Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 中国が喧伝する「日本の脅威」 2011.10.29 日本にいると分かりませんが、最近、中国は盛んに「日本の脅威」を喧伝しています。 私が先月・中国の大連を視察したときも、テレビの中国国営放送「CCTV」では、論説やニュースで、毎日のように「日本の軍拡」「日本の脅威」を盛んに報道していました。今日はその一端をご紹介させて頂きます。 下の記事は、中国の国営新華社通信が10月21日に報じた「日本はなぜ頻繁に『外部脅威論』を煽り立てるのか」と題した論説です。少し長くなりますが、そのまま全文を引用しますので、ぜひご一読下さい。 「10月16日、野田佳彦首相は自衛隊の航空観閲式で『中国と北朝鮮は日本の脅威』と名指しした。どうやらまた、『外部脅威論』を煽り立てるという『発作』を起こしたようだ。 時々このような『発作』を起こすという奇妙な現象が長く続いているが、今の日本は本当に深刻な『外的脅威』にさらされているのだろうか?彼らはなぜ頻繁に『発作』を起こすのか? 第2次大戦以降、日本の安全保障環境はずっと良好だ。領有権問題はあるものの、日本の本土が外部からの武力脅威にさらされることもない。それなのに、『外部脅威論』を煽り立てる頻度はどんどん増加。しかも、賢いやり方ではない。 北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したと非難したこともあったが、通過したのは日本列島上空の大気圏外だ。国際法上、何ら問題はないし、日本の衛星もほぼ毎日他国の上空を通過している。全くつじつまが合っていない。 同じように、中国海軍の艦艇が沖縄と宮古島の間の『宮古水道』を通り抜け、太平洋で軍事演習をしたと責め立てたことも滑稽としか言いようがない。これも国際法上、何の問題もない行為だ。 全く稚拙なやり方だが、一方で最近、南シナ海の紛争に積極的に首を突っ込み、航空自衛隊の主力戦闘機をグレードアップさせようとしている。米国の同意を得て、『武器輸出三原則』を見直すことも考えているようだ。 日本が『外部脅威論』を煽り立てる時は、何か目的がある時のようだ。日本の長期戦略目標は自らを『正常な国』にすること。 では、その障害となっているのは何か?それが米国であることは明らかだ。 現代史を紐解くと日本と米国の深い恨みはかなり深刻。長く閉ざしていた日本の門戸を開いたのは米国だし、2発の原爆で日本を焼け野原にしたのも米国だ。日本の政治、経済、外交、軍事は長い間、米国にコントロールされてきたのである。 実は今回の『外部脅威論』は日本の戦略決定者が米国に向けて発したもの。米国が経済危機で弱っている今こそ千載一遇のチャンスだと思ったのだ。 だが、国際的な影響力が大きい日本がこうした言行が一致しないやり方で目的を達成できるとは限らない。しかも、こうしたやり方がアジア・太平洋地域全体の安全保障環境を悪化させ、緊張状態を作り出しているのである。」 いかがでしたでしょうか……。 あえて解説は省きます。 中国が日本をどのように見ているのか……否、中国共産党が13億人の国民に対して、どのように日本を「悪玉」として伝え、世界に発信しているのか(新華社は国際通信社です)が、よくわかると思います。 そして、まさに中国こそが「外部脅威論を煽り立てる」ことで、自らの侵略的かつ強圧的な行動の正当性を構築していく。そうした共産党が最も得意とするプロパガンダの手法の一端を垣間見ることができます。 日本は、既にこのような狡猾でしたたかな中国との「外交戦・情報戦」に入っています。 しかも、日本のマスコミは大きく歪んでおり、「中国の脅威」「増税による不況到来」等は一切報道せず、「放射能の恐怖」は風評被害をもたらすほど報道しています。マスコミによる情報の歪みこそが国難を招いているのです。 この「HRPニュースファイル」は、そうした国難に打ち勝つための、日本人のための「正しき情報源たらん!」との志を持って、毎日発刊致しております。 ぜひ、多くのお友達や知人の方にHRPニュースファイルを転送・ご紹介頂き、購読者の輪を広げて頂ければ幸いです。毎日毎日の「HRPニュース・ファイル」が「拡散希望!」です。(文責・矢内筆勝) 楽観視できないカダフィ後のリビア 2011.10.21 「私は殉教者として死ぬ」と支持者たちの前で叫んだカダフィ大佐は20日、体制派と反体制派の戦闘に巻き込まれて死亡しました。「アフリカの王の中の王」と呼ばれた独裁者は生まれ故郷のシルトで最後を迎えました。 カダフィ大佐は1969年の革命以来、42年間に渡ってリビアの独裁者として君臨して来ました。カダフィ大佐が死亡したことは、リビアに自由と民主主義をもたらす希望と同時に、情勢次第によっては今後、リビアの混乱が更に継続することも考えられます。 カダフィ大佐の死亡によって、反体制派のリビア国民評議会は今日、明日にも全土解放宣言を行う予定ですが、リビアはカダフィの死亡によって簡単には安定化しないと考えられます。 リチャード・ハース米外交問題評議会会長は「カダフィの死はリビア情勢を部分的に変化させるかもしれないが、それを抜本的に変化させることはない。…当面、国内で戦闘が続く可能性もある」と述べています。(FOREIGN AFFAIRS REPORT 2011/10) リビアの不安定要因の第一は、政治勢力として各地域に根差した部族間の動向にあります。 元々、リビア国内は3つの地域(ベンガジを中心としたキレナイカ地方、トリポリを中心としたトリポリタニア、リビア西部のフェザーン地方)に分かれており、その中でも、キレナイカ地方は今後の安定化のカギを握る地域です。 1969年のカダフィ大佐による革命前は、国王が主権を握る王制であり、国王イドリース1世の出身地域はキレナイカ地方でした。カダフィが実権を握った後は、キレナイカ出身の人間は出世などにおいて冷遇されてきたことが指摘されています。 反体制派が掲げる国旗は王制時代のリビア国旗であり、国民評議会は新生リビアの政治権力をどのように調整し、各地域間をコントロールするか、難しい舵取りが予想されます。 リビアの不安定要因の第二は、今後、どの勢力が新生リビアでリーダーとなるのかが未だ混沌としていることにあります。 現時点で国際的に承認を受けた勢力はリビア国民評議会だけですが、国内には別の勢力もカダフィ体制打倒に貢献しています。特に、トリポリ軍事委員会は国民評議会も無視することができない勢力を保っています。 両者の意見調整が出来なかった場合、トリポリとベンガジを中心とした勢力間で内戦が行われる可能性も捨てきれません。 リビアの不安定要因の第三は、リビア内戦によって落ち込んだ石油生産の回復についてです。 リビアの今後の石油生産で焦点となる地域としてフェザーン地方の油田を指摘できます。同地方は全石油生産量の五分の一を占めており、この地域は遊牧系の武装勢力が標的として石油施設を狙う可能性があります。 カダフィ派の残存勢力がこの地域でゲリラ活動に動いた場合、治安が不安定化することは避けられません。 これら三つの要因によって、今後もリビアは不安定な状態が続くことが予想されます。 ヨーロッパは、リビア内戦への介入を主導してきましたが、カダフィ後の体制づくりには、手助けしようにも、欧州債務危機が足を引っ張り、対応が困難な状況にあります。 カダフィ後のリビアが、こうした多くの難題を克服し、自由と民主主義、希望と繁栄に満ちた国家を築くべく、日本を含めた国際社会は広範な支援を進めていく必要があります。(文責・黒川白雲) 揺れる欧州。次は銀行危機。 2011.10.05 ギリシャの債務危機がクローズアップされていますが、ここにきて銀行危機も表面化しています。 10月4日に開催された欧州財務相理事会では、ギリシャ支援は見送られ、代わりに銀行支援策が合意に達しました。 フランス・ベルギー系の金融機関であるデクシアは、ギリシャに対する莫大な投融資残残高を有し、今回のギリシャ危機によって経営危機が表面化しました。実は、2008年のリーマンショックの際には、64億ユーロ(約6400億円)にのぼる政府支援を受けており、経営状態は綱渡り状態が続いていたことが各種報道によって明らかとなっています。 デクシアに対しては、フランスとベルギーが救済をいち早く表明しましたが、不良資産は関連銀行に移譲され、健全部門まで売却を余儀なくされているため、事実上解体されたことになります。 欧州市場では、ギリシャ支援が11月まで先送りされたことと、デクシアの経営危機によって欧州銀行株指数は4%も下落しました。ギリシャの債務危機の最中に、銀行危機が襲い、さらに悪いことに、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズがイタリア国債を三段階引き下げました。格付けの見通しも「ネガティブ(弱含み)」としている以上、さらなる引き下げもありえます。 こうした一連の流れの中で、欧州の主要メディアも悲観論に陥っています。英ファイナンシャル・タイムズ紙は、すべての銀行が抱える損失を公表し、慢性的な経営危機を残存させるよりも「ショック療法」的な厳しい措置を求めています。銀行部門が信用危機となれば、倒産だけでなく、国際金融市場や債券市場からの資金調達が困難となります。ただでさえ、緊縮財政と増税によって不況に陥いる可能性の高い欧州で、資金調達までダメになるのは大きな痛手です。 ただ、欧州危機の根本的原因は、共通通貨ユーロによる足かせであることは間違いありません。共通通貨ユーロを維持するために設定している財政基準のため、ユーロ圏各国が緊縮財政を余儀なくされています。 また、金融政策は欧州中央銀行にしか権限がありません。そのため、簡単に金融政策が発動できないのです。特に、ギリシャでは緊縮財政と増税を進めなければならないことが影響して、11年度の経済成長率はマイナス5.5%になると予想されています。問題となっている財政赤字の対GDP比は8.5%にのぼり、国際通貨基金(IMF)等と合意した7.6%を上回ることになります。 その意味で、共通通貨ユーロは、経済的な理由よりも政治的な理由によってすすめられていると言えましょう。実際、欧州がやっていることを見れば、景気対策をせずに緊縮財政と増税です。経済成長を犠牲にしてでも、ユーロを維持する信念は固いと見えます。 今のまま、欧州が政治姿勢を崩さないならば、第二のリーマンショックとなる可能性すらあります。アメリカと日本の景気は弱いままですが、相応の資金を提供することも有り得るでしょう。 欧州市場から目を話してはなりません。「対岸の家事として見てはいけない」というのは事実ですが、日本が緊縮財政と増税を真似る必要はありません。 これを機に統一市場と共通通貨の難しさを学ぶべきです。そして、世界不況とならないために、国内と国際的な対策をしっかり練るべきです。 (文責:中野雄太) 財政危機で揺れる欧州 2011.09.28 苦肉の策としての不動産特別税導入の可決 欧州がギリシャの財政危機によって揺れています。 デフォルト(債務不履行)の懸念もあるギリシャに対して、欧州では「トロイカ」体制と呼ばれる資金援助体制を形成しています。 トロイカの内訳は、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の主要機関です。 そして、ギリシャ政府との間で赤字削減目標や増税をはじめとした緊縮財政案を協議しているところですが、実はトロイカ体制は既に窮地に追い込まれています。というのも、9月上旬に、トロイカとギリシャ政府との間で意見が食い違い、協議が中断しているからです。 また、ギリシャ政府は、赤字削減策の一環として、不動産特別税の導入を可決しました。 様々な記事に解説があるように、ギリシャがなんらかの赤字削減策の具体策を打ち出さないと、国際金融支援が得られないことが裏事情としてあります。ギリシャの与党である全ギリシャ社会主義運動(PASOK)も増税案も承認せざるを得ず、最終的に可決に至ったことが報道されています。まさに、苦渋の決断だと言えましょう。 ただ、ギリシャ国内では、昨年から政府の緊縮財政に対して暴動やストライキが頻発しており、国内の治安は悪化の一途をたどっています。 27日も、地下鉄とバスの運転手によるストライキが起きたことからもわかる通り、政府の思惑とギリシャ国民の間には深い溝が存在します。 今後は、年金支給額の引き下げや公務員削減を進めなければならないため、暴動やストライキは止まる気配がありません。観光地であるギリシャは、今安心して観光を楽しめる状況になく、大事な収入源を失おうとしています。 ユーロ圏に拡大する景気後退の足音 さらに悪いことに、債務危機の悪影響はユーロ圏に広がりつつあります。 欧州委員会が発表した統計によれば、ユーロ圏17か国の消費者信頼感指数(速報値)によれば、マイナス18.9となり、三カ月連続の対前月比の低下を記録しました。欧州最大の経済国であるドイツでも、緊縮財政の波が押し寄せ、景気の悪化を示すPMI(総合購買担当者景気指数)は、この2年余りで最低の水準を記録しています。 欧州には、共通通貨を維持するためには独特の基準が設けられています。 例えば、財政赤字対GDP比率は3%以内とすること。長期債務対GDP 比率は60%以内に収めることなどがあります。 経済学的には全く意味を持たない数字ですが、ユーロを維持するために必要な数値として政治的に導入されました。 今では、この基準が足を引っ張っていると言えるでしょう。 同時に、共通通貨導入による弊害も存在します。 例えば、ギリシャが債務危機で景気が悪化していても、独自に通貨を刷って景気回復をはかる金融政策が打てません。 これは、他のユーロ加盟国についても同じです。そのため、一国の危機がユーロ圏全体に波及する脆弱性を秘めています。 いくら、域内では資本と労働の移動が自由でも、通貨政策や金融政策は欧州中央銀行が決めなければ何もできません。 このままでは、欧州は景気後退を余儀なくされることでしょう。 債務危機の可能性は、ポルトガルやイタリヤも秘めています。よって、ギリシャ危機を回避したとしても、まだまだ予断を許さない状況なのです。 日本にはあてはめてはならない 私が懸念をしているのは、欧州の債務危機の対処法を日本経済にあてはめることです。さすがに、今年に入ってからは「日本のギリシャ化」を叫ぶ方は少なくなりましたが、依然として「欧州債務危機は対岸の火事としてみてはいけない」「財政再建を急ぐべきだ」「復興支援と財政再建を考慮して増税もやむ得ない」等の議論が横行する危険性は十分にあり得ます。 ユーロ圏経済と日本経済は、制度自体が違うわけですから、単純な比較は避けるべきです。参考にするくらいならよいとしても、「欧州もやっているのだから、日本も見習うべきだ」となると、日本経済のデフレ不況はさらに深刻化します。 政府が欧州債務危機と同じ路線に入るなら、今年の後半は世界経済にとっても厳しい現実が訪れかねません。 今やるべきは、緊縮財政ではなく景気回復であり、復興支援です。くれぐれも順番を間違ってはいけません。(文責・中野雄太) ロシアの挑発行為に「ドジョウの構え」? 2011.09.14 野田政権発足後、ロシアの軍事的な挑発行為が活発化しています。 9日付の産経新聞では「露軍、北海道領空付近を訓練空域に 野田政権牽制か」と題し、次のように記載しています。 「ロシア軍は8日、北海道北東部の日本領空に接する形で設定した訓練空域などで演習を始めた。野田佳彦首相が東京電力福島第1原発を視察する時間帯に合わせ、爆撃機が福島県沖を飛行。日本列島を完全に1周するのは極めて異例で、北方領土付近では空中給油機も合流し、露骨な挑発の意図が鮮明になった。」 飛行したのは、通常の偵察機や戦闘機でもなく、TU95という「長距離爆撃機」です。しかも、TU95は空中給油を行いながら、約14時間にもわたって日本領空周辺を飛行しているのです。 防衛省幹部は「前代未聞で今後の動向も予測不能だ」と述べています。 もし、ロシアが同様のことをアメリカやイギリスに対して行なったとしたらどうでしょうか?外交的にも軍事的にも極めて重大な問題になることは間違いありません。 かてて加えて10日には、ロシアの海軍艦艇24隻が北海道の北にある宗谷海峡を新たに通過したことが分かりました。24隻の露艦艇が宗谷海峡を通過したのは過去最大規模で、野田政権に対する露骨な挑発行為と見られています。 更に、ロシアのプーチン首相は9日までに、北方領土開発に31億円を追加拠出する政令に署名。ロシア副首相は国後、択捉両島へのアクセスを改善するため両島で新空港を建設中であることや、色丹島でヘリコプター用空港を建設していることを首相に報告しています。これは明らかに軍民両用の可能性があります。 ロシアは野田政権発足直後に、挑発行為を重ね、野田政権の対応を見極めているものと見られますが、これに対して、野田政権の対応はあまりにお粗末であると言わざるを得ません。 同紙によれば「玄葉光一郎外相は9日、ラブロフ露外相と電話で会談し、『露軍機の動きに対し日本国民の間で疑念が生じている。刺激的な行動は自制してほしい』と要請した。ラブロフ氏は『国際法上、問題ない』と答えた」という対応です。 その事件から5日経過した13日、野田首相は国会で所信表明演説を行い、その中でこの問題に触れることもなく、「日露の関係については、最大の懸案である北方領土問題を解決すべく精力的に取り組むとともに、アジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係の構築に努めます」と述べたに過ぎません。 まさに泥に頭を入れて、都合の悪いことは素知らぬ顔――。 しかも、この時期、東シナ海では中国軍のY8の情報収集機型が日中中間線を越え飛行し、日本の安全保障はまさに風雲急を告げています。 「ドジョウの構え」では、日本の国民と領土は守れないことを知るべきです。 (文責・矢内筆勝) ロシア軍機日本一周とロシア外交 2011.09.10 ロシア軍機が日本周辺空域を1周した問題で、ロシア国防省は9月8日、戦略爆撃機が警戒飛行を行い、自衛隊と韓国空軍の戦闘機計10機の追尾を受けたことを認めました。 一方、プーチン首相は同日、南クリール諸島(北方領土)の開発促進のため年内に追加資金を拠出する方針を示し、北方領土の実効支配を進める意思を明確にしました。 さらに、防衛省は9日夜、ロシアの海軍艦艇4隻が北海道の北にある宗谷海峡を通過したと発表しました。他に約20隻が宗谷海峡に向かい、10日未明までに一部が通過していました。 明らかに、安全保障と領土問題の両面から、発足間もない野田政権の主権意識や外交姿勢を瀬踏みしている公算が大きいと言えます。 それに対して藤村修官房長官は9日午前の記者会見で、外交ルートを通じてロシア側に懸念を伝える考えを示しました。 日本は抗議することも必要ですが、「なぜ、ロシアがそのような行動に出ているか」を理解することも必要でしょう。 近年の日本の政局は1年に1回のペースで首相が交代しており、外交は完全に機能不全を起こしています。 特に外交オンチの鳩山元首相が普天間問題によって引き起こした「米国の対日不信」は、「日米同盟」に深刻なヒビを入れたのみならず、中国、ロシア、北朝鮮等の周辺国にとっても、米国の後盾が薄くなった日本をゆする絶好の機会を作ってしまいました。 また、野田首相に代わったばかりに起きた今回の事態は、ロシアが日本を敵視しているよりも、日本との外交を進めたいがために注意喚起を狙っているとも考えられます。そのためにロシアが一見強硬な手段に出たとも指摘できます。 ロシアが喉から手が出るほど日本に対して求めているのは、貿易・ハイテク技術の支援などの「経済的取引」です。 地理的な視点(西はヨーロッパ、東は中国など)から考えても、ロシアは広大な陸地を有しているため、どこか一つの国に肩入れをすることは難しく、多方面に外交関係を安定させることが必要です。 ロシアから見れば、日本に対しては北東アジアでの中国に対する抑えとしての役割と、経済的な取引相手として見ていると考えられます。 日本側としては政府間の北方領土交渉だけでは前に進みません。日本の外交においては、尖閣・沖縄を中心とした中国の脅威が迫っている以上、優先順位としては中国への防衛を強化しつつ、ロシア外交は戦略的に考えるべきでしょう。 中国とロシアが手を結ぶような手は打つべきではなく、むしろ、ロシアとは経済交流等によって手を結び、対中国包囲網を作っていく戦略の上で手を打たなくてはなりません。 つまり、政府間の領土問題だけではなく、安全保障では定期的な戦略対話を重ね、経済ではエネルギー開発とハイテク技術支援(ロシア版シリコンバレー「スコルヴォ」計画への協力など)を行うなど、「三本柱」をセットとしたロシアとの関係改善・強化を進めていくことが求められます。 優先順位は中露の分断。そのために、日露間は経済レベルで協力しつつ、軍事的にはしっかりと防衛する。領土問題はじっくりと解決していくというスタンスが現在示せるロシア外交の戦略でしょう。 (文責:小島一郎) 「独島は韓国領」の扇子2011本 世界陸上で“政治宣伝” 2011.08.27 本日27日、陸上の世界選手権が開幕されます!「韓国テグ」での熱い戦いに注目が集まりますね! そのような中、韓国で、ある韓国人画家が「独島は韓国領」と主張する扇子を訪韓する選手や役員に無料配布することが26日に分かりました。独島とはもちろん、「竹島」のことです。 世界陸上は韓国KBS放送がホスト放送局として、世界各国に映像を配信するため、観客らがスタンドで「独島は韓国領」の扇子を広げた映像が日本をはじめ世界中で放送される可能性が出ています。 国際的スポーツイベントを利用した「政治宣伝」のような行為は、さわやかではありません。 韓国が不法占拠している竹島について、韓国では誰もが「韓国領」と教育されて育っています。 一方、日本の中学生が学ぶ「公民」の教科書では、竹島を「日本領土」と記述していない教科書があります。 日本文教出版、帝国書院、教育出版の教科書に、竹島は「日本領土」である旨の記述はありません。 「韓国もその領土を主張している」(日本文教出版)など、まるで韓国か日本か分からないような教科書も見られます。 竹島は、歴史的にも、国際法上も、完全に日本固有の領土であり、韓国による竹島の占拠は、国際法上全く根拠がない不法行為です。 日本は、毅然たる抗議を行うと共に、国内での領土に関する認識の甘さを根底から見直す必要があります。 そして、「教育から変えていく」という決意が必要です。 沖縄県石垣市と与那国町の教育委員会は、昨日26日、来春から4年間使用される中学校で公民の教科書に「育鵬社」を採択しました。 育鵬社の公民教科書は「竹島」を「日本固有の領土」とはっきり記述しており、尖閣諸島を含む同地域の公民教科書に相応しい内容となっています。 国際的スポーツイベントで配られる「独島は韓国領」扇子に対して日本人として何を思うか……正しい歴史観、国家観に基づいた教育を学んだ者のみが、正しい国際対応を取ることができるのです。 (文責・竜の口法子) すべてを表示する « Previous 1 … 96 97 98