Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 土俵際の習近平国家主席 大中華帝国崩壊への序曲【後編】 2020.08.15 https://youtu.be/OlUenL4TeeE 幸福実現党党首 釈量子 ◆深刻化が予想される中国の食糧難 また、中国にとって心配なのが深刻な食糧危機です。 特に、湖北省・湖南省といった長江の中下流地域は、明の時代から「湖広熟(ここうじゅく)すれば、天下足る」と言われる中国の重要な穀物産地であり、穀物生産量は全体の約24%を占めます。今回はこの地域が「水浸し」となり農業被害は甚大です。 そして、前述したバッタの大量発生地域はすべからく、中国の主要な穀倉地帯と重なっています。 更に、年初の新型コロナウイルスの影響で、中国全土で春先の農作業はかなり出遅れたとも言われています。 食糧事情において、以上の通り「新型コロナ」「洪水」そして「バッタ」と、いわば三重苦を抱えてしまった中国政府は、「畑を田んぼにしたら、協力者には補助金を出す」という奇策まで打ち出して、食料確保の対応に苦心しています。 また、本来火事が起こりえない構造の穀物倉庫が、なぜか各地(上海、河南、貴州)で全焼するといった事態が起こりました。 これも食糧不足を隠蔽したい地方政府の「放火」だと中国のネットで紛糾しているようです。 また、ある穀物商人は国有の穀物倉庫に備蓄されているのは、穀物ではなく、食用にはならない「ゴミ」だったと暴露し、これもまた国民の間で大きな話題になっています。 ◆追い込まれる習近平国家主席 中国国内が未曾有の大災害に見舞われる中、習近平国家主席は22日、天変地異とは無関係の吉林省を精力的に視察しています。 こうした大災害の時にこそ、民衆の苦しみを少しでも和らげ、労わろうとするのが、本来の徳ある為政者の姿のように思いますが、習主席は「災害対策本部」のような組織もろくに立ち上げず、最前線へ出向いた中央政府の責任者は一人もいないとも言われています。 習主席には、そうした徳ある為政者としての心構えが完全に欠如しているとしか思えません。 「5月から雨が止まない。呪いでもかけられているようだ」「警告無しのダム放水によって、町は壊滅的な状態になった」「(この大災害にも関わらず)北京は何もしない」といった怨嗟の声が絶えません。 しかも中国当局は完全な情報統制を敷いているためSNSにアップされた声も瞬時に消えてしまうということで、実態を報道する機関もなく、ほとんどはネットの動画等で流れてくるような状況です。 一部、共産党内部でも「クーデターが発生した」というようなことを指摘する識者の方もいます。いよいよ習主席と現体制は追い込まれている状況だと言えるでしょう。 ◆娘娘の天罰?大中華帝国崩壊への序曲 歴史的に見ても、中国の歴代王朝の末期には、今回の水害や蝗害(こうがい)などの相次ぐ天変地異が付きもので、民衆の反乱を誘発し、革命が起こるというのが常でした。 中国での相次ぐ天変地異について、幸福実現党の大川総裁は『大中華帝国崩壊への序曲』のまえがきで次のように明言されています。 「今、天意による革命が起きつつある。中華帝国という現代のナチス第三帝国が、最後の繁栄のイルージョンを見せつつ、悲鳴を上げつつある。」「大中華帝国は、間もなく崩壊の過程に入る。香港の人々よ、チベット、ウイグル、南モンゴル、北朝鮮の民衆よ。神はあなた方を決して見捨てない」と述べ、今回の天変地異は明らかに天意・天罰であり、中国共産党支配の『終わりの始まり』である。」 同書籍において今回の天変地異を起こしている人物を霊査したところ、道教の霊山である泰山や洞庭湖などの女神「娘娘(ニャンニャン)」であることが判明しました。 娘娘は「無神論」「唯物論」に染まった中国共産党政権への嫌悪感を示し、また「革命」を起こすべく長江や黄河で2匹の龍が暴れ、バッタが食糧を食い荒らしているという霊的実態を明らかにしました。 今回の天変地異は「天地創造の神」に抵抗する中国への明らかなる「天罰」であると確信し、幸福実現党は「自由・民主・信仰」を心から希求する14億人の中国国民を解放すべく、大中華帝国の崩壊を日本から推進して参ります。 土俵際の習近平国家主席、大中華帝国崩壊への序曲【前編】 2020.08.14 https://youtu.be/OlUenL4TeeE 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国で続く水害と三峡ダム崩壊の危機 中国で異常な気象現象などいわゆる天変地異が相次いでいます。 まず、揚子江(長江)流域の河川氾濫で大洪水が発生しています。 揚子江は中国大陸を西から東へ横断し、荊州から武漢、そして上海へとそそぐ、全長6300㎞、世界第三位の大きな河川です。 その中流域には世界最大規模と言われる三峡ダムがあり、5月から続く豪雨によって決壊寸前という衝撃的な状況になっております。 もし、三峡ダムが決壊した場合、約30億トンの土砂崩れが発生すると言われています。 その破壊力は長江中流域から東シナ海河口にまで至り、中国最大の経済都市・上海は完全に崩壊するとも予想されます。 そうしたダム決壊による壊滅的な被害を防ぐために、警告なしでダムからの放水を行ったようです。 しかし、決壊せずとも甚大な被害を免れることは出来ず、すでに中下流域には甚大な洪水被害が広がってしまいました。 もう一つ、中国には「黄河」という有名な河川がありますが、こちらでも今年第2号の洪水が発生しています。 今後も増水は続くとみられ、黄河沿いのダムではいずれもすでに氾濫警戒水位に近づいていると言われています。 中国当局によれば、今回の洪水によって22日までに27の省で被災者が4500万人以上、直接的な経済損失だけで1兆7,000億円に達すると発表されています。 しかし、中国政府の隠ぺい体質からすれば、実際の被害は約10倍以上ではないかと指摘する識者の意見もあります。 ◆「黄色角竹バッタ」と「クルマバッタモドキ」による蝗害(こうがい) また、天変地異の二つ目が蝗害(こうがい)、バッタ被害についてです。国連食糧農業機関(FAO)の最新情報によれば、アフリカからインドにかけてのサバクトビバッタの動きは一時的に鎮静化しつつあるようですが、別種のバッタによる中国での被害が本格化しています。 まず、ラオス最北部のポンサーリー州で発生したバッタで、「黄色角竹(きいろつのたけ)バッタ(Yellow Spined Bamboo Locust:YSBL)」という名称のバッタが、中国国境を越え、雲南省で大暴れしています。 7月末の段階で、既に雲南省の約9000haに被害が広がっており、現時点では森林地域の被害がほとんどです。イネ科の植物等を食い尽くす性質があり、稲作やコメの品種改良が盛んな雲南省にとっては大変危険な存在だと言えるでしょう。 雲南省では、万単位の人員と無人ドローンを駆使し、バッタを食い止めるのに躍起になっております。 それもそのはず、2年前にもこの「黄色角竹バッタ」がラオス、ベトナム等で大量発生、農作物に甚大な被害が出た経緯があります。一つの群れが数千万匹の大群で構成され、一日に人間300万人分の食料を食べ尽くすとも言われております。 また中国随一の穀倉地帯である東北部でも「クルマバッタモドキ」という別種のバッタが活発に農作物を食い荒らしており、アフリカ~インド・パキスタンを席巻してきた「サバクトビバッタ」侵入の可能性もいまだ否定はできません。 一般的には、暴風雨等の頻発によって、バッタの大量発生も促されるため、中国全土で起こっている水害は蝗害(こうがい)に影響を与えながら、中国に襲い掛かっているかのようです。 その他にも季節外れの雪、巨大な雹やあられ等、異常な事象は中国全土で起こっており、何らかの天意を感じざるを得ません。 (つづく) 周庭氏逮捕で米中「対立」から「対決」へ! 2020.08.13 https://youtu.be/_GwT-vEVWkA 幸福実現党党首 釈量子 ◆「国家安全維持法」の恐ろしさ 8月10日、香港の民主活動家で、「雨傘革命」のリーダーでもあった、アグネス・チョウ(周庭)さんが「香港国家安全維持法」違反の容疑で逮捕されました。 「国家安全維持法」は、6月30日、中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会で採択が行われ、同日に成立・施行(せこう)されました。 これは、中国返還後、香港に50年間、つまり2047年までは高度な自治を約束するとした「一国二制度」を反故にする決定でした。 香港の自由を叫ぶ民主派の活動は大きく制限されています。 たとえば、ネットで中国共産党の一党独裁を批判しただけで「政権転覆罪」です。「香港独立」を叫ぶと「国家分裂罪」です。 また、外国の政治家と面会をしただけでも、「外国勢力の干渉を手引きした」ということで、逮捕・投獄されてしまいます。 「国家安全維持法」の施行に対しては、各国から批判声明が出されましたが、真っ向から対立しているのが、アメリカのトランプ大統領です。 香港の自由を制限する中国の動きに対抗して、7月14日、香港に認めてきた貿易や渡航における優遇措置を撤廃する大統領令に署名しました。 さらに、香港の自治の制限に関与した個人や企業に制裁を科す「香港自治法」にも署名しています。 これによって8月7日に、アメリカ財務省は香港の自治侵害などを理由に、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を含む11人を制裁対象にしたと発表しました。 制裁対象となった人物は、米国内の資産が凍結され、米国人との取引が禁止されます。 アメリカがここまで厳しい措置に出る理由は、この法律が、香港に駐在する外国人や外国企業、団体も対象となっていること、さらには、香港に住んでいない外国人にも適用される規定があることです。 すなわち、この法律を放置することは、中国の覇権拡大と他国の自由の侵害、人権侵害を許すことになるわけであり、「地球的正義の観点」からも決して許されるものではありません。 ◆香港民主派狙い撃ちの意図 そもそも、アグネスさんは民主派政治団体のデモシスト解散後は主だった活動をしておらず、違反容疑の詳細は現時点では明らかになっていません。 それにも関わらず、最高刑を終身刑とする、同法違反容疑の逮捕が安易に行われたことは恐るべき暴挙です。 周庭氏など民主活動家たちを狙いうちにするほか、中国共産党に批判的な論調で知られる香港大手紙「アップルデイリー(蘋果日報)」の創業者のジミー・ライ(黎智英)氏をはじめ、民主派メディア関係者が多数逮捕されています。 これは、中国がナチス第三帝国と同じく、全体主義国家でるという証明に他ならないと思います。 ◆台湾をめぐる米中対立 もちろん、一連の民主活動家らの逮捕の背景には、10日にアザー米厚生長官が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談したことに対する、中国からアメリカへのけん制の意図があることは間違いありません。 アザー長官は、1979年の米台断交後に訪台した最高位の高官になります。アメリカは、台湾を独立国家として対等につき合おうとする姿勢をはっきりと示そうとしています。 つまり、アメリカは、「台湾は中国の一部」という主張と真っ向から対立し、香港の次に中国が狙っている「台湾」の自由を守ることを旗幟鮮明にしているわけです。 中国は、台湾への野望を阻むアメリカに対する反発を強めており、さらにアメリカ大統領選挙への介入も始めています。 ◆トランプのイメージダウンを狙う中国 警察が黒人を殺害したことを契機に大規模なデモが行われたことに対して、アメリカのオブライエン大統領補佐官は、このデモには、イラン、ロシア、中国が関与しているとの見解を示しています。 さらには、中国の動画投稿アプリTikTok (ティックトック)ユーザーが、トランプ大統領の選挙集会を妨害する目的で偽の電話番号を使って席を予約し、わざと空席をつくるという姑息な手にも出ています。 このように、中国はトランプ政権のイメージダウンを狙うための「戦略」を展開しており、米中のぶつかりあいは、すでに「対立」から「対決」へと向かっています。 ◆中国の横暴を許すな こうした中国の横暴を、日本はどうするのかです。 先般、アメリカのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が日本の親中派議員の存在を2年間かけて研究し、「日本における中国の影響力」と題する報告書を発表しました。 その中では二階幹事長や公明党も名指しされました。アメリカでも、日本の政治が中国の工作に切り崩される懸念を持っていることがわかります。日本は中国への「忖度政治」を終わらせなければなりません。 そして、アメリカやイギリスをはじめ、自由主義国と連携して、「香港国家安全維持法」の撤回に向けて圧力をかけるとともに、当面、過度な適用をしないよう、声を上げなくてはなりません。 大川隆法総裁は、「唯物論・無神論の国家が、世界帝国になることはありえない」と述べられ、先般も「中国の『自由化・民主化』は、これは『神の意志』であると思わなければいけない」(7月12日「信仰からの創造」)と語られています。 そして中国には古来より、政治が天意を離れた時に革命が起きるという思想もあるわけです。私たちも中国の内部から新しい時代を開く人物が現れることを心から祈りたいと思います。 日本は、自国の平和のみならず、世界の平和と安定のために、神の正義ともいうべき、「自由、民主、信仰」の価値観にもとづいて動かなくてはなりません。 「中国共産党からアジア、そして世界の自由を守る」という、世界のリーダー国家としての役割を果たしていきたいものです。 尖閣諸島に中国船100日以上連続侵入、「国家主権」とは何か【後編】 2020.08.05 https://youtu.be/SE3GNJ9biA8 幸福実現党党首 釈量子 ◆「国家主権」で重要な国防 前編で、国家主権の特徴を述べましたが、「国家主権」の問題として、もうひとつ重要なものがあります。それが、「国防」です。 日本では、国防を担うのは自衛隊です。自衛隊の最高指揮監督権は、内閣総理大臣にあります。 そして、防衛省が自衛隊を統括しています。国の安全保障は、「国家主権」の問題に当たり、国の専属事項なのです。 しかし、「国家主権」の問題である安全保障が、地方自治体の権力によって重大な影響を受けています。 たとえば、沖縄の辺野古基地移設問題です。一部のリベラル派は、辺野古について「憲法で保障している地方自治の原則に反している。憲法違反だ」と主張しています。 「国民全体の利益よりも、自分の市町村だけが良ければよい」と、「国力を弱め、国自体を外国の脅威にさらす」ことになれば本末転倒です。 ◆憲法9条の問題 日本は戦後「国家主権」について真剣に考える必要がなかったという面があります。つまり、憲法9条の存在です。 憲法9条は、「武力」や「交戦権」を放棄しているので、他の国から侵略を受けても、「自分の国を自分で守ることができません。 朝鮮戦争の時に1950年、吉田茂首相が「日本は軍隊を持たずに経済に専念し、安全保障はアメリカに委ねる」と決めてしまい、「安全保障に関しては主権を一部、アメリカに委ねている」というスタンスがずっと続いています。 尖閣諸島についても、「専守防衛の原則」を守るために、自衛隊は出動できず、海上保安庁が対応していますが、警察活動と同じ基準でしか武器が使えないので、非常に危険です。 ではどうするか。「自由の価値」を知る人たちが、国を守ることが大事だと思います。 そのためには、「何も判断することができず、主権の行使もできないような国」ではなく、「世界に対して義務と責任を負えるような大国になる」ことが必要です。 ◆「国家主権」を守る政府の責任 幸福実現党の大川隆法総裁は、7月18日に「いま、政治に必要な考え方」と題して次のように述べています。 「国民主権ということが、国家をバラバラにし、他国の植民地になるために使われるなら問題で、健全な意味でのナショナリズムは必要だと思います。ヒトラーみたいなナチズムみたいなままで行ったらいけないけれども、最低限、自分たちが平和に安全に暮らしていける、経済的にも最低限の生活ができるレベルまでの国家主権は、やっぱり当然持たなければならないし、それを侵害してくる、たとえば『尖閣は中国のものだ』次は『沖縄は中国のものだ』『対馬は韓国のものだ』といってくるかもしれませんけれども、こういうものに対して、いいたい放題言わすというのはおかしいことです。」 中国では、2億台もの監視カメラの設置や、AI技術と顔面認証システムなど今、「もっと完成したナチズム」が中国に現れています。 6月末の「香港国家安全法」を成立させた中国は、次は台湾を狙っています。尖閣海域に中国が出てきているのは、台湾への圧力にもなっています。 アジアにおける民主主義の先進国として、「自由・民主・信仰」の価値観を護り、アジア諸国、あるいは世界の諸国のなかに、同じ価値観を持つ国々を数多くつくっていくことではないでしょうか。 ◆「尖閣は日本の領土だ」と言い返すべき 6月22日、石垣市議会が「尖閣」の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決しました。これに対して菅官房長官は「政府としてコメントすべきでない」と言及を避けました。 尖閣諸島は日中国交正常化の時に「棚上げ」されましたが、「棚卸し」の時期を迎えました。日本政府は、「尖閣は日本の領土だ」と言い返すべきではないでしょうか。 尖閣諸島に中国船100日以上連続侵入、「国家主権」とは何か【前編】 2020.08.04 https://youtu.be/SE3GNJ9biA8 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国公船の尖閣連続領海侵入 今日は、尖閣諸島の領海侵入と「国家主権」について考えてみたいと思います。 中国公船による尖閣諸島周辺海域への侵入が、7月22日に連続100日を超え、7月30日(映像収録時)も連続記録を更新中です。 (※最終的には、中国公船は8月2日まで確認され、連続航行日数は111日。) 国際法上、「海」の場合、領土への「侵略」や「領空侵犯」とは違い、交易で行き来する経緯もあって、そのまま通り過ぎるだけなら問題はありません。「国連海洋法条約」で「無害通航権」が認められています。 しかし、海上保安庁の尖閣周辺海域によける中国船の動向によると、2012年9月11日に、尖閣諸島を国有化して以降、荒天の日以外、毎日のように接続水域や領海への侵入が続いています。 侵入の時間も、7月5日の約40時間と一回あたりの滞留時間は過去最長となり、国連海洋法条約「継続的かつ迅速」な航行(第18条2項)ではなく、居座っている状況です。 尖閣に現れる「海警局」の船も、2018年3月の組織改編で、海警局が、人民解放軍指揮下の「武警(武装警察部隊)」の傘下に入ってから、世界最大クラス1万トン級の巡視船などに大型化しています。 大型船は波が高くても平気で、76ミリ砲など武器の搭載も確認されています。6月の全人代では、「平時は軍と共同で訓練し、戦時は「中央軍事委員会」の指揮を受けるよう定められ、「軍との一体化」が着々と進んでいます。 ◆国家主権とは 尖閣について海上保安庁は「中国公船が我が国の主権を侵害する明確な意図をもって航行している」と説明しているのですが、「主権を侵害」とはどういうことでしょうか。 一般に、国家が成立するには、「国土(領土、領海、領空)」、「国民」、「主権」の「3つの要素」が必要とされます。 「主権」とは、「国土や国民を統治するパワー」「最高の権力」のことです。たとえ国民がいても、それを統治する「主権」という機能がなければ、国家としては成立しません。 日本では、「国民主権」という言葉は、社会科でよく習います。「日本国憲法の三原則」が、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」です。 憲法を勉強すると、真っ先に「主権を持っているのは国民だ」と教わるわけですが、「主権」それ自体の概念である「国家主権」について教わります。 憲法の教科書のように使われる芦部『憲法』」には、主権について (1)国家権力そのもの(国の統治権) (2)国内においては最高、国外に対しては独立であること (3)国政においての最高の決定権 という意味合いが書かれています。 ◆「国家主権」の特徴 「国家主権」として、最も代表的なものは、他の国との関係、つまり「外交」です。 例えば、「コロナウィルスの感染が拡大しているC国からの入国は受け付けない」ということを、日本国として決定し、実行することが出来ます。 この場合、C国がその措置にいくら反対しても、日本政府の決定に逆らえません。なぜかというと、これは、日本の国家主権の問題だからです。」 このように、世界のすべての国は、他の国の言いなりにならない、それぞれに独立した力を持っています。これが国家主権の性質の一つです。 もうひとつ、「国内において、最高の権力である」という意味があります。 日本国内には、様々な県や市区町村があり、それぞれに議会があり、地域の政治を決めていますが、「国家主権というのは、こうした地方自治体の権力よりも上位にある」ということが原則です。 「日本はコロナウィルスの感染が拡大しているC国からの入国は受け付けない」と国が決定します。 そこに東京都が、「国としては入国を認めないかもしれないけれど、東京都としてはC国からの入国を受け入れます」といっても、勝手に受け入れることはできません。 国家主権の及ぶ問題は、国としての専権事項であるので、地方自治体はその決定に従わなければならないのです。 このように、「国内において最高の権力である」というのが、国家主権のもう一つの特徴です。 (つづく) 香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ【後編】 2020.07.09 https://youtu.be/LrWt8Mr8FjU 幸福実現党党首 釈量子 ◆ナチズムの特徴を持つ中国 前編では、香港国家安全維持法によって香港がどうなるかを見て参りました。後編では、同法を別の角度から追及して参ります。 中国の「香港国家安全維持法」の恐ろしさは、第二次大戦のナチスドイツが持っていた「全体主義国家」の特徴が表れている点です。 全体主義国家とは、「国家のために人民・国民がある」と考える政治体制のことで、国家のため、全体のために「個人の自由」をすりつぶしていくような国のことです。 この「全体主義の起源」を解き明かしたのが、ハンナ・アレントという女性政治哲学者です。 実はこのアレントこそ、幸福実現党の創立者の大川隆法総裁の「政治思想の源流」です。 『大川隆法思想の源流 ハンナ・アレントと自由の創設』に、総裁の東大法学部当時の論文もそのまま収められています。 一般的に、宗教というと全体主義のように見えるのですが、その真逆で、全体主義に対抗する「自由の創設」を政治の理想と考えています。 アレントは、全体主義の特徴として、3点挙げています。 ◆全体主義の3つの特徴 まず一点目は、「秘密警察」です。 全体主義は、秘密警察あるいは特別警察のようなものがあり、国民を常に監視していることです。 中国ではインターネット上の監視、AIや監視カメラを利用した監視社会が出来ています。 今回の法律でも、「国家安全維持公署」を設置し、香港の監視を強めようとしています。 二点目は「強制収容所」の存在です。 政権を批判したら、逮捕・監禁して、物言わせない仕組みです。 ウイグルの収容所では100万人、あるいは300万人以上とも言われるイスラム教徒が信仰を理由に収容されています。 三点目は、「粛清」あるいは「虐殺」です。 時の政権に都合の悪い人たちは、十分な裁判手続きもないままに、抹殺していく。これも、チベットや内モンゴル、ウイグルで起きているものです。 香港でも、行方不明者が多数出ています。このように全体主義を見抜くことが可能だということです。 昨年の香港デモの際には、「China(中国)」と「Nazi(ナチ)」を組み合わせた造語「Chinazi(チャイナチ)」というフレーズが使われていました。 実際に、中国はナチズムと同じ特徴を持っています。香港は今、中国の全体主義に飲み込まれようとしているのです。 ◆チャイナチから香港の自由を守る 今後、中国は香港の繁栄を失い、経済的ダメージを受けるととともに、今後ますます国際的に孤立していくことは確実です。 アメリカは「香港人権民主主義法案」などを制定し、当局者への制裁、優遇措置の廃止などで、香港の人々の自由を守ろうとしています。 また、日本やドイツ、フランスなどの27か国は声明で、中国を香港の「一国二制度」が保障する高度な自治と権利、自由を害するものだと非難しました。 日本はさらに、延期になっている習近平国家主席の国賓待遇での来日も中止すべきだし、日本の産業界に対しても、政府は国内回帰の路線を促すべきだと思います。 最後に、今年4月に逮捕された香港民主主義の父と呼ばれる李住銘マーティン・リー氏とお会いした時、次のように語っておられました。 「どんなに自分の無力さを感じても、神は全能です。神は未来がどうなるかをご存知で、私たちを導いている。何も心配することはないと思っている。」 欧米では「経済よりも、また政治体制よりも、神や信仰心はその上にあるものだ」という価値観があります。 神になり代わろうとする中国の指導者が「野心の塊」だと見抜き、世界は人間の尊厳をかけて、力の支配に立ち向かうべきだと思います。 「自由・民主・信仰」という価値観を基盤とした政治を目指すこと、神は自由化、民主化を願っておられる、それこそが神の意思であるということを信じることが未来を拓くことにつながるのではないでしょうか。 香港国家安全法――ナチス化する中国から香港の自由を守れ【前編】 2020.07.08 https://youtu.be/LrWt8Mr8FjU 幸福実現党党首 釈量子 ◆香港国家安全法で、「香港の自由」は死んだ 6月30日、中国の全人代常務委員会で「香港国家安全維持法」が全会一致で可決・施行されました。 翌7月1日には早くも「国家安全法」違反で、10人が逮捕、違法集会などの容疑でも約360人が逮捕されています。 香港の代表的な活動家である黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏は所属する民主派団体「デモシスト」からの離脱を表明し、すでに香港から脱出した活動家もいます。 「香港の自由」は死んだに等しい状況です。 香港国家安全法の主な内容は、(1)国家分裂、(2)政権転覆、(3)テロ活動、(4)外国勢力との結託を処罰し、最高刑は終身刑です。 4つを犯罪行為としているのですが、いずれも定義があいまいで、「香港独立」旗の所持程度の非暴力的な手段でも逮捕されています。 香港の企業や外国人、香港外の犯罪にも適用され、香港在住の日本人や企業も対象に含まれます。 中国が国家安全維持公署を設置し、中国政府の出先機関として、「秘密警察」のような役割を担うと報道されています。 捜査では、通信傍受や盗聴が可能となり、捜査を名目に、監視・尾行・盗聴などやりたい放題です。 学校、メディア、インターネットなどの監督・管理も強化され、中国に批判的な書き込みや報道がなくなる恐れがあります。 また、国家安全の罪で有罪判決を受けた者は、選挙に立候補できません。これは9月に行われる「香港立法会選挙」に向けた布石と言われています。 香港国家安全維持法は香港の他の法律よりも優先され、個人の自由や人権よりも、中国共産党が理想とする社会の安全を優先することになります。 ◆香港の今後 この法律施行によって、香港は、どのようになるのでしょうか。 人や企業が、他の国へ移転する流れが強くなるのは確実で、すでに台湾や、旧宗主国のイギリスも、移民受け入れを表明しています。 香港に拠点を置く外国企業なども、香港脱出を検討しています。 1992年にアメリカ議会で成立した「米国―香港政策法」で、「中国製品に課している関税を香港には適用しない」といった、優遇措置がとられてきました。 中国は、香港を経由すれば関税がかからないので、製品をまず香港に持ち込み、そして香港から世界各地に再輸出することで、アメリカなどの中国に対する関税を回避することができたのです。 しかし、今回、アメリカが「香港人権民主主義法」などを制定し、当局者への制裁、香港の優遇措置が見直されることになり、「特別な地位」が失われます。 中国が利用してきた抜け道がなくなるということです。 また金融面では、中国は香港の金融市場を利用して外国資金を呼び込んでいました。 例えば、2004年に中国最大のインターネット企業であるテンセント、2018年にはスマホメーカーのシャオミ、2019年にはアリババが香港市場に上場しました。 現在、香港市場に上場している中国関連企業は約420社あり、その時価総額は、1兆5千億米ドルを超え、香港市場全体の3分の1以上を占めています。 今後、香港の金融機関がシンガポールなどに本社機能を移転する動きが加速し、香港の金融センターの機能が弱まれば、中国企業の資金調達は難しくなるでしょう。 さらに、アメリカは今後の制裁案として、香港ドルと米ドルの交換を停止することも検討しています。 このように、中国は「国家安全維持法」によって、香港の貿易・物流センター、金融センターとしての機能を失おうとしています。 コロナショックと相まって、中国経済に与える影響は甚大です。 後編では、中国の「香港国家安全維持法」について、また別の角度から見て参ります。 (つづく) サバクトビバッタの大襲来!――「世界の胃袋・中国」に食糧危機はくるのか?【前編】 2020.07.04 https://youtu.be/5mq_rM6ei98 (6月19日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆サバクトビバッタによる食糧危機は? 本年に入ってから東アフリカ・アラビア半島周辺で発生したサバクトビバッタは、6月にインドのパキスタンに国境を接したラジャスタン州やインド北部の街アラハバードまで襲来しています。 (ラジャスタン州に襲来するサバクトビバッタの様子は、上記収録映像の0:20〜0:44で見ることができます) アラハバードからネパールまではわずか200kmで、今まで移動してきた距離を考えれば、中国に到達するのも時間の問題です。 サバクトビバッタの大量発生について、国連食糧農業機関(FAO)は、「東アフリカで2,500万人以上、イエメンでは1,700万人が食糧不足に陥ると予測(6/19産経ネット版)」しています。 (※7月3日現在、南米でもサバクトビバッタが大量発生し、世界各地で猛威を振るっています。) 「世界的な食糧危機が起こるのか?」という点については否定的な見方があるのは確かです。 というのも世界の穀物生産は8年連続の豊作となっており、穀物の主要生産地である南北アメリカ、ロシア・ウクライナ等でバッタの被害は全く出ていないからです。 ◆極めて不安定な「穀物」の特性 しかしながら「食糧(穀物)」を国際市場における「商品」として捉えると、いかに不安定な資源であるかがわかります。 大豆・小麦・トウモロコシ等の穀物は「基礎食料」であり、国内での消費・備蓄が最優先されるという特性があります。 その上で余った穀物が輸出されるため、どうしても数量は限られてしまうのです。 こうした穀物国際市場の特徴は「薄いマーケット(thin market)」と表現され、国際市場に出る穀物は、生産量のたった「約7分の1」にしか過ぎません。 また、投機マネーの対象となり、穀物の主要輸出国と輸入国が共にかなり限定されるので、今回のコロナ禍での禁輸措置などの要因が大きく作用し、価格が急に「乱高下する」という特性があります。 ◆穀物の不作から起こった「アラブの春」 近年でも「穀物」の不安定性が、世界的な大変動の要因の一つとなりました。 それが2011年に北アフリカから起こった民主化運動「アラブの春」です。 2010年に発生したエルニーニョの影響で干ばつが発生し、小麦輸出国世界1位のロシア、世界5位のウクライナが「輸出しない」と急遽禁輸を発表したのです。 この2か国のみで世界に出回る約3割の小麦を輸出していた上に、世界4位のカナダも豪雨で輸出が減少したため、世界2位の小麦輸出国であるアメリカに買いが殺到しました。 小麦を十分に確保できなかった北アフリカ・中東諸国で主食となるパンの価格が急騰し、食べられない庶民の不満が爆発したのが「アラブの春」の直接の引き金となったのではないかという説があります。 その結果、革命によってチュニジアやエジプト、リビア、イエメンといった国々の政権が転覆したのです。 ◆食糧危機で革命が起きてきた中国 中国史を見ても、多くの王朝が食糧不足による飢饉がおこり、民衆の反乱によって滅亡に至りました。 チンギス・ハーンが興した元帝国も、その後に続いた明も食糧危機が革命の直接的な原因の一つとなりました。 現代の中国は世界最大の人口14億人を食べさせなければなりません。 その「世界の胃袋」と言える中国では、2019年時点で6億トン強の食糧生産を誇り、ここ21世紀に入って20年間で約2億トンもの増産に成功しています。 トウモロコシ、小麦といった2品目においてはアメリカに次ぐ世界第2位の生産量を誇ります。 ◆中国の穀物消費量と増え続ける国民食「豚肉」 しかしながら、ここ10年、中国は輸入に頼らざるを得ない状況になっています。その要因は中国の国民食「豚肉」の存在です。 トウモロコシ、小麦、大豆といった穀物は、豚の餌として必要不可欠です。 特に、自給体制が整わない大豆については、米国、ブラジル、アルゼンチンといった輸出国からおよそ1億トン弱も輸入している状況です。 実に中国は世界の穀物在庫の過半を占めており、世界の小麦の51.6%、トウモロコシの67%、コメの64.7%を中国が「備蓄」しています。 国連食糧農業機関(FAO)が適正と考える在庫率が約2か月分の消費量にあたる17~18%と考えるとその3倍以上で、驚くべき備蓄率を誇っています。 以上、中国の穀物事情を見てきましたが、後編では、中国で起こるかもしれない食糧危機と日本への影響とその対策を述べて参ります。 (つづく) 産業界の「米中戦争」――カギを握るのは日本と韓国【後編】 2020.07.03 https://youtu.be/XXe6Moz8R9c 幸福実現党党首 釈量子 ◆文在寅大統領の手中にあるサムスンの難しい状況 残りは韓国、サムスンの動向です。 中国も「米国によるサムスン取り込み」の動きに気付いており、自国内での半導体生産体制をしっかりと守ろうと試みています。 年内には、習近平国家主席が韓国訪問を進めるべく、文在寅大統領との電話会談があったという報道もありましたが、中韓のつながりというのは非常に注目されます。 現段階では、サムスンの技術がなければ、最先端の製品を一つも作れず、ファーウェイの天下は一夜にして終焉してしまう状況です。 一般的に、サムスンは親米派と考えられていますが、サムスングループの事実上トップとされるサムスン電子の副会長、李在鎔(イ・ジェヨン)氏が不正疑惑で逮捕されています。 検察に捜査を受けている状況のため、完全に親中・文在寅政権のコントロール下にあります。 そのため、米中のどちらの味方をするのか、企業としては決められない状態にあると言えるでしょう。 ◆「米中技術戦争」のカギを握る国・日本 こうした「米中技術戦争」の動向を左右しうる国が日本です。 まず、韓国との関係です。 サムスンが最新鋭の半導体を製造する際には、日本の超高純度のフッ化水素が必要不可欠で、これなしでは製造が止まってしまいます。 ところが昨年7月、軍事転用を防ぐ取り組みが甘いとして、日本は韓国への輸出管理を厳格化しました。 一部輸出も再開していますが、未だ全面的な解禁には至っておりません。 韓国は自国でもフッ化水素を製造できると主張していますが、日本ほどの高純度の製品は難しいようです。 そのため、韓国への輸出管理の強化は、「日米連携での韓国への圧力ではないか」という見方が有力です。 ◆決定的な弱点を抱える中国の半導体業界 更に、中国との関係です。 ファーウェイのスマホに、日本企業の部品が多用されていることは知られていますが、中国の半導体専門メディアの報道によると、タブレットを分解したところ部品の8割が日本製だとしています。 ファーウェイ梁華会長へのインタビュー内容によれば、「2019年の日本企業からの調達額が過去最高の1兆1000億円に上る」「日本のサプライヤーとパートナーに感謝を申し上げたい」と述べています。(Business Insider Japan) ファーウェイに半導体や電子部材を供給している日本企業は、公表されているのは11社ですが、実際は20社に及ぶとも言われています。 また前述の通り、中国は半導体の自前化を進めていますが、中国も韓国と同様に欠点があります。 「中国半導体のゴッドファーザー」とも呼ばれる、新興半導体メーカー芯恩会長の張汝京(リチャード・チャン)氏は、「中国の半導体産業にはいくつか欠点があり、特に材料と設備がサプライチェーンの中でも最も弱い」と述べています。 そして「半導体材料の国産化こそが、半導体全体の国産化の中でも、非常に喫緊かつ困難な仕事である」と中国が抱える決定的な弱点を明らかにしています。 ◆既に日米で持ち上がる6G 構想 つまり、現時点においてはサムスンもファーウェイも、日本の技術がなくては成り立たないということです。 しかし、米国の対中規制が強化され、前述の通り25%ルールの基準が10%に変われば、日本からの中国への輸出は困難になる可能性があります。 今後は、中国との取引による経済的なメリットは失われるばかりか、日本も米国から制裁を受けかねないとも言えます。 現在、5Gを一気に飛び越えて、6Gを構築しようという構想が日米の間で持ち上がっています。 実際、昨年10月にはソニー、インテル、が次々世代6Gの通信規格で連携するという日経新聞の報道がありました。 今のところ、2031年に実用化が見込まれていますが、もし6Gの目処が立てば、下位規格の中国を外すことが可能になり、日本がアドバンテージを握る「虎の子の技術」があるというのは非常に朗報です。 最後に、日本は韓国や中国との取引を続けて目先の利益を選ぶのか、それともアメリカとの連携を強化し、中長期の繁栄を選ぶのか、答えは明白です。 そのためにも政治サイドは、サプライチェーンの国内回帰の後押しをして、法人税の減税、未来産業への思い切った投資などを進めるべきです。 幸福実現党としては、日本の高度な技術を、人権抑圧ではなく、世界の自由と繁栄を守るために使われるような環境を整えていきたいところです。 産業界の「米中戦争」――カギを握るのは日本と韓国【前編】 2020.07.02 https://youtu.be/XXe6Moz8R9c 幸福実現党党首 釈量子 ◆トランプ大統領のG11構想の思惑とは…? 今回は「産業界における米中戦争の勝敗のカギを握るのは日本と韓国」というテーマです。 5月末、トランプ大統領から突如G11構想について、以下のような発言が飛び出しました。 「現行のG7の枠組みは世界の状況を適切に反映しておらず、極めて時代遅れだ。ロシア、オーストラリア、インド、韓国を招待して、G10またはG11にしたい」というものです。 この発言に大喜びしたのが、文在寅大統領の側近でもある李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使です。 李大使は「新たな世界秩序を形成・管理していくにあたり、参加できる招待状を得たのと同じ」。また、「韓国は(米中双方から)選択を強いられる国ではなく、選択できる国だという自負心を持っている」と、かなり不用意な発言をしてしまいました。 これに対しては、韓国国内からも「米中の確執が広がる敏感な時期に、外交的に不適切だ」という批判が出たほどです。 ◆韓国に踏み絵を迫る米国 もちろん、アメリカがG11構想を持ち出したのは韓国のご機嫌を取るためではありません。 狙いは「中国と韓国の引き離し」です。 G11構想に先立って、米国は、日韓を含む有志国とサプライチェーンの再編を推進する「経済繁栄ネットワーク(EPN=Economic Prosperity Network)」構想を表明しています。 EPN構想とは、次世代通信システム「5G」を含む、幅広い分野において、自由主義陣営でサプライチェーンを構築しようとするもので、要するに「反中経済同盟」です。 李駐米大使の発言の後、米国は韓国外交部と電話会談を行い、「経済繁栄ネットワーク」について説明して、参加を公式に要求したと言われています。 米国が韓国に対して「米国と中国、どちらを選ぶのですか?」と踏み絵を迫ったと見ることもできます。 ◆米国が中国と韓国を引き離したい真相 米国が韓国を引き込もうとする最大の要因は、韓国最大の企業サムスンの首根っこを押さえたいからでしょう。 米国は以前から、5Gから中国企業のファーウェイを外すよう、他国に迫ってきました。 なぜなら、このファーウェイが5Gを構築する上で外せないのがサムスンの技術だからです。 「7nm(ナノ)プロセス技術」という超細密な技術を持っているのは、現在のところ、台湾企業の「TSMC」と韓国の「サムスン」だけです。 この技術レベルの半導体がなければ、次世代通信規格の5GやAIは製造できません。 スマホが5G規格になれば、「超高速」「大容量」「同時多接続」となり、今度産業分野でも、IoTや自動運転技術などに拡大し、更に、安全保障分野、軍事での活用も見込まれています。 実際に、TSMCの技術を利用して製造した米国半導体大手のザイリンクスの製品は、米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35」などにも使われています。 要するに、TSMCとサムスンを中国に取られてしまうと、技術面で米国は敗北してしまうわけです。 ◆ファーウェイから距離を取る台湾企業のTSMC 昨年5月になされた米国での輸出規制によって、米国製品が25%以上含まれている製品は、自由に輸出できないことになっていました。 しかし、今後は規制が更に厳格化し、米国製品が10%以上含まれるものから禁輸対象となる見込みです。 この方針を受け、TSMCは、ファーウェイからの新規受注を停止しました。 その理由は、TSMCが米企業の半導体製造装置を使用しているためです。 更に、米国はTSMCに対して、軍事用半導体を米国内で製造するように要請し、より微細な5㎚プロセスの工場をアリゾナ州に建設するプロジェクトが進んでいます。 後編では、サムスンの動向から見て参ります。 (つづく) すべてを表示する « Previous 1 … 18 19 20 21 22 … 98 Next »