Home/ 経済 経済 あきらめてはいけない!日本の核燃料サイクルの実現 2015.12.08 幸福実現党神奈川県本部副代表/HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆もんじゅ勧告を受け、核燃料サイクルが正念場 高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が起きてから8日で20年となりました。 先月には原子力規制委員会から運営主体の変更を求める異例の勧告が出されており、文部科学省は今月中に検討会議を作るとしていますが、新たな運営主体を見つけることができなければ、もんじゅは廃炉を含めて抜本的な見直しを迫られることになります。 まさに今、もんじゅを中心とした日本の「核燃料サイクル事業」は正念場に立たされております。 ◆日本外交力で勝ち取った現在の日米原子力協定 「核燃料サイクル事業」とは、発電し原子炉から出た使用済み核燃料を再処理して、核燃料として再使用できるようにすることです。 これまで日本は、余剰プルトニウムをもたないということを前提に「核燃料サイクル事業」が進められてきました。しかし、再処理技術を用いて、核燃料サイクルを回すことができる権利があることは、世界では当たり前ではありません。 1988年、日本はアメリカに再三の交渉を行い、日米原子力協定で包括的な同意を勝ち取っております。 敗戦国として軍事力を封じ込められてきた日本に対して、核兵器の開発に転用される可能性が否定できない技術をアメリカが認めたことは重大な出来事でした。 ◆韓国が羨む日本の再処理技術 この日米新原子力協定は、1988年に発効し、30年の有効期間となっており、あと3年で2018年の満了にあたります。核保有国以外にこの再処理技術の許可が認められた国はこれまでありませんでした。 しかし、今年の4月、アメリカと韓国の原子力協定が42年ぶりに改定され、韓国によるウラン濃縮などを事実上禁止していたのを一部緩和し、研究開発による再処理技術を認めております。 韓国は改定に渡り4年以上アメリカに交渉をしておりました。韓国は世界5位の原発強国にもかかわらず、日本のような再処理の実用化は認められておりません。 今、日本が「核燃料サイクル事業」から撤退することは、再処理技術をもっていない国よりも優位な立場をみすみす手放すということとなります。 ◆核燃料サイクル実現が日本を守る力となる 日本では、廃炉に追い込まれる危機にある高速増殖炉ですが、急ピッチで高速増殖炉の開発を進めている国があります。ロシアと中国です。 ロシアでは2014年6月に実証炉が稼働し、初臨界に達し、2025年に商用炉化を目指しています。中国も2025年から実証炉を導入し2030年商用炉導入予定です。 こうした、自国の力を強めたい大国の原子力技術が高まる中において、「プルトニウムを再利用できる技術をもっている」という抑止力につながる技術を途絶えさせることは、安全保障の観点からみて、致命的な選択です。 「もんじゅ」をエネルギー計画から外すことは国家の根幹を揺るがすことになります。最先端科学の原子力開発はその国の科学技術レベルの象徴です。 資源が途絶える危険に瀕し、大東亜戦争に突入していった日本にとって、自国のエネルギーを自国で賄えるチャンスをもっているもんじゅを維持し、「核燃料サイクル事業」を確立していくことは国の発展と繁栄のために絶対に存続すべき道です。 マイナンバーは資産課税のカウントダウン――この国にもっと自由を! 2015.12.03 文責:兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆不景気の中で努力してきた日本人 日本経済は90年代のバブル崩壊以来低迷してきました。厚生労働省の調査では、世帯当たりの所得の平均は1994年の664.2万円をピークに2013年には528.9万円にまで落ち込み、減少し続けています。 このような厳しい経済状況の中で、日本人が勤勉に努力してきたことを表す数字があります。「個人金融資産」です。この個人金融資産はこの約20年間の間で大幅に増えているのです。 1990年に1,017兆円であった個人金融資産は、現在は1,700兆円を超えました。70%の増加です。これを人口で割ると、全ての国民が金融資産を1,000万円以上持っているということにもなります。 これは個人に限ったことではありません。企業の内部留保(企業の儲けの蓄え)においても同じことが言えます。 財務省の調べでは2014年度の内部留保は過去最高の354.3兆円で、1997年度の142兆円と比較しても約2.5倍に増えています。 ◆マイナンバーと資産課税 個人も企業もこの20年間で努力をして多くの蓄えを作ってきましたが、それは裏を返せば、政府による経済政策に期待が持てないための「自己防衛」とも言えます。 しかし、そこに忍び寄るのが来年1月から運用が開始されるマイナンバー制度とその先に待っている「資産課税」です。 資産課税は、これまでのように年々減少している所得や売り上げに税金をかけるのではなく、これからは増加している「資産」に課税をしていく方が税収増に繋がる、という考えの下で推進されようとしています。 マイナンバーは今後、銀行口座や証券などとの「紐付け」を行うことにより、国家が個人の金融資産を完全に把握するための仕組みとして使われる筋書きが描かれています。 国家が個人の金融資産を把握する理由は、どこに課税をすれば最も多くの税金が取れるかを図り、効率よく課税するためです。 つまり、マイナンバーと資産課税はセットなのです。その目指すところは「格差是正」という美名の下で行われる個人金融資産への大増税です。 ◆資産課税へのカウントダウン このようなシナリオは決して私の空想ではありません。 経済財政諮問会議で委員をしている東大大学院教授の伊藤元重氏は次のように発言しています。 「日本は所得に比べて金融資産が増えているので、将来の財政問題を考えると、所得ではなく資産に課税するという方法もある。」 子供の将来のために一生懸命貯めた「貯蓄」に課税される日が来るかもしれません。 今年の6月に政府が発表した「骨太の方針」。そこにある税制改革の基本方針の中にも大増税につながる考え方が隠れています。 そこには、格差是正という大義名分の下で「遺産の社会還元」という観点を踏まえた見直しを行うことが盛り込まれました。 聞こえのいい「遺産の社会還元」という言葉の正体は「死ぬ時には資産を全て国に還元しろ」という社会主義的な思想からくるものです。 企業においては、強制的な賃上げ要請のみならず、以前から共産党や自民党からも提案されてきた企業の「内部留保への課税」も現実味を帯びてきました。 11月25日に自民党の菅官房長官が記者会見で内部留保課税について議論する発言をしたのです。 その背景には、前年比8.1%で増加した内部留保を賃金に結び付け、何としても来夏の参議院議員選挙までにアベノミクスの成果を国民に見せたい政府の思惑があります。 努力の結晶である「資産」、将来のための原資である「資産」、本来いつ、何に使うか「自由」なはずの「資産」が今、脅かされています。資産課税は、これまでの努力と未来の努力を無にする愚策です。 ◆格差是正は正義か? 政治は善悪の戦いです。日本社会には、格差是正を「正義」とする考え方があります。 元国勢調査官の大村大次郎氏はマイナンバーを書いた著書の中で「個人金融資産がこれほど膨れ上がっているのに遺産のたった2%しか税金を取れていないということは、かなり問題」と述べています。 それについて「一番、お金があるところから、ほとんど税金を取れていない」からだと言い切っています。 また、それは相続財産を明確に把握することの難しさが要因だと述べ、相続税の役割を「貧富の差を固定化」させないことだと言い切っています。 まさに「格差是正」という錦の御旗の下に正義を遂行しているわけです。 仮に「格差是正」というものを理想とするならば、遺産の社会還元を含めた資産課税は、資産の100%を税金として国に納めなければ実現できません。 しかし、人間は国家に税金を払うために働いている機械ではありません。「そこにお金があるから」という理由だけで、国民から税金を取る権利が国にあるはずもありません。 また、資産を把握されることへの嫌悪感を持つ国民も多いはずです。 このように考えると、「格差是正」が普遍の正義ではないことに気付くのではないでしょうか。 ◆幸福実現党の立党精神は「自由の大国」 幸福実現党が立党した2009年は日本の政治の分岐点でした。 アメリカやEU諸国など世界が左傾化しようとする中で、日本でも民主党に政権交代が誕生しようとしており、「社会主義化」の方向へと日本の政治が舵を切ろうとしていたのです。 力及ばず民主党政権が誕生しバラマキ型の政治は定着し「国から何かをもらう」ことが当たり前になりつつあります。 「格差是正」という結果平等の逆にあるのが、幸福実現党の「自由」という政治思想です。チャンスの平等、努力の報われる社会の実現です。 私は、本来人間は「国から何かをもらう」ことでは真なる幸福を得ることはできないと考えます。 想像してみてください。誰かの、社会のお役に立っているとき、自分の幸福を誰かに分け与えているとき、自分の力で一歩でも前進しているとき、つまり各人が自分で掴み取っていく幸福こそが、人間の真の幸福だと思うのです。 幸福実現党の目指す「幸福」の「実現」とはそのような幸福です。だからこそ、国防、豊かな教育、安い税金、小さな政府で、国民の自由を守り、自らで魂を向上させる幸福を全ての国民に保障する政府が理想だと考えます。 ばらまけば国民が喜ぶと思っている政治家や官僚には「国民をバカにするな」と言わなければなりません。 それは人間の真なる幸福ではないからです。大切なことは、国民一人一人の想いであり、行動であり、投票です。 真の幸福の実現のために、今こそ「この国にもっと自由を」。 これで良いのか、日本のエネルギー政策 2015.12.02 文/幸福実現党・福井県本部副代表 白川 康之 ◆未来塾フォーラム 11月29日(日)福井県敦賀市にて「未来塾フォーラム」が開催されました。 会場は「福井県若狭湾エネルギー研究センター」で、この施設では原子力発電だけでなく、陽子線治療や、放射線による植物の品種改良、その他の工業分野への活用などを研究しています。 「未来塾」とは、「福井県と日本の未来の繁栄を考える人々の会」であり、月に一度会合を開いており、テーマは、政治、経済、宗教、科学、歴史、文化など様々です。 今回のテーマは、日本の繁栄にとって極めて重要なエネルギー問題でした。 原発の再稼働の遅れが日本の繁栄にとって深刻な影響を及ぼしているということから、なかでも日本最大の原発の集積地域である福井県の住民として、「何故原発が必要なのか」という勉強会でした。 ◆驚くべき電気料金の推移 この「未来塾フォーラム」で、山野直樹教授(福井大学附属国際原子力工学研究所・特命教授)をお招きし、「日本のエネルギー安全保障の行方」と題して講演がありました。 中でも驚くべきことは、「日本の電気料金の推移」(「エネルギー白書2015」)です。2010年度と2014年度を比較すると、電気料金は、家庭用で25.2%、産業用で38.2%も増えているのです。 これでは家庭はもちろんの事、産業界も製造コストが高騰し悲鳴を上げるのは当然です。 電気代高騰の理由は、原発を止めたことで石油などの化石燃料で火力発電を動かしているからです。2010年と2014年を比べると、3.4兆円の燃料費が増加しています。 これは国民一人あたりにすると、年間3万円を負担していることになります。(「エネルギー白書2015」) そうした現状をみると原発によるエネルギー供給がどれだけ重要かがわかります。原発を稼働させれば、当然、火力発電の稼働が抑えられ、電気代は下がります。 ◆原発におけるリスクの受容をどう考えるか ここで重要なことは、原発のリスクも含めて、それでも原発を選択する理由です。山野教授は、講演の中で原発の「リスク」についても解説されました。 人類が生み出した「人工物」には、当然「便益」と「危害」の両方が存在します。この両方を考えた上でリスクを受容するのか、拒否するのか、つまりリスクのトレード・オフ(相関)関係を考慮しなければなりません。 例えば「放射線」には「便益」として高機能材料、病気の早期発見、エネルギー保障、豊かな生活などがあり、「危害」としては、発癌などの健康に対する影響があります。 その上で、原発を選択するのは、原発技術に対する価値観の違いによるものでもあります。 ◆世界人口100億に向けたエネルギー対策 原発技術に対する価値観には、様々あるとは思いますが、世界の人口問題から考えてみましょう。 「世界のエネルギー消費量と人口の推移」(「エネルギー白書2015」)を見ると、エネルギー消費と人口は正の相関関係にあることが明確に分かります。 1950年から2000年の間に、人口は2.4倍、電気の発電容量は21倍になっています。これから世界人口は100億に向かいます。日本は国内のエネルギーだけのことだけ考えていればよい状況ではありません。 日本は世界のリーダーとしての世界のエネルギー政策を支える行動が求められるのは明らかです。 ◆科学技術に退歩はない 動物にない人間の特性は進歩、発展することです。技術というものは開発を続ける限り、進歩することはあっても退歩することはあり得ません。 原発を止めることは簡単ですが、一度止めてしまえば、その技術もなくなってしまいます。 「原発は危ないから停止」ではなく、新たな「科学技術の挑戦」によって問題を解決することもできます。 科学技術の発展によって問題を乗り越え、人類の幸福に貢献することが真の選ぶべき道ではないかでしょうか。 幸福実現党は、エネルギー問題について、原発の稼働を推進し、「科学技術の挑戦」によって解決していくことを訴えて参ります。 消費増税を許すな! 2015.11.27 文/幸福実現党石川県本部副代表 宮元智 ◆重税にあえぐ国民 昨年4月から消費税が5%から8%に上がり、昨年暮れの衆院選では、安倍政権は消費増税の先延ばしを掲げておりました。 「今はまだ十分景気回復していないから増税しないけど、2017年には景気に拘らず必ず上げるけど、いいね?」ということを問うた選挙でもあったのですが、自民党は圧勝し、安倍政権は一応、この増税路線は信任を得たと思っていることでしょう。 しかし、中曽根内閣は売上税の導入に失敗後退陣しています。 竹下内閣も消費税導入後退陣。他にも退陣の要因はあったとはいえ、増税は政治生命を賭けてやるぐらいの覚悟が必要なことです。 しかし、安倍内閣は前回の増税からわずか3年後に、2回目の消費税増税を決めています。こんなことがあっていいのでしょうか? すでに国民の間では重税感が半端ないものになっています。消費税だけではなく、国民に十分知らされないまま様々な税金や保険料が上がっています。 年金の支給額は減り、介護保険料は増えてしっかり天引きされています。 また、ガソリン代の半分近くは税金で、ガソリン税(揮発油税)と石油税(温暖化対策税)、しかも消費税がこれらの税金に対しても(つまり二重に!) 課せられています。 先年起業して小さな会社を営んでいる私の後輩は、 「いろんな税金がかかって、簡単に黒字が出せないようになっています。こんなに税金がかかるなら、フリーランスでやっていた方がマシだったと思うこともありますよ。」 「起業して少しでも世の中の役に立ちたいと思ったが、これでは稼ぐ気力も失せてきます。安倍さんも口では『景気回復最優先』と言いながら、本当はお金を稼ぐことが悪いことだと思ってるんじゃないですかね。」 と怒りをあらわにしています。 ◆消費税の誘惑 平成10年から25年の税収を見ると、合計では38.7兆円から51兆円の間を上下しています。 [財務省] 一般会計税収の推移 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.htm 税目別に見ると、消費税が9.8兆円~10.8兆円。法人税は6.4兆円~14.7兆円、所得税は12.9兆円~18.8兆円。 [財務省] 主要税目の税収(一般会計分)の推移 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm 法人税と所得税は、景気により激しく変動しますが、消費税は、景気に拘らず10兆円前後と安定しています。景気に拘らず、安定した税収が見込める。財務省が消費税を増税したいという誘惑にかられるのも非常にわかりやすいですね。 でも、景気が悪い時でも同じ額の税金を納めなければならない国民の身にもなってください。 消費税は、お金持ちも貧しい人も平等に、同じ税率がかかるものですから、貧しい人の負担が重くなります(これを「逆進性」と言います)。弱者救済の観点からも、消費税は上げるべきではなく、むしろ下げるべきだと思うのです。 「軽減税率」も議論されていますが、どれを対象にし、どれを除外するか、とても難しくなります。 生鮮食品と加工食品に分けようと言っても、麺類は良くて、加工前の粉ならば対象となるのかならないのか、冷凍麺は加工食品となってダメなのか、刺身の盛り合わせは良くて、フルーツの盛り合わせはどうなのか、それは果たして公平なものなのか否か、政治家や官僚が決められるものなのでしょうか。 消費者も、売る方も税務署も大変です。みんなが大変な軽減税率などやめて、みんな平等に、スパッと減税すれば「三方良し」です。 ◆幸福実現党は庶民の味方! 税金は元は人様のお金です。自分のお金ならばいざ知らず、人様のお金をとって他の人にバラまけばそれは「鼠小僧次郎吉」の世界です。 いかに「義賊」と言われようと、泥棒は泥棒です。富裕層からたくさん税金を収奪してバラまくという行為は、政府の名の下に、合法的に泥棒をしているのと同じことではないでしょうか。 幸福実現党は、お金をバラまくようなことはいたしません。減税と大胆な金融緩和と規制緩和、そして未来産業への積極的な投資によって、国富を増大させます。 国富が増え、世の中全体が豊かになって、成功し豊かになった人が、利他・愛他の精神をもって、弱い人や力のない人、若い人に手を差し伸べる。そして可能な人には、自助努力の精神を促して自立し成功していけるように導いていく。これが健全な「福祉」の未来像であると考えます。 まずは、庶民を苦しめる消費税を5%に戻しましょう。そうすれば、高齢者や貧困層の負担が軽くなります。そして、国民の可処分所得(自由に使えるお金)が増えます。 ◆「自由の大国」へ 安倍総理が消費増税を先送りしたのは、それまでにアベノミクスが奏功し、景気回復したら国民も税負担に耐えられるだろうと思ったからだと思いますが、残念ながら、うまくいっていません。 そもそも、消費税を8%に上げたのが失敗だったのです。日銀総裁が「異次元」と自賛するほどの金融緩和をやりながら、一方で増税しては、アクセルを踏みながらサイドブレーキを引くようなものです。 結局、このままではお金は市中に回らず、デフレ脱却も景気回復も夢に終わってしまいます。 安倍首相は、「最低賃金を千円にせよ」と社会主義国家並みに介入してきています。無理矢理賃上げを要求するより、あっさり消費税を減税した方が、個人消費は活発になります。 自民党内には「企業の内部留保に課税せよ」という共産党並みの案もあるとか。安全保障関連の政策は評価したいと思いますが、この政権には、少し「国家社会主義」を好む傾向性があるように思われます。 幸福実現党は、この国が国家社会主義化しないように、国民の自由を守り、「自由からの繁栄」を目指します。 「自由」を基盤とした経済政策の必要性 2015.11.24 文/HS政経塾5期生 水野善丈 ◆最低賃金決定に異例の政権介入 企業の最低賃金の水準は毎年夏に、労使の代表が厚生労働省の「中央最低賃人審議会」という場で議論され決められています。 この議論に歴代の政権は口を出すことはありませんでしたが、今夏、安倍首相は「賃金の大幅な引き上げ」を要求、そして、来年度賃金を3%増やすように企業に要請しました。 ◆企業の内部留保に課税? さらにこれだけに止まらず、最低賃金引上げの為に、企業の内部留保への課税も政府・与党内で議論が進められています。 内部留保とは、企業の最終利益から配当などにお金を回した後に残る企業が自由に使えるお金のことをいい、企業にとっては体力の部分といえます。 そこに対して、政府は内部留保に課税することによって、企業に投資や賃金を増やさせる狙いを考えているのです。 ◆目的は個人消費を上げるため? では、なぜ政府はここまでして市場に介入し賃金を強制的に上げようとするのでしょうか。 その狙いとして政府は、「最低賃金を上げることによって、落ち込み傾向にある個人消費を増やすこと」を考えています。 なぜなら、安倍首相は2020年までにGDPを600兆円に増やすという目標達成を目指しており、それを達成するためには、GDPの6割を占めている個人消費を増やしていかなければならないと考えているからです。 ◆矛盾した政策 しかし、ここまででちょっと考えてみれば、政府が矛盾した政策をしているのが分かると思います。 そもそも、安倍首相がGDPを増やしていく上で大切だと考えている個人消費が冷え込んでしまったのは、今年、消費税が5%から8%の増税されたことが原因であることが明らかです。 そして、それに懲りず、2017年には10%へのさらなる消費増税をしようとしています。 この状況をみるにつけても、自分たちで立てた目標(GDP600兆円)に対して、答えの道(個人消費の活性化)を知っているにも関わらず、そこに自ら障壁(消費税増税)を持ってきて通れなくし、国民に更なる負担を強いる政策をしていることが分かると思います。 ◆消費減税ですべて解決 つまり、安倍首相が本当にGDP600兆円を目指しているならば、国民生活を縛り経済成長を押しとどめている消費税増税を止めて、消費減税をすることが先決なのです。 その結果、政府が心配している「GDPの6割を占める個人消費」が回復し、真にGDPを増やすことができ、財政赤字も縮小することができるのです。 ◆徴税強化策は自由を奪う また一方で、政府が増税ありきの政策を実行する時は、必ず国民の自由が阻害される方向に行くということも知らなくてはいけません。 今年に入り消費増税だけでなく、所得税・相続税の最高税率の引き上げも行われ、徴税強化が進められています。 それに伴い、政府による市場介入が増え、マイナンバー制度の導入による国民の私有財産の監視強化も進められ、ますます国民の自由が狭まっているのです。 ◆「自由からの繁栄」が大切な理由 幸福実現党はこうした「自由」の観点からも、現在の政府が進めている「国民から税金をいかに取り、それを使うか」という「大きな政府」の体制に対して、警鐘を鳴らしています。 政府が勘違いしてはいけないのは、国家の主役が「政府」ではなく「国民」であるということです。 幸福実現党がなぜ「自由からの繁栄」を訴えているのかというと、「一人一人の国民を最大の価値・主役として、それぞれに与えられた天性や才能を発揮させる方向に向かってこそ国家が繁栄する」からなのです。 政府は、政府中心の徴税強化の考えを白紙に戻し、減税政策・規制緩和といった国民の自由を広げる方向で経済政策を考えるべきだと思います。 容積率規制の緩和で、安全で新しい都市づくりを【3】(全3回) 2015.11.21 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 前回の「提言(2) 容積率制限の緩和で経済活性化を図る」の続きからお送りいたします。 ◆提言(2) 容積率制限の緩和で経済活性化を図る(つづき) 私の前職での経験でも、老朽化したビルオーナーが、そのビルの建設当時の容積率規制の中で立てたビルが、現在の容積率規制では、その規制上限を上回っており、建て替えをした場合、現状の建物よりも容積率の低い、つまり小さなビルしか建設できないため、建て替えを断念し、既存のビルの改修をするしかないということがありました。 老朽化し、設備的に明らかに劣るため新しくビルを建て替えたくても、既存のビルより小さなものしか建てられないならば、それを断念せざるを得ない場合もあり、これは投資を抑制する効果を出してしまいます。 ですから、容積率の緩和を行い、そのような不利を生むのではなく、さらに現状よりも大きな建物を建てられるようにすることで投資意欲を高められれば、それも大きな経済効果を期待できるでしょう。 また、東京の人口が増え、その人たちが郊外に住むと、職住が離れた人たちが増加し、現状のようにある一定の時間に集中的に都心に向けて移動をすると、その人たちを輸送するための輸送力強化をはかる投資が必要にもなります。 それは必ずしも鉄道会社にとって望ましいものとは言えません。 容積率の緩和がなされて職住接近型の都市開発が進めば、その分都心の都市交通の発達が図られるでしょう。それは新しい投資になります。 したがって容積率の緩和で都心の都市開発をすすめ、職住接近型の都市開発を進めていくことは、経済効果は非常に高いことが期待できる政策であるといえるでしょう。 ただし、経済成長率が極めて低いことが東京の都市としての魅力を落とす大きな原因です。法人税の税率が世界的に見て非常に高いことがビジネス上の大きなリスクであるとも見られています。 したがって、法人税率を下げ、適切な経済政策のもとで経済成長を実現し、日本国内のみならず、世界から東京に進出したくなる環境づくりを行って、東京に「人」が集まる魅力を高めなければなりません。 ◆提言(3) 共同化と高層化のメリットを出す 土地は限りあるものですので、容積率を緩和していく中で職住接近型の都市にしていくということは、共同化を進めるということです。 つまり、これまでよりも高層の建物(マンション)にもっと多くの人が居住する方向で開発をすすめていく必要があります。 したがって、建物の共同化を図る場合にインセンティブを働かせていく必要があります。 例えば「敷地規模の大きさにより与える容積率を変えて、大きな敷地としてまとめて利用する程大きな容積率が与えられる仕組みが考えられる。」(『都市と土地の理論』p111)と、岩田規久男氏が指摘するように、何らかの条件で容積率緩和という形でインセンティブを働かせるなど、開発事業を行うメリットを出す政策が求められます。 2014(平成26)年2月28日に閣議決定された「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案」では耐震不足のマンションの建替え時に一定の条件のもとに容積率を緩和する特例をつける案になっています。(『都市のチカラ 超高層化が生活を豊かにする』森ビル都市再生プロジェクトチーム) これにより、建替え時の費用負担を減らそうとするものです。 つまり、緩和された容積率を用いてより大きなマンションを建設し、その部分を新たな入居者に売却することで、前から住む住人の建替え費用負担の軽減を図るわけです。 これが、もし容積率が緩和されないなどで、住民だけで建替え費用等を負担するのは非常に厳しいことになります。この法律案そのものには私はまだまだ課題も多いと思いますが、要は事業へのインセンティブを働かせるということが非常に重要になるということです。 これは共同住宅から共同住宅の例ですが、戸建て住宅地を再開発事業で共同住宅化する場合にも、同様に容積率緩和はメリットになります。 共同化する際に容積率を緩和し共同住宅を建設することで、新たな入居者に向けて緩和された容積を有効活用し大型の共同住宅等を建設し、事業にかかる費用に充てることで住民負担を軽減することができます。 民間事業者にとってもインセンティブが働き、再開発事業等の後押しをすることもできます。 いずれにせよ、容積率の緩和だけにとどまらず、様々な方法でインセンティブを働かせ、民間の活力を引き出す方向で政策を組み立てるべきです。(完) 容積率規制の緩和で、安全で新しい都市づくりを【2】(全3回) 2015.11.20 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 前回は、東京都心の容積率利用がまだまだ低く、発展の余地があること。また現在の容積率制限については何かの明確な理論的根拠に基づいたものではないことをお伝えしました。 今回からはいくつかの提言をさせていただきたいと思います。 ◆提言(1) 容積率制限の緩和で、床面積当たりのコストを下げる 職住接近型の都市を建設するには、都市部に多くの人が暮らすことを可能にする必要があります。 また、同時に経済の発展のためには、多くのビジネスチャンスがある都心部に進出したい企業が、もっと都心部に進出できるようにすることも必要です。 ここにおいて目指すべき方向は床面積当たりのコストを下げることです。 岩田規久男氏は、下記のように指摘しています。 「容積率の上昇はそれによって土地単位面積当たりの地代(土地所有者自身が使用する場合は、帰属地代)収入を増大させるから、地価を上昇させる可能性がある。」 「しかし、地価が容積率の上昇に比例して上昇しないかぎり、床面積当たりの地価は必ず低下する。…人々は一般的に、同じ床面積であれば共同住宅よりも一戸建て住宅を好み、共同住宅であれば容積率の低いそれをより好む傾向がある。」 「そうであれば、地価は容積率が上昇しても比例以下でしか上昇しないし、容積率の上昇とともに地価上昇率も低下する。」(『都市と土地の理論』p41) 床面積当たりのコストを下げるには、供給量を増やす政策が必要です。 現在よりも容積率を緩和し、都市計画を見直し、高容積率の建築物を建てられるようにすることで、土地当たりの床面積供給量増加させる方向に政策誘導をすべきです。 もちろん、そうすることによって、土地にさらに大きな建物が建てられるようになれば、土地の価値が上昇します。都心部で利用可能容積率が1%上昇すると地価が0.77%上昇するという説もあります。(『容積率緩和型都市計画論』p139) 土地の地価が上昇するということは土地に対する固定資産税の税収増加にもつながり行政側にもメリットはあります。 当然、整備されたインフラにあまりにも見合わない容積率制限や、整備予定のインフラがあまりにも設定された容積率に見合わないものであるならば問題でありますが、方向としてはインフラという都市の「器」を大きくし、高層都市に耐え得るものにしていくべきです。 ◆提言(2) 容積率制限の緩和で経済活性化を図る【1】 岩田規久男氏の指摘は続きます。 「企業が集積する都市の中心部は容積率を高くして高度に利用しなければならない。土地を高度利用すれば、企業はそれだけ相互に近接した場所に立地できるから、交通時間と交通コストを節約できるし、交通量も抑制できる。」 「また車道と歩道を含めた道路の幅もゆったりとれる…職住近接を図って通勤混雑を緩和するためにも、朝が早かったり、夜が遅かったりする職業に従事している人たちのためにも、都心部から30分以内といった地域にも住宅が必要であろう。」(『都市と土地の理論』p39) 以上のように、容積率の緩和を行い、土地を高度利用できれば、非常に経済的な効果が高いといえるでしょう。 企業間の距離を縮めることは、問題対応に要する時間も非常に節約できることになります。「移動」によって失われる時間を減らし、付加価値創造のための時間を生み出すことにもなります。 さらに、岩田氏が指摘するように、これからさらに土地の高度利用を図っていくとすると、それにともない都心の交通需要も自然と高まることになるわけですが、職住の接近をはかれば、郊外から都心への通勤ラッシュ時の交通需要増加の抑制にもつながります。 現状のような職住が離れた状況の下で失われる時間を減らし、ある意味において時間を創造します。職住の接近が図られれば人々の心身への負担も抑えられますし、職住接近型の都市建設にむけた新しい投資も進むでしょう。 (次回につづく) 容積率規制の緩和で、安全で新しい都市づくりを【1】(全3回) 2015.11.18 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 ◆東京都の容積率利用の実態 東京都心部の利用容積率は、山手線内で236%、東京都心4区332%(千代田区563%、中央区480%、港区302%、新宿区230%)になっています。 対して、ニューヨークのマンハッタン区の利用容積率は、ミッドタウン平均値1429%で、最高に至っては2621%も及びます。 高級住宅街であるアッパーイーストサイドでも平均631%の容積率を誇ります。(参考『都市のチカラ 超高層化が生活を豊かにする』森ビル都市再生プロジェクトチーム) たしかに、東京のデータは2002年のデータであり、その後様々な開発事業が都心でも進められておりますので、若干容積利用は増加しているものと思われますが、それでもまだまだニューヨークマンハッタンの容積利用率には遠く及びません。 容積率利用の小ささの裏には、このように、そもそも容積率規制が強いという現状があります。 ◆高さ制限から始まった容積規制 日本において容積率にあたるものは、1919年、建築基準法の前身の市街地建築物法と、都市計画法が制定されたところからはじまっています。 これは高さ制限と建蔽率制限の組み合わせで、建物容量のコントロールが行われるものでした。 住宅地域では高さ65尺(20メートル)、それ以外の地域では100尺(31メートル)の高さに規制され「当時の31メートルの絶対高さ制限のもとでも(容積率)1000%は実現できた」(『容積率緩和型都市計画論』p15)といわれていますが、この数値自体には明確な根拠はなかったようです。 また、その後時代を経て高さ制限と建蔽率制限による建物容量のコントロールから、正式に容積率を導入とする流れのなかでも、容積率の設定については意見が分かれていたようであり、とてもその数値に明確な根拠があるとは思えないものです。 容積率規制が容積地域性の形で導入されたのは1963年(昭和38年)で、東京区部環状6号線の内側に最初に指定されました。 そして1968年の都市計画法制定と1970年の建築基準法改正によって全国適用の一般制度となっています。 この背景に木造の低層建築物が主流だった日本において、建築技術の発達によって高層・超高層建築も可能になり、土地の高度利用を進めるという目的がありました。 ◆明確な根拠のない容積率規制 しかし、この容積指定については明確な根拠がなかったということを日端康雄氏は次のように指摘しています。 「容積地域制は比較的新しい制度であり、制度の成立経緯からして、容積規制はきわめて大雑把な規定で、建築敷地に対する建築延床面積の総量規制であると同時に用途地域別の総量規制でもある。」 「もとより規制の限界までの空中権、つまり未利用容積率は所有権の対象にならない。道路などの都市インフラストラクチャーに与える負荷も厳密な一義的対応の検証に耐えられるものではない。」 「たとえば、未完成の部分も含めて都市計画道路との均衡が考えられているとか、発生交通量が建物の用途や機能によって大きく異なるし、さらに経済社会の変化によってそれらの原単位も変わってくるが、そうしたことが容積限界を定める際の条件として、どのように配慮されているのかが明確にされていない」(『都市再生を目指して』p6) 大前研一氏も、そのことを、具体事例をあげて指摘しています。 「現状、容積率は都市計画で用途地域ごとに制限が定められているが、そもそもそれらの数値自体、根拠に乏しい。」 「たとえば、大阪・中之島の再開発で建て替えが予定されている朝日新聞の大阪本社ビル。同地域の容積率は1000%だが、朝日新聞相手で国土交通省が日和ったのか、特区(都市再生特別地区)認定という訳のわからない理屈で1600%という突出した容積率が認められた。横車を押したはずの朝日新聞も静観を決め込み、竣工すれば(2013年完成予定)、日本有数の容積率の建築物になるだろう。」 「もともと中之島は、堂島川と土佐堀川にはさまれた中州地帯であり、地盤が脆弱な埋め立て地。つまるところ、容積率の基準値に厳密な安全性や耐震性の確固たる裏づけがあるわけではなく、役人のさじ加減一つで決まるような恣意的な代物なのだ。そんな意味不明な縛りがあるから、日本の都市開発は一向に進展しない。」 容積率制限については「用途地域による容積率制限は、建築物の密度を規制することにより公共施設負荷を調整するとともに、空間占有度を制御することをつうじて、市街地環境を確保することを目的として導入された」(『容積率緩和型都市計画論』p179)と言われています。 しかし経済審議会の『経済審議会行動計画委員会・土地・住宅ワーキンググループ報告書』で「床面積とインフラ負荷が比例するという前提自体、証明がなされたことがないのみならず、直観的にもこれを信じることは困難である」ともいわれています。 そして「多くの都市では、容積率制限の導入に際して、すでに市街化が進展した区域における建築物の状況に応じて、いわば後追い的に容積率制限が指定され、必ずしも理論的な根拠にもとづいて指定されたわけではないという実態も」(『同』p188)あると指摘されています。 さらに、『容積率緩和型都市計画論』の著者、和泉洋人氏は「建築用途別の床面積当たりで、公共施設に対してどれだけの負荷を与えるか、どこまで公共施設を整備すればこれを処理できるのかについて、より詳細な実証研究が必要」(『同』p188)だということ、「容積率制限に関する基礎的研究」(「密度規制としての容積率制限の重要性、合理性の研究、建築物の床面積と発生交通量との関係に関する研究等の基礎的研究」)。 また「用途地域による容積率制限の指定に関する実証的研究」(「具体の都市計画における、用途地域による容積率制限の指定の考え方、根拠、妥当性等に関する実証的な研究」)という「膨大かつ実証的な研究が不可欠で、時間も費用もかかる」研究が「極めて低調」(『同』p184~185)だと指摘しています。 結局、現状では、「なぜその地域に、その用途地域と、その容積率制限が適用されているのかについては、理論的根拠がない」ということです。 そして、そもそも「どのような用途の建物が、容積辺りどれだけのインフラ負荷をかけるのかという理論的もあいまいである」ため、現状の容積率制限は根拠そのものが薄弱だと言わざるを得ないわけです。 (次回につづく) 余計なお世話の「軽減税率」 2015.11.12 文/幸福実現党・富山県本部副代表 吉田かをる ◆主婦からみた「軽減税率」の問題点 2017年4月に消費税を10%に増税するにあたり、自民公明両党は「軽減税率」をもうそろそろ決めないと実施に間に合わない・・・この頃、「軽減税率」がマスコミにたびたび取り上げられています。 家計を預かる主婦として、とても疑問に思うことがいくつかあります。 (1)軽減税率は「ぜいたく品に税金をかける」というものですが、その人にとってそれが「ぜいたく品」かどうかはその人の価値判断です。 政府国家や役人に決めてもらうことではありません。余計なお世話です。 (2)そもそも「10%に消費増税」が「もう決まった事」とされ、恩着せがましく「食料品には軽減税率!」などとサラリと言われても、これで「皆様の負担を軽くする」と言われても何か釈然としません。 今晩は家族の記念日、外食にするか、手作りにするかを税金がかかるかどうかで左右されるのは、余計なお世話で迷惑なことです。 (3)何が「軽減適用」でどれが「標準課税品」かで、今晩のおかずの材料を考えてしまう状況になることは、余計なお世話を超えて、自由の侵害です。 (4)どれを軽減の対象にするかで予想される税収が違うので線引きが難しい・・などという議論は国民のためではなく、政府国家とお役人の都合でしかありません。 国民にとっては「税金は安くて単純な方がいい」のです。 何かと忙しい主婦にとって、買い物でいろいろと考えなければならないことが増え、不便になることは明らかです。 「そのうちに慣れるからいいのだ」などと国民を「ゆでガエル」と同じレベルに貶めるのは、国民をないがしろにしているとしか思えません。 口先だけの「国民のため」は余計なお世話を通り越し、問題のすり替えです。 (5)そもそも、8%に消費増税して景気がよくなっていないのに増税するの?というのが国民の本心です。 「増税分は福祉に、社会保障にあてる」などと、老後を担保に取られているようで、思いきって本音を言えない状況です。 老後の備えは国に頼らなくても、自分で計画して十分に貯蓄することができれば、お仕着せの老後ではない「マイ老後」を過ごせるのに・・・税金で取られて自分の老後が自由にできないなんて、余計なお世話です。 (6)何を軽減対象にするかは、いろいろな「しがらみ」で業界議員、族議員の駆け引きや政党間の政治的思惑、お役所お役人の力関係などが関係し、すんなりと決まらないのは目に見えています。 こんなことを決めるのに議論して時間をかけるのは、国民の利益にはなりません。それよりも、景気を良くするためにはどうするかを真剣に議論してほしいです。 よく考えれば国民の幸せにならない議論を、いかにもそれらしく続け、恩を売られるのは、余計なお世話です。 (7)食料品でも税率が違うとその処理に膨大な労力がかかりますが、メリットは少ないのです。 間違いも出てくるでしょう。店先で「どうしてこれは税金が安くて、こっちは高いのか?」といったお客様からの問い合わせに、お店の人がかかりっきりになるのは明らかです。 お店や会社の余計な事務仕事、手間を増やすばかりです。本当に余計なお世話で、愚策といえます。 (8)処理のためにIT産業の仕事が増え景気が良くなるといわれますが、増税で国民が幸せになることはありません。 IT関連の人も食品の買い物をします。国民全員のお給料が増えるような景気回復の方が先です。 国民を豊かにしてから税金を「頂いて」欲しいものです。IT産業は政府国家のお世話にならなくても、料金などで自由競争を規制しない限りこれからも発展します。妙な肩入れは余計なお世話です。 (9)消費増税は所得の少ない層にとってダメージが大きい「逆進性」があります。エンゲル係数は所得の少ない層ほど高くなります。だからそれを軽減します!といっても、買い物は食品だけではありません。 マイナンバー制で所得の高い層からはしっかり税金を取りますから!というのでは、「税金地獄日本」という評判がたち、国家衰退のもととなります。 少子高齢化が緊急の課題なのに、出産もままなりません。自由な人生計画を奪い、国をつぶす増税は国民にとっては「大きな迷惑、余計なお世話」です。 まだまだ不信感や疑問は山ほどあります。 ◆減税で経済と財政の立て直しを! 軽減税率は外国でも取り入れられていますが、理屈の合わない冗談かと思うほどの区別があります。 財政赤字は、政府とお役人の国家運営の失敗です。国民はもうすでに十分な税金を払っています。今年度の国民負担率(租税負担+社会保険負担率)の見通しは43.4%です。収入の約半分を国家に納めているのです。 2009年から幸福実現党は訴えています。「財政赤字は、健全な経済成長と好景気での自然な税収増加で解決できる。そのキーワードは『減税』。消費税を5%に戻し、ゆくゆくはゼロ%に。所得税・法人税は10%のフラットタックスにする」ことです。 いまの日本の抱える問題の多くは「減税」で解決します。お役人は「減税と10%のフラットタックス」はとても怖いらしいのですが、あのロシアが「フラットタックス」導入で経済と財政を立て直した事例をよい手本としたいものです。 パート主婦を襲う「106万円の壁」 2015.11.11 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆新たな「106万円の壁」とは 平成28年10月から施行される「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」の法改正により、今まではパート主婦が年収130万円未満で働く場合、健康保険や年金保険料について夫の扶養から外れることはありませんでしたが、今後、これが106万円未満に引き下げられることになります。 俗に言う「130万円の壁」が「106万円の壁」となるわけです。(ちなみに、「103万円の壁」とは、パート年収が103万円を超えると所得税が課税されることを指します。) 実際、この法改正によるパート主婦が被る打撃は大きいものがあります。 短時間労働者の就労実態を分析すると、平均時給を1012円、一日の実労働時間数5.3時間、1か月の実労働日数を17日とする厚労省による平均データを用いて、年収を算出すると、109万円を超えることになります。 年収106万を超えてしまうので、新たに健康保険と厚生年金保険料が給与から天引きされ、手取りが減る家庭が激増します。 年間における保険料負担は、およそ10数万円〜20万円程度と、手取りも大幅に減少します。 今までも「130万円の壁」を超えないようセーブしてきた家庭は多いわけですが、厚労省によれば、来年からの法改正により保険料を新たに納めなければならないパート労働者は約25万人と試算しています。 平成28年11月から夫の扶養から外れてしまう対象は、(1)勤務期間が1年以上となり、(2)労働時間が週20時間以上となり、(3)月額賃金が8.8万円以上(残業代、通勤手当などは含まず)で、(4)従業員が501以上の企業に勤務している方です。 これを受け、企業側も今後、人材を絞り込んで雇用数を減らし、長時間労働を課すような転換を迫られることになります。 他方、人材を多く雇って、短時間労働で賃金を抑えるというやり方もあります。そして、勤続年数を1年未満にするよう雇用調整し、学生を活用するようになるでしょう。 ◆「女性が輝く社会」は本当か この法改正に向けて、労働政策研究・研修機構が12年7月〜8月にかけて実施した調査によると、社会保険の適用が拡大されたら、「働き方を変える」が62%、「適用されるよう、かつ手取り収入が増えるよう働く時間を増やす」が27%、逆に「適用にならないよう働く時間を減らす」が15%という結果でした。(日経新聞朝刊2014年2月5日付) 「女性が輝く社会」を掲げる安倍政権ですが、実態は、「女性にもっと保険料を納めさせる社会」へ、ということではないでしょうか。 所得税や住民税、そして社会保険料も含めて、夫と妻の収入を分けるのではなく、世帯の合計収入の額によって、納める税額や保険料を算出する方式を採用すべきではないでしょうか。 具体的には、以前のHRPニュース「人口増加に向けて世帯課税方式の導入を」でも紹介しましたが、世帯課税方式という、子供が増えるほど減税幅が大きくなる方式を採用するのも一案です。 ◆法律は自由を守るもの いずれにせよ、もうこれ以上、あの手この手で税金や保険料を上げる「お上中心主義」はやめていただきたいものです。 ハイエクが提唱したように、法律は本来、国民の自由の範囲を規定するものであって、自由を縛ることが目的ではありません。 法改正によって、女性の働き方が制限されてしまう、やはり何か違うのではないでしょうか。 あるいは、「女性活躍推進法」など、法律によって女性管理職の登用の比率を決めることも、民間企業の人事に政府が首を突っ込んでいることになりますから、やりすぎです。 ◆マイナンバー詐欺にはご注意を 最後になりますが、我が家にも「恐怖の」マイナンバーが届きました。国家が個人を管理し、監視する社会が近づいています。 「自由」の旗手として、国家社会主義への警鐘を鳴らす使命が、幸福実現党にはあります。 増税やマイナンバーなど、国民の自由を侵害するものについては正々堂々と「NO」の声を上げてまいります。 通知カードが届くタイミングを狙った詐欺も横行し始めておりますので、読者の皆様、くれぐれも、マイナンバー詐欺にはご注意ください。 すべてを表示する « Previous 1 … 37 38 39 40 41 … 78 Next »