Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 北朝鮮の弾道ミサイル発射――政治家に国民を守る気概はあるか? 2017.07.29 北朝鮮の弾道ミサイル発射――政治家に国民を守る気概はあるか? 幸福実現党・広報スタッフ 佐々木勝浩 ◆北朝鮮による弾道ミサイル発射 7月28日の夜、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、北海道奥尻島沖 160 キロメートルの日本の排他的経済水域に落下しました。 室蘭ではNHKのカメラが、ミサイルが落下する様子を捉えていました。 今回のミサイルは、ロフテッド軌道(通常よりも角度を上げて高く打ち上げる)で打ち上げられ、高度 3700キロまで上昇し、45分程度飛行したと報道されています。 7月4日に発射された時よりも、さらに1000キロも高い高度で飛行しており、北朝鮮のミサイル技術は益々、向上しています。 アメリカは、今回のミサイルをICBM(大陸間弾道ミサイル)と断定。 かつ、米ジョン・ホプキンス大学大学院の米艦研究所は、今回のミサイルは通常軌道だと 1 万キロにも達すると分析しており、これはアメリカの本土にまで北朝鮮のミサイルが届くようになったということを意味します。 日本にとってもアメリカにとっても、「存立危機」の事態に直面していると言っても過言ではありません。 ◆日本国内の状況 ミサイルが発射された7月28日、日本では自衛隊のトップの防衛大臣、防衛事務次官、陸上幕僚長が、マスコミと野党の批判を浴びて辞任しました。 このタイミングでミサイルを撃たれたことは、日本にとって適切な国防の対応ができないことを意味しています。 アメリカでは、7月4日の独立記念日に合わせて北朝鮮がミサイルを発射したことを重く受け止め、次年度予算で防衛費を増やし、超党派で、国民を必死で守ろうとしています。 しかし日本では国家の危機を全く考えず、政治家は、加計学園など、政局絡みの足の引っ張り合いばかりしているような状況です。 「気骨のある政治家はいないのか」という憤りが、日本国民の間に沸き起こってもおかしくはありません。 ◆私たちがなすべきこと 今、日本がなすべきことはなんでしょうか。 まず何より、昨今の情勢を踏まえ、憲法9条の改正に正面から取り組むべきです。 自衛隊がしっかりと国を守ってくれるようにするためにも、憲法9条を改正しなければなりません。 また、日本の防衛費を大幅に増やす必要があります。 日本の防衛予算は、GDPの約 1%の 5 兆円ですが、日本を守るために必要な自衛隊員、装備を確保することが困難になっています。 いざ中国と一戦交えた場合、2~3日しか武器や弾薬が持たないという話もあります。 日本は、他の先進国と同様に、少なくともGDPの約2%、10兆円近くの防衛予算を確保すべきです。 さらにもう一つ大切なのが、いかに北朝鮮や中国の核にどう立ち向かうかです。 自衛隊のレベルは非常に高いのですが、核の脅威には核でなければどうしても抑止できません。 幸福実現党としては、まず、非核三原則の「もたず、つくらず、もちこませず」を撤廃し、日本に核装備の選択肢を生み出すことを訴えたいと思います。 世界唯一の被爆国であるからこそ、逆に、もう二度と核を落とされないよう、抑止力としての核を持つ権利もあるのです。 安倍首相は、非核三原則の撤廃を早急に検討して決断すべきです。 ◆国民の生命・安全・財産を守るために 今、日本人一人ひとりが、「自分の国を自分で守るのか、守らないのか」という選択に迫られています。 幸福実現党は引き続き、国民の皆様の生命・安全・財産を守るべく、今後も力を尽くしてまいります。 G20後の米露関係―関係改善に向けて動き出した両大国 2017.07.18 G20後の米露関係―関係改善に向けて動き出した両大国 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) 今回のニュースファイルでは、前回に続き、G20での米露首脳会談と、今後の国際情勢について報告したいと思います。 ◆G20での米露首脳会談に世界が注目 G20とは世界の経済大国19か国プラスEUで構成される、グローバル経済を促進することを目的としたグループですが、元々蔵相会議であったものが2008年の金融危機以降、首脳会議も開催されるようになっています。 本年はドイツのハンブルグを開催地とし、7月7日・8日の日程で首脳会議が開催され、米露首脳会談も、この日程の合間に実施されています。 ◆信頼回復の糸口が見えた米露首脳会談 「彼は対話相手の主張に耳を傾ける事ができるオープンな人格の持ち主であり、彼自身が作り上げたテレビの印象と全く違っていた。」 これは米露首脳会談の後で、トランプ大統領の印象についてプーチン大統領が語った言葉です。(※1) 両首脳は身を乗り出して固く握手を交わすと共に、米露関係について「悪化させるには、あまりにも重要すぎる関係」であるとの認識のもと、建設的な対話を進める必要性について合意したことが報道されました(※2)。 首脳会談の開催により、歩み寄りを模索していた両大国は「信頼回復」の糸口を掴んだものとみて良いでしょう。 ◆「過去は棚上げ」から出発する、新たな米露関係 今回の米露首脳会談の成果をあえて「一言」で表すとしたら、「過去については『棚上げ』し、両国の国益を損なわない実質的な解決方法を模索する」(※3)事で合意が得られたと言う事になります。 その姿勢が端的に表れたのが、米大統領選介入問題と、シリア・ウクライナ問題への対応でした。 (1)米大統領選介入問題 ロシアによる「米大統領選への介入疑惑」について、両首脳は40分間を費やしました。 トランプ大統領がプーチン大統領に対して率直に「介入の事実があったかどうか」を何度も問いただし、プーチン大統領は「介入の事実は無い」と返答する、と言ったやり取りが繰り返されたほか、米国や他国の選挙に対する介入が行われないよう、サイバーセキュリティについて「更なる交流を深めることで合意」したと伝えられています。(※4) 「オバマ政権下」で発生した「いざこざ」を掘り下げるよりも、両国の「信頼関係」構築に重点を置く意図が見えてくると言えるでしょう。 (2)シリア・ウクライナにおける緊張緩和 もう一つは、オバマ政権からの「負の遺産」とも言うべきシリア・ウクライナ問題です。 シリアについて、5月10日にホワイトハウスで行われたトランプ大統領と露外相との会談の中で、トランプ大統領は明確に「シリア政府の問題は、ロシアが手綱を取るべき」だと指摘していましたが、今回の首脳会談でも、シリア内戦の当事者に対し、「米露両国がそれぞれに影響力を行使する」事が「合意の核心」であったと伝えられています(※5)。 ウクライナ問題も同様です。G20終了後、トランプ大統領は「プーチン大統領の求めに応じて」対露強硬派として知られるクルツ・ボルカー前駐NATO大使のウクライナ派遣を決定すると共に、ロシアに対しては東部地域の緊張緩和と、停戦協定(ミンスク合意)履行に向けた行動を求めました(※6)。 これらの問題について、暫く予断を許さぬ状況が続くとは思われますが、オバマ政権下では米露が協力する兆候すらありませんでしたので、紛争地域の緊張緩和に向けた交渉が行われること自体、米露関係の改善に向けた動き出した証左と見ていくべきだと考えます。 ◆意見の「若干の違い」が残る北朝鮮・中国問題 以上の様に、2時間15分の首脳会談において「対立よりも前進」を選択した両首脳でしたが、一つだけ、意見に「若干の違い」がある問題があったと、ティラーソン国務長官によって明かされました。それが北朝鮮や中国に関する問題です(※7)。 これは私見ではありますが、北朝鮮・中国問題について「十分な信頼関係を構築できていない」という事を直接的に表現すると、「『アジアにおけるロシアの影響をどの程度認めるのか』と言う問題に話がついていない」と言う事を意味するものと思われます。 例えば、トランプ政権がシリアにおいてロシアとの信頼構築の糸口を見いだせた理由は、トランプ大統領が「シリアの手綱を引け」とラブロフ外相に伝えたように、同地域におけるロシアの影響力を一定程度認めたからに他なりません。 これを北東アジアにおいて当てはめるとしたら、どうでしょうか。その答えを出し、米露の橋渡しができるのは、北朝鮮と中国による「軍拡の危機」に直面している日本しかありません。 北朝鮮問題、即ち「朝鮮半島の非核化」の実現に向けては、北朝鮮の後ろ盾となっている中国に対して、ロシアからの圧力も必要です。そのためには、北方領土の帰属問題を一時「棚上げ」してでも、両国が互いに安全保障上の利益に尊重する事を前提とした、日露平和条約の締結を目指すべきであると考えます。(※8) 【下記セミナーにて、詳細を報告させて頂きます。】 ===================================== ■7/22 (土)13時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 7月22日(土)13時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において、幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 今回のセミナーでは、G20サミット以降の米露関係と、国際情勢の展望について報告させて頂きます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成のお持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「G20サミット以降の米露関係・国際情勢について」質疑応答 日時:7月22日(土)12:45開場 13:00開始 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「7月22日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 ===================================== <参考記事> (※1)2017/7/14 TASS:Putin believes Trump’s most important quality is ability to listen to his interlocutor (※2)~(※5)、(※7)2017/7/8 TASS:US-Russia relations are too important to focus on dispute (※6)2017/7/9 U.S.Department of State:Remarks With Ukrainian President Petro Poroshenko At a Joint Press Availability (※8)2016.12.18「安倍外交はなぜ「完敗」したか【第一回】――オピニオン力無き外交の終焉」2016.12.19「安倍外交はなぜ「完敗」したか【第二回】――「認識の齟齬」を生んだ安倍パフォーマンス外交」 「ロシア-ウクライナ「代理戦争」の様相を呈する、米「ロシア疑惑」問題」 2017.07.15 「ロシア-ウクライナ「代理戦争」の様相を呈する、米「ロシア疑惑」問題」 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆7月7日、G20サミットが開催 7月7日、ドイツでG20サミットが開催され、初の米露首脳会談に注目が集まりました。トランプ政権の誕生以来、米国内での「ロシア疑惑」の追及のためになかなか関係修復の糸口が掴めなかった両国ですが、事後の報道を見ると、「対立の中の協調」とでも言うべき成果があった事を見て取る事ができます。 今回は、まず米国での「ロシア疑惑」に関して整理した上で、2回に分けて首脳会談後の米露関係について解説したいと思います。 ◆トランプ大統領の「ロシア疑惑」について整理する まずは、トランプ大統領を悩ませる「ロシア疑惑」問題の大枠ついて整理したいと思います。 「ロシア疑惑」問題の発端は、米大統領選が行われていた2016年、数度にわたってヒラリー陣営の内部メールが「ウィキリークス」を通じて暴露された事件にあると言えます。 オバマ大統領はロシア政府によるサイバー攻撃の可能性を疑い、大統領選期間中から「ロシアの介入」を警告する発言を繰り返していました。 さらには退任間近の2016年12月、事実上の報復措置として駐米ロシア外交官35人の国外追放等に踏み切りました。 このような経緯を背景として、「トランプ氏が大統領選に勝利するため、ロシア政府と意思を通じていたのではないか」と言う報道が熱を帯びてきたのです。 トランプ陣営とロシア政府の繋がりを疑う報道の影響は大きく、選挙戦の最中にはポール・マナフォート選対本部長を辞任に追い込み、大統領就任後はマイケル・フリン補佐官を失脚させるなど、実際の政権運営にも実害を与えています。 疑惑の追及も厳しく、当初はトランプ氏とロシア政府の「共謀があった可能性」に関する報道であったものが、解任されたコミーFBI長官(当時)の証言を通じて、トランプ大統領が自身の側近に対する捜査を「妨害」していたのではないかと言う疑惑に発展するに至り、一時は議会による弾劾の可能性まで取り沙汰されることとなりました。 最近では、トランプ氏の長子であるトランプ・ジュニア氏が選挙期間中にロシア人弁護士と会合を行っていたことが問題となりましたが、結局、トランプ大統領とロシア政府の関係を立証する決定的証拠が提示されるには至っておりません。 ◆ヒラリー陣営にもあった!?外国政府との取引疑惑 ところで、ヒラリー陣営にも「外国政府との接触」の問題があることは意外と知られておりません。少なくとも、トランプ氏の大統領就任前後で一度、報道されているのですが、なぜかその後メディアから姿を消し、十分な追及は行われていなかったのです。 ところが、トランプ大統領が新たにクリストファー・レイ氏をFBI長官に指名し、上院でこれを承認するための公聴会が開催されて以降、再びこの問題に注目が集まっています。 それは、「2016年の大統領選当時、民主党全国委員会の関係者であったウクライナ系アメリカ人が、ウクライナ政府からトランプ大統領の不利となる情報提供を受けていた」と言う事実を暴き出す内容です。 つまり、「選挙戦を有利に進めるために外国政府と取引をした」疑いは、ヒラリー陣営にもあると言う事です。 もし米メディアが自国の選挙に対する「外国政府の干渉」問題に取り組むのであれば、ヒラリー陣営とウクライナ政府の「関係」も、「ロシア疑惑」と同様に追及していくべきだと言えるでしょう。 ◆「ロシア・ウクライナの代理戦争」の様相を呈した米大統領選 なお、FBI長官にレイ氏が指名されたことで、日本のメディアは「ロシア疑惑の追及」が加速すると見ていますが、米メディアではまったく逆に、「(レイ氏が)承認されれば、この問題(ウクライナ問題)を掘り下げていくつもりである」ことを公言した(※1)と報道されています。 さらには「次は民主党がFBIの追及に直面する可能性が高い」とも報道されている(※2)ほか、大統領選自体を「ロシアとウクライナの代理戦争(※3)」と表現する記事があるほどです。 ロシア寄りの人選で政権を固める事が予想されていたドナルド・トランプ氏の存在は、ウクライナにとって「危険な存在」以外の何物でもないと映っていた事でしょう。 ◆ウクライナ問題での協調見えた米露首脳会談 レイFBI長官の下、民主党に対する「ウクライナ政府との関係」が追及される事態となれば、トランプ大統領の政権運営や、米露関係の修復にも大きな影響が生じていく事が予想されます。 実際に、G20の米露首脳会談で取り上げられたテーマの一つに「ウクライナ問題」がありましたが、両政府関係者の発言を詳細に分析すると、表面的には対立を演出しつつも、米露が協調してミンスク合意を履行させ、ウクライナ問題を終息させようとする意図が見えてきます。 次回は、以上のような米国内の情勢変化を踏まえた上で、G20以降の米露関係・国際情勢を予測してみたいと思います。 =================================== ■7/22 (土)13時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 7月22日(土)13時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において、幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 今回のセミナーでは、G20サミット以降の米露関係と、国際情勢の展望について報告させて頂きます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成のお持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「G20サミット以降の米露関係・国際情勢について」質疑応答 日時:6月17日(土)12:45開場 13:00開始 場所:ユートピア活動推進館2F礼拝室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「7月22日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 <参考記事> (1) 2017/7/12 CNN「DNC denies working with Ukrainian government, but contractor floated anti-Trump material」 (2) 2017/7/12 Washington Examiner「DNC could face investigation into Ukraine ties if Christopher Wray is confirmed」 (3) 2017/1/11 Politico「Ukrainian efforts to sabotage Trump backfire」 日本はどうする?アメリカでささやかれる米中戦争の可能性 2017.07.13 日本はどうする?アメリカでささやかれる米中戦争の可能性 HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆北朝鮮問題の陰で浮上している米中戦争の可能性 北朝鮮によるミサイル問題の陰で「中国との戦争」という重いシナリオが議論されています。 米中戦争の可能性を指摘しているのは、米ハーバード大学のグラハム・アリソン教授で、昨年から米誌「ナショナル・インタレスト」や著書などで発表し、論議を巻き起こしています。 アリソン教授は過去500年間の欧州とアジアの覇権争いを研究し、「台頭する国家」が「支配する国家」との戦争によって取って代わる可能性があると述べ、米中は、互いに望まなくても数年後に、(1)南シナ海で米中軍艦の衝突、(2)台湾問題の緊張、(3)尖閣諸島をめぐる日中の争奪戦などが引き金となり、激突し、戦争を引き起こすという予測が立てられています。(7月12日付産経新聞14版) アメリカに代わって「世界の覇権を握る」という中国の国家戦略のもと、これらのシナリオが日々、現実味を帯びると共に、北朝鮮問題をめぐって米中の対立が激しくなっているのが事実です。 しかし、米中戦争の危機は今に始まったわけではなく、かつての朝鮮戦争、ベトナム戦争も、本当は米中戦争であり、中国は、「自分が戦ってるとは見せないで、支援している国に武器等の補給をして、パイロットなどを送り込んで戦う」ということをするのが得意だということを忘れてはなりません。 ◆中国が北朝鮮を止められない理由 中国は、北朝鮮の核兵器開発に反対し、米国との協力姿勢も示してきましたが、ここにきて、米国が北朝鮮に対する圧力強化を求めていることについて、「解決の鍵は中国政府の手にはない」とし、北朝鮮問題を巡る「中国責任論をやめ、各国がそれぞれ働きかけるべきだ」と異例の反論を米国に対して行っています。(7月11日ロイター) このような矛盾する中国の態度の背景にある本音とはどのようなものなのでしょうか?中国が北朝鮮を止めることができない理由は大きく3つあります。 一つ目は、北朝鮮が暴発することです。経済状態が悪化することで、資金や燃料不足から追い詰められた北朝鮮が、自暴自棄になって軍事的に暴発することを恐れていること。 二つ目は、北朝鮮が中国のコントロール下から外れてしまうことです。これまでも、中国が強い経済制裁をかけると、北朝鮮はロシアにすり寄ってきました。 中国とロシアはお互いに、自国の安全保障のために重要だと考えているエリアで、相手の影響力が高まることを警戒しているため、安全保障上、重要な位置に存在する北朝鮮を失いたくないのです。 三つ目は、中国の国内事情です。遼寧省などの地域は長期の経済停滞に苦しんでおり、北朝鮮との貿易で占める経済利益の割合が大きく、経済制裁を行うことで、国内にマイナスの影響を与えてしまうためです。 また、大量の難民があふれ出すことも予測されます。中国にとって、北朝鮮が米国との間の緩衝地帯であることの重要性は変わらず、自国の安全保障や経済上のリスクを冒して、中国が米国のために本気で協力するとは考えにくいのです。(参照:『中国が北朝鮮を止められない3つの理由』小原凡司) ◆戦わずして勝つ「トランプ戦略」 かつての朝鮮戦争やベトナム戦争が本当は米中戦争であったように、軍事的覇権をもって世界の大国になろうとし、米国に覇権戦争を挑んできている中国の本音や本質をトランプ大統領は見抜いた上で揺さぶりをかけていると考えます。 表舞台では、中国が北朝鮮に圧力をかけるべきだと要求し、首脳会談などでは、融和的な態度で協力を引き出していく一方で、「北朝鮮に強い制裁を行わない中国」という悪いイメージを作り上げて、批判し、一段と強硬姿勢を転じています。 具体的には、南シナ海の人工島近くで「航行の自由」作戦を再開し、台湾に大型武器を売却、北朝鮮と取引のある中国企業や個人に制裁を発動しました。 これに対して、中国は米韓の合同軍事演習が緊張を悪化していると非難し、韓国に新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)を配備したことに神経をとがらせ反発、北朝鮮と取引がある中国企業や個人に制裁を課したことにも抗議しています。 米国も米韓演習は対北朝鮮の防衛力を維持するために必要だと反論し、中国が北朝鮮に更なる圧力をかけないのであれば、鉄鋼やアルミニウムなどの物資の米国への輸入を制限する制裁措置を取ることまでちらつかせています。 北朝鮮に対しては、軍事力行使も辞さないという毅然とした態度を示すと同時に、中国が嫌がることを全て行動で示し、中国の覇権を止めるという「トランプ革命」を一貫して実践しているのです。 G20でのロシアとの2時間以上に及ぶ首脳会談や中国との貿易構造まで変え、中国の利益体質を減らして兵糧攻めまで行おうとしているところは、中国の野望を打ち砕き、米国と戦うことをあきらめさせる、まさに、「戦わずして勝つ」戦略です。 国内外で色々と批判されるトランプ政権ですが、この見事な外交手腕には脱帽です。 大統領就任演説で「生命をかけてあなた方のために戦う」と宣言したトランプ大統領の信念と平和を築きあげるための大戦略がここに垣間見えます。 トランプ政権は、北朝鮮が米国本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有することを「レッドライン」として警戒してきましたが、7月4日、米国の独立記念日に、アラスカやハワイを攻撃できるICBMの実験を成功させました。 いよいよ北朝鮮に対して、軍事力行使の可能性が高まり、米中戦争の可能性まで含めたこの現実を、「アメリカ頼み」の日本はどう受けとめ、今後、どのように対応していくのかが問われています。 政局争いを繰り返すことばかりが政治ではありません。当たり前のことを、当たり前のこととして真剣に議論し、この国を守り抜く決断をする政治を実現していきたいと思います。 日本と海外の絆――ペルー編 2017.06.18 日本と海外の絆――ペルー編 幸福実現党・大阪第五選挙区支部長 数森圭吾 今回は南米に位置するペルーと日本との絆をご紹介したいと思います。 ◆揺るがない観光人気を誇るペルー 天空都市マチュピチュ、ナスカの地上絵などで有名なペルー。日本からは年間3~4万人の観光客がペルーを訪れています。 ペルー国土は日本の3倍以上ながら人口は約1900万人となっています。鉱物資源や水産資源が豊かで、銀や銅は世界トップクラスの産出量、漁獲量も中国についで世界2位となっています(外務省発表)。 ◆南米で初めて日本人移民が渡った国 ペルーは南米で日本が初めて国交をもった国であり、日本が南米初の移民を送った国でもあります。日本とペルーには100年以上の絆があり、現在ではペルーに約10万人もの日系人が生活しています。 明治維新以降、人口が急増していった日本。生活困窮から海外へ移住する日本人が出始めました。当初はアメリカやハワイへの移民が多かったのですが、アメリカで1924年に「排日移民法」が施行され、1899年にペルーへの日本人移民が開始されます。 命がけでペルーに渡った人々は劣悪な労働環境や人種問題、風土病に耐えて現地社会に根付き、日本式の稲作を伝え、ペルーの食文化にも大きな影響を与えたといわれています。 現在では日本の醤油がペルー料理の定番調味料として受け入れられています。醤油味のソースを使用した鳥料理を提供する日本人が経営するレストランが大好評となっており、急速なチェーン展開をおこなっているそうです。 ◆日本人チームが発見した新たな地上絵 2016年に山形大学の調査チームが新たな地上絵を発見しています。 新たに発見された地上絵は八本足で舌を出したような生物が描かれており、この生物の正体はよくわかっていませんが、近年における大発見といわれているそうです。 同チームはこのほかにも24点の地上絵を発見。この成果がペルー政府に大きく評価され、ナスカ遺跡に立ち入り調査できる世界唯一の調査チームとなっており、日本人チームに厚い信頼がおかれているのです。 ◆天空都市と日本の絆 「一生に一度は行きたい世界遺産」第一位にもなっているマチュピチュ遺跡のふもとにあるマチュピチュ村。人口は約3000人で遺跡観光の拠点となっている村ですが、この村の初代村長は野内与吉という日本人でした。 野内与吉氏は1917年に移民としてペルーに渡り、何もなかった地域のインフラ整備に大きな貢献を果たしています。 その他にもホテル建設、温泉開発など、現在でも観光誘致の目玉となる施設開発も行い、野内氏は現在でも地元住民から尊敬をあつめています。 世界各地からの友好都市締結依頼を断ってきたマチュピチュ村でしたが、この縁によって現在では福島県大玉村と友好都市となっており、現村長も「日本人に家族のような親近感を抱いる」と語っています。 ◆昨年行われた大統領選挙 また、ペルーといえば日系2世のアルベルト・フジモリ氏が大統領となったことで、日本との外交も積極的におこなわれるようになりました。 2016年のペルー大統領選ではフジモリ氏の娘であるケイコ・フジモリ氏が出馬するも、アルベルト・フジモリ氏政権時代のイメージを反対派が利用し、敗戦を喫しました。 しかし、現在でもフジモリ派の政治的影響力は依然として大きなものがあるといわれています。 ペルーのように政治の中枢に関わるほど日系人のプレゼンスが高い国はまだ少ないのが現状です。親日国家であるペルーはブラジルとともに今後の南米外交にとって連携すべき重要なパートナーとなるのではないでしょうか。 憲法改正の志、未だ忘れず 2017.06.15 憲法改正の志、未だ忘れず 幸福実現党・広報スタッフ 佐々木勝浩 ◆学生時代に抱いた憲法改正の志 私が憲法改正の志を抱いたのは、大学1年の時でした。行動を重視する陽明学を信奉していた私は、憲法改正を訴えるチラシを一人で配っていました。 もちろん学内の友人からは白い目で見られ、また学内で活動していた過激な新左翼の活動家から、「佐々木は右翼」との貼り紙まで貼られました。 ある日、その貼り紙をはがしていると新左翼数人がやってきました。私が囲まれたその時、後ろから「なんで佐々木を悪く言うんだ」と割って友人が入ってきたのです。 それは同じクラスになって親しくなった友人でした。その時は、自分を理解してくれる人は必ずいると嬉しく思ったものです。 自分の誠実さを理解してくれる人は、たとえ政治的主張をしても理解者でいてくれる。これがその時の教訓です。 ◆志は持続するものではなく育てるもの 大学卒業後、私は保守系の団体に奉職し、昭和天皇の御在位60年奉祝運動に身を投じました。 当時は中曽根内閣で、国を動かすプロジェクトに少しでも関わることができたことが私の誇りでした。 しかし、時を経て、一般企業に就職すると日ごろの生活に埋没し、憲法改正の志の火が消えかかった時期もあります。 志が試されるハードルは、3つあります。「就職」「結婚」「子育て」です。私は第一のハードルで引っかかったのです。 志とは持続しようとしても、生活に埋没するといつか風化していきます。 やはり、何かをきっかけに再度、立ち上がらねばなりません。志は育てるもの、進化させるもです。 自分の使命は一体何か。それを成し遂げなければ、今回の人生に意味はない、そう思い志にもう一度、点火しました。 それは40歳になってからです。それから毎日3,4時間、国際情勢、特に中国、北朝鮮問題、歴史認識に焦点を当て勉強を重ねました。 その過程で2006年頃から、中国は沖縄、日本を本気で取りに来るということがわかってきました。その時の勉強が今の自分の基礎になっています。 第一次安倍政権が成立し、いよいよ憲法改正の時は来たと私の胸は高鳴りました。 しかし、すぐに安倍政権は失速し、自民党が大敗した後、もう憲法改正は夢で終わるのかと思うと残念で仕方がありませんでした。 2009年に民主党政権が成立すると、大量の政治家が中国に詣でるなど日本の危機はさらに高まってしまいました。 しかし、その2009年に幸福実現党が立党され、私は憲法改正の望みをかけて入党したのです。 ◆憲法改正の志の炎を燃やす 現在、第二次安倍政権になり、再度、憲法改正のチャンスが巡って来ようとしています。 しかしながら残念なことは、「教育無償化」や憲法9条はそのままに「自衛隊を明記」すること。つまり「加憲」の考えを安倍首相は示しました。 「加憲」は、公明党の掲げた政策です。これで公明党を取り込み、「教育無償化」で維新を取り込み、「加憲」として「自衛隊を明記」するだけで9条を改正しなければ、野党も取り込むことができます。 これが安倍政権の策なのでしょう。これはある意味、うその政治です。ここに誠実さはありません。おそらくどこかで破綻するでしょう。 終戦直後、自民党が掲げた憲法改正の志はどこへ行ってしまったのでしょうか。非常に残念なことです。 だからこそ、私たち幸福実現党の存在意義もあります。 ◆誠実な政治を 世間の皆様さんから見れば、「宗教政党」は怖くも見えるのかもしれません。しかし誠実な党員の皆さんの人間性を見ていただきたいのです。接してみれは、決して怖くないでしょう。 私たちがお一人、お一人に誠実に接する中で着実に共感し理解してくださる方々が増えてきています。 それは学生時代に私が学内で孤立しても、それでも私を信じてくれた友人がいたように、誠実さは必ず感化していくものです。 たとえ道遠くとも、誠実さを武器にしてこの国を救う、その志に偽りはありません。その道を今後も幸福実現党は歩んで参ります。 「危機」ではなく「協力」の始まり――中東諸国のカタール断交について 2017.06.08 「危機」ではなく「協力」の始まり――中東諸国のカタール断交について 幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆カタールとの中東諸国の断交は「混乱」ではない 6月5日、サウジアラビア、エジプト、UAE、バーレーン等の8か国(※1)が突如としてカタールとの断交措置を発表しました。一部メディアにはこれを中東情勢の深刻な混乱と捉え、「テロとの戦いに影響が及ぶ」との観測も浮上しています。 しかしながら、トランプ大統領のコメントを見ると、そのような緊迫感は感じられません。以下はトランプ大統領によるTwitter上の発言です。 「私は最近の中東への訪問において、もはや過激主義に資金供給をする事は出来ないと宣言した。カタールを示す首脳たちを見よ!」(6/6 9:06) 「既に国王と50か国によるサウジアラビア訪問が成果を上げた事を見るといい。彼らは過激主義への資金供給に対して強硬措置を取ると発言している。カタールへの指摘は全ての証明だ。あるいは、これはテロリズムによる恐怖の終焉の始まりとなることだろう!」(6/6 10:36~44) これらの発言を振り返ると、今回のサウジアラビアの行動はトランプ大統領にとって「物事が好ましく進んでいる」事を示していると分かるのではないでしょうか。 ◆「イスラム圏との協力」を実現していたトランプ大統領 事実、トランプ大統領は5月下旬の中東外遊において、サウジアラビアをはじめとした50か国の中東諸国と様々なテロ対策に関する協力を実施しています。 トランプ大統領の中東外遊については、2800億ドルに上る防衛協力などに注目が集まっていますが、テロ資金の寸断を意図した「テロ資金標的化センター」や「過激主義思想との戦いのためのグローバル・センター」と言った国際組織の設立を支援している事はあまり知られていません。(※2)(※3) 特に後者の組織については、トランプ大統領がサウジアラビアのサルマン国王と「共同代表」に就任した事がイスラム圏で大きく報じられており、50名近いイスラム圏の指導者が一堂に会して就任式を歓迎しました。 この式典について、サウジアラビア外相が「我々は西欧と世界に対して、『イスラム世界は敵ではない』というメッセージを送りたい」と言うメッセージを寄せて期待を表明している一方、米国ではギングリッチ元下院議長が「大統領はまさに外交政策の巨大なシフト(Titanic foreign Policy Shift)を生じさせた」のであり、「メディアはこれを見落としている」とコメントしている点は見逃すことが出来ないでしょう。(※4) ◆イスラム世界を動かした、トランプ氏の「信仰」に対する姿勢 今回の事件について、国際社会が最も懸念する事は「テロとの戦いに対する中東の連帯が崩れるのではないか」と言う点でしょう。 しかし、トランプ氏の外遊を伝えたFOXニュースの報道によれば、むしろアラブ諸国に浸透する「テロ」や「イランの脅威」を利用してスンニ派諸国を結束させ、さらにサウジアラビアをアラブ世界の宗教的・政治的盟主として遇する事でイスラム世界との関係を劇的に改善するという行動に出ていました。(※5)(※6) こうした文脈から考えれば、今回のカタールに対する経済制裁を含む外交関係の寸断は、「混乱」と言うよりもむしろ、テロの根絶に向けた「アラブ社会の団結」の表れとして捉えていくべきあり、米国とイスラム世界の協調を象徴する出来事だとみるべきではないでしょうか。(※7) 今回の事件は、中東情勢を巡る外交劇ではありますが、日本はここからトランプ政権における対米外交の傾向を汲み取っていくべきだと考えます。 私見ではありますが、サウジに対するトランプ大統領の対応を見ても、トランプ大統領は「責任ある国家に対して、その国の『決断』を十二分に重んじる」と言う傾向を持っている様に考えられます。 また、トランプ大統領がイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地を歴訪しつつ、外交関係の再構築を断行した点を考慮すれば、トランプ大統領の誕生を持って、外交は「信仰」を抜きに動かせない時代に入っている事は明らかです。 ◆友好国同士の結束を高めるためにも、文化的相互理解の推進を! 日米関係を中心とした日本外交の影響力を増していくためにも、文化、特に信仰のレベルでの相互理解は極めて重要です。 国家として外交に「自主性」を発揮する事はもちろん、神道・仏教を中心とし、世界の主要な宗教・文化を受け入れつつ独自に発展・昇華させてきた日本文化の世界的価値を世界にPRしつつ、アジアの平和と安全、繁栄に責任を持てる体制へとこの国をイノベーションさせていくべきではないでしょうか。 ======================== ■6/17(土)13時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 6月17日(土)13時より、ユートピア活動推進館2階礼拝室において幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 今回のセミナーでは、米国2018年度予算案に関する報道を中心に、トランプ大統領の経済政策を解説させて頂きます。当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成のお持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「米2018年度予算教書とトランプ大統領の経済政策」&質疑応答 【※場所が変更となりました】 日時:6月17日(土)12:45開場 13:00開始 15:00終了予定 場所:ユートピア活動推進館2F礼拝室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「6月17日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 =============================== 出典 (※1)2017年6月6日 毎日新聞 イラン包囲網亀裂 カタールと断交、対テロ影響も (※2)2017/5/22, Al Arabiya EnglishMonday, Global Center for Combating Extremism in Riyadh adopts unprecedented techniques. (※3)2017/5/23, Saudi Gazette, Kingdom, US to co-chair new center to target terror financing (※4)2017/5/25, Whitehouse, ICYMI: Gingrich: 「The President Just Made A Titanic Foreign Policy Shift. The Media Missed It.」 (※5)2017/5/23, Saudi Gazette, Saudi-US joint statement emphasize need to contain Iran. (※6)2017/5/22, Fox News, Trump tells Israelis:… 北朝鮮情勢に見る「米中の駆け引き」 2017.06.01 北朝鮮情勢に見る「米中の駆け引き」 幸福実現党 政調会外交部会 副部会長・彦川太志 ◆「米中の駆け引き」から読む北朝鮮包囲網 トランプ大統領が北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を求めた包囲網の形成を初めてから、間もなく2ヶ月が経過しようとしています。 最近の報道では、今週中にも米朝外交関係者が北欧を舞台として非公式会談の開催を調整していることが伝えられておりますが、間違っても「北朝鮮問題は米朝二国間の交渉によって解決すれば良い」などと考えるべきではないでしょう。 今回の北朝鮮包囲網の形成は実質的に4月の米中首脳会談から始まっていることを考えれば、北朝鮮問題は米国にとって米中間の駆け引きの問題であったことが見えてきます。 その事実を端的に象徴しているのが、米中首脳会談で習近平国家主席が持ち出したと言う「100日間の猶予」と言う取引です。 ◆中国に「100日間の猶予」を与えつつ高められた軍事的緊張 報道によれば、4月上旬の米中首脳会談においてトランプ大統領は習主席に対して「北朝鮮問題の解決のために、中国が経済的影響力を行使する」ことを求め、これに応じない場合は中国の企業や金融機関に対する制裁を実施する用意があると発言したと言います。 これに対して、中国は北朝鮮に対する経済的影響力の行使と引き換えに、「100日間は軍事的手段を取らない」事をトランプ大統領に求めたと報道されております。(※1) こうした「取引」が米中首脳会談の時点で交わされていた事を念頭に置くならば、4月以降の北朝鮮情勢を巡る軍事的緊張は、トランプ大統領が「100日間の猶予」と引き換えに、中国に「経済制裁」を履行させるための「プレッシャー」としての側面があったと思われます。 トランプ大統領が北朝鮮に軍事的なプレッシャーを与えながらも、実際に軍事行動に踏み切らなかった理由は、この辺りにあるのではないでしょうか。 ◆中国は「取引」を履行せず、事態は中国・北朝鮮に有利に ところが、「100日間の猶予」の中で実際にトランプ大統領が直面した事は、中国による制裁の不十分な実態と、イランによる挑発、米国内でのトランプ大統領に対する「機密情報流出疑惑」でした。特にイラン問題や国内メディアとの戦いには、大きなエネルギーを割くことを余儀なくされています。 この様な「事実の断片」を眺めてみると、結局、北朝鮮を包囲しようとするトランプ大統領の行動を妨害する事件ばかりが発生し、北朝鮮や中国のみが得をしている事実が見えてきます。 特に、北朝鮮や対テロ問題に関するロシアとの協調を妨害するかのようなメディアの動きには、ある種の「意図」さえ感じます。 つまり、習主席の持ち出した「100日間の猶予」とは、結局のところトランプ大統領による北朝鮮包囲網を突き崩そうとする「時間稼ぎ」としての効果があったわけです。 ◆トランプ政権に提案したい「もう一つのオプション」 文政権の登場によって半島情勢が複雑化する中、事態の膠着を座して見守るトランプ大統領ではないでしょう。 7月には「100日間の猶予」も切れると見られていますので、「取引」を誠実に履行しなかった相手に対して、トランプ大統領が実力行使に出る可能性は高いと考えられます。 トランプ大統領の政治は一言で言って、嘘や不正を嫌う「正直者の政治」です。自国民の幸福を心底から願い、正当に働く者が「神の恩寵」としての繁栄を享受する。そうした国造りを目指した「有言実行」の政治を目指している事は明らかです。 そのようなトランプ政権に対して、北朝鮮の核・ミサイル危機に直面する同盟国としての立場から、日本はもっと国防に「正直」であって良いのではないでしょうか。 これは個人的な意見ではありますが、半島情勢を前進させるプレッシャーとして、トランプ政権は日本の核装備の可能性もオプションとして検討するべきだと思います。 日本に三度目の核を落とさせないと言う大義が立つだけでなく、半島全体の左傾化に対する強力な牽制球となる事でしょう。 南シナ海への「いずも」等の海自艦の派遣が示す通り、日本には世界とアジアの「自由・平和・民主主義・そして神仏の下の繁栄」という普遍的な価値観を守ろうとする意欲があります。 日本が自由の灯台としてアジアの未来を照らし続けるためにも、米国は日本に対し、フェアな防衛力の保有を認める時期に来ているのではないでしょうか。 ======================== ■6/17(土)13時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 6月17日(土)13時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 北朝鮮包囲に大胆な外交手腕を発揮したトランプ大統領ですが、足元では2018年度予算の議論が本格化しつつあります。 今回のセミナーでは、米国2018年度予算案に関する報道を中心に、トランプ大統領の経済政策を解説させて頂きます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成のお持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「具体化するトランプ・バジェット」&質疑応答 日時:6月17日(土)12:45開場 13:00開始 15:00終了予定 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「6月17日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 =============================== 出典 (※1)2017/5/22 TASS(ロシアの国営通信社) 「China did not ask the US to give him 100 days to put pressure on the DPRK」 参考(HRP News File) 2017.05.18中東情勢の影響受ける北朝鮮包囲網 http://hrp-newsfile.jp/2017/3182/ 2017.05.02米、北朝鮮への攻撃、間近?!――日米連携でアジアに平和を http://hrp-newsfile.jp/2017/3166/ 2017.04.20 緊迫する朝鮮半島情勢を読むーートランプ外交と日本の指針 http://hrp-newsfile.jp/2017/3153/ 2017.04.13 トランプ政権のシリア・北朝鮮封じ込め政策――国防政策転換のチャンス! http://hrp-newsfile.jp/2017/3147/ 文在寅新大統領、ファシズム台頭か?! 2017.05.30 https://hr-party.jp/special/Northkorea/article011/ ※本日は、「幸福実現NEWS」(vol.88)より、「文在寅新大統領、ファシズム台頭か?!」をお送りします。 ◆文在寅氏が目論む南北朝鮮統一 文在寅氏は若い世代(40代以下)から圧倒的支持を得て勝利した。韓国では若年層の失業率が10%を超え、「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「人間関係」「夢」「就職」の7つを諦めざるを得ない「七放世代」が増加。 朴前政権やサムスン等の財閥に彼らの不満と怒りの矛先が向かったが、文氏は「偽の保守を松明で燃やしてしまおう」等の過激な言葉を用いながら、朴槿恵退陣デモや選挙を通して支持者を拡大してきた。 文氏は信用に足る人物なのか? その政策の中身を見てみたい。 1.資本主義の否定 第一の特徴は、資本主義の否定。政府主導の経済成長を発表しているが、要は、増税で民間の活力を奪い、政府に権力が集中する「国家社会主義」の発想だ。 例えば、「公共部門で81万人の雇用創出」(4月28日、テレビ討論)を掲げているが、その主な財源は大企業や高所得者層向けの増税頼み。まさに民間が減退し、官が肥大化する政策だ。 また、「財閥改革の先頭に立つ」(5月10日、就任演説)との発言もあるが、10大財閥がGDPの7割以上を占める韓国では、「財閥の弱体化→景気低迷→失業者増」の結果に終わるだろう。 2.韓米同盟の否定・反日路線 第二の特徴は、韓米同盟の否定と反日路線。朝鮮半島情勢が緊迫するなかにあっても、文氏は北朝鮮への経済制裁に反する「開ケソン城工業団地再開」や、米国の不信感を助長する「THAAD(超高高度防衛ミサイル)配備反対」を訴えた。 慰安婦問題に関する「日韓合意」についても「国民感情」を理由に見直しを求めている。自由主義圏の連携が崩れようとしている。 3. 朝鮮民族による南北統一 第三の特徴は、「朝鮮民族」による南北統一。文氏は選挙中に発表した「朝鮮半島平和構想」で、金大中・廬武鉉が推進した「太陽政策」を発展的に継承すると語った。 さらに、南北統一については「南北経済統合(単一市場)」を経て段階的な統一のビジョンを掲げている。 韓国には大国願望を根底に置いた核保有願望があるため、文氏が南北統一ありきで北朝鮮の核保有を容認することも想定すべきだろう。 文氏は国民の歓心を買うために耳ざわりのいい言葉を多用するが、「否定」が綱領になっており、建設的な政策は皆無だ。 「保守殲滅」を宣言する文氏を恐れ、韓国の脱北者3000人が文氏当選なら海外に集団逃亡すると発表したが、今回の新大統領誕生に至る動きは、戦前のファシズム台頭を思い起こさせる。 近い将来、文氏が「反日」を旗印に朝鮮民族の統一を進め、核武装した統一朝鮮が誕生するという「最悪シナリオ」に日本は備えるべきだろう。 ◆東アジアにさらなる自由の創設を! 日本の安全保障が一層悪化するなか、国防強化は急務だ。安倍首相による改憲案(憲法9条に自衛隊の存在を明記)は、「自衛隊=違憲」との批判を一蹴できたとしても、肝心の国防強化には何ら貢献しない。 防衛力強化に向け、9条を全面改正し、「戦力不保持」「交戦権の否認」を定めた9条2項を見直し、自衛隊を「軍」として位置付ける必要がある。 また、従来の「日米韓の連携強化」の見通しが立たないため、対北外交戦略も見直しが必要だ。北朝鮮の脅威除去に向け、軍事行動も辞さない米政権による圧力強化の姿勢を支持しつつ、ロシアとの関係強化を含め、日本も北朝鮮の封じ込めに主体的に努力する必要がある。 日本は今後、自主外交・自主国防に舵を切るべきだ。さらに、安倍政権の「官民対話」「同一労働同一賃金」等に見られる国家社会主義的な政策を見直しつつ、日本は東アジアの更なる「自由の創設」に向けて積極的役割を果たすべきだ。 高まる北朝鮮のミサイル危機――米中対立・大国間で揺れ動く日本【後編】 2017.05.27 高まる北朝鮮のミサイル危機――米中対立・大国間で揺れ動く日本【後編】 幸福実現党国防部会会長 新潟県阿賀野市議会議員 横井 基至 ◆ロシアの存在の重要性 ロシアは貨客船「万景峰」受け入れや数万人規模の北朝鮮労働者の受け入れを継続するなど、北朝鮮への国際社会からの圧力が高まる中、融和的な姿勢を見せています。 民間が決定したこととなってはいますが、政治的判断が背後にあることは当然との見方があります。 これはいつものロシアがとるポーズと捉えるべきで、国際社会が連携した北朝鮮への圧力にロシアも加わって欲しいところではあります。 そのためには、日本を含む欧米諸国がロシアへの経済制裁を解除することが鍵になると思います。 しかし米国内では、トランプ大統領を弾劾しようとする勢力が「ロシアゲート」なる偽ニュースを流し、ロシアとの関係改善を阻んでいます。 そのために北朝鮮問題で米国がロシアとうまく協議できていない故、もう一歩踏み込んだ米国の関与ができないのではないのでしょうか。 また米ロの仲が良くなっては困るのが中国であり、中国へ強硬な姿勢をとっているトランプ政権そのものを崩壊させたいと思うのも中国共産党です。 情報を漏らし貶めるなどの工作を行うことは、中国にとって容易なことのはずです。まさに中国は将来の米中軍事衝突に「戦わずして勝つ」作戦を実行中なのです。 このような状況を打開するためにも、日本政府は単独でもロシア制裁を解除するべきです。 ◆中国は協力者なのか トランプ政権になってから大きく変わったものとして、対中国政策があります。 2020年代には中国は米国を抜いて世界第1位の経済大国となり、2043年頃には米中の国力(米国国家情報会議による国力比較。国力はGDP・人口・軍事費・技術投資から試算したもの)が逆転することになります。 中国国民は大国意識の増大から、必然的に平和台頭路線を踏み外す可能性はほぼ間違いありません。 中国の東シナ海、南シナ海における覇権的行動は拡大の一途をたどる中、比大統領ドゥテルテ氏は15日、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」がテーマの国際会議に合わせ、北京で習氏と会談した際、「(南シナ海の係争海域は)私たちのものだと主張し、海底油田の掘削をするだろう」と話しました。 その発言に習氏は、友好的ながら決然として「現在の良好な関係を維持したい。だが、その問題を強行するならば、戦争になる」と返答したということです。 南シナ海での中国の主権主張を全面否定した国連海洋法条約に基づく仲裁裁定について、中国は応じない構えです。 このように中国は武力を背景にして、もはや誰の言うことも聞かなくなっています。 米国はリバランス政策によって東アジアへの関与を強める過程で、米国としても「力による平和」構築以外の道はなくなってきており、2020年から2030年の間で米中の武力衝突が予測されています。 ◆北朝鮮問題のゴールはどこなのか 現在の北朝鮮問題の終着点として、米国としては北を非核化し東アジアのパワーバランスをとり、日米韓の連携を強化することが、平和と同盟国の国益につながるというものでしょう。 一方、中国が望む北朝鮮問題の終わり方は、中国の軍事拡張のシナリオから見れば、米軍を朝鮮半島や沖縄から追い出し、グアムまで押し下げ、中国海軍の太平洋進出を成し遂げることにあるでしょう。 このように、思惑が全く違う中で、果たして中国は石油の供給を制限しているのかも不透明ですが、ここはトランプ大統領が習氏のメンツを保つため、忍耐の時間を過ごしているのでしょう。 北朝鮮のミサイル発射に対して、トランプ氏のツイッターが沈黙していることからも察することができます。 米中両国は将来の武力衝突を想定し、腹の探り合いをする中、この大国同士に囲まれた日本は、どのように生き残り、国民を守っていくのか、主権国家としての意思が感じられないのが現状であり、これでは国が存続できるかどうか大変危険な状況です。 北朝鮮の核開発・ミサイル開発をやめさせ、一党独裁体制を崩壊させ、民主化を進め、北朝鮮国民の人権をまもる。教育や経済の発展も促す。南北の統一。 日本政府がどこまで関与できるかは定かではありませんが、安全保障を考える上で、東アジアのリーダー国として、ここまでやらなければならないと考えます。 ◆今、日本がするべきこと ・日米共同をさらに強固なものとし、日本国内、周辺でオペレーションを行う米軍に支援を行うとともに、沖縄での辺野古移設を粛々と進める。 ・米中の軍事衝突を想定し、防衛大綱の見直しを行い、自主防衛を可能とする防衛力の強化をするため、防衛費を現状の2倍以上に引き上げ、10年以上はこの体制を維持する。 ・米国の軍事的関与が行われるか否かにかかわらず、北朝鮮の核実験や大陸間弾道ミサイルの開発が止まることなく、北朝鮮の軍事力が質と量とも増大し地域のパワーバランスを不均衡している現実から、米国の東アジアに対する核の傘は破れたと判断し、日本独自で自衛のための核装備を行い、米国のリバランス政策を補完する。 ・全国に国民を守るシェルターや地下の避難施設などを構築する。 ・難民対応と、武装難民への対処を行う。 ・米ロの距離が縮められない状況であるならば、日本がロシアとの協議に臨み、米ロ関係向上の仲介役を行い、ロシア制裁の解除を日本が率先して行う。 元・陸上自衛隊幹部学校長、陸将の樋口譲次氏の言葉を借りるならば、安全保障、国防は、イデオロギーや政治思想ではなく、その国が置かれた地政学的特性を基礎として、常に現実的な視点から考察し、機を失せず行動しなければならない、まさにその時である考えます。 また北朝鮮問題は一過性のものではありません。日本は中長期的な安全保障ビジョンを持ち、日本を守るためあらゆる手段を講じるべきであります。 <参考・出典> ニューズウィーク日本語版 2017/5 /13 「陸上型イージスがTHAADより優勢 日本のミサイル防衛強化策」 BBC NWES JAPAN 2017/5/15 「日北朝鮮、発射実験のミサイルは大型核弾頭搭載可能の「新型」と主張」 産経ニュース 2017/5/19 「ロシアが北の貨客船「万景峰」受け入れ 港周辺は特務機関が封鎖 中国人観光客がターゲット?」 産経ニュース2017/5/20 「【緊迫・南シナ海】「天然資源採掘するな」 中国が比に戦争警告 習近平主席がドゥテルテ氏に』 樋口譲次 編著 「日本と中国、もし戦わば 中国の野望を阻止する『新・日本防衛論』」 ピーター・ナヴァロ著 赤根洋子訳 飯田将史解説 「米中もし戦わば 戦争の地政学」 すべてを表示する « Previous 1 … 32 33 34 35 36 … 98 Next »