Home/ 経済 経済 マイナンバー制度で国民へのサービスは向上するのか 2016.03.04 マイナンバー制度で国民へのサービスは向上するのか 文/HS政経塾3期卒塾生 幸福実現党・新潟県本部副代表 横井もとゆき ◆国民が疑問視するマイナンバー制度 全国民に12桁の番号を割り当てるマイナンバー制度が1月からスタートしました。 世間の皆さんも一様に「マイナンバーはおかしい制度だ」と思っており、制度の裏に「お金の流れや資産を全て把握したい」という見え見えの政府の考えがあることに不安を募らせています。 中には、現在の煩雑な行政手続きから解放されるなら、国家による監視社会が進んでも仕方ないと天秤にかけられている方もいらっしゃいます。 伺ったお話しによれば、肉親が亡くなられてつらい時、役所への届け出でたらい回しにされ長い時間を費やした挙句、年金の手続きに行けば、事務所の窓口の係りがその方の乗ってきた車を見て「結構いい車に乗ってるんですね~」と嫌味を言われたそうです。 精神的につらい時にさらに嫌な思いをするくらいなら、このマイナンバー制度で監視が強化されると知りつつも、国民の負担が減るとの謳い文句に期待してしまうのは、心中お察しするところです。 しかし、100歩譲ったとして、マイナンバー制度により国民の利便性の向上は成されるのでしょうか。 ◆いよいよ動き出した巨大システム、問われる信頼性 こんな矢先、マイナンバーの情報を管理する中枢システムが早くも危機に直面しているとの報道がありました。 個人番号カードを発行するための情報を管理するサーバーと呼ばれる大きなコンピュータに異常が生じ、業務の再処理を強いられた自治体が複数あったとのことです。 いまだ故障原因が見つかっておらず、リスクを抱えたままの運用で、今後住民サービスに影響を及ぼすことが懸念されます。 これは技術的な問題だけではなく、そもそも住民サービスをめぐる行政の在り方やマイナンバー制度自体に欠陥があります。 国は自治体にマイナンバーの準備をさせる際、大まかな内容を示しただけで、自治体側のシステム改修は丸投げ状態だったと言います。 また、自治体側がシステムを改修するため、本来国が示さなければならない詳細な仕様書も、段階的な本番運用や他部署との連携テストが始まるはずの昨年7月時点でも出ていなかったと言われています。 結果、自治体がバラバラに進めざるを得なかった本事業は、技術的に見ても「絶対につながるわけがない」と関係者が漏らしたと伝え聞いています。 部署を横断的に連携させることで達成される、国民が期待するような「サービスの向上」は遠いものとなりそうです。行政あり方の根本から変えなければなりません。 国も自治体も巨額の税金を投入したマイナンバーシステムですが、先日ある自治体の住民票などを発行する窓口の前を通った時、あまりにも混雑していてびっくりしました。来年7月から地方公共団体を含めた本格運用が始まれば、この景色は一変するのでしょうか。 また現時点でもマイナンバーに関わる事故は起きていますし、マイナンバーや紐付けされる個人情報をしっかり管理できるのか、不信感は募るばかりです。 ◆行政の効率化は国民へのサービスに資するべき 余談ではありますが、政府が示したマイナンバー制度関連システム全体スケジュールによれば、トラブルが続出するようになった1月は、主幹である総務省の他に、国税庁が本番運用を始めています。 トラブルシューティングの基本は、主幹から枝葉を切り離し検証することです。 マイナンバーが国民の利便性向上のためのものであるならば、「国民の資産管理」から、自らの襟は正さない「増税」という政府の思惑を捨てて、即ち国税庁をマイナンバーシステムから切り離して運用してはいかがでしょうか。 ◆誠があっての公平・公正な社会 国民が税金を納めたくなるようなサービスをしていない国の政府が、いくら徴税の法律や大規模なシステムをつくったところで、この巨大システムに「いのち」が吹き込まれることはないと言えるのではないでしょうか。 このマイナンバー事業では、大変大きな費用が割かれ、仕事と雇用が生まれていることは事実です。 しかし外国の共通番号制度が犯罪の標的になり、先進国が分野別番号制に移行しています。日本政府も国民の資産を危険にさらすことがあってはなりません。 地球100億人時代到来を前に、食糧やエネルギーや交通分野などでの新たな技術立国日本をつくる仕事の創出「ジョブ・クリエーション」こそ政府としてやるべきことです。 また、リアル・ポリティクスから言えば、北朝鮮の核開発、中国軍の海洋進出から我が国の平和と地域の安全を守るべく、防衛力増大に国力を割くことが、現時点での最大の福祉であり国民へのサービスです。 このマイナンバー制度が進めば、国民監視が強化され、大増税をして個人の所得を分配する共産主義社会のような日本になってしまいます。 先進国の反省を他山の石として、日本が間違った方向に進まないように、さらなるマイナンバー紐付け法案の可決断固反対と制度そのものの見直しを訴えてまいります。 現在、幸福実現党では「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」を実施しております。ご協力お願いいたします。 http://info.hr-party.jp/2015/5007/ (参考) ・マイナンバー制度関連システム全体概要図(平成26年6月) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/dai57/siryou3.pdf ・システムが危機に直面! 障害1か月連続発生 追加サーバーも欠陥、原因不明(産経2016.3.1) http://www.sankei.com/politics/news/160301/plt1603010039-n1.html ・[続報]部品交換でマイナンバー「中継サーバー」障害解消、根本原因はなお不明(ITpro日経コンピュータ 2016.1.20) http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/012600249/?rt=nocnt ・「マイナンバー特需」に笑う業者、泣く自治体 税金の上に税金がつぎ込まれるのか(東洋経済ONLINE 2015.7.11) http://toyokeizai.net/articles/-/76575?page=2 エンジェル投資で日本を元気に!−−−「個人投資家」編 2016.03.01 文/HS政経塾4期生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆起業家にとっての 「エンジェル」の役割 3月19日(土)より、映画「天使にアイム・ファイン」が全国で公開されます。 映画「天使にアイム・ファイン」 http://www.newstar-pro.com/tenshi/ 天使は、目には見えませんが、人生における苦難や困難の中にある人々を救済するために、地上に生きている私たちを見守り続ける存在です。 一方で、起業家にとって欠かせない存在が「エンジェル投資家」です。 起業家は実際に事業を興したり、それを拡大したりする際に、資金調達を行う必要性が生じます。 エンジェル投資家が、起業家にとって必要な資金を提供することで、その成長を後押しするわけです。 日本における「開業率」は5%程度で、欧米に比べて半分程度の低水準となっており、日本は起業を推進する必要に迫られています。 「アイデア」を持つ人が実際に「起業しやすい」環境を整えるためには、起業家を「バックアップ」する存在としてのエンジェル投資家が、今後、多数輩出されることが求められます。 ◆日本の「エンジェル」事情 では、日本のエンジェル投資は現在、どのくらいの規模なのでしょうか。 近年のデータを見ると、個人による年間のエンジェル投資金額について、日本が約200億円であるのに対し、エンジェル投資が盛んなアメリカは約2.5兆円と、日本の年間投資額はアメリカの0.8%にとどまっているのが実態です(奥谷貴彦(2012)『ベンチャー企業の資金調達』(大和総研)参照)。 また、個人投資家の数も、アメリカが約23万人であるのに対し、日本が1万人に留まっており、わが国ではエンジェル投資が小規模に留まっていることがわかります。 ◆エンジェル税制とは 日本では、エンジェル投資を喚起する目的から、1997年よりエンジェル税制が敷かれており、2008年にはその拡充を図るため、税制改正がなされています。 このエンジェル税制では、「投資家がベンチャー企業に投資をする時点」と、「ベンチャー企業の株式を売却する時点」の、二つの時点における税制面での優遇措置が設けられています。 まず、投資時点の減税措置は、所得税算出時において、投資した額をその年の「総所得金額」から控除することで、所得税の減税措置を受けることができるというものです。 一方、投資家が持っている「ベンチャー企業の株式」を売却する時点については、損失(キャピタル・ロス)が発生した場合に、売却後3年間で発生した他の株式投資の収益から、その損失分を控除するという減免措置を受けることができます。 こうした二つの時点での優遇措置を設定することで、エンジェル投資を活性化させようというわけです。 (注1)「総所得金額」からの控除額の上限は、「総所得金額×40%」と「1000万円」のいずれか低い方となっている。 (注2)「投資時点」の減税措置は、上記のように「総所得金額」からの控除を受けるか(優遇措置A)、あるいはベンチャー企業への投資額を、他の株式を譲渡した時に発生した利益から控除を受けるか(優遇措置B)の、どちらかを選択するしくみとなっている。 ◆更なる 「減税策」の必要性 しかし、税制を改正した2008年以降、日本におけるエンジェル投資はやや拡大する傾向は見せているものの、起業大国アメリカの規模にはまだまだ及ばないのが現状です。 そこで、エンジェル投資のさらなる活性化のためには、より思い切った税制改革が必要です。 まず、投資時点における所得税減税策については、現行の「所得控除方式」から、イギリスなどにおけるエンジェル税制の事例を参考にし、「税額控除方式」に切り替えることが望ましいでしょう。 「所得控除方式」の場合、控除が納税額を算出する過程で行われ、いわば控除の措置が「間接的」なものに留まり減税幅も限定的なものとなる一方、「税額控除方式」を採用すれば、「納税額」から「直接的」に控除額が差し引かれるので、減税幅も大きくなります。 例えば、年収1000万円のAさんが、100万円のベンチャー投資を行い、税額控除幅を投資額の50%とする場合、「所得控除」から「税額控除」に切り替えることで、Aさんが受ける減税幅がおよそ20万円から50万円と大幅に増大することになります。 その他、ベンチャー企業の株式を売却する時点の優遇措置についても、「売却益(キャピタル・ゲイン)が発生した時の優遇策」を盛り込み、売却益の「課税対象額」を圧縮することで、キャピタル・ゲイン税の負担率を低下させることも、有効な策と言えるでしょう。 (注3)Aさんの事例では、その他の所得控除として、基礎控除、社会保険料控除、給与所得控除を勘案している。 ◆「起業家」にとっての「エンジェル」を多数輩出せよ! このように、起業家にとって「天使」としての役割を果たす「エンジェル投資家」にとって、メリットがより大きくなるようなエンジェル税制の大幅な改革が求められます。 新産業を創出し、「ジョブ・クリエーション」を行う可能性を持つ起業家をこの国に多数輩出していくためにも、日本は、こうした減税策を実現することで、起業家がとりわけ資金調達の面で活動を行いやすい環境を整えるべきです。 岐路に立つ日本経済――必要なのは減税、減税、そして減税! 2016.02.24 文/HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一 ◆アベノミクス3年の評価 アベノミクスが始動して3年以上が経過しました。肯定も否定も、様々な議論がありますが、皆様はどのような感想をお持ちでしょうか。 「有効求人倍率、過去24年ぶり高水準」「企業収益、過去最高」「失業率3.3%、着実な雇用改善」・・・。 確かに一部には経済状況の改善を示すデータもあります。しかし、これらは私たち生活者の実感に添ったものだと言えるでしょうか。 実際、今月16日、総務省が発表した家計調査によれば、1世帯あたりの消費支出は前年比2.7%減(実質)で、2年連続の減少でした。 また家計の支出額は、データの残る2000年以降で、過去最低を記録。国民の根強い「節約志向」は払拭できておりません。 さらにサラリーマン世帯の実質収入は、前年比で0.8%の減少です。つまり国民と政権の一番の約束であった「デフレ脱却」は全く進んでいないのです。 アベノミクスが始まってから3年、「まずは株価から、大企業から、徐々に国民一般に経済効果は波及するから」という説明が続きました。 しかし、今年に入って株価は下がり、円高で大企業の収益にも危険信号が灯っています。果たして私たちはこのまま、自分たちの未来を現政権に委ねていて良いのでしょうか。 ◆マイナス金利は景気に効くのか こうした経済状況に危機を感じてか、先月末、日銀はマイナス金利の導入を発表。このマイナス金利は、経済にどのような影響を与えたのでしょうか。 民間銀行が日銀に預けている預金(日銀当座預金)の一部にマイナス金利が導入されたことで、日銀当座預金から、それと同じくらい安全で、かつ利子収入が見込める長期国債に民間銀行の資金が流れていきました。 その結果、市場で売買される長期国債の価格が、利子を乗せて返って来る償還時の価格よりも高騰し、マイナス金利が長期国債にまで波及。その影響を受け、住宅ローンや自動車ローン等、金利全般が低下していきました。 しかし、政府によるさらなる消費増税が控えているため、どれだけ金利が下がっても、国民の節約志向は深まるばかり、企業もお金を借りて新規事業を始めようとは致しません。 どれだけ日銀が孤軍奮闘、マネーを供給し続け、金利をマイナスに引き下げても、日銀自ら、事業を始めたり、企業に融資したり、お金を直接、使うことはできないのです。 「どこに、何を、どれだけ投資したら良いのか」「何にお金を使えば良いのか」これが日銀には判断できないため、金融政策の限界が来ているのです。 ◆必要なのは減税、減税、そして減税! 一番正しいお金の使い方を知っているのは国民です。また一番、正しい投資先を知っているのも、現場で日夜格闘している企業戦士たちです。 だから減税なのです。国民や日本企業が自由に使えるお金を増やすこと、デフレ脱却の起爆剤として、一番必要なのは、減税、減税、そして減税なのです。 消費税率を8%に引上げて消費不況になったのだから、給付金やバラマキ予算を組むのではなく、もとの5%に税率を戻す。これが最も的確な景気対策になるはずです。 また、安倍政権の肝いりで、今年度中に法人実効税率が32.11%から29.97%へと下がることになりましたが、同じ先進国でもイギリスはすでに20%です。アジアでは中国が25%、韓国24.2%、シンガポール17%です。 29%でも他国と比較すれば、重税という重い鉄鎖に縛られて活動している日本企業の現状は変わらないのです。 「減税をして国債発行や財政赤字が増えたらどうするのか」という声もあるかもしれません。しかし今、むしろ問題になっているのは、日銀の量的緩和やマイナス金利で国債への需要が増大し、市場で流通する国債が少なくなってきていることです。 今の日本では国債は、貨幣と同程度に誰もが欲しがる安全資産になっており、マイナス金利の今だからこそ、政府は国債を発行して、内需を喚起すべきなのです。 幸福実現党は「減税、減税、そして減税!」。国民目線、生活者の立場から本物の景気対策に取り組みます。 MICE誘致を積極的に進め、観光立国を実現せよ! 2016.02.23 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆訪日外国人観光客数の大きな伸び 2015年の訪日外国人観光客数は、前年比47.1%増の1973万7400人で、過去最高だった14年の1341万3467人を大幅に上回り、3年連続で過去最高を更新しました。 訪日ビザの要件緩和や円安などを受け、中国などアジアを中心に訪日ブームが続いていることが背景にあります。1000万人を突破した13年から2年でほぼ倍増しており、年間2000万人の政府目標に大きく近づきました。 ◆更なる伸びしろが期待できるMICE そうした観光立国政策の中でも更なる成長が期待できるのがMICEです。 MICEとは「Meeting(企業等の会議)」、「Incentive Travel(報奨・研修旅行)」、「Convention(国際会議)」、「Exhibition/Event(展示会・見本市)」の頭文字を集めたもので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称を指します。 一般の観光とは異なり、MICEはグローバル企業や学術系の団体の関係者が世界各地から訪れる為、大型団体による長期滞在に繋がり易く、コンベンション施設や展示ホール、ホテルなどの宿泊関連施設、周辺の観光施設や交通機関など広範囲において、多大な経済効果をもたらす点に特徴があります。 MICEについても日本国内での開催件数は伸びており、2014年時点では2590件と前年比6.7%増、外国人参加者数は17.8万人と前年比30.9%増となっています。 今後は訪日外国人観光客数の増加によって広がった日本に対する関心を、積極的に経済効果の高いMICEの開催に繋げていくという点が、観光立国実現への大きなカギとなります。 ◆一般観光と異なるMICEの誘致 観光客は観光地を見て巡り、その体験を楽しむことで目的を達成し満足を得ますが、MICE参加者の訪問目的はビジネスにあります。 つまり、彼らにとってはスムースにビジネスが行えることが最重要事項です。観光客にとって重要な観光スポットを満喫することは、MICE参加者にとって重要な要素ではありません。 そのため日本は、MICEの開催地として適した環境づくりを進め、その点を重点的にPRしていく必要があります。 またMICEビジネスには、MICE参加者とMICE主催者の2種類のお客様がいますが、特にMICE主催者、その中でも開催地に関する決定権・投票権を持つキーパーソンに戦略的にアプローチを行わなくてはなりません。 ◆MICE誘致成功のために必要なもの では上記課題に対応するためにはいったい何が必要でしょうか。 交通網、MICE開催会場の整備や参加者の宿泊に必要なホテルの確保など、環境づくりはもちろん、効果的にMICE主催者にアプローチする体制を構築することが必要です。 昨今MICEを重要産業と位置づけ活動を進めているマレーシアでは、MICEを推進するMyCEB(マレーシア コンベンション&エキシビション ビューロー)という国営の組織を用意して対応しています。 MyCEBでは約20億円の予算を持ち、専属スタッフ約50人が業務に励んでおり、MICE主催者へのアプローチを効果的に進め、MICE誘致の拡大に大きく成功しています。 現在の日本のグローバルMICE戦略都市・強化都市7都市の総予算はMyCEBの1/3と大変少なく、人材も十分に確保できていない状況です。 よりMICE誘致を積極的に進め、日本をさらなる観光立国へとステップアップさせるために積極的な体制づくりを行い、国として日本経済の活性化に繋げていく努力が必要です。 【かんたん解説】マイナス金利は良いこと?悪いこと? 2016.02.12 本日は、幸福実現党・政調会長 江夏正敏ブログより、日銀が行った「マイナス金利についてお送りいたします。 文/幸福実現党・政調会長 江夏正敏 マイナス金利について議論がなされています。 この問題に関して、幸福実現党の大川隆法総裁が、1月30日の「真実の世界」大講演会で、わかりやすく解説されましたので、紹介いたします。 ◆マイナス金利の導入目的 銀行は国民からお金を預かっていますが、そのお金が余ったら、日銀に預けます。今までだと、預けたら0.1パーセントぐらいの利子がつくので少し儲かりました。 ところが、これから銀行が余ったお金を日銀に預けると「金利をマイナス1パーセントにするぞ」と言っているわけです。 マイナス1パーセントにするということは「預金を預かるのはタダだけど、手数料取る」と言っているのと同じです。すると、銀行は日銀に預けたら損をすることになります。 だったら、お金を日銀に預けないで、企業に貸したり、株を買ったり、国債を買ったり、お金を何かに使おうとします。その結果、強制的に消費者マインドを目覚めさせようとしているのです。 ◆「蓄えをなくしてどんどん使え」ということ マイナス金利というのは、ヨーロッパでも導入されていますが、実は本当はあまりいいことではないのです。 個人に対しては「全部使ってしまえ」「お金持っていたらお金が減るぞ」と言っているようなものです。 企業に対しては「お金を儲けて、溜まったお金を銀行に預けてもいいことはないよ」「どんどん使いなさい、今すぐ使いなさい」と言っているのです。 要するに「蓄えをなくして全部使ってしまえ」と言っていのです。「江戸っ子みたいに宵越しの金を持たないようにしろ」という命令が、政府から出ているのです。 ◆一時的なカンフル剤 一時的な景気対策としては有効かもしれません。お金が使われるので、参院選ぐらいまではいい結果が出るかもしれません。株価が下がっているのが上がり始めたり、無駄な金の投資が起きたりします。 そういう意味で一時的に景気はよくなるかもしれません。 ◆資本主義の精神を傷つける しかし、経済学的に見た場合、これは間違っていると言わざるをえません。マイナス金利は、資本主義の精神を傷つけているからです。 資本主義の精神というのは、二宮尊徳翁が言ったとおり、積小為大、小さくても積み立てていって、だんだん資本を大きくして、そして事業を行い、大きな儲けをして、経済の規模を大きくしていくことです。 ◆資本の蓄積ができなくなる マイナス金利は、お金を貯めたら損をする制度です。お金が貯まりません。みんなが、お金が入ったらすぐ使う体制になっていくのですから、資本の蓄積ができなくなります。 そうすると、資本主義として大きな事業にチャレンジし、大きな経済規模をつくって、大きな利益を上げる方向に動かなくなります。 一時的にはカンフル剤として効くかもしれませんが、将来的には資本主義経済としての拡大を止める効果があるのです。 ◆日銀が無理をして財務省の見識不足をカバーしている これは、日銀の黒田総裁が2パーセントの成長を支えるためにやむなく頑張っているとも言えます。本当は苦しいのだと思いますが、財務省が言うこときかないから、日銀でやれるだけのことをやろうとしているのでしょう。 黒田総裁には少し気の毒な感じがしますが、結果的に選挙向けの騙しの加担をさせられているとも言えるのです。 ◆ミニバブルを起こし幻惑しようとしている 本来は、幸福実現党が言っている通り、消費税上げてはいけなかったのです。デフレ脱却が第一なのです。 デフレ脱却して、経済成長の軌道に乗ったら、増税しなくても税収は増えるに決まっているのです。デフレ脱却がほぼ不可能な見通しが出てきたので、マイナス金利まで導入したのです。 目先の株を買わせて株価を上げ、景気がいいように見せようとしています。ミニバブルを起こしてみんなを幻惑しようとしているのです。 ◆消費税を上げてはだめ これは短期的な選挙対策にはなるかもしれませんが、長期的には日本の経済的発展を傷つける行為です。 アベノミクスの元のスタイルはいいので、原点に戻って幸福実現党が提言しているように消費税を上げてはだめなのです。「増税すれば景気が回復する」というような財務省の理論は、当たるわけありません。 今からでも遅くないから、来年春の消費税を2パーセント上げるのを止めるのは当然ですが、8パーセントに上げた税率も考え直したほうがいいでしょう。 このままでは、デフレのほうに引っ張られて沈んでいくのです。 「マイナス金利という情けない状況」、要するに「銀行に預金を預けても、銀行が日銀にお金を預けても、悪いことのように思われる状況」、つまり「利益を上げることを悪いことのように感じられる社会」は、資本主義社会としてよくないことなのです。 それよりも、経済規模が20年間大きくなってないということに対して、もう一段、反省することの方が大切です。 詳しくは、幸福の科学の支部で大川隆法総裁の「真実の世界」を聞いてください。おすすめ致します。 支部は幸福の科学のホームページで探せます。 江夏正敏ブログ http://enatsu-masatoshi.com/ 「江夏正敏の闘魂メルマガ」の登録はこちらから http://enatsu-masatoshi.com/mag#touroku/ 大川隆法総裁の講演会「真実の世界」の拝聴はこちらから 「幸福の科学 全国支部所在地」 http://map.happy-science.jp/ 交通革命の歴史と未来ビジョン【その2】 2016.02.10 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 ◆自動車の普及は画期的なイノベーションだった これまで様々な交通革命がなされてきましたが、「19世紀にはいくつか公共交通のイノベーションが起きたが、20世紀の都市では、たった一つの交通イノベーションがすべてを圧倒した。それが内燃機関だ」(『都市は人類最高の発明である』p225)といわれています。 自動車の普及はそれほど大きく交通体系を、そして物流の観点から考えても私たちの生活を大きく変えるものでありました。 自動車があまねく普及することによって、自動車の所有が前提になった街が誕生していくことになりました。そして自動車の存在が支える物流が人々の暮らしを変え、生活を豊かなものとしてきました。 これは逆のいい方をすれば「自動車がなければもはや生活できない」状況を生んだということも意味しますし、部分的にはそのことによるマイナス面も出てきているのは事実であると思います。 しかし、誰もが、思いたった時に、思い通りの場所に、快適に、スピーディに行く事ができる、しかも個々人単位でもそれを可能にし、さらには大量の貨物をスピーディに運ぶことを可能にしたこの交通革命は画期的なものだったといえるでしょう。 ◆鍵を握る「動力」と「インフラ」等の技術発明 内燃機関の発明が画期的な交通革命をもたらしたわけですが、「都市交通では、19世紀末から20世紀の初頭にかけて、低速で高コストの馬車と蒸気機関に代わり、新たな動力として電気モーターと内燃機関の導入が始まった。まず、電気動力によるチューブ式地下鉄が登場、次いでバスと路面電車が登場し、さらに蒸気動力であった既存の地下鉄と幹線鉄道の電化も開始された。」(『都市交通の世界史』p63) 以上のように、やはり「動力」が変わることは非常に大きな転換点になります。 現在、日本で日常に運行している電車は電気モーターが主流ですが、その中でも、例えば都営大江戸線や横浜市営地下鉄などで採用されているリニアモーターは、動力としては今までにない新しいものです。 今後建設が進められるリニア新幹線は時速500㎞以上で走る、新しい交通革命を起こす乗り物として期待されています。 さらにリニアモーターを利用したエレベーターなども、今後の開発が期待されるものとして取り上げられてもいます。 また、蒸気機関から内燃機関に移りかわり、自動車の発達によって交通体系は大きく変化を見せましたし、今ではジェットエンジンでジェット機が空の交通を支えています。 同時にそれを支えるインフラの整備も進みました。舗装されていない道を通っていた馬車が、鉄道を敷設しその上を走らせることで摩擦係数が低下し、大幅に効率がよくなりました。 また、地下鉄の建設では、それまでなかった地下の交通インフラの整備がすすみました。 自動車が走り始めるとアスファルトなどによる舗装が進み、さらに機能的に移動できるようになっていきましたし、高架鉄道や高架を使った道路網は、それまで存在しなかった空中方向への立体的な交通インフラの整備が進められてきました。また、今地下を通る首都高の建設なども進められています。 さらに、「航空機」の登場により、乗り物はもはや何かの上を走るものではなく、飛行場などの離着陸できるインフラと管制機能があれば、空を自由自在に飛ぶことができるようになりました。これによって、空中すらも、交通インフラに変えてしまいました。 今後はそれがさらに宇宙空間をも利用して、例えば東京~ニューヨーク間をわずか2~3時間程度で結びつけるような、新しい画期的な航空機の誕生につながっていく事も期待されているところです。 将来的に反重力装置などの発明によって、新しい動力源が開発されれば、空を飛ぶ車の実現も夢ではないかもしれません。そしてその時には、その「空飛ぶ自動車」を支える新しいインフラの発明が必要になります。 また、自動車運転の自動化の流れも進められようとしています。そのように未来に実現の可能性をもつ種子がたくさん育てられています。 いずれにしても、新たな「動力」や「インフラ」等の「技術発明」が今後の交通革命を起こす大きなカギを握るでしょう。 その意味でも理系の天才の誕生が期待されるところです。 交通革命の歴史と未来ビジョン【その1】 http://hrp-newsfile.jp/2016/2562/ ミカンコミバエ対策―官民連携した防除徹底の重要性 2016.02.09 文/幸福実現党 鹿児島県本部 副代表 兼 HS政経塾 4期生 松澤 力 ◆約1,398トンのタンカンを大量廃棄 昨年、鹿児島県・奄美大島では、果実に卵を産み付けて、腐らせてしまうなどの深刻な被害を及ぼす害虫の「ミカンコミバエ」が見つかりました。 ミカンコミバエのまん延防止や根絶に万全を期すため、植物防疫法に基づき昨年12月13日から緊急防除が開始されています。 緊急防除に伴って、農林水産省は奄美大島のポンカン・タンカン・マンゴーなどの果実全般とトマト・ピーマンなどの果菜類全般に移動規制を決めました。 移動規制はミカンコミバエが確認された地点から半径5キロの対象作物にかかるため、奄美大島全域の対象区域となり、移動規制の期間は2017年3月まで長期間続く予定です。 奄美大島では、ポンカンやタンカンなどの果物を島外へ出荷する農業が地域の基幹産業の一つとなっています。 タンカンは年生産額が4億円を超える奄美大島の特産品です。 しかし、今回のミカンコミバエ被害と緊急防除による移動規制により、昨年からの1月29日までの累計で、規制品目の全廃棄量の8割以上を占める約1,398トンのタンカンが廃棄されています。 また、ポンカンも約264トン廃棄されています(2/4奄美新聞)。規制対象作物は、国が県を通じて買い上げて廃棄することになっています。 ◆再び侵入した国際的な大害虫 ミカンコミバエは体長6~7.5ミリメートルで、幼虫は柑橘類、バナナ、パパイヤ、マンゴーのほか35科にわたる生果実などの植物につく国際的な大害虫で、東洋の熱帯・亜熱帯・ハワイに広く分布しています。 日本では、小笠原諸島と奄美大島より南の南西諸島に分布することは知られていましたが、第2次世界大戦後、大害虫であったウリミバエの北上とともに、1974年には鹿児島県の屋久島と種子島にも侵入しました。 ミカンコミバエの雄成虫は、メチルオイゲノールという誘引物質(フェロモン)に極めて効果的に誘引されるため、殺虫剤とメチルオイゲノールを混合した製剤が当時開発され、ミカンコミバエ防除に大きな成果をあげました。 さらに、不妊化したミカンコミバエを人工的に増殖して野外に放つ、大規模な不妊虫放飼法によって根絶防除事業が生息地で順次行われてきました。その結果、1993年8月に与那国島での誘殺を最後に根絶が確認されたことをもって日本ではミカンコミバエが絶滅していました。 その後、再侵入に対する警戒は続行されていましたが、昨年奄美大島へミカンコミバエの再侵入が確認され、35年ぶりに対象作物の移動規制がかかる事態になりました。 ◆官民連携を強化した防除徹底の重要性 前回、ミカンコミバエの侵入から根絶まで12年を要した背景には、喜界島に侵入したミカンコミバエが他の群島全域に拡散して定着したという経緯がありました。 現在、過去の教訓から、まずは奄美大島内での根絶を目指した対策が懸命に行われ、他の島への侵入防止の警戒が続いています。 鹿児島県庁大島支庁によると、昨年11月16日〜12月4日の1回目の航空防除では、奄美大島の約4万ヘクタールにミカンコミバエを駆除する誘引板 約12万2000枚が散布され、さらに2月5日までに2回目の航空防除で約15万枚の誘引板が散布されています。 また、地上でも各市町村で行政担当者や若手の生産農家の方々も参加して誘引板の設置が進められています。 ただ、ミカンコミバエの寄生場所である寄主植物は、放置された農園や空き家などもあるため、行政や農業関係者の方々の対策と同時に、民間企業や住民の方々とも連携を強化した駆除も重要となります。 12月以降、奄美大島のミカンコミバエの誘殺数はゼロが続いておりますが、気温が上昇しミカンコミバエの活動が活発となる今後の防除対策がより重要となります。 地元の基幹産業を守るとともに、日本の農業を守っていくため、官民連携を強化した防除対策の徹底が求められます。 多くの方々にミカンコミバエ問題の深刻さと、対策の重要性を理解していただくため、私もさらに努力して参ります。 成長こそ最大の社会保障 2016.02.05 文/幸福実現党・香川県本部副代表 中西りえ ◆政治の目的 人が生まれてくるのは、その心を磨き、魂を成長させるためです。そこに自助努力の意味があります。人は永遠の生命をもち輪廻転生している存在だからです。 しかし、昔は誰もが人生の根底にもっていたその原点を、今、日本人は忘れつつあります。それは、国の指導者に信仰心という精神的主柱が消えてしまったからでしょう。 神仏の願われる世界を地上に現すのが本来の政(まつりごと)であり、本当の民主主義の原点であったはずです。 そして、それが名代としての政治家の仕事であるならば、そこに、私利私欲も党利党略もあってはならないのです。 ところが、その確固たる幹が失われたために枝葉末節に走り、何が「正義」なのかわからなくなっているのが今の政治ではないでしょうか。 当然、「経済」や「教育」にも影響し、昨年の「安倍談話」や今年の「日韓合意」の八方美人ぶりからもうかがえるように、釈然としない「外交」にも露呈しています。 ◆増税とバラマキの繰り返し 1989年竹下内閣によって消費税が導入されてから25年、日本は、増税とあらゆる保障金の分配を繰り返しては、財政赤字を増やし続けてきました。 消費増税の目的は財政赤字を減らすことであったにもかかわらず、現在、財政赤字は、実に当初の10倍である1000兆円超へと膨れ上がっています。 これは、おかしいと思わなければいけません。明らかに政府の経済政策の誤りであるにもかかわらず、来年にはさらに消費税10%へと安倍内閣2度目の増税が行われようとしています。 先般の参議院予算委員会で麻生財務大臣は、この消費増税に際しての国民一人あたりの負担額は年間2万7千円となることを修正発表しました。4人家族なら10万円以上の負担です。増税に伴い軽減税率が導入されようとしていますが、わずか一日10円~20円という試算です。 さらなる増税に先駆けて上振れ分などとして、参院選前の低所得高齢者への3万円支給や、商品券のバラマキ施策には甚だ矛盾を感じずにはいられません。 国家の発展のための経済政策であるべきが、精神的主柱なき、政治家の私利私欲、党利党略からの増税とバラマキの繰り返しは、人間本来の魂修行を妨げるという大きな罪を犯しているのではないでしょうか。 ◆自滅という国難 ここ数日、わが国は、奇しくも北朝鮮によるミサイル実験の発射に備えて防衛の体制がとられている真っ只中にあり、まさに危機に直面しています。 自分の国は自分で守る防衛の考え方は主権国家として当然のことですが、今の政治家や有識者たちが気付いていない「本当の国難」は、その精神的主柱である幹が枯れるという「自滅」の方向にあることだと思います。 極論にはなりますが、人間が「永遠の生命」であるならば、この世の命より魂のほうがはるかに重いからです。 今、日本は、安倍総理による企業への賃上げや設備投資、携帯料金値下げ要求など、政府による民間への介入が明らかに頻度を増しており、国家社会主義ぶりは誰の目にもわかるほどになりました。 先般、小惑星探査機「はやぶさ2」の部品を手掛けた愛媛県の精密部品製造会社が、大型設備投資を行った直後、民事再生(負債額30億円)を松山地裁に申請したという記事を目にしました。 経営判断は経営者がするものです。中途半端な財政出動で成長ヴィジョンを示せていないにもかかわらず、安易な政府の介入は逆に国益を失うことになります。 実は、これまでも当たり前のように私たちは飼いならされていますが、例えば、医療、教育、農業などの分野においても既に政府の規制だらけのなかで伸び方、生き筋がわからなくなって問題が山積しているわけです。 さらに、この度施行された「マイナンバー制度」に象徴されるように、このままいけば管理社会はとどまることを知らず、個人のプライバシーや財産にまで政府は介入し、共産主義や全体国家への恐怖さえ連想させる統制的社会へと加速をはじめているのが安倍政権の現状です。 ◆成長こそ最大の社会保障 私たちは、目先の利益にまどわされ、本来成長するべき魂を腐らせる人が殖えていくのを黙って見ていられないのです。 日本は、本来素晴らしい国です。資源はなくても「人財」という智慧の宝物があります。人が関わったぶん、新しい未来が拓けていく無限の可能性があるのです。 私たち幸福実現党は、本当の国難に立ち向かい、個人や企業が個性や創造性を発揮し、発展・繁栄していく「自由」を守りたいのです。 「自由」こそが「さらなる繁栄へ」の鍵であると確信します。 その意味において、現政権の謳う「増税による社会保障」は、終わりなき増税社会、統制国家への道であり、真逆の方向です。 増税ではなく、経済的にも精神的にも『成長こそ最大の社会保障』です。 これからの国家モデルは国民全員がそれぞれの段階から「自らを高め、成長する力」を導き出せる精神性、宗教性を背骨とした発展繁栄でなくてはならないと考えます。 全ての人の幸福実現のために、日本は変わらなくてはなりません。 今こそ、「新しい選択」で一緒に豊かな未来を創っていこうではありませんか。 消費税増税よりきつい!?固定価格買取制度(FIT)を廃止せよ! 2016.02.04 文/幸福実現党神奈川県本部副代表/HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆ 固定価格買取制度(FIT)とは? 2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT)が導入されてから、3年半が過ぎました。 FITとは、太陽光発電等の再生可能エネルギー(以下、再エネ)で発電する電力を電力会社に長期にわたり固定価格で買い取ることを義務づける制度で、当時の民主党・菅直人元首相の反原発への強いこだわりで導入されました。 買い取りのための費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下、賦課金)」として毎月の家庭や企業の電気料金に上乗せされます。 2015年度の賦課金単価は1.58円/キロワット時となり、2014年度の0.75円/キロワット時から倍増しましたが、今後もますます増額されることが懸念されています。 FITの導入に当たっては、特に太陽光については最初の3年間は利潤に配慮することとし、6%の利益が出るように設計されていました。 このことから、制度開始直後から多くの太陽光発電事業者の申請が殺到し、設備がないままに権利を押さえていきました。FIT開始後、新たに運転を開始した設備は、制度開始前と比較して約7割増えました。 ◆賦課金による負担 わずか3年で年間総額10倍 原子力発電所の稼働停止による燃料費の増加は、2011~2015年度の合計で約14.7兆円となる見通しです。(※1) 原子力発電所の稼働停止だけでも大変な負担増ですが、これに加えて、FITによる賦課金がさらに電気料金の負担を増やしています。 標準家庭(1か月の消費電力量が300キロワット時)における賦課金の月額負担額は、FITを導入した2012年度には66円(年間792円)であったのに対し、2015年度には474円(年間5,688円)にまで増加しています。 賦課金の国民負担の年間総額は、2012年度には約1,300億円でしたが、2015年度には約1.3兆円と、10倍に膨れ上がる見通しです。 2015年度は原発停止による燃料費増加で約2.3兆円、FITの賦課金で約1.3兆円、合計約3.6兆円が国民負担の増加となっていますが、これは消費税を約2%増税した場合の負担増に匹敵します。 ◆太陽光バブルによるさらなる負担増額の恐れ FITの導入により特に太陽光発電が爆発的に増加した背景には、制度の欠陥があります。 FITはもともと、太陽光発電への参入を目論んでいたソフトバンクの孫正義氏が、脱原発を進める菅直人氏にFIT導入を強く要望したこともあり、前述のとおり、特に太陽光の利潤に配慮した制度となっています。 FITによる太陽光発電の1キロワット時当たりの買取単価は、2012年度が40円、2013年度が36円、2014年度が32円、2015年度が29円と、段階的に引き下げられています。 このことはFIT導入当初からわかっていたため、多くの太陽光発電事業者は早い段階で申請し、当時は許されていた「空枠取り」が横行しました。 結果として、政府から認定を受けた太陽光の発電設備は、昨年8月時点で8,000万キロワットを突破し、政府が計画する2030年度時点の6,400万キロワットを大幅に上回る水準となっています。 これらの設備は認定が決まっただけで、発電するにはまだ時間がかかります。しかし、これらのすべての設備が発電した場合、買取費用は4兆円を超える恐れがあります。(1/10産経) ◆FITを段階的に廃止し、賦課金による国民負担の増大を阻止せよ 安全が確認された原子力発電所の再稼働が進んだとしても、賦課金による負担の増大が続けば、電気料金の上昇が続くことになります。 このため政府は、再エネの新規の設備認定要件を厳格化するほか、入札による買取価格の決定などによってコストを下げる方針ですが、ここでもう一度、FITによって再エネを増やすことの意味を考えてみる必要があります。 FITは民主党政権が「原発依存度の低減」や「温暖化対策」を理由に導入し、現政権も「自給率を高め、エネルギー安全保障に役立つ」と説明しています。 しかし、再エネ、特に太陽光発電は2015年の集中豪雨では壊滅的な打撃を受け、火山噴火で火山灰を被ってしまえば発電できないなど、エネルギー安全保障にはあまり役立ちません。 また、温室効果ガスを減らすことを目的とするなら、非常に高くつく方法であり、1トンの二酸化炭素を削減するのに約10万円かかると指摘する識者もいます(※2)。 さらに、膨大な国民負担によって日本の経済成長を阻害し、技術開発を促進することなく太陽光パネルのような従来型の技術に強制的にお金を流す仕組みを作ってしまいます。 よって、エネルギー安全保障・経済・環境のどれをとっても、ほとんど意味のない政策であり、限られた太陽光発電事業者に利益をもたらすだけの悪しき制度がFITなのです。 消費税の増税により「アベノミクス」は瀕死の状態ですが、FITをこのまま続ければ、消費税増税以上の負担が国民にのしかかることは間違いありません。一刻も早く制度を見直し、FITによる買い取りの新規受付を停止するとともに、FITを段階的に廃止すべきです。 ※1 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力需給検証小委員会報告書(2015年10月) ※2 Wedge「1%イコール1兆円 温室効果ガス削減目標の本当のコスト」(2014年11月) 若者の投票率を上げるには――ウソやごまかしのない政治を! 2016.02.02 文/千葉県本部 副代表 古川裕三 ◆公職選挙法の改正 昨年6月に改正された公職選挙法により、今夏の参院選より18歳以上が投票可能となります。 ただ、現行法では住民票を移してから3カ月以上居住していないと、その居住先での選挙人名簿に登録されずに投票することができません。 仮に、参院選の日程が、6月23日公示、7月10日投開票だった場合、18歳、19歳の学生は、3カ月前の3月23日までに転居していなければ投票できなくなってしまうわけです。 新たな有権者約240万人のうち、投票できなくなる有権者が7万人にも上る可能性があります。 こうした事態を解消すべく、このほど、議員立法により、転居前の自治体で投票が可能となる公職選挙法の改正案が参院特別委員会において全会一致で可決され、成立が確実となりました。 さらに政府は、現行では1か所に限定されている投票所を拡大させ、ショッピングモールや駅などに共通投票所を設置することや、期日前投票の投票時間を拡大させるなど、投票の利便性を高める公選法の改正案を成立させるとしています。 ◆政治不信の原因 これらの法改正により、投票の利便性が高まること自体はよいことですが、あくまで方法論であって本質論ではないこともまた事実であります。 そもそも、若者の政治離れが進み、全体としても、各選挙の投票率が下がり続けている原因のひとつは、国民の多くが、「政治家は選挙の時だけいいことを言って、通ったあとはやりたい放題だ」、と認識しています。 なぜなら政治家に不信感を抱いているからです。「政治とカネ」にまつわる問題も後を絶ちません。 また、国民は「バラマキ政治」にも嫌気がさしています。選挙前にばらまいて、財政赤字が膨らんだとして後から増税してくる、というパターンに辟易しているのです。 ◆これぞ「THE・バラマキ」 例のごとく、参院選を控え、首相の支持により、補正予算で3951億円もの予算が組まれ、そのうち3600億円以上が「年金生活者等支援臨時福祉給付金」なるものに割かれ、選挙直前の6月中に、高齢者へ3万円がばらまかれるそうです。 その対象は1130万人。これを「税金による買収」と呼ばずして何でしょうか。ポピュリズムそのものです。 ちなみに今回の補正予算においては、「子育て世帯臨時給付金」は廃止されますので、出生率1.8を目指している首相の政策との整合性にも疑問が残るところです。 「若者や子育て世代は忙しくて選挙にも行けないだろうから、その代り、選挙直前に高齢者に現金を配ったら、投票率も高い、律儀な高齢者の皆さんは確実に票をお返ししてくれるだろう」という魂胆でしょう。 安倍総理も、命運が尽きたのでしょうか。自民党内部からも反発が出るほど露骨なバラマキ政策を主導するしかないのですから。 ◆年金保険料、使い込みの罪を糺せ 若者の政治離れに歯止めをかけ、国民の政治不信を払しょくするためには、政治家がまず「誠実」であるべきです。少なくとも、嘘を上塗りして失政のツケを国民に回してはいけません。 ここで取り上げたいのは、年金問題です。立党時より訴えておりますが、政府はまず、消えた年金積立金800兆円のけじめをつけよと言いたいところです。 年金制度は当初、積立方式でスタートしたにもかかわらず、いつの間にか賦課方式(現役世代から高齢者への仕送り制度)へと勝手に制度変更されました。 そして納めた以上の年金を高齢者へ給付する大盤振る舞いから始まり、厚労省や旧社会保険庁の官僚たちが天下り先の特殊法人や公益法人を通じて浪費した人件費、福利厚生費への流用、グリーンピアなどの無駄なハコモノ建設など、年金以外の助成金などに使い込まれました。 このことについて、政府は一度でも謝罪したことがあったでしょうか。 年金保険料と称して、税金として使い込んでいたわけですから、その罪は極めて重いです。正義の観点から、歴代の政治家、官僚など、関係者は刑事告訴を受けるべきです。 この事実をひた隠し、「子供にツケを回さない、安心の社会保障のため」と謳って消費税をどんどんと上げようとしているから許せません。 少子高齢化が進展するなか、賦課方式のままであれば、若くなればなるほどその負担が重くなります。 「景気が悪い、給料が上がらない、だけど消費税や保険料は重くのしかかる。」これで若者に希望を持てと言っても無理があります。 私たちは、増税ありきの考えは間違いで、民ありき、国民の豊かさ、幸福ありきであるという信念のもと、「小さな政府」を中軸に、国を守る国防政策、個人が豊かになる経済政策を一貫して7年間言い続けてまいりました。全くぶれていません。 幸福実現党の最大の強みは、正直かつ誠実で、先見性に富んでいるところです。 立党7周年を迎える今年、どうか国民の皆様には、私たちに信頼を寄せていただきたいと心よりお願い申し上げます。 そして最後に、私と同じ若者に一言。 「一緒に変えよう。政策はある。」 すべてを表示する « Previous 1 … 34 35 36 37 38 … 78 Next »