Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 トランプ革命の行方と日本の外交戦略【2】 トランプ政権下で進展する、米露関係の修復 2017.02.22 ■トランプ革命の行方と日本の外交戦略【2】 トランプ政権下で進展する、米露関係の修復 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 今回のニュースファイルでは、特にウクライナ問題に焦点を当てつつ、米露関係の修復を実現するために日本が果たす役割を検討してみたいと思います。 ◆米露関係修復の試金石となるシリア・ウクライナ問題 米露関係の修復にとって問題となっていたのは、シリア内戦とウクライナ問題を通じた両国の対立でした。 オバマ前大統領は、シリア内戦においては中途半端な介入で「イスラム国」発生の土壌を作り、ウクライナを巡る問題については経済制裁によってロシアを深刻な金融危機へと追い込み、「中露接近」への道筋をつけてしまいました。 こうしたオバマ政権の「負の遺産」を如何に解消し、新たな米露関係を出発させるかが、外交面におけるトランプ政権の課題だと言えますが、トランプ大統領の誕生により、すでに様々な変化が起きています。 ◆ロシア主導で進展する、シリア内戦の停戦交渉 まずシリア内戦については、1月からロシア、イラン、トルコの3か国主導による停戦交渉(アスタナ会議)が開催されており、アサド政権と複数の反体制派が停戦の仕組みや新憲法の制定について対話を進めています。 アレッポでの停戦すらままならなかった昨年の状況から考えれば、驚くべき進展と言えますが、この交渉には米国からも大使が派遣されており、トランプ政権としても事実上、ロシア主導のシリア内戦の終結を黙認している様子が伺えます。 トランプ大統領は中東、特にシリア出身者の米国入国を大幅に制限する大統領令を発出しましたが、例えロシア主導であれ、シリア内戦が終結に向かえば難民問題自体も解決に向かうと予想されるため、米国にとってもメリットがあると言えるでしょう。 ◆ウクライナ問題は、「ミンスク合意」の履行と「ロシア制裁」の問題が焦点となる 一方、2014年のウクライナ騒乱に端を発するロシアのクリミア半島併合に対して、欧米はロシアに経済制裁を発動しておりますので、米露関係の修復を現実のものとするためには、ウクライナ内戦を終結させつつ、ロシア制裁の問題を解決する必要があると考えられます。 ウクライナ情勢を簡単に説明しますと、ウクライナでは2014年2月に親露的なヤヌコヴィッチ大統領が反政府運動によって追放されたり、住民投票でロシアへの編入を希望したクリミア自治州の希望をロシアが受け入れると言った事件が発生した事を契機に、同国政府軍と、ロシア系住民が多く居住しウクライナからの独立を求める、自称「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の二州との間で内戦が繰り広げられている状況です。 内戦状態の終結に向けては、ロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの四か国首脳が保証を与える形で、政府軍と独立を求める二州との停戦や政治的和解などを取り決めた「ミンスク合意」が交わされました(2015年2月)が、未だに衝突が絶えず、停戦には程遠い状況です。 ◆米国の関与で解決に向かう「ミンスク合意」 「ミンスク合意」の履行に向けては、今年2月16日にラブロフ外相(露)とティラーソン国務長官(米)による会談が行われ、米国はウクライナ内戦について「ミンスク合意」の履行と、緊張の緩和に向けた「新しい共通の基盤」に基づいた解決を探す用意があると発言した旨、報道されています。 オバマ政権はウクライナ問題の解決に向け、このような形で関与する事はありませんでしたので、「ミンスク合意」の履行に向けて米国が本格的に関与するということであれば、ウクライナでの内戦状態は時間の問題で解決に向かう可能性が高いと言えるでしょう。 ◆米露接近のチャンスを捉え、「ロシア制裁」撤回を発信すべし しかしながら、ロシアへの経済制裁は主に「クリミア併合」を理由に行われているため、米露関係を改善していくためには、クリミア併合に関わる問題を解決する必要があります。 トランプ政権の誕生によって米ロ関係の懸案であったシリア・ウクライナ問題の多くが進展を迎える中、日本は勇気をもって「対ロシア制裁」やウクライナ支援の在り方を見直していくべきだと考えます。 次回、最終回となるニュースファイルでは、米露関係最大の懸案事項であった、「クリミア併合」と「ロシア制裁」の問題を解決する提言を行いたいと思います。 【2/24(金)19時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ】 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 2月24日(金)19時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成の持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「米ロ関係改善への試金石、ウクライナ問題の解決策を考える」質疑応答 日時:2月24日(金)18:45開場 19:00開始 21:00終了予定 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(HS政経塾一期生) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「2月24日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 トランプ革命後の日印外交を考える 2017.02.16 幸福実現党・岡山県本部代表たなべ雄治 ◆トランプ大統領の外交手腕 安倍総理がトランプ米大統領から破格の厚遇を受け、日米首脳会談は終わりました。 しかし、大統領選以降の流れの中で見えたのは、トランプ新政権のしたたかな外交手腕です。 昨年12月2日、トランプ氏は蔡英文台湾総統と電話会談を行ない、安全保障にまで踏み込んで話し合っています。 米台首脳の会談は、1979年以来となる異例の出来事でした。おりしも、習近平中国国家主席がキッシンジャー元米国務長官と会談をしているその日のことです。 「一つの中国」として台湾を認めていない中国は激しく反発しました。 その一方で、安部総理が米国に到着する1月9日には、トランプ大統領と習近平主席が電話会談を行なって、「1つの中国」政策の維持で合意しています。 台湾独立がシーレーン防衛の生命線である日本に、プレッシャーをかけた形です。 最終的には良好な日米関係を演出しましたが、関税・為替で交渉相手となる日中両国に十分な揺さぶりを掛けたという所でしょう。 ◆トランプ外交で中国はどうなるか 台湾問題では中国に妥協した形の米国ですが、これは対中の関税を引き上げる予兆ではないかと予想します。 公約では、中国製品に45%の関税をかけることになっています。 ところで中国はここ20年以上にわたり、毎年10%以上というすさまじい軍拡を続けています。 その軍拡を支えてきたのが、中国の経済成長です。 中国は、西側諸国と貿易をしながら、為替は元安にコントロールしてきました(管理変動相場制)。 さらに、採算度外視の安売りができる国有企業で構成されています。 そうして成り立つ安価な製品の輸出によって、中国経済は急成長を遂げました。 現在米国の貿易赤字の約半分は対中国であり、中国によるグローバリズムの悪用と言えます。 トランプ大統領が掲げる対中関税は、軍拡を支えてきた中国経済に打撃を与える政策です。 南シナ海のサンゴ礁の軍事基地化など、中国の軍拡に脅威を感じている東南アジア諸国とっては朗報でしょう。 しかし、その後の中国の動きは予断を許しません。 というのも、経済で行き詰った中国が戦争特需をつくり出すことが予想されるからです。 ◆アジアの安定に不可欠な日印関係 とは言え、中国の軍拡をこのまま放置するわけにはいきません。 やはり米国の対中国の関税政策には賛成です。 そのうえで、中国の暴発を前提とした対策が求められます。 そのために連携すべき国は、同盟国の米国の他に、中国を北と南から挟むロシアとインドでしょう。 ここでは、インドについて考察してみます。 ◆トランプ大統領と似ている!?モディ印首相 2014年、インドでは10年ぶりの政権交代が実現しました。そこで登場したのが、ナレンドラ・モディ首相です。 モディノミクスと呼ばれる自由主義経済政策や製造業振興政策「メーク・イン・インディア」により、就任前には5~6%だったGDP成長率は7%台をキープしています。 そんなモディ首相ですが、トランプ大統領やドゥテルテ比大統領と比肩される大胆さがあります。 昨年11月8日の夜、突如として高額紙幣の無効化を宣言しました。その目的は、GDP2割を占める地下経済の撲滅とデジタルマネー推進を狙ったものです。 発表からわずか4時間で、通貨発行額の86%が無効となりました。(年内は銀行で交換ができた。) 日本で例えると、財布の中の一万円札と五千円札が突如使えなくなるわけです。 しばらく経済の混乱は続きましたが、国民の少なからぬ人数がモディ首相の政策を理解していたようです。 地下経済と汚職に対する不公平感と不満が鬱積していたということでしょう。 また、昨年の夏には、GST(物品・サービス税)の導入に目途を立てました。 GSTとは、州ごとに独自だった間接税率を一律化し、複雑だった税制を簡素化するものです。 州をまたぐ商売の効率化や減税効果などで、GDP1%にあたる経済効果が見込まれると言われています。 そのために必要な憲法改正を、上下院で可決させたのです。 改革の遅さや高額紙幣無効化で批判もあるモディ政権ですが、3月11日開票のウッタルプラデシュ州を含む5州のインド州議会選挙で、その信任が問われると見られています。 ◆したたかなインド外交 インドは伝統的に「非同盟主義」、「全方位外交」を方針としていますが、モディ首相もこれを踏襲しています。 ISの問題でも、イスラム過激派のテロに悩まされてきたインドなのに、67カ国のIS対策有志国グループには加盟していません。 また、中国を仮想敵国としながらも、日中や米中を両てんびんにかけて経済的な利益を引き出すなど、「インド第一主義」外交を続けてきました。 インドにとって中国は、仮想敵国であると同時に最大の貿易相手国です。 複雑な印中関係があり、建て前として同盟を嫌うインドに対して、日本はどのような外交方針で臨むべきでしょうか。 ◆主軸は安全保障 トランプ外交によって米中貿易の先細りが予想されます。 その影響で印中貿易が膨らみ、両国の経済関係は強化されるでしょう。 経済に関しては、インドによる日中の両てんびん外交には目をつぶらざるを得ないでしょう。 反面、安全保障に関しては、中国の脅威を被る国同士として、要点を押さえた協力関係を構築すべきです。 欧米に同調してロシアの経済制裁に加わったばかりに露中の関係を強化してしまうような、外交の失敗を繰り返してはなりません。 昨年、2年越しで締結した日印原子力協定のように、インドにとって譲れないポイントでしっかりと信頼関係を築いていく必要があるでしょう。 交通やエネルギーなどのインフラ、防衛装備移転など、技術面での日印の関係強化も望まれます。 最優先は安全保障です。中国という脅威への対応を軸とした、日本独自のブレない判断が求められます。 安保法制――朝鮮有事時の邦人保護は可能か 2017.02.14 HS政経塾第6期生 山本慈 ◆「邦人保護」について 2015年に改正された安保法制で、海外にいる邦人を自衛隊が輸送、保護できるようになりました。改正時は、これは大変話題となったので、ご存知の方も多いと思います。 しかし実際のところ、自衛隊が邦人を保護することが不可能な場合があり、やはり未だ法整備すべき点、もしくは外交によって補う必要があります。 現法制では、自衛隊が邦人保護措置を実施するために、以下の3要件を満たしていなければなりません。 「邦人保護措置実施3要件(『平成27年版 防衛白書』)」 (1)保護措置を行う場所において、当該外国人の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、戦闘行為が行われることがないと認められること。 (2)自衛隊が当該保護措置を行うことについて、当該外国等の同意があること。 (3)予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と当該外国の権限ある当局との間の連携および協力が確保されると見込まれること。 ここで注目したい点は、(2)の「当該外国等の同意があること」です。 もし当該外国、紛争に関わる国が同意しなかったなら、自衛隊は保護措置をとることはできません。 PKO活動として自衛隊が派遣される場合は、PKO活動の一環として邦人や難民の保護を行えますが、PKO活動が行えないところでは、当然、憲法や自衛隊法、安保法に基づいて自衛隊は活動しなければなりません。 つまり国家間同士の戦争の場合、当該外国が拒否すれば、自衛隊を派遣して邦人保護措置をとることはできません。 ◆朝鮮有事を想定した場合 現在、日本は北朝鮮対韓国の朝鮮有事を想定して、ガイドラインを調整しています。 また現在、韓国には38,060名の邦人が滞在しています。朝鮮有事が勃発した場合、韓国の同意を経て、在韓邦人の保護措置手続きが行われます。 しかし、2016年10月、韓国の韓(ハン)民(ミン)求(グ)国防相は、韓国在留邦人の救出に必要な空港や道路の状況、韓国軍の展開などの情報について「それは(日本側に)渡さない(『朝日新聞』10月28日付)」と語っており、保護措置実施要件(3)をクリアすることが難しいと分かりました。 また現韓国政府も朴(パク)大統領が弾劾裁判中で、次期大統領選候補者も左翼陣営が強く、反日を訴える候補者ばかりなことから、韓国政府との連携はさらに難しくなるでしょう。 ◆朝鮮有事時の邦人保護は不可能に近い 現在の邦人保護措置実施3要件では、日本と同盟関係にない国や日本と友好国でない場合、保護措置を実施することが大変困難だと分かります。 また朝鮮有事の際、自衛隊を邦人保護のために派遣できない場合は、民間機、船による邦人救出も必要であると政府関係者は述べています。 しかし、実際戦争が起きた場合、飛行場はミサイルを撃ち込まれる可能性が高く、また仁川(インチョン)国際空港、金浦(キンポ)国際空港は北朝鮮との国境近くに位置しているため、そこから邦人を保護することは不可能と言えるでしょう。 ◆幸福実現党からの提言 まず朝鮮有事において、ネックとなっているのは邦人保護措置実施3要件の(3)です。 「(3)予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と当該外国の権限ある当局との間の連携および協力が確保されると見込まれること。」を満たすためには、韓国側から、韓国在留邦人の救出に必要な空港や道路の状況、韓国軍の展開などの情報を引き出す必要があるでしょう。 現在、日韓の防衛情報を共有する基礎となる「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」が日韓で話し合っています。 話し合いの中では、韓国は日本の海上情報収集能力の高さを認め、その情報を欲しています。これを引き合いに、日本側は在韓邦人救出のための情報を韓国側から粘り強く引き出していくことが重要でしょう。 幸福実現党は、「朝鮮半島有事などの際の邦人救出を可能とする法整備を行うとともに、邦人保護プログラムを策定します。」という政策を掲げています。 現法制では、在韓邦人を守れないため、安保法制の更なる改正と在韓邦人保護措置がとれる策定プログラムを具体的かつ現実的なものを策定致します。 世界秩序の大転換――米国に続き大国となれ日本 2017.01.26 HS政経塾5期生 水野善丈 ◆グローバル化の盟主を気取る中国 「米国第一主義」を掲げたトランプ新米大統領が誕生する3日前、スイスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、中国の習近平国家主席が基調講演を行いました。 そこで習近平氏は、「自由貿易の発展の堅持」と「保護主義への明確な反対」を訴え、中国の輸出品に高関税をかける政策を考えているトランプ大統領に牽制した格好となりました。 また翌日の国連欧州本部での演説では、「核兵器のない世界を実現するため、核兵器は完全に禁止され、時間をかけて破壊されるべきだ」と、核兵器を量産する国とは思えない発言もしました。 こうした一連の様子から、強い米国を再び取り戻す政策へとシフトしたトランプ政権へ警戒する中国がうかがえます。 ◆グローバリズムで成長した覇権国家中国 日本のマスコミ各紙では、今までの自由貿易のグローバリズムの流れを否定し、孤立主義へと向かっているように見えるトランプ政権の政策に対して、批判的な記事が連なっています。 しかし、今までのグローバリズムの流れによって、東南アジアや中国などの発展途上国は、経済発展し恩恵を受けてきた反面、日本や米国などの先進国は、途上国が優位な条件下で税金を払う企業が国外を出て、税収や雇用が途上国へ奪われてきたのも事実です。 特に中国は、2001年に世界貿易機構に加盟を承認され、補助金や通貨安誘導で対米輸出を不当に膨らませ、自由貿易システムであらゆる機会を捉えて利益を最大化し自国の経済を発展させてきました。 そして、同時に軍事拡張を推し進め、中国の覇権を強める原動力ともなりました。 ◆「戦わずに勝つ」戦略 そのため、トランプ大統領は「Make America Great Again」とスローガンを掲げ、まず強いアメリカを取り戻し、外交面で覇権を握ろうと考えています。 法人税の大幅な引き下げによる企業誘致を促し、米国の実体経済を強めながらも、中国などに対しては関税自主権を武器に公平な貿易を推し進めます。 また、外交においても、ロシアのプーチン大統領との関係を改善し、中国包囲網やイスラム国掃討作戦を考えるのと同時に、台湾と近づく姿勢を見せることで、中国の「一国二制度」の体制に亀裂をいれて、中国との交渉を優位に進める布石を打っています。 ◆新しい世界秩序の構築に向けて動き出した米国 現在の国際社会の常識から見ればトランプ大統領の米国は、「孤立主義」の方向へ進んでいるように見えます。 しかし、今までの常識を変えていくことで、秩序のある国際社会を構築しようと考えているように思えます。 ノーベル平和賞を受賞したオバマ前大統領の下の8年間では、ISISが誕生し、イランとは核合意、北朝鮮は水爆実験も成功させ、核弾頭の小型化に向けた開発を進め脅威が増しています。 また、中国は南シナ海にミサイル基地を設置するまで覇権を広げるに至りました。 オバマ氏の正義なき宥和政策が、米国のプレゼンツを弱め、世界のパワーバランスを歪め、結果、脅威が絶えない世界へとなっているのも事実です。 トランプ大統領が「意見をいうだけで、行動を起さない政治家にはもう容赦しない。文句をいい続け、それが仕事になっているような政治家たちだ。中身のない対話の時代の終わりだ。行動を起すときが来た。」と、大統領就任演説で訴えかけたように、正義のなき、中身のない政治は終わりを告げて、新しい世界秩序の構築に向けて動き出しそうです。 ◆変革のチャンスにかかる日本 一方で、日本では、米国のTPPの離脱を受けて、安倍首相は国際社会に呼びかけこの流れを変えようとしているのが現状です。 しかし、今なすべきは「国際社会の呼びかけ」よりも自国を変革していくことです。 米国に国防も経済も依存してきた日本に変化が問われているのではないでしょうか。 その方向は、社会保障中心の「大きな政府」ではなく、国際競争力に負けず、国民の経済活力を取り戻す、減税と規制緩和を中心とした「小さな政府」への移行であり、憲法9条の改正をはじめ、自主防衛体制を整えていく方向であると考えます。 続・日露国交回復60周年フォーラム「大転換時代の日本」 モスクワ現地レポート(2) 2017.01.25 ■「THE FACT」放映 里村英一専務理事 × 神武桜子副党首 「幸福実現党 神武桜子副党首がロシアでスピーチ」 https://info.hr-party.jp/2017/4082/ ◆ロシアのテーマは『孤立からの脱却』 「ロシアにとっては『孤立からの脱却』というテーマがあります」とも語っていました。 里村: ロシアにとっては一番痛いところは孤立化ですからね。経済も天然資源以外になかなか決定打がありません。 その辺で日本から大技を掛けていって、その流れで領土問題等も解決されていくべきだと、私なんかは思っていますが。 神武: そのとおりですね。最近では、中国とロシアが接近しているという報道が出ています。ですが、パノフ氏は、「それはアメリカへのシグナルなのだ」と。 ロシア側の軍事専門家の方も、「別に中国と信頼関係があるわけではなくて、信頼関係を作っていく段階の一つとして、軍事演習があるのだ」と、「これは他のところへのメッセージなのだ」と言っていました。 里村: そのメッセージを、やはり日本は重く受け止めなきゃいけないですね。ロシアと中国の間に信頼関係ができて、軍事同盟まで結ばれてしまったら、もう日本は勝てませんから。アメリカが一緒にいたとしても危ない。 だから、何としてもロシアと中国の間の関係に、くさびを打ち込まなくてはいけないと思います。 幸福実現党としては、これから特にロシア関係は、どのようにしていこうと。 神武: 安全保障として日米同盟を重視するのは変わらないのですが、トランプ革命が起きて、世界秩序が変わろうとするなか、日本としてはロシアも新しい安全保障のパートナーとしても見ていこうと。 というのも、北朝鮮の核問題について、ロシア側の発表で「簡単に解決できる」ということを示唆していました。 里村: できる感じがしますね。このプーチン大統領であれば、できると思います。 ◆新幹線を通してシベリアからモスクワへ ただ、そこまで持っていくには、神武さんがおっしゃったように、例えば、新幹線でシベリアからモスクワ、そしてパリ、フランスに行くという大動脈を日本から作るとか、それぐらいの技を仕掛けないと。 そうすると、日本からヨーロッパまで船便と鉄道で3週間近くかかるところを、3日で行けますから。 神武: そうですね。滞在中、ロシアのお野菜にトマトとキュウリが多くて。美味しいのですが、物流がよくなれば、日本の高級な果物や野菜を新鮮な状態で届けられると思うと、夢が広がりますね。 里村: 北海道に行って、鉄道や新幹線の大動脈を作ると言うと、非常に喜ばれます。今、JR北海道で不祥事が続いていて、廃線に次ぐ廃線です。 JR東海1社でリニアモーターカーを通すために20兆円のお金を出してやっています。この規模になると、JR北海道だけではもちろん無理なので、国もやるべきです。 それはロシアに対する日本のシグナルになるわけです。「ロシアを大事な国と見ているから、ここまで日本はやりますよ」というところがないと、なかなか信頼関係は難しいですね。 神武: そうですね。 ◆信仰深いロシア 神武: また、現地に行って思ったことですが、予想以上に宗教の復活が起きていて、ロシアの方と話しても、とても信仰深い方が多いようでした。 ロシア正教では1月7日がクリスマスなのですが、一緒に話したロシア人で、その時期に断食をするという人がいました。断食といっても、肉やお酒をとらず、お野菜とかを食べるのですが、ストイックに生きて自分の信仰を確かめるのだそうです。宗教的な生活を誰に強制されるわけでもなくやっているのです。 また、クレムリン宮殿近くのお土産さんで、「ホーリー・ロシア(聖なるロシア)」というDVDを売っていました。ロシア正教の歴史についてのDVDなのですが、お土産屋さんのおばさんが、これを指して片言の英語で「Very good」と言っていました。 DVDを見ましたら、「タタールのくびき」と言って、モンゴルがロシアまで支配して時代のことが描かれていました。それを打ち返すときに、モスクワ大公のドミトリー・ドンスコイが、聖人扱いされているロシアの修道士セルギイから力を授かって、モンゴルを打ち返すことができた、国を守るために信仰の力があったと表現されていました。 今後、ロシアと信頼関係を作るためには、ロシアの宗教に対する理解は大切だと思いました。 里村: 先の戦争でのソ連の行いのため、日本ではロシアの人気が今一つなのですが、そうした宗教的な話を聞くと、これからの国家戦略として、日本人がロシアの宗教も含めたいろいろな部分を理解して、そして何か日本から仕掛けていくということが必要だと思います。 神武: クレムリンのすぐそばに、高さ18メートルの大きな十字架を持ったウラジミール大公の像が昨年11月4日にできました。988年にこの方が洗礼を受けてキリスト教の信者となり、キエフ大公国をキリスト教国としたことが、ロシアの始まりとされています。 プーチン氏は、この方がロシアの精神的基盤を築いたと発言しているので、ここからも宗教を基盤に国を整えていくところが見えます。 里村: ぜひ安倍首相や自民党も、ロシアとの外交の重要性をきちんと理解していただきたいですね。幸福実現党にも、ロシア外交を担えるよう、ぜひお願いしたいと思います。 神武: はい。力をつけてまいります。ありがとうございます。 (完) 続・日露国交回復60周年フォーラム「大転換時代の日本」 モスクワ現地レポート(1) 2017.01.24 前回、神武副党首がモスクワで開かれた「大転換時代の日本」をテーマとした「日露国交回復60周年フォーラム」に参加し、スピーチした内容をお送りいたしました。 今回は、その様子について、別角度から、ネット番組「THE FACT」で、里村英一 幸福の科学専務理事と神武桜子副党首が対談した様子を2回に分けてお届けします。 ■「THE FACT」放映 里村英一専務理事 × 神武桜子副党首 「幸福実現党 神武桜子副党首がロシアでスピーチ」 https://info.hr-party.jp/2017/4082/ ◆日本がロシアとの関係を大事にしなければならない理由 里村: 12月22日、23日で、神武さんは、モスクワ国際関係大学で開かれた「日露国交回復60周年フォーラム」でスピーチをされました。いったい、どんなスピーチをされたのですか? 神武: 日本にとって、ロシアとの関係を強めていくのがとても大事だ、という趣旨の話をさせていただきました。 里村: 具体的なポイントは、どういうところになるでしょう。 神武: 2014年にクリミア危機が起きて、日本は欧米諸国のロシア制裁に同調していたのですけれども、それがよくありませんでした。 むしろ、日本がホストであった伊勢志摩サミットにロシアを呼び、ロシアがG8に復帰できるように協力すべきでした。 あと、近隣国の軍事拡大に備えて、安全保障と経済の面で日露の関係を強くして、日露平和条約を早く結び、シベリアと日本を鉄道で結んで物流革命を起こしましょう、と話しました。 里村: こういう場なので「近隣国」と表現したと思いますが、要するに中国、もちろん北朝鮮のことですね。 神武: そうです。「近隣国」と、ストレートには言いませんでした。 ですが、ロシア側から「中国や北朝鮮の軍事拡大は、日本とっては脅威ではないのか」という発表もあり、かなりストレートに「中国」「北朝鮮」と名指ししていました。 ◆ロシアの反応 里村: 会議には日本の駐ロ大使や、ロシア研究では日本の第一人者と言われる方々も参加していましたね。参加者の反応はどうでしたか? 神武: 特にロシア側の反応が良くて、「おもしろかった。日本では珍しい考え方だね」とか、「日本で若い人が政治をやっているのにびっくりした」と言われました。 里村: なるほど。トランプ大統領やプーチン大統領と日本がこれから付き合っていくときに、「何を考えているか」「何を目標にしているか」を明確にしないと、交渉相手と認識されない時代になってきています。 やはり、はっきりと主張を打ち出すことは大事ですね。 神武: そうですね。 ◆衝撃的だった元日本大使のパノフ氏の発言 里村: 他の方の発言は、どんな感じでしたか? 神武: ロシア側の元日本大使のパノフ氏の発言は、おもしろかったというか、衝撃的でした。 12月15日、16日の日露首脳会談への見解として、「安倍首相としては何も手柄がなかったのではないか」「日露関係に信頼関係がないから、平和条約が結べないのだ」と話していました。 「安倍政権では日露平和条約は結べないと思っている」とも言っていました。 驚いたことに、この方の発言がNHKのネットニュースに出ていました。そのネットニュースでは、パノフ氏の「他に選択肢はなかったから、正しいアプローチだったのだ」という発言だけを取り上げて、まるで安倍首相を評価しているというニュースになっていたのです。 里村: 全く違ったニュアンスで紹介されていたと。 安倍首相はプーチン氏が帰ったあと、とにかくテレビに出演し続けて、「会談は大成功だった」と言い続けました。 神武: そうですね。共同開発が大成功だと(笑)。 里村: そして、日露首脳会談で、どんなことが話し合われたか分析や検証がなされる前に、見事に真珠湾訪問へ飛んでいますね。 神武: そうですね。 里村: 日本のメディアは、まさに「馬の鼻っ面にニンジン」状態でそっちへ向かったので分からないのですが、ロシア側の事情通から、「安倍政権では日露平和条約は結べない」という話が出ていたというのは、結構衝撃ですね。 神武: そうですね。他にも、パノフ氏は、「北方領土をお金で買いたいという、日本の意向も我々は知っている」「しかし、もし二島返還したら、三島、四島と取られていくから、プーチンはお金で北方領土を売ることはない」と発言をしていました。 (つづく) アメリカで北朝鮮への軍事攻撃が議論に 2017.01.19 幸福実現党・政務調査会 都市計画・インフラ部会長 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆今、アメリカで北朝鮮への軍事攻撃が検討されている 今年に入り、外交関連の情報筋のレポートを見ていると、北朝鮮関連のレポートが増えたように感じています。 特に年頭に「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験が最終段階に達した」と金正恩氏が述べ、トランプ氏がツイッターでそれを批判する投稿を行う中、ワシントンポスト紙でペリー元米国防長官が北朝鮮への爆撃について反対するなど、米軍による北朝鮮への軍事攻撃に関する論説が注目されます。 ◆機能しない韓国政府 現在、韓国では朴大統領の弾劾審判が行われ、完全にレームダック状況にあり、政府がまともに機能していない状況にあります。財界も含めたスキャンダル疑惑の中、韓国は混乱の最中にあります。 また、釜山にある日本の総領事館前に、ウィーン条約に反して、違法に慰安婦像が設置され、日韓関係が悪化。日本は駐韓大使を「一時帰国」させるなど、報復措置をとる事態に発展しています。 さらには、1月17日の産経新聞で報じられているように韓国の京畿道の議員団が、こともあろうに我が国の領土である竹島に、慰安婦像を年内に設置することを目指して16日から募金活動を始めたようです。 この挑発的な韓国政界の態度に強い怒りを感じるものですし、日本側が外交的な報復措置をとったのは支持できるものであります。 ◆安倍政権の行った日韓合意そのものが日本の先人に対する冒涜 しかし、そもそも日本国民としては、いわゆる「慰安婦問題」でいわれるような、「20万人もの朝鮮半島の少女を強制連行して、『従軍』の慰安婦として『性奴隷』とされた」などというでっち上げのストーリーに対して、それを否定し、国際社会にむけた発信を行うことこそ、祖国への誇りを取り戻す上で熱望してやまないことです。 日本の政府はこれまで全く十分な努力をしてきませんでした。その間に慰安婦像は世界中にばら撒かれ、世界中の人々が「虚偽の歴史」を信じてしまっています。 さらに、もしもユネスコに登録などされてしまうと、半永久的に「ありもしないこと」で祖国が辱められ続けることになります。 その意味で、一昨年末の日韓合意を行ったことそのものが間違いであり、さらには岸田外相が「軍の関与」を認めたことなどは、我が国の先人への冒涜以外何ものでもありません。 ◆日本は毅然とした態度を維持すべき 日本側が、ある意味で「誠実に」履行している以上、日本側から日韓合意を破棄することはないでしょう。 しかし、次の韓国大統領候補筆頭とも目される「共に民主党」の文在寅氏などは日韓合意を認めない方針の発言を行うなど、韓国側からの一方的な「合意破棄」は考えられなくはありません。 しかし、本来、日本側がそれを過度に恐れる必要は無く、国際社会に対して真実の歴史を明らかにし、積極的にアピールすべきです。 ◆裏に潜む、北朝鮮の工作 冒頭述べたように、今アメリカでは北朝鮮に対する軍事攻撃の検討が行われるなど、いつ有事になってもおかしくありません。 ちょうど今トランプ政権が誕生する直前になりますが、トランプ政権で国防長官に指名されているマティス氏は、12日の議会承認公聴会において北朝鮮のICBM開発はアメリカにとって深刻な脅威であり、軍事的対応も選択の一つだとしています。 アメリカ大統領選の前は、北朝鮮はトランプ氏を歓迎するかのような発信をしていましたが、トランプ大統領を甘く見ていたことに今気づき始めているのではないでしょうか。 しかし今、韓国政府がまともに機能しない中、慰安婦像設置に動いている市民団体の裏には北朝鮮の工作があることが報道でも明らかになっています。 (参考:「慰安婦像をソウルと釜山の日本公館前に設置した団体は北朝鮮と連携し、日韓関係を悪化させることを目的としている」1月17日産経新聞『政論 慰安婦像の撤去が先だ』) ◆韓国国民に課された責任 これに対して韓国の政治家が同調し、韓国政府も像の撤去を行わず、それを韓国国民が支持している状況です。 仮にも民主主義国家に住む韓国国民は、自らが選んだ政府や政治家に対して責任を取らなければなりません。 日本としても朝鮮半島有事の際に、日韓政府間連携がまともにできないと、在韓邦人の救出などに不安を残します。 しかし、我が国にも譲れない一線があってしかるべきです。結局、日本に見放されて一番困るのは、韓国のはずです。 すくなくとも日本政府としては、「慰安婦像の撤去をしない限り、駐韓大使の帰任はさせない」という意志を示すべきではないでしょうか。 ◆日本は目も前の危機から目をそらさず、自国を護る防衛力向上を 韓国は政府もまともに機能しておらず、今後政府間の信頼関係が築けるのはいつの日になるかわかりません。しかし、朝鮮半島有事はいつ起きるかわからない状況です。 日本国民自身、政府やメディアを通じて、北朝鮮の核開発がどれほど危険で、自分たちがどれほどの脅威にさらされているのか知る必要があります。 余談ですが、金正恩氏が年頭の辞で「いつも気持ちだけで、能力が追いつかないもどかしさと自責の念にかられながら・・・」などと述べたのも何とも不気味な状況です。 日本は、次期トランプ政権と一刻も早く信頼関係を醸成すると同時に、我が党がかねてより主張しているように、北方領土問題を一旦棚上げしてでも日ロ関係を前進させ、アメリカ・ロシア両国と連携して北朝鮮と中国に睨みを利かせることが重要です。 そして何よりも日本国内において、真剣に我が国の安全を護る議論を進め、防衛力強化と有事にむけた法整備を、全力で、そして全速で取り組む必要があると思います。 現在の国際情勢から考える日本の核装備について 2017.01.17 HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆いよいよ、より自立していくべき日本の国防政策 今月20日、ついにトランプ新大統領が誕生します。 公益財団法人「世界平和研究所」(会長・中曽根康弘元首相)は12日、「米国新政権と日本―新時代の外交安保政策―」を発表し、日本政府に提言しました。 同提言は、トランプ新政権は「より自立した日本を求める可能性が少なくない」とし、日本には「日米同盟を機軸とした政策路線を堅持」し、「独力でできることは可能な限り実行していく」安全保障上の取り組み姿勢が求められるとしています。 ◆「世界平和研究所」の安全保障提言内容 同提言は、核開発を進める北朝鮮と、海洋進出を進め軍事力でアメリカに迫りつつある中国という周辺状況を念頭に、日本の安全保障政策を以下のように提言しています。 ・提言A:国家安全保障戦略と防衛計画の大綱を改定すべき ・提言B:日本は、通常戦力による「反撃能力」を段階的に整備すべき ・提言C:我が国の防衛力を強化すべき 注目したいのは提言Bの「通常戦力による『反撃能力』を段階的に整備すべき」という点です。 提言は、日本が武力攻撃を受けた場合には相手国の基地を攻撃するという「敵基地攻撃能力」を持つことを日本政府に求め、それを国内外に周知させておくことを求めています。 ◆敵基地攻撃に関する政府の認識 政府は、自衛のための敵基地攻撃能力は憲法上認められるという立場です。 1956年には鳩山一郎首相が「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」と、敵基地攻撃を自衛の範囲にあると答弁、2013年には安倍晋三首相も「保有することは現時点では考えていないが、憲法上は許される」と答弁しています。 敵基地攻撃用の打撃力として、日本でこれまで議論されてきたのは主に、(1)GPSで精密誘導される「トマホーク」などの誘導ミサイル、(2)ステルス性のある航空機による対地攻撃、などです。 同提言は、「敵基地攻撃能力」を持っていることを国外にも知らせれば相手国をけん制できるので、いっそう効果的に防衛体制を構築できるとしています。 ◆日本の国防の現状 日本は現在、ミサイル攻撃に対して、これを打ち落とすミサイル防衛システムを採用し、地上配備型の地対空誘導弾「PAC3」を配備しています。ですがPAC3は飛距離が短く、十分な防衛措置ができません。 昨年2月に北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2」改良型を発射したときに、PAC3が対応できなかったことを覚えている方も多いと思います。 稲田朋美防衛大臣は13日、PAC3よりも高高度の目標を迎撃する「THAAD」(高高度ミサイル防衛システム)を米空軍基地で視察し、導入についてはひとつの選択肢として検討したいと述べましたが、同提言はこれ以上の能力を保有することを訴えています。 日本の安全保障環境が悪化するなか、反撃能力保有の具体的検討が進むことは非常に大事であり、よいことだと思います。 ◆核兵器の脅威にはどう対応するのか? ただ、今回の提言で不足している部分があります。 同提言は、トランプ政権下で日本が求められる可能性のある自国防衛の自立の度合いについて考えたものですが、他国が兵器の精度を上げることが想定されていません。 つまり、北朝鮮が核兵器の使用をちらつかせてきた場合の対処です。 「テポドン2」は、実用化されればアメリカ東海岸を射程に収めるものです。これは、現在日本の安全保障上、頼みの綱であるアメリカが、北朝鮮に核で脅される未来もありうることを意味します。 そうなった場合アメリカは日本を見捨てるかもしれません。そのとき自分の国をどのように守るのか、ここを検討する必要があります。 核兵器を使わせないようにするには、核兵器を持ってするしかありません。政府の見解としても、防衛上必要最低限度のものであれば核兵器の保有は禁止されていません。 ◆日本は高尚な誇りを持って核装備を検討せよ 幸福実現党は宗教政党です。過去、広島長崎に落とされた原爆の犠牲者の方々には心から哀悼と慰霊の気持ちを持っていますし、二度と戦争を起こしたくないと考えています。 だからこそ、横暴な振る舞いで国際社会の秩序を乱す国を放置はできません。核兵器の最大の効用は、「相手に核兵器を使わせないようにすること」なのです。 核装備をする国には、高尚な誇りが必要とされるべきでしょう。私たち幸福実現党は、憲法13条に保障されているとおり、国民が生命、自由、幸福追求を阻害されない安全な国をつくります。 また、日本を、「不当な侵略主義から他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神」にすることを目指しています。 核兵器のない世界は追求すべきですが、日本の安全と世界の幸福のために日本の核装備を検討する必要性のある時期もあると、重ねて訴えてまいりたいと思います。 台湾の独立を守れ 2017.01.12 HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆台湾海峡に中国空母が進入 11日、台湾の蔡英文総統が中米4カ国歴訪中の間隙を縫って、中国初の空母「遼寧」の艦隊が同日午前7時、台湾の防空識別圏(ADIZ)の西南区域内に進入しました。 事実上の停戦ラインとなっている台湾海峡の中間線の中国側を北に向かって航行したということです。 (産経ニュース:http://www.sankei.com/world/news/170111/wor1701110008-n1.html) 3日には、ドナルド・トランプ米次期大統領が1979年以来のタブーを破って、正式な外交関係のない台湾の蔡英文総統と電話会談したことについて、中国外交部が「米国の関係各方面に厳正な申し入れをした」と明らかにしたばかりですが、この空母進入の動きは米台接近に対するけん制でしょう。 ◆台湾とアメリカの関係 大東亜戦争終結後、1949年、毛沢東に敗れた中華民国と国民党は、台湾に移動しました。 中華民国が国連代表権を維持し、欧米諸国には唯一の中国政府と承認されていましたが、1971年に国連総会が、中華人民共和国を唯一の中国の正統な政府と承認し、中華民国は脱退を余儀なくされました。 そして1972年にはアメリカのニクソン大統領が電撃訪中し、毛沢東と米中共同宣言を発表後、79年には、ついに台湾と断交し、カーター大統領と鄧小平のもとで、米中国交正常化がなされ、中華人民共和国側の主張である「一つの中国」をアメリカも支持するという立場をとりました。 ただし、断交後も、アメリカは台湾関係法で事実上の軍事同盟を結んで、武器売却や日本の沖縄県の在日米軍基地などにより、中共を牽制し、本音と建前をうまく使い分けてきたわけです。 ◆台湾問題は日本問題 外交評論家の故・岡崎久彦氏は、生前より、地政学的要衝の地である台湾防衛は日本にとっても死活的問題であると再三にわたり指摘していました。一つにはシーレーン防衛に直結するからです。 岡崎氏は「台湾は南シナ海の北の入り口に当たるので、これを中国が制圧すると、南シナ海が事実上中国の内海のようになってしまう。有事の際にこの通路が妨害されると、日本船の通路はフィリピンの東側を通って、インドネシアのロンボク海峡を取らねばならなくなってしまう」と著書『台湾問題は日本問題』の中で述べています。 南シナ海が中国の海となり、シーレーンが封鎖される事態に陥れば、資源も食料も輸入に頼っている日本は窮地に立たされます。 ABCD包囲網を敷かれ、アメリカが日本への石油輸出を禁じた結果、日米開戦に追い込まれた過去の教訓を忘れてはなりません。 ◆台湾を『国家』として認めよ 前出の書では、最後「私個人としても台湾問題にかかわってからもう四十年になるが、こういう情勢では、少なくとももう十年この問題にかかわり続ける覚悟をしなければならない。もし、その間に私の寿命が来ても、誰かがそれを続けてくれるのであろう。それは日本の国益に関することだからである。」という言葉で結ばれています。 筆者は生前、HS政経塾において岡崎氏より直接薫陶を受けた塾生の一人として、日本の国益を守るため、台湾との関係を発展させる使命があると固く信ずるものです。 かつて日本も72年に田中角栄と周恩来の両首相との間で日中国交正常化がなされ、日本も台湾と断交してしまっています。 しかし、今こそ日本は、台湾を『国家』として承認し、台湾と同盟関係を結び、日米台が協力することで、中国の野望、つまり2021年、中共100周年を迎えるその時までに、経済でも軍事でも世界の覇権国家となるという野望を打ち砕き、平和と繁栄を実現しなくてはならいのです。 人気取り以外に柱がなく、「先見性がない」現政権に代わり、幸福実現党こそが、明確なビジョンと長期的な国家戦略に基づいて、「トランプ革命」が起きたアメリカと共に、世界をリードできる「新しい選択肢」なのです。 安倍総理の真珠湾訪問に抗議する3つの理由 2017.01.08 幸福実現党 小鮒将人 ◆一昨年同様、年末のドサクサに紛れた政治的イベント 安倍総理は、昨年末に米国ハワイの真珠湾に慰霊の訪問を行い、オバマ大統領と最後の日米首脳会談を行いました。 一昨年も年末に慰安婦問題をめぐる「日韓合意」を行いましたが、今年も年末に同様の「真珠湾訪問」という政治的なイベントを行いました。 私たち幸福実現党は、戦後70年であった2015年から「日本の誇りを取り戻す」活動を日本のみならず全世界で展開して参りました。 安倍総理の「真珠湾訪問」は、先の大戦で日本が「アジアを解放」するために立ち上がった歴史を真っ向から否定しかねません。 今回はその理由を以下にまとめてみました。 (1)自虐史観を肯定し、憲法9条改正が遠のいた 詳細な検証が必要ですが、日米の戦いそのものは、米国ルーズベルト大統領の明確な国家戦略のもと、日本が開戦せざるを得ない形を意図したものでした。 最後の最後まで戦争を回避しようと外交努力をした日本でしたが、やがて日米決戦やむなしとの結論に至り、真珠湾攻撃を実行したのです。 結果として当時の米太平洋海軍の主力であった戦艦数隻を撃沈した他、戦闘機多数を破壊。この大勝利で、一時的な形ではあったものの、戦況は日本に圧倒的に有利な形となったのです。 ただし、日本側にも、特に特殊潜航艇で真珠湾に突入、戦死した9名をはじめとした多数の戦没者はおり、彼らは軍神と称えられる事になりました。 しかしながら、当時の外務省の開戦の通告が遅れ、米国側からは「卑怯な攻撃」として、現在にまで日本の「武士道精神」が誤解されております。 安倍総理は今回の真珠湾訪問で「戦争の惨禍は、二度と繰り返してはならない」と述べていましたが、米国人にとっての真珠湾は「卑怯な日本」を象徴する場所です。 結果として米国人の誤解を是認することにならないでしょうか。 さらに、安倍総理は、「戦争が終わり、日本が見渡す限りの焼け野原、貧しさのどん底の中で苦しんでいた時、食べるもの、着るものを惜しみなく送ってくれたのは、米国であり、アメリカ国民でありました」とも述べました。 一般市民をもターゲットにして、計画的に焼夷弾を用いて日本国中を焼野原にし、日本人を貧しさのどん底に落としたのは、米国に他ならない事も付け加えたいと思います。 日米同盟の重要性は、幸福実現党も訴えているとことではありますが、国家を代表する立場としてここまで卑下する必要はなかったと思います。 そして、昨年の日韓合意同様、上記のような自虐史観を肯定しかねない「政治的なイベント」を行っている安倍総理は本気で憲法9条の改正を目指していけるのでしょうか。 本来、安倍総理は河野談話・村山談話を破棄することで「日本の誇りを取り戻し」、日本が国防強化するに値するだけの国家であることを示す必要があったのです。 (2)本来はまず靖国参拝を行うべき 今回の安倍総理の訪問の目的は「真珠湾で戦った方々への慰霊」でもありました。 東京からハワイまでは、約6500キロ、飛行機で7時間~9時間もの距離を移動したのですが、本当に慰霊をしたいのではあれば、首相官邸から、車で数分の場所に有る靖国神社があるではありませんか。 安倍総理は2013年以降、靖国神社への参拝を行っておりません。距離的にもはるかに遠い真珠湾に「慰霊」に行くならば、少なくとも先に靖国神社に参拝するべきではないでしょうか。 (3)トランプ新大統領との関係悪化を懸念 米国ではトランプ新大統領が1月20日に就任しますが、彼はすでに、ロシアのプーチン大統領との信頼関係構築の動きを始めると共に、台湾の蔡英文総統とも電話会談を行うなど、その外交方針が明らかになりつつあります。 日本にとっては自主防衛の必要が出てくるものの、明確に対習近平政権への包囲網を築こうとしていることが伺えます。 米国トランプ新大統領の登場は「革命的」であり、この大きな流れに乗る事が日本の繁栄への道であります。(参考書籍:大川隆法党総裁著「繁栄への決断」) トランプ大統領は、明確にオバマ政権の内政外交の基本的な考えに対して否定的な考えを持っているにも関わらず、安倍総理は、任期切れ間近のオバマ氏の顔を立てて真珠湾に行ったようです。 しかし、今後の日米関係の強化を考えるならば、日本の立場として、明確に「トランプ革命」の方向に舵をきる意思表示が必要です。 そうした意味で、今回の真珠湾訪問は、トランプ氏から見ると理解できないことであり、今後の日米同盟の強化を考えるなら、行うべきではありませんでした。 ◆日本の繁栄を担うのは幸福実現党のみ! 以上、安倍総理真珠湾訪問について述べましたが、この一年は「トランプ革命」の大きな潮流に日本が乗る事ができるのか、大きな分岐点になりそうです。 幸福実現党は、米国のトランプ革命の大きな流れに乗りながら日本を更なる繁栄への道に誘うだけの明確なビジョンを持っています。今後もご支援を心よりお願いいたします。 すべてを表示する « Previous 1 … 35 36 37 38 39 … 101 Next »