Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 中国の一帯一路――「闇金方式」で覇権拡大!? 2018.09.15 中国の一帯一路――「闇金方式」で覇権拡大!? 幸福実現党 大阪府統括支部長 数森圭吾 ◆中国が進める「一帯一路」 一帯一路とは中国が進める巨大な経済圏構想です。「一帯」とは現代版シルクロード。中国からヨーロッパへと続く陸の経済圏をさします。 そして「一路」とは、中国から東南アジア、インド、アフリカ、ヨーロッパと続く海のシルクロードと呼ばれるものです。 中国は自国が主役となって世界をつなぎ、一大経済圏をつくろうとしているのです。 ◆荒れるモルディブ リゾート地として有名なモルディブで空港の大規模拡張工事が行われています。 その資金は中国の援助によって賄われ、工事のほとんどを請け負っているのは中国企業です。 なぜ中国がモルディブに資金援助しているのか。それは中国の一帯一路が大きく影響しています。 モルディブは一帯一路の海路である一路における重要な場所に存在するのです。観光以外の産業は漁業や農業しかないモルディブは長年財政赤字に苦しめられています。 そこに中国は目をつけ、資金援助をする代わりに一帯一路への協力を要請しました。これに対しモルディブのヤミーン大統領は中国への全面的な協力を約束したのです。 しかし、中国が行っているこの資金援助は無償ではなく「融資」であり、モルディブにとっては借金となるのです。 その結果、モルディブの対外債務の7割以上が中国に対するものになってしまっています。 ◆闇金のように他国の資産を狙う中国 実は中国はモルディブがこの巨額の借金を返済しきれないことを知っているのです。 それでも融資し続ける目的は、返済が滞った場合に「借金のかた」として現地の土地や港、飛行場などを軍事的な目的も含めて中国が使用できるようにすることだと言われています。 つまり、中国は一帯一路のルートに関係する場所にある財政難国家を資金援助というかたちで自国の影響下に置こうとしているのです。 このような事例はモルディブだけでなく、モンゴル・ラオス・キルギス・タジキスタン・パキスタン・ジブチ・モンテネグロなど、一帯一路の要所となる国々ですでに存在しており、中国はその影響力を強めています。 ◆一帯一路を阻むマレーシア マレーシアは中国の一帯一路において欠かせない重要国です。 同国では一帯一路の要となるタイからクアラルンプールまでをつなぐ「東海岸鉄道」の建設や、港の大規模拡張工事が着工されました。 これらは総工費1兆6000億円以上という巨大プロジェクトで、親中派であるナジブ前首相がすすめたものでした。 しかし今年5月、マレーシアにおいてマハティール首相が誕生します。マハティール首相は前政権が推し進めた、中国が深く関係するインフラ事業の見直しを実行しました。 結果、東海岸鉄道の建設は中止となり中国の一帯一路にとっては大打撃となっています。 マハティール首相は中国マネーの怖さを熟知しており、将来的な国益を考えたときにリスクが大きいと判断したと考えられます。 ◆アジア圏における自由・民主を守るために 現状、日本は残念ながらこれらの中国の動きに対して存在感を発揮することができていません。 日本は今年6月、経済インフラ会議でアジアへのインフラ輸出において中国と連携するという方針を決定しました。 これは日本が中国の一帯一路へ協力することも視野にいれたものとも言われています。 この日本政府の方針の背景には中国の暴走を止めるための策が含まれていることを信じたいところですが、不安感を持たれる方が多いのではないでしょうか。 最近の日中の融和ムードのなかにおいても未来を見据え、自由や民主を守るために日本はアジア諸国との連携を強めていかなければなりません。 幸福実現党政務調査会・未来ビジョンの策定に向けて 2018.08.17 幸福実現党政務調査会・成長戦略部会部会長・HS政経塾4期卒塾生 西邑拓真 幸福実現党政務調査会では、成長戦略部会を中心に、日本の目指すべき「未来ビジョン」を検討しています。 その基本的な考え方を、以下のとおりご紹介いたします。 ■幸福実現党政務調査会・未来ビジョンの策定に向けて 平成30年8月16日 幸福実現党 政務調査会 成長戦略部会 https://info.hr-party.jp/2018/6933/ ◆成長戦略ビジョン 〇国力倍増に向けた成長戦略の構築 ・実質成長率3%超(名目成長率5%超)の持続的な経済成長の実現により、早期のGDP倍増、3倍増の達成を目指す。その実現に向け、消費税増税の中止と税率5%への引き下げ、法人実効税率10%台への大幅な引き下げといった大胆な減税政策、徹底的な規制緩和やリニア新幹線などの交通インフラ、新たな基幹産業となりうる分野へ大胆投資を行うなど、国として明確な成長戦略を構築する。 ・移民の受け入れ拡大など人口増に向けた積極的な政策の実施、大胆な未来産業投資・インフラ整備などを進めることで、現行1%未満とされる潜在成長率を、3%程度までに引き上げることを目指す。 〇人口・社会保障 ・人口(とりわけ労働力人口)が国の経済成長の重要な規定要因の一つとなっていることを踏まえると、昨今のわが国の人口減少傾向は国力低下に直結することは言うまでもない。こうした現実が到来することを忌避し、日本は確かな人口増政策を打ち出すべきと考える。 ・世界を牽引し新たな日本モデルを形成するに相応しい「3億人国家」を目指すが、当面は「人口1億5千万人」国家を目標とし、出生率の改善策や、将来的には毎年50万人規模の移民受け入れ策を視野に入れたい。同時に、移民拡大や人口構造の変化に適した環境整備を図るべく、将来的な労働法制のあり方などを検討する。 ・労働力人口を増大させることを念頭に、「安心な社会保障」の実現を目指す。「生涯現役社会」の実現に向け、平均寿命の延伸に合わせた年金受給年齢の引き上げや定年制の延長・撤廃を検討するとともに、「高齢者」の定義見直しを図る。また、「自助と家族の支え合い」をベースにし、年金・医療の制度改革を図り、「積み立て方式」への随時移行を検討する。 〇財政再建・税制 ・国家財政に経営的視点を持って眺めつつ、正しい経済政策と明確な経済成長戦略の実施による経済成長の達成で、中長期的な財政再建・健全財政の実現を目指す。基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標を廃止するとともに、「累積債務残高/GDP」を財政再建の指標として採用する。 ・公正かつ安くて簡素な税体系の構築を目指す。消費税・法人税減税を実施すると同時に、所得税に関しても一律減税を図るとともに、過度な累進制度の見直しを図る。中長期的には給付付き税額控除や、フラットタックスを将来的に導入することを検討する。 〇未来産業振興・インフラ整備 ・技術革新や新産業の方向性は、企業などが経済活動を行う中で「自生的」に決まっていくのであり、ベンチャー企業を含めた民間企業こそが新産業を創出する主体なのであると捉える。したがって、国は、民間部門が新産業の種を次々に生み出すことができるよう、減税や規制緩和など経済活動の「自由の領域」の拡大に努める必要があると考える。そして、技術革新や産業の発展度合に応じた法整備を随時検討していく。 ・基幹産業化が期待される分野のうち、宇宙産業など、研究開発に巨額の資金を必要とし、民間企業だけに委ねていると投資が充分に行われないような分野に関しては、国は戦略性をもって大胆投資を行い、その振興を図っていく必要がある。 ・中長期的な財政計画と整合性を持たせながら、リニア新幹線の全国整備を含めたハード・インフラの整備と維持・補修を図るとともに、AIや自動運転をはじめとした未来科学の到来を念頭にしたソフト・インフラの整備、物流網のあり方を含めた都市計画について検討を進めていく。 ・農林水産業の魅力向上と国際競争力向上を図る。さらには世界の人口増に伴って生じる食糧危機を回避すべく、陸上養殖技術の向上など新しいカロリー源の開発に向けた支援策を講じる。 〇エネルギー ・GDP倍増に伴う電力需要に見合ったエネルギー・ミックスのあり方について検討を進める。「安価で安定的な電力供給網」の整備を念頭に、原発の再稼働や新増設を進めるとともに、核融合、地熱発電などに対する新エネルギー開発も合理性をもって進める。また、エネルギー安全保障の観点から、エネルギー資源調達の多様化を図っていく。 〇教育 ・日本の未来を開く人材の輩出に向けた教育を実現。国家統制型の教育を改め、教育の自由化を推進して公教育の質向上を促進する。また、道徳・宗教・歴史教育を充実させることで子供たちの人間性、愛国心を育み、企業家教育の充実により起業家精神やリスク管理について学べるようにし、日本経済を牽引する企業家を輩出する土壌を形成する。 ◆国防・外交ビジョン 〇国防の抜本強化 ・国の独立や国民の生命・安全を守り抜くために日米同盟を強固なものとしつつ、誇りある主権国家として、「自分の国は自分で守る」体制構築を図っていく。 ・憲法9条の全面改正や防衛費の持続的拡大、中長期的な防衛装備のあり方の検討などに取り組み、抑止力の抜本的強化を図る。 ・産業競争力強化につながる防衛技術力の向上を念頭に、防衛産業への投資拡大のあり方について検討する。 〇明確な外交戦略の構築 ・安全保障協力や同盟関係の構築、経済・貿易の協力関係の構築、神の正義に基づいた国際ルール作り、戦略的なODAの実施、広報文化外交、民間外交のあり方など、自由、民主、信仰の実現に向けた明確な国家戦略を構築する。 ・日米同盟を基軸としつつも、英国やロシアとの関係強化も図るなど、展開すべき外交戦略を検討する。 〇対中・対北朝鮮 ・地域の平和確保のための最重要課題として、覇権主義にひた走る中国の抑止、人権抑圧的な体制変更に向けて取り組んでいく。 ・日米が結束して、引き続き非核化に向けた対北圧力をかけ続けるとともに、国際社会の監視のもと、着実に非核化プロセスを進展させ、北朝鮮の改革を進めていく。 「日本人よ、中国の属国になってもいいのか?!」――HS政経塾オープンセミナーレポート 2018.07.25 「日本人よ、中国の属国になってもいいのか?!」――HS政経塾オープンセミナーレポート HS政経塾 第7期生 高橋 侑希(たかはし ゆき) ◆「日本人よ、中国の属国になってもいいのか?!」 『チベットには27万人のお坊さんがいたのです。朝から晩まで平和のために祈っていたのです。しかし、たった2万人の中国軍が送られると、私たちは何にもできなかったのです。』 『日本の国会前では「平和、平和」と言って活動している人たちがいますが、それでは平和は守れません。それを私はこの身で実感しました。』 ――こう語るのは、チベット出身の国際政治学者のペマ・ギャルポ教授です。 7月21日(土)ユートピア活動推進館にて、国際政治学者ペマ・ギャルポ教授をお招きし、HS政経塾オープンセミナーを開催いたしました。 100名近くの方々がご参加くださり、また、第2部懇親会ではペマ教授もご同席され、日本の未来について参加者と膝詰めで語り合われました。 ◆国家主権の侵害、そして人権弾圧 以下、ペマ教授がセミナーでお話しされた「生の声」(『』部分)をお伝えいたします。 『現在この地球上においては、個人の人権を奪い、民族の自決権を奪い、国家の主権さえも無視している―そういう国家勢力が存在しています。 消えていく国、民族には、国民にはある意味において責任があります。それは、中国の侵略を許してしまった責任です。 チベットの問題は、民族自決権の問題であり、国家の主権の問題であります。人権の問題だけではありません。 1965年、中華人民共和国はチベット自治区にし、その結果、お金・切手が一切使えなくなりました。 中国は「わが先祖が受け継いできた領土(チベット、南シナ海、沖縄、尖閣諸島)を他国には渡さない」と教科書に書いています。』 そこに国際法は存在しません。中国のルールで国家の主権を奪っていくのです。 ◆中国の野望と侵略の仕方 『現在、中国は2050年までにアメリカに代わって世界の大国になると明確に言っています。それは中国が隠し続けてきた「野望」でしたが、ここまで明確に言うようになったのは軍事的にも経済的にも自信がついてきたからでしょう。 中国は心理作戦をする国です。相手の国・組織に入り込んで中を弱体化させているのです。 日本に対してはメディアに入り、国内の世論をコントロールしようとしています。中国では、「10名の記者をごちそうするよりも1人のデスクをしっかりおさえなさい」と教えられるそうです。 たとえば、スポーツでは、相手に勝たせていい思いをさせなさいと指示しているといいます。 健全な試合にまで国家が介入するのです。それが中華人民共和国の体制です。本人たちはスパイとして利用されているとわかっていない人たちが大勢います。 ミサイルは最後の侵略です。中国の侵略の仕方は相手の国の中に入って弱体化させ、攪乱させるのです。自分の国の意のままに動かせる組織をつくろうとします。』 ◆日台関係について 『日本において、表玄関にあたる国は台湾です。台湾を守ることは、日本の安全保障に直結すると思います。台湾の位置づけをもっと認識することが必要です。 中国に対して、台湾は日本に対して重要だと示すべきです。 台湾は若い人のほうがしっかりしています。台湾の独立を目指して模索している若者が大勢いるのです。 日本が台湾を大事にすれば、アジアから見て、日本は頼れる仲間になるのだということを示すことができます。』 アメリカも「安全保障の表玄関」である台湾防衛のために動きだしています。 今月7月7日、米海軍の駆逐艦2隻が台湾南部の海域から台湾海峡に進入し、東北方向に向かったと発表されました。米艦艇の台湾海峡通過は異例で、台湾への軍事的圧力を強める中国をけん制する狙いがあるとみられています。(※1) ◆アジアの平和を守るために ペマ教授は、『日本はアジアの同胞たちの真の解放のためにお手伝いしてくれた国であり、中国に対して謝り続ける必要はない』と何度も言ってくださいました。 来月8月15日は終戦記念日ですが、私たちはいつまでも「アジアに対して迷惑かけてごめんなさい」と言うべきではありません。 日本に感謝し、日本を頼りにしたいと思っているアジアの国々と連携することが、中国をけん制するために必要でしょう。 中国は虎視眈眈と尖閣諸島を狙っています。今月7月4日尖閣諸島周辺の領海に、中国の海上警備を担当する中国海警局の船3隻が相次いで侵入いたしました。そのうちの1隻には機関砲のようなものを搭載していたようです。(※2) もはや、中国の覇権は想像・推測ではありません。この国を無神論国家に手渡さないためにも、日本人は当事者意識を持たなければなりません。 幸福実現党は、アジアの平和を守るために、日本と台湾、インドの関係をより強固なものにし、独裁国家の専制を阻止してまいります。 ※1米駆逐艦2隻が台湾海峡航行、中国牽制か(7/7「産経ニュース) https://www.sankei.com/world/news/180707/wor1807070031-n1.html ※2尖閣周辺に中国海警局の船 軍事委の傘下編入後で初「領海侵入」(7/4「産経WEST」) https://www.sankei.com/west/news/180704/wst1807040030-n1.html 中国化する世界?「一帯一路」構想の真相について 2018.07.24 中国化する世界?「一帯一路」構想の真相について 幸福実現党 政務調査会外交部会部会長 HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ 7月17日に、幸福実現党政務調査会外交部会として内閣総理大臣宛てに「中国の『一帯一路』構想における日本政府の協力見直しを求める要望書」を提出致しました。 世界が中国の「一帯一路」に警戒感を持ち距離を置き始めているなか、日本は中国の動きを協力する方向に動きました。政調会外交部会は、政府の協力見直しを強く要望しています。 ◆内閣総理大臣宛てに「中国の『一帯一路』構想における日本政府の協力見直しを求める要望書」を提出 https://info.hr-party.jp/2018/6783/ ◆「一帯一路」は世界の覇権を拡大する中国の国家戦略 「一帯一路」は、習近平国家主席が提唱し、国を上げて進めている新しいシルクロード計画のことです。 ヨーロッパまでつながる海と陸のシルクロードで巨大な経済圏をつくろうとしていますが、その目的は、世界に覇権を拡大する国家戦略です。 ◆中国の「債務の罠」 発展途上国に対して、港や空港などのインフラ整備の資金を援助しますが、それらは融資であり、発展途上国から見ると借金です。 中国は、莫大なお金を貸すことで影響力を強めていきますが、返済できない場合、土地や資源運営権などを奪い、たとえば港を中国の軍港として使用する場合もあります。 これを中国の「債務の罠」といいます。特に、先進国が援助しない、友達が少ない国やお金がない国、交通の要所である国に、積極的に融資します。 中国が支援する事業は、中国の国営企業が請け負い、資金も中国企業の懐に入る仕組みで、水増し請求や手抜き工事など中国企業が不当な利益を得る構造なのです。 ◆中国の「債務の罠」に「はまった国」 スリランカは、ハンバントタ港の建設を中国の融資に頼り、返済できず、強制的に港を99年間中国の国営企業に貸し出すことになり、軍事拠点化される懸念があります。 パキスタンも、インド洋とアラビア海への玄関口に当たる要所のグワダル港の建設支援を受けましたが、返済できず、43年間の貸し出しに合意し、それを足掛かりにして、他の港にも中国の海軍基地を建設予定です。 また、「一帯一路」の重要な位置のモルディブは、中国から支援を受けて空港や橋などの建設を進めましたが、返済できず、中国が開発している土地一帯を全て受け渡しました。 その他にも、ミャンマーやバングラディシュ、ギリシャなども、中国の軍事拠点化が進んでいます。 また、タジキスタン、キルギス、モンゴルやラオス、ジブチやモンテネグロといった国も、中国との返済問題を抱えています。 ◆「一帯一路」へ強まる警戒感 中国の「債務の罠」の実態が明らかになり、「一帯一路」に警戒感が強まっています。 例えば、マレーシアのマハティール首相は、中国が手掛けてきた鉄道建設などを白紙撤回。安全保障上の理由に加え、中国のインフラ事業は、汚職や腐敗の温床になっていたためすべて見直しました。 インドは「一帯一路」への支持を明確に拒否しています。 そして、EUの27カ国の駐北京大使が「一帯一路」を批判する報告書を作成。イギリスのメイ首相も「一帯一路」への全面協力に関する覚書への署名を拒否しています。 また、フランスのマクロン大統領は「一帯一路」は、各国を属国にする新たな覇権の道だと批判。ドイツの外相も、「一帯一路」の価値観は、民主主義、自由の精神とは一致しないと批判しています。 このように、世界は、「一帯一路」に協力しない方向に動いています。 ◆世界の覇権を握ろうとする悪魔に手を貸す日本 しかし、日本は、5月9日に安倍首相が李克強首相と日中首脳会談を行い、一帯一路構想での協力を話し合う官民合同委員会を設置することで合意しました。今年は、日中平和友好条約締結40周年にあたり、融和ムードを打ち出しています。 日本の経済界などは、「一帯一路」をビジネスチャンスと肯定的に捉えますが、実態は、中国の覇権拡大の野望を後押しすることにほかなりません。 中国政府系シンクタンクによると、「一帯一路」は、毎年5000億米ドル(約53兆円)の資金不足が発生しており、中国はその資金を日本に出させようとしているのでしょう。(※1) そのような構想に日本が協力することは、中国の覇権拡大に手を貸すのと同じことです。政調会外交部会は、日本政府に要望書を提出し、協力見直しを求めました。 「一帯一路」を抑止するために、官民合同委員会設置の見直しを行うこと。中国の民主化・自由化を促すための外交努力を展開すること。そして、同盟国や自由主義国と連携して、途上国への経済支援を進めていくこと。 憲法9条の全面改正を行うとともに、日米同盟を基軸としつつ、英国やロシアとの関係強化を含めた戦略的な外交を展開すること。 そして、自由や民主、信仰といった価値が広く守られる世界の実現に貢献することを目指して参ります。 ※1 一帯一路、毎年5000億米ドルの資金不足=中国政府シンクタンク(4/17「大紀元」) http://www.epochtimes.jp/2018/04/32586.html 「サヨク」が知らない中国共産党の「人権侵害」 2018.07.19 「サヨク」が知らない中国共産党の「人権侵害」 幸福実現党 三重県本部統括支部長 HS政経塾第6期卒塾生 坂本麻貴 ◆民主主義の重要性 『宇宙時代の幕開け』という演題の講演会を、大川隆法幸福実現党総裁が7月4日に行いました。その講演の中で次のように指摘しています。 『多様な考えを持つ人や多様な人種、民族が調和して暮らしていくためには「自由」「民主主義」「信仰」が大切であり、無神論の名においてウイグルやチベット、内モンゴルを占領したり一方的に滅ぼしたりするような事態は間違っている』 1950年に中国共産党はチベットを侵略しています。その後も周辺の国々を占領し、中国化をすすめています。 ◆中国の「成長」と他国の「中国化」 1950年代の中国は、毛沢東による政策の失敗によって、経済は崩壊の危機にありましたが、その後の政策で急成長してきました。 同時に軍事費も右肩上がりに増額しており、過去26年間で40倍にもなっていますが、それに対して日本の成長率や防衛費はこの30年間だけをみても横ばいです。日本は2011年についに中国に追い抜かれています。 中国が経済的にも軍事的にも力を蓄え始めると、周辺の国々の侵略を実行し、中国領土を広げています。中国共産党は話し合いで条約を締結しても、ことごとく破っていきます。 例えば、1950年にチベットを侵略した際に、次のような条約を締結しました。 「チベットの現行政治制度やダライ・ラマの固有の地位及び職権にも中央は変更を加えない」 「チベット人民の宗教信仰と風俗習慣を尊重し、ラマ寺廟を保護する」 「チベットに進駐する人民解放軍は取引は公正にし、人民の針一本、糸一本といえどもとらない」 しかし、この条約はことごとく破られていきました。 その証拠に、1959年にダライ・ラマ14世がインドへ亡命しました。 また、1950年から1976年の間で17万人以上のチベット人が強制収容所で死亡しており、15万人以上が処刑されています。 その他にも拷問死や自殺、飢餓など含めて合計で120万人以上の犠牲者を出しています。 中国には「国境」という概念がありません。チベットやウイグルはあくまで「辺境の地」であり、その辺境の地を取り戻すことは中国にとっては必然なのです。 そして今度は中東からヨーロッパまでを「中国化」しようとしていることは、一帯一路計画からも読みとれます。 他国を「中国化」するために、民族意識を形成する宗教を否定します。チベットでも多くの寺院が一方的に破壊されました。 チベットでは数人で集まって話しているだけで逮捕されるのです。共産主義政権下では、言論の自由も信仰の自由もないのです。 宗教を弾圧し、民族ごと消そうとする中国が、チベットやウイグルに対して行っていることは、単なる人権侵害を通り越して、ジェノサイドだといえます。 こうした事実を知って、その上で憲法9条の改正や自国の防衛について考えるべきではないでしょうか。 ◆アジアのリーダーとして必要な国力 日本は「自由」と「民主主義」によって世界をリードしていく必要があります。 そのために、憲法9条の「改正」、核装備はもちろん、持続的な国力をつけるための成長戦略が必要不可欠です。 その成長戦略とは、法人税、消費税などの減税と、リニア中央新幹線などの成長の見込みのある分野への投資です。 都市と都市をつなぐインフラを強化する事で、企業が日本の国内で活躍できる環境をつくることが、持続的な国力の増強につながります。 左派思想を掲げる人たちがやさしいのだという事は分かりますが、そのやさしさは、自立しない学生が夢や理想を語っている姿に似ています。 国が力を持つということは、他国を生かしはぐくむことや、許すことを現実に実行することができ、より多くの人を守ることができるようになるということです。 国力をつけてこそ、国際社会の中で「自立」できるのです。 皆さんのお声を伺いにまわっていますと勘違いされていることがありますが、幸福実現党は左派ではありませんが、「ウヨク」でもありません。 今後も私たちは国を愛する真の保守政党として、希望の未来へと変えてまいります。 参考書籍 ・岩崎尚人(2015)『中国の経済成長と展望』 ・ペマ・ギャルポ著(2018)『祖国を中国に奪われたチベット人が語る侵略に気づいていない日本人』ハート出版 【HS政経塾からのご案内】 ◆7月21日(土) ペマ・ギャルポ教授によるオープンセミナーのお知らせ https://hs-seikei.happy-science.jp/2018/5836/ このたび、当塾に国際政治学者のペマ・ギャルポ氏をお呼びし、「日本人よ、中国の属国になってもよいのか ~激変するアジア情勢と日本~」と題したオープンセミナーを開催することになりました。 演題:「日本人よ、中国の属国になってもよいのか」 講師:ペマ・ギャルポ氏(拓殖大学教授、桐蔭横浜大学大学院教授) 日時:7月21日(土) 於:ユートピア活動推進館 2F 大礼拝室 〒107-0052 東京都港区赤坂 2-10-8 受付開始 13:00~ セミナー 13:30~15:00 懇親会 15:15~16:30(※ペマ氏同席) 参加費:3000円 (懇親会別途500円) 今回の講演では、1959年に中国軍によるチベット侵略からインドに逃れ、その後、日本に留学されたペマ教授から、「国を失うとは、どういうことなのか」という重大な問題に関して、実体験を踏まえたお話を語っていただきます。 なぜ、平和国家だったチベットが侵略されたのか。 侵略でどれほどの人が犠牲になったのか。 中国による人権侵害の実態はどうなっているのか。 こうした切実な問題は、「平和国家」を謳っている日本にとっても、他人事とは思えません。 中国は現在、公表額で日本の3.7倍の軍事費(約18.4兆円)を用いてアジアで米国に対抗できる軍隊の建設を目指しているからです。 (※海外シンクタンクでは、中国の軍事費は日本の5倍近くになるとも見積もられている〔ストックホルム国際平和研究所〕) 「日本は、今のままで本当に大丈夫なのだろうか」 そんな疑問をお持ちの方に、お勧めのセミナーです。 是非ともお越しいただければ幸いに存じます。 皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。 お問い合わせは、Tel:03-6277-6029、Mail:hs-seikei@kofuku-no-kagaku.or.jpまで 「開国」から「経済建設」へ舵を切った北朝鮮――日本は勇気と気概を持った外交を!【後編】 2018.07.11 「開国」から「経済建設」へ舵を切った北朝鮮――日本は勇気と気概を持った外交を!【後編】 幸福実現党 宮城県本部統括支部長 HS政経塾第5期卒塾生 油井哲史(ゆいてつし) 【前編】に続いて本日は、【後編】をお送りいたします。 ◆北朝鮮の未来を描く「ビデオ映像」 米朝首脳会談の記者会見の冒頭、「男2人、指導者2人、一つの運命。」と題した4分間にわたるビデオ映像が流れました。 これは「結末は二つしかない。」として、前進するか、後退するかを迫るイメージ映像となっています。 前進は「経済建設」を選ぶ道で、株式市場や、荷物を運ぶドローン、自動車工場が映し出され、逆に後退の道は、空爆で破壊されたとみられる建物や発射台から上昇するミサイル、商品のない商店、戦闘機も映し出されています。 この映像は金正恩氏も見て、「気に入ってもらえたようだ。」とトランプ大統領は自賛。その上で、「これを現実の未来にすることができる」と述べ、非核化を選択することで北朝鮮に大規模な経済支援・投資を行うことを示唆しました。 さらに、不動産王のトランプ氏らしく、北朝鮮には素晴らしいビーチがあるので、それを活かしたマンションや世界最高のホテルを建設できると提案しています。 北朝鮮の未来の姿を示すこのビデオで、前進させるか、後退させるか、判断し行動することを促しました。 ◆積極報道されたシンガポール訪問 北朝鮮の公式メディアは、今回の米朝会談における金正恩氏のシンガポール訪問を北朝鮮は大々的に取り上げました。 「歴史的な米朝首脳会談のため」と積極報道し、北朝鮮がトランプ大統領と渡り合う国際的な地位を確保したことを宣伝。朝鮮中央放送など国営メディアはシンガポール外遊最中の最高指導者の動静を大々的に報じています。 今年3月以降、金正恩氏が2回の中朝首脳会談のため北京と大連を訪れた際には、平壌に戻るまで訪中自体を報じなかったことに比べれば、異例の報道を展開しています。 シンガポール市内の名所を観覧し、「多くの分野でシンガポールの立派な知識と経験に学ぼうと思う」と述べたと報じ、夜景を見下ろして、「シンガポールは聞いていた通り、清潔で美しく、すべての建物に特色がある」と称賛したことも伝えました。 ◆北朝鮮の「開国」で経済改革を加速 シンガポールの知識と経験に学び、それを北朝鮮に導入することは、北朝鮮の「開国」を意味します。北朝鮮が経済的に開国することで外資を誘致し、経済改革を加速させる意向を示していると考えられます。 実際、北朝鮮は今年4月の党中央委員会総会で「経済建設と核武力建設並進」の路線からの転換を宣言しています。 核開発を推進させて国際的な地位を高めることに勝利したという前提で、今後は、「経済建設のための有利な国際的環境を整える」と強調し、経済建設に集中することを宣言しました。 開国と言えば、日本では幕藩体制の解体を促進させ、明治維新と近代化の決定的条件となった出来事です。資本主義的世界市場に組み込まれ、政治、社会、経済、文化のあらゆる面で急激な変化をもたらしました。 北朝鮮が開国に向けて準備を進めているとなると、「歴史的な大転換」を迎えようとしているのです。 米朝会談で緩やかな「米朝同盟」ができました。北朝鮮が開国し、経済建設へと舵を切り、新しい時代の構築へと歩みだした事を認識すべきです。 もちろん、非核化に向けた査察の徹底など、合意の履行には十分な注視が必要ですが、日本として、この世界史的な大転換をしっかりと捉えて、未来志向で、勇気と気概を持った判断で外交を展開していくべきです。 【参考】 米朝首脳会議 共同声明の全文 ホワイトハウス公式会見録 米朝会談「歴史の新章」 トランプ大統領の会見全文 小学館 日本大百科全書 時事通信 「「前進か後退か」北朝鮮に迫る=米作製の映像、正恩氏お気に入り?」 2018年6月14日 時事通信 「ポンペオ米長官、「2年半以内」非核化を=軍事演習中止は交渉継続前提」 2018年6月14日 毎日新聞 「「国際的な地位確保」北朝鮮が大々的に報道」 2018年6月12日 毎日新聞 「ボルトン氏「協力あれば1年以内に廃棄」」 2018年7月2日 産経新聞 「ポンペオ米国務長官が訪朝 完全非核化の具体的措置で協議へ」 2018年7月6日 東京新聞 「北朝鮮、経済路線を国内で協調 「核保有」が前提」 2018年4月23日 朝日新聞 「「冷戦から新時代に」米ソ首脳会談で確認」 1989年12月4日 読売新聞 「米ソ会談 評価は歴史の中で」 1989年12月5日 高野孟 「高野孟のTHE JOURNAL」 2018年6月25日 「開国」から「経済建設」へ舵を切った北朝鮮――日本は勇気と気概を持った外交を!【前編】 2018.07.10 「開国」から「経済建設」へ舵を切った北朝鮮――日本は勇気と気概を持った外交を!【前編】 幸福実現党 宮城県本部統括支部長 HS政経塾第5期卒塾生 油井哲史(ゆいてつし) ◆世界が動向を注視した米朝首脳会談 先月6月12日、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われました。 両首脳は、北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化に取り組み、アメリカが体制保証を約束するとした共同声明に署名しました。 多くのメディアでは、いつまでに、どうやって、非核化を実現するのかが盛り込まれておらず、具体性に欠けた内容だったことから、「中身がない」という厳しい反応が見られます。 果たして、合意された「朝鮮半島における完全非核化」が実現されるか、世界が動向を注視しています。 共同声明だけ見ると、トランプ大統領が譲歩して、北朝鮮ペースで進んだようにも見えます。 当初、トランプ政権側は、「『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』がアメリカの受け入れられる唯一の成果だ」と述べていました。 それにもかからず、「『板門店宣言』を再確認したうえでの、朝鮮半島の非核化」となり、非核化の具体的な方法まで踏み込まれていません。 さらに、「北朝鮮に安全の保証を与えること」という約束までしました。 ◆だまされ続けてきた「北朝鮮の非核化」 これまで北朝鮮における非核化の約束は覆されてきたため、今回の北朝鮮の対応に懸念するのも理解できます。 例えば、日本、アメリカ、韓国、中国、ロシア、北朝鮮の6か国が集い、外交会議にて北朝鮮の核問題の解決に向けた六者会合があります。 2003年8月に第1回目の協議が開催され、外交交渉で朝鮮半島の非核化を目指すとともに北東アジアの平和と安定の維持について話し合われました。 2005年に北朝鮮の核放棄などを盛り込んだ共同声明を採択しましたが、翌年の2006年に核実験を強行し、世界から非難を浴びました。 その後も、2009年、2013年にも核実験を行い、ミサイル発射実験を繰り返しています。 ◆トランプ政権は「2年半以内」に非核化を実現したい だまし続けてきた北朝鮮が今回の共同声明に対して揺るぎのない約束を果たせるのか、そして、金正恩氏を信用できるのか、トランプ大統領は記者会見で問われています。 トランプ大統領はこれまでの歴史を見て、まっとうな質問であることを認め、金正恩氏を「信頼している」と答えました。 金正恩氏の強い意志を感じており、包括的な文章に沿って行動することを期待しているといいます。 さらに、トランプ大統領を支えた交渉チームが今回の成果に大きく貢献しており、彼らの活躍を評価しています。 米朝交渉の当事者であるポンペオ国務長官は、平壌で北朝鮮側の交渉責任者らと面談し、核戦力や核・弾道ミサイル開発に関連する情報の全面開示を要請するなど、非核化の詳細を詰める作業を進めています。 彼は、トランプ大統領の1期目の任期が満了する2021年1月を念頭に「2年半以内」に「完全な非核化」の成し遂げたいという期限に言及しました。 ボルトン大統領補佐官も北朝鮮が核・ミサイル施設に関する情報を完全に開示し協力するなら、「1年以内」に大部分の達成が可能との見方を示しています。 まだ、予断を許しませんが、トランプ政権は強い意志を持って、非核化を成し遂げようとしています。 ◆共同宣言すら出されなかった「マルタ会談」 また、米朝会談の共同声明が具体性を欠き、不備が目立つと批判する声もありますが、「冷戦から新時代へ」と新しい世界秩序形成の節目となった1989年の「米ソ首脳会談(マルタ会談)」では首脳がそれぞれ10分間程度ずつ声明を読み上げただけで、共同宣言は出されていません。 当時の反応も懐疑的なものもあります。「共同宣言がなく、今一つ合意内容がはっきりしない印象を受ける。」「これといった具体的成果も生み出さずに徹頭徹尾、米ソ両首脳の意見交換の場になった」という意見も出ていました。 しかし、マルタ会談で世界安定化に向け幅広いテーマが話し合われた後、数次にわたる外相レベルでの準備会談を経て、翌年、本格的な米ソ首脳会談が行われました。 この首脳会談で多くの文書が合意され、署名に至り、歴史的な大転換となっています。 ジャーナリストの高野孟氏は「首脳同士が合うこと自体が、時代の貴重な一大転換を象徴するという場面はあるものであって、シンガポール会談もその1つだったと言える」と評価しています。 ◆米朝会談での異例な出来事 歴史的な米朝会談では、初めから1対1の首脳会談で始まり、異例ともいえる出来事がありました。 それが、4分間にわたる「ビデオ映像」と北朝鮮メディアの「積極報道」です。北朝鮮が新たな明るい未来に向けて第一歩を踏み出したということを感じさせるのです。 次回、【後編】では、4分間にわたる「ビデオ映像」がどんな内容であったのか、そこから米朝会談の本質に迫り、日本はどうあるべきかについて述べて参ります。(つづく) 米朝首脳会談――戦後史の変動にどう向き合うか 2018.06.19 米朝首脳会談――戦後史の変動にどう向き合うか 幸福実現党 政調会外交部会副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆米朝首脳会談におけるトランプ大統領の計算 6月12日、シンガポールで米朝首脳会談が開催されました。 北の非核化に向けた具体的ロードマップが示されない中、トランプ大統領が北朝鮮に対して「体制保障」を与えたことで世界中に衝撃が走りました。 関連する発表や報道を良く見ると、北朝鮮の非核化に向けたトランプ大統領の冷静な計算が背景にある様子が浮かび上がります。 ◆金正恩の「非核化」をバックアップするトランプ大統領の「体制保障」 まず、トランプ大統領が北朝鮮に提示した「体制保障」とはどのようなものだったのでしょうか。米朝会談が行われた2日後、韓国で開催された日米韓外相三者会談の共同声明を見てみましょう。 韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は次の様に発言しています。 「トランプ大統領が北朝鮮に体制保障を与える間、金委員長が確固としたゆるぎない半島の非核化完了に向けた関与を行うことを承認した、シンガポール共同声明の採択を我々は歓迎する。」(※1) 韓国外相の発言からも分かる様に、トランプ大統領が与えた「体制保障」とは、金正恩が非核化を実施するための「保障」であり、決して北を「核保有国」と認めたり、自身の政治的なパフォーマンスのために行った取引ではない事が分かります。 ◆トランプ大統領が「人権問題」に踏み込まない理由 米朝会談に関する世界のもう一つの関心事は、拉致被害者や北朝鮮国内の強制収容所の存在と言った「人権問題」の扱いについてでしょう。 トランプ大統領自身、首脳会談直後の記者会見で、「あなたは北朝鮮の体制を正当化する事で、(人権侵害を受けている)彼らを裏切るのか」などと厳しい質問を受けていますが、トランプ大統領はその様な意図はないと否定しつつ、今やるべきことは「北の核開発の停止」であると回答しています。(※2) つまり、「北朝鮮問題の解決には順序がある」という事です。 どういうことかと言うと、北朝鮮の「人権問題」を追及すると言う事は、北に「情報公開」を突き付ける事に他なりません。 「非核化」と言う武装解除と「情報公開」を北に同時に求めた場合、かつて「ペレストロイカ(改革)」と「グラスノスチ(情報公開)」を同時に進めた結果、体制改革をソフトランディングさせることが出来ず、「守旧派」の反発や軍のクーデターを引き起こしてしまったソ連のように、かえって北朝鮮に大混乱を引き起こす可能性が予想されます。 トランプ大統領が米朝共同声明で人権問題に強く触れなかったのは、このあたりの事情が背景にあるものと推察します。 安倍政権としても、この点を良く考慮して北朝鮮問題にコミットしていくべきだと言えるでしょう。 ◆金正恩は北の「経済開国」を進めたい 米朝会談最大の関心は「果たして金正恩は信用できるのか」と言う点に集中すると言えますが、これは米朝対話に動き出した「金正恩の狙い」を推し量ることが困難であったことに起因するのではないでしょうか。 今から振り返れば、米朝首脳会談に踏み切った金正恩の「狙い」が、北の「経済開国」の道筋をつける事にあった事は明白です。 実際、金正恩は2018年4月の党中央委員会で「経済建設」へのシフトを表明し、翌5月16日には代表団を中国に送り、中国の「改革開放」に学び、経済成長を進める意思を明らかにしています。(※3) ちなみに、米国のポンペオ国務長官やボルトン補佐官が非核化された北朝鮮への「民間投資」について言及したのが5月14日である事を考えると、5月中旬時点で北の「経済開国」の在り方を巡って米中の綱引きがあったのかも知れません。 ◆日本は北朝鮮の「開国」を契機に米露協調を実現せよ もちろん、これまでの北朝鮮の歴代指導者の振る舞いを考慮すれば、「経済開国」に向けた金正恩の意図に対して懐疑的にならざるを得ないでしょう。 しかし、「金正恩は信用できるのか」と言う懸念を率先して打ち消しているのは、他ならぬトランプ大統領です。 米国の大統領が、自身の「信用」を投じて北朝鮮に「保障」を与えようとしている事について、日本は真剣に受け止めるべきではないでしょうか。 また、今後、露朝首脳会談の開催が9月に予定されると共に、米露関係が急速に接近している国際情勢を考慮すれば、日本は北朝鮮の「武装解除」と「経済開国」の支援を通じて、米露協調を実現する「仲介者」として重要な役割を果たす事が出来るものと思われます。(※4,5) そのような情勢を考慮すれば、日本は北朝鮮と言う先軍政治国家の「武装解除」を着地させる事を先決とし、北を徐々に自由主義圏の一員に抱き込む過程で拉致問題の解決を図るべきであり、その際に必要な支援を行う事に躊躇してはならないと考えます。 (※1)2018年6月14日 Department of State Press Availability With Korean Foreign Minister Kang Kyung-wha and Japanese Foreign Minister Taro Kono (※2)2018年6月12日 White House Press Conference by President Trump (※3)2018年5月17日 解放軍報 習近平会見朝鮮労働党友好参観団 (※4)2018年6月14日 President of Russia Meeting with Chairman of the DPRK Supreme People’s Assembly Presidium Kim Yong-nam (※5)2018年6月16日 TASS Trump to meet with Putin in Europe in July – newspaper 米朝首脳会談――完全非核化の具体的道筋なし 2018.06.13 米朝首脳会談――完全非核化の具体的道筋なし 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ◆日本はトランプ大統領に頼るだけでいいのか 米朝会談の結果、金正恩委員長は非核化を受け入れ、トランプ大統領は、その見返りに金正恩体制の保証と経済繁栄の機会を約束しました。 ただ、金委員長の言葉は本当に信用できるのでしょうか。 また、日本は非核化と拉致問題の解決をトランプ大統領に依存しましたが、依存するだけではなく、日本独自でできることはなかったのでしょうか。 ◆具体的内容に乏しい合意文書 今回の歴史的会談を評価するのは難しいでしょう。時間が評価を決めるからです。 昨日の米朝会談の場合は、金正恩が言葉だけでなく、行動で結果を出した時に初めて歴史的だったと言われることになるでしょう。 合意文書に、非核化の具体的内容は示されていません。非核化の手順は今後の協議に委ねられたといってもいいからです。 査察は徹底されるのでしょうか。非核化の膨大な費用は誰が払うのでしょうか。 それは、これから詰めるということですが、アメリカも国際社会も再び北朝鮮に騙される懸念が残ります。 やはり、北朝鮮の本音は、時間稼ぎなのかもしれません。 核の問題だけでなく、日本人の拉致や、北朝鮮国内にある強制収容所での非道な拷問という人権問題も大きいといえます。 トランプ大統領は会見の中で、人権問題について「長い時間をかけて話した」と触れましたが、詳細は不明です。 ◆アメリカ人拉致に即動いたアメリカ議会 一年前の6月、22歳のアメリカ人大学生、オットー・ワームビアさんが、一年半に渡る北朝鮮での拘束から解放され、帰国の数日後に死亡しました。 北朝鮮の観光ツアーに参加しただけなのに、政府転覆罪による拷問で脳に損傷を受けていたのです。 この事件をメディアは連日報道し、アメリカ国民は心底怒りました。 そして、彼の死からわずか三カ月後に、アメリカ下院議会では、北朝鮮に対して過去最高の経済制裁を課す法案が可決したのです。 その名前は、「オットー・ワームビア北朝鮮核制裁法案」。 法案の趣旨は、「北朝鮮と取引をしたものは、アメリカとの取引ができなくなる」というものです。 例えば、中国の銀行や企業が隠れて北朝鮮に貿易取引をしたら、アメリカとの取引は一切行わせず、その銀行は米ドルが扱えなくなります。 アメリカは世界の基軸通貨であるドルを持っている。ドルの蛇口を締めると、どんな国も企業も生きてはいけなくなります。 ◆日本の政治は拉致問題をどう扱ってきたのか 一人のアメリカ人が拉致され、死亡したことで、アメリカは北朝鮮に対して単独で制裁に出ました。 それでは、何百人の国民が拉致された日本は何をしてきたのでしょうか。 実は、拉致被害者の家族会は、日本単独でアメリカと全く同じように制裁を行うよう、何年も前から政府と政治家に求めてきました。 しかし、「日本が単独で制裁したら、北からミサイルで報復攻撃される」、「国際社会から非難される」という理由で実現しなかったのです。 日本の政治家、特に拉致問題に関係している大臣たちは、こういう言葉を使います。 「被害者とご家族の苦しみを思うと一刻の猶予も許されないという思いを共有し、この問題に最も効果的な具体策に取り組みます。」 その「取り組み」とは実際には、アメリカの国務省、国連、そしてトランプ大統領に「お願い」するだけだったのです。 ◆他国に頼るしかない日本でいいのか しかし、そのままで本当にいいのでしょうか。今こそ、日本は「自分の国は自分で守る」という大きな方針転換をすべきではないでしょうか。 北朝鮮問題の次は中国の脅威が問題になるのは必至です。平和を脅かす覇権主義に対して、日本は自由の砦でなければいけません。 そのためにも、日本は他国に頼ってばかりの姿勢を早急にやめ、自衛戦力を持つ必要があります。憲法の改正も急がねばなりません。 香港における自由の革命と日本が果たすべき使命 2018.05.22 香港における自由の革命と日本が果たすべき使命 幸福実現党 青森県本部統括支部長 HS政経塾7期生 三国ゆうき ◆激化する宗教弾圧 中国共産党による宗教弾圧が激しさを増しています。 2018年1月9日、中国北部の山西省にある金灯台教会が「違法建築」を理由に爆破されました。数千とも言われる教会が一方的に取り壊され、昨年だけでも20万人以上のキリスト教徒が、自宅の強制捜査、投獄、拷問、といった迫害を受け続けています。 イスラム教徒のウイグル民族に対しても、中国語の強制、虐殺、闇の臓器売買といった非道の限りが尽くされています。 その中心にいるのは、終身独裁を目指している習近平国家主席。3月の全国人民代表大会において、任期制限が撤廃されたことで、益々権力が大きくなり、東アジアにおける覇権を拡大しています。 習近平国家主席は、5月4日、マルクス生誕200年を記念する大会において「党がマルクス主義を旗印にしたのは完全に正しい」と宣言しました。 マルクスの唯物論を信奉する中国共産党が政権を握っている限り、信仰者に信教の自由は永遠にやってきません。 ◆香港に蒔かれた自由の種 2009年4月30日、幸福実現党は「マルクスの共産党宣言を永遠に葬り去る」という旗印の下に立党し、立ち上がりました。 そして、2011年5月22日、大川隆法党総裁は「Fact and the Truth」(事実と真実)と題する英語説法を香港で開催。法話の中において「『自由』と『平等』のどちらかを選ばなければならないのなら、まず、『自由』を選ばなければなりません」と力強く述べられ、香港に自由の種を蒔かれました。 3年後の2014年、親中派が多数を占める行政長官選挙を自由化するための大規模な運動が起きました。それが、総参加者120万人とも言われる「雨傘革命」です。 「雨傘革命」によって、香港の多くの人たちが政治的自由の大切さを知りました。そして、「香港が中国化されるのではなく、中国を香港化していくこと」これが目指すべき方向性であるということに目覚めました。 ◆選挙権の剥奪、収監、そして反撃 「雨傘革命」の中心的リーダーであった黄之鋒(Joshua Wong)「学民の女神」と呼ばれた周庭(Agnes Chow)らが中心となって立ち上げた政治団体・香港衆志(デモシスト)は、選挙権の自由を求めて親中派との闘いを続けています。 闘いを続ける中で、黄之鋒は二度の収監と実刑判決(執行猶予中)を言い渡され、周庭は香港立法会選挙への立候補を表明するも、選挙権を剥奪されるという憂き目に遭っています。 周庭の選挙権剥奪によって、活動が下火になったかに見えた香港衆志ですが、5月8日、選挙結果の司法審査を求めて請願書を高等法院(高裁)へ提出。再び、反撃の狼煙を上げ始めています。 雨傘革命後、まったく譲歩しない香港政府、中国政府の対応を見て、若者たちの間には失望感が広まっていました。しかし、どんな理不尽があっても周庭は街頭に立ち続けていました。 周庭は、記者のインタビューに対して「希望が見えるから街に立つというのではなく、デモをする人が街に立ったら、希望が見えてくるようにしたい」と答えています。 街宣旗と共に、常に街頭に立ち続ける周庭の姿は、17歳にして軍事指揮者として立ち上がり、オルレアンを解放に導いたジャンヌ・ダルクを彷彿とさせるものがあります。 それは、香港の方々が今、命を賭けて中国共産党と闘い、勝ち取ろうとしている自由です。 日本は、明治維新から今年で150年。今私たちが享受している自由は、先人の方々が命を賭けて勝ち取ってきました。 だからこそ、日本には香港衆志を中心とした新しい自由の芽を、中国共産党に絶対に潰させないこと、香港における自由の革命の後押しをする義務があると考えます。 【参考文献】 ・Truth Youth 2016.4.29香港探訪記「初めて会う、革命のリーダーたち」 http://truthyouth.jp/2016/174/ ・withnews 2018.1.9 「ぴくりとも動かない中国政府、それでも黙らない「女神」立候補へ」 https://withnews.jp/article/f0180109001qq000000000000000W07y10101qq000016553A ・産経 2018.5.4 習近平氏「マルクス主義選択は完全に正しい」生誕200年で講話 https://www.sankei.com/world/news/180504/wor1805040040-n1.html ・The Liberty 2018.6 神を信じると罪になる国 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14381 ・「信仰の法」大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1952 ・「洪秀全の霊言」大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1961 すべてを表示する « Previous 1 … 27 28 29 30 31 … 101 Next »