Home/ 経済 経済 税収が増えた分は、国民にも「減税」で還元しよう! 2016.01.27 文/幸福実現党青年局部長 兼 HS政経塾部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆「国民への配当」という発想 「国民への配当」―。 生前、松下幸之助氏は、「無税国家論」の中で提唱されていました。 国の税収は2012年度から2016年度にかけて1.31倍になっており、早くも税収が増えた分を、歳出の増加に充てられないかという議論も出てきています。 しかし、ここで立ち止まって、この増えた税収を、国民に還元することを真剣に検討してはどうでしょうか? (参考):「税収増、はや歳出増?」(1/27朝日朝刊7面) ・2012年度の税収、43.9兆円 ・2016年度の税収、57.6兆円(当初予算案) ◆行政コストはバカにならない もちろん、還元する方法も大事です。 なぜなら、政策を実行するには行政コストがかかるからです。 例えば、軽減税率の導入を検討していますが、これには1兆円の財源が必要と議論していますが、本当は軽減税率の行政コストも計算されなければなりません。 ちなみに、個人情報の漏洩など、リスク満載のマイナンバー制度を推し進めていますが、導入コストは数千億円ともいわれています。 では、「安く」そして「平等」に還元する方法は何かというと「減税」なのです。 ◆財政赤字の解消に本気ですか? 日本政府の財政赤字の解消に向けての一里塚として、政策を実行するために必要な歳出(プライマリー・バランス)が、国の税収と均衡することを目標としています。 しかし、2020年度にプライマリー・バランス黒字化を掲げている割には、経済成長を前提としたシミュレーションでも、2020年は6.5兆円(GDP比1.1%)の赤字です。 26日に公表された平成18年度第1回目の経済財政諮問会議の議事録では、「子ども・子育て」関連の歳出増加の要因にも言及しており、2020年度のプライマリー・バランス黒字化は達成しなくても仕方ないという「言い訳」は、既に始まっています。 (参考)『平成 28 年第1回経済財政諮問会議 議事要旨』 http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0121/gijiyoushi.pdf ◆そもそもの前提を変えてみては? 社会保障費への対応と財政の健全化を旗印に、消費税の増税を進めているにもかかわらず、財政の健全化目標の達成には、あまり熱心ではないようです。 本来であれば、目標に届かないならば、日本経済を成長させるためにさらに何が必要なのか?あの手この手を尽くすべきです。 それでも足りないのであれば、そもそもの前提を疑ってみるべきではないでしょうか。 見直すべきは、経済成長を妨げている「消費税の増税」です。 ◆消費税の「減税」を現実的な選択肢に ぜひ、税収の増加分を国民に還元するという減税シミュレーションもしていただきたいと思います。 政府が支出を増やすことだけが福祉ではありません。 「減税こそ、最大の福祉」という新しい発想が必要です。 手取りが増えたら、「できること」も増えます。そして、中国をはじめ新興国の経済成長が鈍化する中、日本経済を支える内需の拡大が鍵です。 経済成長戦略の決め手を欠いている今、「日本経済活性化のための投資」として、国民の「手取り」を増やす「減税」政策を真剣に考えるべきではないでしょうか。 坂本龍馬に学ぶ財源確保策 2016.01.21 文/兵庫第12選挙区支部長 和田みな ◆政府の財政問題 年明けから国会では来年度の予算案をめぐって与野党の激しい論戦が行われています。その論戦の中でも「財源」の問題や「税金」の問題は大きなテーマとなっています。 また、22日に衆参両院本会議で予定されている安倍首相の施政方針演説でも、来年4月の消費税の増税や社会保障や復興再生のための財源確保や財政の健全化などの方針が盛り込まれる予定になっています。 そもそも、アベノミクスの「三本の矢」の成長戦略や「新三本の矢」の実現に向けてもその財源をどうするのかは大きな課題です。 ◆財源確保策は増税だけではない 財源を確保する策は増税だけではありません。 経済学者の丹羽春喜氏は「第三の財政財源」に「政府貨幣の発行権を必要な金額ぶんだけ日銀に売却すればよい」ということを提唱しています。(『経済倶楽部講演録』2014.8参照) 昭和62年に成立した「通貨の単位および貨幣の発行に関する法律」では「政府貨幣」の発行権が無限大に国にあることが定められています。 これを日銀法第4条、第43条、第38条に基づいて日銀に売却するだけで、政府の負債を増やすことなく、成長のために必要な潤沢な財源を確保することが可能になるというのです。 ◆「第三の財政財源」の着想は坂本龍馬 丹羽氏がこのような着想を得たのは、明治維新の時の維新政府の財源確保策を調べた時だといいます。 慶応3年の10月に、坂本龍馬の発案による「大政奉還」が成り、徳川幕府は瓦解しました。 しかし、その時には後の「明治政府」はまだ存在しておらず、新政府を立ち上げるにしても、何かをするにしても「財源をどうするのか」ということが大きな課題となりました。 「明治政府」のいきなりのピンチに、再び坂本龍馬が奔走します。 龍馬は当時、財政について最も学識のある福井藩士「三岡八郎」のちの「由利公正」を訪ねて福井へと向かいます。そこで二人が夜を徹して出した答えが「政府紙幣の発行」だったのです。 ◆龍馬から木戸孝允へと引き継がれた「政府紙幣発行案」 龍馬は由利公正と話した約2週間後に京都で暗殺されます。 しかし、この「政府紙幣の発行」という着想は、龍馬から桂小五郎(のちの木戸孝允)に伝わっており、桂はこの提言が「実行可能な唯一の方策」だとして賛成、実行のための準備を始めていたのでした。 このようにして慶応4年から13年間発行された政府紙幣が「太政官札」です。 明治政府がまともに税金を徴取できるようになるのは明治6年の地租改正からだと言われています。 もちろん大規模な国債の発行もまだできない時期に、長州や薩摩の寄付や豪商からの寄付だけでは、あの鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争を戦い抜き、近代国家の礎をつくるための数々の政策を実行することは不可能だったでしょう。 福井で坂本龍馬と由利公正が導き出した中央政府の特権としての「政府紙幣の発行」という知恵が、日本の近代化を支えたと言っても過言ではありません。 ◆日本の近代化を担った「政府紙幣」の発行 当時、明治政府の立ち上げから戊辰戦争の終結する明治2年の夏までのわずか1年半で明治政府が使った財政支出額は、5,130万両といわれています。幕末における江戸幕府の平均歳出額は700万両ですので、その額がいかに莫大であったかがわかります。 このうち4,800万両が政府紙幣でまかなわれ、これは政府の負債にもなっておらず、「悪性インフレ」現象も起こらなかったというのですから驚きです。 「太政官札」に関しては、全てが順調であったというわけではありません。 当時の国民が紙幣に慣れていなかったことや、まだ政府の信用が高くはなかったため、当初の流通は困難をきわめ、「太政官札100両を以て金貨40両に交換するほどであった」とも言われています。 しかし、様々な困難に直面しても、明治政府の人々は知恵と勇気でこれを切り抜け、大胆な近代化政策を行い、日本を欧米列強の植民地化から救ったのです。 ◆増税しか策のない政治家は退陣を 幸福実現党はこれまで一貫して、安易な増税には反対してきました。 それは「増税しても税収は増えない」ということが大きな理由ですが、私はそもそも「財源が足りないから増税するしかない」という政府や役人の考え方には反対です。 もし増税するのであれば、増税で得た財源をどのようにして経済を成長させることに使い、日本のGDPを上げていくかという明確な説明が必要だと思いますが、アベノミクス「新三本の矢」ではそれが見えないのが現状です。 わが党はこれまで、東日本大震災に際しては「速やかに復興債を」と訴え、デフレ脱却のために「大胆な金融緩和を」とアベノミクスより以前から訴えてきました。 そして、今も「消費増税ありき」で進んでいる財政再建、社会保障に対して、「まずは経済成長こそが大切」であると立党以来一貫して訴えています。 現在の日本で、龍馬が考えたような「政府紙幣」の発行は現実的ではないかもしれませんが、明確な成長戦略を立てて、そのための資金調達のために、丹羽氏の「政府貨幣」の発行権を日銀に売却する案や、メガバンク通貨の発行など考えられる手は打つべきです。 丹羽氏は私に「なぜ政府や国会議員は国民が本当に幸せになるための政策を打たないのか?」と質問されました。「経済学者はそのためであれば、様々な協力を惜しまないのに」と。 増税しか策のない政治家や役人にこれ以上任せていても新しい時代は開けません。国民は第二の龍馬の出現を待ち望んでいます。 ドイツ発の衝撃!!「インダストリー4.0」 2016.01.19 文/HS政経塾5期生 水野善丈 ◆時代を新たなステージへ引き上げる「IoT」 「IoT」、昨年より雑誌やTVなどでも聞くことが多くなったこの言葉。みなさんは意味をご存知でしょうか。 「IoT」とは、「Internet of Things」の略で、身の回りにあるモノにセンサーが組み込まれて直接インターネットにつながる世界のことを言います。 具体的な事例としては、昨年販売された、米テスラ・モーターズの電気自動車「Model S」があります。 この車の特徴は、車とインターネットが繋がっていることで、パソコンのようにソフトウェアアップデートされ、常にテスラが開発した最新の機能(急ブレーキや車線変更など)が車に更新されるようになりました。 「IoT」により車という「ハード」が「ソフト」化してしまったのです。 このようにあらゆるモノがインターネットと繋がることにより、私達のライフスタイルが変わるだけでなく、ビジネスの幅も一段と広がり、「IoT」を駆使した産業が現れてきています。 そして、この「IoT」を国家戦略として取り入れ「インダストリー4.0」プロジェクトを進めている国が「ものづくり大国」ドイツです。 ◆ドイツ発「第4次産業革命」 「インダストリー4.0」とはドイツ政府が産官学共同で進めている国家プロジェクトで、ドイツの主要産業である製造業の競争力強化を狙い2011年に構想を打ち出されました。 そして、その中核となっているのが「スマート工場=考える工場」です。生産に関わるあらゆるデータをネットワークにつなぐことで、工場が自律的に動き、顧客の要望に合わせ必要なものを必要なだけ生産するということが可能になりました。 また、その経済効果は、ドイツ国内だけで2025年までに11兆円、経済成長を1.7%押し上げるということまで言われています。 ドイツは、国家戦略としてこの「スマート工場」を世界で標準化させることを狙っており、中国の進めるAIIB(アジアインフラ投資銀行)にもいち早く参加し、世界の製造業を手中に収めようと躍進しています。 ◆世界で起きる「IoT」覇権争い また、それにアメリカも黙ってはいません。GE、IBM、インテル、シスコシステムズなどシリコンバレーのトップ企業180社が集まり、インダストリアル・インターネット・コンソーシアムを発足し、世界の産業全体を広くネットワークでつないでいこうとしています。 今後、世界中で、モノづくり企業や産業界がインターネットで繋がることが予想されます。 そして、デジタル通信やデータ分析などの手法をどこがいち早く国際標準化するかということが急がれ、「IoT」の世界では、各国による激しい覇権争いが熾烈化していくでしょう。 ◆ライフスタイルの変化 こうした「IoT」化の流れの中で私たちの社会環境や働き方も一段と変化してきます。 たとえば、ドイツの「スマート工場」では、多品種少数生産、究極にはそれぞれの消費者の好みにあった“オーダーメイドビジネス”が実現されるようになります。 また、仕事現場では、「IoT」化が進みセンサーが吸い上げた膨大なデータにより、故障に繋がる異常を発見し、自動ですべて改善されるようになります。 また、現代社会問題でもある少子高齢化により先進国でも働き手が不足していく中で、「IoT」を駆使したロボットや人工知能など普及により、労働負担も削減され熟練工の定年も延ばせるようになることも期待されます。 ◆技術の進歩と人間の係わり しかし、一方で「IoT」化が進み「人の仕事がなくなるのでは?」という声もあります。 これには「インダストリー4.0」を進めるドイツのメルケル首相が「人の仕事は、なくならない。より創造的な仕事に従事するようになる。求められる仕事も変化していく。社会が新しい仕事をつくっていく必要がある。」と言っています。 これに関しては私もそう思います。「IoT」を「目的」ではなく「手段」として使い、より新しい付加価値・仕事を作り上げていくことができれば更なる発展へと向かえるものだと考えます。 ◆求められる「ジョブクリエーション」 いくら技術革新が進んだとしても、人間の判断は必ず求められます。 P・F・ドラッカーが著書『断絶の時代』で「知識社会においては最も重要な問題が、知識に関わる意思決定である。」と言っています。 「IoT」化により集められたデータや情報が集約されたとしても、それを次なる付加価値へ繋げていくのは、人間の意思決定である点は何も変わらないのです。 つまり、こうした技術革新が進めば進むほど、人間にはより創造的なことが求められ、新しい仕事をつくっていくこと「ジョブクリエーション」が重要になってくるのです。 ◆「ジョブクリエーション」を促進する経済政策 しかし、そんな中で後れを取っているのが日本の現状でもあります。 日本は、高度経済成長以降、急速に産業が発展し、世界にも引けを取らない技術力もあります。その一方で、90年代より長年続いたデフレ不況により設備投資が抑制され、設備の老朽化が著しくなっています。 特にソフトウェアの後進を怠った工場が多く、古いシステムがそのまま稼働している例も少なくありません。(平成25年度経済財政白書「設備年齢の国際比較」参照) こうした現状を打破するためにも、デフレ脱却からの経済成長を目指さなければいけません。現在、安倍政権下で「消費税増税」がなされようとしています。 しかし、そうではなく「減税政策」により民間の活力を取戻し、設備投資ができる下地を作ることが今の政府には求められると思います。そうしてこそ、これからの日本の未来産業を構築していくスタートが切れるのではないでしょうか。 ◆ドイツのリーダーシップに習う「未来産業促進」 またドイツでは、旧東ドイツ出身の物理学者であったメルケル首相ならではのリーダーシップが取られ「インダストリー4.0」プロジェクトが政府主導で行われていますが、政治家がやはり国に対して未来ビジョンを指し示していくことも重要な役割です。 日本も世界に突出した未来産業を構築すべく、民間では進めることが困難なリニアモーターカーや航空・宇宙産業などに政府がリーダーシップをとり推し進めていくことも必要だと考えます。 やはり未来は志すところから拓かれていくのです。 参考文献 ・「正義の法」大川隆法 ・「断絶の時代」P・F・ドラッカー ・週刊ダイヤモンド「いまさら聞けないIoTの全貌」 ・「決定版 インダストリー4.0」 尾木蔵人 ・平成25年度経済財政白書 一億総活躍社会――「全員幸福社会」を目指せ! 2016.01.15 文/幸福実現党・奈良県副代表 田中たかこ ◆一億総活躍社会とは? これは、安倍政権が昨年秋に打ち出した経済政策の目標です。50年後も人口一億人を維持し、若者や高齢者など国民それぞれが生きがいを持って活躍できる社会の姿です。 ◆新三本の矢が具体策 安部首相が掲げる「新三本の矢」は、第一の矢が、2020年頃に「国内総生産(GDP)600兆円」で、最低賃金1000円にすること。 第二の矢が、「希望出生率1・8」を実現。保育受け皿を13~17年度に50万人増に。企業内保育所など幅広い保育の受け皿整備すること。 第三の矢が「介護離職率ゼロ」。特養など介護の受け皿50万人増で174万人分に。介護休業を取りやすくすること。介護人材の確保と育成です。(出所:内閣官房資料より) 一人一人が個性と多様性を尊重され、家庭・地域・職場で希望がかない、能力を発揮でき、生きがいを感じることができる社会をつくる。一人一人の希望を阻む制約を取り除き、活躍できる環境を整備する。とあります。(日本経済新聞 より) ◆旧三本の矢と新三本の矢の対比 ちなみに、2012年の「旧三本の矢」は、第一の矢が「大胆な金融緩和」、第二の矢が「機動的な財政政策」、第三の矢が「民間投資を喚起する成長戦略」でした。 新三本の矢の中で、保育の待機児童ゼロや、介護離職ゼロのための施設整備など具体策として挙げて、税金を投入して実現しようとしています。 ただ、待機児童ゼロも介護施設整備も、「旧3本の矢」の第3の矢によって実現できるものです。「旧第三の矢」は「成長戦略」で、特に規制緩和して新規商品開発やサービス創造でした。 つまり、待機児童ゼロをなくすには、民間企業やNPOなどの新規参入をもっと積極的に認可すれば達成できたことです。 介護施設やサービスが不足している原因は、政府が民間企業やNPOの参入を厳しく制限しているからです。保育も介護の待機問題も規制改革で規制緩和し新規参入を積極的に認めることで、この問題は解決できるのです。 ◆旧第三の矢の失敗と今後の方向性 残念ながら、安倍首相は第3の矢の「成長戦略」は決して成功したとはいえません。規制緩和ではなく税金投入で社会保障を充実させようとする方向があったからです。 そして、安倍政権には「お金持ちから高い税金を取って、貧しい人たちに分配せよ」という社会主義的な風潮があります。その風潮に負けて誕生したのがマイナンバー制です。 ◆GDP600兆円は実現するのか 25年間停滞し続けている「経済政策」の誤りをもう一回点検し、原因を明らかにし、解決策出す必要があります。 国民を貧しくした責任を謙虚に認め、政策ミスの説明を果たすところから、次なる発展へと向かいます。消費増税ではなく減税による経済活性化と、新しいジョブクリエーションが解決策だと思います。 この実現には、根本的な問題解決の具体案がなく、小細工をしてお金を工面する政策だけでは実現不可能です。 ◆GDPを押し上げる本物の「三本の矢」 GDPを押し上げる本物の「三本の矢」として下記の3つを考えてみました。 「歴史問題を克服し、大国の責任を果たす」 「資本主義の精神を取り戻し、政府が国民の勤勉さと財産を守る」 「創造的な企業家を育て、未来産業を創る」 「歴史問題を克服し、大国の責任を果たす」は、経済に関係ないと思うかもしれません。日本が今一度、真の経済成長を果たし大国としての使命を担うには、日本の歴史に自信を持つ必要があります。 日本の誇りを取り戻すことによって、経済力の底力も出てくるからです。 そして自国の幸福のみならず、世界の平和と繁栄の責任を持ち、経済成長から社会保障実現も可能となります。 ◆全員幸福社会を願う神の存在 神は「最大多数」ではなく、「全員の幸福」が願いです。 一億総活躍社会は神の正しさから見て、全ての人が自由を発揮し、個性を開花し潜在力を使い、繁栄している社会かどうか今後も検証が必要だと思います。 参考 『正義の法』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1591 『GDPを1500兆円にする方法』 綾織次郎著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1599 金融政策――これまでとこれから 2016.01.13 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆米国の利上げと新興国の危機 安倍政権発足から3年が経過――。今年2016年は、上海株式市場の暴落から始まり、世界経済が大きく変動する予感をされている方も多いのではないでしょうか。 今年、世界経済はどのような方向に変化し、対して日本どのように対応すべきなのでしょうか。また、これまでのアベノミクスに対して、私たちはどのような評価を下すべきなのでしょうか。 本稿では、マクロ経済に最も大きなインパクトを与える金融政策を中心に、世界経済の動向を踏まえ、日本が向かうべき方向性について考えていきます。 そこで重要なのは、昨年12月、米連邦準備理事会(FRB)は9年ぶりの利上げを決定したことです。 以前から2015年中の利上げは予想されていたとはいえ、米国に追随して、中南米や中東諸国始め、利上げに踏み切る新興国は多く見られました。 新興国が米国の利上げに追随するのは、これまで高成長を見込んで新興国に流れていたマネーが高利回りの米国に反転し、新興国の資本流出による、債務危機や通貨暴落、物価急騰を防ぐためです。 しかし新興国にとって米国追随の利上げは、資本流出や債務危機、通貨暴落を防ぐ術にはなっても、返す刀で国内経済を傷つけます。高い金利では、企業は設備投資を、一般消費者はローンを組んだ大きな買い物を、控えるようになるからです。 実際、90年代に中南米やアジアで起こった債務危機や通貨危機の多くは、米国の利上げ局面、ドル高局面で起こっています。2007年のサブプライム・ショックも直接の引き金を引いたのは米国自身の利上げです。 米国の利上げは、国境を越えて、地に足が着かずに膨らんだ経済を崩壊させる傾向があるのです。 ◆日本の金融政策 さて、新興国が米国に追随して利上げに踏み切るなか、日本では利上げの議論が見られないどころか、追加緩和の必要性さえ議論されております。 「追加緩和をすれば、円が弱くなる。これ以上、円を弱くして良いのか」という議論も一部に見られますが、事態は全く逆です。 なぜならば、米国の状況にかかわらず、日本は異次元緩和を継続できるというのは、「円」の本質的な強さを示しているからです。 野党等、一部に安倍政権の円安トレンドを批判しますが、もし現状の政策を変更して、円高にしようとするならば、米国以上の速度で利上げをするしかありません。 それは日本の企業家精神をつぶし、消費マインドを冷え込ませるばかりか、世界経済をも危機に陥れることになります。 異次元緩和の発動以降、日本の失業率は3.3%まで改善し、学生の就職率はリーマン・ショック前の好況時の水準を超えて改善しました。 これは異次元緩和の成果であり、もしも2014年4月の消費増税がなければ、政府が音頭を取らずとも、自然に実質賃金の上昇は始まっていたのです。 ◆日本が描くべき国際戦略 さて、米国の利上げによって新興国経済に不安が広がるなかで、日本はこれを世界のリーダーシップを握るチャンスとして、捉えなければなりません。 IMFに働きかけるだけでなく、日本が中心となってチェンマイ・イニシアティブ等、IMFから独立して、動ける枠組みを強化していくべきです。 また、円の基軸通貨化、国際化に向けても政府として戦略を立てていくべきです。 円の国際化を進めていく上でも、現状の異次元緩和路線を継続、もしくは、より強化していく必要があります。 なぜなら、円の国際化に必要なのは、何よりもデフレから完全脱却し、日本経済の成長軌道を取り戻すことだからです。最終消費市場としての日本の魅力を高め、円で取引をする誘因を高めるためにも、デフレ脱却を最優先すべきなのです。 マイナンバーの罠――プライバシー消滅の危機 2016.01.05 文/HS政経塾4期生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆運用開始も、多難な船出 2016年1月1日より、ついにマイナンバー制度の運用がスタートしました。自治体などの窓口が開く4日以降、行政手続き等でマイナンバーが実際に使用され始めています。 しかし、その一方で、番号を知らせるための「通知カード」は、全体の約1割にあたる約558万通が未だ受け取られておらず、これらが市区町村に保管されている状況となっています。 また、制度運用に伴い、既に各企業で従業員から番号を収集する作業が始まっていますが、中小企業では制度に関する認知度が十分でないという実態もあります。 昨年12月に行われた信金中央金庫による調査(第 162 回全国中小企業景気動向調査)では、中小企業の約6割が「十分な対応ができていない」状況にあることが明らかになるなど、多難な船出となっています。 ◆国民の不安が解消されていない そして、マイナンバー制度の大きな懸念事項の一つが、個人情報の漏えいです。昨年12月の「全国面接世論調査」によると、マイナンバー制度に対して「不安だ」と感じている人は全体の77.7%にのぼり、「不安ではない」と答えた20.6%を大きく上回っています。 不安を感じている人のうち、半数以上が「最も不安に感じていること」を「個人情報の漏えい」と答えています。 また、政府がこの番号を幅広い分野で利用することを想定し、今月中旬より、希望者に「個人番号カード」の交付が行われます。 このカードは顔写真付きの身分証明書として利用できるようになるほか、2017年1月からは、カードを使用することで、パソコンやスマートフォンにより行政手続きを行えるようになるとされています。 しかし、カードを発行しても、それを紛失してしまった時などに、個人情報の漏えい被害や、各種申請時になりすまし被害に遭う可能性が、格段に高まることが危惧されます。 こうした不安を背景に、同調査において、カード取得を希望する人は全体の31%に留まっていることが明らかとなっています。 つまり、一連の調査により、政府がマイナンバー制度の利用拡大を着々と狙う一方で、国民の「マイナンバー制度に対する不安」が置き去りにされていることがわかるわけです。 ◆個人の「人物像」まで流出する!? 個人情報保護法制等について研究を行う中央大学准教授の宮下紘氏は、マイナンバーの最大の懸念事項は「プロファイリング」であるとしています。 すなわち、大規模なデータが集積する「ビッグデータ」の時代、共通番号が介在することで、様々な個人情報が集積され、特定の個人像が浮かび上がるという危険性があると指摘しているわけです。 例えば、同氏も指摘している通り、納税情報と預金情報が結びつき、収入と預金額がわかるだけで消費額が割り出されます。 そして、その情報を見るだけで、その人が「節約家なのか浪費家なのか」という「人物像」を特定することができるというわけです。 こうしたことを考えると、今後、同制度の利用拡大を推進し、例えば金融資産や医療情報などといった情報もマイナンバーと結びつけていくことは、プライバシーの観点から見て大きな危険性があると捉えることができます。 ◆マイナンバーの「利用拡大」を阻止しよう! マイナンバー制度について「個人情報は、情報を扱う各機関が分散管理するため、仮に番号が漏れたとしても、すぐに芋づる式に全ての個人情報が漏えいするわけではない」と述べられてはいます。 しかし、大阪府堺市の職員が、全有権者約68万人分の個人情報をインターネット上で公開していたことが発覚したり、国内企業・団体において流出、またはその恐れがある個人情報が207万件にも上ることが報道されるなど、情報を扱う側の「情報管理力」の脆さが大きく露呈しているのが現状です。 各機関で相次いでサイバー被害が生じたり、不正流出が行われたりすることで、重要な個々の情報が漏えいするだけでなく、共通番号による「情報の結びつき」が行われる危険性を無視することはできないでしょう。 そして、情報には「不可逆性」、すなわち、情報を流出することは簡単にできても、一度漏れてしまった情報は、漏れる前の状態へと戻すことは決してできないという性質があります。 こうしたことを鑑みても、様々な個人情報を「共通番号」によって一括管理することは、これを通じて多くの国民のプライバシーが侵害されるであろうことなど、リスクがあまりにも大きく、利用拡大を進めるのは「非合理的である」と言わざるを得ません。 幸福実現党では現在、マイナンバー制度のこれ以上の利用拡大を阻止するべく、「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」運動を展開しております。 この運動にご賛同くださる方は是非、署名にご協力頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。 ■マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名 http://info.hr-party.jp/2015/5007/ ※署名用紙はこちらからダウンロードできます。 http://info.hr-party.jp/files/2015/12/WkID9rtF.pdf 【署名活動期間】 2015年12月4日(金)~2016年4月30日(土) ・第一次締切:2016年3月31日 ・最終締切 :2016年4月30日〔党本部必着〕 【署名送付先】 〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8-6F 幸福実現党本部 TEL:03-6441-0754 交通革命の歴史と未来ビジョン【その1】 2016.01.02 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 ◆投資意欲を引き出す減税政策を まず初めに、10月7日付の当ニュースファイルで「事業用資産(償却資産)への課税は、課税根拠が極めて不明確であり、経済成長の阻害要因であると考えられるため、「これを撤廃すべきである」」と主張させていただきました。(参考:http://hrp-newsfile.jp/2015/2436/) その後、11月30日の日経新聞の報道でもあるように、自民税調が「資本金1億円以下の中小企業が新たに導入する製造機械や建設機械、発電機といった機械・装置が対象。評価額に応じて年1.4%かかる固定資産税を減らす」方針を固めたようです。 しかし、景気が思うように回復せず、消費増税の悪影響も重なりデフレからの脱却も不完全な中、もう一段思い切った減税方針を打ち出せないものかというのが正直な印象です。 もっと政府は全力を挙げて「民間の投資意欲を引き出す」方針を打ち出すべきです。今回のテーマである交通革命を起こしていくためにも、民間企業が投資しやすい環境を作っていく必要があります。 ◆馬車から始まった交通革命 さて、今回のテーマである「交通革命」ですが、それは、いつどのような形で始まったのでしょうか。実は近現代における交通革命の起源は、馬車から始まったと考えられます。 都市交通としての「交通革命」は乗合馬車が世界各地で生まれた19世紀から本格的に始まったといえるでしょう。 乗合馬車や馬車鉄道が国民の生活や、都市のあり方を変えていった様子の一つとして『都市交通の世界史』に次のようなことが書かれています。 「(馬車鉄道は)時速8マイル(約12.9㎞)と徒歩や馬車よりも早く、エネルギー効率で3倍の乗客を輸送することができ、乗り心地も快適であった。馬車鉄道は、ニューヨークに登場した初めての大量交通機関であり、マンハッタンの北で建設ブームを引き起こす一因となった。1832~1860年に、都市の境界は42番ストリート付近まで北上し、富裕層を中心に郊外へ移転が生じた。」(p26) 「(ロンドンでは)18世紀後半には、過密化によって居住環境の悪化が進む都心部を離れ、郊外に移転する動きが富裕なシティの商人層(上層中流階級)から始まった。この動きは19世紀に入ると、技術者や上級事務員など、中層中流階級にも広がっていった。中層中流階級の郊外移転を促した最大の要因は公共交通機関、特に1829年からの乗合馬車の発達である。」(p54) ここでは非常に重要な事が述べられています。それは「(それまでより)スピードの速い乗り物」が広く利用されるようになった結果、都市が外へ向けて広がりをみせ、人びとが郊外に移り住み、都市の中心部に向けて仕事等に出かけるスタイルができたということです。 やはり、都市のあり方や、人びとの生活が変わるきっかけのキーポイントの一つになるのが「スピードアップ」であることがうかがえると思います。 ◆交通革命・都市交通の充実が現代の都市を生み出した さらに、当然のことながら馬車鉄道の後には、蒸気機関の鉄道や電気鉄道が導入されていき、さらにスピードアップが図られ、さらに大量輸送が可能になっていきます。 「(ニューヨークの)地下鉄開業後、沿線人口は増加を続けた。例えば1900~20年に、マンハッタンの人口は1.23倍に、ブロンクスの人口は3.7倍になった。これら住民は、マンハッタンへの通勤に地下鉄や高架鉄道を利用した」(『都市交通の世界史』p32) 交通革命・都市交通の充実が高度な集積を生み出していきました。そして「輸送技術は都市を形成し、マンハッタンのミッドタウンは、大量の人々を運べる二大鉄道駅を中心に建設されたのだった」(『都市は人類最大の発明である』p185)ともいわれるように、現代の都市を生み出したのは交通革命・都市交通の充実であったといえるでしょう。 また、例えばドイツの首都ベルリンについて、以下のようにと指摘しています。 「ベルリンの都市としての発展は19世紀後半に急拡大するが、その原因の1つとして1866年にそれまでの市の囲壁が取り壊され、その外側に労働者向けの廉価な高層住宅が密集して建造されたことがあげられよう。この団地は…人口密度が高まる要因となった。人口増大と産業の発展によって急速に拡大するベルリンの都市機能を支えるために、19世末から20世紀初めにかけては、公共交通のネットワークが拡大、改善された」(『都市交通の世界史』p128) 交通網の整備は都市を外側へ拡大させる力が働くと同時に、それを一つの都市として見た場合、その都市圏に人やモノ等を引きつけ集積させる求心力も同時に働きます。 「十九世紀末には、都市は外に広がると同時に上にも広がったのだった」(『都市は人類最高の発明である』p224)と指摘されるように、都市は高層化によって更なる集積を可能にしながら発展を遂げていきました。 (つづく) 「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」へのご協力を! 2016.01.01 文/HS政経塾一期卒塾生/逗子市政を考える会 彦川太志 新年明けましておめでとうございます。 本年が読者の皆様にとって福多き年となり、また、日本と世界の行く末が明るく開けていく年となることを祈念申し上げます。 ◆「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」へのご協力を! 昨年末より、幸福実現党は「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」に取り組んでいます。 国家による監視社会の到来を防ぎ、国民の自由を守るための重要な署名活動となっていますので、多くの皆様のご協力をいただければと考えております。 本日は、マイナンバー法に漠然とした不安感は感じているものの、「一体何が危険なの?」という点についてわかりやすく説明するための材料を用意してみました。 ◆国民は10年越しで「ゆでがえる」にされてきた マイナンバー法は、民主党政権が発足した2009年の「平成22年度税制改正大綱」における言及に始まり、政権交代にかかわりなく着々と準備が続けられてきました。 2013年5月には「税・社会保障・災害対策」の3分野に限定して成立しましたが、2015年9月に法改正が行われ、2018年から金融機関(任意)や医療分野などの民間分野にも利用を拡大できるようになりました。 2021年には義務化も予定されております。 国民を「ゆでがえる」にするかのように、10年越しで着々と進められてきた法案であることがわかります。 ◆政府の本音は「コンビニのレシート」まで監視したい!? さらに昨年9月ごろ、財務省からとして、「軽減税率をマイナンバーカードを通じて還付する」という驚きの案が登場しました。 例えば軽減税率8%の商品を購入するとして、「購入時は10%で支払い、マイナンバーカードに残った購入履歴を合算して年末に還付する」という案です。 さすがに反発が大きく現状では白紙となっている案ですが、これが財務省の「本音」の部分と考えて間違いないのではないでしょうか。 仮にこの制度が実施されれば、軽減税率が適用される商品は全て、スーパーやコンビニのレシートに至るまで、支出が把握されてしまうという事になります。 軽減税率は食料品や加工品など、「どこで線引きをするか」が微妙であることから、業界団体による「財務省詣で」が加速する恐れも指摘されていましたが、軽減税率の対象が増えれば増えるほど、財務省としても国民の支出を把握することが容易となる可能性もあるわけです。 結局のところ、財務省は最終的に、「国民の所得、資産、消費の全てを把握しよう」という狙いを持っていることが浮き彫りになったと言えます。 ◆政府は「安心です」と言うだけで、漏洩の責任はとってくれない もっとも懸念される事は、個人情報の漏洩です。アメリカや韓国など、すでに同様の制度を導入したことで深刻な個人情報流出や、なりすましに直面した事例がいくつも報告されています。 政府は「日本の場合、他国よりも厳しい本人確認を行うので安心です。」「自治体はこれまで10年以上住基ネットを運用してきましたが、一度も事故は起きていないので、大丈夫です。」という発信をしておりますが、現実にトラブルは起きている。というのが実態です。 2012年、愛媛県中予局勤務の職員が住基ネットを「興味本位で」不正に閲覧したことが発覚し、戒告処分を受けています。また2013年には、兵庫県加古川市職員が住基ネットの住民情報を探偵業者に漏洩し、恐喝未遂事件にまで発展しました。 このような「人」を介したトラブルが現に発生している他、2015年6月、サイバー攻撃によって日本年金機構から125万件分の個人情報が流出した事件も記憶に新しいところです。 一旦個人情報が流出すると、流出した情報以上に「私の情報は大丈夫だろうか」という不安につけ込んだ「便乗詐欺」が横行し、二次的な被害を広げてしまうことにもなりかねません。 政府がいくら「安心です!」と声を大にしていたとしても、それを鵜呑みにするわけにはいかないのです。 ◆マイナンバーの廃止を含めた見直しの必要性 以上のように、自由を抑圧する監視社会をもたらすとともに、国民に無用な不安感を与えるマイナンバー制度に対して、幸福実現党は下記のように訴えています。 一、マイナンバー制度を廃止すること。 一、廃止できなければ、マイナンバーの利用を「税・社会保障・災害対策」の従来の3分野に限定し、2018年から予定されている「預金口座、健康保険証、戸籍、パスポート、証券口座等や、地方自治体、民間等」への利用拡大を中止すること。 幸福実現党は、「小さな政府と安い税金」により、自由からの経済繁栄を主張してまいります。ご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。 ■マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名 http://info.hr-party.jp/2015/5007/ ※署名用紙はこちらからダウンロードできます。 http://info.hr-party.jp/files/2015/12/WkID9rtF.pdf 【署名活動期間】 2015年12月4日(金)~2016年4月30日(土) ・第一次締切:2016年3月31日 ・最終締切 :2016年4月30日〔党本部必着〕 【署名送付先】 〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8-6F 幸福実現党本部 TEL:03-6441-0754 IR推進法は浪費推進法!?賭博で日本を豊かにできる? 2016.01.01 IR推進法は浪費推進法!?賭博で日本を豊かにできる? 幸福実現党・大阪第5選挙区支部長 数森 圭吾 ◆IR推進法とは 2016年12月15日の衆議院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、いわゆるIR推進法が成立し、カジノ合法化への道が開かれることになりました。 このIRとはIntegrated Resortの略で統合型リゾートを意味しています。 この統合型リゾート施設とは、地方自治体の申請に基づいて、カジノの併設を認める区域を指定されて設置される国際会議場・展示施設やホテル、商業施設、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設をさしています。 この説明ですと、IR推進法が地域にエンターテイメント性や商業性の向上をもたらし、人もお金も集まってくる良いイメージを持つ方もいるのではないかと思います。 このIR推進法の主なメリットとしてあげられているのは、「国内外からの観光客の誘致やMICEの振興」「カジノ税収入など新規財源の創出」「地域での雇用促進や経済波及効果」などです。 つまり政府は「消費促進にともなう経済効果」「新たな財源(税収)」を狙ってカジノを合法化しようとしているといえます。 ◆刑法185条 賭博の禁止 しかし日本では刑法185条によって賭博が禁止されています。 これは、賭博を放置すると国民の勤労意欲が失われ、さらに賭金の獲得や借金の返済のために窃盗や強盗など他の犯罪が誘発されることなどが懸念されるためであり、賭博罪とは、風俗ないしは経済倫理・秩序に対する罪であるとされています。 IR推進法の成立によって、今後日本でカジノの法制化がすすめられるにあたり、この刑法で定められた賭博罪との矛盾を乗り越えることは非常に難しい問題です。 個人で賭博をした場合には犯罪となるにも関わらず、国が関わるカジノは合法となることには疑問が残ります。 ◆「賭博が国を滅ぼす」と考えた歴史の為政者たち 歴史を振り返ると、日本初の賭博禁止令を出したのは689年の持統天皇で、その対象となったのは「すごろく」でした。 また戦国時代には武士たちが陣中などでも賭博に熱中したことから、「賭博」が士気に関わる懸念材料の一つとなっていたそうです。 そのため、徳川家康が天下統一を果たすと、賭博常習者を厳罰に処したとされています。 歴史的にも為政者にとって「賭博は国を滅ぼす」と認識されることが多かったと言えます。しかし反対に、今の政府はこの賭博を合法化しようと考えているのです。 ◆カジノ解禁によるデメリット カジノ解禁によるデメリットとして、「反社会的勢力の活動の活発化」や「ギャンブル依存症問題」などが懸念されています。 カジノ解禁によって暴力団やマフィアが介入する可能性が高まり、反社会的勢力の資金源を増やすことになる。またマネーロンダリングにカジノが利用される可能性もあるといえます。 またカジノが身近にできることによってギャンブル依存症となる人の増加が見込まれるともいわれています。 ◆IR推進法によって促進されるのは、消費?浪費? IR推進法は、消費促進にともなう経済効果と新たな財源を狙ったものです。政府の思いは「なんとしても国民に金を使わせたい」というのが正直なところでしょう。 刑法にある理念や倫理を無視してまで行われる消費推進は、いつのまにか「浪費推進」になっていくのではないでしょうか。これでは国民の堕落を招きかねません。 ここ最近の政府の他の動きをみると、10年以上使われていない預金を政府が回収する「休眠預金法案」や、月末の金曜は15時退社を推進する「プレミアムフライデー」がすすめられています。 財源確保や消費促進のためなら私有財産没収を行い、民間企業の就労スタイルにまで口をつっこむ政府は「国民が消費するためなら手段は選ばない」という次元にまできているのではないでしょうか。 この考え方を極端にしていくと「理想実現の為なら暴力革命も厭わない」という共産主義的発想に通じるような怖さもどこかで感じてしまいます。 政府は自由主義・資本主義の精神に基づいた政治理念について考え直し、減税など、健全な消費を促す政策を実行し、経済発展に伴う税収の確保を第一とすべきではないでしょうか。 「パリ協定」の曲解で国を滅ぼすことなかれ【後編】 2015.12.30 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆不確実性が高い米国の参加 米国はパリ協定をオバマ大統領のレガシー(政治的遺産)とするため、議会の同意を必要とせず大統領権限で署名できる「単独行政協定」の範囲にとどめる必要がありましたが、大統領権限だけで本当に署名できるかどうかについては、異論があります。 議会で過半数を占める共和党は、「パリ協定はシュレッダーにかける」と徹底抗戦の構えを見せており(12/23 毎日新聞)、議会の同意が必要となれば、米国はパリ協定に署名することは不可能です。 また、仮に米国が署名したとしても、今後共和党への政権交代があれば、京都議定書のように米国がパリ協定から離脱する可能性は非常に高いといえます。 日本は米国など他国の状況を十分に見ながら、場合によってはパリ協定への署名を拒否する姿勢を持たなければなりません。 ◆パリ協定を「利用」する環境派・環境省に注意せよ このように、パリ協定では各国が削減目標を達成する国際法上の義務はなく、仮に達成する場合でも削減目標の厳しさには大きな差があり、そもそも米国など主要排出国の参加が完全に保証されているわけではありません。 しかし、パリ協定の採択をきっかけとして、またぞろ、環境派のメディア、政治家、学者、NGO、環境省等が、日本国内でのCO2排出削減の強化を主張しています。 パリ協定の採択を受けて、12月22日に安倍総理を本部長とする政府の地球温暖化対策本部が開催され、地球温暖化対策の取組方針が決定されました。 ※パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針について (2015年12月22日 地球温暖化対策本部) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai32/paris_torikumi.pdf それとともに、同日の政府の審議会で地球温暖化対策計画の骨子案が提示されました。 ※地球温暖化対策計画(骨子案) 2015年12月22日 産業構造審議会 産業技術環境分科会 地球環境小委員会・中央環境審議会 地球環境部会 合同会合 資料3 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004000/pdf/044_03_00.pdf この骨子案には、「国民運動の推進」という項目があり、「地球温暖化に対する国民の意識改革と危機意識浸透を図る」、「国民に積極的かつ自主的な行動喚起を促すことで、低炭素社会にふさわしい社会システムの変革やライフスタイルの変革を促進させる」と書かれています。 日本の約束草案は、年率1.7%という控えめな経済成長率のもとで、国民の徹底した省エネ・節電によってエネルギー需要を大幅に削減することが前提となっており、「国民運動の推進」は、国民が自由にエネルギーを使えなくなることを意味します。 また、「慎重に検討を行う」とは書かれているものの、「国内排出量取引制度」について、わざわざ言及しています。 「国内排出量取引制度」は、政府が企業に「CO2を排出できる量」を割り当て、これを達成した企業と達成できなかった企業との間で、余剰排出量を取引する制度であり、EUや米国の一部の州、日本では東京都と埼玉県で導入されています。 CO2は生産活動やエネルギーの使用に伴って必然的に排出されるものであり、その排出上限を政府が割り当てるということは、生産調整やエネルギーの配給制に他ならず、極めて経済統制的な手法であることから、産業界が強く反対しています。 このような政策を実行すれば、製造業は規制の緩い国に生産拠点を移転し、結果としてGDPを減少させ、雇用が失われてしまいます。 このように、特定の目的のために国民の価値観を誘導し資源配分を集中するような、社会主義的・全体主義的な政策が政府によって簡単に提案できてしまうところに、「地球温暖化対策」の本当の恐ろしさがあります。 今後の半年で、政府の「地球温暖化対策計画」の具体化が進むと考えられますが、その内容が国民の自由と繁栄を奪い、経済の低迷に伴って日本の安全保障が脅かされることがないよう、幸福実現党は警鐘を鳴らしてまいります。 すべてを表示する « Previous 1 … 35 36 37 38 39 … 78 Next »