Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 次世代の子どもたちに希望を与えるために 2015.08.05 文/幸福実現党・兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆どうして若者が左翼勢力に取り込まれるのか 安全保障関連法案成立に反対するマスコミが、自分たちの意見の反映として大々的に取り上げているのが若者の活動です。 代表的な大学生団体の「SEALs(シールズ)」は、毎週金曜日に首相官邸前に集結。学者の会や高校生団体とコラボレーションしながら、安全保障関連法案の成立反対運動を行っています。 この流れに乗って、今までは政治運動に関心がなかった人たちも、活動に参画しはじめています。 「安保関連法案に反対するママの会」企画の母親たちのデモが7月にありました。 今回の「誰のこどもも ころさせない」というメッセージ性とマスコミの煽る不安感により、はじめてのママが多数参加。渋谷の街を1500人ほどがベビーカーなどを押しながらのデモだったようです。 このデモにも参加した一団体、ママデモのHP(http://happymamademo.jimdo.com/)には、「反原発、脱被爆、反TPP、秘密保護法反対、集団的自衛権・基地いらない、NO WAR…」「参議院議員 山本太郎さんを応援しています」とあります。 ここだけであれば偏った感じを受けますが、テーマカラーのピンク色とやわらかい文字書体、マイクを持って涙ながらに訴える一般ママたちの姿により、中和されました。 このメッセージに共感して集まってきたママや若者たちが仲間になっていくのです。 ◆他人を認める寛容さこそが日本の美点 タレントのつるの剛司さんがツイッターで「『賛成』の意見も聞きたいなぁ。」「賛成派も反対派も平和への想い、戦争反対への想いは同じ。」とつぶやけば、「ばかじゃないのか」「戦争賛成か」とのコメントが続き、炎上しました。 自民党の武藤議員が、「法案が成立しても戦争に行くことはなく、扇動とか間違った情報に基づいて若い人が誤解し、だまされている」と語ったことには、マスコミが大きく反発しました。 安保法制に対して賛成もしくは中立公平な意見を述べると、こぞって攻撃する姿は異様です。自分にとって“正しい事実”であることが、他人にとっても“事実”であり“真実”であるとは限りません。 自民党政治を独裁と批判し、民主主義を求めるマスコミや左翼陣営ですが、自分と違う意見を持つ人に対して感情的に執拗に攻撃をする姿こそ、自由や民主主義から最も遠い姿のように思います。 ◆若者の目を、世界に!次世代に! 安保法制反対運動は、おしゃれでかっこいいものを身につけながら、スマートな活動の中で意見を発信している、という若者の心を満たしています。 ただ、一歩外に出て、海外事情を見るとどうでしょうか。安全保障法制が閣議決定後、東アジア各国は日本に大きな称賛をしました。 フィリピンのアキノ大統領は日本の衆参両院合同会議の中において、「本国会で行われている審議に最大限の関心と強い尊敬の念をもって注目しています」と述べております。 ベトナムのズン首相は、日本の地域及び国際社会における平和と安定のための貢献を高く評価しました。 フィリピンのデルロサリオ外相は、アメリカが関係各国に提案中の南シナ海での埋め立てや建設行為の禁止について「全面的に支持する」との独自の声明を発表しています。 しかし、多くの若者はこの事実を知りません。 国会の審議の中でさえも、中国の南シナ海と東シナ海における脅威、周辺諸国の現状と日本に対する期待をきちんと国民に説明をしてこなかったことこそ、日本政府の失態であります。 わが子のことを心配するお母さんたちが望んでいる平和の実現は、東アジアの安定なくしては成り立ちません。 東アジアの安定がいかほど重要かは、先の大戦で亡くなっていかれた先輩たちが、一番良く分かっておられたのではないでしょうか。 今の日本があるのは、間違いなく先人の方々のおかげです。私たちも後世の人々のために働きたいと思います。 安全保障関連法案の早期成立、そして正しい歴史と世界の期待に基づいた安倍談話発表、を訴えてまいります。 インテリジェンス機能強化へ――真のリーダー国家としての条件 2015.08.04 文/HS政経塾5期生 水野善丈 ◆米国、日本を盗聴 内部告発サイト「ウィキリークス」は31日、米国家安全保障局(NSA)が2006年から日本政府や企業35か所を対象に盗聴を行っていたことを明らかにしました。 これに対して一部の政府高官は「情報の世界では、首相や閣僚は盗聴されていることが当然だと思って対応するのが普通だ」(産経)と述べていますが、今後、防止策はしっかりと考えなければならないでしょう。 日本では、2014年に「秘密保護法」、今月には産業スパイの防止のため「改正不正競争防止法」が可決され、国内からの情報流出を避ける改革を進めている矢先に発覚しました。 ◆世界の情報機関 2013年にも米政府が独メルケル首相を盗聴していたことで話題となりましたが、国際社会においては外交の前段階として、諜報活動や情報収集は国家をあげて取り組まれています。 またその取り組みは、単に情報を集めるだけでなく、情報機関によって分析や評価の加えられた生きた情報、つまり、「インテリジェンス」を吸い上げ国家戦略に生かされています。 こうした「インテリジェンス」を担った情報機関は世界各国に存在しています。 アメリカでは、国家情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)などの15機関があり、イギリスでは、保安局(MI5)、秘密情報部(SIS)などが存在し、フランス、ドイツ、ロシア、イスラエルなど各国もこうした情報機関を持っています。 ◆日本における情報機関の現状 日本には、内閣情報調査室を中心に、警察庁、外務省、防衛省、公安調査庁、海上保安庁など様々情報機関は存在し、内閣情報会議や合同情報会議など取りまとめる委員会もあります。 しかし、そうした情報機関や委員会があるにも関わらず機能しきれていないのが現状です。 例えば、各情報組織において所掌や予算、定員や影響力などをめぐって競合しており、相互の積極的な情報共有はなく、情報を集約し官邸に伝達する体制が非常に弱くなっています。 また、各組織も人的情報(ヒューミント)手段がほとんど無く、対外情報収集に弱いという弱点もあり、情報機関の力が発揮できていません。 ◆情報力の無さが露呈した事件 この日本政府の情報収集力、分析能力に致命的欠陥があることが露呈したのが、2013年発生したアルジェリア人質事件でした。 当時は現地から政府へ情報は全く入らず、イギリスやアルジェリア政府や海外メディアが流す情報でしか判断することができず、外務省をはじめ各省庁には一次情報を収集する手段すらありませんでした。 また、2014年に起きたISISによる日本人拘束事件も同様な状況で、政府は全力で救出のために努力しましたが、独自で現地の情報を得られず現地に繋がりを持たない日本は外務副大臣を急遽送り対応するしかできない状況でした。 こうした中で、安全保障関連法案が可決の見込みが出て、邦人救出への自衛隊の法整備は改善されつつありますが、まだ諸外国における情報収取力、分析能力に欠けた状況では安全保障上も万全とは言えません。 ◆インテリジェンスに強い国家こそ真のリーダー国家となれる 以上のように、めまぐるしく変化する国際情勢の中で、主権国家としてインテリジェンス機能を保持することは必須です。 そして、在外邦人救出を念頭においても情報収集の機能強化を考えなければいけませんし、今後、日本がリーダー国家として主体性を持ち国家戦略を立てていく上でもインテリジェンスを強化する体制は検討されなければなりません。 また、現実に検討される際には、政府の情報機関を国会や世論がいかに監視しコントロールするかということも極めて大切なキーワードとなっていると思われます。 なぜなら、世界の情報機関では、政府とは別の知らないところで活動し諸外国と軋轢を生じさせ、国家戦略に反する事例もあるためです。 民主主義の政治体制をアイデンティティとする日本は、世界のインテリジェンスを見ながらも日本独自のインテリジェンスを構築してこそ、世界を正しい方向へ導いていける真のリーダー国家へとなれるのだと思います。 10月10日、北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射実験? 2015.07.30 文/HS政経塾スタッフ 遠藤 明成 日本の各紙では安保法案の衆院採決に伴う安倍政権の支持率低下を報道しています。 しかし、日本が「平和安全法制」を撤回したとしても、中国や北朝鮮が軍拡を止めるわけではありません。 ◆10月10日に北朝鮮が長距離弾道弾の発射実験を行う? 例えば、共同通信は5月に北朝鮮が10月10日(朝鮮労働党創建70周年)にミサイル発射実験を行う可能性を示唆しましたが(「北『衛星』10月打ち上げ指示」5/19、47news)、最近はその準備の進展ぶりが各紙で報道されているのです。 ★7月22日:聯合ニュース日本語版「北朝鮮北西部の基地長距離ミサイル発射台完成か」 増築された発射台から、2012年の「2倍の大きさの長距離ロケットを発射できる」という軍と情報当局の分析を紹介。 ★7月25日:読売新聞電子版「北朝鮮、ミサイル開発強行…エンジン燃焼実験」 北朝鮮の東倉里(トンチャンリ)基地で射程1万キロ以上の弾道ミサイルのエンジン燃焼実験が7月半ばに行われたとの韓国政府関係者の見解を紹介。 7月28日に、北朝鮮の国連大使はニューヨークの記者会見で、このミサイル発射実験について「いかなる可能性も排除しない」と述べました。 10月10日に北朝鮮が大陸間弾道弾の発射実験を行う可能性はかなり濃厚になってきています。 ◆1年経っても出てこない拉致問題の再調査報告 また、北朝鮮は昨年7月に日本人拉致被害者と特定失踪者の安否に関して再調査開始を約束しましたが、本年7月3日には調査報告の延期を日本政府に伝えています。 これに抗議し、拉致被害者家族と「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」は、7月22日に「全拉致被害者を取り戻す緊急国民集会」を東京で開催しました。 そこでは全被害者の一括帰国や帰国できない場合の制裁極大化などを求めることが決議され、同日には次世代の党の平沼赳夫党首を会長とする「拉致救出議員連盟」も制裁強化の要望書を政府に提出しました。 ◆北朝鮮への制裁の現状 06年、09年、13年の核実験を行った北朝鮮に、日本は以下の経済制裁を課してきました。(以下、安全保障貿易情報センター「北朝鮮に対する経済制裁措置」を参照) 1北朝鮮籍者の原則入国禁止 2全北朝鮮籍船の入港禁止 3北朝鮮を仕向地とする全貨物の輸出禁止 4北朝鮮を原産地または船積地域とする全貨物の輸入禁止 5北朝鮮と第三国間との移動を伴う貨物売買、貸借、贈与に関する取引(仲介貿易取引)禁止 6輸入承認を受けていない、原産地または船積地域が北朝鮮である貨物の輸入代金支払の禁止 このうち、昨年7月以降、北朝鮮との人的往来の制限や北朝鮮籍船への入港禁止などが緩和されました。 「人道物資」の輸送などを北朝鮮籍船が行うことが容認され、北朝鮮に住所や事務所等を持つ個人・法人は同国で3000万円以下の支払いを行った場合に日本政府への報告義務を課されなくなったのです。(それ以前は300万円を超える支払いに報告義務があった) ◆誠意ある報告がなければ、北朝鮮への強硬策を打ち出すべき 再調査開始の見返りに制裁が一部解除されましたが、北朝鮮からの調査報告はないままに、本年も威嚇的な短距離ミサイルの発射などが行われました。 北朝鮮は短距離ミサイルを2月8日には5発、3月2日に2発、4月3日には4発発射。 150mの模擬弾ではありますが、5月9日には「潜水艦発射型弾道ミサイル」の発射実験を行っています。 この状況に対して、日本側は「遺憾だ」と言うだけではなく、政府として「被害者救出や拉致事件の真相究明に資する報告を出さない限り、制裁を再強化する」と明確に意思表示すべきです。 本年4月には、北朝鮮の人権侵害に対して、米政府当局者が「日本側から制裁の要請や(拉致の責任者、実行犯らに関する)情報提供があれば制裁対象として検討し得る」と語ったことも明らかになっています。(共同通信2015.4.19、47news) 引き伸ばし策を許さないために「8月末」等と期限を示し、報告の内容が杜撰であれば、全拉致被害者の帰国を要求すべきです。 その時には、制裁を再強化し、米国とも連携しながら包囲網を広げる強硬策への政策転換が必要だと言えます。 原爆投下の前に米国がなすべきだった事 2015.07.17 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆米軍予想「死傷者100万人」に大義はあったのか 今年は、終戦70周年であると同時に「原爆投下70年」の年でもあります。米軍は昭和20年8月6日に広島、8月9日には長崎で人類に対する原爆投下を行いました。 この2発の原爆で少なくとも合計20万人以上の死者・行方不明が報告され、この兵器がその後の戦争と国際政治のあり方に、革命的な変化を起こす事になりました。 しかし、広島・長崎への原爆は非戦闘員である一般市民をも狙ったもので、人道的に許されてよいものでしょうか。 しかも米国側の“言い訳”として「米軍が日本に上陸した場合に米兵に100万人の被害が予想される。彼らの命を守るために原爆を投下して終戦に持ちこんだ」と述べております。 当時の米国の原爆投下という判断が正しいものであったのでしょうか。 ◆米国側の「無条件降伏」の意味は? 大東亜戦争末期、米軍はペリリユー島、硫黄島、沖縄で日本軍と激しい戦いを繰り広げ、日本帝国陸軍最高クラスの指揮官、最強の軍団との戦いで、当初の予想をはるかに上回る犠牲を強いられました。 そうした意味で、沖縄戦の終了後、米軍側のシミュレーションで「本土上陸すれば米兵100万人の被害が出る」という予想が出たことも理解できます。 しかし一方、連合艦隊も消滅した日本には、実質的な本土防衛の手段は残されていませんでした。 したがって沖縄戦後の戦いは、ボクシングに例えれはノックダウンしたボクサーの上に馬乗りになって一方的にパンチを浴びせ続けている状態と言ってもよかったのです。 そうした中、米国側の条件として出されていたのが「無条件降伏」というものでした。 これは、最初、米国ルーズベルト大統領が唱え、後にトルーマン大統領へ受け継がれますが、この基本方針の結果、終戦の可能性を探っていた日本としては、「国体(天皇制)の維持」が明確にされていないという事が大きな懸念となりました。 つまり「天皇陛下が処罰される可能性」もあったために、戦争を継続せざるを得ない状態に追い込まれていたのです。 そして1945年7月17日よりドイツ郊外のポツダムに米英ソの三国の首脳が集まり、「日本に対する降伏勧告」と「戦後処理」について協議を行いました。この直前に米国において人類史上初の原爆実験が行われ、成功しています。 連合国三首脳による協議の結果、日本に対して「ポツダム宣言」が発表され、終戦へ向けての「条件」が示されました。 その宣言には、日本政府が期待していたはずの「国体(天皇制)維持」への言葉はなく、日本は最後の最後まで戦い抜く」という意思を貫きました。 一方、原爆実験を成功させた米国側は、日本のどの都市を標的にするか、様々な研究を重ね、最終的に残ったのが、新潟、広島、小倉、長崎の4都市でした。 候補として挙げられたこれら4都市については、B29等による「通常の爆撃」が控えられる事となり「これらの都市は大丈夫だ」という噂が流れ、人口の流入があったそうです。 そして、運命の8月6日、9日を迎えます。原爆投下は、米国政府、米軍の中で詳細な計画の下に実行されました。原爆投下後、米国は唯一の原爆保有国として、国際社会で圧倒的な力を持つことになりました。 ◆「米兵100万人」を救うために「休戦」の判断はできなかったのか このように、「米兵100万人」の命を救うために行ったとされる原爆投下ですが、米政府が自国の兵士の命を守りたいのなら、より平和的でより人道的な方法があったはずです。 たとえば「休戦」という選択肢です。「無条件降伏」なるものをとりさげ、「国体(天皇制)を維持する」と明確にすればよかったのです。ポツダム宣言でそれを明確にしていれば、日本政府は直ちに受け入れた事でしょう。 それを知りながら、最後の最後まで「無条件降伏」にこだわった米国政府・米軍首脳の判断が、本当に正しい者であったのかどうか、「人道的な観点」から、今後、歴史の法廷で明確に裁かれるべきです。 現在、日米両国は、日米安保条約に基づき同盟関係を結び、その結果、日本も経済的な繁栄を享受してきました。これも米国が我が国を支援してきことが大きかったものと思います。 そして、幸福実現党としても、この同盟関係を維持・深化させていくことが大切だと訴えています。 しかし、大東亜戦争で行った行為・判断について、米国の判断として誤ったものについては、謝罪し、修正すべきところは修正すべきであると考えています。 そうした意味で、米国が、広島・長崎で20万人、東京大空襲で10万人もの非戦闘員を殺傷した事については、米国政府として日本に謝罪するべきです。 また、東京裁判の折に、連合国側が暗に「日本軍も南京で30万人もの市民を虐殺したのだから、原爆投下・東京大空襲は認められてもいい」とその正当性を訴えてきたと思われますが、その誤った歴史認識についても修正しなければなりません。 戦後70年たち、日本も世界のリーダーとなるべく、新たな段階に入る時がきました。そのためには、自虐史観を払拭し、大東亜戦争に関しての歴史認識を改める必要があります。 ぜひ、幸福実現党の「日本の誇りを取り戻す」活動へのご理解とご協力を賜りますよう、お願いいたします。 参考「ザ・リバティ」8月号24、25頁 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1501 安保関連法案の議論から考えるマスコミ報道のあり方 2015.07.16 文/HS政経塾部長 兼 幸福実現党事務局部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆山場を越えた安保関連法案 安全保障関連法案が、7月15日に衆院特別委員会で可決され、16日の衆議院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決されました。 これから、参議院に安保関連法案を送付して、採決することになります。 参議院で議論が紛糾して、法案の採決ができなかったとしても、憲法59条に定められる「60日ルール」に基づき、9月14日以降に、衆議院で3分の2以上の賛成があれば、法案を成立させることができます。 与党は、衆議院で325議席を占めており、3分の2に当たる317議席を超えていることから、今回の衆議院での可決により、今国会の会期中(9月27日まで)での成立が見込まれています。 ◆国民の理解が深まる建設的な議論へ 衆院特別委員会では審議時間を、当初想定していた80時間を大幅に超えて、約113時間とったものの(1960年以降6番目の長さ)、野党側の「審議は尽くされていない」の1点張りで、議論そのものが深まらない状況になっていました。 参議院でも、野党側の反対攻勢は続くと思われますが、ぜひとも国民の理解が深まるように「反対のための反対ではない」建設的な議論を期待したいところです。 ◆マスコミ側もフェアに説明の機会を設けるべき 各社の世論調査でも安保関連法案について、政府側の説明が丁寧ではないという結果が出ています。 これは国民側のニーズでもあるわけですから、マスコミとしては「なぜ安保関連法案が必要なのか」を説明する機会をフェアに設けるべきです。 説明の場を与えないという「黙殺権」を行使して、さらに安保関連法案に伴う懸念ばかりを報道するのであっては、国民の知る権利に応えているとはいえません。 安保関連法案の議論の推移とともに、マスコミ各社がジャーナリズムにおける本来の責務を果たしているのかどうかも浮き彫りになってくるはずです。 ◆議論の全体像を伝える配慮を 安保関連法案の議論の高まりと合わせて、法案に反対する若者の動きもクローズアップされています。 その中で、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)という団体があります。 本団体のホームページには、「戦後70年でつくりあげられてきた、この国の自由と民主主義の伝統を尊重します」とあり、日本国憲法の理念を守ることを表明し、安保関連法案にも反対しています。 ただ、戦後70年の間を見ても、なぜ自衛隊が創設されたのか、また集団的自衛権の解釈についても変遷しています。 さらに、日本からは平和的に「法の支配」を呼びかけているにもかかわらず、力による「現状変更」の姿勢を変えない隣国に対応するために安保関連法案の議論が出てきており、国際的には日本に賛同の意を表明する国が多いわけですが、こうした経緯については触れられていません。 このままでは、若者の熱心な活動も、リベラル陣営を築いてきた大人の意見を、定見を持たずに代弁することにもなりかねません。 ◆若者への押しつけではなく、見識を育む発信を 6月に選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる改正公職選挙法が可決され、来年2016年の参議院選挙から、18歳以上からの投票が可能になります。 低迷する20代の投票率(32.58%・第47回衆院総選挙)を考えても、若者が政治に関わり意見表明することは素晴らしいと思います。 しかしながら、投票権を18歳からにしたのであれば、これまで以上に、教育の場やマスコミ報道等で、議論の全体像を伝える配慮が必要です。 少なくとも賛成・反対の両論を併記するなど、様々な創意工夫の余地があるはずです。 幸福実現党は、若者の幸福にもっと奉仕できる政治の実現に向けた取り組みの一環で、「考えよう!国のこと。政治関心度アンケート」を行っています。 若者世代が、政治に関心を持てるよう創意工夫し、見識を育むことへの貢献は、各政党が取り組むべき、公の責務であるはずです。 ◆より公正なマスコミ報道への契機に 安保関連法案に関する議論の高まりと、18歳投票権という若者の政治参加の広がりは、マスコミ報道のあり方を再度考えるチャンスなのかもしれません。 議論の全体像を掴めるように配慮し、国民に対して責任を負った、より公正なマスコミ報道へと繋げていくべきです。 集団的自衛権の行使を容認する安保法制成立を 2015.07.10 文/幸福実現党スタッフ 荒武 良子(あらたけ・りょうこ) ◆安保法案で争点となっている「集団的自衛権」 現在、国会では、安全保障関連法案の制定をめぐって議論がされています。今回の安保法案の最大の焦点は、「集団的自衛権」の行使を容認する内容となっていることです。 集団的自衛権とは、自国が直接攻撃を受けていなくても、密接な関係にある他国が攻撃を受けた際、反撃できるという、国連憲章第51条で認められた権利です。 ただし、これまで日本政府は、集団的自衛権の行使について、「集団的自衛権を持ってはいるが、憲法9条下において認められる、自衛のための必要最小限度を超えることになるため、その行使は許されない」としてきました。 ◆日米安保条約について 戦後、アメリカは、日米安全保障条約に基づき日本を守ってきました。日米安全保障条約は、1951年、日本の独立を認めたサンフランシスコ平和条約に基づいて、締結された条約です。 条約では占領軍のうち米軍に引き続き駐留する権利を与え、米軍は「極東アジアの安全に寄与し、日本への武力侵攻等に対し援助する」として、米軍が、日本の防衛を助けることになりました。 1960年の安保改定の時には、10年間、米軍駐留を延長することとなり、10年後以降は、1年前の通告で、条約破棄ができる規定となりました。 なお、10年後の1970年以降も破棄されておらず、現在も日米安保条約は有効です。 ◆日米安保破棄の可能性 現状、日本は、集団的自衛権行使を認めていないため、アメリカは、日本への第3国からの攻撃に対し、防衛しますが、日本は、アメリカへの第3国からの攻撃に対し、共同して防衛できないこととなっています。 アメリカが日本防衛のために戦っているときに、日本はアメリカを防衛することができません。 例えば、尖閣で紛争が起きたときに、アメリカ軍が中国と戦ってくれた場合、日本は、自国が攻撃されたときには防衛できますが、アメリカ軍が攻撃された時には防衛できません。 しかし、この現状では、軍事同盟として機能しているは言えず、日米安保条約を破棄される可能性があります。 ◆国連は助けてくれるか 日本有事の際に国連軍が助けてくれるという考え方もあります。 しかし、世界の平和及び安全の維持のために設立された国際連合の国連軍は、正式には一度も派遣されていません。 国連軍を派遣するためには、米・英・仏・露・中の5常任理事国の全会一致が必要なのですが、資本主義陣営(米・英・仏)と、社会主義陣営(中・旧ソ連)の間で対立が起きたのです。 また、国連は、第二次世界大戦の戦勝国の連合であり、国連憲章では、日・独・伊などへの軍事行動が取りやすくなっているなど、基本的には、先の大戦の勝敗の延長上に、「世界の平和及び安全の維持」を考える傾向があります(旧敵国条項53条 107条)。 このため、例えば、韓国との間で紛争が起きた場合、紛争の調停をする役割の国連事務総長が韓国人であったならば、国連軍は韓国の側につくことがありえます。 ◆南シナ海の軍事的脅威 現在、南シナ海の南沙諸島をめぐって、中国とベトナムが領有権を争っています。 オバマ大統領は7日、ホワイトハウスでベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長と会談し、「(南シナ海問題は)平和や安全保障、安定を脅かす」と発言、中国をけん制しています。 また、安倍首相が6日中国の南シナ海での岩礁を埋め立て、軍事基地を建設中であることに対して懸念を表明したところ、中国外務省の華副報道官は、「当事国ではない日本は、言動を慎むよう求める」として、反発しています。 しかし、南シナ海は日本にとって、石油輸入のための重要なシーレーンです。当事国として発言すると同時に、日本の平和を守り、日米同盟を強化するためにも、安保法案を成立すべきです。 ◆日本の存立と世界の平和維持のため安保法制の制立を 以上のように、中国など、隣国に軍拡を続ける国があり、国連が十分に世界の平和を守れない現状では、日本の平和および南シナ海域の安全を守るには、日米同盟の維持が必要です。 日本は、集団的自衛権を行使し、アメリカと協力して世界の平和に貢献していくことが必要です。 我が国の存立と世界の平和を維持するため、集団的自衛権の行使を容認する安保関連法制は制定されるべきです。 参考:『現行日本国憲法をどう考えるべきか』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1103 鹿児島県・馬毛島へ米軍空母艦載機のFCLP移転実現に向けて 2015.06.30 文/幸福実現党 鹿児島県本部 副代表 兼 HS政経塾 4期生 松澤 力(まつざわ・いさお) ◆賛否が割れるFCLP移転問題 統一地方選後半戦として4月26日に鹿児島県・中種子町で行われた中種子町長選は、無所属新人の一騎打ちとなり、企業経営の経験を強調して町政刷新を主張した田淵川氏(53)が初当選しました。 田淵川氏は今後の抱負の中で、防衛省が近隣の西之表市・馬毛島に計画する米軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)の訓練場移転への対応について、以下のように語りました。 「町内でも賛否が割れているので、中立の立場で町民の意見を聞き、国から情報収集したい」(4/27 西日本新聞) FCLP移転については、民意が分かれている状況です。 ◆高い技術が求められる「空母への離着陸」 FCLPとは、空母出港前に必要な訓練であり、空母艦載機が空母に安全に着艦できるようパイロットの練度を維持するため、飛行場の滑走路の一部を空母に見立てて実施する着陸訓練のことです。 滑走路長が300m程度しかない空母への離着陸は高い技術を必要とします。また、現代の空母艦載機は昼夜を問わず出撃する可能性があり、そのため空母艦載機パイロットには夜間離着陸訓練も義務づけられています。 FCLP訓練は年間概ね2~3回となっており、1回当たりの訓練期間については10日間程度になっています。また、事前の準備・訓練などを含めると概ね30日程度となっています。 訓練は日中から深夜にまで及ぶこともあります。空母出港直前に訓練は特に集中して行われ、滑走路の周囲を複数の機体が旋回しながらタッチアンドゴーが繰り返されます。 ◆検討が続けられてきたFCLP移転 日本では、アメリカ海軍第七艦隊の空母ミッドウェイが横須賀基地を事実上の母港とし、厚木海軍飛行場を艦載機の基地として利用するようになりました。 しかし1973年以降、厚木海軍飛行場でのアメリカ海軍の空母搭載艦載機訓練に伴う騒音問題が取り上げられるようになってきました。現在の空母搭載艦載機訓練は、厚木から1000km離れている硫黄島で行われています。 今後の在日米軍再編の一部として、空母艦載機の岩国基地移転が検討されています。 防衛省では、艦載機の岩国移転を視野に入れて、岩国から400㎞離れた鹿児島県西之表市・馬毛島にFCLP訓練を移転させることを検討しています。 馬毛島は、河川がなく地質は農業に適さないことや地勢が低く平らな島であることもFCLP訓練の移転検討につながっている点であるとみられます。 平成23年6月21日には、日米両政府が日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催し共同文書を発表しました。その中で、在日米軍再編の一環として馬毛島が米軍の空母艦載機離発着訓練の恒久的な施設の候補として明記されました。 ◆馬毛島へのFCLP移転メリット――国防と日米同盟の強化 馬毛島へのFCLP移転検討については、米軍訓練施設の移転や規模拡大による軍事基地化への警戒、地域や自然への悪影響、騒音被害や不慮の事故への懸念など、住民の方々から移転反対の声も出ている現状です。 一方、私は、この馬毛島へのFCLP移転のメリットも冷静に把握しておくべきではないかと考えております。メリットの一つとして「防衛体制強化」があります。 FCLP移転計画の中で、防衛省は馬毛島に整備する、南西諸島の防衛体制を充実させる自衛隊施設の概要やFCLPの飛行ルートなどを明らかにしています。 また、自衛隊施設では、揚陸艇や輸送ヘリでの上陸や空挺部隊の訓練を行い、陸海空自衛隊の拠点とするほか、支援物資なども備蓄する予定です。 なお、自衛隊員宿舎を種子島に建設し、米兵の宿舎は馬毛島に建設することも明らかになっています。 中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で着々と軍事施設の建設を進めている中、鹿児島県・馬毛島に自衛隊訓練基地・陸海空自衛隊の拠点や在日米軍の訓練施設があることは、鹿児島の離島にお住まいの島民の方々の安全確保や南西諸島及び日本全体の防衛にとって、大きな意義のあることだと考えます。 馬毛島での自衛隊・在日米軍の連携によって、日米同盟の強化にもつながることが期待されます。 また、もう一つのメリットとして「大規模災害時の体制強化」です。 今年5月29日には、鹿児島県屋久島町の口永良部(くちのえらぶ)島の新岳で爆発的噴火が発生しました。島民の皆様は、全島避難の指示を受けてフェリーで避難されました。 このような大きな災害が周辺で発生した場合にも、FCLP移転により、馬毛島は全国の陸海空自衛隊が集結・展開する拠点となる予定です。特に周辺住民の方々には、非常に心強いことだと考えております。 今回は、鹿児島県・馬毛島へ米軍空母艦載機FCLP移転の実現に向けて書かせていただきました。実現に向けては、さらに努力が必要であると思われます。移転反対を主張されている方々にも丁寧に内容をお伝えし、鹿児島、そして日本の未来の平和実現のために、今後も活動して参ります。 日ロ協商という独自外交の道を拓け! 2015.06.24 文/幸福実現党・山形県本部副代表 城取良太 ◆日本に誘い技をかけるプーチン大統領 ロシアのプーチン大統領は20日、サンクトペテルブルグでの経済フォーラムに集まった世界各国の通信社と会見し、北方領土問題について「全ての問題は解決可能であり、そのために会談が必要」と安倍首相との首脳会談に意欲を示しました。 一方で、昨今の日ロ関係の冷え込みは、ウクライナ問題で制裁を科した「日本側の責任」とも指摘し、関係改善を図る動きを見せなければ、年内の訪日自体が困難となることも示唆しております。 プーチン大統領の発言を受けて、G7首脳会議に出席していた安倍首相は、ヨーロッパ各国の首脳と相次いで会談し、ロシアとの対話の必要性、プーチン大統領の来日実現について理解を求めました。 北方領土問題を「任期中に解決しなければならない」と強い意欲を表明している安倍首相ですが、ロシアへの国際的な圧力を重視するアメリカは、プーチン大統領の来日計画に警戒感を抱いており、安倍首相が4月に訪米した際にも、オバマ大統領から慎重な対応を求められた経緯もあります。 北方領土問題解決のための日ロ首脳会談に向けて、同盟国であるアメリカの説得が「最大のヤマ」となるのは、実に皮肉な結果であると言わざるを得ないでしょう。 ◆日本でロシアは嫌われ者? 国内に目を向けても、歴史認識、憲法問題等をはじめ、日本に内政干渉を行おうとする中国、韓国には擁護的な言論も少なくない一方で、現代においてはさほど対立関係を持たないロシアに対して、同情的な論調というのは驚くほど限定的です。 確かに、第二次世界大戦直後、ソ連の北方領土占拠やシベリア抑留など、理不尽な行為に対する根深い嫌悪感、不信感があるのは致し方ありません。 日本の保守メディア・言論人においても、ロシアは経済・エネルギー協力をちらつかせながら、欧米内部の攪乱、日本と欧米の分断を図る「悪役レスラー」という位置づけが固定化しており、欧米との連携を強調する、いわば「親・欧米保守」的な論調が一般的と言えるでしょう。 しかし、冷戦後誕生したロシアは国際法上の権利を継承してはいるものの、マルクス・レーニン主義を掲げたソ連邦とは明らかに異なる価値観に根ざした「別の国」であるという点も事実であり、国家と民族の混同は好ましくありません。 日本政府、国民一般にも広がるロシアへの冷淡さは、ロシア国内でも「日本は反露的だ」との世論を高める要因となっており、この点が払拭できない限り、健全な日ロ関係構築は難しい状況が続くはずです。。 ◆日ロ関係の進展でもたらされる3つの成果 しかし、日ロ関係の進展によって、日本が得られる成果は3つあるはずです。 第一として、経済・エネルギー分野での協力関係の構築が挙げられます。 プーチン大統領は、極東シベリア開発での日本との関係強化に具体的な構想を持っており、インフラ整備、エネルギー資源開発、宇宙開発、または農業分野などで「主要なパートナー」と位置づけています。 特に、エネルギー資源が乏しく、8割以上を中東に依存している日本にとって、ロシアとのパイプが更に広がることによって、供給元分散によってエネルギー安全保障は健全化し、ロシアとの共同開発によってもたらされる国益は大きいものとなるでしょう。 第二としては、ロシアとの関係緊密化によって、極東における当面の不安定材料である北朝鮮を、背後からの抑止力によって無力化させ、暴発を未然に防ぐ事が可能となる点です。 ◆ロシアと中国の危ない接近を防ぐのは日本の使命 更に第三としては、ロシアと中国の危ない接近を防ぐ使命が、日本にはあるという点です。 2013年12月、アメリカのウォルター・ラッセル・ミード教授は「ロシア・中国・イラン」の3カ国を、穀類の中を空洞化させ、卵を産む害虫になぞらえて、「コクゾウムシの枢軸(Axis of weevils)」と名づけ、アメリカの一極支配に挑み、水面下でコソコソと侵蝕しようとする構図を紹介しました。 実際、ロシアと中国の接近はウクライナ危機以降、特に叫ばれており、その要因は欧米側のロシアに対する制裁、それに加担する日本の存在が大きく要因していると言えるでしょう。 ただ同時に、ミード教授はこれらの国々には「反米共闘」以外には共有できるものが少なく、しばしば利害対立が起こることもあると指摘しております。 すなわち、既にロシアからラブコールを受けている日本は、ロシアに対して「反米共闘」以上の魅力的なオファーを出す事が出来れば、ロシア・中国の危険な接近を平和裏に分断させる絶好の立ち位置にいることを知るべきなのです。 ◆「複眼思考」の独自外交でイニシアティブを握れ! このように、既存の欧米追従型外交という枠組みから脱却し、ロシアとも関係を深化させるという「複眼思考」を持つことが、中国、北朝鮮などの極東における安全保障上のリスクを低減させ、日本の新しい可能性を拓くはずです。 その際に最も重要なポイントになるのは、冒頭でも挙げましたがアメリカの説得となるでしょう。 日本政府は、是非とも欧米とロシアの橋渡し役を日本が担う位の大きなビジョンを持って、独自外交の道を切り拓く勇気を持って頂きたいと思います。 「憲法を守って国が滅ぶ」――三人の憲法学者の意見陳述を受けて 2015.06.17 ◆「安保関連法案は違憲」と述べた3人の憲法学者 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 去る6月4日、衆院憲法調査会に3人の憲法学者が招かれ、国会で審議中の「安保関連法案」について全員「憲法違反」との意見を述べました。 特に、法案成立を進めている自民党が推薦した早大の長谷部恭男教授が「個別的自衛権のみ許されるという(9条の)論理で、なぜ集団的自衛権が許されるのか」と「違憲」の判断を表明したことが大きな衝撃を与えています。 菅官房長官は、調査会終了後の会見でこの件にふれ、「違憲という指摘は全くあたらない。法案審議には影響がない」と話ました。 さらに政府は6月9日、野党に対して「あくまでも我が国の存立を全うし、国民をまもるため、やむを得ない措置として一部限定された場合において武力行使を認めたにとどまる」と補足しつつ、「憲法違反」を否定する見解を提出していますが、今後の国会運営の難航が予想されます。 ◆「なぜ安保法制が必要なのか」の議論はどこに? 冷戦期の日本の繁栄は、日米安保条約に基づき、米軍が日本を守ってきた事が大きな原因です。 朝鮮戦争を機に米国主導の元、日本も自衛隊を発足させ、自国の防衛力を強化してきましたが、この日米両国が同盟関係にある事が大きな抑止力となり、東アジアで大きな戦争が起きなかった事で、高度経済成長を実現することができました。 ところが冷戦終結後、中国・北朝鮮が日本の安全保障にとっての新たな脅威として立ち上がってきました。特に中国については、現在の習近平主席の時代に入り、その覇権主義的な傾向がますます強まっています。 最近では、フィリピンとの国境に当たる南沙諸島のミスチーフ礁において、大規模な埋め立てを行い、滑走路を造設している事が大きな問題とされています。 この結果、中国によるフィリピンへの軍事的侵攻の危機がやってきました。この危機をフィリピン一国で対抗するには、極めて困難であり、日米両国が中国の覇権主義に対する抑止力として、しっかりと同盟関係を強化する必要があるのです。 要するに、安保法制が実現することで、発生するかもしれない紛争を防ぐことができるのです。 これは「戦争を起こす」ものではなく、「戦争をやめさせる」ための抑止力としての判断だという事をご理解頂きたいのです。 当然、フィリピンのアキノ大統領は、日本の集団的自衛権容認を歓迎しています。同様に、中国と国境を接して、紛争の火種を抱えているインド、東南アジア諸国、台湾は、現在の日本での国会審議の様子について、かたずを飲んで見守っている事でしょう。 ◆国民の命を守るために、「憲法9条改正」を進めよう 戦後一貫して同盟国である日本を守るという姿勢を崩さなかった米国に対して、その信頼を裏切るような判断は決して行ってはなりません。 日本は米国に対し、有事の際には、共に戦うという姿勢を見せる事によって、その信頼をつないでいくことができるのです。この集団的自衛権は国連憲章51条にも明記されており、国際社会では常識とされている事です。 日本は、かつて英国を同盟国として、その恩恵を享受してきました。日英同盟なくして、日露戦争の勝利はなく、日本を世界の一等国へと押し上げた原動力となりました。 ところが、この同盟関係が破棄された後、日本は孤立への道をたどり、国際連盟からの脱退、そして大東亜戦争開戦へと続く事になります。 同様に日米同盟も、日本の国益にとって最重要なことです。これは日本一国だけでなく、東アジアの平和と繁栄のためにも、同盟関係を強化する必要があるのです。 米国はオバマ大統領の下で、軍事費が削減され、基地撤退の方針も議論され始めていますが、今回の日本政府の判断は、米国側にも同盟堅持への強い意思表示と映ることだと思います。 今回、憲法調査会で意見を述べた学者の方々の意見の通りに、集団的自衛権を拒否し続ければ、米国は日本との同盟関係を断ち切る可能性が強くなり、日本は自国の防衛力のみで中国に対する事態になります。 それは、文字通り「憲法を守って国が亡ぶ」という局面になりかねません。ここで、今一度何が大切なのかを考えなおすべきです。 政治家は、国民の生命と財産を守る義務を負います。 学者の方は、そうした責任は有りませんが、一人の国民としての誇り・気概を持っているならば「憲法9条を改正しなければ国を守ることができない」という発言があってもよいのではないでしょうか。 現在進めている安保関連法案は絶対に成立させ、日米同盟をさらに強化する事で、東アジアの平和と繁栄を推し進めることが大切です。 さらに、私たち幸福実現党が立党以来訴え続けているとおり、憲法9条を改正し、国防軍を創設することが必要です。今後の大切なテーマとして、ご理解いただきますよう、お願いいたします。 ネット空間が戦場?―サイバーセキュリティを強化せよ! 2015.06.16 文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし) 日本年金機構に続き、東京商工会議所がサイバー攻撃を受け、個人情報が流出する事件が発生しました。 サイバー攻撃は、「サイバー犯罪」「サイバーテロ」「サイバー戦争」に分類されますが、それぞれ重なり合っており、境界が非常に曖昧です。 サイバー戦争となると、水道・ガス・電力などのライフライン、防衛システム、金融システム、通信システムなどを麻痺・停止させ、国家を窮地に陥れるほどの威力を持ちます。 IT化された社会は、サイバー攻撃によって崩壊する危険性があるのです。 サイバー空間における脅威の深刻化、拡散、グローバル化が急速に進展している中、サイバーセキュリティの確保は、社会経済システムを健全に機能させ、国家に安全且つ豊かな日常生活をもたらすだけでなく、経済の好循環を支え、持続的な経済成長を実現させるのに不可欠です。 ◆私たちはサイバー空間という戦場の中で生活をしている ブルース・ウィルス主演の「ダイハード4.0」ではサイバーテロの恐ろしさを見事に表現しておりますが、これはフィクションではなく、現実の世界です。 米国を例に挙げれば、1998年に米国軍部のコンピューターが攻撃され、軍事や原子力に関するデータ盗難の被害にあいました。 さらに2003年、NASAや国立研究所など多くの機関がサイバー攻撃を受け、コンピューター・ネットワークへアクセス侵入されています。 サイバーセキュリティは2011年7月14日、時代の転換点が訪れます。 米国防総省が今後のサイバー攻撃に対する基本姿勢となる「サイバー空間作戦戦略」を公表しました。 その戦略の中で、サイバー空間を陸、海、空、宇宙に次ぐ「第五の作戦領域」として定義し、サイバー攻撃にもミサイルなどの通常兵器による報復攻撃を辞さないと明言したのです。 つまり、コンピューターやスマートフォンなどネット空間・サイバー空間は私たちの生活の場として定着していますが、そこは戦場にもなっているということです。 ◆日本を取り巻くサイバー事件 実際に日本も狙われています。 2011年、三菱重工の防衛・原発関連の拠点にて他国からサイバー攻撃を受け、国家の安全保障の根幹にかかわる事件と報道されました。同年、衆議院および参議院の公務用PCやサーバーがサイバー攻撃を受けました。 また、2012年には尖閣諸島情勢と関連したとみられるサイバー攻撃を受け、裁判所や重要インフラ事業者などのウェブサイトが改ざんされる被害を受けました。 国家は社会経済システムを安定的に機能させ、国民の安心・安全を守り、経済の更なる発展、文化の繁栄に寄与しなければなりません。 そして、人々を真なる幸福の実現へと導き、この国に生まれ、この時代に生まれてよかったと、人々が心の底から喜べるような国造りをすべきです。 ◆サイバーセキュリティで遅れをとっている日本と今後の対策 日本はサイバーセキュリティに遅れを取っていると言わざるを得ません。人材と予算において米国と比較をしてみたいと思います。 米国はシリコンバレーを拠点に民間企業の協力を得てサイバー攻撃を防ぎ、軍のサイバー軍を2016年までに6,200名へ増強する計画を立てています。官民の専門化が常駐し、協力してサイバー対策技術の開発や人材確保など手がけています。 これに対し、日本は今年1月に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を立ち上げましたが、人員は約80名。増員する方針ですが「100名以上」にとどまっています。 昨年3月に発足した自衛隊のサイバー防衛隊も約90名。原発など重要インフラの対策はNICSや所管省庁が担い、サイバー防衛隊は防衛省・自衛隊を対象にしたサイバー対処が主任務となります。 双方を合わせても200名に届かず、人材不足が課題です。 さらに、予算規模も開きがあり、米国はサイバーセキュリティ強化に向けて2016年度予算案に140億ドル(約1兆7,276億円)を割り当てています。 それに対し、日本では2015年度の情報セキュリティ関連の予算概算要求額は367億円。国家規模の違いを考慮に入れたとしても、遅れをとっている状況を鑑みて、もう少し力を入れても良いと考えます。 今後の対策としては、サイバーセキュリティを確保するための人材確保と育成強化。産学官民が一体となりサイバー脅威への対処能力を培うための啓発活動の促進。 サイバーセキュリティにおける国際パートナーシップの強化。サイバー攻撃があった際に反撃を可能とするなど毅然とした対応が出来るよう法的整備を促進することが考えられます。サイバーセキュリティの面においても、国防意識の強化を促していかねばなりません。 すべてを表示する « Previous 1 … 47 48 49 50 51 … 101 Next »