Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 この国に精神的支柱を打ち立て、宗教立国の建設を! 2016.05.20 文/幸福実現党・群馬県本部副代表 安永あきら ◆波間を漂う「くらげ」のような日本 今年は、戦後71年。この間日本は経済成長に奔走してきました。しかし、大切な国家としての精神的支柱を失い、まるで波間を漂う「くらげ」のような日本人を生みました。 当然、政治の世界も他国の反日プロパガンダに敗けて、自国の考えを発信できずに波間を漂っているようなものです。 このままでは未来展望を失ったまま、この国を青年たちにバトンタッチするしかありません。「誇りと自信」を失ったままでこの日本を次世代に渡すのか・・・いやそうであってはなりなりません。 ◆宗教立国の建設を 幸福実現党は、北朝鮮によるミサイル発射があった7年前、国難迫る中、「日本危うし」というテーマを掲げ立党しました。その時、国防を訴える政党はありませんでした。 幸福実現党が警告してきたように、日本を取り巻く国際情勢は、北朝鮮の核実験やミサイル発射、中国の軍事的台頭し、国内では消費増税等による経済失速のさなかにあります。 民主主義にも、よい点はありますが、その反面、大衆迎合型の政治に陥りやすい面もあります。 戦後は「神仏」の姿が見えなくなっていますが、民主主義の上に神仏を敬う徳治主義的な側面を上乗せする発要があります。神仏の存在を前提とした民主主義国を創りたいと考えています。これが宗教立国ということです。 ◆敗戦後の日本人悪人説を払拭する時 戦後、GHQの日本占領政策は日本文化・風習を破壊し憲法まで押し付けてきました。 結果、日本の武士道精神の死生観も打ち壊され、素晴らしき日本人の精神的支柱も失われ、骨抜き国民を創り出されてきたのです。 日本に反軍国主義の共産主義、社会主義の毒水が流れ込み、指導者・文化人・教育者・政治家・企業家が誕生し、企業労組や日教組などが繁殖していきました。 結果、戦後の教育の中に唯物的な思考が流れ込み、宗教教育などは一掃され、心の荒廃が進み自殺者が増えてきたのです。 こうして戦後の国民は、日本人としての誇りも自信も失い、この世的な生き方のみに翻弄され、自己中心的な人生観に疑問を持つことも無く生きてきました。 ◆東京裁判史観は捏造されたデタラメな歴史観 大東亜戦争は本当に侵略戦争だったのでしょうか。原爆は戦争を早く終わらせる為だったのでしょうか。南京大虐殺は、慰安婦の強制連行は・・・など疑問が限りなく湧いてきます。 多くの国民は、「日本悪し」のデマ宣伝に気付いていません。ましてや「3S作戦」(3Sとはスクリーン、セックス、サウンドにこと)を押し付けられ、退廃文化が日本人の魂まで骨抜きにしました。 戦後間もないころは、日々の生活を生きていくだけで精一杯で多くの国民は気がつくわけも無かったのです。 教育もしかりです。極東軍事裁判(東京裁判)は正しい裁判であったのでしょうか。国民は有無も言えず捏造歴史を学ばされてきました。 マッカーサーもGHQも今は存在しません。しかしマッカーサーの敷いたレールの上を左翼マスコミが、左翼政党がしっかり引き継いでいます。 GHQにより放たれた指導者・文化人・教育者・政治家・企業家によって傀儡日本人による洗脳が現在まで続いているのです。 押し付けられた矛盾だらけの憲法を「平和憲法」と偽って憲法を守れとプロパガンダを繰り返し、自分の国を愛する事を忘れてしまった子供たちが出来上がってしまいました。 幸福実現党は、自虐的歴史観の一掃、矛盾だらけの憲法を改正し、東京裁判まで遡のぼって歴史の見直しを求めて参ります。 台湾新総統就任――今こそ日米の支援が必要だ! 2016.05.19 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆注目される台湾新総統の外交政策 5月20日に予定されている、台湾新総統の就任演説で蔡英文氏がどのような外交政策を打ち出すのかが注目されています。 その中でも、中国側が受入れを強く要求する「九二コンセンサス」の扱いが、大きな課題となっています。 「九二コンセンサス」とは、「一つの中国」という原則を立て、「中国」という言葉が何を意味するかを、中華人民共和国と中華民国がそれぞれに解釈することです。 馬総統は、この「合意」が92年にあったとして中台交流を進めましたが、蔡氏が率いる民進党は、そうした「合意」はないという立場です。 後者の立場を先鋭化した場合は、「二つの中国」の存在を主張したり、「中国と台湾は国対国の関係だ」等と主張したりする外交路線になりますが、蔡氏は昨年以来、慎重に「現状維持」路線を掲げてきました。 ◆なぜ、アメリカは台湾独立を支持しないのか なぜかと言えば、米国が中台関係の緊張と紛争勃発を恐れて、後者の台湾独立路線を支持していないからです。 5月16日の米中外相会談でも、ケリー国務長官は、「一つの中国」の厳守を求めた王毅外相に、台湾を巡る米国の立場に変わりはなく、台湾独立は支持しないと述べました。 米国は、米中国交正常化において、台湾との外交関係を「非公式」なものとしたため、その後、中国寄りの外交路線を取り続けています。 米国は、ニクソン訪中時の共同声明で、台湾と中国の双方が「中国は一つ」と主張していることを認識し、この立場に異論を唱えないと表明しました。国交正常化の際には中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認しています。 中国と国交を結んだ米国としては、台湾側に中国を刺激する行動をしてほしくないわけです。 ◆冷戦終了後に、大きく変化した東アジアのパワーバランス 当時、米国は、ソ連の脅威に備えるために、ソ連と対立した中国との関係を強化しました。そして、「台湾関係法」に基づく援助を行い、中国の台湾侵攻を抑止しようとしたのです。 中国軍事研究家の平松茂雄氏は、米中国交正常化の頃、米国は三つの理由で、中国は台湾への軍事侵攻を図る余力はないと判断したと述べています(『台湾問題』P119 勁草書房)。 ★1:中国軍には海峡を渡って台湾を軍事攻撃する能力はないが、台湾は中国の侵攻を阻止できる軍事力を持っている ★2:中国はソ連の脅威に対して日米安保を抑止力として利用している。ソ連と対立するかぎり、中国は「北の脅威」に備えねばならず、台湾を攻撃する余裕はない ★3:中国の近代化のためには、日米などの資本主義国との経済関係の発展が不可欠。台湾への武力行使はこれらの関係を悪化させ、近代化計画を挫折させる 当時の米国は、中国は台湾に武力行使できないと見たのですが、その後、ソ連が崩壊してからは、東アジアのパワーバランスが大きく変わります。 冷戦後に中露の国境問題は解決し、中国が世界第二位の経済大国となりました。軍事力でも台湾との大きな差が開いていったのです。 例えば、「近代的戦闘機」(※)の数で見ると、中国は731機、台湾は329機にしかすぎません。 (※日本にあるF15やF2と同世代の第四世代戦闘機のこと。機数は『防衛白書 平成27年度』の数字) 三つの条件のうち二つが消滅し、三番目の経済上の利害関係だけが残っているというのが現状なのです。 中国は沿岸部から1200発以上の短距離弾道ミサイルで台湾を攻撃できるので、日米が強く支援しなければ、近未来に台湾の運命は風前の灯となりかねません。 ◆台湾の未来を守るために、日米からの強い支援が必要 ケリーの発言は、状況が変わっても、外交政策を変えられない米国の現状を示しています。 オバマ政権でも台湾への小規模の兵器売却は行われましたが、最新型のF16戦闘攻撃機などの主要兵器の売却には尻込みしています。 そのため、日本としては、アジアのシーレーンを守る要所に位置する「台湾の地政学的な重要性」を米国に訴えかける必要があります。 そして、台湾を守る具体策の一つとして、台湾のTPP参加を支援すべきでしょう。トランプとヒラリーの双方がTPPに否定的なので、オバマ大統領時代の間に、これを早期発効すべく強く働きかけるべきなのです。 台湾が他の自由主義国との経済関係を強め、中国との貿易依存度を下げなければ、経済面から中国に脅かされます。台湾のTPP参加には、安全保障上の意義があるのです。 日米台が経済と安全保障の両面で連携する未来のために、一手を打たなければなりません。 増税再延期解散という責任回避は許さない 2016.05.18 文/千葉県本部 副代表 古川裕三 ◆3四半期連続マイナス成長の可能性 17日付ロイター通信によると、18日に発表される2016年1─3月期国内総生産(GDP)が年率換算で1%程度のプラス成長の場合、来年4月の消費増税の実施は難しいとの見方が政府内で台頭してきているといいます。 それに伴い、経済官庁では、延期の場合の経済的影響や経済対策のシミュレーションを始めていると報じられています。 消費と設備投資が冷え込み、内需の縮小が顕著であり、ロイターの調査によれば、前期比・年率プラス0.2%の予測で、実質はマイナス1%を超える落ち込みとなります。 熊本地震の影響もあり、4-6月期は生産の停滞、消費、投資マインドも、より悪化しているのが現状であり、GDPを押し下げる要因はあっても、積極要因は乏しい状態です。 ◆消費増税再延期解散の足音 また、このような景気後退局面において、政府関係者の間では「3四半期連続(新年度から9ヶ月連続)で成長率がマイナスとなることも想定される情勢で、消費増税ができる環境ではない」という意見が力を持ち始め、「増税延期が最大の景気対策」とする声もあがっているようです。 熊本地震のあとも、安倍総理は、「来年4月に予定通り増税する」旨や、「解散の『か』の字も考えていない」と答弁してはいますが、野党も警戒を続けているように増税再延期を決めて、解散総選挙を総理が選択する可能性は否定できません。 予測されるシナリオとしては、伊勢志摩サミットにおいて、すでにレームダックと化したオバマ大統領が、最後のレガシーづくりのために、アメリカの大統領として初めて公式に広島を訪問し、「核なき世界」パート2を高らかに宣言されるのでしょう。 それに合わせる形で安倍総理も左派にポーズをとって支持率を上げて、さらに消費増税の再延期を決めてサミット後に解散するというものです。 ◆総理は責任をとるべき 2014年の4月に8%に上がった消費税ですが、総理はわずか半年後の14年10月には増税延期を決め、11月に増税延期の信を国民に問う、として解散し、12月に総選挙が行われました。 全く大義が立たない解散だったわけですが、今回も同じ理由で解散を企んでいるわけです。一回の総選挙では500億円以上の国民の血税が投入されます。 17日には16年度補正予算として総額7780億円の熊本地震の復興予算が成立しましたが、もし解散を打つようなことがあれば、それこそ全国民、特に熊本の被災者に対する背信行為にあたります。 潔く増税の失敗を認めて総理は責任をとるべきです。私たちは党利党略を優先させた責任回避解散を断じて許しません。 オバマ大統領“広島訪問”の功罪――忘れてはいけない抑止力の視点 2016.05.17 文/HS政経塾5期生 水野善丈 ◆揺らぐアメリカの「核の傘」 オバマ大統領は今月27日、伊勢志摩サミットに合わせて広島を訪問することを正式発表しました。 2009年のプラハ演説で「核兵器のない世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領にとっては、任期を終える前に国際社会へのアピールの場としたいようです。 もちろん、世界中の大多数の人が「核兵器のない世界」を望んでいます。 しかし、アメリカ大統領が核兵器をなくすゆるぎない決意を述べたところで、世界で核兵器の脅威が現実になくなることはありません。 むしろ、日本にとっては、アメリカの「核の傘」で守られてきた国防が揺らぎ、逆に中国・北朝鮮の核兵器の脅威がより現実的になることも予想されます。 そうした意味でも、現職のアメリカ大統領が初めて広島を訪問することもあり歓迎ムードが広がっていますが、その功罪はしっかりと見極めないといけません。 ◆「話し合いで分からない国」も存在する そもそも、日本を取り巻く国々の中には、「話し合いで分かる国」と「話し合いでは分からない国」が存在します。 例えば、中国は「固有の領土」と主張する南シナ海・南沙諸島で大規模な埋め立てや戦闘機やレーダーなどの配備を続けています。 さらに、付近を飛ぶフィリピン軍機に強力な光を照射して退去を求めるなど、中国の行動は国際法が認める「航行の自由」も揺るがしています。 そのため、フィリピンが中国を国際法違反だとして国連海洋法条約に基づく仲裁手続きに訴えていますが、中国は「受け入れない。審議にも参加しない。」と無視を続けています。 完全に国際法より上として、中国は存在しているのです。 また、北朝鮮は、朝鮮労働党大会で「核兵器保有国」を高々と宣言したように、今後とも、水爆・潜水艦によるミサイルの発射実験や移動式のムスダンの発射実験を続けて世界へ挑発を続けていくでしょう。 ◆価値判断を下せない日本の政治家・マスコミ 日本の政治家・マスコミはこうした国々に対しても、価値判断を避け安易な外交に逃げてきました。 しかし、中国や北朝鮮が正しいか・間違っているかは、「とことん究極まで中国・北朝鮮のような国が世界に増えたら人類は幸福になるか、不幸になるか」という視点から判断すると分かります。 そして、間違っているならば「悪を犯させない」ためにも、現実的に対処していく方法を考えていかなければならないでしょう。 ◆中国・北朝鮮へ「核を使わせない」努力を 故に、アメリカ大統領がわざわざ広島にきて、安易に「核のない世界」をアピールするよりも、核をもつ独裁国家に対して「核を使わせない」ようにアピールする必要があるのではないでしょうか。 それは、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏も日本へ核抑止力を促しているように、唯一の被爆国である日本だからこそ核抑止力を保持し、独裁国家の核の悪用に歯止めをかけることであります。 第二、第三の広島・長崎をつくらないためにも、中国・北朝鮮の核の脅威から日本・世界を守る抑止力の視点は忘れてはならないと思います。 「核兵器使用」への共通認識を新たな安全保障の土台に 2016.05.10 文/HS政経塾5期生 表奈就子 ◆北朝鮮が「核保有国の立場」をPR 北朝鮮の金正恩第一書記が、第7回朝鮮労働大会において、「北朝鮮は責任ある核保有国だ」と発言したことが、8日のマスコミ各紙で報じられました。 金正恩氏は「米国による核戦争の危機を、強力な核抑止力に依拠して終わらせる」と強調。他方で、他の核保有国と対等な立場で、核の不拡散や非核化に取り組むことを表明しました。 また北朝鮮は、近く5回目の核実験を行う可能性があると、米ジョンズ・ホプキンズ大学が分析しています(5月7日日本経済新聞)。 北朝鮮が今後、核兵器という武力を背景にし、自らを「責任ある核強国」と正当化して国際社会に圧力をかけようとしていることは明白です。 ◆核兵器をめぐる国際的な矛盾 日本としては、核兵器で恫喝しようとする北朝鮮に黙っていることはできません。 しかし核兵器をめぐってはダブルスタンダードが存在し、国際的に矛盾があります。 核不拡散条約(NPT)という国際条約がありますが、これは「国連常任理事国の5か国以外は、核兵器の製造、保有をしてはならず、厳しい国際査察を受ける義務がある。しかし常任理事国は核保有国として、核兵器の自由な製造、保有を認められる」という内容です。 これでは核保有国の核兵器は永久になくならない可能性が高いのです。 ◆核兵器をめぐる日本の矛盾 また日本の立場にも矛盾があります。 一つは、唯一の核兵器被爆国として、核兵器の廃絶を訴えながら、アメリカの「核の傘」の下にいて安全を保っている矛盾。これは長年議論されてきました。 また、日本政府は核兵器について、「憲法9条は、自衛のための最小限度の核兵器の保有を禁止するものではない」としています。 ですが日本は先述のNPTに加盟していることや、原子力基本法で核の使用を平和利用に限っていることなどから、自衛のために核兵器を保有するには現状では矛盾があります。法改正と国際的な合意が必要です。 最大の矛盾は、日本は米国の核の傘の下にいることもあり、核兵器使用の善悪について一貫した主張をできないでいることです。 原爆投下は、1899年に採択されたハーグ陸戦法規で禁止されている民間人への攻撃であり、国際法違反だと言えます。 しかしオバマ大統領の広島訪問に際しても、日本政府は謝罪を要求していません。両国の友好関係を考えると難しい課題です。 ◆国際社会の危機を見据え、安全保障の本質を捉える 日本としては、国際情報を無視して核開発し続ける北朝鮮があることや、核兵器の保有を認められている中国が近隣の海洋に軍司基地を築いている周辺現状を見ると、戦争の勃発を防ぐには戦争を抑止する力が必要だと考えられます。 それは日本にとっては、米国との同盟関係の強化であり、核装備をも視野に入れた安全保障体制の構築です。 しかし、それには同盟国アメリカと、核兵器使用に対して共通の認識がなくてはなりません。 ◆核兵器に対する、「戦争をしない」ための考え方 昨今は核保有国も、他国より優位に立つために核兵器を積極的に誇示しようとする国と、そうでない国に分けられると考えられます。 そうすると優先順位は、核保有国の中でも、核兵器を笠に着て他国へ圧力をかける国を牽制するために、その他の国と共通の価値観を共有することが必要です。 それは、憎しみや恨み、差別に基づいて他国を打ち負かすために核兵器を使うことは正しくないという認識です。 これは核兵器を使用したアメリカが、戦後の日米の友好関係を鑑み、過去の経験を反省して発信してこそ説得力を持つものです。 難しい問題ではありますが、要は、核兵器を使う人間がどういう考えを持っているかという要素も勘案する必要があると認識することです。 日本は、憎しみや差別を越えて戦争を抑止することが新たな安全保障の基盤であり、それでこそより強く正義を実現できるという考え方を国際社会に広め、アメリカの反省と謝罪を国際的に讃えられるものにする必要があります。 幸福実現党は、実際に戦争を抑止し国民の皆様を守りながら、同時に世界の全ての国に住むあらゆる人の平和と幸福を実現する理想を掲げ、多くの国に理解を求めながら、平和主義国家日本の舵取りに責任を持ちたいと考えます。 日本防衛戦略「核抑止編」【第3回】―核装備プラス日本版SDI(私案) 2016.05.05 文/茨城県本部副代表 中村幸樹 ◆北朝鮮の核の「脅威」に対する「抑止・対処戦略」 北朝鮮は、核兵器の小型化・弾頭化に至った可能性があり、将来的に核弾頭搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の配備に成功すれば、地上移動式発射型ミサイルの能力向上と併せて、核戦力の残存性が一層高まる危険性があります。 金正恩氏の強気の性格と、米国の「核の傘」の信憑性を考えれば、日本独自の抑止力構築が必要となります。 日本が北朝鮮の「核の脅し」に屈せず、核を撃ち込まれて一千万単位の被害を出さないためには、核装備(「報復型抑止」)と迎撃(「拒否型抑止」)の両方が必要です。 核装備は、原子力潜水艦からの巡航ミサイルを中心にします。敵から先制攻撃で潰されるのを避け、残存性を保つためです。また、日本は、核の「先制不使用」原則を徹底します。 「報復型抑止」は、唯物論国家に対しては、「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」も組み込む必要があります。人権軽視の指導者には、兵器・軍隊・都市の壊滅や人民の大量殺傷さえ、抑止にならない場合があるからです。 金正恩氏の場合、深慮なき先制核攻撃や、第二次・第三次核攻撃、自暴自棄の核使用さえあり得るので、日本国民の生命・安全・財産を護るために、「拒否型抑止」も必要です。 核ミサイル攻撃を感知した場合は、潜水艦、ミサイル艦、航空機からの巡航ミサイルや、爆撃機、無人機等で、敵ミサイル基地を破壊します。 発射されてしまった核ミサイルに対しては、従来のイージス艦SM-3やPAC-3の他、早期に、レーザー迎撃システム、日本版THAAD等を開発して対処します。 ◆中国の核の「脅威」に対する「抑止・対処戦略」 中国の「ロケット軍」は、核戦力と通常戦力の双方を兼ねて、第二撃核戦力の質的向上に取り組み、弾道ミサイルの個体燃料化、車両による移動方式への転換、MIRV化を推進しています。 中国の核戦略は、政治の優位、先行不使用宣言、核弾頭の漸増、平時は核弾頭を外して保管、とされていますが、次のような論があります。 〈1〉先制不使用は柔軟な抑止政策を妨げる 〈2〉通常精密打撃兵器に対して核の先制不使用を適用すべきではない 〈3〉台湾進行作戦への大規模介入にも先制不使用を守るべきではない 実際には、トップの意志で、如何様にも運用されます。 アメリカは、中国が米本土に対して核弾道ミサイルを撃たなければ、東アジアでの限定的な核兵器使用に対しては、精密誘導型通常兵器、極超音速滑空ミサイル等で対処する可能性があります。 日米同盟が順調な関係であれば、対中国でも同盟は発動されるでしょうが、「核の傘」は原則ないと考えて戦略を組む必要があります。 日本が核装備をしてない段階で、「日米同盟の破棄」、「沖縄からの米軍撤退」、「中国による台湾占領」のいずれかが起きた場合、シーレーンは中国に押さえられ、日本隷属化は確実になります。 仮に通常戦力でいかに優勢であったとしても、核使用のエスカレーションには、なすすべがなく、意志の強要に対して抵抗ができないからです。 日米同盟の持続・強化は、今後も決定的に重要ですが、リスクや将来展望を考慮して戦略を立案すれば、「核装備プラス日本版SDI」となります。 ◆「核装備プラス日本版SDI(私案)」 日本の核による「報復型抑止」は、原子力潜水艦からの巡航ミサイルと弾道ミサイルで対処します。 「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」を組み込み、中国の核戦力破壊を重視して、運用計画を幾通りも作り、念のため、「最小限抑止力」200~400発は確保します。 「拒否型抑止」力としては、大量の核ミサイルにも対処可能な、レーザー、マイクロウェーブ、レールガンなどの兵器開発に速やかに着手します。 特にレーザー、マイクロウェーブの技術は、他の追随を許さない圧倒的な技術力を追究し、あらゆる核兵器や通常兵器を短時間で大量に無力化できるレベルまで、開発を進めます。 合わせて、宇宙技術、サイバー技術でも中国を圧倒し、さらに他の種類の、核兵器無力化技術も、最先端で研究し、やがては「核廃絶」の道を拓きます。 また、その技術開発成功までの「脆弱性の窓」にも手を打ちます。 最重要は、日米同盟強化で、米軍の沖縄駐留と巻き込みが鍵ですが、他の一つは、通常戦力の増強です。 特に、「巡航ミサイル」「抗堪性」「兵站力」は飛躍的に増大させる必要があります。 以下に一例を挙げます。 ◆「A2/AD(接近阻止/領域拒否)」と「エアシーバトル(ASB)」 「接近阻止」(A2)とは、米軍部隊の戦域への展開を遅延させる、あるいは紛争の現場からはるかに遠い距離から作戦させようとする行動です。 「領域拒否」(AD)とは、敵が領域内での米軍の作戦を妨害しようとする行動です。 中国の「A2/AD」戦略に対抗する米軍の戦略構想として、「エアシーバトル」があります。 「エアシーバトル」は、統合部隊による敵への縦深(宇宙・サイバー・航空・地上・海洋領域)攻撃を中心思想とする戦争構想です。 この構想は、米軍が本格的戦いに突入すれば、圧勝が予想されますが、弱点は、中国の先制大攻撃に対して、米軍が本格的反攻に入るまで、数週間はかかることです。 例えば、中国が、台湾や沖縄への侵攻前に、北朝鮮を使って、沖縄上空で核爆発を起こさせたとします。 米軍や家族は退避し、いわゆる人質効果さえなくなります。 米軍の反攻が始まるまでの間、自衛隊は、第一列島線の島嶼を中国人民解放軍に占領されないよう、自力で有効に戦い続けねばなりません。 そのためには、敵のミサイル基地等を潰せる「巡航ミサイル」の大量配備が必要ですし、先制攻撃やその後のミサイル攻撃による被害を防ぐシェルターも必要です。 装備や弾薬、燃料、食糧等の分散大量備蓄シェルターや、地下生産設備等も要りますし、当然、国民を護るシェルターが要ります。 「戦略は環境に対応」しますので、今後も戦略は進化するべきですが、まずは、日本も「核装備」をしなければ間に合わないことを肝に銘じたいと思います。 参照: 『世界を導く日本の正義』大川隆法著 『戦略の強化書』西村繁樹著 『現代アメリカの軍事戦略と日本』山田浩著 『核戦争計画』丸山浩行著 『米中軍事対決』河津幸英著 日本国憲法、施行69年――新しい時代には新しい憲法を 2016.05.04 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆69回目の憲法記念日 先日、5月3日、69回目の憲法記念日を迎えるにあたり、幸福実現党も声明文を発表いたしました。 「憲法記念日にあたって」 http://info.hr-party.jp/press-release/2016/5496/ この日、幸福実現党は全国各地にて「憲法と日本、どっちが大事?」を訴え、筆者も品川駅、浦和駅、大宮駅にて、幸福実現党・釈量子党首や加藤文康幹事長、小島一郎幹事長代理、そして幸福実現党の後援会の皆様と共に、街頭宣伝活動を執り行いました。 幸福実現党ホームペジより 「憲法記念日にあたって、街頭演説を行いました」 http://info.hr-party.jp/2016/5501/ ◆時代に応じて変化する諸外国の憲法 日本の戦後憲法は施行から69年が経ちました。 世界には200カ国近く憲法を有する国があるなかで、実は日本の憲法は古い方から数えて14番目。すごく古いのです。 しかも日本よりも古い憲法を持つ国で、憲法改正を一度も経験していない国は一つもありません。 日本よりも古い憲法を持つ国のほとんどは20~30回程度、憲法を改正し、ドイツにいたっては60回近く、スイスになると140回以上も改正しております。日本人の感覚からすれば、改正しすぎかもしれません。 しかし「時代が変われば憲法を変える」が当たり前の世界のなかで、日本人だけが、この69年間、現行憲法を不磨の大典の如く守り続けているのです。 ◆そんなに憲法が大事なら・・・ さて、これだけ大事にされて来た日本国憲法ですが、皆様はその条文を読んだことがありますでしょうか。 筆者も今回、憲法記念日に読んでみましたが、ほとんど何が言いたいのかわからない。多くの方がそんな感想を持つのではないでしょうか。 それは私たちの頭が悪いからでしょうか。筆者はそうは思いません。 実は今の日本国憲法は、アメリカ人によって、英語で作られ、それを無理やり日本語に翻訳された文章です。だから大変、わかりにくいのです。 自分たちの国の憲法を自分たちの手で、自分たちの言葉で作っていない国家を皆様はご存知でしょうか。筆者は日本以外に知りません。 5月3日の憲法記念日には、テレビや新聞で「憲法がいかに大事か」、そして「憲法は民主主義の根幹だ」と語られます。 しかし、そんなに憲法が大事で、民主主義の根幹であるならば、私たち日本人は、自分たちの言葉で、自分たちの手により、自分たちの憲法を作り直すべきではないでしょうか。 ◆憲法前文の大事さ 現行憲法の問題点について、幸福実現党は立党以来、憲法9条始め、様々に指摘して参りましたが、その最大の問題の一つが憲法前文にあると筆者は考えます。 現行憲法の前文には「日本国民は、(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれております。 国の政治のなかで一番大事なことは、国家、国民の安全と生存です。しかし、現行憲法はその前文で、一番大事な安全と生存、主権に関わる問題を、他の諸国民に委ねるかのような宣言をしてしまっています。 自分たちの国の運命は、自分たちの責任で決断する。これが一人前の主権国家のあり方です。 人間だって、子供のうちは親の言うことをしっかり聞くことが大事ですが、大人になれば、自分の人生の決断は自分の責任で行わなければなりません。 自分の国のことは自分たちで決断する。今の日本はそうした一人前の大人の国だと言えるでしょうか。 かつて日本には武士道があり、私たち現代の日本人にもその血が流れております。「武士道とは死ぬ事と見付けたり」(『葉隠』)と言われたように、自分の死に場所さえ自分で決してきたのが、世界に誇る武士道精神であったはずです。 「自分の死に場所さえ自分で決める」そうした武士道精神があったからこそ、日本は明治の近代化に成功し、日清戦争や日露戦争、二度の世界大戦と、大変な変革の時代に対応し、世界からも尊敬される国家になったはずです。 しかし今の日本は何をするにも、アメリカの顔色を見、中国の顔を伺い、国際機関の動向ばかり気にして、後出しジャンケンで勝つことが智慧であるかのように勘違いし、国際社会に対して、堂々と自分たちの国のスタンスを訴えることができない、そんな恥ずかしい国になっていないでしょうか。 その象徴が憲法前文を始め、今の日本国憲法のあり方にあわらされていると考えます。 私たち幸福実現党は69回目の憲法記念日を迎えた今、改めて自分たちの国の憲法を自分たちの手により、自分たちの大和言葉で作っていこうと皆様に呼びかけて参ります。 参考『新・日本国憲法試案』(2009、大川隆法) 日本防衛戦略「核抑止編」【第2回】―アメリカの核戦略の変遷と教訓 2016.04.30 ◆『大量報復戦略』 【第1回】では、「核兵器の種類、核兵器の特性、抑止戦略の種類」について述べましたが、今回の【第2回】では、「アメリカの核戦略の変遷と教訓」について論じます。 アイゼンハワー政権の核戦略のキャッチフレーズで、中欧でのソ連の大規模通常攻撃に対する抑止戦略として立案されましたが、核兵器を万能薬と考え、世界各地で頻発する局地戦までも核兵器の大量報復の脅しで抑止しようとしました。 この戦略は、次のような激しい批判を巻き起こしました。 〈1〉局地紛争が起こった場合、一挙に全面核戦争へエスカレートさせてしまう。 〈2〉相手に脅しを信じさせるのに無理があり、抑止効果に信憑性(信頼性)がおけない。 事実、その後も局地紛争は頻発しました。万能薬は効かなかったのです。 ◆『段階的抑止戦略』 そのため「段階的抑止戦略」が打ち出されました。一挙には戦略核兵器の撃ち合いにエスカレートしないよう「戦術核兵器」を使用する「中間段階」が組み込まれたのです。 この戦略にも、次のような批判が出ました。 〈1〉「戦略核兵器」の優勢がなければ、相手の「戦略核兵器」による報復にエスカレートする危険がある。 〈2〉「戦術核兵器」の優勢もいずれ消える。 ◆『柔軟反応戦略』 ケネディー・ジョンソン政権の核戦略と通常戦略を総称して「柔軟反応戦略」と呼びます。通常戦争には通常戦力で、という振り出しに戻りました。 この政権間に、核戦略のキャッチフレーズは、「損害限定」「確証破壊」「相互確証破壊」と変化しましたのです。 頻発する局地紛争の抑止・対処は通常戦力に依存させ、核抑止の対象は、米国及び同盟国への核攻撃とNATOへの大規模通常攻撃へと縮小しました。 ◆『損害限定戦略』 1962年に登場した構想で、敵の第一撃(先制攻撃)を吸収したあと、まず敵の戦略核戦力に対し報復を行って、敵の第二次攻撃力を破壊し、米国の被る損害を限定します。 この際、敵の都市に対する攻撃をひとまず控え、これを人質として戦争の終結交渉を行います。 戦争の終結交渉が進展しない場合、敵の都市、工業地帯に対し、慎重にコントロールされた核攻撃を行って、交渉の圧力を増加しようとするものであり、「優勢勝ち」を狙うものでした。 ◆『確証破壊戦略』 米国の核攻撃力増強も制限する必要があると考え、「確証破壊」=「敵が十分に計画された奇襲攻撃をわが部隊に加えてきたあとでも、その侵略国が社会として、生活できないようにする破壊力」という量的基準を設けました。 具体的には、ソ連の工業力の70%を破壊し、効果がほぼ頭打ちとなる核弾頭数は、200~400発と分かりました。この数を「最小限抑止力」といい、今日でも通用します。 「損害限定プラス確証破壊」という構想で、米国の核抑止戦略は1960年代半ばに確立したかに見えました。 ◆『相互確証破壊戦略』(MAD) ところが、1967年、抑止の重点は「損害限定」よりも「確証破壊」にあるとされ、1968年には、「相互確証破壊」(互いに破壊を防ぎ得ない無能力さ)が、「双方にとって戦略核戦争を避けようとする最大かつ可能な動機」になるとの戦略が推進されるようになりました。 アメリカの実業家、政治家で、1961年から1968年までケネディ、ジョンソン大統領の下で国防長官を務めたマクナマラは、「恐怖の均衡」の安定化(戦略的安定性=軍拡競争の防止)へ、ソ連と軍備管理交渉を始め、軍拡競争の防止は、ソ連に受け入れられたと判断しました。 しかし、ニクソン政権は、「相互確証破壊戦略」の問題に気づきます。 〈1〉抑止が破れれば、確証破壊に匹敵する大損害を被る恐れがある。 〈2〉これに怖気づけば降伏するしかない。 即ち、対応策が事実上「オール・オア・ナッシング」という問題です。 〈3〉また、同盟国に対する核攻撃があった場合、米国はソ連の再報復によって米本土も大損害を被ることを恐れて報復に踏み切れないのではないか、という疑問が生じました。 ◆『シュレジンジャー・ドクトリン』(『限定核オプション』、『選択反応戦略』) 1973年、「全面核戦争に至らない侵略(限定核攻撃)に対し、攻撃規模に応じた核反撃を行う」という「シュレンジャー・ドクトリン」が出されました。 「損害限定戦略」が「核優勢」を背景に、相手の残存核戦略を撃破して「優勢勝ち」を収めることを企図したのに対して、「シュレンジャー・ドクトリン」は、「核均衡」を背景に、戦闘の低いレベルで核の撃ち合いを止めることに相違がありました。 核均衡下においても、米国は核攻撃に対して何もしないでは終わらせない、という決意表明であり、 「核攻撃の規模に応じた核反撃」を同盟国に約束することで、「核の傘」(拡大抑止)の保障を与えるものでした。 「攻撃の規模に応じた反撃」という基本構想は、冷戦終了まで継続されました。 ◆『相殺戦略』 デタント(緊張緩和)は、蜃気楼であり、米国の一人相撲でした。 ソ連共産党政治局が「相互確証破壊」を受け入れても、ソ連参謀本部は受け入れていなかったのです。 ソ連参謀本部は、「集中的な先制核攻撃で米国の核戦力を壊滅するとともに、政治経済中枢を破壊する」先制攻撃論を維持し、核戦争の長期化さえ考えていました。 ソ連は核戦力を増強し続け、先制攻撃で米国の全ICBM戦力を壊滅できる重ミサイルを配備し、「恐怖の不均衡」が出来上がりました。 カーター政権は、「恐怖の不均衡」を知って、「相殺戦略」を名づけた対抗策を取り、ソ連の重ミサイルに匹敵し、「緊急自動目標変更能力」を持つ核ミサイルの生産・配備を決定しました。 配備される1986年までの期間は、「脆弱性の窓」と呼ばれました。 特筆すべき点は、「目標設定」にクレムリンへの射撃を導入し、「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」によるソ連の国家としての一体性の破壊を狙ったことです。 ◆『SDI(戦略防衛構想)』 レーガン政権は、1983年3月、SDI(核攻撃の拒否型抑止)を提言しました。 SDIは、ソ連の弾道ミサイルに対し、レーザー兵器やレールガン等で防衛網を構成し、弾道ミサイルを無力化しようとするもので、究極の目的は「核廃絶」でした。 莫大な経費と技術力を要するSDIは、圧倒的にソ連に不利であったため、ソ連は軍備管理交渉に応じるようになり、ゴルバチョフの「ペレストロイカ(改革)」「グラスノスチ(情報公開)」の下、1991年、崩壊しました。 ◆教訓 〈1〉核戦力で「局地侵略」を抑止することはできない。 〈2〉脅しは強いが、実際に使えそうもない戦略を立ててはならない。 〈3〉一面が優れていても他面に欠陥を持つ戦略を採用してはならない。 〈4〉我の合理的判断を敵も共有できると即断してはならない。 〈5〉「オール・オア・ナッシング」の選択しかできない戦略ではいけない。 〈6〉軍拡競争は、悪いものとされやすいが、そうでない場合もある。 〈7〉技術力と、それを支える経済力で、優位に立たねばならない。 以上、「アメリカの核戦略の変遷と教訓」を論じて参りましたが、【第3回】は、私案として「核装備プラス日本版SDI」を提案いたします。 日本防衛戦略「核抑止編」【第1回】―「危機に立つ日本」を護る核装備 2016.04.29 文/幸福実現党・茨城県本部副代表 中村幸樹 ◆危機に立つ日本 「水爆」実験や長距離弾道ミサイル発射で、核ミサイル保有を進める北朝鮮ですが、28日にも午前と午後に、中距離弾道ミサイル「ムスダン」を一発ずつ発射しました。 韓国軍は、いずれも「発射直後、数秒以内に墜落した」と分析しています。ちなみに「ムスダン」は、射程3000~4000キロメートルのミサイルです。 また軍事的に膨張する中国(2016年度の中国国防費は、公表分だけで約16.7兆円、28年間で約44倍)、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。 朝鮮半島、尖閣諸島・沖縄、台湾海峡、ベトナムやフィリピン近海等は、紛争の発火点として、いつ起きておかしくない状態にあります。 幸福実現党は、日本を護り抜き、「世界の正義」を推し進めるために、以下を取り組みます。 〈1〉「言論・思想戦」 〈2〉「外交戦」=「日米同盟」を強化(「米中同盟」を阻止)し、インド、ロシア、台湾、オーストラリア、モンゴル、東南アジア諸国、島嶼国などと友好を促進、経済・安保両面で連携強化を図り、中国や北朝鮮の民主化・自由化を促すための外交 〈3〉「強靭な防衛力」の構築 ◆正当防衛としての核装備 中国や北朝鮮からの「核を使っての恫喝や侵略」を思い止まらせる抑止力強化へ、正当防衛としての核装備も進めます。 核兵器の最大の効能は、「他の核兵器保有国に核兵器を使わせない」ということです。 「中国や北朝鮮が核兵器を使った場合には、日本からも核兵器を使われる可能性がある」ということが最大の抑止力になるわけです。 以下、核抑止の理解を深め、日本の核抑止戦略、防衛戦略を考察するために、3回に分けてと論を進めて参ります。 第1回は、核兵器の種類、核兵器の特性、抑止戦略の種類 第2回は、アメリカの核戦略の変遷と教訓 第3回は、核装備プラス日本版SDI(私案) ◆核兵器の種類 核兵器の種類には大別して「戦略核兵器」と「戦術核兵器」があります。中間に「戦域核戦力」(後に「中距離核戦力」)と改称)はありますが、詳述は省きます。 「戦略核兵器」は、敵国の戦略核戦力や政治・経済中枢に対する攻撃に用いられ、戦争の決をつける核兵器であるため、「戦略」の名が冠せられます。 対ソ冷戦期の米国の「戦略核戦力」の態勢は、同時に一挙に破壊されないよう(「抗堪性(こうたんせい)」の保持)、次の「三本柱」で成り立っていました。 〈1〉「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」 〈2〉「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)」 〈3〉「戦略爆撃機」 「戦略爆撃機」は、空中待機から命令を受けて目標に向かい、途中で呼び戻すことが可能という特性があります。「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」は、発射すれば呼び戻せません。 「SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)」は、核戦争の最終段階まで温存が可能で、終結交渉の後ろ盾や最後の一撃を担えるという特性があります。 「戦術核兵器」は、彼我接近した戦場で用いられる核兵器です。 「戦術核兵器」は、登場時には、破壊力と使用効果が戦場に限定できる、使用可能な兵器と考えられ、1949年に創設されたNATOの防衛には、通常戦力の不足を補うため、多くの戦術核兵器が配備されました。 しかし、後に、「核兵器の特性」から、戦闘力として戦術核兵器を考えることは難しく、「戦術核戦争」と「戦略核戦争」の線引きは困難と考えられるようになりました。 ソ連軍事ドクトリンには「戦勝に必要な最大限の軍事力行使」がうたわれ、どんな形の核使用でもNATO軍が核を使用すれば、核の全面的な反撃をもって応じる方針があったのです。 ◆核兵器の特性 核兵器のもっとも顕著な特性は、きわめて大きな「瞬時の大破壊力」です。 広島、長崎の惨状をみれば、その威力は一目瞭然です。 北朝鮮が、原爆の数百倍から数千倍も威力を持つ水爆を東京に落とした場合、一千万人から三千万人ぐらいの被害を出す可能性があります。 さらに、特性として超高温の熱、衝撃波や爆風、放射線、電磁パルスがあげられます。 電磁パルスは、強度や機器の遮断程度によっては、電子機器に重大な影響を与え、戦争遂行に重大な支障を来します。これは今日のハイテク兵器の大きな弱点です。 「瞬時の大破壊力」という特性から、核兵器が「実戦に使える決戦打撃兵力(対処力)」なのか、「敵国の先制核攻撃を抑止する」だけの兵器なのか、よく論争の的になってきました。 しかし日本に2つの原爆が落とされた以降の歴史において、核兵器は使われていないという現実があります。 ◆抑止戦略の種類 抑止戦略には、「戦勝戦略による抑止」と「抑止戦略による抑止」があります。 前者は、戦えば我が勝つことを敵に事前に認識させて、侵略を思い止まらせるものです。 主として通常戦争の抑止に使われますが、ソ連は、核戦略においてもこの戦略を採りました。 後者は、戦って我が勝つことまでは目指さないが、敵に侵略目的の達成が不確実か、侵略に伴う損失が利益を上回ることを事前に認識させて、侵略を思い止まらせるものです。 主として核戦争の抑止に使われます。 米国は、冷戦終末期に、ソ連の「戦勝戦略」から生まれた先制攻撃の脅威を抑止するため、核戦争遂行能力が必要と考え、ソ連に似た戦略への転換を図りましたが、冷戦期の大部分は、後者の戦略でした。 核抑止は、核兵器を撃たれたら報復として撃ち返す「報復型抑止」(懲罰的抑止)が中心ですが、飛んでくる弾道ミサイルを撃ち落とす等の「拒否型抑止」もあります。 核の傘(拡大抑止)という同盟国への抑止力提供は、信頼性は疑問としても「報復型抑止」です。 スタンダードミサイル(SM-3)、パトリオットミサイル(PAC-3)、サード(THAAD)ミサイルなどのミサイル防衛(MD)は、「拒否型抑止」です。 「報復型抑止」が効果を発揮するには、「抑止の三原則」を満たす必要があります。 「抑止の三原則」 〈1〉(敵にとって耐え難い)報復を行う「実力」(能力)があること 〈2〉報復を行う「意志」があること 〈3〉我の実力と意志を平時から敵が「認識」していること 抑止には、戦争の生起を押し止めることだけではなく、いったん戦争が起こっても、戦争のエスカレーションを押し止める抑止=「交戦間の抑止」もあります。 以上、今回は【第1回】として、「核兵器の種類、核兵器の特性、抑止戦略の種類」について述べて参りました。 【第2回】では、「アメリカの核戦略の変遷と教訓」について論じます。 (つづく) オバマ大統領広島訪問を歴史の転換点に 2016.04.27 文/HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆オバマ大統領は広島訪問で何を語るのか 米国のオバマ大統領が、G7、伊勢志摩サミットが閉幕する5月27日に、広島を訪問する方針を固めました。 このニュースが流れたのと同じ4月23日に、オバマ政権でイランの核問題を担当した前国務次官(国務省のナンバー3にあたる人物)のウェンディー・シャーマン氏が、CNNテレビで、オバマ大統領の広島訪問について次のように発言しました。 「米国が過去を進んで認め、未来に焦点を当てる姿勢を地域の同盟国に示すことが米国の国益にかなう。」 また「原爆で終戦が早まり、多くの命が救われたという米国の公式見解は誤りではない」としながらも、「多くの民間人を殺害した原爆の残虐性は否定できない。」とも述べています。(4月26日読売新聞) 現在のアメリカ世論は、多くの民間人が犠牲になった広島・長崎への原爆投下を「正当化しない」という見方が60%と半数を超えています。 しかし、「正しかった」とする意見も根強い中、元政府高官として踏み込んだ発言をするのは異例のことだといいます。 広島訪問を決定する際には、ケリー国務長官が事前に、広島を訪問したように、現在、オバマ政権は大統領が広島訪問で何を語るかについて、世論の反応をみているとも考えられます。 アメリカ世論が形成される過程は、まず、研究者や評論家の書籍や論文に現れ、次に、要人の演説や発言に出てくるようになります。そして、新聞の社説やマスコミに影響してきて、世論が出来上がっていきます。 「原爆投下は間違いだった」という研究者の論文などはすでに多く発表されていますので、CNNテレビでシャーロット氏が原爆の残虐性を否定できないと発言したことは、世論を形成する大きな一歩であり、オバマ大統領が広島を訪問した際にも同じような内容を話すのではないかと予想します。 ◆恐怖心によるプロパガンダと歴史の修正 国益を左右する歴史認識は難しい問題ですが、米国が行った原爆投下は非人道的な行為であり、その元にあった人種差別の考え方は誤りです。 日本は、大東亜戦争で帝国主義と植民地主義と人種差別に終止符をうつために戦いました。 日本軍の戦いによって、白人による植民地支配に苦しめられたアジアの人々が歓喜し、喜んでいるということを知った米国は、その事実を捻じ曲げて、「日本軍がアジア人に対して、ありとあらゆる『残虐行為』に及んでいる」というプロパガンダ(宣伝)を行いました。 なぜなら、日本軍が白人に対して、戦いを挑み、苦しめていると報告すると、かえって「アジア人のために戦う日本」というイメージが広がってしまうからです。 日本の戦いによって白人優位の人種差別を土台にして築いた植民地支配の構造が崩れていくことを恐れ、白人は自分たちが今まで有色人種に対して犯してきた罪によって、奴隷にされるのではないかと怯えたのです。 その恐怖心からか、米国は人種差別を行ってきた歴史を認めずに、歴史を修正して正当化し、東京裁判での南京虐殺などを作り上げ、プロパガンダで誤魔化してきました。 そして、人種差別をこの世界からなくそうとした日本を自滅させるために、100年計画でGHQ占領政策を実行し手足をもぎとってしまいました。 ◆歴史に真正面から向き合う 米国の白人優位の構造が逆転する恐怖は、現代でも続いているのかもしれません。人種差別が原因の銃撃事件が相次いでいますが、それを一生懸命、銃規制の問題にすり替えています。 初の黒人大統領が誕生し、20ドル札に初の黒人女性を印刷しただけでは、国際社会にPRできても本当は何も変わっていないのかもしれません。 今こそ、米国は人種差別を行ってきた歴史に真正面から向き合うべき時です。その問題から逃げて、偽物の歴史を生きている限り、米国の発展、繁栄はありません。 黒人初の大統領であるオバマ氏だからこそ、人種差別の歴史に終止符を打つ転換点に立つべき使命があります。米国が行った原爆投下は非人道的な行為であり、その元にあった人種差別の考え方は誤りです。 日本は、第二次世界大戦で帝国主義と植民地主義と人種差別に終止符を打つために戦いました。 その日本を誇りに思い、真の同盟国として、友人として、世界の平和のためにこれからの未来を共に歩んでいきたい」と世界に向けてメッセージを発信することができると思います。 日本政府は、オバマ大統領の広島訪問を7月の参院選挙で左翼票を増やす絶好の機会だと考えて、ここぞとばかりに謝罪を繰り返すのではなく、同盟国として、日本の方からこのようなフェアな考え方が必要ではないかと導けるようにならなければなりません。 日本も米国も勇気を持って自国の歴史認識と向き合うことで、共に、世界を平和と発展・繁栄に導くリーダー国家としての使命と責任を果たしていけると信じています。 すべてを表示する « Previous 1 … 40 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