Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 現在の国際情勢から考える日本の核装備について 2017.01.17 HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆いよいよ、より自立していくべき日本の国防政策 今月20日、ついにトランプ新大統領が誕生します。 公益財団法人「世界平和研究所」(会長・中曽根康弘元首相)は12日、「米国新政権と日本―新時代の外交安保政策―」を発表し、日本政府に提言しました。 同提言は、トランプ新政権は「より自立した日本を求める可能性が少なくない」とし、日本には「日米同盟を機軸とした政策路線を堅持」し、「独力でできることは可能な限り実行していく」安全保障上の取り組み姿勢が求められるとしています。 ◆「世界平和研究所」の安全保障提言内容 同提言は、核開発を進める北朝鮮と、海洋進出を進め軍事力でアメリカに迫りつつある中国という周辺状況を念頭に、日本の安全保障政策を以下のように提言しています。 ・提言A:国家安全保障戦略と防衛計画の大綱を改定すべき ・提言B:日本は、通常戦力による「反撃能力」を段階的に整備すべき ・提言C:我が国の防衛力を強化すべき 注目したいのは提言Bの「通常戦力による『反撃能力』を段階的に整備すべき」という点です。 提言は、日本が武力攻撃を受けた場合には相手国の基地を攻撃するという「敵基地攻撃能力」を持つことを日本政府に求め、それを国内外に周知させておくことを求めています。 ◆敵基地攻撃に関する政府の認識 政府は、自衛のための敵基地攻撃能力は憲法上認められるという立場です。 1956年には鳩山一郎首相が「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」と、敵基地攻撃を自衛の範囲にあると答弁、2013年には安倍晋三首相も「保有することは現時点では考えていないが、憲法上は許される」と答弁しています。 敵基地攻撃用の打撃力として、日本でこれまで議論されてきたのは主に、(1)GPSで精密誘導される「トマホーク」などの誘導ミサイル、(2)ステルス性のある航空機による対地攻撃、などです。 同提言は、「敵基地攻撃能力」を持っていることを国外にも知らせれば相手国をけん制できるので、いっそう効果的に防衛体制を構築できるとしています。 ◆日本の国防の現状 日本は現在、ミサイル攻撃に対して、これを打ち落とすミサイル防衛システムを採用し、地上配備型の地対空誘導弾「PAC3」を配備しています。ですがPAC3は飛距離が短く、十分な防衛措置ができません。 昨年2月に北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2」改良型を発射したときに、PAC3が対応できなかったことを覚えている方も多いと思います。 稲田朋美防衛大臣は13日、PAC3よりも高高度の目標を迎撃する「THAAD」(高高度ミサイル防衛システム)を米空軍基地で視察し、導入についてはひとつの選択肢として検討したいと述べましたが、同提言はこれ以上の能力を保有することを訴えています。 日本の安全保障環境が悪化するなか、反撃能力保有の具体的検討が進むことは非常に大事であり、よいことだと思います。 ◆核兵器の脅威にはどう対応するのか? ただ、今回の提言で不足している部分があります。 同提言は、トランプ政権下で日本が求められる可能性のある自国防衛の自立の度合いについて考えたものですが、他国が兵器の精度を上げることが想定されていません。 つまり、北朝鮮が核兵器の使用をちらつかせてきた場合の対処です。 「テポドン2」は、実用化されればアメリカ東海岸を射程に収めるものです。これは、現在日本の安全保障上、頼みの綱であるアメリカが、北朝鮮に核で脅される未来もありうることを意味します。 そうなった場合アメリカは日本を見捨てるかもしれません。そのとき自分の国をどのように守るのか、ここを検討する必要があります。 核兵器を使わせないようにするには、核兵器を持ってするしかありません。政府の見解としても、防衛上必要最低限度のものであれば核兵器の保有は禁止されていません。 ◆日本は高尚な誇りを持って核装備を検討せよ 幸福実現党は宗教政党です。過去、広島長崎に落とされた原爆の犠牲者の方々には心から哀悼と慰霊の気持ちを持っていますし、二度と戦争を起こしたくないと考えています。 だからこそ、横暴な振る舞いで国際社会の秩序を乱す国を放置はできません。核兵器の最大の効用は、「相手に核兵器を使わせないようにすること」なのです。 核装備をする国には、高尚な誇りが必要とされるべきでしょう。私たち幸福実現党は、憲法13条に保障されているとおり、国民が生命、自由、幸福追求を阻害されない安全な国をつくります。 また、日本を、「不当な侵略主義から他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神」にすることを目指しています。 核兵器のない世界は追求すべきですが、日本の安全と世界の幸福のために日本の核装備を検討する必要性のある時期もあると、重ねて訴えてまいりたいと思います。 台湾の独立を守れ 2017.01.12 HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆台湾海峡に中国空母が進入 11日、台湾の蔡英文総統が中米4カ国歴訪中の間隙を縫って、中国初の空母「遼寧」の艦隊が同日午前7時、台湾の防空識別圏(ADIZ)の西南区域内に進入しました。 事実上の停戦ラインとなっている台湾海峡の中間線の中国側を北に向かって航行したということです。 (産経ニュース:http://www.sankei.com/world/news/170111/wor1701110008-n1.html) 3日には、ドナルド・トランプ米次期大統領が1979年以来のタブーを破って、正式な外交関係のない台湾の蔡英文総統と電話会談したことについて、中国外交部が「米国の関係各方面に厳正な申し入れをした」と明らかにしたばかりですが、この空母進入の動きは米台接近に対するけん制でしょう。 ◆台湾とアメリカの関係 大東亜戦争終結後、1949年、毛沢東に敗れた中華民国と国民党は、台湾に移動しました。 中華民国が国連代表権を維持し、欧米諸国には唯一の中国政府と承認されていましたが、1971年に国連総会が、中華人民共和国を唯一の中国の正統な政府と承認し、中華民国は脱退を余儀なくされました。 そして1972年にはアメリカのニクソン大統領が電撃訪中し、毛沢東と米中共同宣言を発表後、79年には、ついに台湾と断交し、カーター大統領と鄧小平のもとで、米中国交正常化がなされ、中華人民共和国側の主張である「一つの中国」をアメリカも支持するという立場をとりました。 ただし、断交後も、アメリカは台湾関係法で事実上の軍事同盟を結んで、武器売却や日本の沖縄県の在日米軍基地などにより、中共を牽制し、本音と建前をうまく使い分けてきたわけです。 ◆台湾問題は日本問題 外交評論家の故・岡崎久彦氏は、生前より、地政学的要衝の地である台湾防衛は日本にとっても死活的問題であると再三にわたり指摘していました。一つにはシーレーン防衛に直結するからです。 岡崎氏は「台湾は南シナ海の北の入り口に当たるので、これを中国が制圧すると、南シナ海が事実上中国の内海のようになってしまう。有事の際にこの通路が妨害されると、日本船の通路はフィリピンの東側を通って、インドネシアのロンボク海峡を取らねばならなくなってしまう」と著書『台湾問題は日本問題』の中で述べています。 南シナ海が中国の海となり、シーレーンが封鎖される事態に陥れば、資源も食料も輸入に頼っている日本は窮地に立たされます。 ABCD包囲網を敷かれ、アメリカが日本への石油輸出を禁じた結果、日米開戦に追い込まれた過去の教訓を忘れてはなりません。 ◆台湾を『国家』として認めよ 前出の書では、最後「私個人としても台湾問題にかかわってからもう四十年になるが、こういう情勢では、少なくとももう十年この問題にかかわり続ける覚悟をしなければならない。もし、その間に私の寿命が来ても、誰かがそれを続けてくれるのであろう。それは日本の国益に関することだからである。」という言葉で結ばれています。 筆者は生前、HS政経塾において岡崎氏より直接薫陶を受けた塾生の一人として、日本の国益を守るため、台湾との関係を発展させる使命があると固く信ずるものです。 かつて日本も72年に田中角栄と周恩来の両首相との間で日中国交正常化がなされ、日本も台湾と断交してしまっています。 しかし、今こそ日本は、台湾を『国家』として承認し、台湾と同盟関係を結び、日米台が協力することで、中国の野望、つまり2021年、中共100周年を迎えるその時までに、経済でも軍事でも世界の覇権国家となるという野望を打ち砕き、平和と繁栄を実現しなくてはならいのです。 人気取り以外に柱がなく、「先見性がない」現政権に代わり、幸福実現党こそが、明確なビジョンと長期的な国家戦略に基づいて、「トランプ革命」が起きたアメリカと共に、世界をリードできる「新しい選択肢」なのです。 日韓合意を見直し、正しい歴史認識に基づいた新たな談話を! 2017.01.10 幸福実現党・宮城県本部代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし) ◆日韓合意に反した対抗措置 韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されました。 政府は、これを受けて長嶺安政駐韓大使や森本康敬釜山総領事の一時帰国や日韓通貨交換(スワップ)協定の再開に向けた協議を中断させるなどの対抗処置を決定しました。 慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意に反すると判断し、日本政府として強い抗議の意思を示しました。 菅官房長官も「極めて遺憾だ」と強く非難しており、駐韓大使を一時帰国させる措置は、2012年8月、当時の李明博大統領が竹島に上陸したことを受けて以来、約4年半ぶりとなります。 ◆大きな問題があった日韓合意 日本の体面を無視した行為であるので、当然の措置といえますが、そもそも「日韓合意」にも大きな問題があったことを改めて強調します。 日韓合意とは、日本と韓国の国交正常化50周年にあたる2015年の12月末、日韓両政府が発表した慰安婦問題をめぐる合意です。 合意のポイントをまとめたものが以下です。 日本軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたことについて、安倍晋三首相が「心からのおわびと反省」を表明すること。 韓国政府が設立する元慰安婦を支援する財団に対して、日本政府が10億円を一括で拠出すること。 慰安婦問題は「最終的且つ不可逆的に解決」させ、今後、両政府は国連など国際社会でこの問題の避難、批判を控えること。 ◆日韓基本条約を反故にした日本 元々、1965年の日韓基本条約で戦後賠償問題は解決済みでした。 日本は韓国に対して、総額8億ドル(無償3億ドル、政府借款2億ドル、民間借款3億ドル)の援助資金と引き換えに、韓国側は請求権を放棄しました。 その資金で韓国は、「漢江の奇跡」と呼ばれる成長を遂げていきました。 日韓間の賠償問題は完全かつ最終的に解決したはずですが、日韓合意で日本政府は10億円規模の資金を拠出したことから、日韓基本条約を反故にしました。 日本側は、「賠償」ではないと言っていますが、韓国側としてはお金で外交的決着を図っているように見えるため、再び賠償金を払い直したと受け取られます。 ◆政府は「慰安婦の強制連行」は確認できないとするが… また、「慰安婦の強制連行」は事実無根です。 日本政府は2007年3月16日、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」と第一次安倍内閣の時に閣議決定しています。 しかし、日韓合意によって、日本政府が認めたかのような声明となっています。 軍の「関与」と「強制」という微妙なニュアンスを使い分けても、諸外国からは軍による強制があったと思われます。 海外メディアは、「慰安婦の強制連行を日本政府が認めた」と誤解し、報道しました。「実際の被害者は40万人に上り、そのうち20万人は無給で売春を強要された中国人であった。」(CNN/アメリカ)。 「41万人の少女や女性が誘拐され、生存者は46人のみ。」(Ottawa Citizen/カナダ)と日本を非難する記事が掲載され、「軍が慰安婦を強制連行した」という誤ったイメージが拡散されました。 ◆これまでの姿勢を変えない外務省 近年、日本政府では慰安婦問題の誤った認識に対して、事実関係に踏み込んで反論する動きが出てきています。2016年2月、ジュネーブの国連女子差別撤廃条約委員会で、杉山晋輔外務審議官が慰安婦問題に関する明確な反論を行いました。 「いわゆる『強制連行』は確認できない」という日本の立場や、吉田清治氏が日本軍の命令で、韓国の済州島にて大勢の女性狩りをしたという虚偽の事実を捏造して発表したこと。 それを朝日新聞社が事実であるかのように報道して、国内外に大きな影響を与えたことなどを踏み込んで反論しました。 しかし、外務省のWEBページにこれらの発言は掲載されていません。 朝日新聞が吉田清治記事を取り消した後である2014年10月に、外務省は慰安婦問題に関する新しい説明文書(慰安婦問題に対する日本政府のこれまでの施策)を作成しました。 しかしながら、この中では2007年の「強制連行」が確認できないという閣議決定の記述は無く、河野談話で謝罪し、アジア助成基金で償いを行ったとしか書いていません。 国際社会の誹謗中傷を放置し、これまでの姿勢を擁護したままです。これでは何も状況は、変わりません。 ◆正しい歴史観に基づく新たな談話を! 国連女子差別撤廃条約委員会の場では、「もし、慰安婦の問題がないのであれば、なぜ韓国との間に合意を形成する必要があったか」と指摘され、首相が謝罪の意を表したのであれば、加害者の更なる追訴が必要でないかという発言もありました。 「戦後レジームからの脱却」を掲げている安倍首相ですが、後世へ新たな禍根を残すことになった日韓合意を見直すとともに、慰安婦問題に正当性を与えている河野談話を撤回し、正しい歴史観に基づく、新たな談話を発表すべきです。 安倍総理の真珠湾訪問に抗議する3つの理由 2017.01.08 幸福実現党 小鮒将人 ◆一昨年同様、年末のドサクサに紛れた政治的イベント 安倍総理は、昨年末に米国ハワイの真珠湾に慰霊の訪問を行い、オバマ大統領と最後の日米首脳会談を行いました。 一昨年も年末に慰安婦問題をめぐる「日韓合意」を行いましたが、今年も年末に同様の「真珠湾訪問」という政治的なイベントを行いました。 私たち幸福実現党は、戦後70年であった2015年から「日本の誇りを取り戻す」活動を日本のみならず全世界で展開して参りました。 安倍総理の「真珠湾訪問」は、先の大戦で日本が「アジアを解放」するために立ち上がった歴史を真っ向から否定しかねません。 今回はその理由を以下にまとめてみました。 (1)自虐史観を肯定し、憲法9条改正が遠のいた 詳細な検証が必要ですが、日米の戦いそのものは、米国ルーズベルト大統領の明確な国家戦略のもと、日本が開戦せざるを得ない形を意図したものでした。 最後の最後まで戦争を回避しようと外交努力をした日本でしたが、やがて日米決戦やむなしとの結論に至り、真珠湾攻撃を実行したのです。 結果として当時の米太平洋海軍の主力であった戦艦数隻を撃沈した他、戦闘機多数を破壊。この大勝利で、一時的な形ではあったものの、戦況は日本に圧倒的に有利な形となったのです。 ただし、日本側にも、特に特殊潜航艇で真珠湾に突入、戦死した9名をはじめとした多数の戦没者はおり、彼らは軍神と称えられる事になりました。 しかしながら、当時の外務省の開戦の通告が遅れ、米国側からは「卑怯な攻撃」として、現在にまで日本の「武士道精神」が誤解されております。 安倍総理は今回の真珠湾訪問で「戦争の惨禍は、二度と繰り返してはならない」と述べていましたが、米国人にとっての真珠湾は「卑怯な日本」を象徴する場所です。 結果として米国人の誤解を是認することにならないでしょうか。 さらに、安倍総理は、「戦争が終わり、日本が見渡す限りの焼け野原、貧しさのどん底の中で苦しんでいた時、食べるもの、着るものを惜しみなく送ってくれたのは、米国であり、アメリカ国民でありました」とも述べました。 一般市民をもターゲットにして、計画的に焼夷弾を用いて日本国中を焼野原にし、日本人を貧しさのどん底に落としたのは、米国に他ならない事も付け加えたいと思います。 日米同盟の重要性は、幸福実現党も訴えているとことではありますが、国家を代表する立場としてここまで卑下する必要はなかったと思います。 そして、昨年の日韓合意同様、上記のような自虐史観を肯定しかねない「政治的なイベント」を行っている安倍総理は本気で憲法9条の改正を目指していけるのでしょうか。 本来、安倍総理は河野談話・村山談話を破棄することで「日本の誇りを取り戻し」、日本が国防強化するに値するだけの国家であることを示す必要があったのです。 (2)本来はまず靖国参拝を行うべき 今回の安倍総理の訪問の目的は「真珠湾で戦った方々への慰霊」でもありました。 東京からハワイまでは、約6500キロ、飛行機で7時間~9時間もの距離を移動したのですが、本当に慰霊をしたいのではあれば、首相官邸から、車で数分の場所に有る靖国神社があるではありませんか。 安倍総理は2013年以降、靖国神社への参拝を行っておりません。距離的にもはるかに遠い真珠湾に「慰霊」に行くならば、少なくとも先に靖国神社に参拝するべきではないでしょうか。 (3)トランプ新大統領との関係悪化を懸念 米国ではトランプ新大統領が1月20日に就任しますが、彼はすでに、ロシアのプーチン大統領との信頼関係構築の動きを始めると共に、台湾の蔡英文総統とも電話会談を行うなど、その外交方針が明らかになりつつあります。 日本にとっては自主防衛の必要が出てくるものの、明確に対習近平政権への包囲網を築こうとしていることが伺えます。 米国トランプ新大統領の登場は「革命的」であり、この大きな流れに乗る事が日本の繁栄への道であります。(参考書籍:大川隆法党総裁著「繁栄への決断」) トランプ大統領は、明確にオバマ政権の内政外交の基本的な考えに対して否定的な考えを持っているにも関わらず、安倍総理は、任期切れ間近のオバマ氏の顔を立てて真珠湾に行ったようです。 しかし、今後の日米関係の強化を考えるならば、日本の立場として、明確に「トランプ革命」の方向に舵をきる意思表示が必要です。 そうした意味で、今回の真珠湾訪問は、トランプ氏から見ると理解できないことであり、今後の日米同盟の強化を考えるなら、行うべきではありませんでした。 ◆日本の繁栄を担うのは幸福実現党のみ! 以上、安倍総理真珠湾訪問について述べましたが、この一年は「トランプ革命」の大きな潮流に日本が乗る事ができるのか、大きな分岐点になりそうです。 幸福実現党は、米国のトランプ革命の大きな流れに乗りながら日本を更なる繁栄への道に誘うだけの明確なビジョンを持っています。今後もご支援を心よりお願いいたします。 「トランプ革命」と日本の「新しい選択」 2016.12.31 幸福実現党・広報スタッフ 佐々木勝浩 ◆北朝鮮の核開発とミサイル発射実験は最終段階へ 2016年、北朝鮮は、水爆実験に始まり、度重なるミサイル発射実験を行いました。 核開発の開発段階は、次にように進んで行きます。 (1)ウランの核実験 → (2)プルトニウムの核実験 → (3)水爆実験 → (4)ミサイルに搭載する核弾頭の小型化 段階を重ねることに開発は困難になりますが、昨年、北朝鮮は最終段階に入ったといってよいと思います。 次に、北朝鮮のミサイル発射実験は、次のようなものです。 (1)韓国を射程に収める短距離ミサイル「スカッド」 (2)日本を射程圏に収める中距離ミサイル「ノドン」 (3)アメリカを射程に収める長距離ミサイル「テポドン2号の改良型」 核を運搬するためには、アメリカの広島への原爆投下のように飛行機で運んで落とす方法もありますが、北朝鮮はミサイルの弾頭に搭載する方法を採用しています。 ミサイル燃料も「液体燃料」から「固形燃料」が開発できると短時間で発射が出来るようになり、さらにトラックでミサイルを移動できるので、発射の兆候をつかむことが困難になっています。 そして、核開発の最終段階が、潜水艦から発射するミサイルを開発する段階です。潜水艦は海洋を移動し海中からミサイルを発射するので、迎撃することは大変困難になります。 これは北朝鮮が、核ミサイルで日本やアメリカまで狙える段階に入ったことを意味しています。 ◆ついに中国の空母が西太平洋を航行 また中国は、ここ数年で、南シナ海においてベトナムやフィリピンが領有していた海域を勝手に埋め立て軍事基地化しました。 中国のように岩礁をコンクリートで固めて人工島を建設し、近海の領有を主張することは、国際海洋法違反です。 日本にとって南シナ海は、石油を運ぶための海上輸送路です。中国が南シナ海を封鎖することがあれば、日本に石油が入ってこなくなり日本の経済は大打撃を受けることになるでしょう。 また、これまでのHRPニュースファイルで中国の空母が西太平洋を航行する時が迫っていると警告してきましたが、ついに2016年末、中国空母艦隊が沖縄を越えて西太平洋を航行、その後、南シナ海に向かいました。 空母は言わば、海を移動できる攻撃能力を備えた軍事基地です。南シナ海ばかりではなく、中国は、西太平洋までを支配する計画を着々と進めています。 沖縄では、先日起きたオスプレイの「不時着」に対して、左翼団体やマスコミが沖縄県民を危険にさらしていると非難していますが、沖縄を越えて航行した中国の空母に対しては、まったく非難しません。 沖縄を守っているのは米軍であり、日本の安全保障を脅かしているのが中国の方であることを忘れてはなりません。 ◆「トランプ革命」に歩調を合せ、中国包囲網を このように日本を取り巻く世界情勢は、大変な危機を迎えています。 北朝鮮の核実験とミサイルの発射。中国は国際法を無視して南シナ海に軍事基地を建設。そして韓国においては、200万人規模の大統領退陣デモが起き、朴大統領は退陣に追い込まれようとしています。 韓国の混乱に乗じて朝鮮半島の行動に出ることも警戒しなくてはなりません。韓国に入っている北朝鮮の工作員が韓国の混乱自体を内部から起こしている可能性もあります。 その中で、11月に行なわれたアメリカ大統領選において、ドナルド・トランプ氏が大統領に当選しました。今後「トランプ革命」は、東南アジアにも大きな影響を与えることになるでしょう。 トランプ氏は、強いアメリカの復活を目指し、中国の覇権を封じ込める政策を目指しています。 トランプ氏の政策は、中国に高い関税をかけて、中国の経済力を弱め、また台湾、ロシアとも連携しながら、中国の軍事的覇権を牽制する方向に向かうでしょう。 その時に、日本も日米同盟を益々強化し、台湾やロシアとも経済関係を通じて友好な関係を築きながら、北朝鮮も含めた中国の包囲網を形成していかねばなりません。 参考 『繁栄への決断』――「トランプ革命」と日本の「新しい選択」 大川隆法著 /幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1785 日韓合意から一年 2016.12.29 HS政経塾第6期生 山本慈 ◆日韓合意による慰安婦問題解決への糸口は 「日韓合意」から一年、日韓合意で設立した「和解・癒し財団」は、生存していた46人のうち、34人の元慰安婦が支援事業を受け入れる意向を示していると発表し、すでに29人に、一人あたり、およそ1.000万円を支給したと報告しています。 慰安婦問題の最終的かつ不可逆的解決を確認した「日韓合意」ですが、依然、慰安婦像は撤去されないまま、今も日本大使館前で年明けを迎えようとしています。 慰安婦問題解決を目標に首脳会談を繰り返してきた朴槿恵(パク・クネ)大統領は、不正資金集めと国家機密漏えいの容疑で職務停止となり、日韓合意後の韓国の解決に向けた活動がさらに不透明となりました。 職務停止中の朴槿恵大統領の代行を担う黄教安(ファン・ギョアン)首相は、日韓合意など、外交上の「重要政策の基調か変わらない」と強調していますが、韓国世論と野党の批判の声が大きくなり、解決の糸口がなくなりつつあります。 ◆韓国大統領選に忍び寄る影 2017年4月には、次期韓国大統領選が控えており、出馬意欲を表明しているのが以下、4名となります。 文在寅(ムン・ジェイン)、最大野党「共に民主党」前代表、63歳 潘基文(パン・ギムン)、国連事務総長、72歳 李在明(イ・ジェミョン)、京畿道城南市長、51歳 安哲秀(アン・チョルス)、第2野党「国民の党」元共同代表、54歳 有力候補となりそうな4名全員は、「『日韓合意』を白紙撤回する」と表明しており、再び慰安婦問題が外交カードとして利用される恐れが高まっています。 文氏は、毎週水曜日にソウル日本大使館前で行われる抗議集会に参加した(注1)こともあり、李氏は、日韓合意反対デモから、朴大統領の弾劾裁判を支持する“弾劾支持デモ”への火付け役となった人物(注2)で、「日韓合意」がひっくり返ることが予想されます。 (注1)産経ニュースから引用 (注2)拓殖大、呉善花教授の解説で、デイリー新潮から引用 ◆共通の課題に目を向ける必要性 北朝鮮問題は、日韓ともに共通した安全保障問題です。アメリカのトランプ次期大統領は、「自分の国は、自分で守れ。」、「北朝鮮の問題は、日本レベルで解決すべき。」という本音が明かされ、日本の安全保障関連の法整備と日韓の歴史問題を超えて、今差し迫っている脅威に目を向ける必要があるでしょう。 韓国の次期大統領が再び、慰安婦問題を提示することは目に見えています。それに対して、日本がどのように外交カードを切るのか、早急に考え、手を打っていかなければなりません。 ※HRPニュースファイル編集部からのお知らせ ■THE FACT生放送に神武副党首・及川外務局長が生出演! 12/30(金)14時から THE FACT生放送に神武副党首・及川外務局長が生出演! ○●○○●○○●○○●○ THE FACT年末感謝祭スペシャル! 「トランプ・沖縄・北朝鮮~2017年を大胆予測!」を生放送いたします! ここでしか聞けない情報が満載です! http://thefact.jp/2016/1607/ 是非ご覧ください! <生放送ラインナップ予定> 1.今年の人気動画ランキングトップ10 2.「トランプ革命」で世界はどう変わるのか 3.幸福実現党 神武桜子副党首がロシアでスピーチ 4.大胆予測!2017年はどんな年になる!? 5.発掘!ニッポンの宝 成長企業 安倍外交はなぜ「完敗」したか【第二回】――「認識の齟齬」を生んだ安倍パフォーマンス外交 2016.12.19 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 ◆日露共同会見:安倍首相のスピーチ 12月16日に実施された共同記者会見における安倍首相の冒頭発言は約8分30秒でした。 まずプーチン大統領を「ウラジーミル」とファーストネームで呼んで親密さをアピールする事から始まり、高齢化する元島民の方々への「人道上の理由」から、あり得るべき案を迅速に「検討」することで合意したと語ります。 その上で、戦後71年を経てなお両国の間に平和条約がない状態について「私たちの世代で」終止符を打つ「強い決意を確認」し、「声明の中に」明記したとして平和条約締結が見送られた事を報告します。 そして領土問題については、「それぞれの正義を何度主張し合っても」問題を解決することはできないので、「過去にばかりとらわれるのではなく、日本人とロシア人が共存し、互いにウィン・ウィンの関係を築くことができる。北方四島の未来像」から解決策を探し出す「未来志向」の発想が必要であるとして、これが「新しいアプローチ」の内容であったことを明らかにしています。 この「新たなアプローチ」に基づいて取り決められたのが、北方四島における「共同経済活動」に関する交渉の開始でした。 安倍首相は、このようなアプローチこそが日露平和条約の締結に向けた「重要な一歩」であり、プーチン大統領とも認識の「完全な一致」を見たと発表して、この合意を「出発点」に「自他共栄」の新たな日露関係の建設を呼びかけています。 文字数にして1786文字となる安倍首相の発言のうち、約3割を元島民の方のエピソードに割いておりながら、具体的な内容となると「実施を検討」「決意を確認」「発想が必要」と言った表現に彩られています。 結局、安倍首相が一番欲する成果が得られなかった事が印象づけられます。 ◆日露共同記者会見:プーチン大統領のスピーチ プーチン大統領の冒頭発言は安倍首相とまったく対照的なものでした。 冒頭、親しみを込めて安倍首相を「シンゾーサン」と呼び、長門の美しい風景などを簡潔に称賛すると、すぐに交渉の具体的内容について言及を始めます。 まず、15日に両首脳は政府閣僚らと共に「貿易と投資の広範囲に及ぶ議論」を行い、16日のビジネス・フォーラムで「政府及び企業間で相当数の合意文書のセットに署名した」事を報告した上で、アジア太平洋地域における日本の重要性について触れています。 次に、2016年度の日本との貿易総額が「不幸なことに、28%減少している」事を示し、これが「為替や物価変動のような客観的理由だけでなく、日本によって支持された対ロシア制裁という政策」によってもたらされたものだと明確に指摘し、安倍首相の提示した「8項目の経済協力」はその埋め合わせの意味を持つことをほのめかしています。 このような発言から、プーチン大統領はクリミア危機を巡るロシア制裁に日本が加わった事が、両国の関係を決定的に悪化させた原因であると認識している事が見えてくるのではないかと思います。 また、プーチン大統領は日本政府との「8項目の経済協力」の内容として、日露統合投資ファンドの設立や沿海地方への自動車工場の建設、サハリン-北海道のガスパイプラインなど、議論に上った具体的な項目を挙げて会談の成果を公表しております。 しかし、一方の安倍首相は「たくさんの日露の協力プロジェクトが合意されました」と一言触れているのみです。 さらには、朝鮮半島問題を含む世界と地域の安全保障に関して、日露協力が重要な役割を持つとの認識が示されています。 ◆北方領土と平和条約に関するプーチンの見解 最後に、プーチン大統領が求めていた「日露双方にとって不利益となることがないような解決方法」、すなわち「引き分け」という発言の真意とは、ロシアにとっての北方領土の軍事的価値を日本が尊重し、同地に米軍基地を作らせないという確証を示せ。という事だったと考えられます。 事実、質疑応答においてプーチン大統領は「我々は米国の(地政学的な※)関心を含む、すべての地域国を尊重しなければならない」と発言し、ロシアにとって北方領土はウラジオストックのロシア海軍が太平洋上に出るためのルートとして極めて重要なのだという事実を示唆しています。(※筆者補足) その上で、「しかしながら、日米の特別な関係と安保条約の下でのコミットメントがあり、それがどのように発展していくのか、我々はこれを知らない」事が北方領土返還の不安材料であり、「我々は日本の担当者達に対して、我々が関心を持って来た微妙な問題の全てを計算に入れるよう求めた」事を明らかにしています。 そうしてみると、プーチン大統領がペルーAPECで発言した、「日ソ共同宣言には二島を『どのような根拠で』返還するか、書かれていない」という発言の真意も、見えてきます。 確かに日ソ共同宣言には日本の主権下で二島を引き渡すとは書かかれていませんが、同様に、米軍基地が建設されない状態で引き渡す、とも書かれておりません。 だからこそ、プーチン大統領にとっては「平和条約の締結が先」なのです。 日米安保がロシアにとって友好的に動くかわからない状態で二島を返還することはロシアにとってリスク以外の何物でもないため、まず日露平和条約の締結によって、ロシアの安保上の利益を尊重するよう、日本側の確約を求めたものと思われます。 プーチン大統領が領土の帰属よりも日露平和条約の締結を主張し、かつロシアの安保上の利益に配慮するよう求めるのであれば、日本としては北朝鮮の核・ミサイル開発問題や、中国の覇権主義的な海洋進出の動きをけん制するよう、ロシアに求めることができるはずです。 それが本当の「引き分け」ではないでしょうか。 ◆国益を主張したプーチン大統領と、争点をぼかした安倍首相 プーチン大統領の発言は明瞭であり、ロシアの立場や主張を明確に伝えています。 一方、安倍首相は国家としての日本の立場よりも、元島民の皆様の思いに焦点を当てており「国益」に基づいて主張を戦わせることを意図的に避けているように見えてしまいます。 外交とはやはり、国家としての立場を明確に主張し、国益や正義の在り方について議論を戦わせるものだと言えるでしょう。 そのような真剣勝負の場において、選挙のような「争点ぼかし」が通じると思ったことが、安倍外交「完敗」の要因ではないでしょうか。 日本にも、「真実語」に基づいた政治を行うリーダーの登場が求められていると考えます。 ■日露共同記者会見】安倍首相冒頭発言(首相官邸)※動画あり http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/1216kaiken.html ■12/21(水)19時~ 幸福実現党政調会・外交部会 特別セミナー開催! テーマ:「プーチン大統領来日。首脳会談の経緯と日露関係の行方について」質疑応答 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(HS政経塾一期生) ■お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「12月21日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 安倍外交はなぜ「完敗」したか【第一回】――オピニオン力無き外交の終焉 2016.12.18 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 12月15日から16日にかけて、ロシアのプーチン大統領が来日し、安倍首相と首脳会談を行いました。 第一次安倍政権から数えると通算16回目の首脳会談となるにも関わらず、領土問題や平和条約に関する目立った進展もないままに経済協力の推進を行う結果となり、安倍外交の「完敗」が印象付けられました。 今回のニュースファイルは2回の配信に渡り、山口県での日露首脳会談・安倍外交の敗因を探ってみたいと思います。 ◆山口会談に至る、2016年中の日露関係 今回のプーチン大統領訪日が特に注目された理由は、第二次世界大戦の終結以来、日露関係の最重要かつ最難関のテーマであった「日露平和条約」の締結が現実味を帯びたと報道された事が挙げられます。 時系列に沿って整理すると、まず2016年5月6日、安倍首相はソチ首脳会談においてプーチン大統領に「8項目の経済協力」と、「新しいアプローチ」で平和条約の交渉を行うことを提案しました。 本会談の雰囲気について、外務省HPの発表や雑誌等の論評によれば、プーチン大統領は8項目の経済協力を高く評価するとともに、平和条約に関する「新しいアプローチ」について関心を示したと言われています。 さらに9月2日のウラジオストック首脳会談では12月の山口首脳会談が正式に合意され、会談後の記者会見においては安倍首相から「手応えを強く感じ取ることができた」「新しいアプローチに基づく交渉を今後具体的に進めていく道筋が見えてきた」との発言がありました。 このような首相の発言を皮切りに、日本国内では北方領土の「二島先行返還」に肯定的な意見が浮上。歯舞・色丹・国後・択捉と言った「四島の帰属問題」の解決にこだわらず、二国間関係の実質的な前進を容認する空気が各種メディアによって醸成されたのです。 ところが11月15日、世耕経産相のカウンターパートであったロシアのウリュカエフ経済発展相がロシア当局に拘束されると、11月19日にはペルーAPECにおける首脳会談において、返還が有力視されていた歯舞諸島・色丹島について「二島にどこの国の主権が継続し、どのような状態で引き渡されるか、日ソ共同宣言には明記されていない」との発言がプーチン大統領から発せられました。 さらに11月23日には、ロシア軍が択捉島・国後島にそれぞれ対艦ミサイルを配備した事が報道されるに至り、安倍首相は北方領土の返還がほぼ期待できないという予測の中で、プーチン大統領訪日を迎える事となったのです。 ◆日露関係に影響した、トランプ氏の米大統領選勝利 日露関係に関する日本での報道に接していると、なぜ訪日の直前になってプーチン大統領が態度を翻したのかさっぱりわからず、結局、経済協力を「食い逃げ」したかっただけではないかと言う批評を目にします。 これを「米大統領選」という観点から日露関係を眺めることで、一見不可解に見えるプーチン氏の行動には「筋」が立っていた事実が見えてきます。 まず、安倍首相がプーチン大統領とソチ(5月)、ウラジオストック(9月)と首脳会談を重ね、「手ごたえを感じた」と発言していた時期は、ちょうど米大統領がトランプ対ヒラリーの決戦投票に向けて過熱してきた時期と重なります。 米露関係は、まさにオバマ政権の対露政策で最悪の状態に陥っており、特にクリミア危機以降の経済制裁等の要因により、ロシアのインフレ率は2014年度7.8%から2015年度15%まで跳ね上がっていました(2016年は再び7%台に戻っている)。 もし親露的発言で知られていたトランプ氏が勝利すれば、ロシア経済を危機に追い込んだ経済制裁の緩和に踏み切る可能性がありました。 しかし、「もし、ヒラリーが勝利したら?」そうした可能性を考慮に入れ、プーチン大統領は日本を米国との仲介役、あるいは対米外交の「保険」の一つとして、「二島先行返還」を匂わせつつ安倍首相に接近を図ったものと考えられるのです。 米大統領選の結果は、既に報道された通りドナルド・トランプ候補の「圧勝」に終わりました。 プーチン大統領はトランプ氏に祝辞を送り、米国との関係改善の意欲を表明する一方で、投票日からちょうど一週間後にあたる11月15日、日露経済協力のロシア政府側担当大臣に当たる、ウリュカエフ経済発展相を収賄容疑で拘束したのです。 日本にとって寝耳に水のウリュカエフ氏の拘束は、まさに日露関係と国際情勢の「流れが変わった」事を示すシグナルであったのかもしれません。 結局は「ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利をもって、日露関係の流れが変わった」という事であり、安倍首相の前に「二島先行返還」という「ニンジン」を垂らしてまで、日本に米国との仲介役を担ってもらう必要性が無くなったため、プーチン大統領の態度が急転したと考えられるのです。 今回の首脳会談は、ロシアが経済協力を「食い逃げした」というよりも、米大統領選と安倍首相の出方を「両睨み」にしていたプーチン大統領の意図を見抜けなかった安倍首相が、単に「置いてきぼり」を食らっただけ。というのが、実態ではないかと思われます。 そもそも、北方領土問題とは米ソ冷戦構造の影響を受けて形成されてきた問題であるため、米国とロシアの関係が対立に向かっているのか、それとも協調に向かうのか、その大局を見ながら戦略的な解決方法を考えなければならない問題だったのです。 ◆日本人の「自立」を求めたプーチン大統領 それでは、プーチン大統領は単に日本を対米外交の「駒」として利用するだけの腹積もりだったのかというと、そうではありません。 プーチン大統領は来日直前の12月13日、読売新聞と日本テレビによるインタビューを受けていますが、この詳述を読む限り、プーチン大統領は「日本よ、自立せよ。自分の国の未来は自分で決めよ」というメッセージを日本人に送っているように見えます。 このようなプーチン大統領の姿勢は、「アメリカ・ファースト」を標榜し、日本に国力相応の「自立」を求めるトランプ大統領の姿勢に近いものがあるのではないでしょうか。また、両者は信念に基づいて明確な価値判断を下し、行動に移すという点でも共通点があります。 例えば、トランプ氏は大統領当選後、国際政治の文脈では「あり得ない」行動と言える、蔡英文台湾総統との電話会談を行い、「一つの中国」という認識に対して疑問を呈したほか、中国経済が国際社会の配慮によって優遇されてきた状況にあるにも関わらず、軍事費を増長させている点を厳しく批判しています。 世界の潮流は、まさしく国際社会の「正義」について明確なオピニオンを戦わせ、「地球的正義」について明らかにする時代に突入しているのではないでしょうか。 総選挙と支持率しか考えられない従来の政治家では、このような大国のリーダー達と渡り合うことはできない。そうした時代の転換点の象徴が、今回の安倍外交の「完敗」であったと考えます。 幸福実現党は、先見性ある政策と力強いオピニオン力によって、この国の未来を明るいものへと変えてまいります。 ============== ■12/21(水)19時~ 幸福実現党政調会・外交部会 特別セミナーのお知らせ 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 テーマ:「プーチン大統領来日。首脳会談の経緯と日露関係の行方について」質疑応答 日時:12月21日(水)18:45開場 19:00開始 21:00終了予定 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(HS政経塾一期生) ■お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「12月21日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 日露首脳会談を受けて(党声明) 2016.12.17 「日露首脳会談を受けて(党声明)」を発表しましたのでお知らせいたします。 HRPニュースファイル編集部 ■日露首脳会談を受けて(党声明) https://info.hr-party.jp/press-release/2016/3906/ ロシアのプーチン大統領の訪日を受けた首脳会談で、北方四島における共同経済活動の協議開始などで合意が得られたものの、日露間の隔たりが大きい領土交渉を巡っては、進展がみられませんでした。 本年5月などの首脳会談では、領土問題を含む平和条約交渉について、安倍首相は「手応え」を強調するなど、領土返還への期待感を煽ってきましたが、政権による対露外交は完全に失敗したと断ぜざるを得ません。 会談が不調に終わった背景に、ロシアにとって北方領土を含むオホーツク海が軍事的要衝であることはもちろん、 ウクライナ問題を巡る日本政府の外交判断の誤りがあることは明らかです。日本政府は欧米による対ロシア制裁に同調しましたが、欧米とロシアの対立が深まるなか、わが党が主張したように両者の懸け橋となる外交を展開すべきであったと考えます。 もとより北方四島はわが国固有の領土であり、あらゆる機会を通じて、引き続き領土交渉の進展を図るべきです。 その一方、地域の安全保障上、最大の不安定要因である中国を牽制するうえで、ロシアとの関係強化は重要であることから、領土問題をいったん棚上げしてでも、経済や安保両面での関係強化、平和条約締結を目指すべきだというのが、わが党の考えです。 経済協力を巡っては、投融資3000億円規模などで合意しましたが、この程度にとどまらず、北海道とサハリンを鉄道で結ぶことや、ロシアとの貿易総額の大幅な拡大、極東地域の開発推進など、日露双方の発展に資する中長期の視点に立った協力構想を立案・実施し、相互理解を深めつつ、日本とロシアを強い紐帯で結ぶべきです。 トランプ米次期大統領の誕生により、新たな世界秩序が構築されようとするなか、「地球儀を俯瞰する外交」とは名ばかりの、理念なき場当たり的な対応に終始し続ければ、時代の潮流変化を見誤り、日本を危地にさらすことにもなりかねません。 戦略的な外交のかじ取りこそが肝要であり、対中抑止を図り、地域の安定を確保すべく、日米同盟を基軸としながら、ロシアをはじめ関係国との連携を強化すべきです。 幸福実現党は、「日本ファースト」を堂々と掲げ、この国を強く豊かにするとともに、わが国を国際社会の平和と正義、繁栄の実現に貢献できる国家へと新生させるべく、力を尽くしてまいる決意です。 平成28年12月17日 幸福実現党 香港の議員資格剥奪事件を受けて ―革命か、隷属か― 2016.12.15 幸福実現党・兵庫県本部 副代表 みなと侑子 ◆改めて骨抜きが証明された香港の自治 11月17日、香港の高裁が中国共産党全人代(全国人民代表)常務委員会の意向を追認し、香港で新たに誕生した議員2名の資格を剥奪する決定を下しました。 2015年9月7日の立法議員選挙において新たに生まれた新興の反中議員6名のうちの、新党「青年新政」の30歳と25歳の議員のことです。 問題となったのは、議員就任後の初の立法会で行われた宣誓式です。 10月12日の宣誓式では、香港の在り方を定めた香港基本法を支持することや、中国と香港に忠誠を尽くすことが盛り込まれた定型文を読み上げることになっていました。 ここで2名は議員就任宣誓の際に、「China」の部分を広東語で「支那」と発音、定型文にはない「香港民族の利益を誠実に守る」などの文言を挿入したのです。 また議場に「HONG KONG IS NOT CHINA」との垂れ幕を掲げました。 11月7日、香港基本法104条「立法会議員が就任する際に『香港は中国の不可分の領土』と定める基本法の順守を宣誓しなければならない」と規定されていることを根拠に、香港基本法の解釈権を持つ全人代常務委員会が談話を発表。 その中で、2名の議員に対し「形式も内容も宣誓の要求に違反し、一国二制度への重大な挑戦だ」と強く批判したのです。 議員は「中国の一部としての香港」に忠誠を尽くすことを宣言しなければならないとし、規定通りの宣誓をしない場合には公職資格を失うと決定。 2名は「香港国」に忠誠を誓ったと判断され、宣誓が無効とされました。また「香港独立」を宣伝する人は参政権も議員資格もなく、法的責任を追及されるとしたのです。 全人代常務委員会が香港基本法の解釈を示すのは五度目。香港司法に介入した、香港人の民意を踏みにじったとして、民主派がデモを行うなど大きな問題となっています。 ◆親中議員により阻止されていた、再宣誓 実は宣誓式が行われた日、彼ら以外にも宣誓文の漏れや不適切な追加を行ったとして、計5人が再宣誓の必要があると判断されていたのです。そのため、再度宣誓式が行われていました。 5名のうち2名が再宣誓を終えたところで、「青年新政」の議員に順番が回りました。すると親中派の議員たちが一斉に席を立ち退場したのです。それによって議会は定数不足により開催を中止。上記2名を含む3名の再宣誓は完了しなかったのです。 香港の新議会宣誓式での問題は、親中派議員により再宣誓が阻止されたのです。 ◆「China」は「支那」ではないのか なぜ、彼らには再宣誓の機会が与えられなかったのでしょうか。それは「青年新政」の議員たちが謝罪を行わなかったためだ、と親中議員は述懐します。 彼らの態度に対し、大学教授や歴史博物館館長など有識者200名が連名で署名した声明文を発表しました。 声明文では「支那」の表現を厳しく批判し、問題となった議員を「思い上がった無知な若者」とし、公開謝罪を求めたのです。 しかし、彼らは批判が相次ぐ中でも謝罪を拒否し、自分たちの信念を貫きとおしました。そのため、彼らには再宣誓の機会が与えられなかったわけです。 ところで「China」を「支那」と呼ぶことはおかしなことなのでしょうか。 結論から言えば、おかしなことでも何でもない。「支那」は世界共通語です。 かの地を「中国」と呼ぶことこそ、歴史や言葉の意味を知れば知るほどに問題があります。ただこの件については、別の機会に詳しくお伝えしたいと思います。 ◆中国共産党が手を焼く『本土派』議員たち 注目すべきは彼らの立ち位置です。 これまで香港に存在していたのは、中国の民主化を望み、一国二制度の現状維持を望む「民主派」であるが、この考えとは一線を画すものです。 香港にとって、香港こそが『本土』であり、香港は中国の一部ではないと主張し、香港の未来のためには武力で闘うことをも辞さないという『本土派』です。 『本土派』は、1000名の逮捕者を出しながらも120万人を動員した雨傘革命以降、若者を中心に大きく支持が広がっている派閥です。 正式な選挙によって選ばれた『本土派』の議員は、明らかな民意の変化の象徴であり、中国共産党が望まない香港の未来を予測させます。 中国共産党とその意向を受ける香港行政長官にとって、真っ向から歯向かってくる煩わしい存在以外の何物でもないのです。 ◆香港を守るのは誰であり、何のためなのか 「青年新政」の2名の議員は、毎日のようにTVに出演し、「中英共同声明」で香港は独立した司法を有すると明記されていること、全人代の介入が同声明違反であることを主張しています。 さらに、2人は処分を不服として上訴するとし、全人代が香港基本法104条の解釈を採用したことが「中英共同声明」に反するとして、英国に書簡を送り支援を求めていますが、英国からの返事はまだ明らかになっていません。 いまの英国であれば、単独で中国共産党に逆らってまで、香港のために動くことはないでしょう。EU脱退に向けての国内の手続きや、国内世論をまとめることで精一杯だと思われるからです。 しかし、アメリカのドナルド・トランプ新大統領は違うでしょう。 台湾を国際社会から追いやり、中国共産党をのさばらせた「一つの中国」論に配慮し続けたアメリカ大統領の37年来の慣習を破り、台湾の蔡英文総統との電話会談を行った彼ならば、香港のために行動を起こすはずです。 そして中国共産党が自国こそが世界の中心(中国)であり、周りの異民族を臣下と考え、自国の領土を増やしつつ、朝貢・服従を求める「中華思想」や「覇権主義」に対し、意見するはずである。香港が中国共産党の支配下に置かれた場合、繰り返されるのはチベットやウイグルでの悲劇です。 そして次は台湾がその標的となるでしょう。 2017年3月には、5年に一度の香港の行政長官選挙が行われます。そこでまた、「本土派」「民主派」は香港のために立ち上がり、「親中派」や「中国共産党」と闘うでしょう。革命を選ぶか、隷属を選ぶか、選択の日は近づいています。 私たちはトランプ氏に続き、アジア平和が実現できる防衛力と、自分たちの考えを堂々と述べる勇気、そして世界への発信力を持たねばなりません。 香港の声を無視し、黙殺する日本人になった場合、「中華思想」の犠牲者となるのは、未来の私たち自身であるということを忘れてはならないのです。 すべてを表示する « Previous 1 … 36 37 38 39 40 … 98 Next »