Home/ 経済 経済 消費増税1ヶ月、日本経済の行方は 2014.05.10 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆増税の影響は統計から見ても明らか 4月1日に消費増税が始まり、1ヶ月が過ぎました。新聞報道の論調はあまり消費に影響を与えたようには見えませんでしたが、統計の速報値を見る限り、以下のとおりすでに影響が出ている分野があります。 (1)新車の売り上げ台数の統計では、常に上位を保っていたトヨタの「プリウス」が10位圏内から脱落するなどトータルでも5.5%の減少。 (2)マクドナルドでは既存店の売り上げが前年同月比3.4%ダウン。 (3)百貨店大手3社の4月速報値では、伊勢丹7.9%、高島屋13.6%、Jフロント(大丸・松坂屋・パルコ)15.3%マイナス。 (4)内閣府が9日に発表した「景気先行き指数」は、2.2ポイントの低下。 幸福実現党は、消費増税の悪影響に対して、厳しく警鐘を鳴らして参りましたが、実際にまだ1ヶ月しか経過していないのですが、すでに景気悪化の兆しが見え始めています。 ◆企業はどのように増税を迎えたのか 企業においては、消費増税は経営にも大きな影響を与えるものとなりました。それは、少なくとも商品の価格にどのように反映させるかということで、その経営哲学が分かります。私自身、特に印象深かったのは「牛丼」チェーン各社での対応で、分類すると以下のような形となりました。 (1) 表示を税抜きとして、増税分だけ値上げ (2) 違うメニューで付加価値をつけて値上げ (3) 価格据え置き (4) 逆に価格値下げ 結果として、単純な価格競争からは脱却したように見えますが、この現象は政府・日銀、マスコミには「デフレ脱却」とは呼んでほしくはないものです。 4月の速報値を見る限り、牛丼チェーン各社とも売り上げ減少という結果となりましたが、その減少幅は、数パーセントで収まっており、それほど大きなものではありませんでした。 一方、深刻な経営危機がやってきているのは、中小企業です。 業界によっては、消費増税が導入されているにも関わらず、末端の小売価格が変わらず据え置きになっている業界もあります。そうした分野においては、増税分について、何らかの形で利益を削って負担しているのです。 大手企業では、ある程度耐えることができるはずですが、すでにこのデフレ下の激烈な競争の中で、厳しい経営を続けてきた中小企業の中で増税分の負担に耐えることができない会社がでてきてもおかしくはありません。 このように、それぞれの業界において、増税に対してどのような経営判断が下されるのかが問われ、大変重要な局面に差し掛かったことは間違いありません。 ◆昨年から「KY」の日銀黒田総裁 以上のような実態の中、相変わらず日銀は「KY」(空気が読めない)ぶりを発揮しています。 日銀黒田総裁は、4月30日に行なわれた政策決定会合後の記者会見において「景気は緩やかに回復」との認識を示し、さらなる金融緩和について、その実施が見送りになった事をあきらかにしました。 4月に消費増税が始まったことを受け、少しでも金融緩和の措置を講じることが期待されていましたが、残念な判断になりました。 黒田総裁は、昨年の8月に記者会見で、あたかも消費増税が必要であるかの印象を与える記者会見を行なってから、日本経済の実際を本当に理解しているのか、大いに疑問を抱かせる発言が続きました。 その結果、上昇のトレンドを続けてきた日経平均株価も、逆に下落に向かうこととなり、印象としてやや重くなってきたようでもあります。元々財務省の出身として知られている方であることが影響したのかもしれません。 今の時期に必要なのはさらなる金融緩和であったのではないでしょうか。 ◆さらなる増税を阻止し、経済成長を実現しよう! さて、これから、8%から10%というさらなる消費増税の判断が今年中にやってくることになります。 昨年の状況を見ると、消費増税の判断の時期が近づくと、マスコミ各社から「景気・雇用が回復」などと、およそ実態からかけ離れた報道が出始め、日銀なども同様の認識が続き、政府の統計もそれを裏付けるものが出てきて、安倍総理は「増税しても問題なし」という判断となる流れでありました。 今年についても、同様の流れとなる可能性が大いにあります。すなわち、日本経済が表面的に深刻な状態でなければ、増税ありきで話が進んでいく事が大いにありえます。 その証拠として、10日の新聞報道では「東証1部3月期決算、営業利益43%増」などと好景気が続いているかの報道がある一方、「国の借金残高過去最高を更新」と言って、あたかも増税しなければならないかのような印象を見せています。 ちなみに、財務省は「増税しなければ、財政破綻して国債が暴落する」と主張していますが、今回、過去最高を更新した「国の借金残高」の要因は「国債」が増加した事によるものです。 もし、「暴落する」という予測があるのであれば、このような事態は起きないはずなのですが、財務省はどのような言い訳をするのでしょうか。ぜひ伺いたいものです。 幸福実現党は、税収不足は、経済成長による税収増によってまかなうべきであることを再三訴えて参りました。そして、それは昨年度の国家の財政状況でも実際に起こった事で、これはまだまだ民間企業の力があることを意味しています。 増税する必要はなく、本来は、逆に規制緩和や減税など、自由な経済活動の余地を増やすことが政府の役割であるのです。 沖縄振興策にもう一段の未来志向を――現地調査レポート 2014.05.07 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆沖縄振興策の現状 「この地域を発展させる方法を考えてほしい」――。ゴールデン・ウィーク、観光客で賑わう沖縄を訪れて筆者が最も印象を受けたのが、現地で働く知人から言われたこの言葉でした。 安倍政権の成長戦略では国家戦略特区として「国際観光拠点」に指定され、昨年末には基地問題解決の見返りというかたちで毎年3000億円の補助金が7年間支給されることが決定しましたが、果たしてこれまで行われてきた「沖縄振興策」はどのように評価されるべきでしょうか。 例えば沖縄本島における経済流通の動脈であり、観光する上でも欠かせないのが沖縄自動車道です。その沖縄自動車道は混雑(需要)の割りに料金が安いことで知られ、首都高速道路等と比べると距離に対して2分の1から3分の1の安さです。 むろん高速道路の料金は安いに越したことはなく、経済流通を活発化させるという観点からは無料化こそ理想であることは言うまでもありません。 しかし地方行財政を一つの経営体とみて、高速道路を流通サービスにおける付加価値として捉えるならば、需要に応じた利益をしっかり上げることで、中央から支給される補助金の額を減らすことが可能だと考えることもできます。 また全国チェーンを展開するファースト・フード店等を見ても、本土と比べて価格帯が安く設定されているところがみられました。むろん物価が安いことは生活者の視点からは良いことですが、それは付加価値・利益がのせられていないこと、所得水準が低いことの裏表でもあります。 どれだけ巨額の補助金がばらまかれても、「高い付加価値を付けて利益を出す」という資本主義的な発想がなければ、県民所得が向上し、本当の意味で繁栄することはできません。 ◆経済問題と政治問題 さて、これまで自民党も民主党も沖縄振興策を続けてきましたが、沖縄の地域振興策は単なる経済問題を超えて政治的な意味を持ちます。 例えば、国会をデモ隊が取り囲み、革命前夜とも言われた安保闘争や学生運動も1960年代の高度経済成長後は下火となりました。この事実は泥沼化していく政治的信条における対立や闘争も、経済的繁栄が享受されることで解決されていくということを示しております。 経営学者として有名なP・F・ドラッカーも政治信条や宗教、イデオロギーの異なる移民が一つの国家を創り出したアメリカ合衆国を例に出し、このように述べております。 「経済はそれ自体の問題領域をはるかに超えた政治的な役割を果たす」「歴史上、アメリカは政治問題を経済化することによって亀裂を避けてきた。経済化した問題は、金の問題として妥協が可能である」「政治家たる者は政治的目的のための経済的な手段の使い方を知らなければならない」(参照『すでに起こった未来』) 沖縄の地域経済を真に繁栄させ、県民所得を向上させることこそ、基地問題や安保問題など、政治的・イデオロギー上の問題を解決し、日本を一つにしていく重要な手段であるということができます。 ◆沖縄振興策にもう一段の未来発想を! では沖縄経済を繁栄させるためにどのような施策が考えられるでしょうか。 沖縄は中国が虎視眈々と狙っていることからも地政学的に要衝の地であることがわかります。地政学的な要衝の地であるならば、本来、政策次第では経済的・商業的に要衝の地として、シンガポールや香港等と同じ程度に繁栄させていくこともできるはずです。 まず沖縄を経済特区として法人税をシンガポール並みの10%台に実験的に引き下げ、日本だけでなく、アジアや世界の企業や企業の保養地を誘致していくべきです。 所得税の減税や相続税の撤廃を実験的に進めると同時に、カジノ誘致や那覇港の整備、さらなるリゾート開発をアジアや世界からお金を集めて行い、中国や台湾、欧米の富豪にリゾートを所有させることができれば、中国政府も国際世論の反発を恐れて手を出せないでしょう。 自民党・民主党型の単なるバラマキ予算から脱却し、未来の繁栄につながる投資を行っていくことで、沖縄の経済問題、そして政治的な問題を解決していくべきです。 STAP論文撤回は、果たして妥当なのか? 2014.05.04 文/幸福実現党山口県本部 政務調査部長 石橋昇 過熱したSTAP報道も最近になって沈静化しつつあります。STAP論文を撤回すべきかという話もありますが、果たしてそれが妥当なのかを考えてみたいと思います。 ◆引用が、即捏造・盗作とは限らない 理系の大学で学ばれて、科学の論文等を読まれた方なら分かると思いますが、おおよそすべての論文で他者の文献や論文からの引用があります。 特に論文の序論の部分では、過去の研究事例や知見が多く引用されております。論文では、その内容が他者に引用されてこそ、価値があるものだとみなされることもあります。 引用を自分の見解や発見と偽れば捏造や盗作です。引用部分が自分の書いた文章の多くを占めない限り(私も法律家ではないので、どれだけの分量まで占めてもいいかは分かりませんが)、引用と比較しながら自分自身のオリジナルな見解や発見を述べているのであれば、正当な主張になると思われます。(もちろん、引用にあたっては著作権等の法令順守や社会ルールを守った正当な引用であることは言うまでもありません) 論文に限らず、文筆一般で引用は許されています。不正な引用はいけませんが、細かな引用の不手際をもって、その内容や結論全体を捏造と即断定することに、違和感がありました。 STAPの投稿論文には不適切な引用があったかも知れませんが、STAPの研究成果は彼女らの研究グループのオリジナルで発表したものです。小保方博士も、引用不備が発端で起こった騒動については、謝罪しております。 ◆多くの科学の理論や発見には、その検証に多く時間がかかっている いま正しいと受け入れられている科学の理論や発見の多くは、発表当初は仮説だったものが多くあります。実験で検証され、理論と現象が整合して初めて受け入れられます。 逆に、得られたデータや現象を突き詰めていくと、このような仮説を設けることによって上手に説明できるということもあります。このようにして見つかった発見や発明も数多くあります。 STAPの共著者である理化学研究所副センター長の笹井先生の記者会見では、下記のように述べています。 「この現象を存在しないと思っていたらならば、共著者に加わっていなかったかもしれない。STAPとして僕らが呼んでいる細胞は、今まで知られていない細胞であることは確か。有望であるかも知れないが、論文を撤回し検証すべきである」 ただ、投稿した論文を撤回することは、国際的にはその結論が間違いであったとみなされます。STAPの検証にはさらなる時間が必要であり、より高いレベルの検証を目指して、撤回はしないで、不適切箇所の修正や、追検証の論文や投稿を出してもいい話かとも感じました。 ◆研究者たちが静かに研究に没頭できる環境を STAPを巡る騒動について関係者の会見も済みました。騒動を収束させ、小保方博士や共同研究者の先生方に、落ち着いてしっかりと研究に没頭できる時間を戻してあげたいのです。 STAPは、生物学の常識を根底から打ち破る画期的な発見であるかもしれず、そのもたらす恩恵は計り知れません。この素晴らしい卵を育み、世界に誇る科学技術が、我が国から発信されることを強く祈念いたします。 ロシアとの関係強化に日本、北海道の未来あり 2014.05.03 文/幸福実現党・北海道本部副代表 森山よしのり ◆ウクライナ問題 現在、ウクライナ問題が勃発して以来、世界の世論とマスコミのほとんどは、「ロシア制裁」に動いています。 しかし、これをやってしまうと、世界が最悪の方向に流れていく危険が近づいていることに、世界の世論、マスコミの大半は気づいておりません。 クリミア併合などのウクライナ問題は、ロシア、EUなどの「経済的救済力競争」、つまり、経済的に厳しいウクライナをどこが救えるのかという問題ですので、これを、二十年以上も前の、東西の冷戦構造として捉えるのは、間違いです。 ここで、ロシアに、米欧から、厳しい経済制裁をかけ、そこに日本も参加することになれば、ロシアは中国と結びつかざるを得なくなります。 その中露に、イスラム諸国も入れば、新たな冷戦構造が確定してしまいます。米欧を中心とする西側先進諸国と中国・ロシア・イスラム諸国・北朝鮮(韓国)という図式です。 ◆対米追従一辺倒思考からの脱却 今、世界で覇権拡大侵略主義を掲げるのは、中国のみです。この中国が『進撃の巨人』『遅れてきた帝国主義』として、世界に悪をなすのを、押しとどめるために、外交的には、中国包囲網を構築することが急務です。 日米欧露に、インド、アジア・アフリカ諸国、オーストラリアなどが結びついて、中国封じ込めを行うことが、日本および世界の平和を実現する基本的な方向です。 であるのに、アメリカのオバマ大統領のやろうとしていることは、新たな冷戦構造に、世界を逆戻りさせ、アメリカの没落と中国の台頭を一層進めてしまうことになってしまうのです。日本は、どこも護るところがなく、中国の覇権下に入っていく流れができようとしているのです。 このままでは、日本の未来は暗澹たるものしかありませんので、もう、戦後70年続いた対米追従路線を捨て、新たな国際新秩序形成に向けて、日本独自の世界戦略を構築し、普通の主権国家としての立場を取り戻さなければなりません。 そして、国際社会における正論を、堂々と他国とディベートを展開しながら、世界各国に向けて、大きな影響力を持っていくような大国へと脱皮していくことが急務です。アジアの盟主としての日本の立場を高めていかなくてはなりません。 そのためにも、国として、自虐的歴史観を見直し、また、アメリカにも、日本に対する歴史観の誤りを糺させ、また、先の第二次世界大戦における、日本の戦いの正当性、逆にアメリカや欧州の人種差別、植民地主義をなくさせるという非常に先進的な人道主義が根底にあって、自国の防衛と、アジア諸国民の解放という正当な理念のもと、戦ったという事実を認めさせる必要があります。 (1)対米追従路線を捨て、戦後レジームからの脱却、新たな国際新秩序形成への国論の確立 (2)経済の成長 (3)防衛力の強化。 こうした施策が急務であります。そうでないと、現在、ウイグルで中国政府の抑圧に苦しんでいる方々の暴動が頻繁に起きておりますが、その姿は、明日の日本の姿であるという恐ろしい未来が待っています。 ◆日本とロシアの関係強化で新秩序形成を まずは、ロシアと平和条約など、関係を強化する方向に、日本の外交の舵を取っていくことが必要です。今の、ロシアとの関係強化は、日本にとって数多くの問題の解決、国益の増強をもたらします。 そして領土問題。ロシアは、侵略主義ではないのかという国際社会からの疑念を晴らすべく、それと反対のことをやって、この苦境を打開しようと考えています。ここで、極東シベリア開発への相応の投資と引き換えに、北方領土返還を引きだせる可能性があります。 北方領土返還を実現し、シベリア方面に対する投資、それに付随して、今の、EU並みに、日本とロシアの国境の往来を自由にして、日本の企業も自由に経済活動ができるようにしていくことです。 また本土からサハリンに橋をかけ、さらに日本へのトンネルを通じさせ、海道経由で、東京、モスクワ間をリニア新幹線で結ぶようにすれば、新たな巨大経済圏が生まれて参ります。 このロシアとの平和条約締結と、交通革命を進めれば、日本、そして、北海道の繁栄の道もまた拓けて参ります。 そして、ロシアとの関係強化は、中国との尖閣諸島・沖縄本島への侵略行為、また、韓国による竹島不法占拠の問題、北朝鮮による日本人拉致問題も解決していくことができる可能性があるのです。 中国・朝鮮半島に対して、北方方面から軍事的圧力がかかることは、日本にとって、こうした諸問題を解決していく大きな影響力を持ち来たらす可能性があります。 戦後70年続いた対米追従の一辺倒の思考では、日本の未来は見えて参りません。日本国民は、勇気を持って、世界に対して、どのように貢献をしていくのかということを、真正面から捉えなおす必要がある時期に来たのではないでしょうか。 もう、戦後を終わらせ、新しい思考でもって、国際社会の新秩序形成に向けて動きだしていく時であると考えます。 消費増税をあおる報道――不可解な前提に基づく財務省の試算 2014.05.01 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆財務省の「財政に関する長期推計」 次の記事を読んで、どのような印象を抱きますか? 財務大臣の諮問機関である、財政制度等審議会の分科会で財政再建に取り組まず、当面の目標である基礎的財政収支の黒字化が達成できなかった場合、2060年度の国の借金は、GDP比で約5.6倍の約1京1400兆円に膨らむとの試算が示されました(産経4/29)。 さまざまな感じ方があると思いますが、「大変な債務を日本政府は抱えているんだな」という漠然とした不安を抱かせるのではないでしょうか。不安を持たせて「政府の財政は大変だ。このままでは持たない、じゃあ消費増税は仕方がないのでは…」と誘導する、財務省のお得意のやり方です。 そこで、今回示されている「我が国の財政に関する長期推計」 http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia260428/08.pdf 上記で示されたシミュレーションの不可解なポイントを押さえて、消費増税を煽動する報道への免疫を高めておきましょう。 (1)現状:政府が掲げる財政健全化の目標 財政の健全化を示す指標として、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)という言葉があります。 これは、公共事業や社会保障など政策にかかる費用と、税収等の収入の差額のことです。この差額を、日本政府は2020年までに黒字化することを目指しています。 (2)高すぎる名目長期金利の想定 今回のシミュレーションの前提として、10年国債の金利が0.623%(4/30現在)であるにもかかわらず、名目長期金利は3.7%と高めに設定されています。 一方、日銀が2%インフレターゲットを掲げているのに、物価上昇率は1%と低めに設定されています。物価上昇率が低めに抑えられることで、名目経済成長率も低くなります(名目経済成長率=物価上昇率+実質経済成長率)。 財政の健全化に道筋を示す「ドーマー条件」という考え方によると、名目経済成長率に比べて名目金利が高くなれば、財政は悪化します。複利計算なので、今回のような50年程度の長期推計で計算すれば、前提条件を少し変えると大きく結果は変わります。 不自然に高い金利と不自然に低いインフレ率から考えると、嘉悦大学の高橋洋一教授も指摘するように、今回のシミュレーションで「財政危機」が演出されていることが読み取れます。(“答えありき”が疑われる財政の長期推計・「詠み人知らず」の報告書を出す財政審の実態 http://diamond.jp/articles/-/52341) 財政危機を示すために演出された統計をもとに、50年後に、国の借金1京円を超えるなど、負債額の大きさをセンセーショナルに宣伝して、不安感を煽動する報道が、今後も出てくると考えられますが、冷静に以下の3点を確認しましょう。 1)統計の前提となる金利水準は高すぎるのではないか。 2)インフレ率は妥当か。 3)実質経済成長率が低すぎるのではないか。 これらに引っかかる場合は、要注意です。さらにいえば、そもそも50年間も想定しているモデルが当てはまるのか?という疑問も持つべき視点といえます(ちなみに、EUの「Fiscal Sustainability Report2012」の試算期間は20年)。 ◆2004年のときは、100年安心だった年金プラン このような長期統計には、本当に注意が必要です。なぜなら、2004年のときには、100年安心プランと銘打って、年金改革がおこなわれました。 そのときのカラクリは何か。それは、あまりに楽観的な経済見通しです。 2009年には財政検証結果では、年金積立金の運用利回りを4.1%に設定していました(厚生労働白書H22年度版http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10-2/kousei-data/PDF/22011104.pdf)。 現在、約128兆円の年金積立金があり、その約55%が国内債券で運用されています。先ほども挙げたように、10年国債の利回りは0.62%程度であり4.1%の高い運用利回りを達成できるのでしょうか。 以前の記事(元気な経済あっての年金制度――消費増税は年金破たんへの道 http://hrp-newsfile.jp/2013/883/)でも指摘させていただいた通り、好調な経済でなければ、本当に安心な社会保障の実現はできないのです。 ◆詐欺まがいの議論はもうやめるべき 消費増税したいために経済成長率を低く見積もる。しかし、年金は安心と見せるために経済成長を前提とする。国民不在のアベコベ議論が続いています。これを詐欺という以外に、何と言えるでしょうか。 今後も増税をあたかも必要とさせる不安煽動記事が出てくると思われますが、想定条件に要注意です。財政再建するにも、社会保障を安心にするにも、消費増税している暇はないのです。ノーモア・タックス。答えは「いかに経済を元気にさせるか」に見出すべきです。 ―――――――― ◇お知らせ:You Tubeチャンネル「HS政経塾オピニオン」について HS政経塾生の研究をいかして、踏み込んだ視点でニュースの裏の裏を解説します。 ご覧いただければ幸いです。 HS政経塾オピニオンはこちらから →https://www.youtube.com/user/HSSeikeijukuOpinion 日本の発展にむけた行政改革を!――消費税増税にみる国民不在の行政 2014.04.28 文/HS政経塾4期生 数森 圭吾 ◆消費税増税における国民の反応 4/1より消費税率が8%に引き上げられた。景気回復とセットであるはずの今回の増税ですが、早くもそこにはズレが発生しています。国民は本当に消費税増税について納得しているのでしょうか。 世論調査においては以下のような結果が出ています。 ・景気回復を実感しているか?(産経新聞社・FNNの3月末合同世論調査) 「実感していない」 77.4% ・消費税増税が日本経済に与える影響について(同上) 「心配している」 67.3% 「心配していない」 29.8% ・2015年の消費税率10%への引き上げに対する賛否(同上) 「反対」 66.7% ・消費税増税後に節約を行っているか(4/5 TBS世論調査) 「節約している」 58% 「あまり節約していない」 29% 「全く節約していない」 12% 「わからない」 1% この結果を見る限り、国民にとっては景気回復を感じないなかで増税が先行して行われ、結果、買い控えが発生しているのが現実です。調査結果にもあるように、このような状況での更なる税率アップは国民が望むものではありません。 ◆14年7-9月期の経済成長率が重要 OECD(経済協力開発機構)による4半期経済見通しによれば、2014年の日本の実質GDP成長率は、1-3月期4.8%、4-6月期▲2.9%となっています。1-3月期の数値が高いのは駆け込み需要によるもので、4-6月期のマイナスはその反動によるものです。 この半年間のみを見ると駆け込み需要の影響がプラスに働くと予想されていますが、この後の7-9月期の成長率が重要です。安倍首相はこの7-9月の数値によって10%への税率アップを検討するとしています。 国民は4月以降の実績成長率を注視するとともに、8%への増税決定の際のように、「増税ありき」での公共事業による意図的なGDPの数字操作が行われないよう注意しなければなりません。 ◆省益を優先する財務省 財政再建における経済成長の必要性と増税のリスクは政府も行政も認識しているはずです。にもかかわらず強硬に増税路線を取る背景には何があるのでしょうか。 最も増税を望んでいるのは財務省です。それは増税が財務省の権力拡大に繋がるからです。財務省は各省庁が使用できる予算枠を決定する権限を持っています(歳出権)。その予算の大枠は財務省が算出する「税収の見積り」によって決定されます。 この際、「経済成長率は税率に関係なく一定」という前提で計算されるため、予算段階の税収見積りは税率を上げた分だけ増加することになるのです。つまり財務省にとっては税率を上げたほうが予算額も増え、その裁量権も大きなものとなります。 財務省の根本的な行動原理にはこの「歳出権の拡大」が存在し、そのための手段として最も有効なのが税率を上げることなのです。 ◆国税庁との関係にみる財務省の権力へのこだわり ここで財務省と国税庁の関係に注目してみましょう。国税庁は国家行政組織法三条に基づいた法律で財務省の外局として規定され、本来は独立性の高い政府機関です。 しかし実態は、過去一度も財務省出身者以外が国税庁長官の座に就任したことがないことからも、国税庁に対する財務省の影響力の大きさがうかがえます。 財務省が国税庁に対する影響力を保持したがる理由の一つに、国税庁が持つ「情報」があります。税金などの「金」にからむスキャンダルを恐れる政治家に対して、それに関係する情報が集まる国税庁は財務省にとって非常に重要な情報源なのです。 このように財務省は「カネ」と「情報」を握ることで各方面に大きな影響力を発揮することができるのです。このような「省益をいかに確保するか」、「いかに権力を維持するか」ということに固執する行政は、内部の都合にばかり目を向けた国民不在の行政となってしまっていると言わざるを得ません。 ◆悪しき構造を打破する「理念」と「覚悟」をもった政治家の必要性 過去、橋本内閣、小泉内閣などにおいても行政改革は取り組まれているが、未だ抜本的な改革には至っていません。いまこそ「行政の都合」ではなく「国民の幸福」を真正面から考えることのできる理念と覚悟をもった政治家が必要です。 国民不在の政府や行政のパワーゲームに陥ることなく、真剣に「国民の幸福を実現する!」という公益性のある理念をもった政治家が多く集まり、行政改革を進めていかなければならないのです。 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言《第8回》 2014.04.27 文/岐阜県本部副代表 河田成治 ◆零戦はベンチャーだった ベンチャーとは、創造とか革新を表す言葉です。 零戦が登場したのは、昭和15年(1940年)でした。その数年前まで、日本は自力で戦闘機を作る能力がなかったのにもかかわらず、わずかな間に世界最強の戦闘機を作り上げ得たことに、世界は驚嘆しました。 零戦の最も優れていた点は、卓越した格闘戦能力と長大な航続距離を両立したことで、これは外国の戦闘機と比べれば、信じられないことでした。 たとえば、ドイツの名戦闘機メッサ-シュミット109は、ヨーロッパの空の征服者と言われる程強かったのですが、この戦闘機を設計したメッサ-シュミット博士は、「格闘戦に優れた機体と、長い航続距離の機体は、設計上矛盾する」と述べ、当時は、両立は不可能だと思われていました。 航空機後進国の日本が、わずか数年で、この矛盾する戦闘機を作り上げたのは、まさしく革新であり、創意工夫とチャレンジング精神に富んだベンチャー精神そのものの発揮であったのです。 ◆「零戦」が戦争を変えた 航続距離が飛躍的に伸びたことが、日本軍の初期の破竹の連勝につながりました。この頃から、戦争の帰趨を決めるのは「制空権」であり、空を支配した側が戦争に勝利する時代になっていたからです。 航続距離が圧倒的に長いという利点は、制空権の範囲を一気に拡大し、戦争を根本から変える力を持っていました。 ◆現代に息づくベンチャー精神 近年でも小惑星イトカワへの探査機の成功などは、まさしくベンチャー精神でしたし、STAP細胞の研究は、医療の世界を根本から変える革新となるでしょう。 このような新しいチャレンジ精神は、まさしく“零戦精神”であり、日本にベンチャー精神が息づく証拠だと思います。 しかし、日本は零戦で勝ち、零戦で負けたといっても過言ではありません。零戦の悲劇は、次世代機ができなかったことにあります。 あまりに零戦が素晴らしかったために、次世代機の開発が遅れたのです。零戦も戦争中盤からは、まったく歯が立たなくなってしまいました。 ◆天才を認めない風土? 日本には、秀才を認めても、天才は認めない風土があるのでしょうか。 例えば、イトカワで有名になった日本ロケットの父、糸川博士は、ジェットエンジンの原理を世界に先駆けて発見した方でしたが、会社側から理解されず、強引に研究を中止させられて開発を断念しています。 もし、糸川博士がジェットエンジンを成功させ、新戦闘機ができていたら、戦争はまったく違った結果になったかもしれません。 糸川博士のジェットエンジン理論は卓越していて、戦後、ドイツのジェット戦闘機の資料を見た糸川博士は、「ドイツはそれほどでもない」と語ったと、小室直樹氏は記しています。(小室直樹著「日本の敗戦」) 零戦の開発を、現代のステルス戦闘機に置き換えるなら、当時のジェットエンジンの開発は、現代にUFOを開発しようとするぐらいの奇妙奇天烈さに見えたのかもしれません。 素晴らしい発明ができる日本人ですが、しかし余りに時代を飛び越す天才的発明には理解が及ばない日本人気質もあります。 STAP細胞を今までの常識ではあり得ないとし、小保方博士の業績を抹殺しようとする雰囲気は、iPS細胞という零戦で満足し、新機種開発を怠った、過去の失敗と重なって見えます。小保方さんの天才的業績は、絶対に護らなければなりません。 同様に、反重力装置の原理が、国内○○大学から発表されたとしても、学界はベンチャー精神で謙虚に受け止めるべきでしょう。 ベンチャー精神は現代にとって、極めて重要です。人類100億に向かう今、新エネルギーの開発、食料増産技術、環境技術など、様々な革新が必要です。 幸福実現党は、未来産業、新技術の育成に力を入れていきます。(次回につづく) ウクライナ問題と日米首脳会談TPP合意見送り――日本の新・世界戦略の提言! 2014.04.26 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆ウクライナ問題の本質はなにか 4月26日、日米欧とカナダの先進7カ国(G7)は、ロシアがウクライナでの暴力自制などを求めたジュネーブ合意を順守していないとして、ロシアに追加制裁を科すことで合意しました。 こうして世界の世論とマスコミのほとんどの論調は、「ロシア制裁」の方向に進んでいます。その理由は、ロシアのウクライナのクリミア併合が「東西冷戦の復活」につながるというものです。 しかし世界やマスコミが見落としている重要な視点が二つあることを指摘しておきましょう。 一つ目は、ウクライナ問題の本質は何かというと、「東西冷戦の復活」ではなく、あくまでも「ウクライナの経済がうまくいっていない」という点にあります。ウクライナの経済は、ソ連崩壊後から、独立してもほとんど成長していないのです。 そもそもウクライナのデモのきっかけは、親ロシア派のヤヌコービッチ政権がEU加盟を見送ったことにあります。またヤヌコービッチ政権はロシアでもないEUでもない第三の選択として、中国に経済支援を求めようとしていました。 EUは、経済がうまくいっていない諸国が多く、さらに経済が低迷しているウクライナが加盟すれば、EU自体がますます苦しくなります。 見方を変えれば、経済低迷で苦しむウクライナにロシアが手を差し伸べたと見ることもできます。それがプーチンのクリミア併合です。クリミアでは、ロシア軍を歓迎しG7が指摘するような暴力行使はありませんでした。 二つ目は、ウクライナ問題に中国が沈黙しているという点を見逃してはなりません。 中国にとって、ロシアのクリミア併合を批判すれば、チベット、ウイグル、南モンゴルへ行ってきた侵略行為に対する矛先が、今度は自分の国に向けられる可能性があります。ですから中国は沈黙しているのです。 つまり、今回のウクライナ問題の対応如何では、これまでの世界秩序を覆すような力学が働く可能性を秘めています。 ◆ロシアを仲間に入れた日本の国家戦略 もし、G7がロシアへの経済制裁を行うことになればどうなるでしょう。ロシアと中国が接近し手を組む可能性が生まれます。それがさらに中国の覇権主義を勢いづかせるきっかけにもなります。 また、ロシアへの経済制裁は、今後ミサイル発射やさらなる核実験をほのめかす北朝鮮への制裁を行う場合、ロシアの協力が得られなくなるでしょう。 ウクライナ問題を日本は「冷戦の復活」と捉えるのではなく、「ウクライナの経済問題」として捉えるべきです。ウクライナは、2008年のリーマン・ショックの際にも欧米の外資がさっさと引き揚げたことで経済苦境に立たされました。 したがって今回はそれとは逆に、日本はアメリカをも説得し、ロシアと共に、ウクライナの経済救済に協力すればよいのです。 これは、ロシアを日米と共に中国包囲網の枠組みに組み込み、また北朝鮮の暴走を牽制する大きな力にすることができます。こうした国家戦略を日本はつくり上げるべきなのです。 ◆TPPを国防から考える ひるがえって今回の日米首脳会談でオバマ大統領が、「尖閣諸島も含め、日本の施政下にある領土はすべて、日米安保条約第5条の適用対象となる」と共同記者会見で発言しました。これは一定の評価ができます。 しかし一方で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉では、安倍政権が、農産品重要5項目について関税撤廃の例外扱いを求めていることから、交渉は難航し日米合意は得られませんでした。 選挙目当てに高い関税で小規模兼業農家などを保護し続けても、今後は従事者の高齢化で日本の農業は先細りとなるばかりです。 TPP合意をするとすれば、たとえば、関税撤廃をするにしても段階的に引き下げ時間的な余裕を作り出します。そして必要な範囲で農家に補助金を出しながら、企業の農業進出を後押しして生産から加工・流通販売までを手掛ける第六次産業化を図れば、農業は輸出産業に成長します。 国防面から考えてもTPPは、中国包囲網を形成する重要なカギです。日本は、こうした大局的な立場からTPP交渉の決着を急ぐべきです。 なぜなら優柔不断なオバマ大統領が、国内事情を優先し大量の米国債を中国が保有していることなどを鑑みて、日本との関係を見限り、対中融和へと傾く可能性も否定できません。 以上、述べてきたように、日本は「ウクライナ問題」をチャンスと捉え、また「日米首脳会談」の教訓を冷静に分析して、新たな国家戦略の構築を急がねばなりません。そして中国・北朝鮮包囲網を築くための一手を早急に打つべきです。 「国家戦略特区」が、「トロイの木馬」にならないために 2014.04.25 文/福岡県本部副代表 よしとみ和枝 ◆「国家戦略特区」に6地域が決定 政府は、3月2日地域限定で、大胆に規制緩和を緩める「国家戦略特区」の第1弾に、福岡市の「創業のための雇用改革拠点特区」など6地域の指定を決めました。 福岡市以外では、東京圏を「国際ビジネス・イノベーション拠点特区」、関西圏を「医療イノベーション拠点・チャレンジ人材支援特区」、沖縄県を「国際観光拠点特区」、新潟市を「大規模農業の改革拠点特区」としました。 安倍政権は、経済が順調と言われながらも、実際は、平成25年度の貿易統計によると、貿易収支が、過去最高の13兆7488億円の赤字となっています。 さらに、消費税増税の反動など、本当に成長戦略は実現できるのかという不安があります。そこで、規制改革によって、経済の成長、雇用を創り、経済再生の起爆剤とすることを目的としています。 ◆福岡市の「創業のための雇用改革拠点特区」 福岡市は、特区に選ばれたことで、創業に関する事務手続きの迅速化、融資制度の充実、法人税減免などの様々な規制緩和などにより、10年間で50万人の雇用を創出すると計画しています。 これは、失業率3.6%、開業率4%と言われる福岡市民にとって朗報であります。しかし、両手を挙げて喜べない計画も盛り込まれています。 ・アジアの玄関口としての特徴を活かし、・外資系企業の進出を後押しする。 ・外国人の在留資格要件を緩和する。・医師法などが禁じる外国人医師や看護師による業務を認める。 ・出入国の特例措置などを追加するように国に提案する。・ビザ発給の特例措置。 ・観光クルーズ船内のカジノ営業の緩和。・・・など 「外国人に住みよい環境を提供する」ことに、重点を置かれているのです。 ◆在住中国人が増え続けている福岡の状況 現在福岡近郊の観光地は、連日中国からの観光客で一杯です。在住中国人の数も年々増え続け、大学や専門学校も中国からの留学生で一杯です。 土地やマンション、水源地の買収も市民が気づかないうちに、どんどん進んでいます。また、ホテルや会社のオーナーが中韓の資本家に変わり、日本人従業員が突然解雇され、中国人従業員に入れ変わったという話もあります。 コンビニやディスカウントショップの中国人店員も増え続けています。いつの間にか、在住中国人が増えていることに、驚きをかくせないのが、多くの市民の本音なのです。 ◆2012年に計画された「800人中国公務員研修の受け入れ」 そんな中、一昨年の2012年、福岡市の高島市長が、「中国公務員研修受け入れ」に関する覚書を中国国家外国専家局と交した事があります。 中国の公務員を年間800人、5年間に渡って研修生として受け入れ、海水の淡水化技術や埋立地の活用方法、下水処理技術などをおしみなく教えるというものでした。 ちなみに、海水の淡水化技術は、細菌兵器の製造に利用される技術であることから、国の安全保障貿易管理に係る規制リストに載っています。 そんなことも知らずに、たびたび招かれている中国側の口車に乗せられ、売国行為をしようとしていたのです。幸いにして、その頃、中国国内での日本企業打ち壊しなどの反日行動が激化したことにより、研修生受け入れは、中止となりました。 スパイ防止法のない日本で、戦後教育を受けた世代の日本人には、どこが親日で、どこが反日の国かも認識できないのです。 ◆「国家戦略特区」が「トロイの木馬」にならないために これからの日本は、移民政策を進めていかなければなりませんが、自国の国益と安全保障の面から考えても、唯物論反日国家ではなく、マレーシア、インドネシア、ネパール、カンボジア、フィリピンなどの、親日の国を中心に受け入れていくという前提を持って進めるべきです。 今回の「国家戦略特区」が、「トロイの木馬」にならないように、私達は、十分に関心を向けていかなければなりません。 家族の絆を取り戻す! 2014.04.23 文/HS政経塾 2期生 千葉県本部副代表 古川裕三 ◆一人暮らし世帯の増加 国立社会保障・人口問題研究所が公表した推計によると、2035年には一人暮らし世帯の割合が全世帯の3割を超える都道府県が,山形を除く46都道府県に広がるとのことです。(読売新聞一面4/12) 一人暮らしの高齢者の数をみてみると、10年は498万人でしたが、35年には762万人にまで増加し、53%の伸び率となります。今後、地方から出てきた団塊世代が、配偶者の死別などで独居高齢者となるパターンが、特に東京を中心とした都市部において急速に増えると予測されています。(日経電子版4/12) ◆「男女雇用機会均等法」がもたらしたもの 一人暮らしの増加の背景には、核家族化や晩婚・未婚化などの進展があげられます。さらにその原因には、1986年に施行された「男女雇用機会均等法」があります。 この法律には、女性の社会進出という大義とは別に、実は政府の意図として、「税収を増やす」という目的もありました。 要するに女性にもっと稼ぎ手になってもらい、所得税を納めてもらおうという意図です。 しかし、結果として何が起きたかというと、女性の活躍が進んだ半面、仕事と子育ての両立(ワークライフバランス)を支援する社会的整備の遅れもあり、晩婚・未婚化が進み、「少子化」と、さらには「離婚率の増加」を招くこととなりました。 つまり、税収を増やすつもりで女性の社会進出を推進した結果、少子化を招いたために、社会保障費が増加し、別の税金の使途が増えてしまったのです。(参考:『政治革命家・大川隆法』、『知的青春のすすめ』共に大川隆法著) ◆社会保障費の真実 このように、少子高齢化が進む日本では、毎年1兆円規模で増加する社会保障を持続可能なものとするために消費増税は不可避であるとして、今月より消費税が8%になりました。 しかし、実はこの1兆円ずつ増えるとされている社会保障費も嘘があり、本当は、毎年3~4兆円という規模で増加するのです。年間1兆円ペースで増えているのは、国の税負担分であり、地方の税負担は含まれていません。 そもそも、年金にしても医療にしても介護にしても、社会保障費は私たちが納める保険料によって大部分が賄われていますから、負担という意味では、税も保険料も変わらないわけです。 つまり、国、地方の税負担および保険料を総額すると毎年3~4兆円の伸びになるのです。 仮に、来年から消費税が10%に増税され、税収が13.5兆円ほど増えたとしても、毎年3~4兆円ペースで社会保障費が増えれば、むこう3,4年しか消費税の引き上げ効果は続かないというのが真実です。(参考:『社会保障亡国論』鈴木亘著) ◆家族の絆を取り戻す 社会保障費の増大は、決して「自然災害」的なものではありません。人為的な努力で乗り越えることができる問題です。生涯現役社会の構築に向けた景気・雇用の拡大や効果的な少子化対策や人口増加政策を講ずることができれば、1円も増税することなく、解決が可能なのです。 また、冒頭の独居高齢者の増加の問題についても、幸福実現党は三世代同居の推進により、解決を図っていきます。 その第一歩として、たとえばシンガポールでは、両親の住む家の近く2キロ圏内あるいは同じ町内に住むと補助金が出る制度がありますが、これを参考に、両親と同市内に住めば住民税を減税するという手法もありえるかもしれません。 いずれにせよ今の日本に必要なのは、「大きな政府」から「小さな政府」へと切り替え、個人の努力や家族の助け合いを推奨することです。 前回のHRPニュースファイル「人口増加に向けて世帯課税方式の導入を」(http://hrp-newsfile.jp/2014/1338/)でも論じたように、大家族支援の税制の導入や、昨日の湊氏のHRPニュースファイル「全ての子どもたちに未来と可能性を与えられる社会を」(http://hrp-newsfile.jp/2014/1410/)でも論じられていた「養子縁組」も積極的に推進することで、幸福実現党は「家族の絆」を取り戻します。 すべてを表示する « Previous 1 … 54 55 56 57 58 … 78 Next »