Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 北朝鮮の先軍政治と日本の国防戦略 2013.11.06 ◆北朝鮮、兵員30万人削減の意味 北朝鮮は、今年2月の核実験直前の党中央軍事委員会の拡大会議で「核実験に成功すれば、兵員30万人前後の削減に着手する」との方針を発表しました。(10/23東京新聞「北朝鮮軍、―改革試行?国防費抑制」) 記事では、下記のような内容が報道されています。 (1) 兵力を現在の110万人から80万人まで30万人を削減 (2) 除隊した兵員を農漁業に専従させる―国防費抑制・軍の食料自給がねらい (3) 核・ミサイル開発を強化し、兵員や旧式兵器を減らす(8月の党軍事委員会拡大会議で決定) (4) 時速100キロのホバークラフト型、揚陸艦艇を実戦配備 ◆北朝鮮がお手本にする中国の核開発 実は北朝鮮の核・ミサイル開発は、中国をお手本にしています。つまり中国の「核・ミサイル開発」をみれば、北朝鮮の核・ミサイル開発が、今後どのような経過をたどるか予想できます。 では、中国の核・ミサイル開発の経過を下記にまとめてみましょう。 (1)1950年代、餓死者が出ても限られた資源を核開発につぎ込む。 (2)1960年代、世界の反発も聞かず核実験を繰り返す。 (3)1970年代、長中距離ミサイル開発、核兵器の小型化・軽量化。 (4)1980年代、西太平洋上にミサイル発射などミサイル発射実験。 (5)1990年代、100万人兵員削減・軍の現代化、兵器輸出や経済の発展を通して外貨を稼ぎ兵器の近代化。 (6)2000年代以降、経済力を背景に他国の追随を許さない軍備拡大へ。 現在の北朝鮮は、(2)~(4)の段階に入っています。北朝鮮は実質的に核保有し、今後も何回かの核実験を繰り返しながら核の小型化・軽量化、核を搭載する中長距離・弾道ミサイル開発・発射実験を繰り返していくでしょう。 ◆北の「核・経済建設並進路線」 北朝鮮の軍事戦略のキーワードは、「先軍(軍事優先)政治路線」「核・経済建設並進路線」です。 金正恩は今年2月、3回目の核実験直後の「労働党全員会議」で「核武力建設と経済建設を同時に発展させる政策」を採択、その核心は「小型化された核兵器とその運搬手段」の開発です。(10/24中央日報「【時論】金正恩2年間の統治の3大キーワード」 ) それを裏付けるニュースが下記です。 8/27中央日報「金正恩、労働党中央軍事委員会拡大会議で『先軍革命を促す』」 9/18読売「北朝鮮・寧辺の黒鉛減速炉が再稼働(1年間に核爆弾1個分に相当する6キロのプルトニウム生産が可能)」 10/8日経「北朝鮮はウラン生産など核能力を強化するために原子炉を再稼働」 10/25産経「北の核施設「建設進む」坑道入り口2カ所判明」 10/30朝日「北朝鮮、ミサイル発射台 新たに建設確認」 更に実質的に北朝鮮は、今年から(5)の「核兵器を背景に兵員削減・経済成長を通して更なる兵器開発に資源を投入する」段階に入りました。 11/6朝日「軍事境界近くに経済特区 北朝鮮、外資誘致に懸命」 ◆6カ国協議再開か? そのような中で、中国は、米国に6カ国協議の再開に向けた説得を強めています。これに対して北朝鮮は、「核を先に放棄することはありえない」との声明を出しています(10/30朝日)。また、6日には、ワシントンで北との6カ国協議の再開に向けた日米韓協議を開催すると発表しました。(11/2読売) しかし、過去2回の6カ国協議が、北朝鮮へのエネルギー支援、食糧支援をしただけで、結局は約束である「核廃絶」を反故にしてきたことをみても、北朝鮮に対話は通じません。 「先軍政治」を政治の中枢に据えた北朝鮮は、「金王朝」が続く限りどんな経済支援をしても「核・ミサイル開発」を止めることは100%ないと断言します。 北の核開発を封じ込めるためには、経済特区に支援せず外貨を稼ぐ道を閉ざし、軍事拡大に注ぎ込む資金を絶つことです。つまり過去に日本がODAで経済支援すれば、中国はまともな国になると見誤った教訓を生かすべきです。 ◆日本の対北朝鮮戦略 対北対策として防衛省は、弾道ミサイル迎撃能力を持つイージス艦を10年以内に2隻増やして8隻態勢にする方針を固めました。10年後では遅すぎます。 また本当の安全保障は、撃ってきたミサイルを「どうやって撃ち落すか」ではなく、「どうやったら撃てないようにするか」を考えなければなりません。そのためには、「敵基地先制攻撃能力」を持つことが必要なのです。 つまり北朝鮮からみれば、「ミサイルを撃つぞ」と脅したら、日本から先に平壌を攻撃されるとわかれば、北朝鮮はミサイルを撃てなくなります。それが、「敵基地先制攻撃能力」の威力です。 今すぐにできる具体策としては、日本海の海底に、平壌を攻撃できる巡航ミサイルを搭載した潜水艦を航行させ、外交ルートを通じて「日本はいつでも平壌を攻撃できる準備がある」ことを伝えておくことです。これは、政治家の決断一つで明日からでも出来ます。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 安倍首相は「政治哲学」を持って、国防強化の必要性を国民に訴えよ! 2013.11.05 ◆内閣法制局長官は「憲法の番人」か? 11月3日、日本国憲法の公布から67年を経て、憲法改正、集団的自衛権について、各党党首が意見を表明したり、新聞の社説が賑わいました。 集団的自衛権の行使に向け、安倍首相が内閣法制局長官の人事交代を行ったことに対して、共産党や左翼マスコミは「内閣の都合に合わせて『憲法の番人』の首をすげ替える。これが法治国家といえるのか?」などと、批判を強めています。 しかし、あくまでも内閣法制局長官は、内閣の下にあって、法案の作成や法律面で内閣を補佐する役割に過ぎません。 制度上、内閣法制局長官の任命権者は総理大臣であり、総理大臣の指揮統制下にあります。内閣法制局長官が内閣総理大臣の意思に沿って職務を行うことは当然のことであり、何らの違法性もありません。 首相が自分の意向に合った人物を「憲法の番人」である内閣法制局長官として任命することを「安倍首相の暴走だ」と批判する声もありますが、一官僚に過ぎない内閣法制局長官を「憲法の番人」と考えること自体、官僚主導政治を推進する考え方です。 集団的自衛権の行使が違憲かどうかを最終判断するのは、あくまでも裁判所であり、違憲立法審査権を有する裁判所こそが「憲法の番人」なのです。 ◆「集団的自衛権」容認は、軍国主義の復活か? 中国マスコミは「集団的自衛権」容認は、日本の軍国主義勢力の台頭であって、武力行使の口実だと言っています。 これは、逆ではないでしょうか? 明らかな日本の領土である尖閣諸島を中国の「核心的利益」と公言し、連日のように監視船で押し寄せる中国の動きが、日本の防衛に対して危機感を募らせているわけであり、好きでやっているわけではありません。 また、韓国の与野党も強く反発し、与党院内報道官は「過去の歴史に対する徹底した謝罪と反省なく推進される日本の集団的自衛権行使はあり得ず、あってはならない」「朝鮮半島有事の際、韓国の同意なく日本が介入する事態は決して容認できない」と述べています。(10/29 聯合ニュース) 韓国は「集団的自衛権」行使容認の動きを見て、「日本は信用できない」「日本は軍事大国化に向かう」と不快感と警戒感を強めていますが、これは、韓国の被害妄想以外のなにものでもありません。 韓国が自国の安全保障を真剣に考えるのであれば、日本ではなく、核兵器の開発を続け、ミサイル発射実験を繰り返している北朝鮮から如何に守るかを考えるべきです。 現在、韓国は、北朝鮮から攻撃を受ける危機と向き合っており、停戦している朝鮮戦争がいつ再開してもおかしくない情勢です。 それを防ぐためには、日本が「集団的自衛権」を行使できるようにし、日米韓の強固な軍事的関係を構築できれば、北朝鮮から韓国を守ることができるのです。 歴史問題もそうですが、現在の韓国は、反日政策を進めることが国益にかなうと考えています。 しかし、その逆で日本をバッシングすることは、自国を滅ぼすことにつながることを是非、理解頂きたいと思います。 ◆安倍首相は「政治哲学」を持って、国防の危機を国民に訴えよ! 最後に言っておきたいことは、安倍首相は「集団的自衛権」の解釈変更に関し、コソコソと変更するのではなく、堂々と、国民や国際社会に対し、解釈を変更すべき理由、中国や北朝鮮の脅威、憲法9条改正の必要性について、説明し尽くすべきだということです。 現在、国民的議論を呼んでいる「国家秘密保護法」についても同様です。 安倍首相は支持率低下を気にして、正面から攻めずにコッソリ変更しようとしているように見えます。そうではなく堂々と国民に同法の必要性説明し、法案を通すべきです。 例えば、国家秘密保護法の本当の目的について、「同法案は、国民の知る権利を制限することが目的ではなく、同盟国である米国との国防に関わる秘密にしておくべき軍事的な重要情報が第三国に漏れることを防ぎ、日本国民の生命を守る重要な法案である」など、堂々と説明すべきです。 以上、これまで数回に渡って「集団的自衛権」容認の重要さについて考えてきました。これは、日本とアジアの平和を護るためにどうしても超えていかなくてはならないハードルだと考えます。 安倍首相は国防に対する「政治哲学」を持って、国民に説明を尽くし、強い信念で「集団的自衛権」行使容認を進めると共に、「国家秘密保護法」についても、国民に対し、その必要性をしっかりと説明していくべきです。(文責・岐阜県本部副代表 河田成治) 「周辺外交工作座談会」が開催。中国外交の新展開に備えよ! 2013.10.31 ◆中国の「周辺外交工作座談会」 先般、中国共産党中央が「周辺外交工作座談会」を開催しました。同座談会の開催は日本国内のメディアでも報道され、注目が集まっています。 今回は、人民日報や解放軍報の報道などを元に、「周辺外交工作座談会」から読み取れる中国政府の狙いについて、切り込んでみたいと思います。 ◆「周辺外交工作座談会」の開催と目的 「周辺外交工作座談会」は、10月24日から25日まで北京で開催されました。 このような会議が開催されるということは、大国同士の関係に生じた変化に対応し、中国が周辺諸国に向けた外交方針を変更しようとしていることを意味します。 本座談会の内容を伝える記事によれば、座談会の主要任務は次の3点です。 ①「経験を総括し、形勢を検討判断し、思想を統一し、未来を開拓すること」 ②「今後5年から10年に至る周辺外交工作の戦略目標、基本方針、総体的な構造の確定」 ③「周辺外交が直面する重大な問題の工作の筋道と実施プランの明確な解決」 ◆国際環境に変化が生じた 同座談会において、習近平主席は毛沢東から胡錦濤に至る中国の指導者が「周辺外交を高度に重視し、一系列の重要戦略思想と方針政策を提出」してきたことを指摘しています。 習主席の発言は、冷戦中、中国の指導者が国際環境の変化に対応して「米国を敵とするか、ソ連を敵とするか」を常に変化させながら自国に有利な環境を作り出してきた事実を踏まえてのものと考えられます。 そしてここ1ヶ月ほどでも、中国の安全保障をめぐる大きな変化がありました。 ◆座談会開催のきっかけは、「陸の国境問題」の進展か その大きな変化とは、10月22日から実施された「ロシア、インド、モンゴル三カ国の中国同時訪問」にあり、中でもインドのシンハ首相との首脳会談にあると思われます。 すなわち、「中印両国政府は辺防合作協議に署名した」ことで「辺境地区の和平と穏定の推進に重要な意義があった」と報道されているため、両国間の国境問題について、踏み込んだ進展があったものと考えることができます。(10/24『解放軍報』「聚焦三国総理同日訪華」) ◆海洋進出がより加速する恐れが出てきた さらにインド・モンゴルは中国とロシアが主導する「上海協力機構」のオブザーバー参加国であり、これら3国が中国に接近していくことは、中国にとって「陸上の国境にかかわる安全保障がより確実となる」ことを意味します。 このような変化によって、「後背地である陸上の安全保障環境が強固となったので、海洋覇権の確立により拍車をかける」ことを中国政府が考えたとしてもおかしくはありません。 ◆「善隣外交」をPRしつつ、「日本の孤立化」を狙う意図がある 同座談会の中身について言えば、習主席の発言は「善隣外交のPR」に終始するものでした。 しかし、後日新華社に掲載された解説記事において下記の様に述べています。 「当然、釣魚島等の問題において、中国政府は対話での解決を堅持すると同時に、主権と領土を完整する決心と能力がある」(10/27『解放軍報』「中国推進周辺外交大戦略」※新華社記事の転載) と、釘を刺していることや、中国政府が一貫して日本政府を非難する外交声明を発表し続けていることを考えれば、座談会での発言にわざわざ盛り込まなくとも、中国政府が「中国善玉、日本悪玉」のイメージを作り上げようとする魂胆が見えてきます。 折りしも、史上初めて中国の三大艦隊が集結した「機動-5号」演習が西太平洋で進行中です。 かつて、1980年初頭に、旧ソ連軍の北海道侵攻を想定し、北海道を中心に配置された自衛隊を、南西諸島(九州・沖縄)にシフトするなど、中国の海洋進出を阻止する具体的な防衛政策を打ち立てる必要はあります。 また同時に、すべてを日本の責任に転嫁する中国の「言論による包囲網」を突破できるだけの、情報発信力も強化していく必要があります。(文責:HS政経塾1期生、幸福実現党 神奈川第4選挙区支部長 彦川太志) 日本の安全保障を脅かす中国軍の爆撃機4機、3艦隊による西太平洋合同軍事演習 2013.10.27 ◆NSC法案が審議入り 10月25日から日本政府の外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議(日本版NSC)」創設へ向けた関連法案が衆院本会議で審議入りしています。(10/26産経「NSC法案審議入り 外交・安保、司令塔機能強化は不可欠」) 法案が成立すれば、直ちにNSCを発足させ、「国家安全保障戦略」の策定や「防衛計画の大綱」の改定ができます。 例えば1月のアルジェリアでの邦人人質事件のような緊迫した事態が生じた場合、国家安保局が外務省や防衛省、海上保安庁などに情報提供を要請し、その情報分析に基づきNSCの中核となる首相、官房長官、外相、防衛相が迅速に判断し対処することが可能になります。 ◆中国軍機・艦隊が太平洋で軍事演習 その「NSC法案」審議(11月中旬まで)に合わせたかのように、現在、この瞬間にも中国海軍は、西太平洋海域で大規模な3艦隊による「機動5号」と名付けられた合同軍事演習を行っています。(演習は11月初旬まで) 合同演習に参加している3艦隊とは、(1)渤海・黄海を管轄する「北海艦隊」(山東省青島)、(2)東シナ海・台湾海峡を管轄する「東海艦隊」(浙江省寧波)、(3)南シナ海を管轄する「南海艦隊」(広東省湛江)です。(10/26産経・10/27朝日) 防衛省が明らかにしたところでは、北海、東海艦隊からは、ミサイル駆逐艦2隻とフリゲート艦3隻が演習に参加し、また空からは25日、26日の2日連続して、爆撃機2機、早期警戒機型2機の計4機が沖縄県の沖縄本島-宮古島間の上空を通過、太平洋との間を往復飛行しました。 ◆中国軍空母が西太平洋に現れる日 今回の中国海軍三艦隊が、西太平洋で合同軍事を実施したのは初めてのことです。これは日本にとって安全保障上、極めて大きな脅威になります。 中国紙『湖北日報(電子版)』は、「今回は遠洋(西太平洋)に狙いを定めた初の演習で、敵味方に分かれて水上、対潜、航空戦で競う実戦性の強いものになる」と報道しています。 「敵味方に分かれて、実戦性の強い軍事演習」とは、何を意味しているのでしょうか?それは対日米軍を想定した演習以外には考えられません。 この報道の中に「対潜」とあることから、艦隊の下では「潜水艦」も一緒に航行し、対米軍空母の動きを封じ込める訓練も行われていることは間違いありません。 今回の軍事演習は、中国軍の「海軍発展戦略」(http://hrp-newsfile.jp/2013/949/)に基づいた軍事演習であることは間違いありません。 2020年までに「第二列島線」(伊豆諸島~小笠原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニアを結ぶ線)の内側の制海権確保――つまり「西太平洋」での米軍空母の打撃力を無力化することを意図しています。 注目すべきは、中国初の空母「遼寧」が、参加したかどうかですが、今回は渤海で艦載機の海上試験飛行を行うと伝えられています。(10/26産経) 今回の演習は、爆撃機も参加し空母「遼寧」と西太平洋の演習に参加した艦隊が「空母艦隊」を形成し、遠くない将来、西太平洋で大規模な軍事演習を行う下準備です。 これは、中国が米軍を東太平洋に釘付けにして、西太平洋を中国が支配する海域にすることによって、結果的に日本のシーレーンを封鎖する能力を持つことを意味しています。 別に中国に野心がなければ、今回のような爆撃機を、西太平洋に展開する必要もなければ、空母を持つ必要もないわけですが、中国は西太平洋を「中国の海」にするため着々と準備を進めています。 ◆中国軍の軍事演習に抗議を 過去にも中国は重要なタイミングで軍事演行動をぶつけることで日本に揺さぶりをかけています。 一例を示すと例えば2007年12月、当時福田首相が訪中した際に、「ガス田交渉」を持ち出すタイミングで、中国は軍機をガス田に飛来させ、福田首相は、「ガス田」の「ガ」も言えずに帰国しました。 現在日本では、「国家安全保障会議(日本版NSC)」創設へ向けて審議中ではありますが、以上述べてきたように、今回の西太平洋海域での中国軍の軍事演習は日本の安全保障上重大な脅威を与えるものです。 日本政府は、外交ルートやマスコミなどを通じて、早急に中国に軍事演習の意図を問い抗議の意思を表すべきです!(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 国防強化は戦争を招くか? 2013.10.22 ◆集団的自衛権行使容認に慎重な日本国民 安倍首相は22日の衆院予算委員会で、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に関し「行使するには、担保する法律がなければならない」と述べ、自衛隊法改正などの法整備が必要との考えを示しました。(10/22 産経「首相、集団的自衛権に『法整備必要』」) 安倍首相は同日、「行使の権利を持つのと、行使できるのと、行使するのは大きな隔たりがある」と指摘しています。 こうした集団的自衛権行使に前向きな安倍首相に対し、左翼勢力からは「『集団的自衛権は行使できない』という憲法解釈があったからこそ、自衛隊の海外での戦闘行為に『歯止め』が働いていた。」 「この『歯止め』を取り払って、米軍と肩をならべて海外で『戦争する国』につくりかえることが、集団的自衛権行使の狙いではないか。」というような「戦争を招く」「戦争に巻き込まれる」といった批判が続々と出ています。(10/19 赤旗) 朝日新聞社の世論調査によると、憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることについて、賛成は27%で、反対の59%が大きく上回っています。(8/26 朝日) 多くの国民は、左翼勢力や左翼マスコミが作り出した「集団的自衛権の行使を認めると、戦争を招くようで恐い」といった論調に影響を受けているようです。 ◆集団的自衛権や国防強化は隣国を刺激するか? しかし果たして、本当に集団的自衛権行使の容認や憲法9条改正は戦争を招くのでしょうか? 集団的自衛権のみならず、憲法9条改正、自衛隊強化等の一連の安全保障強化策に対して、「中国や北朝鮮、韓国を刺激して、戦争を呼び込むのではないか」といった意見を聴くことがあります。 しかし、中国や北朝鮮は、日本が国防強化しているから軍事力や覇権主義を強化しているのではなく、日本の動きとは無関係に、尖閣領域への侵出や核開発を進めています。(実際、日本の防衛費はこの二十年間、横ばいで推移しています。) そうした国々が領土拡張欲を持っていることは明白であり、日本が国防を強化しなければ、ますます彼らは増長し、攻勢を強めて来ることは避けられません。 ◆国防の強化こそが、戦争を防ぐ こういった日本の危機に対し、「抑止」という平和への努力が必要です。 「抑止」とは、日本が国防の努力を高めれば、侵略国は相応の損害を覚悟しなければならないという状況をつくることで、戦争を未然に防ごうという考え方です。この考えの上に、自衛隊は成り立っております。 これは「勢力均衡理論(Balance of power)」に基づく考え方です。 「勢力均衡理論」は、イギリスの基本戦略であり、「力が均衡している国家同士では戦争は勃発しにくい」という統計に基づき、小さな島国であるイギリスの独立を守るべく、自国の軍事力を高め、周辺国とのパワーバランスを保つ戦略を取って来ました。 しかし、現在、日本は憲法や様々な法律上の制約から、「抑止力」が充分に機能しているとは言えず、勢力均衡が崩れ、中国や北朝鮮をして、好き放題にさせている原因になっています。 現在の日本憲法では、残念ながら他国の侵略に対して、極めて脆弱です。 日本国憲法は、結論から言えば「何もしないことが平和」と言っているだけで、侵略に対して白旗を揚げるという意味での「平和憲法」と読めます。 したがって、護憲勢力は「白ハト」勢力ではなく「白旗」勢力だと言えます。 確かに白旗を揚げれば、戦争にはなりませんが、中国に占領されたチベットのような地獄になります。これだけは絶対に避けなければいけません。 ですから、「国防の強化こそが、戦争を防ぐ」という一見、反対に見えることが現実であることをご理解頂きたいと思います。(文責・岐阜県本部副代表 河田成治) 「河野談話」の根拠崩壊――慰安婦問題、新展開へ 2013.10.20 ◆「河野談話」のスクープ記事 日韓関係が「慰安婦問題」を中心に感情的な対立になっている中、10月16日、産経新聞が慰安婦問題のスクープ記事を掲載しました。 「河野談話」を作成した石原信雄元官房副長官のインタビュー記事です。(10/16産経「韓国を信頼し『公正・冷静に語れる人を』と言い韓国は約束した」石原元官房副長官 ) そもそも「河野談話」とは、20年前に、“従軍慰安婦”と言われている方々に日本政府が直接会って証言を取り、その調査に基づいて日本政府と日本軍が女性たちを強制的に慰安婦にした罪を認めて謝罪したものです。 ところが、産経の記事では、証言した方々は身元が分からなかったり、証言自体が明らかに食い違っていて、韓国側ですら信頼性がないので採用しなかったものを日本政府が取り上げていたことが出ています。 つまり、当時の日本政府の調査はずさんでいい加減なもので、河野談話の根拠は根底から崩れたことになります。(10/16産経「元慰安婦報告書、ずさん調査浮き彫り 慰安所ない場所で「働いた」など証言曖昧 河野談話の根拠崩れる」) ◆石原官房副長官は慰安婦報告書の紙を見ていなかった 石原信雄元官房副長官のインタビュー記事で驚くべきことは、石原氏は官僚がつくった調査報告書の紙を見ていなかったということです。 事務方の内閣官房副長官とは、日本の全官僚のトップにあたります。官僚のトップが紙を見ず、口頭の報告だけで、あの河野談話をまとめていたのです。 これが事実であるならば、河野談話を出したのは自民党政権であるので、現政権はこの報告書作成の経緯を調査して、再調査をすべきです。 また、国民に対しては、これまで個人情報保護を理由に隠し続けてきた調査報告書を情報公開すべきです。 ◆河野談話が日本にもたらした影響 河野談話が日本に与えた悪影響は計り知れないものがあります。 2007年、アメリカ下院でマイク・ホンダ議員が慰安婦問題に対する対日謝罪要求決議案を提出し、採択されました。 その後、カナダ、オーストラリア、フィリピン、ヨーロッパ等の議会でも同様の決議案が提出、採択される流れになりました。この流れをつくった、アメリカ議会での判断の元は「河野談話」でした。 その後、アメリカ各地で慰安婦の碑や慰安婦像を公共の公園等に設置する動きが起きていますが、その根拠も「河野談話」です。 私は、マイク・ホンダ議員と共に日本に謝罪要求を行っている、ユダヤ系アメリカ人でニューヨーク州選出下院議員のスティーブ・イスラエル氏の事務所を訪ね、政策秘書と議論をしたことがあります。 イスラエル議員の日本批判の根拠は常に河野談話です。そこで、私はその政策秘書に次のように質問しました。 「河野談話とはそもそも曖昧なもので、日本政府の強制性を証明するものがないにも関わらず謝罪したものだが、あなたは河野談話の内容をそこまでご存知ですか?」 これに対して秘書官は、「河野談話の詳しい内容を読んだことはない。もしあなたが言う通り根拠がないものだとすると話が全く違ってくるが」と困惑の表情になっていました。 このように河野談話が崩れると、慰安婦問題そのものが根拠を失うのです。そのことをいちばんよく知っている韓国は産経の記事に敏感に反発しています。 ◆日米安全保障協議委員会(2プラス2)の衝撃 韓国にとって、もう一つ予想外の出来事がありました。 今月3日、アメリカの国務長官、国防長官の二人が同時に日本に来て、日本の外務大臣、防衛大臣と安全保障協議を行った日米安全保障協議委員会、通称2プラス2において、アメリカ側が日本の集団的自衛権支持を表明しました。 もともと韓国は日本の集団的自衛権に反対です。 朴槿恵大統領の外交戦略では、日本と韓国・中国は経済では相互依存が進んでいるが、歴史問題での対立している現状を「アジア・パラドックス(アジアの矛盾)」を呼び、その責任はあくまで日本にあると主張しています。 そして、朴大統領は、オバマ大統領やアメリカ政府高官に、日本の責任を繰り返し主張して、「アジア・パラドックス」論でアメリカを説得すれば、アメリカは日本に歴史問題で圧力をかけてくれると信じていました。 ところが、東京での2プラス2でアメリカが日本の集団的自衛権を支持したことで、アメリカは「歴史問題と安全保障問題は全く別問題」だとはっきりと示したのです。 これは、アメリカが反日政策を続ける朴政権に対して圧力をかけてきたと言えます。 ◆世界が抱える本当の問題は「無神論国家との戦い」 現在の朴政権は中国寄りの姿勢で、米中の間でバランスを取りながら二股外交をすることが、自国の国益にかなうと考えています。 そして、歴史認識問題で中国と共闘し、日米を切り離して、日本を孤立化させることで、日本を謝罪に追い込もうとしています。 しかし、このままでは逆に韓国が日米から離れて、中国の属国となるだけです。 幸福実現党・大川隆法総裁は、今年のベストセラー書籍『未来の法』で、「世界が抱える本当の問題は、『神を信じない唯物論勢力』と『神を信じる国々』との戦いです」と指摘しています。 日本も韓国も本来、アメリカ同様に「神を信じる国」であり、本当の問題は、「無神論国家との戦い」なのです。 かつて朝鮮戦争で疲弊した韓国は、北朝鮮より貧しい、世界最貧国でした。当時の李承晩大統領は強固な反日姿勢を取りますが、経済回復はできず、北朝鮮の脅威にさらされていました。 そこに現れたのは、現在の朴槿恵大統領の実父である朴正煕大統領であり、暗礁に乗り上げていた日韓基本条約をまとめて、日本から経済支援を獲得して、「漢江の奇跡」と呼ばれる驚異的な経済発展を成し遂げました。 その時に、日韓関係を変えたのは、安倍首相の祖父である岸信介元首相と出会い、個人的な絆を結んだことです。 つまり日本と韓国、そして、アメリカという価値観を共にする国が連携した時に、中国や北朝鮮のような共産主義・唯物論国家との戦いを超えることができるのです。(幸福実現党外務局長 及川幸久) 安倍政権、「核の不使用」に署名へ――日本の国防は如何にあるべきか 2013.10.16 ◆政府が「核の不使用」署名へ 安倍政権は、国連総会第1委員会で今週発表される予定の「核兵器の廃絶を求める共同声明」(「核の不使用」)に署名する方針を先週11日に固めました。(10/11朝日) 同声明には、スイスやニュージーランドなど16カ国が参加する予定ですが、「核兵器使用が人道上、破壊的な結果を招く」として、廃絶を訴える内容になっています。 4月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で発表された声明では、スイスなど70カ国以上が署名しましたが、日本は「米国の核抑止力に頼る政策と合わない」と判断し、署名を見送っていました。 ◆「核の不使用」署名の背景 政府が一転して「核の不使用」署名する方向に転換した理由は、核廃絶を求める広島や長崎の反核団体から4月の署名を見送ったことに対する激しい抗議があったからです。 反核団体は、来年4月に広島で軍縮・核不拡散をテーマに開催される外相会議や、2015年の原爆投下70年にあたり開催される国際会議で、日本から「核廃絶」の声を挙げる絶好のチャンスと睨んでいるのでしょう。 安倍政権としては、日本から提案して「核の抑止力を否定しない」内容に声明が修正できれば、安倍首相が掲げる「積極的平和主義」とも沿うと判断しているわけです。(毎日10/12) 10月3日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、拡大抑止(核の傘)を巡る米国の日本防衛の関与を確認しており、「核の不使用」に署名しても防衛政策の基本に変わらず日本を縛る法的拘束力もありません。 つまり「核の抑止力を否定しない」声明に変更させて「条件つきの署名」にしようとしています。ある意味では、核抑止力の可能性を残して、広島をはじめ反核団体の反発をかわす「アリバイ的署名」と見えなくもありません。 ◆世界に拡散する「核」 しかし、今回の「核の不使用」署名の大きな問題は、アメリカ・中国・ロシアなどの「核保有国」や核保有をほのめかす北朝鮮が加わっていないことです。 核を持っていない国がたくさん集まって「核廃絶」を訴えても「核保有国」が核を放棄することはありません。核軍縮交渉は、核保有国同志が話し合って始めて成立します。ただし過去の「米ソ軍縮交渉」などみても、核保有国同志の交渉すらうまくいかないのが現実です。 かつて中国は、数千万の餓死者を出しても、お金を核兵器の開発につぎ込み核保有国の地位を確立しました。米国は中国の核兵器輸出を阻止しようとしましたが、中国は米国を騙してパキスタンに核を拡散したのです。 中国から学んだ北朝鮮も、餓死者を出しても罪意識すらなく、米国を騙して核開発を行っていました。既に北朝鮮内には、原子力発電所や原子炉、ウラン濃縮施設など15の核施設が確認されています。(10/14 TBSニュース「北朝鮮に15の核施設確認、韓国議員が明らかに」) したがって核保有を国家の最大の命題としている北朝鮮が「核廃絶」などの声明に参加する可能性はゼロです。 ◆日本を守る道 日本を核で脅すような「平和を愛しない諸国」が近隣に存在する中で、日本の安全を守るためには、いまのところ米国の「核の傘」に頼る以外にはありません。 日米同盟を維持し、「集団的自衛権」を行使すれば、北朝鮮や中国は、簡単に日本を攻撃することは出来なくなります。 つまり日本を攻撃した国は、軍事力で圧倒的に上回る米軍から「ドラマ・半沢直樹」のように「倍返し」の攻撃を受けることになります。 これが「集団的自衛権」であり「抑止力」というものです。日本の戦後の平和は、「平和憲法」のおかげだったのではなく、米軍の「核の傘」のおかげだったのです。 ◆まだ核を持っていない日本が「核の不使用」? まだ「核」も持っていない日本が「核の不使用」署名をすることもおかしな話ですが、安倍政権に署名を迫った反核団体の最大の目的は、米軍に「核兵器」を使用させないことです。 日本を守っている米軍の「核の傘を無力化」して喜ぶ国はどこでしょうか… 日本を取り巻く国際情勢は、オバマ発言にみられるように、米国が世界の警察を放棄しかねない時代に突入したことです。「平和を愛さない諸国」から日本を守るためには、日米同盟を維持しつつも、自主防衛を整備すべき時は既に来ているのです。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 日本が自由からの繁栄を目指し、高い精神性で世界を導く時代へ 2013.10.14 ◆いまだ続くアメリカの政府閉鎖 現在、アメリカでは、オバマケアの予算を巡る民主党と共和党の対立により、政府の閉鎖が続いています。 私は、幸福の科学グループのHS政経塾の塾生として、10月6~13日まで、ワシントンとニューヨークへ視察研修に行き、その混乱を目の当たりにしてきました。 議会では、民主党議員が政府閉鎖の責任は共和党にあると批判し、共和党議員が応酬する場面が延々と続いていました。 米政府の関連部署、NY証券取引所や証券会社のアメリカ人スタッフにも話を聞きましたが、彼らは一様に、政府の現状に失望感を示していました。 もちろん、世界最大の国家としての繁栄には本当に感動しましたが、一方でアメリカが方途を見失い、超大国の地位から転落しかけていることを、肌で感じざるを得ませんでした。 ◆悪平等の危険性があるオバマケア 対立の焦点となっているオバマケアは、国民皆保険を目指すものです。アメリカでは、医療費も医療保険料も高く、保険に入れず高額治療で破産に追い込まれたケースもあります。 そこで、大統領は、保険加入を全ての国民に義務づけつつ、民間保険会社の商品から選ぶ自由を与えることで、保険市場を拡大し、企業間の競争によって安い保険商品を開発・提供させようとしています。 加入は強制ですが、商品の提供は民間主体であるため、話を聞いた米政府関係者も、「自由市場を拡大しようとしているのだ」と主張していました。 医療費が安くなるならと賛成する声もあり、急進的な保守派のティーパーティの影響を受けて予算を人質に同法案に反対する共和党下院議員への批判も多く、政府閉鎖の責任は大統領よりも共和党にあると考える人が多いことが、世論調査で明らかになっています。 しかし、やはり、ある種の商品の購入を全国民に義務付け、市場を政府が強制的に拡大するというのは、介入が行き過ぎており、国民の自由を侵害することに繋がります。債務危機の中、膨大なコストがかかることも問題で、将来的な増税の危険性もあります。 日本の国民皆保険制度は確かに便利ですが、不必要な治療を受ける人が増え、健康な人が損をするモラルハザードも起きており、高齢化も相まって医療費の肥大化を招いています。 奇しくも米政府閉鎖と同日、日本では安倍首相が社会保障を目的とする消費増税を発表しましたが、日米共に、国民の自由を制限する方向に進んでいると言わざるを得ません。 ◆自由からの繁栄を目指す成長戦略を しかし、アメリカ建国の精神は「自由」です。独立宣言が採択された旧都フィラデルフィアの憲法センターも見学しましたが、自由を求めて戦い続けてきたアメリカの情熱に感動しました。 イギリスの増税に反発して起きた茶会事件が、独立戦争の発端となり、現在のティーパーティ運動の名前の由来ともなっているように、その精神は生き続けています。 ただ、忘れてはいけないのは、自由とは、極端な孤立主義や個人主義に陥ることではなく、公の精神や必要な政府の役割を尊重することでもあるということです。この点、今回の対立劇の立役者とも言えるティーパーティの主張にも、不十分なものがあります。 二大政党の対立構図には、一定の傾向があります。民主党は、政府の役割を尊重する点はいいとしても、大きな政府となって国民の自由を奪う傾向があります。 共和党は、小さな政府を目指し、国民の自由を確保しようとする点はいいとしても、政府の役割を軽視する傾向があります。特にティーパーティは、公共投資を含むあらゆる財政支出の削減を要求しており、当然、軍事予算を拡大してシリア問題などの紛争に介入することにも反対です。 しかし、正しい政策は中道にあり、国民の自由を確保すると共に、国家戦略を持って政府が国内外で役割を果たすことも必要です。この点、二大政党政治の限界を強く感じました。 今のアメリカに欠けているのは、自由からの繁栄を目指す成長戦略です。話を聞いた証券会社のスタッフも、「世界経済における最大のリスクは、成長の欠如だ」と述べていました。 政府が明確な成長戦略を持って投資を行い、経済を先導すると共に、国民の自由を拡大し、その力を引き出せば、国全体が富み、税収は増え、財政問題も解決するのです。 幸い、リーマン・ショック後のアメリカは、FRBの金融緩和が功を奏し、特に住宅市場の回復が顕著ですし、シェールガスの産出も大きな希望です。FRBの次期議長に、金融緩和に積極的で雇用拡大を重視するイエレン氏を選んだことも、賢明な判断だと言えます。 アメリカ金融界では、日本経済への期待の声も多く聞かれました。日本が増税ではなく経済成長による自由からの繁栄を達成して見せ、アメリカをも正しい方向に導くべきです。 ◆神の子としての自由と道徳・公共心の復活を また、アメリカにおいて、モラルや精神性の向上が求められていることも強く感じました。 一部のティーパーティ運動への国民の反発の原因には、自由の概念が濫用され、極端な個人主義や孤立主義、階級・人種差別的な言動が見受けられることがあると考えられます。 本来、アメリカ建国時の自由の概念には、高い道徳的観念、気高い精神性がありました。それは、創造主である神への純粋な信仰と、神に創られた人間としての尊厳への確信です。 独立宣言には、「すべての人間は平等に創られている。創造主によって、生存、自由、そして幸福の追求を含む、侵すべからざる権利を与えられている。これらの権利を確実なものとするために、人は政府という機関を持つ」とあります。 ここに掲げられた自由は、神の子としての誇りを持ち、神に与えられた自国を愛し、神の御心に適う世界を創る自由です。 過度な社会保障も極端な個人主義も、この精神を傷つけます。自由に伴う責任としての道徳心・公共心の復活と、それを政策に正しく反映する新たな指導者の登場が必要です。 ◆日本の高い精神性が世界を導く それと同時に、アメリカが基盤とするキリスト教精神の限界も感じます。独立宣言にある「創造主」が、旧約聖書における一神教的なものと捉えられた場合、弊害を生みます。 キリスト教原理主義が人種差別に繋がる面は否めず、ブッシュ大統領がキリスト教原理主義的な思想を掲げて実行したイラク戦争の泥沼化もあり、極端な宗教的イデオロギーを掲げての行動に国民は懐疑的となり、精神的支柱を見失っているように見えます。 これについては、日本が良き先導役になれるはずです。日本も自虐史観により精神的支柱を見失っていると言えますが、歴史的事実を見れば大きな違いがあります。 アメリカが過去の植民地支配や人種差別により多くの国々から反発を受けているのに比べ、日本は植民地解放によってアジアの国々から感謝され、宗教的寛容性があるため中東の国々からも信頼が厚く、国民の道徳心や公共心の高さには世界から定評があります。 幸福実現党は、不毛な二大政党制を乗り越え、高い道徳性を持った宗教的精神に基づく政治の実現を目指しています。 これからは、日本がアメリカの良き自由の精神にも学びつつ、アメリカをも導き、世界の繁栄と平和に貢献していくことが求められているのです。(文責・HS政経塾第二期生 小松由佳) 「成人力世界一」の日本は未来を信じ、世界のリーダーを目指せ! 2013.10.09 ◆混乱続きのアメリカ財政問題 10月7日(月)より、インドネシアのバリ島で、APEC首脳会議が開催されました。今回の会議は、日本より安倍総理が出席するほか、環太平洋諸国の首脳が一堂に会する大切な会議です。 ところがアメリカでは、10月から始まる新しい会計年後の予算が議会で承認されていないため、政府の一部機関が機能停止しており、オバマ大統領は、この対応のため、会議への出席ができなくなりました。 政府が進めている「オバマケア」と呼ばれる新医療制度が共和党への理解を得ることができず、半ば感情的な対立になっており、どのような形で決着するのか全く見通しが立たない状態です。 政府の福祉予算が大幅に上昇することを放置していいのか、というアメリカ国民(ティーパーティー)の声を無視することができない状況になっているようです。 オバマ大統領は、先般のシリア問題でもリーダーシップを発揮できず、しかも、9.11に行われた演説では「今後、アメリカは世界の警察官ではない」と明言しました。 財政問題が大きく関連しているとはいえ、アメリカが日本をはじめとする東アジアの平和に関して、軍事費削減の大義名分のもと、大きく影響力を後退させていく可能性が高まっています。 ◆「反日」で共同歩調をとる中韓首脳 そうした中、中国の習近平主席、韓国の朴槿恵大統領の両首脳が会談を行い、今後も連携の強化を行っていくことが明らかになっています。 日本にとって懸念されることは、この両首脳が、一貫して日本に対して従軍慰安婦問題などの「歴史認識」を訴え続けており、「反日」を念頭に置いた外交がつづいていることです。 中国は、去る9月9日に、尖閣諸島付近に「無人機」を飛行させ、領空侵犯を行いました。この新たな事態に対して、日本としては、何ら具体的な対応をとることができないでおり、安全保障上、厳しい状態が進んでおります。 また韓国朴大統領は、10月3日に行われたアメリカのヘーゲル国防長官との会談の中で「「歴史や領土問題で時代逆行発言を繰り返す(日本)指導部のせいで、(日韓間の)信頼を築けない」と訴え、相変わらず一方的な反日の発言を繰り返しております。 あたかも、両国の共通課題が「反日」であるかのような共同歩調が続いています。 ◆日露関係の進展に期待 一方、今後の日本の国益上、日露関係の進展が見られました。去る10月7日に、APEC会場のバリ島にて安倍首相はプーチン大統領と会談を行いました。 安倍首相は11月に東京で開催する日露両国初の外務・防衛担当閣僚協議に関し、「安全保障分野を中心に日露関係を深化させたい」と表明し、プーチン大統領も同意しています。(10/7産経「日露首脳会談 首相『2プラス2で両国関係の深化を』」) 今回の会談は、この半年間で4回目になり、プーチン大統領も日本重視の姿勢を改めてアピールする機会となりました。 幸福実現党も東アジアの平和のためにも日露関係の強化を主張しており、将来には「日露協商」を目指すことも提言しています。そうした意味でも今回の首脳会談は大いに評価できるでしょう。 ◆日本人は「成人力」世界第一位! さて新聞においては「国際成人力調査第1位」の報道がありました。(10/8時事通信「日本、読解と数的思考1位」) 国際成人力調査とは、経済協力開発機構(OECD)が24の国と地域の約16万人を対象に実施した新調査で、「読解力」「数的思考力」「IT活用」の3分野で、技能と学歴や職業などとの相関関係を分析するのを目的とする調査です。 教育改革の議論の中で、学力調査では、国際的に厳しい結果が出ている一方、すでに第一線で活躍している日本人のビジネスマン・ビジネスウーマンとしての能力はすでに世界一に達している事が明らかになり、日本経済を支えている底力を感じることができました。 また、先般、2020年東京五輪の開催が決定しましたが、国際社会から見ても、現在の日本は大規模なテロの可能性が少なく、国民も時間に正確など、勤勉な国民性を持っており、大きな信用を確立しつつあることは事実です。 ◆世界のリーダー、日本の未来を信じよう! 残念ながら、中韓を中心とする「歴史認識」問題で日本に対する誤った見方をされておりますが、文字通り、正しい歴史認識を持ち、日本国民は日本人としての正しい誇りを持つことが望まれています。 アメリカの後退、中国や韓国からの反日プロパガンダなどの懸念はありますが、逆に日本は今こそ、世界のリーダーを目指すことをはっきりと主張していく必要があり、その可能性を実現していくだけの力を私たち日本人は持っているのです。 日本は、国際社会において自分たちの国家が世界に対してより良い貢献を行うことができることをはっきりと主張するべき時にきていると思います。様々な課題はありますが、日本は、今、大きな希望をもって世界のリーダーになることができる環境ができているのです。 幸福実現党は、今後も日本の次代を担う政策を提起し、今後も国民の皆さまに明るい日本の未来を切り拓くために邁進して参ります!(文責・ こぶな将人) イラン核開発問題の新展開に日本はどう対応すべきか 2013.10.04 ◆アメリカ・イランの歴史的和解? 毎年9月のニューヨークには、国連総会のために世界各国の首脳が集結します。今年の国連の主役は、日本の首相でも、アメリカ大統領でもなく、イランのロウハニ新大統領でした。 昨年までは、イランの核開発問題でアメリカとイランが緊張関係を高める中、強硬派のアフマディネジャド大統領が過激な発言を繰り返し、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃の可能性が高まっていました。 ところが、穏健派のロウハニ大統領に代わり、アメリカとイランの緊張が一気に緩和され、歴史的な和解が起きるような状況が突如現れたのです。 ロウハニ大統領は、アメリカ滞在中に安倍総理を含む各国指導者に次々と会い、イランは核兵器を製造する意思はないと伝え、イランのザリフ外相はアメリカのトーク番組に出演し、「われわれは核兵器が社会にとって有害であると確信している」と語りました。 オバマ大統領は、ニューヨーク滞在中のロウハニ大統領と電話で15分間話しました。アメリカとイランの首脳が話をしたのは、1979年のイラン革命以降初めてになります。 イランが核兵器を開発しているのは間違いないと国際社会が確信していた中で、昨年頃からイランの核開発は平和利用目的であり、どうもイランはアメリカとイスラエルに「濡れ衣」を着せられていたのではないか、という見方が広がりつつありました。 その中で、前任者と全く違って笑顔あふれるロウハニ大統領に国際社会は注目したのです。 一方、この状況に狼狽したのはイスラエルです。ネタニヤフ首相は、オバマ大統領と9月30日、ホワイトハウスで会談し、アメリカがイランの核開発問題について軍事力ではなく外交交渉による解決を目指すのはいいが、イランに対する経済制裁は強化すべきだと主張しました。 イランは外交を「隠れ蓑」に使って核兵器開発を続けるだけだということです。ネタニヤフ首相はさらに10月1日の国連総会演説で、イランが核兵器開発の意図を否定していることについて、「ロウハニとアハマディネジャドとの唯一の違いは、アハマディネジャドは『狼の皮をかぶった狼』だったが、ロウハニは『羊の皮をかぶった狼』だという点だ」という表現で、イランはウソをついていると反論しました。 ◆アメリカの指導力の低下 ここで気になるのは、ロウハニ大統領の言葉の真実性よりも、アメリカの指導力の低下です。 ノーベル平和賞受賞者であるオバマ大統領の平和外交路線によって、イランの核開発問題が急速に沈静化するのを見ている、秘密裏に核兵器、科学兵器の大量破壊兵器を持っている国、これから持とうとしている国は、何をやってもアメリカの軍事報復はないと判断するでしょう。 現実に、国連総会の直前に起きた「シリア空爆騒動」で、ロシアによるシリアの科学兵器廃棄案にアメリカがあまりに簡単に乗ったことで、アサド政権は科学兵器を隠すための十分な時間を得ることができました。 また、シリアの内戦は何も変わりなく続いているので、アメリカの攻撃の心配せずにアサド大統領は、通常兵器での攻撃を激化させることができるようになったのです。 同時に、アメリカと戦ってきたアルカイダ等のテロ組織も、アメリカの凋落を見逃さないはずです。 さらに、東アジアでは、シリア、イランと軍事的につながっている中国、北朝鮮が暴走することになるかもしれません。 これが、「警察官がいなくなった世界」です。世界全体がまるで映画「バッドマン」の舞台である犯罪都市、ゴッサムシティになったようなものです。 ◆日本はアジアのリーダーとしてイラン問題を考えよ では、日本はどのように考えるべきでしょう。イスラエルは、イランが核開発をやめるはずがないと考えています。 そして、アメリカが動かなくても、イスラエル単独でイランの核施設に攻撃すると言っています。なぜなら、イランが核兵器をつくっているとしたら、もう完成間近であると判断しているからです。 幸福実現党が昨年発刊した書籍『イラン大統領vs.イスラエル首相-中東の核戦争は回避できるか』(大川隆法著)には、イランの核兵器完成まで「あと二年」と書かれていて、イスラエルの見方と一致しています。 もしイスラエルが実際にイラン攻撃を開始すると、イランは即時にホルムズ海峡を封鎖します。日本はサウジアラビア、クウェート、カタールから原油、天然ガスを輸入していますが、日本に輸送する原油の9割がホルムズ海峡を通過しています。 原発が止められたままの日本経済にとって致命的な事態になります。日本は、「イランとイスラエルの戦争が現実にあり得る」という前提で物事を考えなければなりません。 イランの問題は日本の危機に直結しています。一見柔軟姿勢に変わったイランを安易に受け入れようとしているオバマ大統領に対して、世界全体が暗黒街にならないために、アジアのリーダーとして日本が警告すべきであります。(幸福実現党外務局長 及川 幸久) すべてを表示する « Previous 1 … 75 76 77 78 79 … 98 Next »