Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 国連の機能不全と北朝鮮政府による人権侵害――正義はどこにあるのか? 2014.02.20 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆国際社会も断定した北朝鮮政府の人権侵害 2月17日、国連の北朝鮮人権調査委員会は、北朝鮮による人権侵害についての最終報告書を公表しました。400ページにものぼる報告書では、北朝鮮政府による残虐かつ非道な人権侵害が行なわれていることを断定し、厳しく非難する内容となっています。 昨年3月から活動を開始した同委員会は、昨年8月には日本の拉致被害者家族が東京で公聴会をおこないました。それ以外にも、韓国・イギリス・アメリカで公聴会を開催し、脱北者240名以上ものインタビューをおこない、その証言を基に今回の最終報告者を作成しました(2/18読売1面)。 ※報告書はUnited Nations Human Rightsホームページ http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/CoIDPRK/Pages/ReportoftheCommissionofInquiryDPRK.aspx (英語) 今回の報告書によって、拉致問題解決に向けた国際世論の高まりを追い風として、日本政府は、国連人権理事会で、拉致問題の解決を含む決議案をまとめる作業に着手しており、これはぜひとも進めていくべきです。 <ご参考:報告書のポイント>(2/18読売1面参照) ・北朝鮮での人権侵害の多くは、国家政策に基づき行われてきた ・日本人など外国人の拉致は、最高指導者の承認を得て実行されてきた。 ・北朝鮮は、拉致被害者の所在地など、すべての情報を家族と出身国に提供し、生存者は帰国させ、死亡者の遺骨を返すべきだ。 ・中国は、脱北者への強制送還をやめるべきだ。 ・国連安保理は、北朝鮮の状況について国際刑事裁判所に付託すべきだ。 ◆国際刑事裁判所への訴追のネックとなる隣国 今後の流れとしては、3月中旬にスイス・ジュネーブで開催される国連人権理事会で、同委員会から、安全保障理事会に対して、国際刑事裁判所への付託を勧告する報告書の内容を正式に説明することになっています。 国際刑事裁判所(ICC)とは、人権侵害の加害者個人を裁くことのできる国際機関です。今回の北朝鮮のケースのように、国内ではその個人を裁けない、もしくは、裁く意思がない場合にのみICCが裁くことができます。 対象となる犯罪は、「集団殺害罪(ジェノサイド罪)」、人身売買や拉致などの「人道に対する罪」、武力紛争下での罪のない一般市民の殺害などの「戦争犯罪」が挙げられます。 国際刑事裁判所への訴追を行うためには、国連安全保障理事会の常任理事国が拒否権を行使しないことが必要です。安全保障理事会の常任理事国は、アメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシアですが、ある日本の隣国の動きがネックとなりそうです。 ◆露呈する国連の機能不全 その国とは、中国です。 元オーストラリア最高裁判事で、調査委員会委員長のマイケル・カービー氏は、報告書を公表した記者会見の中で、脱北者の多くは、中国に逃れるケースが多く、北朝鮮の人権侵害を制止するためにも、中国の協力は不可欠であることを指摘しています。 しかし、中国外務省のファ・チュンイン副報道局長は、「人権侵害を国際刑事裁判所に付託しても、一国の人権状況の改善には役立たない」と述べるなど(2/19読売3面)、中国側の取り組みは消極的であり、国連の機能不全を正に象徴する状況です。 ◆日本は人権保護への国際世論の高まりを喚起するべき 日本は、北朝鮮による拉致問題をはじめとする非人道的な人権侵害の解決に向けた協力を呼びかけ、さらに国際世論を喚起するべきです。こうした取り組みは、歴史認識問題における、日本側の立場を説明していく環境を整えることにも繋がることは間違いありません。 20日の衆院予算委員会で、参考人として出席した石原元官房副長官は、慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」の作成過程で行なわれた、韓国での元慰安婦(と称する)16人の聞き取り調査について、「事実関係の裏付け調査は行われていない」と発言があり、その正当性そのものが疑われています。 日本は、人権を断固として守る国家であることを国際世論に広く訴えながら、国際社会が日本に対して持つ歴史認識の誤解を淡々と解いていくべきです。自虐史観の脱却と、日本が正義あるリーダーシップを示せる道が現実に浮かび上がりつつあります。 オスプレイ配備をめぐるテレビ報道の公平性について(2) 2014.02.19 文/幸福実現党山口県本部 政務調査部長 石橋昇 前回のHRPニュースファイルでは、2012年の岩国におけるオスプレイ一時駐機の賛成と反対について、NHKは反対集会だけを放送し、賛成集会を放送しなかったことを紹介しました。 さらに一連の放送姿勢を調べていくと、いくつかの問題点や疑問が明らかとなりました。 ◆支局の記者が失念するという重大なミス 「9.16 尖閣・沖縄を守れ!オスプレイ駐機配備賛成集会」に取材に来られなかった理由について、既出の岩国市議がNHK支局の記者に問い合わせた結果、「すみません、気がつきませんでした」と、失念していた旨の回答がありました。 幹事会社を通じて加盟各社に伝えるという記者クラブ制度の信頼も揺るがしかねない由々しき大失態です。 ◆偏向報道や心象操作の疑義 オスプレイが岩国から沖縄に移動する2012年10月1日の朝10時とお昼のニュースにおいても、反対派市民団体の代表のコメントを取り上げるとともに、市民の反対意見だけを報じていました。試験飛行が行われた9月21日にも、反対派の代表が泣きながら訴える場面が放送されました。 現実には条件付きで駐機の賛成の声も多いと推定されるなかで、反対意見だけを取り上げて、感傷的な映像を流す事に、偏向報道や心象操作が疑われました。反対と賛成にはそれぞれの立場や意見もあり、それを尊重するためにも、公平な報道がなされるべきであったでしょう。 10月1日の「情報維新やまぐち」のコーナーでも20分以上をさいて、「オスプレイ配備までの2ヶ月」という特集が組まれていましたが、残念ながら、何故オスプレイが必要か、その重要性が報じられることは全くありませんでした。 ほかにも、9月30日の反対集会の様子は、当日夕方と夜のNHK山口放送局のニュースで流れ、主催者発表1,200人と報じられました。 主催者発表という言葉は、多くの視聴者には馴染みがなく誤解を与えかねません。「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない。」と述べている放送法第4条やNHK放送倫理基本綱領に則り、裏付けとなる取材をすべきであったと思います。 以上の一連の報道をみた限り、国民からの受信料から成り立ち、予算の執行にあたって国会承認を必要とする公共放送でありながら、反対の声や活動だけを繰り返し放送し、賛成の声や活動の取材を失念する姿勢に対して、「偏向報道」と言われても弁解の余地はなく、国民や視聴者の知る権利に対する冒涜でもあると断じざるを得ませんでした。 ◆NHKへの質問と要請 以上について、幸福実現党山口県本部と9月16日の集会の主催者で、NHK山口放送局へ書面での質問状と面会を通じてNHKの見解を質しました。詳細は割愛しますが、その回答は玉虫色な内容であり、決して満足できるものではありませんでした。 昨年2013年にもオスプレイ追加12機の岩国基地陸揚げが行われました。約一年が経ち、当時の私たちからの質問や要請を受け止めてくれたのか、最近のオスプレイ報道の姿勢は多少なりとも公平に近づいたものと感じております。 このたび新会長が就任されました。これを機に放送法の順守を徹底した政治的に公平な放送を推し進めると同時に、日本の国益や国民の生命や財産を守ることを第一とした国民に愛される公共放送に変わっていくことを切望いたします。 ◆偏向報道に抗議の声を NHKに限らず、放送の許認可を受けているすべてのテレビ放送には、放送法第4条に基づく政治的に公平な報道が義務づけられています。 普通選挙を行う民主主義において、国民の知る権利の保証や公正な報道、メディアリテラシーはとても重要なことです。 ゆえに、偏向と感じる報道を見かけたら、面倒ではありますが、私たち視聴者からも直ちに放送局へ意見を寄せることが重要です。 オスプレイ配備をめぐるテレビ報道の公平性について(1) 2014.02.16 文/幸福実現党山口県本部 政務調査部長 石橋 昇 NHKの籾井勝人会長の就任記者会見での発言が一部メディアの批判を浴び、「政府の立場に寄り添う発言」を繰り返し、公平性を定めた放送法に反するという批判が展開されています。 やや古い話にはなりますが、1年半ほど前に行われた山口でのオスプレイの報道について改めて振り返ることで、放送事業者による報道の公平性を考えてみたいと思います。 ◆放送法第4条 放送法第4条では、NHKを始めとする放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たっては、以下に定めるところによらなければならないと定めております。 1.公安及び善良な風俗を害しないこと。 2.政治的に公平であること。 3.報道は事実をまげないですること。 4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。 テレビ放送は開局が規制されている許認可事業であるため、放送法によって「政治的公平」が義務づけられています。 とりわけ、放送受信料の徴収根拠として放送法第64条を挙げているNHKは、ほかの放送事業者よりも厳しく放送法第4条の順守が求められると言ってよいでしょう。 NHKは自局の放送倫理基本綱領でも、「放送は、意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない。」としています。 ◆2012年9月の岩国におけるオスプレイ駐機配備賛成集会 日本でのオスプレイの初配備が検討された2012年。同年9月16日に岩国市で「9.16 尖閣・沖縄を守れ!オスプレイ駐機配備賛成集会(主催者:尖閣・沖縄を守れ!9.16実行委員会)」が開催されました。 岩国史上最大となる約600人(ほぼ実数)が岩国市役所前に集い、うち約500人が岩国市街をデモ行進し、尖閣諸島や沖縄を含めた東シナ海の安全保障のため、オスプレイの配備が必要であることを訴えました。 私たち幸福実現党・山口県本部は、オスプレイ岩国基地一時駐機が報じられた同年6月より、岩国市においてオスプレイ配備の重要性を訴えてまいりました。 反対の意見ももちろんありましたが、配布物の受取率は極めて高く、オスプレイへの関心の高さを感じるとともに、当時のオスプレイへの否定的なマスコミ報道とはかい離した「オスプレイは必要」とする意見が予想以上に多いことを肌で感じました。 実際、読売新聞地方版の報道でも岩国市を含む山口2区の住民の半数近くが、「条件付き容認」と報道しており、8月6日の産経新聞でも、岩国市は反対一色ではないと報じておりました。 オスプレイの安全性を危惧する声もありましたが、丁寧に配備の必要性を報じれば容認されるサイレント・マジョリティー(声なき多数派)が多いことを確信しました。 8月に入り、地元岩国市議のもとに、「賛成派の声をマスコミが取り上げないなら、行動をおこそう!」「日本を守ろう!」という声が集まり、保守の皆様とともに前述の岩国史上最大となる集会とデモを開催しました。 ◆反対集会は採り上げ、賛成集会は採り上げなかったNHK 本集会とデモについて、既出の岩国市議が岩国市役所の記者クラブを2度訪れ、趣旨説明をして取材の要請をいたしました。通常記者クラブでは幹事会社を通じて、加盟の報道各社に伝わります。 本集会の直後、読売、毎日、山口新聞は、地方版にカラーの写真入りで、中国新聞もベタで、地元TV局のKRYは看板番組のバンキシャの後のニュースにおいて、中国の脅威と絡めて本集会の模様を報道しました。 本集会の2日後、9月18日の読売新聞全国版の夕刊では、賛成の活動も取り上げた上で、オスプレイ安全宣言を報じました。 以上の通り多くのメディアが採り上げ、国の安全保障を左右し、国民の生命・財産の安全安心を左右しかねない重大な関心事にもあるにも関わらず、NHKは報道するどころか、当日の取材にすら来ませんでした。 ところが、本集会の後の9月30日に開催された反対集会の様子は、当日夕方と夜のNHK山口放送局のニュースで放送されました。 放送法第64条に基づく受信料によって運営され、ほかの放送事業者よりも厳しく放送法第4条の順守が求められる公共放送の報道の公平性に疑問を感じました。 さらに今回や一連の放送姿勢を調べていくと、いくつかの問題点や疑問も明らかとなりました。 (続く) 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第8回】 2014.02.14 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《海洋国家日本の国家戦略と安全保障》 ◆「報復的攻撃能力」の具体策 前回は、日本に向けられた中国のミサイルから、日本を守るために必要なものが「抑止力」であることを述べました。 その中でも最も確実なものは、中国が日本を攻撃すれば、それ以上の損害を与えることができる「報復的攻撃能力」であることを明らかにしましたが、今回は、その「報復的攻撃能力」について具体的に論じます。 前回ご紹介した社会科学者の北村淳氏は、中国のミサイルから日本を守るために必要なものは、「中国の戦略要地をピンポイント攻撃できる長射程ミサイル(中距離弾道ミサイル・長距離巡航ミサイル)の配備である」と提言しています。 「具体的には、アメリカから各種トマホーク巡航ミサイルを必要数購入すれば、それらを海上自衛隊艦艇に配備した瞬間から、強力な報復攻撃力すなわち抑止力を、自衛隊が独自に保有することになる」 日本がもし独自に巡航ミサイルを開発するには膨大な時間と予算がかかりますが、「トマホークミサイル」なら、現有の日本の艦船や潜水艦への装着が可能です。 すでにイギリス海軍がアメリカから輸入しているため、日本も調達は可能であり、国内外の理解も得やすいからです。 日本は中国の長射程ミサイルへの抑止力強化のため、まずトマホークを米国から数十基程度購入し、ミサイル駆逐艦や潜水艦に配備すべきです。 価格は一基200万ドル(約2億円)程度で、射程も1250キロから最大3000キロと、日本を狙う中国の基地を攻撃するのに十分です。 それによって、時間を稼ぎ、その後、国産の弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルを開発し、合わせて原子力潜水艦や空母の建造を進め、より強固な抑止力と防衛体制の強化を進めればよいのです。 特に、日本近海や東シナ海には、水深1万メートルもの深い海溝があります。 長期間、燃料補給なしで稼動できる原子力潜水艦を3隻程度所有し、そこにトマホークを積んで潜航させておくだけで、中国への強力な抑止力となります。原子力潜水艦だけなら一隻1500億円程度で配備できるのです。 ◆「核保有」の国民的議論を さらに日本が最も警戒しなければならないのは、中国が数百発から数千発保有しているとされる核兵器を背景に、日本を恫喝するシナリオです。 今の中国共産党や中国軍の幹部の中には、長年の反日教育によって、「日本に対する核攻撃を躊躇しない」という空気すら確実に存在しています。 日本は今、中国の核攻撃への抑止力を真剣に考えなければならない時を迎えていると言わざるを得ません。その選択肢の一つとして、私は、日本も「核保有」を真剣に議論すべきであると考えます。 日本が「核保有」に関する国民的議論を喚起するために、わが国が選択可能な核抑止力の選択肢を、3つ提示してみましょう。 (1)非核三原則の撤廃 この原則は日本の「国是」のように受け止められているが、そもそも国会答弁に基づく政策方針にすぎず、現行憲法も核保有を禁ずるものではありません。この非核三原則を撤廃すれば、日米同盟が強固であれば、それは自動的に、米軍による在日米軍基地への核持ち込みが「潜在化」します。 これは、日本への核攻撃がすなわち、米軍への核攻撃となり得るがために、アメリカとの全面核戦争を望んでいない中国にとって、大きな核抑止力として機能するでしょう。 (2)核(ニュークリア)シェアリング すでに北大西洋条約機構(NATO)加盟国のベルギー、ドイツ、イタリア、オランダが、アメリカとの間で行っているもので、平時はその国に駐留するアメリカ軍が保管している核兵器を、有事の際に必要に応じて配備国へ譲渡し、使用権限を与えるというものです。 (3)核の独自開発 国内世論に加え、国際的にも国連の核不拡散条約に加盟しているため、現在ではハードルが高いといわざるを得ません。しかし、第一と、第二の方策を選択した上で、常に核の独自開発の可能性と選択肢を残しておくことが、国家戦略上有効です。 その意味で、2013年9月 国産ロケットは「イプシロン・ロケット」(宇宙航空研究開発機構が開発)の打ち上げ成功は、安全保障上も大きな成果と言えるでしょう。 衛星ロケットの打ち上げ技術と弾道ミサイルの技術は、ほぼ同じであり、これによって日本は一基わずか38億円のコストと一週間の時間で(イプシロンのコストと組み立て日数)打ち上げられる、いつでも弾道ミサイルに転用が可能な技術を手に入れたことになります。 以上、日本の国防面を論じましたが、次回は、外交面から海洋開発と「太平洋自由連合」構想について紹介します。 なぜ江沢民氏は国際手配されたのか 2014.02.13 文/HS政経塾スタッフ・遠藤明成 ◆闘牛の国からの挑戦状? 靖国参拝や慰安婦、先の大戦への謝罪要求など、中国・韓国のいわれなき反日キャンペーンが続いていますが、「過去の戦争」ではなく、「現代の大量虐殺」の容疑者として、江沢民氏ら5名の中国人が注目されています。 スペインの全国管区裁判所は11月19日に江沢民氏や李鵬氏、喬石氏ら5名を、80~90年代チベットでの大量虐殺に関わった容疑者と見なし、2月12日にICPO(国際刑事警察機構)加盟諸国へ逮捕を要請したからです。 この逮捕状は06年にチベット人の救済を求める人権団体からの刑事告発に対処したものです。(これ以外にも、10月9日には、同種の容疑で胡錦濤氏も告発されている) ◆告発と国際手配の背景にある「普遍的管轄権」という考え方 スペインでは、大量殺戮等の重大犯罪の当事国で裁判が行われない場合に、第三国が裁判をする権利を認める「普遍的管轄権」が定められているため、同国の裁判所は海外の事件に関しても人道的犯罪などの訴訟を受理しています。(※一定の条件はありますが) 98年には、スペインから大量虐殺の容疑で告発されたチリのピノチェト元大統領が、98年にロンドン滞在中に、同国からの要請を受けて逮捕されました。(その後、チリの抗議を受けて釈放) こうした告発は人権団体から評価されましたが、外交問題が増えるので、近年のスペイン政府は海外の人道的犯罪訴訟の条件の厳格化を進めています。今回はスペイン国籍を持つチベット僧がいたので、こうした告発が可能となったのです。 (※ICPO加盟諸国は普遍的管轄権に対して自国民を引き渡す義務を負わないので、前述の5人は中国国内にいる限り裁かれることはなく、この逮捕要請は政治的メッセージと見られる) ◆矛盾する正義と利害関係――普遍的管轄権の活用は可能か 今のスペインでは、法律家の正義と国家間の利害関係が矛盾しています。この状況を、2月12日付の毎日新聞朝刊(9面)が報道していました。(以下、要旨) ・中国はフランスに次ぐスペイン国債保有国であり、対中貿易を経済再建の切り札にしたい現政権は、司法と外交の間で板挟みとなっている。(スペインを訪れる中国人観光客も激増している) ・同国の国民党は、1月に虐殺などの人道的犯罪の訴追対象について、改正案を提出した。この案では訴追対象はスペイン人とスペイン定住外国人などに限られ、「犯罪発生時点」での被害者のスペイン国籍所持が条件化される。これが成立すれば、今後、96年に国籍を取得したチベット仏教僧らの告発は認められなくなる。 こうした「普遍的管轄権」の行使には現実の壁だけでなく、国際法における「内政不干渉の原則」との矛盾という課題もあります。これが多くの国で司法の原則として認められた場合は、自国裁判所における他国指導者の訴追が頻発し、多くの外交問題が発生するからです。 今回のスペインの司法判断には正当性がありますが、この考え方を悪用すれば、人権侵害や大量虐殺の事件を捏造し、他国の政治指導者を自国の裁判所で訴追することもできるでしょう。 そのため、最後は力関係がものを言う国際社会で、「普遍的管轄権」が有効に活用されるか否かは、今後、自由と民主主義の側に立つ国々の努力次第で決まると言えます。 ◆世界に北朝鮮、中国の人権侵害の実態を知らせるべき 今回のスペインの司法判断は、中国の軍拡と人権弾圧を放置してきた各国に対して、一石を投じる試みでした。拉致の事実を認めたにもかかわらず、金正日を訴追できなかった日本は、この毅然たる姿勢を見習うべきではないでしょうか。 人民を飢えさせながら、一年分の食糧費に相当する国費をミサイル実験に注ぎ込んできた金正恩も、「人道に反する罪」を犯しているからです。 09年に、幸福実現党・大川隆法総裁が「金正日を東京地裁で裁判にかけます」(『幸福維新』http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=107)と訴えたように、日本には悪を抑止し、東アジアに自由の領域を広げる力が必要なのです。 日本は、憲法九条改正(もしくは解釈変更)や日米同盟強化、自衛隊の強化を図るべきですが、これと並行して、「現代の大量虐殺」に抗議する外交活動の展開が必要です。今回のスペインの国際手配要請に関しては、同種の活動の命脈が絶えないよう、日本はICPO加盟国として支持すべきでしょう。 拉致問題に関して、ジェンキンス氏(拉致被害者である曽我ひとみさんの夫)は、76~77年頃に、北朝鮮の立石里(リプソクリ)招待所にて、巡回医師が「スペイン人の女性を治療した。とてもきれいな女性だった」と話していたことを明かしていますが(産経ネット版2013.2.10)、日本は、被害者に14カ国の外国人が含まれている事実を広く訴え、欧米諸国とも連携して、北朝鮮の包囲網を強化しなければなりません。 日本は、今こそ、防衛・外交政策を見直し、第二の冷戦を終わらせるための一歩を踏み出すべきなのです。 【ご案内】 2月15日(土)HS政経塾第3期生による政策研究発表会(http://hs-seikei.happy-science.jp/2014/4252/)が開催されます。 気軽にご参加ください。 ●HS政経塾第3期生による政策研究発表会 【日 時】日時 2月15日(土) 14:00~16:00 【場 所】ユートピア活動推進館 3階大会議室/東京都港区赤坂2-10-8 東京メトロ 溜池山王駅9番出口・徒歩3分 TEL 03-6277-6937 (受付時間:10:00~18:00) 【参加費】 一般1000円、学生500円 【発表者】田部雄治、和田美奈、横井基至、瀬戸優一、森國英和 価値観外交を考える――民主主義と核不拡散条約 2014.02.12 文/HS政経塾 三期生 田部雄治 ◆中国の脅威 現在、アジアにおいて最も大きな不安定要因の一つは、間違いなく中国の軍事的な拡張でしょう。 急激な軍拡を進め、南シナ海の島々の実効支配を進めています。尖閣諸島の領有権を主張し、防空識別圏を設定し、南シナ海の漁業を一方的に制限するなど、日本をはじめ、フィリピンやベトナムなどに脅威を与えています。 先日フィリピンのアキノ大統領は、中国をナチスになぞらえて批判をしました。 またアメリカも、防空識別圏の設定や尖閣諸島の領有権主張に対し、国際ルールを順守するよう、中国を非難する声明を出しております。 南シナ海は、日本の原油の90%が通過する重要なシーレーンであり、中国に支配されることは日本にとって致命的です。 ◆日印外交 日本とインドは、民主主義国家であり、歴史的にも大変友好的な関係にあります。 またインドは、インド洋にも進出を図る中国に対しとても脅威を感じており、中国の侵略を食い止めたいという点でも利害が一致します。 先月26日から、安倍首相は訪印してインドのシン首相と首脳会談を行いましたが、日本とインドで、様々な協力関係の構築について話し合われ、大きな成果が得られました。 ところが一点、インドの抑止力としての核実験を認めるかどうかで、折り合いが付きませんでした。 ◆インドの安全保障 1962年、インドは中国から一方的に侵略を受けました。この通常兵器による戦争において、インドは大敗北を喫しました。 しかもその2年後に中国は原爆実験を成功させ、さらに3年後には水爆実験も成功させました。 以上のような背景から、インドが核武装をせざるを得ないと判断したのも無理もないことでしょう。 核実験の実施後、インドは一時経済制裁も受けましたが、核実験を自主制限し核拡散も行わないという宣言をして、国際社会に復帰しました。 インドの核実験は自主規制であり、中国に対して一定の核抑止力が認められた形となりました。アメリカもこの前提で、米印原子力協力協定を結んでいます。 ところが上記の日印首脳会談では、日本がインドの核実験を認めなかったために、日印原子力協力協定は結べませんでした。 慢性的な電力不足に悩むインドに、原発の輸出が出来ないということを意味します。インド経済にとってはマイナスです。 ◆核不拡散条約(NPT)の矛盾 インドの経済の発展は、インドの軍事力を支えます。インドの軍事力は、インド洋の安定のための大きな要因であり、インドと日本のシーレーンにとっても重要です。 核不拡散条約によって、世界最大の民主主義国家であるインドが損をして、世界最大の専制国家である中国が得をすることになります。 核不拡散条約を厳格に守ることが自由と民主主義を危機に陥れる、という矛盾が発生しているのです。 ◆核不拡散条約を疑え 核不拡散条約は、核兵器が広がることを防ぐことに一定の役割は果たしてきました。しかしここにきて、限界が現れてきました。 そもそも核不拡散条約は、大変不平等な条約です。1967年1月1日までに核兵器を保有した米・露・英・仏・中の5か国にのみに核兵器保有と核実験の権利を認め、その他の国には認めないという条約なのです。 このうち米・露・英・仏の4か国は核実験の自主制限をしていますが、中国はしていません。また、中国がインドに隣接するパキスタンに核技術を供与したことは、公然の事実と言って良いでしょう。 核不拡散条約は、核兵器を作り続ける中国を止めることが出来ません。しかもその中国によって危機にさらされている民主主義国家・インドの安全保障にとって障害となっているのです。 国際ルールを守らず、自国の都合で好き放題する専制国家・中国をのさばらせるだけの核不拡散条約であるならば、改めなければなりません。 日本としては、アメリカ同等の条件でインドと日印原子力協力協定を結び、互いの経済発展を実現させるべきです。そのうえで、シーレーンの共同防衛を図るべきでしょう。 自由と民主主義という価値観を広げることを目的として、積極的に国際社会に働きかける外交をするべき時が来たのです。 「建国記念の日」特集(2)――「国歌・君が代」 2014.02.10 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆国歌とは何か 世界のどの国でも多くの人が集まる行事や重要な儀式、現在はソチオリンピックの最中ですが、必ず国の国歌を、演奏、斉唱します。 また外国の代表を迎えた場合には、相手国の国旗を揚げると共に国歌を演奏して敬意を表すのが国際的な慣例です。 世界中で国旗のない国が一つとして存在しないように、国歌がない国もありません。つまり前回説明した国旗と同じように国歌もその国のシンボルなのです。 また国歌もその国の歴史、建国や政治のあり方、文化の中で生まれたもので、国民の感情や共感を歌に表したものです。 ◆世界の国歌 世界の国歌は3つに分類できます。 (1)戦争の中で生まれた国歌 ●アメリカの国歌…1819英米戦争の際、米軍の勇敢さを讃えた歌 砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中 我等の旗は夜通し翻っていた ああ、星条旗はまだたなびいているか? 自由の地 勇者の故郷の上に ●中国 最大の危機に際し ひとりひとりが最後の鬨(とき)の声をあげるときだ 起て! 起て! 起て! 我ら万人心を一つにして 敵の砲火をついて前進しよう! 他にはフランスの国歌は、フランス革命時の対プロシア・オーストリア戦争のさなかの進軍可歌です。 (2)自然や神を歌った国歌 ●ロシア 南の海より極地の果てへと 広がりし,我等が森と草原よ 世界に唯一なる汝、真に唯一なる汝 神に守られた祖国の大地よ! 他には、スイスの国歌、大韓民国の国歌があります。 (3)王室の御代の永遠を歌った国歌 ●イギリス 神よ、我らが慈悲深き女王を守りたまえ 我らの気高き女王よ、長命であれ 神よ、女王を守りたまえ 他にはスウェーデン、デンマークの国歌も王室を讃える国歌です。 ◆世界で最も古い起源をもつ日本の国歌「君が代」 君が代は 千代に八千代に さざれ石の 巌(いわお)となりて 苔(こけ)のむすまで 日本の国歌「君が代」も天皇を中心としてきた日本の国がいつまでも栄えますようにと願った歌です。 「君が代」の歌詞は世界で最も古い起源を持ち、1000年前の平安時代の和歌が由来です。2番目の古い国歌は16世紀後半のオランダ国歌「ウィルヘルム」ですが、『君が代』はオランダ国歌よりも600年も古いものです。 その後鎌倉時代になって、「君が代」は神事や宴席の祝歌として身分に関係なく一般的に歌い継がれ、文明開化の1880年(明治13年)、宮中の雅楽で現在のメロディーがつけられ天長節に初めて演奏されました。 また『君が代』は、1903年(明治36年)にドイツで行われた「世界国歌コンクール」で一等を受賞したこともあり、そのメロディの美しさ、荘厳さが評価されたのです。 一部には、「君が代」の「君」とは、天皇であるので国歌としてのふさわしくないという批判もありますが、日本は古来から、「天皇のもとに家族」であるという伝統的な意識があり、「支配する側と支配される側」という立場とは異なっていたのです。 歴代の天皇は「国民」を『おおみたから』と呼んで、国民を宝として、その幸せをお祈りしてきた御存在です。 天皇と国民は一つであり、「君が代」とは、日本の国が過去から未来のまで、末永く永遠でありますようにという祈りが込められた歌であるのです。 国歌「君が代」の歌詞については、幸福実現党・大門未来広報部長が詳しく解説しています。 ◎幸福実現党広報本部長・大門未来「ミキチャンネル」 http://www.youtube.com/watch?v=-qoQsannp0k&feature=youtu.be バックナンバーはこちらから ◎幸福実現党広報本部長・大門未来「ミキチャンネル」 http://www.youtube.com/user/mikichannelTV 高速増殖炉“もんじゅ”視察を通して 2014.02.08 文/HS政経塾1期生 湊 侑子 ◆日本は“もんじゅ”の実用化を諦めてしまうのか? 日経新聞が2月7日の第一面で、高速増殖炉“もんじゅ”に関して、「実用化に向けた目標を白紙に戻す」と報じました。 これに関して 菅義偉官房長官は「新たなエネルギー基本計画は現在検討を進めているところ」「方向性を決めた事実はまったくない」と否定しましたが、“もんじゅ”実用化のめどがたっていないことから、高レベル放射性廃棄物の量を減らす「減容化」の研究に転用する案が浮上しているようです。 そのため、2月中に閣議決定を目指すエネルギー計画で“もんじゅ”の位置づけが見直される可能性は大いにあると考えられます。 ◆高速増殖炉“もんじゅ”とは? ウランは、燃えるウラン(ウラン235)と燃えないウラン(ウラン238)の二種類で構成されています。燃えない部分の方が圧倒的に多く、燃える部分を1とすると、燃えない部分がその142倍も存在しています。 現在、一般の原発は燃えるウランを濃縮して燃料としています。そのウランの可採年数はあと100年であり、限りある資源です。 そこで、この燃えないウランを効率的に利用するための研究開発をしているのが高速増殖炉なのです。 高速増殖炉では、燃えないウランをプルトニウムに変えることで、発電しながらも使った以上の燃料を産み出し続けることができます。実用化できれば、未来永劫数千年のエネルギーを確保できます。それが、奇跡の施設である“もんじゅ”なのです。 ◆“もんじゅ”はどうして動かないのか? “もんじゅ”は1991年に完成し、1995年8月から発電を始めました。しかしその4か月後にナトリウム漏れの火災事故を起こし、停止。 事故対応に対するマスコミ批判や左翼住民による訴訟が起こったため14年半かけて運転再開しましたが、再稼働から3か月後の2010年8月に炉内の中継装置落下事故を起こして再度停止。 原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令が出され、福島第一原発事故の影響もあり、現在は停止しています。 ◆“もんじゅ”を取り巻く組織の問題点 2月5日、“もんじゅ”とその周辺の原発を視察しましたが、今回、行政の問題点を多く感じました。 まず、“もんじゅ”を運営する独立行政法人である日本原子力研究開発機構には、やはり詰めの甘さやお役所仕事の部分があったと感じました。 ただしマスコミは混同して本質を分からなくしがちですが、組織の内部の問題と“もんじゅ”の重要性は関係ありません。 組織改革を進めながらも、管轄する文部科学省は腰を入れて、高速増殖炉の必要性を国民とマスコミに訴える必要があると感じました。 ◆原子力規制委員会と政治家の問題点 更に、原子力規制委員会を構成する委員の偏向性や一方的な意見の押し付けにも疑問を感じました。 一日も早く原発を動かすためには、原子力規制委員会の安全基準を通過しなければなりません。 そのため例えば、福井県のある原発においては、耐震設計上考慮すべき活断層かどうかを調べる敷地内の破砕帯(断層)問題に、自社費で10億円以上をかけて用地を掘削させられています。 しかし原子力規制委員会は、一般的な理論を振りかざし、現場の意見には耳を貸さず、現場も一度しか見に来ていません。 具体的な判断基準も根拠も明確に示さない上で判断するとのことでしたが、それらは評価ではなくイチャモンのレベルであると考えます。 これが真に科学的、理論的な審査であるのか大いに疑問を持ちました。 この原因は、一つには原子力規制委員会が「三条委員会」と呼ばれる庁と同格の独立した行政組織で、独自に規則を制定したり告示を発出する権限を持つ組織であるところにあります。余りにも権限が大きすぎるのです。 また権限の大きさにも関わらず、取るべき責任が小さすぎるとも感じます。ただ、その根本には国の根幹であるエネルギー政策を、原子力規制委員会の判断に任せ、判断から逃げている政治家の弱さがあると感じました。 ◆夢の原子炉“もんじゅ”の実用化を諦めてはいけない! 世界は再び、高速増殖炉の研究に力を入れ始めています。フランスは2020年頃をめどに商業化一歩手前(実証炉クラス)の高速増殖炉を再び建造する動きがありますし、ロシアの研究も日本の先を行っているようです。 その他中国やインドでも開発が進んでいます。日本だけ遅れるわけにはいきません。 世界の人口は、2050年に約90億人に達すると考えられています。その中では、資源を巡っての争いが必ず起こってくるはずです。高速増殖炉が日本にあれば、将来のエネルギーを確保することが可能です。 ただし、“もんじゅ”の実用化を諦めれば、エネルギー自給率を上げて安定的なエネルギーの供給を行うことを諦めることになり、ひいては日本の発展を諦めることにつながります。その結果、他国に未来をゆだねることにもなりかねないのです。 日本は発展し、世界にその発展の基となる技術や思想を伝える使命があります。夢の原子炉“もんじゅ”の実用化は、絶対に諦めてはいけません。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第7回】 2014.02.07 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《海洋国家日本の国家戦略と安全保障》 今回と次回二回にわたり、迫りくる中国の軍事的な脅威に対して、日本はどのように防衛予算を使い、防衛力を強化すればいいのか――具体的政策について提案致します。 ◆日本に向けられた中国の長距離ミサイル群 ズバリ、日本防衛の核心は、「中国の『長射程ミサイル』への抑止力強化」にあります。 なぜなら、中国軍の日本に対する「核心的戦力」は、戦闘機などの通常の戦力ではなく、実は人民解放軍第二砲兵部隊(ミサイル部隊)と、海軍、空軍の中距離(核)弾道ミサイル、そして長距離巡航ミサイルであるからです。 つまり、もし中国が日本と本格的な軍事衝突に突入する意思を固めた場合、中国は戦闘機や潜水艦、軍艦などの従来の兵器を使った戦闘よりも、「(核兵器を含む)長距離射程ミサイルによる攻撃」によって日本を恫喝、または実際に攻撃する可能性が極めて高いからです。 その状況を、軍事戦略コンサルタントとして、アメリカ海軍等へのアドバイザーなどを務める社会科学者の北村淳氏は、日本のマスコミはほとんど報道しない、極めて重要な分析を次のように分析しています。 「中国軍は、日本全土を射程圏に収める中距離弾道ミサイルと長射程巡航ミサイルが(2012年時点で)少なくとも合計600~700基以上あり、日々、保有数は増加し続けている」 「長射程ミサイルは、中国本土の陸上からでも、上陸や海上や海中からでも、日本各地の戦略目標(たとえば原子力発電所、火力発電所、変電所、石油精製所、石油・天然ガス貯蔵施設、空港、港湾など)を破壊する攻撃能力を持っている」 「もちろん、中国の長射程ミサイルがすべて核弾頭を搭載した、いわゆる核ミサイルなら、実際に日本に向けて発射する際のハードルは極めて高いだろう」 「しかし、対日攻撃用の中距離弾道ミサイルには、核弾頭だけでなく非核弾頭も搭載されるし、各種長距離巡航ミサイルの主流は、非核弾頭搭載となっている。だから、こうした長射程ミサイルによる対日攻撃のハードルは、核ミサイルとは比べ物にならないくらい低い」 「さらに、長射程ミサイルによる対日攻撃では、東シナ海を舞台に軍艦同士がミサイルや魚雷などで撃ち合う艦隊決戦や、尖閣諸島上陸奪還戦といった水陸両用強襲上陸戦のように敵味方が正面衝突する」 「伝統的な戦闘とは違って、どんなに接近したとしても1000キロメートル以上の遠方から、通常は2000キロメートル前後あるいはそれ以上離れた地点から、日本各地の戦略目標を攻撃して破壊できる」 ◆自衛隊の兵器装備の課題 「現在の自衛隊は、訓練が行き届いた隊員を擁し、高性能な正面装備(潜水艦、駆逐艦、フリゲート艦、戦闘機、戦車、重砲など)を保有していても、中国本土の軍事目標に対して反撃を加える能力はまったくといってよいほど持ち合わせていない」 「したがって、中国軍が仮に日本各地の戦略目標を狙って弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルで攻撃したとしても、中国本土が自衛隊による攻撃や反撃を受ける恐れはまったくない」 「このように、中国軍の長射程ミサイルによる対日攻撃は、中国軍側の損害ゼロとなる一方的攻撃ということになる」 このように、日本における中国の軍事的脅威の核心は、通常兵器ではなく、核弾道ミサイルを含めた長射程ミサイル群(中距離弾道ミサイルと長距離巡航ミサイル)であることを、踏まえなければなりません。 であるならば、日本がとるべき国防政策は、中国が核及び長射程ミサイルで日本を攻撃できなくなるような、「抑止力」を持つことです。 「抑止力」の中でも最も確実なものは、中国が日本を攻撃すれば、それ以上の損害を与えることができるのが「報復的攻撃能力」です。 以上、次回は、中国の長距離ミサイル群から日本を守るための、この「報復的攻撃能力」について具体的に論じます。 「建国記念の日」特集(1)――国旗「日の丸」 2014.02.05 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆国旗・国歌に敬意を表すこと 国旗が掲揚され、国歌が演奏される、そんな時、あなたはどうしますか? 国旗の掲揚、国歌の演奏の際には、国民は起立して姿勢を正し敬意を表します。これが世界の常識です。 もちろん自分の国の国旗・国歌だけではなく、外国の国旗・国歌にも同じように尊重し敬意を表すのが世界の常識なのです。 下記の話は神奈川県の某高校の校長先生にお聞きした話です。 アメリカに短期留学した日本の高校生が、米国の記念式典に参加した際、米国の国旗掲揚と国歌が流れた際、アメリカ国民は起立しました。しかし日本の高校生は座ったままでどうしていいかわからなかったのです。 日本では国旗・国歌に敬意を表す人はあまりいません。なぜなら戦後教育で、軍国主義の象徴であるとして国旗・国歌の本当の意味を教えてこなかったからです。 では、国旗や国歌にはどのような意味があるのでしょうか。今回は、「国旗」に焦点を当ててみましょう!(「国歌」は次回解説します。) ◆国旗は独立国家のシンボル 国旗とは、その国を象徴する旗、つまり国のシンボルです。国連に加盟している国は約180か国ありますが、独立国家として国旗がない国はありません。 国を代表して国際的な会議やオリンピックなどに参加する場合は、自国の国旗を掲げて参加の証としています。 国際法上でも外国で航行する船は、必ず自国の国旗を掲げることを義務づけされています。それによって安全に航行できるのです。 ◆国旗は国の成り立ちを表す 国旗は、その国の歴史、伝統、宗教、文化の中から生まれたもので、建国の理想や国民の願いが込められています。 例えば、国の成り立ちを表している国旗としては、アメリカの星条旗で、州が増えるごとに星の数を増やしてきました。 宗教的伝統を国旗に表現した国としては、例えば、ヨーロッパ諸国の国旗に多く見られる十字の印は、キリスト教を表しています。また中東の諸国の国旗に見られる三日月はイスラム教のシンボルです。 色にも意味があり、フランスの国旗は三色旗と呼ばれ青が自由、白が平等、赤が博愛を意味しています。このように国旗には、その国の宗教や伝統、文化、国民の願いなど深い意味が込められているのです。 国旗に敬意を払うということは、まさにその国そのものに敬意を払うことです。それは自国に対してだけではなく、外国の国旗に対しても同様です。 ◆日本の国旗「日の丸」の歴史 では日本の国旗「日の丸」はどのように生まれたのでしょうか。そこには、日本の国の成り立ち、日本の国の役割、使命が込められています。 日の丸は「日章旗」と呼ばれ、「太陽」を表しています。この日の丸のルーツは、いまから約1300年前、文武天皇の時代に朝廷の正月の行事で金色に輝いた太陽を描いた「日の丸」の旗を用いたところにあります。 日本人は古くから太陽の象徴でもある天照大神を信仰し、自らの国を「日出ずる国」、つまり「太陽の昇る国」と呼んでいました。そして八世紀には、「日本」という国名が使われるようになったのです。 豊臣秀吉の時代から徳川時代には、東南アジアと貿易をした際に朱印船にも「日の丸」が掲げられました。 幕末には、日本の船として初めてアメリカに渡った咸臨丸に「日の丸」が掲げられ、こうして明治以降、「日の丸」は日本の国旗として引き継がれてきました。 ◆「日の丸」に込められた日本の使命 アラビアの言い伝えに「世界が戦乱状態に陥るとき、星の国旗が武力で世界を統一し、月の国旗がそれに対抗し、最後に太陽の国旗が平和をもって統治する」という言葉があります。 日本は、「大和(やまと)の国」として世界を「丸く」まとめる役割があります。私たちの祖先は、太陽のように世界を照らしていく使命を「日の丸」の国旗に表したのです。 その理想を実現すべく日本を輝く太陽にして世界を照らす国をつくってまいりましょう! 【紹介】幸福実現党広報本部長・大門未来「ミキチャンネル」 幸福実現党・大門未来広報本部長が世界の国旗と比較しながら日本の国旗「日の丸」についてわかりやすく説明します。 ◎幸福実現党広報本部長・大門未来「ミキチャンネル」 http://youtu.be/QxwxOXdIjnA ※バックナンバーはこちらから 毎回3分間で、時事問題や政策などをわかりやすく解説 ◎幸福実現党広報本部長・大門未来「ミキチャンネル」 http://www.youtube.com/user/mikichannelTV すべてを表示する « Previous 1 … 66 67 68 69 70 … 101 Next »