Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 海空で起きている米中の攻防(1) 2013.12.15 ◆「中国を刺激するな」 先日、弊党が都内で中国の「防空識別圏」設定に対する抗議の街宣を実施した際、「中国と戦争をする気か。中国を刺激するな」とのご意見をいただきました。 しかし、中国という国は、日本が刺激しなければ、何もしてこない国なのかと言えば、そうではありません。逆に日本が中国を刺激しているのではなく「中国こそが、日本を刺激している!」と申し上げたいと思います。 この機会にもっと視野を大きくし、今この国が置かれている環境をもう一度、しっかり見て認識して、日本の平和が如何に成り立っているのかを知っていただきたいと考えます。 ◆日本に伸びる中国の触手 2007年、中共海軍総司令官は、キーティング米国太平洋軍司令官が訪中した際、アメリカ側に「将来、中国と米国がハワイで太平洋を2分割して管理しよう」と提案しました。 その言葉通り中国は2009年より、西太平洋上の沖ノ鳥島周辺海域で海軍の軍事演習を実施、その規模は毎年大きくなり回数も増えています。中国は今後、同海域での軍事演習を定例化すると発表しています。 そして今年2013年、習近平はオバマ米国大統領との会談で「太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」と主張し、中国にも太平洋の海域を支配する権利があることをほのめかしたのです。 当然、西太平洋を中国が支配することになれば、日本は米国から中国の傘下に入ることになります。これは日本が実質的に中国の属国になることを意味します。 中国の一貫した主張は、日本列島からグアムを結ぶ第二列島線、つまり「西太平洋の海域の支配」を2020年まで完了させる――1987年に発表された「海軍発展戦略」に基づいたものです。 ◆西太平洋で中国三艦隊が合同軍事演習 さて今年、中国海軍は、10月末から11月初旬にかけて西太平洋海域で「北海艦隊」「東海艦隊」「南海艦隊」の中国海軍三艦隊が、初めて西太平洋で大規模な合同軍事演習「機動5号」を実施しました。 空では10月25日から3日連続して、爆撃機2機、早期警戒機型2機の計4機が沖縄県の沖縄本島-宮古島間の上空を通過、太平洋との間を往復飛行しています。 中国国営「新華社」によれば、この軍事演習にミサイル駆逐艦フリゲート艦3隻をはじめ10隻超の軍艦などが参加。赤軍、青軍に分かれた実戦に近い形の対抗戦などを繰り返し、敵潜水艦への攻撃を想定した対潜水艦演習も実施しています。 これは赤軍を中国で、青軍を日米軍と想定したものです。これを知れば「日本が中国を刺激しているのではなく、中国こそが、日本・米国を刺激している」ということが理解できるでしょう。 この時、日本では国会で「日本版NSC(国家安全保障会議)」が話し合われている最中でした。国会の最中に軍事訓練をぶつけてくるのは、いつもの中国のやり方です。 ◆中国の防空識別圏設定の背景 そして今度は、国会で「特定秘密保護法案」が話し合われている最中に日本の固有の領土である尖閣諸島上空に防空識別圏を設定しました。 中国は以下のように用意周到に順を追って防空識別圏を設定したことがわかります。 まず昨年12月、「軍の所属ではない国家海洋局所属の航空機」を初めて尖閣上空で領空侵犯をさせました。軍事ではない航空機を飛ばしたのは、日本の反応を見るためです。 もっと踏み込めると判断した中国は、今年9月に尖閣上空に「軍所属の無人機」を飛来させた上で、日本側から攻撃された場合は、「戦争行為とみなす」とすべては日本が悪いといわんばかりの脅しをかけました。 そして11月23日、中国の「情報収集機など2機」が日本の防空識別圏に侵入。中国の新華社によると大型偵察機2機を「哨戒機と戦闘機」が援護していました。(11/24毎日) こうして中国は、尖閣上空に「軍機でない国家海洋局の航空機」→「軍所属の無人機」→「哨戒機と戦闘機」を飛ばし段階的に軍事的圧力を高めて最終的に11月23日、尖閣上空に防空圏を設定したのです。 以上を見ても、日本が中国を日本を刺激しているのではなく、刺激しているのは中国の方であることがわかります。 それでも日本が中国を刺激していると認識するなら、それは中国がこれまで日本に対してしてきたことを何も知らないとしか言いようがありません。 もしくは、中国は何もしない善良な国家と誤認しているだけのことです。中国が善良な国家ではないことは、中国に侵略され自治区になったチベット、ウイグルの悲劇を見れば明らかです。その弾圧は今でも続いているのです。 中国の行動が、いかに危険かを国民に知らせ、啓蒙することは国民の生命・財産を守ろうとする政治家としての当然の努めであり、弊党の街宣は、それを行動に表したものです! 以上、次回は、中国の防空識別圏設定に対する日本の自衛隊の反応と米軍の対応を紹介し、日本の平和を脅かす中国の行動を更に明らかにします。 (文責・政務調査会 佐々木勝浩) 日本は『複眼思考』でアメリカ外交を考えるべき ~カナダ・メキシコ外交のすすめ~ 2013.12.14 ◆中国の防空識別圏設定への対応から見るアメリカの弱腰 アフガニスタン、イラクでの戦争に追われる間に、極東における中国の台頭を許したという反省から掲げたはずのアメリカの「アジア回帰」に明らかな齟齬(そご)が出始めています。 それが露呈したのは、先日極東の首脳と会談を行ったアメリカ・バイデン副大統領の中国による防空識別圏設定への対応です。 安倍首相との会談ではバイデン副大統領は、日本の撤回要求を拒み、習近平国家主席との会談においては懸念を表明したものの、バイデン副大統領は、 「(米中の協力関係は)信頼に基づくものではなければならない」と述べるに留まり、中国の強硬路線を止めることは出来ませんでした。 この対応に米ウォール・ストリート・ジャーナルではオバマ政権を「弱腰」と批判し、この姿勢が中国のさらなる軍事的な脅威を誘発すると警告しています. ◆日本の期待に反して、中国への踏み込みが甘すぎるアメリカ その弱腰姿勢には、まずトップであるオバマ大統領の個人的資質に依るところが大きいと言えるでしょう。 オバマ大統領に近しい人々は彼のことを「敵に優しく、味方に厳しい」という評価を一様にしております。 シリア問題においては、大統領特権を持ちながらも攻撃に当たって議会の同意を求めるという自らの権限を矮小化するような愚挙に出て、側近たちを驚かせた経緯もあります。 また、シリア内戦やイランの核開発など中東の動きが活発で外交上の余力がなく、もっぱらワシントンでは「中東・イスラム」が主要なテーマとなっており、既に「アジア回帰」は有名無実化していることも「弱腰」につながる事実として挙げられるでしょう。(参考:宮家邦彦のWorld Watch) それ以外の異なる視点として、アメリカは伝統的に、隣国同士に適度な緊張関係をもたらすような「力の均衡(バランス・オブ・パワー)」を作りだし、結束させない外交努力を行って来たという点です。 歴史的に見ても、明治維新以降、アジアにおける政治バランスが日本一極に傾くことを恐れて、戦前のアメリカは中国を支援してきた経緯があります。 戦後においても、中国との歴史問題や韓国との従軍慰安婦問題など、根拠がないにもかかわらず、アメリカが主導的にそうした対立軸を作り出すことで、極東が安定しないように誘導してきたと言えます。 特に安倍政権が発足してから、自虐史観からの脱却を訴え中韓両国と歴史認識を巡って対立していますが、こうした背景から「日本の右傾化」が進行していると警戒するアメリカの政府筋、メディアや識者は決して少なくありません。 日米同盟の重要性がようやく日本国内に浸透してきたのに反して、逆に風当たりが強くなり、「敵に優しく、味方に厳しい」時代が訪れる可能性も考えられます。 ◆アメリカの両脇を抑える「攻めの外交」を 日本にはもう一段、日米関係を刺激し、活性化させるような「攻めの外交」が必要だと考えます。 その一つの外交的アプローチとして、逆にアメリカの隣国、カナダやメキシコなどと更に緊密な外交関係を築くことを提案したいと思います。 カナダはアメリカと地理的に近いことから政治経済面でアメリカとの共通性が強く、NATOの加盟国として冷戦時代を含めてアメリカと共通の安全保障政策を確立し、軍事的な一体性が強いと言えます。 一方で、北ベトナム空爆への批判やイラク戦争への参加拒否など、アメリカに対して堂々と「反対意見」を言える国とも考えられます。 また、メキシコはアメリカとの戦争で過去に大きな敗北を喫した経緯もあり、対米感情は微妙ですが、経済的な結びつきは非常に強く、世界第15位の経済規模を誇っています。 今後も安定した人口増加が予想され、「100年後にはアメリカと覇権を争う」と予測するシンクタンク(ストラトフォー)もあるぐらいです。 共に西半球では有数の産油国で、日本にとっては高すぎる原油の中東依存を軽減し、シーレーンリスクを負わない点がエネルギー安全保障上大きなメリットであると言えます。 実際に9月には安倍首相もカナダを訪問し、「シェールガス」の輸出協力などで合意しています。 また、両国とも地続きのため、アメリカ本国との人的交流も非常に盛んな点も、カナダ、メキシコ両国との外交進展がアメリカへの大きな影響力を及ぼすと考えられます。 特に、アメリカ国内におけるヒスパニック系人口は2010年で5050万人(16.3%)おり、2050年にはアメリカ国民の30%を占めると言われております。そして、その内の6割以上がメキシコ系移民と言われており、アメリカ国内の世論形成において大きな潜在的な力を持っていると考えられます。 ◆日本は「複眼思考」でアメリカとの関係を考えるべき もちろん、今の日本の国益を考えた時に大前提は「日米同盟の堅持」であり、アメリカとの良好な関係を保ち続ける努力を最大限に行うことです。 その一方で、前述したように、世界の警察を降りたアメリカの国力低下や、極東でも力の均衡を取ろうとする外交手法から鑑み、いつまでもアメリカをアテにせず、自主自立できる安全保障体制の確立を安倍政権は急がなくてはなりません。 更に、「日米関係」に刺激を与え、活性化させる外交政策として、アメリカの両脇であるカナダとメキシコをしっかりと押さえることです。 奇しくも両国ともTPP参加国であり、今後日本との自由貿易の幅が格段に増加することは間違いありません。外交においては「複眼思考」が必要不可欠だと言えます。 長期的スパンで見れば、アメリカとの関係がいつ緊迫化するとも分かりません。その時に、この両国との良好な関係は日本を守る大きな武器となり、盾となるはずです。 (HS政経塾第1期生 城取良太) 【参考文献】 「国家の気概」 大川隆法著 「アメリカはいつまで日本を守るか」 日高義樹著 「いつまでもアメリカをアテにするな!」 田母神俊雄著 「100年予測」 ジョージ・フリードマン著 マスコミは、国民の「知る権利」への奉仕を怠ってはいないか 2013.12.11 ◆「強行採決」との見方は民主主義の否定ではないか。 日本では、「特定秘密保護法」の国会成立に関して、マスコミが国民世論を煽動して大きな運動となっています。 先週の参議院での採決にあたり、あたかも安倍政権が国民の意思を無視した判断をしているかのような報道が続いています。 現代は、憲法に基づき、国民により選出された国会議員の多数決によって法律の制定が決まります。 そうした意味では、マスコミにおいて「強行採決」という言葉が行き交っている現状をみる限りでは、本当に民主主義を認めているのか、疑問を抱かせるものがあります。 確かに国民が大規模なデモを行い、その反対の意思を表明しなければならない時もあるかもしれません。 しかし、今回の報道や国会周辺の「デモ」を見る限り、かつて1960年、自民党岸内閣の元での安保改定の時に、詳しい内容も分からず「安保反対」と叫んでいた人たちに状況が似ていないでしょうか。 民主党政権の時には、選挙の折に掲げていた政策が180度異なるという異常事態がありましたが、現在の安倍政権においては、元から国防強化の方向は明確に掲げていました。決して民意を裏切ったわけではありません。 繰り返しになりますが、今回の採決は、日本国憲法に基づいて国会議員の多数決によって決まったのです。 そして賛成をしたのは、これまでの国政選挙において国民から選出された議員であるのです。マスコミは民意を否定しているのでしょうか。 ◆国民が知るべきことは多い 今回の法案成立に関して、マスコミの多くは「国民の知る権利」が損なわれる、との報道が続きました。なるほど、確かに現時点において、国民には多くの知るべきことがあります。 たとえば、中国がなぜ、尖閣諸島を含む空域を「防空識別圏」としているのか。また、なぜ中国は核ミサイルを造ってもよく、日本は原子力発電施設ゼロを目指さなければならないのか。 なぜ、中国は尖閣や沖縄を「核心的利益」と言い放っているのか。これらの事は、日本国民の生命・財産にかかわる大切なことです。しかし、この事について、マスコミは事実を広く伝え、警鐘を鳴らそうとしているでしょうか。 ◆北朝鮮の実力者失脚の理由は何か また、喫緊のテーマとして国民が知るべきなのは、北朝鮮の実力者といわれた張成沢氏の失脚であります。 張氏は、金正恩氏の叔父にあたり、現在、北朝鮮の実質的なナンバー2として知られていました。張氏が、去る12月8日の政治局拡大会議において、全役職から解任し、党から除名される事となりました。 大変珍しい事に、テレビでは、張氏が連行される様子を画像として放送しており、金正恩氏が今回の更迭劇に対していかに強い影響力をもっていたのかを伺うことができます。 公の発表では、「党の決定に従わなかった」「女性関係などの乱れ」をその理由とあげていますが、今回の事件はいうまでもなく、日本としても重要な事であります。 なぜなら、朝鮮半島情勢は、大きな緊張が続いており、軍事的な動乱が再び起こる可能性が排除できないからです。 この国は、共産主義社会で、その国民の言論の自由が妨げられている社会でありますが、金正恩体制となってから2年が経過しようとしている中、独裁体制が強化される流れがはっきりしてきました。 特に今年の4月には核保有国をほのめかし、国際社会でも大きな存在感を示すことになりましたが、今後、どのような国家戦略を持つのか、今回の張氏失脚について、日本のマスコミの方々に対し、国民の「知る権利」への奉仕を求めるものであります。 ◆根拠のない風評に基づく「河野談話」白紙撤回への運動に協力を! 以上のように、私は日本のマスコミに対して、国民の知る権利への奉仕を強く求めるものでありますが、幸福実現党は、今「日本の誇りを取り戻す」運動として、「河野談話白紙撤回」を求める署名活動を進めています。 河野談話とは、いわゆる「従軍慰安婦」問題について、日本政府が公式に認めたかのような印象を与えるものでありますが、歴史的事実として根拠のない風評を公式見解としたものです。 先日、産経新聞がこのことを大きく取り上げましたが、他のマスコミは沈黙を守ったままで、国民の知る権利が大きく損なわれています。 詳細には、幸福実現党ウェブサイトにてご覧いただけます。 幸福実現党特設サイト http://info.hr-party.jp/2013/2524/ 多くの日本国民の知る権利に奉仕するため、この事実を伝え、日本が決して悪い国ではなく、世界の繁栄を創造していく潜在力をもっている素晴らしい国家であることを、確認してまいりましょう。 どうか、皆さまのご協力をお願い致します。 (文責・政務調査会チーフ 小鮒将人) 「特定秘密保護法」成立!日本の「自由」は守られた! 2013.12.06 ◆特定秘密保護法成立! 6日深夜、国会前に法案の採決に反対する人々が多数集まる大混乱の中、「特定秘密保護法案」の採決が参議院で行われ、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立しました! これにより、防衛・外交・スパイ活動防止・テロ防止の4分野の「特定秘密」を漏えいした公務員、民間人は最高10年の懲役を科されることになりました。 幸福実現党は、これまでもマニフェスト等において、同法と同趣旨の「スパイ防止法制定」を強く訴えて参りました。 同法への反対の声が強まる中、幸福実現党の役員・候補予定者は日々、街頭・駅頭に立ち、同法への賛同を力強く訴えて参りました。 幸福実現党の支援者の皆様の熱心な号外配布活動等もあり、日を追うごとに同法への国民的支持が高まり、同法成立に貢献することができました。 幸福実現党が同法の制定を強力に推進して来た背景には、中国の日本侵攻が迫る中、「情報一つで国が滅びる」危機感があったからです。 ◆活発化する中国のスパイ活動 カナダ連邦警察は12月1日、同国海軍の機密情報を中国に漏洩しようとした疑いで、カナダ人海軍技師1人を逮捕しました。(12/2 AFP) 逮捕されたのはトロント在住の中華系移民で、監視船やフリゲート艦、補助艦艇、科学調査艦、砕氷艦等の詳細情報を入手していました。 また、2011年には、米国から購入した軍事通信システム関連の機密情報を中国に提供したとして、台湾陸軍の少将が逮捕されています。(2011/2/12 レコードチャイナ) 昨年5月には、在日中国大使館の一等書記官が日本国内でスパイ活動をしていたことが報道されました(2012/5/29 産経)。 日本及び世界各国で中国がスパイ活動を活発化させていることは明らかです。 ◆戦局の命運を決するスパイ活動 中国共産党は、孫子の兵法の「成功の衆に出ずる所以の者は、先知すればなり(戦果を上げる者は、事前に情報を知っている)」を戦略の指針としています。 実際、スパイ活動によって、戦局の命運が決することは多く、「一人のスパイは一個師団、あるいは十個師団以上に匹敵する」と言われています。 例えば、日本で活躍したソ連のスパイであるゾルゲの働きによって、日本軍の極東ソ連への侵攻計画は無いと確信したスターリンは、安心してソ満国境に配備された精鋭部隊「シベリア軍団」をモスクワ前面に移送しました。 「シベリア軍団」40個師団75万人の援軍がなければ、ソ連はドイツ軍に勝てなかったと言われています。戦局が大きく変わった瞬間です。 ◆「スパイ天国」日本 現在、日本の機密情報は「ダダ漏れ」状態で、海外から日本は「スパイ天国だ」と言われています。その理由は、スパイ活動に対する罰則規定の甘さにあります。 従来、国家公務員が「知り得た秘密」を漏えいした場合、違反者は1年以下の懲役にしかなりません(※自衛隊法により「防衛秘密」漏洩は5年以下の懲役、「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」に関する事項は10年以下の懲役)。 スパイ行為は「国家の存亡」に関わる犯罪であり、従来の刑罰は「守るべき法益(=国益)」を鑑みると、あまりにも軽すぎました。 ちなみに、2010年、イラクに駐屯中だった米海兵隊の情報分析アナリスト、ブラッドリー・マニング兵は、検察から懲役90年を求刑され、現在、35年の実刑判決が言い渡されています。 特定秘密保護法の制定により、罰則は最高で「懲役10年」となり、従来より重くなりますが、これは他の主要国と同程度であり、米国(最高刑死刑)と比べると、むしろ「軽い」と言えます。 ◆特定秘密保護法は「自由」を侵害しない 左翼・マスコミは同法が「知る権利」「報道の自由」を侵害するとして、強力な反対活動を続けて来ました。 「秘密の対象範囲が曖昧」という批判もありますが、同法は明確に「秘密」の範囲を「防衛・外交・スパイ活動防止・テロ防止」の4分野に「特定」しています。 特定秘密を列挙した別表に「その他の重要な情報」の文言が「拡大解釈の恐れあり」とする批判もありますが、同法の趣旨(「我が国の安全保障に関する事項のうち特に秘匿することが必要であるもの」)を超えることは許されず、拡大解釈の恐れはありません。 憲法学者の百地章氏が指摘するように、同法の規制対象は「国民の生命・安全・財産」を守るための「国家の機密」であり、時の政権にとっての利益でしかない「政府の秘密」ではないことを知るべきです。 ◆特定秘密保護法は「防衛強化」の要 安倍首相は同法を日本版NSC(国家安全保障会議)を機能させる手段として位置づけ、「秘密厳守は大前提。どうしても必要だ」と強調しています。(10/25 産経) 防衛省幹部も「機密情報をもらう側の防犯対策がしっかりしていないと、提供する米国などから信頼してもらえない」と指摘。日米同盟強化のためにも、同法成立の意義は極めて大きいと言えます。 大川隆法総裁の公開霊言「『特定秘密保護法』をどう考えるべきか─藤木英雄・東大元教授の緊急スピリチュアルメッセージ─」で、刑法学者の藤木英雄氏は「国民の生命・安全・財産、領土・領空」の観点から同法の必要性を指摘されています。 今回、成立した「特定秘密保護法」は「国民の生命・安全・財産」という最も重要な人権を守る「自由の砦」であるのです。(文責・佐々木勝浩) 中国の防空識別圏問題への一考察(2) 2013.12.04 《日米関係にくさびを打ち込む》 オバマ大統領が習近平に軽く見られた結果が、今回の防空識別圏問題の背景にあると言えます。従って、今後さらにどこまで踏み込めばアメリカは出てくるのか?中国は、その出方を見定め、「日本を守る米国の本気度」を試そうとしてくることは間違いありません。 そして強気に出る中国の前にアメリカが逃げ腰であった場合、日本との信頼関係を揺さぶり、日米同盟に亀裂を入れようとの、したたかな戦略も感じ取れます。 ◆アメリカの反応、思惑、戦略 そういった立場のアメリカにとって、中国になめられることは許されず、中国に強い懸念を伝えたことは、当然の反応でありましたし、ケリー国務長官らが中国を非難し、「この地域における米軍の軍事作戦に、一切変更はない」と警告を発せざるを得ませんでした。 尖閣諸島が攻撃された場合、米国は日本の救助に出動することを表明はしています。しかし、小さな不毛の岩礁を守るために米国人の命を危険にさらす覚悟が、オバマ大統領に本当にあるのだろうか?このことを中国も疑っています。 米国務省のサキ報道官は11月29日の談話で、「中国が設定した防空識別圏を米国の民間航空機が通過する際、中国当局に飛行計画書を提出するよう米国の航空各社に求める」としました。 米軍は今まで通り、軍用機の同空域飛行には強気である一方、アメリカ民間機への対応は、あきらかに弱気です。 オバマ大統領の悩める姿が目に浮かぶようですが、彼の優柔不断で弱い性格が、中国に大きな付け入る隙を与えている現実に、私たちは恐るべき事態が迫っていることを肝に銘じるべきです。 ◆中国軍の実力 では、中国はなぜ、今ごろになって、防空識別圏の設定に動いたのでしょうか。軍事評論家の意見には、「空軍の能力が育ってきたことが大きい」との意見が目立ちます。また空中給油機の運用で近年、活動できる空域が広がってきたほか、長時間、飛べる無人機の配備も進んでいます。 しかし、中国は11月26日、事前通告なしにやってきた米戦略爆撃機B52の飛行は妨げなかったし、その後も自衛隊機や米軍機に立ち向かってきた様子はないようです。 中国側は、当面は防空識別圏を緩やかに運用するにしても、空軍力が増すにつれ、外国機を閉め出す危険は充分にあります。 特に不気味なことが、中国軍の無人機の動向です。中国による防空識別圏の設定の2日前の11月21日、中国はステルス無人攻撃機「利剣」の初飛行を行いました。この詳細のスペックは明らかではありませんが、航続距離の点で優れていればやっかいです。 今後、これらステルス無人機を随時、空域巡回させ、場合によっては、尖閣上空を領空侵犯して、今まで以上の挑発をする可能性は高いと思われるからです。 ◆日本の対応 日本政府は10月、領空侵犯した無人機が警告に従わない場合には撃墜もあり得るとの方針を固めた。 ・これに対し中国の報道官は、「一種の戦争行為であり、われわれは果断な措置で反撃する」と強調した。(2013.10.26 共同) ・ところで、中国軍パイロットの年間飛行時間は、自衛隊パイロットの半分程度と推測されている。年間飛行時間は、パイロットの技量の決定的な要素であり、現状では、日本は中国軍機に圧勝するだろう。しかも中国軍パイロットは、自国領土から遠く離れたところでの迎撃経験がほとんどなく、防空識別圏に現れた他国軍機にどう対処すべきか経験不足と思われる。 ・これらのことは、逆に言えばパイロットの未熟な判断で、不測の事態に発展する危険性が潜んでいることを意味し、中国が主張する防空識別圏内での中国軍機との遭遇は、大きな不安材料であることは間違いない。 ◆中国の動き これらを念頭に、中国軍の立場で今後の「イフ」の一つを考えてみたいと思います。 Q1.中国軍が尖閣上空に無人機を飛ばし領空侵犯した場合、自衛隊は撃墜出来るのか? 【1】自衛隊による撃墜のシナリオ→中国に反撃の口実→中国軍戦闘機や更なる無人機が尖閣上空を領空侵犯し、尖閣上空の中国支配が既成事実化する。 【2】撃墜しないシナリオ→中国軍戦闘機や更なる無人機が尖閣上空を領空侵犯し、尖閣上空の中国支配が既成事実化する。 どちらでも中国が尖閣上空を支配できるシナリオです。 ◆日本は領空に侵入した中国無人機の撃墜を想定せよ しかし、日本の対処が適切ならば、これは充分に阻止できます。中国人は基本的にメンツを重視するため、万が一、無人機が撃墜されたら面目まるつぶれになるため、おいそれとは無人機を領空侵犯させては来ないでしょう。 従って、日本はかならず撃墜するとの決意を中国にハッキリとしておくことが重要で、これにより中国軍は思いとどまる可能性が高いと考えます。 また、万が一、無人機を領空侵犯させ、その結果、撃墜された場合、そのメンツを保つには、中国軍機が反撃し、自衛隊機を撃墜しなければなりませんが、前述の通り、自衛隊のF15に、ほとんど勝てる見込みはありません。 中国はもっとメンツが丸つぶれになるだけです。このメンツ丸つぶれは、習近平体制を揺るがすに充分な破壊力があるかもしれません。従って、日本は、中国軍を恐れるべきではありません。 その前提には、中国軍機に対して、日本の尖閣諸島を守る覚悟、一歩も引かない決意を示すことが、中国の侵略を断念させ、東シナ海の平和を保つ方法であると考えます。(文責・岐阜県本部副代表 河田成治) 中国の防空識別圏問題への一考察(1) 2013.12.03 ◆中国の非常識-防空識別圏の悪用 防空識別圏の設定自体は珍しいことではありませんが、中国の動きは異常としか言いようがありません。 周辺国との事前調整もなく、唐突に日本と重複する空域を設定したばかりか、日本固有の領土である尖閣諸島をも含めたことに加えたことです。 そして、同空域に入る航空機への中国政府への通告義務を課し、さもなくば「防御的緊急措置を取る」と脅しています。 最大の問題は、中国が防空識別圏を「管轄権が及ぶ空域」つまり「縄張り」と考えていることで、これは中国軍機が「巡視飛行」と表現したことからも明らかです。 さらには、中国の空軍報道官の談話として伝えたことには、「防空識別圏内での巡視飛行を常態化させていく」とも強調しているようです。これは、中国の非常識とアジア侵略の野望を、世界に示す証拠と言えます。 そもそも中国には、防空識別圏を「縄張り」と考えることへの確信犯的な間違いがあります。我が国も防空識別圏を設定していますが、あくまでも我が国の領空を護るために、その前方で警戒ラインを想定しているに過ぎません。 また自衛隊機によるパトロール飛行も行っていますが、その目的は空域のパトロールではなく、海上の不審船などへの警戒監視が目的です。しかし中国の航空機は、空域を支配するかの振る舞いであり、国際的非常識かつ、力ずくで支配圏拡大をねらった、前近代的な思考であると感じるわけです。 ◆なぜ、中国は防空識別圏の設定に動いたのか? 《制空権の獲得》 【1】戦闘では、制空権が勝敗を決します。従って、第1列島線の完全内海化ためには、上空の制空権が必要であり、その布石が防空識別圏の設定です。 【2】従って、今後、台湾や南シナ海方面にも制空権確保を狙った、防空識別圏の設定は充分あり得るシナリオです。 【3】制空権の確保は、空および海上からの占領を容易にするねらいがあります。特に尖閣上空の制空権が中国に落ちれば、自動的に尖閣占領が完了したのも同然となります。 【4】次に太平洋へのルートづくり。沖縄本島~宮古島間を通って太平洋に出る中国海軍のエアカバー(航空支援)として空軍の航空機が必要であり、防空識別圏の設定によって、中国の通り道として世界的に認めさせる意図があります。 《日米の情報監視を阻む目的》 日米は東シナ海においても中国軍への監視を続けています。例えば、海上自衛隊は高性能の対潜哨戒機P3Cを東シナ海でパトロールさせ、中国潜水艦の動向を日夜追っています。 また、尖閣上空のレーダー監視の穴が指摘されてからは、米軍と共同して、E2Cなどの空中警戒(管制)機を飛行させ、米軍はさらに中国の沿岸近くまで入り込み、電子偵察機や無人偵察機を使って、情報収集にあたっています。 特に高高度を飛行できる無人偵察機(グローバルホーク)を使うことで、中国内陸部の軍事施設などを探れると言われています。 防空識別圏の設定は、こうした日米の監視活動を阻止するねらいがあります。中国軍が日頃の行動を情報収集され、部隊能力や軍事作戦が筒抜けになる危機感を持ったとしても不思議ではありません。 特に、沖縄本島~宮古島間を通って、太平洋に進出する中国軍艦船や潜水艦のルートの解明などは、有事の中国艦隊の行動を推測できる重要な手がかりを日米に与えてしまうことになるからです。 《対アメリカ戦略-足元を見られたアメリカ》 経済的没落の危機にあるアメリカは、中国との全面対決を望んでいません。さらにオバマ政権の外交姿勢は「世界の警察であることを止める」方向へ進んでおり、シリアへの軍事介入中止は世界の失望を招いてしまいました。 またイラン核開発阻止においても、北朝鮮の二の舞となるであろう不毛の多国間協議へと逃げ込む姿勢を見せています。そんなオバマ大統領にとって、中国の防空識別圏問題は頭の痛い問題であろうことは間違いありません。 中東での問題が未解決のまま、中国とも事を起こすのは避けたいはずであるし、かといって、日本がアメリカ離れを起こすような事態だけは避けなければいけないからです。 しかし、米国が「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象」だと明言して、中国に対抗する意思を示してはいますが、中国の強気の出方を見る限り、尖閣問題においては、アメリカの抑止が機能しているとは言いがたいところもあります。 要するにアメリカの外交自体が、中国に対して協調主義的な政策を取っており、ライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も、最近のワシントンでの講演で「中国とは大国関係の新たなモデルを模索している」と、批判を避けているように、アメリカは完全に足元を見られています。 《明日につづく》(文責・岐阜県本部副代表 河田成治) 「特定秘密保護法の是非 ~日本の「自由」を守るのはどちらの選択か~」 2013.11.30 ◆反対意見続出の特定秘密保護法案 今国会で成立が見込まれている特定秘密保護法への反対意見がマスコミ界はもちろん、法曹界や言論界などからも続出しています。 日本弁護士連合会(以下、日弁連)では26日、山岸会長が日弁連のホームページで「同法案が国民の知る権利を侵害する危険性を有しており、廃案にされるべき」と述べ、12月1日にはJR新宿駅西口において「特定秘密保護法案に反対する緊急街頭宣伝」を主催しております。 また、ジャーナリストの田原総一郎氏や鳥越俊太郎氏なども、11月下旬に同法案に反対する集会に130名以上を集め、廃案を求める要請文を政府に提出したと言われております。 国内と同様、法案可決を歓迎するアメリカを除いた、海外メディア各社も「『知る権利』と『報道の自由』を侵害しかねない」という国内世論の懸念を各国で報じています。 そんなメディアの報道の影響を受けてか、安倍内閣支持率は先月と比べ、2.8%下落し、57.9%に高止まりしております。 ◆特定秘密保護法によって比較すべき法益とは? 特定秘密保護法とは、日本の安全保障に関する情報(防衛、外交、スパイ活動、テロの4分野)のうち「特に秘匿する必要があるもの」を「特定秘密」とし、取り扱う者を適正な評価で規制し、その秘密を漏えいした場合の罰則等を定めた法案です。 一つ目のポイントは「守秘義務違反の厳罰化」であり、現在の国家公務員法においては懲役1年以下、罰金50万円以下であったものを、「特定秘密」を漏えいした公務員に対して、懲役10年以下とした点です。 二つ目のポイントは「秘密を取得する側も罰則対象となる」ことであり、今まで自衛隊法、国家公務員法でも、特定秘密を取得する側への罰則規定がなく、国際社会においては「非常識」と言わざるを得ない状況でありました。 同法案の制定によって漏えいした者と同様、懲役10年以下の罰則に処することができるようになります。 前述したように、世論では特定秘密保護法への懸念が高まっているようですが、科学的根拠のない「脱原発」運動のように、情緒論や空気感に支配された軽挙妄動は慎まなければなりません。 同法案が本当に国民の「知る権利」を奪うのか、または同法案なくして「日本の安全保障体制」を守ることができるのか、どちらの法益を守るべきであるのかを冷静に比較衡量していく必要があります。 ◆特定秘密保護法は本当に国民の「知る権利」を奪うのか? 「知る権利」とは憲法21条で保障される表現の自由の延長線上で認められている権利でありますが、特定秘密保護法によって「知る権利」を侵害するかどうかには2つの観点から疑義を挟まざるを得ません。 第一に、国民の「知る権利」を保障する法律として、すでに「情報公開法」も制定されているという点です。 一方、特定秘密保護法は「公務員の特定秘密へのアクセスを制限する法律」という目的があることを忘れてはなりません。 すなわち、官僚組織内において、防衛や外交など極めて機密性の高い情報を適格な公務員にのみアクセスを許可し、漏えいした場合は厳罰に処するというものであり、どんな会社組織などでも「トップシークレット」があるように、元々国民が知りようもない情報への取り扱いを定めているものなのです。 第二に、既に同法案においてマスコミの「報道の自由」への配慮もされているという点です。 同法第22条では「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」と書かれており、国際社会から見ても極めて穏当で、常識に適ったものであるのです。 同法案をもって、マスコミ各社が「知る権利」の侵害と主張するのであれば、「知る権利」には「公平性の担保」が前提であることを認識しなければなりません。 特に歴史認識や原発問題などを巡って、著しい偏向報道をすることで、国民の「知る権利」を損なっていないかを見直すべきであります。 ◆特定秘密保護法なしで本当に日本の安全保障体制を守れるのか? 中国は東シナ海上空に設定した防空識別圏で官制機や主力戦闘機による哨戒飛行を28日から始めたと明らかにし、この哨戒を常態化させると宣言していますが(11/30産経)、これから更に緊迫化する極東情勢の中で、同法案なくして日本をしっかり守っていくことは出来ないと言えます。 その理由としては、まず「スパイ天国」と揶揄され続けるほど、対外的な機密情報の管理がずさんで、情報を取得する側を処罰する法律がなかった点であります。 一方、アメリカの防諜法、イギリスの公務秘密法をはじめ、フランス、ドイツ、韓国などでもスパイ行為を防止する法律は制定されており、アメリカでは死刑にもなり得る重大な犯罪であり、防衛用の暗号や外交上の機密情報などをしっかりと防衛している現状があります。 また、日本の機密情報管理がずさんなために、アメリカなどの同盟国から信用を損なっており、安全保障上、極めて重要であると考えられる情報を得ることが出来ないという弊害もあります。 国内の機密情報をしっかりと防御し、対外的な信頼感を勝ち得る事こそ、憲法9条の足かせによって、自国を主体的に防衛することが出来ない現在の日本にとって必要不可欠なのです。 ◆急がれる法案制定と求められる安倍首相の更なる勇気 同法案が「戦争準備法」と揶揄されておりますが、日本を取り巻く環境は今、応戦準備を怠らないことが必要であり、その為には国際政治の常識に照らした現実主義(リアリズム)的観点から考えていくことが必要です。 また、法律の使命が国民の自由を守ることだとするなら、この法律が制定されることで、国の安全が保たれ、「知る権利」を含めた国民のあらゆる自由が保障されるのです。 安倍首相は是非ともこの法案成立を急ぐと共に、踏込みの足りない憲法9条の改正にしっかりと向き合って、国の善悪の基準を糺し、国民の自由を守る勇気を持って頂きたいと思います。(HS政経塾第1期生 城取良太) イラン核開発 6カ国合意は平和への道か、混沌の始まりか 2013.11.28 ◆11月24日の暫定合意 今月24日、国連の安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランが核開発問題で、合意を果たしました。 イラン側が核兵器への転用が容易な濃縮度5%以上のウランの生産を停止することを主軸として、6カ国側は貴金属や自動車、石油化学分野の禁輸措置を一時停止するなど、経済制裁の一部解除を決定しています。 イラン国内では、2006年から続く経済制裁によって、高インフレと失業が続いています。 国際通貨基金(IMF)の予測では今年の消費者物価上昇率は42%、失業率は13%を上回っているとされ、経済状況の深刻さが伝わってきます。 また、オバマ大統領も、オバマ・ケアへの批判が強くなってきたことを背景に支持率が低迷していることから、外交実績を作りたいという思惑もありました。 「イランが核兵器を製造できないことを検証できる、今より安全な世界へと道を開いた」と、オバマ米大統領は声明で成果を強調していますが、両者に都合良く結ばれた合意には早くもほころびが見え始めています。 ◆アメリカとイランで解釈が正反対の「ウラン濃縮の権利」 それが如実に現れたのが、「ウラン濃縮の権利」に関するアメリカ側とイラン側の解釈です。 合意が結ばれたあと、イランのロウハニ大統領は、「核開発の権利や濃縮活動の継続を認めるものだ」と合意内容を評価しました。また、イランのザリフ外相も「濃縮計画は合意の一部と確信する」と表明しています。 これに対して、アメリカのケリー国務長官は「合意文書のどこにも『イランにウラン濃縮の権利がある』とは書いていない」と反論しています。 しかし、米国家安全保障会議(NSC)が明らかにした「共同行動計画」の内容は、イランの核開発が平和目的と保障されれば、最終的にイランのウラン濃縮活動を認めることを示唆するものでした。 さらに、包括解決によってイランは核拡散防止条約(NPT)の下で「平和目的の核エネルギーの権利を享受できる」と明記されていることから、イラン側からNPTに沿った平和利用であれば「ウラン濃縮の権利がある」と主張されれば、反論するのは難しいのではないでしょうか。 ◆イスラエルが強硬化する可能性 このような事態に危機感を募らせているのがイスラエルです。 イスラエルのネタニヤフ首相は今回の合意を「歴史的な過ちだ」と非難し、イランの譲歩はうわべだけであり、核兵器の開発を続けるだろうとの見方をしています。 イスラエルは自国を守るために、実力行使も辞さない構えであり、イスラエルが納得する形でイランの非核化が進まないようであれば、イスラエル独自で強攻策を取る可能性もあり得ます。 ◆一時的な平和のあとの混沌に備えて 2008年の時点で、幸福実現党の大川隆法総裁は、オバマ大統領はイスラムに対し、妥協型、融和型の政策をとるだろうと予見していました。 そして、その結果「一時的には世界が平和になったように見えるかもしれませんが、世界のリーダーがいなくなる状況が生まれ、中心軸がなくなった結果、世界は混沌状態になっていきます。」と指摘しています。(『救世の法』p.105-106) 今回の合意によって、表面的には平和がもたらされるように見えるかもしれませんが、イスラエルとイランの対立は、さらに深刻になったといえます。 現在の日本は原発が停止している状態で、火力発電に頼っている現状ですが、中東情勢によっては、火力発電を動かす石油価格が高騰する可能性も否定できません。幸福実現党が原発の稼動を求める理由もそこにあります。 日本としては、エネルギー安全保障政策も含め、一時的な平和のあとに来る混沌状態に備え、さらに世界を照らす一灯の光となれるよう力を蓄え、信頼できる国家として国際社会に絆を強めていくことが求められているのではないでしょうか。(文責・伊藤希望) 知る権利を阻害しているマスコミ ~特定秘密保護法案可決~ 2013.11.26 ■特定秘密保護法案衆院可決 機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案は26日夜、衆院本会議で自民、公明両党やみんなの党の賛成多数により可決されました。与党は今国会成立を図り、27日の参院本会議で審議入りする方針です。(11/26共同通信) 法案は3本の柱からなっています。 1.特定秘密 特定秘密に指定される対象は、防衛、外交、特定有害活動(スパイ活動)の防止、テロ活動の防止の四つの分野です。本法別表に23の対象項目が明記されています。 2.適正評価 特定秘密を扱える公務員(一部民間人も含む)は、犯罪歴、精神疾患などの病歴、飲酒の節度などが調べられ、情報を漏らす心配がないと評価された者だけが管理できます。 3.厳罰化 公務員等で特定秘密を漏らした者には、最高で懲役10年および1000万円以下の罰金が科せられます。特定秘密以外の機密漏洩は、従来通り現行の国家公務員法の守秘義務違反の1年以下の懲役、自衛隊法違反は5年以下の懲役刑が適用されます。 ■主に批判されている論点 1.特定秘密の指定に関しては、法文上「その他」という表現も多く曖昧であり、恣意的に拡大解釈される危険があるとし、民主党は、その他という表現をなくした対案を提出しました。 このように政府側に都合の悪い情報が隠蔽され永久封印される恐れがあると懸念されています。 2.適正評価の調査の過程で、患者の病歴などプライバシー情報の提供を医師が強要される懸念があり、守秘義務のある医師が厳しい立場に立たされることが想定されます。 3.厳罰化により公務員が萎縮して本来は隠す必要のない情報の提供まで拒み、取材活動が制限され、国民の知る権利が阻害される懸念があります。 ■党派を超えた政治家の矜持を垣間見る 今回の法案審議は唐突感も否めないところもあり、批判論点には一定の合理性もあると考えます。26日の衆院本会議の反対討論における民主党の長島昭久氏の主張は傾聴に値するものでした。 長島氏は「安全保障に与党も野党もない、あるのは国益のみ」「この法案を現代の治安維持法と批判する者もいるが自分はそういう立場ではない」と自らの立場を前置し、あと2~3週間あれば合意に達することができたと政府の性急な運営を批判しました。 長島氏は、制度の設計思想に、秘密保護法制の国際スタンダードであるツワネ原則(※1)を適用すべきであると訴え、森雅子内閣府特命担当相はその存在を知らなかったと、その資格に疑問符を投じました。 このように国益を守る観点から重要な議論が不十分であるならば、良識の府参議院で徹底的に議論を尽くして頂きたいと祈念します。 ■知る権利を阻害しているものとは 特に最近の同法案に対する批判は、特定秘密として永久に封印され、主権者である国民の「知る権利」が阻害されるという論点に収斂してきた感があります。 この点に関し、11月19日に衆議院国家特別安全委員会に参考人として発言した評論家の西村幸祐氏は、同法案の真意が国民に理解されないのは、テレビ番組等に反対派しか出さないから国民が理解できない。知る権利を阻害しているのはマスコミであると喝破されました。 幸福実現党大川隆法総裁も、「わが国には左翼言論の自由はあるが、保守言論の自由はない」と言われています。 良識の府参議院において、国民の幸福の為に、党派を超えた政治家の矜持をもって議論を尽くして頂きたいと希望します。(文責:幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦) ※1【ツワネ原則の重要項目】 1,国民には政府の情報を知る権利がある 2,知る権利を制限する正当性を説明するのは政府の責務である 3,防衛計画や兵器開発、諜報機関など限定した情報は非公開とすることができる 4,しかし、人権や人道に反する情報は非公開としてはならない 5,国民は監視システムについて知る権利がある 6,いかなる政府機関も情報公開の必要性から免除されない 7、公益のための内部告発者は、報復を受けない 8,情報漏洩の罰則は、公益を損ない重大な危険性が生じた場合に限られる 9,秘密情報を入手、公開した市民を罰してはならない 10,市民は情報源の公開を強制されない 11,裁判は公開しなければならない 12,人権侵害を救済するための情報公開はしなければならない 13,安全保障分野の情報に対する独立した監視機関を設置しなければならない 14,情報を無期限に秘密にしてはならない 15、秘密指定を解除する手続きを定めなければならない 21世紀のニューフロンティア政策―宇宙開発への挑戦 2013.11.25 ■ケネディ大統領の「ニューフロンティア政策」 昨今の大きな話題の1つとして、「アメリカの王室」とも言われるケネディ家のキャロライン・ケネディ氏が新駐日大使として日本に赴任することになったことが挙げられると思います。 日本とアメリカの外交的紐帯を強める大きなチャンスとして、日米双方から大きな期待の声が寄せられています。 そして、キャロライン氏が来日した今月15日から1週間後の先日22日は、キャロライン氏の父親であるJ.F. ケネディ大統領が暗殺されてから50周年という節目の日でもありました。 ケネディ大統領はアメリカの歴代大統領の中でも、アメリカ国民からの人気が特に高く、その若きカリスマの死を惜しむ声が未だに絶えません。 ケネディ大統領の功績としては、ソ連との核戦争の危機(いわゆるキューバ危機)を平和裏に解決したことや、マーティン・ルーサー・キング牧師などと協力し黒人差別撤廃のための公民権運動を強く支援したことなど様々挙げられます。 もう一つ代表的な功績として、アメリカの宇宙先進国化をその強いリーダ一シップによって牽引したことが挙げられます。 ケネディ大統領が公約として打ち出した「ニューフロンティア政策」の柱の一つが「宇宙開発」であり、ソ連との宇宙開発競争で挫折感を抱えていたアメリカを鼓舞するためにケネディが掲げた国家プロジェクトこそが、月に人類を送り込むという「アポロ計画」でした。 暗殺によってアポロ計画による人類初の月面着陸の成功を見届けることはできませんでしたが、ケネディの大きな構想力とリーダーシップがなければ、人類は未だに月へ足を踏み入れていなかったかもしれません。 今、日本に必要なのは、このケネディの「ニューフロンティア精神」、新たなフロンティアとしての宇宙の開発を国家プロジェクトとして強力に推し進めることではないでしょうか。 ■日本の宇宙開発の現状 日本の宇宙産業市場は現在、約7兆円~8兆円と言われています。宇宙産業の内訳は主に4つに分類されます。 (1)宇宙機器産業(ロケットや衛星、地上設備など) (2)宇宙機器を利用した宇宙サービス産業(NHK、NTT、スカパーなど) (3)宇宙サービスを利用するための民生機器産業(衛星放送チューナーを搭載した液晶テレビ、GPSを利用したカーナビ及び携帯電話など) (4)自らの事業に宇宙サービス・民生機器を活用しているユーザー産業(農林水産業、新聞社、映画館、資源開発など)です。(JAXA産業連携センター) このうち中核をなすのが(1)の宇宙機器産業であり、日本では市場規模約2600億円程度ですが、一方で、アメリカは約4兆円、欧州でも約9000億円と、日本は大きな差をつけられてしまっています。 これはひとえに、日本の政治家のリーダーシップの欠如と縮み思考が原因だと言えます。 実際、2008年に日本の宇宙開発の基本方針を定めた宇宙基本法が制定されてから、予算が増えるどころか、財源不足を理由に宇宙関連予算は年々減少を続けています。 限られた予算を奪い合いあっていては消耗戦になるということで、日本の宇宙産業に関わる民間企業の多くが外需の取り込みのために新興国市場に打って出ています。 実績も少しずつ出始めてはいますが、まだまだ米国・欧州が世界では大きなシェアを握っており、苦戦を強いられているのが現状です。 外需の拡大とともに、政府による研究開発予算の増加や、宇宙関連ビジネスの興隆などの内需の拡大を実現しなければ、日本の宇宙産業が国家を支える基幹産業へと成長することはありえません。 ■政治家は「21世紀のニューフロンティア政策」を打ち出せ しかし、悪いニュースばかりではありません。 最近では、日本のお家芸である固体燃料ロケットの最新機種であるイプシロン(試験機)の打ち上げ成功や、日本人宇宙飛行士の若田光一さんが日本人で初めてISS(国際宇宙ステーション)の船長に任命されるなど、日本の「宇宙力」への評価が世界でも高まってきています。 日本の喫緊の課題は、独自の「有人宇宙輸送システム(有人ロケット、有人宇宙船)」の獲得を成し遂げることです。 宇宙という目的地があっても、日本は宇宙に行く「船」を持っていません。他国の宇宙船に乗せてもらわざるを得なかったために、日本の宇宙開発の黎明期は、他国の事情に翻弄されてきたとも言えます。 しかし、日本は有人宇宙飛行を可能にする技術力をすでに持っています。日本が持つISSに物資を運ぶためのHTV(こうのとり)の技術などは、有人飛行技術の基礎となるものです。その他にも、日本には世界から認められている最高峰の技術が多々存在します。 最終的には、有人宇宙開発に挑戦するか否かは、国の判断、政治家の判断、そして強い意志にかかっています。 かつてのケネディ大統領のように、国家の安全と平和を守るために、そして国民に夢と希望を与えるために、宇宙開発の意義とビジョンを国民に真摯に語り、ニューフロンティアに挑戦する強い意志と決断力を有した政治家の出現が望まれているのです。 幸福実現党は「21世紀のニューフロンティア政策」で、「世界の宇宙開発を牽引する日本」を創ってまいります。(文責・HS政経塾2期生 鈴木純一郎) すべてを表示する « Previous 1 … 70 71 72 73 74 … 101 Next »