Home/ 経済 経済 【活動報告】3月28日(木)「消費税10%への『増税中止』を求める署名提出集会」を開催 2019.03.29 幸福実現党 広報本部 本日は、3月28日に開催した「消費税10%への『増税中止』を求める署名提出集会」を政党のホームページからご紹介致します。 ■【活動報告】3月28日(木)「消費税10%への『増税中止』を求める署名提出集会」を開催 https://info.hr-party.jp/2019/8548/ (写真あり) 安倍首相と財務省に提出した要望書 ↓↓ 【PDF】消費税10%への「増税中止」を求める要望書 https://info.hr-party.jp/files/2019/03/28220132/j818npsq.pdf ◆『増税中止』を求める署名【34,212筆】を安倍首相に提出 幸福実現党は3月28日、首相官邸前で「消費税10%への『増税中止』を求める署名提出集会」を開催し、内閣府を通して安倍晋三首相宛てに【34,212筆】の署名を提出してまいりました。 同時に、「消費税10%への『増税中止』を求める要望書」も安倍首相と財務省宛てに提出しています。 首都圏を中心に集会にお集まり下さった有志の皆様、そして、全国で熱心に署名活動に取り組んでくださっている皆様、署名にご協力くださった数多くの皆様に心より御礼申し上げます。 ◆安い税金、小さな政府を目指す政党は幸福実現党しかない 集会では、釈量子党首が挨拶。「消費税の増税以降、地方の中小企業の経営は極めて厳しくなっています。 国内の企業の9割を占め、雇用の7割を支えている中小企業の経営者の悲鳴にも似たお声を伺うにつけ、増税の凍結のみならず、5%への減税が必要だと考えています。 私たちは、増税一本の国づくりはおかしいと考えています。そもそも日本では、安い税金、小さな政府を目指す政党は幸福実現党しかありません。 逆進性の強い消費税を減税することが、最大の福祉だと考えています」などと、消費増税への反対と減税の必要性を訴えました。 ◆増税対策は結局、国民をいじめることになる 神奈川県本部のいき愛子統括支部長は、「横浜の洋食屋の女将さんから、『キャッシュレス決済にするとポイント還元の対象になると言われるが、手数料を取られるのでうちでは儲からない』と聞きました。 増税対策が結局、中小企業やお年寄り、子供たち、生活に困っている人たちをいじめることになる。消費税を下げると、皆がお金を使えるようになり、企業の売り上げが伸び、税収が増えていくんです」と、減税の意義を訴えました。 埼玉県本部の小島一郎県代表は、「今年就職する若い世代は、生まれてこのかた、一度も日本の景気がいい時代を経験していません。彼らは消費税を3%から5%に上げた頃に生まれたと思いますが、その時と今年が良く似ていると言われます。 昭和の時代には、消費税などなかったんです。輸出景気が見込めない中で、消費税を10%に上げたら、8%に上げた時より厳しい不況がやってきてしまう。止めたいと思わないでしょうか!」と呼びかけました。 集会の中では、「消費増税は、家計の負担だ!」「軽減税率は、お店を困らせる悪法だ!」「政府は国民に増税を強いる前に『身を切る改革』を行え!」などのシュプレヒコールを上げました。 ◆増税は日本の未来にかかわる 七海ひろこ広報本部長が、署名と要望書の提出を報告し、「各地で署名を集めさせていただく中で、『増税はもう、決まってるんでしょ』『消費税、必要なんでしょ』という声をいただきました。 『いや、そうではないんです』と言って、消費税が導入されて30年、この日本の景気がいかに落ち込んできたか、そしてこの増税は日本の未来にかかわる、とお伝えすると、『それなら、増税反対の署名に協力する』と、多くの方から署名をいただくことができました。 私たち幸福実現党、この日本で減税による経済繁栄を実現したいと考えています」と語りました。 「消費税10%への『増税中止』を求める署名」は、最終締め切りを4月20日として引き続き募集しています。ご協力をよろしくお願いいたします。 ■「消費税10%への『増税中止』を求める署名」ご協力のお願い https://info.hr-party.jp/2018/7638/ ※ 集会の様子は下記でも報道されています。 ・【ザ・ファクトREPORT】どうなる消費税10%!~安倍首相はまだ増税の決断を迷っている!? (幸福実現党の署名提出集会を紹介) https://youtu.be/aebDD2EAYlQ ・【リバティWeb】幸福実現党が内閣府に「消費増税中止」求める署名提出 https://the-liberty.com/article.php?item_id=15586 安倍首相の右手には「カジノ法」、左手には「ギャンブル禁止法」 本音はどっち? 2019.03.27 安倍首相の右手には「カジノ法」、左手には「ギャンブル禁止法」 本音はどっち? HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆安倍政権が「カジノ法」の施行令を閣議決定 3月26日に、安倍内閣は、カジノを含んだ統合型リゾート(IR)施設を整備するための施行令を閣議決定しました。 これは、2018年にできた「IR推進法」(※)を具体化するための措置です。 巨大ホテルや国際会議場の併設が必須とされ、カジノ事業者に100万円以上の現金とチップを交換した顧客の情報を国に報告することが定められました。 しかし、その中で、とりわけ違和感があるのは、カジノ広告は外国人向けに空港などの入国審査区域に限って出せるという規定です。 そこには「日本人に賭博をすすめるのはよくないが、外国人にはすすめてよい」という考え方が見てとれます。 これは「外国人が賭博中毒になろうが、我々には関係ない。儲かればいいんだ」という発想なので、海外から見れば利己的な金儲け第一主義に見えるのではないでしょうか。 (※IR推進法の正式名称は「特定複合観光施設区域整備法」。IRはIntegrated Resortの略) ◆「IR推進法」のいちばんの強調点は「カジノ」 このあたりに、この法案を進める政治家の本音が出ています。 施行令では「カジノはIR施設の3%まで」としているのは、反対する国民に、その規模を小さく見せたいからです。 しかし、施設の区域を広くとれば、大きなカジノでも「3%」に収まるのではないでしょうか。 この法律に関しては、いろいろな詭弁があるので、特に注意が必要です。 そもそも、「統合型リゾート施設」とし、「IR推進法」と呼ぶのは、「カジノ法」と呼んだら誰も賛成しないからです。 「ホテルや国際会議場、展示施設なども一緒につくればいい」という論調も根強いのですが、法案でいちばん力点が置かれているのは、やはり、カジノ新設です。 それは、第一条に書かれた「目的」を見ればわかります。 そこには、国の監視と管理の下で「カジノ事業」を営み、その収益を活用して「特定複合観光施設区域の整備」を促すと書かれています。 そして、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現する」ために、カジノ事業の免許や規制、料金、管理委員会のあり方などの大枠を定めたのです。 しかし、カジノに「魅力」を感じ、「滞在型観光」を実現する人が増えることで、何が起きるのでしょうか。 ◆日本はすでにギャンブル依存者が多い国になっている 当然、カジノの開設で懸念されるのは、ギャンブル依存者の増加です。 しかし、すでに日本は、ギャンブル依存者が多い国になっています。 厚生労働省が2017年に外部委託した調査によれば、成人の3.6%が生涯を通じて「ギャンブル依存症が疑われる状態になったことがある」とされています。 (※国立病院機構久里浜医療センターの調査) 同じ基準で見た時に、フランスは1.2%(2011年)、韓国は0.8%(2010年)なので、日本は他国よりも高いのです。 これを国勢調査のデータに換算すると約320万人になります。 最近の1年間に「依存症が疑われる状態だった人」は70万人(0.8%)と見なされています。 これ以上、ギャンブルで人生を棒に振る人を増やしてはなりません。 ◆「ギャンブル等依存症対策基本法」とカジノ建設は矛盾する 大きな矛盾なのですが、安倍政権下で、2017年には「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立していました。 こちらでは、ギャンブル依存症が本人と家族を苦しめ、「多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせている」ことへの対策が定められています。 これをつくった翌年に「統合型リゾート」を推進する「公共政策」と称して、IR推進法をつくったのです。 しかし、公共政策というのは、道路や水道のように、みなが必要であるのに、民間だけではつくれない財(公共財)を提供する政策のことです。 カジノを含めた「統合型リゾート」は、そうした「誰もが必要とするもの」ではありません。 だから、これが「公共政策」だというのは、大きなウソです。 結局、安倍政権は「ギャンブル等依存症対策基本法」との矛盾を隠すために、国民をあざむいているのです。 ◆日本は、正攻法で経済を復興すべき やはり、日本は「カジノ」のような奇策ではなく、正攻法で発展を目指すべきです。 そのためには消費税の減税等が大事ですが、あえて、カジノの代案を挙げるのなら「証券課税の廃止」がそれにあたります。 これは、日本人の投資を増やすだけでなく、海外の投資家に日本の株式を買ってもらったり、富裕層を招き入れたりする政策だからです。 約2割の証券課税は、所得税を取られた後に投資をした時の「儲け」にかかっています。 売却益にも配当金にもかかるのですが、これが二重課税であることは明らかです。 NISAという非課税の投資枠もありますが、これは年120万円、5年で600万円が上限です。 もともとは長期投資の活性化を目指したのですが、上限が小さく、謎の5年枠がついているために、「ないよりはまし」というぐらいの策に終わっています。 公益性のないカジノを国が主導するよりも、証券課税を廃止し、国民に企業への投資を推奨したほうが理に適っています。 新しいビジネスの創造は、国ではなく、民間主導で行われるべきだからです。 参考 ・国立病院機構 久里浜医療センター「国内のギャンブル等依存に関する疫学調査(全国調査結果の中間とりまとめ)」(樋口進院長/松下幸生副院長、2017/9/29) ・特定複合観光施設区域整備推進本部事務局「IR推進会議取りまとめ(概要)~「観光先進国」の実現に向けて~」(2017年8月) 年金支給開始年齢「65歳」はいつまで続く? 2019.03.26 年金支給開始年齢「65歳」はいつまで続く? HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆2019年には年金の「財政検証」が行われる 今年の夏には「100年安心」の年金プランを保障するという名目で、5年に1度の「財政検証」が行われます。 具体的には、年金給付が会社員世帯の平均賃金の半分以下にならないように給付額を調整するのですが、この作業は、過去、2004年、09年、14年にも行われてきました。 国民の多くは年金に関心を持っているので、これは、参院選のあたりから、クローズアップされるはずです。 ◆保険料だけで維持できない年金財政 今の年金制度は、保険料だけでは成り立たず、国費を用いて運営されています。 2017年の国民年金と厚生年金の歳入は52兆円ですが、そのうち保険料は32兆円です。 国の財政からお金を出して、運営を続けているのです。 (※運用損益や積立金の取崩し、解散基金への徴収金等があるので、必ずしも「給付額-保険料=国費」ではない) そのため、将来に積立金が枯渇することを恐れ、給付を調整する「マクロ経済スライド」という仕組みが2004年に導入されました。 ◆2019年の年金伸び率が0.1%となった理由 2019年には、年金伸び率が0.1%になったことが注目されました。これは、マクロ経済スライドが行われた結果です。 この制度は、賃金や物価を勘案した伸び率から調整率を引いて年金の給付額を決めます。 例えば、2019年は伸び率0.6%から調整率0.5%が引かれ、給付金は0.1%増えました。 (※この調整率は二年分。18年分が0.3%、19年分が0.2%。法改正で前年分の加算が可能になった) しかし、伸び率から調整率を引くとマイナスになる時には、前年と同額の給付金が出されます(伸び率ゼロ)。 また、賃金や物価が下がった場合は、その下落率と同じ割合で年金が減ります。 この場合、下落率に調整率は足しません。 この制度は「自動調整制度」といわれますが、伸び率がプラスの時にだけ働くので、実際は、導入以後も給付金はあまり減っていません。 ◆年金保険料 さらなる増額がやってくる? 厚生労働白書(平成29年度)を見ると、2004年から17年までの間、各人の年金支給額を減らしても、保険料が延々と上がり続けています。 その現状は以下の通りです。 【老齢基礎年金】(40年納付満額】 満額で計算すると、1月あたりの基礎年金の受給額は13年間で2%(1267円)しか減っていません。 ☆66208円(2004年)⇒64941円(2017年) 【夫婦の基礎年金+夫の厚生年金】 また、標準的なモデル世帯の年金受給額(月あたり)は13年間で5%(12022円)の減額でした。 ☆233299円(2004年)⇒221277円(2017年) しかし、年金の保険料は、もっと大きく上がっています。 2004年に月13300円だった国民年金の保険料は、2017年に16900円に達しました。 また、給料にかかる厚生年金の保険料率は、同じ期間で、13.9%(04年)から上限の18.3%(17年)にまで上がっています。 現在、保険料は上限に達し、現役世代は一息ついています。 しかし、これからも少子高齢化は進むと、さらに保険料が上がる恐れがあります。 選挙で高齢者票は捨てがたく、支持率低下を恐れる安倍政権が給付を減らすのは難しいからです。 ◆現役世代の負担をこれ以上、増やせるのか 政治家は年金の大盤振る舞いを続けてきましたが、今の支給額を維持するのは難しいことです。 少子高齢化によって、現役世代の負担はどんどん増えているからです。 2020年には、1人の高齢者を2人の現役世代で支えますが、こんな数字は、年金ができた頃には「想定外」でした。 国民年金法ができた頃には、1人の高齢者を11人の現役世代で支えていたのです(※1960年。国民年金法は59年成立、61年施行)。 この情勢の中で現役世代の負担を延々と増やし続けることはできません。 現役世代には、子育てや新しい仕事の創造といった、未来のためのお金も必要だからです。 ◆年金支給開始年齢の引き上げは自然な流れ そのため、年金改革の議論の中では「年金給付の開始年齢を引き上げるべきだ」という主張が出てきます。 財務省が68歳への引上げ案を出したこともありましたし、70歳への引上げを提言する識者も少なくありません。 世界から見ても、日本は平均寿命の長い国だからです。 この是非を考える際には、年金ができた頃に、少子高齢化を想定していたかどうかを振り返る必要があります。 1960年の日本の平均寿命は、男性が65歳で、女性が70歳でした。 2016年の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳なので、56年で16歳以上、伸びています。 さらに、出生率は「2」(1960年)から「1.43」(2017年)にまで下がっています。 これだけ世相が変われば、支給開始年齢が引上げられるのは、仕方のないことです。 負担と給付のバランスをとるために、まずは68歳、さらには70歳にまで上げざるをえないのではないでしょうか。 【参考】 ・厚生労働省年金局「厚生年金・国民年金の平成29年度収支決算の概要」(2018/8/10) ・日経電子版「年金額0.1%増に抑制、マクロ経済スライド発動 19年度」(2019/1/18) ・日本年金機構HP「マクロ経済スライド」 ・厚生労働省『平成29年版厚生労働白書 資料編』 ・内閣府『平成30年版高齢社会白書』 ・内閣府『平成30年版少子化対策白書』 「医療費40兆円」時代の制度改革 所得に応じた窓口負担へ 2019.03.24 「医療費40兆円」時代の制度改革 所得に応じた窓口負担へ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆経済成長率 VS 医療費の伸び率 2001年に31兆円だった日本の医療費は、2017年に42兆円に増えました。 16年で1.35倍なので、医療費の伸び率は1年あたり1.9%。 この勢いは、日本の実質GDPの伸び率の二倍以上なので、今の日本では「医療費を誰が負担するか」が、大きな問題になっています。 経済のパイはたいして大きくならないのに、医療費にさかれる割合が上がり、現役世帯の国民健康保険料が上がり続けているからです。 (※01年~17年の実質GDPの平均伸び率は0.8%) ◆病院に行くのは虫歯と風邪ぐらいなのに・・・ 2017年の医療費を人口で割ると、一人あたり33万3千円。 12ヶ月で割ると、1ヶ月あたり27750円。 ただ、これは人口割なので、現役世代は、もっと多くのお金を支払っています。 例えば、東京の文京区で年収が432万円の方には、年間で50万円ぐらいの国民健康保険料がかかります。 (※これは文京区HPの簡易計算ページで算定。432万円は2017年の平均年収) 年収の1割以上の保険料なので、虫歯の治療と風邪の検診ぐらいしか病院に行かない人には、高すぎる数字です。 ◆後期高齢者医療の費用は現役世代の4倍以上 朝日デジタル(2018/9/21)は、医療費増の要因として「75歳以上の後期高齢者の医療費が伸びたこと」をあげ、その費用は「全体の増加分の7割超を占めた」と報じています。 国民一人あたりの医療費を見ると、75歳以上の医療費は94.2万円。 75歳未満は22.1万円なので、高齢者医療には、現役世代の4倍以上のお金がかかっています。 ◆高齢者の医療費が「1割」で済む背景 しかし、多くの後期高齢者が支払う医療費は「1割」で済んでいます。 「現役世代並み」の収入があれば高齢者も3割負担になるように改革されましたが、その認定基準が緩いからです。 ――― 〇75歳以上の高齢者が世帯に1人。収入額が383万円未満 ⇒医療費は1割 〇75歳以上の高齢者が世帯に2人。収入額合計が520万円未満 ⇒医療費は1割 ――― そのため、たいていは1割負担となり、足りない分の医療費は現役世代の保険料と公費でまかなわれています。 ◆今の日本では、貧しい若者が豊かな高齢者の医療費を負担? むろん、生活に困った高齢者に対しては、セーフティネットとしての医療が必要なので、「1割」という負担額がちょうどよい方もいます。 しかし、この制度には「貧しい若者が豊かな高齢者の医療費を負担する」事態が生じかねない、という問題があります。 そのため、総務省の「家計調査報告」から、世代別にみた資産の平均値を見てみましょう。 〔以下、年代:純資産(貯蓄-負債)で表記。単位は万円〕 ――― 〇 40歳未満:-521万(602万-1123万) 〇 40~49歳:19万(1074万-1055万) 〇 50~59歳:1082万(1699万-617万) 〇 60~69歳:2177万(2382万-205万) 〇 70歳以上:2264万(2385万-121万) ――― あくまでも平均値なので、個々の世帯はいろいろですが、このデータからは、お金に困っていない高齢者もかなりいることが推測できます。 ◆後期高齢者の医療負担は「年齢」ではなく「所得」で決めよう 平成29年度の医療費を見ると、総額42.2兆円のうち、75歳以上の医療費は16兆円なので、総額の4割(38%)を占めています。 そして、後期高齢者医療は「公費が5割、現役世代の保険料が4割、自己負担が1割」なので、16兆円のうち約1.6兆円が自己負担分とみられます。 残りの14.4兆円は74歳以下の保険料や公費でまかなわれているのです。 これを所得に応じて医療費を負担する仕組みに変え、後期高齢者が平均で2割を負担すれば1.6兆円の医療費が軽減されます。 これから75歳以上の方が増えていきますが、「団塊世代の中には、受け取る年金だけでも、夫婦で400万円を超える世帯も珍しくない」(土居丈朗氏・慶大経済学部教授)ので、かなりの世帯は負担増に堪えられるはずです。 低所得者もいるので、みなで3割負担は難しくとも、「2割以上の負担」が実現すれば、公費と現役世代を足した負担分を2兆円近く減らせる可能性があるのです。 ◆少子高齢化の進展により、「1割負担」の改革は不可避 少子高齢化が進み、現役世代が支える高齢者の数は増え続けているので、「1割負担」をいつまでも続けられるとは思えません。 『高齢社会白書(平成30年版)』は、65歳以上人口と15~64歳人口の比率の推移を比較しています。 そして、高齢者1人あたりの現役世代の数を、以下のように見込んでいたのです。 ――― 〇1950年:現役世代12.1人 〇2015年:現役世代2.3人 〇2020年:現役世代2人 〇2035年:現役世代1.7人 ――― 現役世代が減れば、一人あたりの社会保障費の負担はどんどん重くなります。 若い世代に多くの社会保障費を課せば、日本の活力も失われていきます。 現役世代には、子育てや新たな仕事の創造など、未来のために使えるお金が必要だからです。 そのため、高齢者の医療負担は「年齢」ではなく、「所得」に応じた基準に改める必要があるのではないでしょうか。 ※高齢者が高額の医療負担に直面したらどうするのか。 日本では高額療養費制度によって自己負担の限度が定まっているので、前掲の変革で医療費の上限は変わらない。低所得者に限定して「1割負担」を残せば、セーフティネットとしての医療は維持できる。 【参考】 ・日経電子版「国民医療費とは 15年度42兆円 1人あたり33万円」(2018/9/17) ・朝日デジタル「昨年度の医療費、過去最高42.2兆円 2年ぶりの増加」(2018/9/21) ・文京区HP「国民保険料簡易計算」 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果―(二人以上の世帯)」 ・厚生労働省保険局調査課『-平成29年度 医療費の動向-』 ・東京都後期高齢者医療広域連合「医療費の現状」 ・土居丈朗「高齢者の医療費は原則「3割」に引上げよ」(東洋経済デジタル版) ・内閣府『平成30年版高齢社会白書(全体版)』 消費税増税は犯罪をも助長する 2019.03.23 消費税増税は犯罪をも助長する 幸福実現党 山形県本部統括支部長 城取良太 ◆消費増税は即、マイナス成長を招く 日本政府は20日、3月の月例経済報告の中で、世界経済の減速を要因に、国内の景気判断について3年ぶりに下方修正しました。 これにより、本年10月に予定されている消費税率10%への引き上げが日本の経済を予想以上に悪化させるのではないか、という現実的な懸念が一気に広がりつつあります。 1月に発表された景気動向指数を見ても、前回増税の先送りを決めた3年前よりも0.5ポイント低く(97.9)、2018年度のGDPは548兆円、経済成長率は0.6%(内閣府・共に名目)と日本経済は前年から約3兆円しか成長していません。 一方、10%への引き上げで政府が見込んでいる税収増は約5.6兆円(GDPの約1%)で、単純に税収として差し引けば、誰が見ても一気にマイナス成長となるのは瞭然です。 軽減税率の導入で何とか軟着陸させたいのでしょうが、複雑化を招き、可視化できないものを含め、軽減税率のコストは未知数で、軽いようには思いません。 何より、増税のインパクトはGDPの約6割を占める個人消費を中心に悪循環を招き、予測以上のマイナス成長で日本経済は立ち行かなくなる危険性が大だと言えます。 ◆新聞メディアは社会の公器としての使命を果たせ その大きすぎる衝撃は個人のみならず、日本経済のエンジンである企業に重く圧し掛かってくるはずです。 企業としては「増税分を転嫁して価格上げを強いられるか」、「価格据え置きで増税分の利益を圧縮するか」の苦渋の選択を強いられることになり、業績悪化を招く要因となるのは必至で、それは従業員の安定にも暗い影を落とすはずです。 そんな消費増税による日本経済への深刻な打撃を前に、高所から「日本の低賃金」を槍玉に、従業員に還元しない企業悪玉論を展開して、官製ベアを継続したい政府の片棒を担いでいる新聞メディアもいます。 一方で、不思議なことに消費税に関しては「社会保障の財源確保のため増税やむなし」の一点張りで、ほとんどの新聞メディアが口を閉ざしてしまいます。 それは飲料食品と並び、新聞も軽減税率の対象となるためで、軽減税率なしでは立ち行かなくなる新聞業界の苦しい経営事情が見て取れます。 しかし、マスコミが自社の経営に縛られて、「社会の公器」としての機能を果たさずにおきながら、他業種の経営に口を挟むというのは言語同断です。 日本経済に責任の一端を担う存在として、消費税増税の是非を多角的・客観的に検証し、健全な世論を形成する役割を果たして頂きたいと思います。 ◆消費増税で得をする人々 国内の家計や企業をすべからく苦境に陥れる消費税増税ですが、一方で増税の恩恵を受ける存在も一部でおります。 それは海外の金密輸業者です。 香港等の非課税国で金を仕入れ、税関を通さずに国内に持ち込み、国内の買取り業者に消費税込みの金額で売却することで、増税分がまるまる彼らの「儲け」になるという仕組みです。 財務省は昨年の摘発件数が大幅減し、取り締まりの強化が功を奏したと喧伝していますが、8%に税率が引き上げられた5年間で件数は約91倍に増えており、10%への引き上げが密輸のモチベーションを更に高める結果となると言えます。 また、摘発件数の減少が意味するものは、密輸手法が高度化し、摘発できない件数が増えているだけとも言え、結局、取り締まりを強化し、そこに労力とコストをかけても、終わることのないイタチごっこになる懸念もあります。 とにかく、日本人が更なる増税で喘ごうとする中、密輸業者にその増税を悪用させてしまっている事実自体、許すことは出来ません。 ◆一貫して消費減税を訴えてきた幸福実現党の10年間 個人消費を冷やし、企業経営を苦しめ、全体の国家税収の減少を招く上、犯罪まで助長してしまう消費税増税はまさに愚の骨頂、全方位的に害悪しかもたらさない最悪の経済政策です。 財務省としては、消費税は非常に徴税コストが安く、脱税の牽制効果があるという点をフル活用したいようですが、密輸業者による脱税が横行し、コストを高めている結果はまさに皮肉です。 そんなに効率的に徴税したいなら、高すぎる税体系や累進課税を改め、公平性の高い一律課税型(フラットタックス)の安い税体系を導入し、納税意識を高めるべきではないでしょうか。 また安倍政権においても、増税の延期は未来の不安を先延ばしするだけで、景気への悪影響は断続的に続いている点を認識し、はっきりと消費税増税を廃止する決断を行うべきです。 幸福実現党は立党より10年間、消費税の増税に反対し、消費減税の必要性を訴え続けて参りました。 (「消費税10%への増税はまだ止められる!」https://info.hr-party.jp/2019/8184/) 国家財政の基は活力溢れた個人と企業が前提にあると確信し、「唯一」の減税路線政党としての使命を今後も果たして参ります。 米中ともに大減税なのに、日本だけは増税? 2019.03.21 米中ともに大減税なのに、日本だけは増税? HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆米中英仏が「減税」を決定 安倍政権は消費税増税を目指していますが、世界の主要国は減税に向けて動いています。 米国で成立した「トランプ減税」をはじめとして、英仏の法人税減税や、中国での減税などが進んでいるのです。 3月の全人代で中国の減税プランが固まったので、四カ国の減税を紹介し、日本の増税路線の是非を考えてみます。 ◆トランプ減税 10年間で1.5兆ドルの衝撃 まず、トランプ政権下で17年12月に成立した共和党の減税法案を振り返ってみます。 10年間で約167兆円(1.5兆ドル)となる減税の中身は以下の通りです。 ――― 〇所得税 ・最高税率引下げ:39.6%⇒37% ・二種の控除を統合:12000ドルに拡大 ・児童控除を倍増(1000ドル⇒2000ドル) ・家族控除を新設(500ドル) 〇遺産税(日本でいう相続税) ・控除枠を倍増(550万ドル⇒1100万ドル) 〇法人税 ・連邦法人税率を引下げ:35%⇒21% ・小規模ビジネスの事業所得への20%控除を創設 ――― 特に注目を集めた法人税減税では、21%の税率の上に州法人税がかかります。 (州法人税の税率は0~12%の範囲。50州のうち23州が3~6%台。6州が0%) 日本の法人税は約30%(実効税率)なので、米国との税率差が広がりました。 ◆英国、フランスの法人税減税 英国の法人税は19%ですが、これが2020年4月以降は17%になります。 EU離脱の衝撃を考えれば、これは、必要な措置です。 また、フランスでは、現行33.33%の法人税(実効税率)が2020年には25%にまで下がります。 中小企業に15%の軽減税率が適用されることも決まりました(「売上高が763万ユーロ未満」等の条件がある)。 これは、成長鈍化への対策として打ち出された大幅減税です。 ◆何と、中国で「大減税」が進行中 そして、興味深いのは、景気減速を恐れた中国の「大減税」です。 すでに18年には21兆円相当(1.3兆元)の減税が実施されています。 ――― 〇18年減税 ・消費税に相当する「増値税」を1%減税(16%/10%/6%の三段階) ・法人税減税(研究開発控除の拡大、赤字を翌年損金に計上、小規模企業への優遇税制など) ・個人所得税の課税最低限引上げ:3500元⇒5000元 ――― 18年の所得税減税で、年収200万円の会社員の負担は年5万円ほど減ると見られています。 19年3月の全人代では、33兆円(2兆元)もの追加減税が決まりました。 ――― 〇19年減税 ・製造業の増値税:16%⇒13% ・交通、運輸、建築業の増値税:10%⇒9% ・企業の税負担と社会保険料の軽減 ――― トランプ政権の減税は1年あたり16兆円程度でしたが、19年の中国の減税額は、その二倍の規模です。 ◆日本だけは、なんで「増税」? このように、日本よりも経済成長率の高い国々が、未来に備えて減税を進めています。 2018年の実質GDPの伸び率は、米国は2.9%、英国は1.4%、フランスは1.5%。 中国は6.6%とされますが、日本は0.8%でした。 にもかかわらず、安倍政権は「景気がよいから大丈夫」と楽観し、消費税10%を目指しています。 残念ながら、成長率の低い日本のほうが、増税を選んでいるわけです。 しかし、本来、増税ができるのは景気がよい国であり、減税が必要なのは、景気の悪い国のほうです。 経済の常道から見れば、自公政権がいう消費税増税は撤回しなければなりません。 幸福実現党のいう、消費税5%への減税が必要なのです。 (参考) ※財務省主税局調査課 『「トランプ税制改革」について』(日向寺裕芽子/塩田真弓) ※TAX FOUNDATION “State Corporate Income Tax Rates and Brackets for 2018″(Morgan Scarboro) ※日経電子版「中国、年5兆円規模の所得減税 貿易戦争に備え」(2018/9/27) ※JETRO「李克強首相、4月1日から増値税率引き下げを発表」(2019/3/18) ※JETRO「全人代で2019年も増値税率引き下げの方針を発表」(2019/3/15) 「日本の景気はよくなった」は本当? 中小企業統計が語る現実 2019.03.19 「日本の景気はよくなった」は本当? 中小企業統計が語る現実 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「景気はよくなった」とうそぶく現政権 安倍政権は「景気は消費税増税で一時期、後退したが、最近は回復してきている」と見て、消費税を10%に上げようとしています。 「好景気が続いている」とマスコミも報じていますし、実際に、多くの企業の業績がよくなったのも事実でしょう。 しかし、その声とはうらはらに、中小企業の売上高は、そんなに伸びていません。 そのことを、財務省の「法人企業統計調査」から確認してみたいと思います。 ◆バブル崩壊以降、中小企業の売上高平均は「半減」 まず、政府資料から見ますと、平成27年の『中小企業白書』では、小企業と中企業、大企業について、34年間の平均売上高の推移を比較しています。 そこでは、1980年の値を「100」とした時に、大・中・小企業の売上高(1社あたり平均値)の推移が書かれていました。 ・大企業:98.9(80年代)⇒91.5(2010~13年) ・中企業:104.7(80年代)⇒51.6(2010~13年) ・小企業:103.7(80年代)⇒55.1(2010~13年) 驚くべきことに、中小企業の平均売上高が半減しています。 大企業の売上高はバブル崩壊後、失われた20年の間も少しずつ回復してきましたが、中小企業の売上は不調が続いていたわけです。 (2000年代では中企業は50.3。小企業は57なので、2010~13年に大きな好転は見られない) 安倍首相が前回の消費税増税を決断したのは2013年10月でしたが、このデータから見る限り、当時の政府が中小企業の状況を正しく把握できていたとは思えません。 (※前掲データは財務省の「法人企業統計調査」を整理したもの。資本金を基準として、小企業は1000万円~1億円未満、中企業は1億円~10億円未満、大企業は10億円以上と仮定。各グループの売上累計を調査対象の頭数で割り、1980年の値を100として指数化した) ◆「勢い」がなくなった日本の中小企業 しかし、これは2013年までの話なので、「その後は違うのでは」と思われた方もいるはずです。 そのため、財務省の「法人企業統計調査」の時系列データ(金融業と保険業除く)を用いて、その後の平均売上高を追跡してみました。 80年代と第二次安倍政権の期間(2013~17年)で比べてみましょう。 以下、売上高(1社あたり平均値)です。 〇中企業 ・80年代:10.3億円 ・2013~17年:5.3億円 〇小企業 ・80年代:1.4億円 ・2013~17年:0.7億円 多少、改善していますが、やはり、半減しています。 ほぼ、中小企業白書に書かれた通りの結果です。 利益率は上がり、経営体質は改善されましたが、この売上減は、中小企業が「勢い」を失ったことを示しています。 売上が減ればシェアの獲得もままならず、お金の貸手からは将来性に疑問符をつけられるので、これはゆゆしき問題です。 安倍政権は「起業家育成」も掲げていますが、売上減が深刻なのですから、消費増税で中小企業や新興企業の勢いを削ぐべきでありません。 ※参考:1社あたり平均純利益。 ()内は売上高に占める純利益の割合 ▽中企業 ・80年代:901万円(0.9%) ・2013~17年:769万円(1.4%) ▽小企業 ・80年代:71万円(0.5%) ・2013~17年:105万円(1.5%) ◆「景気がよくなった」は、主に大企業の話なんじゃ・・・ さらに、大企業のデータも見てみると、安倍政権のいう「景気回復」の主な対象が見えてきます。 〇1社あたり平均売上高 ・80年代:281億円 ・2013~17年:270億円 ▽1社あたり平均純利益。 ()内は売上高に占める純利益の割合 ・80年代:3億4500万円(1.2%) ・2013~17年:11億6000万円(4.3%) 売上高は微減ですが、利益率は3.6倍になったので、大企業は強くなったとも言えそうです。 ◆大企業だけを見ている安倍政権では、日本経済復活はない 安倍政権は企業に賃上げを求め、限定的な減税政策で設備投資を募っていますが、どちらも、中小企業には難しい話です。 「金融緩和で円安になれば輸出企業に恩恵がある」といっても、中小企業の売上高に輸出が占める割合は4.1%(2015年)です。 円安は、原材料を海外から輸入・加工し、国内で売る企業にコストアップをもたらします。 輸出で儲ける大企業に消費増税はあまり関係ありませんが、国内で活動する中小企業は売上が減って苦しみます。 幸福実現党が、立党以来、この増税は消費を冷え込ませ、景気悪化をもたらすと述べていたのは、大企業だけでなく、中小企業まで含めて、日本経済を活発にしたかったからです。 消費税が上がれば利益の削り合いになるので、体力のある大企業のほうが有利になります。 しかし、それでは、新興企業は育ちません。 日本経済を活発にするには、新たに売上を拡大し、シェアを獲得するチャレンジャーが必要です。 幸福実現党は、消費税5%への減税によって消費を盛り上げ、零細企業から大企業までの業績を盛り立てることを目指します。 消費増税「今までより国民負担は軽い」は、なぜ詭弁なのか 2019.03.17 消費増税「今までより国民負担は軽い」は、なぜ詭弁なのか HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆19年増税で国民負担は6.3兆円増 政府の見積もりによれば、今年の増税で国民負担が6.3兆円ほど増えます。 そのうち、5.7兆円が消費税分なので、安倍政権は、軽減税率や教育無償化等を行い、「前よりも負担が軽くなるから」という論理で国民を説得しようとしています。 (残りの0.6兆円はたばこ税や所得税増税等)。 しかし、消費の冷え込みを恐れる声は大きく報じられず、軽減税率が適用される新聞社は、増税を既定路線として固めるかのような動きを見せています。 政府とマスコミに「福祉のために」といわれると、「そうなのか」と思い、納得してしまう方もいるわけですが、果たして、本当にそれでよいのでしょうか。 ◆増税の国民負担 過去の増税分と今回分を足したら月何万円増える? 消費増税には「何回かに分けられるので、国民には一回ごとの負担増の金額しか伝わらない」という問題点があります。 今回で増税は3回目ですが、2回目と3回目の増税を足して数えると、税率は2倍(5%⇒10%)になります。 しかし、新聞等で報じられるのは「今回の増税で1世帯あたり3~4万円増」(※)といった記事ばかりなので、「二回の増税を足した時、負担がどれだけ増えるか」を知らない方もたくさんいます。 日経電子版の試算によれば、平均年収(432万円:2017年)に近い収入階層(400~500万円)では、消費税が5%⇒10%になった場合、負担額は10.6万円も増えるようです。 同紙には負担額を試算できるページもあるので、日経はこの金額を把握しているはずですが、こちらは報じられません。 ※以下の記事を参照 ・日経電子版「19年消費増税 家計負担、1世帯3万~4万円増も」2018.12.10 ・日経電子版「年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は」2016.2.23 ◆減り続ける家計の消費 政府の「増税対策」は近視眼的 安倍政権は、軽減税率や住宅・自動車の反動減対策、教育無償化、キャッシュレスポイント等で増税の打撃を薄めようとしていますが、これもおかしな話です。 安倍首相は「いただいたものを全てお返しする」と言いましたが、そもそも、返すぐらいなら取る必要もありません。 これは「お金の取立てと配分」という、政府の無駄な仕事をつくっているだけです。 そして、首相と茂木敏充氏(経済財政担当相)は消費が「2016年以降、増加傾向で推移している」と述べています。 しかし、これはあまりにも近視眼的です。 2018年の家計の平均消費は月31.5万円(※二人以上の勤労者世帯) これは2015年と同じぐらいの金額ですが、増税前の2013年は31.9万円ありました。 さらに過去に戻ると、第二次安倍政権の期間で最も消費が好調だった2013年でも、2008年の水準(32.5万円)を下回っています。 2000年から2007年までは32~34万円の範囲で推移していました。 結局、安倍政権は、消費がサブプライムショック以前の水準にまで回復していないのに増税を急いだわけです。 そして、増税が景気の腰折れを招いたことを反省せず、わずかな回復額を見て「もう一度増税すべきだ」と言っているのです。 ※この数値は総務省統計局「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」を参照 ◆日本経済のエンジンは消費 幸福実現党の5%減税こそが正論 結局、現政権の増税路線では、日本の消費の回復は望めません。 日本のGDPの6割は「消費」が占めています。 ここに増税で重石をかけながら、金融緩和を続け、企業に「もっと投資してほしい」「賃上げしてほしい」と言ってきたのが、消費増税以降のアベノミクスです。 また、2017年の総選挙では、共産党も社民党も消費税増税に反対しましたが、結局、「5%への減税」という、本来あるべき政策を打ち出せませんでした。 共産党や社民党は、消費税増税には反対ですが、大企業増税と累進課税と証券税制の強化を訴えているので、結局、減税政党ではないのです。 現在、本当に「小さな政府、安い税金」を訴え、国民と企業の味方として、減税を訴えているのは、幸福実現党だけです。 本当に日本経済を立て直すためには、単なる増税中止ではなく、消費税5%への減税という抜本的な改革が必要なのです。 「賃金」「労働時間」に国家は介入すべきか 2019.03.16 「賃金」「労働時間」に国家は介入すべきか 幸福実現党 山形県本部統括支部長 城取良太 ◆官製春闘は国家社会主義的 安倍首相就任から5年間続いた「官製春闘」が大きな転換点を迎えつつあります。 昨年5月に経団連会長に就任した中西宏明会長は国家介入型のベースアップ(ベア)に反発、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱等の世界的な経済リスクや、経営陣の「ベア疲れ」に配慮し、従来通りの自律的な労使交渉をベースとした春闘に転換を図りました。 その結果、各社におけるベアは前年水準を軒並み大きく割り込んでいます。 安倍政権はデフレ脱却を図る一環として、労使介入型のベアを実施してきた経緯がありますが、昨年度は「賃上げ率3%」といった異例の数値目標まで課しました。 ベア介入は財政負担を生まずに、国民に広くに好感を生むという政府の考えはあるでしょうが、「労使自治」という原則から考えれば、国家社会主義的である点は否めません。 それに対し、消費増税や不透明な景気動向に備えて、一度上げると極めて下げづらく、固定費増大につながるベアに慎重なのは、経営側として至極全うな考えだと言えます。 ◆労働時間を規制して生産性は高まるのか? さて、来月から「働き方改革関連法案」が施行され、多岐に渡って労働環境の変化が予想されますが、「官製春闘」と同様、現場感覚とはかけ離れた内容となっています。 その中心が「労働時間」に関する改革です。 今までは「36協定(労働基準法36条)」による労使合意があれば、どれだけ働かせても罰則(行政指導はあり)は科されませんでした。 これが4月以降、年間最大720時間の残業上限が法制化され、抵触した場合は企業側に6か月以下の懲役、または30万円の罰金が科されるようになります。 この規制の趣旨は、慢性化する長時間労働を国が取り締まることで、生産性を高め、過労死等の健康被害から労働者を守るという点にあるようです。 しかし現場からは、部署内での業務量の増加を管理職が吸い込まざるを得なくなり、本来のマネジメント業務が疎かになる事で、逆に生産性は低下するのではという心配の声はあります。 また、ある調査で60%を超える新入社員が「(一時的には)長時間になろうとも意欲的に挑戦したい」と答えている中、彼らの意欲と成長の機会を奪う結果にならないかという危惧もあります。 ◆労働時間を規制して労働災害は減るのか? 1か月80時間以上の残業が「過労死ライン」と呼ばれ、こうした残業が慢性的に続いた場合、発症との関連性は確かに強くなると統計的には考えられます。 一方、実際の労災支給の原因で最も多いのは「仕事量・仕事内容の大きな変化」と共に、「嫌がらせ、いじめ」、「悲惨な事故、災害の経験など」が同数程度挙げられ、一概に「長時間労働」が諸悪の根源とは言えないところもあります。 また、今回の改革で「産業医・産業保健機能の強化」がしっかり盛り込まれており、あえて労働時間を法律で規制せずとも、対応できるのではないかということも言えます。 2017年度の年間総労働平均時間の国際比較(OECD)を見ても、日本が1710時間なのに対し、アメリカ1787時間、イギリス1681時間、イタリア1723時間、韓国2024時間と、日本が飛び抜けて長時間労働という事実は決してありません。 このように、現場の実態と合わない、国による一律的な労働時間の「総量規制」の強化が、生産性の向上と労働者の健康を守ることにつながるのかは極めて疑問です。 ◆更なる労働時間の規制強化は日本社会に悲劇を招く? 「働き方改革」の中には、シニア雇用の促進や、一定以上の年収を得る知的労働者は労働時間規制の対象から除外する「高度プロフェッショナル制度」など、今後の日本経済にとってプラスになるものもあります。 一方、「同一労働同一賃金」のもと、正規・非正規の平等化を図ろうとする流れに関して、先進国で最も解雇規制が強く、雇用調整が難しい日本では、企業側から見た非正規採用のメリットを失わせ、逆に失業率を高めるとも考えられます。 日本経済が飛ぶ鳥を落とす勢いだった約30年前、欧米諸国から日本企業の労働時間の長さが不当競争、社会的ダンピングと難癖をつけられ、欧米先進国並みの年間1800時間を目標と強いられたのが、1987年の労基法改正であったことを忘れてはなりません。 「失われた30年」の発端の一つとなったのが、前回の法定労働時間の見直し(週48時間→週40時間)であったとしたら、今回の規制強化が日本経済に更なる悲劇を招く可能性もあるのです。 そもそも、労働時間一つとっても「残業は非効率だからさせない」「量が質を生むから長時間働ける人材が欲しい」など経営者の考えは様々で、それは労働者の立場からも同じはずです。 あるべき労働環境は一律に国が価値判断し、規制すべきものではありません。 企業と労働者の自由意思に任せた労働市場の創出こそ、「人財」「天職」との出会いを無数に生み出し、日本社会の豊かさと幸福感を最大化させる道ではないでしょうか。 政府は防災インフラ予算の拡大を 2019.03.14 政府は防災インフラ予算の拡大を HS政経塾8期生 加藤健太 ◆遅々として進まない、日本の河川整備事業 去る3月11日、東日本大震災から8年の月日が流れました。 震災で亡くなれた約2万人の方々に対し、心からのご冥福をお祈りするとともに、いまだに避難を続けておられる5万人を超える方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。 昨年2018年は、豪雪、噴火、地震、台風、豪雨などで死傷者が発生した災害が10件にものぼりました。その中でも、全国各地で237名もの死者数を発生させたのが「西日本豪雨」でした(参考:内閣府『平成30年7月豪雨による被害状況等について』)。 筆者の地元、岡山県もこの豪雨で被災しました。地元のボランティアに初めて参加した私は「なぜ災害でこれ程多くの犠牲者が発生したのか」を調べました。 すると、犠牲者が増大した要因のひとつが、行政のインフラ整備の遅さにある事が判りました。 今回の豪雨で氾濫した小田川と、この川が合流する一級河川の高梁川は100年以上前から台風や豪雨による氾濫が度々起きており、高度経済成長による工業用水の需要増も相まって、1968年、小田川と高梁川の合流地点付近の柳井原貯水池をダムに建て替える構想が立てられました。 しかし、当時の建設予定地は2つの自治体がまたがっており、片方の自治体は計画に猛反対しました。 その背景には、反対していた自治体に約630億円の振興事業を行うという約束がありました。そして、27年も後の1995年にようやく建設が容認されたのです。 ◆「何が」人の命を守るのか ところが、2002年にこのダムは建設中止となりました。 バブル崩壊に伴い、公共事業の見直しが進められるようになった事と、工業用水の需要が低下した事などがその理由です。そのため、肝心の水害対策のインフラ整備は振出しに戻ってしまいました。 しかも、その後の高梁川と小田川の合流地点を付け替える(合流地点を移動させる)整備事業計画は30年かけて建築されるというものでした。そして昨年夏、まさに「災害は忘れた頃に」やってきたのです。 今回の災害による被害は、各自治体の利害関係や、国の緊縮財政型の考え方(後述します)によって行政スピードが著しく阻まれたように思えてなりません。 戦後の高梁川は今回の豪雨を除くと11回もの氾濫を起こしており、そのうちの3回は小田川で発生したものです。 平均して約20年に一度程、氾濫が発生していることを考えると、30年もかかる整備計画では犠牲者の発生も予想できたはずです。 ダム建設などの公共事業が必要な理由は「コンクリートが人の命を守る」からです。建設が中止されず、完成していれば被害を食い止めることもできたでしょう。 ◆自民党の国土強靭化では不十分 今回取り上げたダム計画中止後の整備事業ですが、氾濫した小田川部分の工事にかかる総工費は約280億円でした。 しかし、平成29年6月の高梁川水系の河川整備計が変更された際の資料では、当時の付け替え工事部分の進捗状況が全くの手つかずであった事が判っています。つまり、付け替え部分の工事への予算は実質0円だったという事です。 そして、内閣府の推計によると、今回の西日本豪雨による中国地方での経済損失は、約6千億~1兆円と発表されました。中国5県で等分すると、1県当たり約1千億~2千億円となります。 中国地方では2番目に被害が大きい地域だったため、実際は等分した額よりは大きいと考えられます。 2014年に、安倍政権下では「国土強靭化プラン」が発表され、インフラ整備の推進も謳われていました。 しかし、実際のところ、返り咲いた安倍政権下での公共事業費は、民主党政権交代翌年よりも低く、自民党政権時代から削減されてきた額を上回ってさえいません 参考:国土交通省「公共事業関係費(政府全体)の推移」 http://www.mlit.go.jp/common/001270879.pdf 幸福実現党では、当初10年で交通インフラや防災インフラへの100兆円規模の投資をすることを政策として掲げています。自民党の国土強靭化ではまだまだ不十分なのです。 整備されたインフラにかけたお金は単なる消費ではなく、国家の財産として残りますし、ケインズ経済学における「乗数効果(政府が公共事業に使ったお金は、様々な企業や業者を通して社会を循環するため、景気を向上させるという効果)」も見込めます。 災害後に後手後手の対処や補償にお金を使うよりも、すでにある社会基盤を守り、発展させる事が政治家の使命と言えるのではないでしょうか。 すべてを表示する « Previous 1 … 21 22 23 24 25 … 78 Next »