で私立まで含めた実質無償化。低所得者向け奨学金拡充。 ・公明党「賛」:同上+大学の学費減免の促進、所得連動返還型奨学金の拡充。 ・日本維新の会「反」:教育完全無償化(幼児教育~大学) ・立憲民主党「反」:国公立校の学費半減。私学助成の拡大。給付型奨学金と無利子奨学金の拡充 ・国民民主党「反」:大学の学費減免拡大。所得連動返還型無利子奨学金の拡充。 ・共産党「反」:高校以下の完全無償化、大学学費半額、奨学金無利子化、給付型奨学金の拡充 (※自公政権は無償化の対象を現行の年収380万円未満から590万円にまで広げる案) 現在、教育無償化に反対しているのは、幸福実現党だけです。 幸福実現党は、所得水準に応じて、無利子や給付型なども含めた「奨学金制度の拡充」は掲げていますが、その枠を超えた「無償化」に反対しています。 ◆無償化反対から推進に転じた自民党 教育無償化で注意すべきなのは、現在、無償化を推進する安倍政権は、旧民主党政権の教育無償化や子供手当てなどを「バラマキ政策だ」と批判していたということです。 17年5月に、安倍首相が憲法改正案に無償化を入れることを提言したのは、「日本維新の会」を取り込むための戦略でした。 維新の会は改憲案(※)で教育無償化の拡充を掲げているので、そうすれば「改憲」への支持が取り付けられると見込んだわけです。 (※「法律に定める学校における教育」はすべて「公の性質」を有するとして幼児教育から高等教育までを無償化するとした〕 ◆「大学無償化」の現状 そして、本年5月10日に、衆院選で自公政権が公約した「無償化」が法案として成立しました。 この「無償化」というのは、消費税の増収分を財源に、政府が就学支援金を出し、保護者の負担を「ゼロ」にする仕組みです。 来年4月から、年収約270万円未満の世帯(住民税非課税世帯)は上限額まで教育費を支援され、年収270万~380万円未満の世帯は段階的に支援されることが見込まれています。 ★学費減免の上限額 (以下、入学金/授業料) ・国公立大:約28万円/約54万円 ・私立大:約26万円/約70万円 ★給付型奨学金の上限額 (以下、自宅通学/自宅外通学) ・国公立大:約35万円/約80万円 ・私大:約46万円/約91万円 旧民主党とは、所得制限などの違いがありますが、結局、「お金を配る」という行為である点は同じです。 ◆教育無償化で無視された論点 安倍首相は、2017年に「貧困の連鎖を断ち切り、家庭の経済事情にかかわらず、子どもたちが夢に向かって頑張ることができる日本」をつくるという名目で、無償化推進に転じました。 教育のチャンスの拡大が、その大義名分となっています。 また、教育費低減が少子化対策につながることや、高齢者よりも若年層へのほうが投資効果が高いことなどが挙げられています。 しかし、そこには抜けている論点があります。 その一つは、日本では、公立校が受験指導能力を失い、子供たちが塾通いを余儀なくされた結果、高い教育費が必要になっているということです。 「公立校の学力向上を抜きにして、お金を配ることで格差是正を図る」という考え方は、問題の根本解決をなおざりにしています。 そのため、無償化を訴える各党は、公教育関係者の票を失わないために、公立校の学力再建にはまともに論じていません。 ◆教育無償化が生む「三つの問題」 (1)無償化によって、教育の質が下がる 無償化すれば、当然、高校や大学の入学者は増えます。 そして、学校の収入が底上げされた結果、自由競争の中ではつぶれる学校も生き延びられるようになります。 これは、裏を返せば国の経費で入学者を増やし、学費を負担し、本来、市場から退出する学校をつぶさないため政策でもあるわけです。 また、学ぶ意欲がない学生が「タダだから」という理由で進学するという問題もあります。 その結果、学校の教育レベルが下がります。 (2)私学の自由の形骸化 また、教育無償化は生徒の奨学金負担という形で、間接的に私学を支援するので、政府の私学への介入が強まる危険性があります。 日本の教育行政は「金を出す時は口も出す」というやり方になっているからです。 私学は、自由な教育のためにありますが、政府のお金が流れるようになると、それが形骸化する危険性があります。 (3)財源負担が公平ではない その財源が消費税であるため、結果的に、教育無償化は、子供のいない世帯から集めたお金を子供のある世帯に移転させる政策になっています。 消費税を無償化の財源とした場合、中卒や高卒で働いている現役世代(経済統計では生涯年収が低いとされる)の人たちが払った消費税で、次世代の大学生の学費を賄うという矛盾も生まれます。 これで大卒の人が有利な会社に就職できるのならば、前世代と次世代の間での不公平が実現するわけです。 ◆教育無償化に反対。公立校の立て直しが必要 既成政党は、無償化がいかに有意義な政策かを語っていますが、その問題点は無視されています。 そのため、幸福実現党は、そのデメリットは無視できないと考え、無償化に反対しています。 所得水準に応じた、無利子や給付型などの「奨学金制度の拡充」は掲げていますが、それは「実質無償化」となるほどの規模ではなく、学費そのものの減免などはうたっていないわけです。 奨学金による低所得者層への支援は想定していますが、最重要課題は「公立校の立て直し」にあると考えています。 塾に行けなければ不利になるのなら、お金のある家庭が自動的に受験に有利になるからです。 本来は、公立校の立て直しこそが、貧富の差に関係なく、夢を追える社会をつくるために必要です。 幸福実現党は、世の流れにこびず、正論を貫き通してまいります。 【参照】 ・各党公約は、各党HPを参照 ・時事ドットコム「高等教育無償化法が成立=来年4月施行、低所得世帯向け」(2019/5/10) すべてを表示する 1 2 3 … 18 Next »