Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 【党首討論】主な発言とその問題点 2019.07.04 【党首討論】主な発言とその問題点 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 7月3日には、日本記者クラブで党首討論が行われました。 与野党7党の党首が議論したのですが、今までと同じく、減税や自主防衛の強化など、日本に本当に必要な政策は語られませんでした。 しかし、それでも、各党の主張と問題点がよくわかる機会ではあるので、主な発言を紹介してみます。 ◆自民党:増税路線の固定化 安倍首相は、消費税の10%への増税後の財政を問われ、「今後10年くらいの間は必要ない」と答えました。 当面の間、10%の税率を維持し、その後、次の増税の可能性をほのめかしています。 つまり、過去の増税を間違いだとは認めず、現状の増税路線を維持することを決めたわけです。 ◆立憲民主党:ついに消費税増税の間違いを認めた いっぽう、枝野代表は、民主党政権の頃、三党合意で消費税増税を進めたことについて「結果的にあの判断は間違っていた」と発言。 意外にも「間違い」を認めました。 しかし、消費税に関する公約は増税凍結にとどまっているので、ほんとうの意味では反省できていません。 本当に間違いを認めたなら、8%の税率も撤回し、5%に戻すことを訴えなければいけないはずです。 ◆公明党:憲法論から逃げて票を盗みたい 山口なつお代表は、記者との質疑で「公明党の本心は安倍さんの憲法改正は迷惑だと思っているのではないか」と問われました。 この質問は的を射ています。 山口代表は、自民党の改憲議論を「政党の立場」として認め、「もっと与野党の枠を超えて議論をしっかりと深めて国民の認識を広めることは大事だ」答えたのですが、これでは、公明党の立場がよく分かりません。 党としての主張は「改憲」「護憲」などの「中身」が必要なのに、公明党は「議論しよう」としか言っていないからです。 結局、支持母体の創価学会は護憲なのに、公明党は改憲派の自民党と連立しているという、矛盾を隠すための答弁に終始しています。 憲法論で立場を明確にしないまま、バラマキ政策で票を集めて逃げ切ろうという意図が伺えます。 ◆野党連合の矛盾①:自衛隊の「合憲/違憲」、日米同盟の「維持/破棄」 安倍首相は、この討論で野党連合の政策の矛盾を強調しています。 「共産党は自衛隊は憲法違反だというのが明確な立場だ。枝野さんは合憲ということだろうが、もし枝野さんが福井県民だったら、この候補に一票入れるのか」 野党連合を見ると、現在、立民党と国民民主党は自衛隊を「合憲」、共産党は「違憲」としています。 (社民党は村山政権の頃、自衛隊を合憲としたが、現在、党HPにて「現状、明らかに違憲状態にある自衛隊は縮小を図り」と記載。態度は転々としている) また、日米同盟に関しても、立民党と国民民主党は「維持」、共産党は「破棄」なので、立場が一致しません。 (社民党公約は「日米安保条約は、将来的に経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換をめざします」という謎の主張を記載) 討論で、枝野代表は「立憲民主党は明確に日米同盟堅持」とも強調していたので、立憲民主党が共産党と共闘しているのはおかしいのです。 結局、野党連合は「反安保法制」だけで結託しており、まとまった安全保障政策がありません。 こうした政党が政権を取ったところで「国民の生命と安全と財産を守る」という政治の責任を果たせるはずがないといえます。 ◆野党連合の矛盾②:年金政策が不一致なのに年金不安をなくせる? 安倍首相と野党の論戦では、年金が大きな争点になりました。 「志位さんはマクロ経済スライドを廃止すると言っている。枝野さんは民主党政権時代も維持してきたから、維持するという考えなのだろう。もし基本政策が統一されていないのであれば、非常に不誠実だ」 その際に、年金における野党政策の不一致もやり玉にあがりました。 将来世代のために物価・給料水準に応じて今の高齢者への給付を減らす「マクロ経済スライド」に関しては、国民民主党も否定的な発言をしています。 「マクロ経済スライドを適用して世代間の公平を図ろうとすると、どうしても削らざるを得ない」(玉木代表) 国民民主党は、年金で所得の最低保障を行いたがっているので、この制度がその妨げになると見ているようです。 元民主党議員がつくった政党なので、昔に自分たちが維持した制度について「廃止」とは言えないのですが、国民民主党の年金政策は、かなり共産党寄りになってきています。 ◆共産党:「減らない年金」? 共産党の志位委員長は「マクロ経済スライドは廃止し、減らない年金にすべきだ」と主張。 これに対して、安倍首相は「(その場合)今40歳の方が、もらう段階になって年金の積立金は枯渇する」と反論しました。 これは、安倍首相のほうに理があります。 年金は、今の高齢者に多めに給付されており、年を減るに従って給付額が次第に減るように設計されていますが、マクロ経済スライドは、物価や賃金の変動に応じて、直近の世代に払いすぎにならないよう、給付額を削減する仕組みだからです。 これを廃止した場合、今の世代は後の世代に比べると「もらいすぎ」になってしまい、「世代間不平等」が拡大します。 高齢者がどんどん増え、高齢者1人あたりの現役世代の数が減っていくわけですから、給付金が減っていくこと自体は避けがたいものがあります。 志位委員長の主張には無理があり、結局、今の高齢者のために年金の積立金をばらまくだけで終わってしまうでしょう。 ◆日本維新の会:「身を切る改革」は何のため? 維新の会の松井代表は「身を切る改革」を提唱。 「大阪府と大阪市で行革をすることで教育無償化の財源を生み出した」 その結果、「教育無償化」の財源ができたと自慢し、これを全国に広げるべきだと主張しました。 維新に関しては「お金の使いみち」が妥当かどうかという問題があります。 今の教育無償化は、(消費税などで)全世帯から集めたお金を子供のある世帯に配る行為なので、必ずしも公平な政策ではありません。 子供のいない世帯からお金を集め、そのお金を子供のある世帯に移転させているからです。 国の予算を浮かせることができたならば、その分だけ減税するか、全国民に恩恵がある政策(例えば防衛費など)に回すのが筋です。… 【トランプ訪朝】米国任せではノドンミサイルから日本を守れない 2019.07.03 ttp://hrp-newsfile.jp/2019/3632/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆米大統領が初めて北朝鮮に足を踏み入れた トランプ大統領は、6月30日に南北朝鮮の軍事境界線上にある非武装地域を訪問し、板門店で金正恩委員長と会談しました。 朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた板門店で握手し、共に北朝鮮側に入った後に韓国に戻る映像がニュースに流れ、トランプ大統領が金委員長をホワイトハウスに招待したことなどが報道されました。 物別れに終わった2月の会談後の関係修復がはかられたのですが、この時に、トランプ大統領が、日本にとって注目を要する発言をしています。 ◆「我々は長距離弾道ミサイルについて議論をしている」 記者会見の終わり際に、最近、北朝鮮が行ったミサイル発射をついての見解を問われ、トランプ大統領は、(それは)「とても小さい。それらのミサイル実験はどの国もやっている」と答えていました。 「我々は、それらをミサイル実験とは見なしていない」 「我々は長距離弾道ミサイルについて議論をしている。彼らは今、それを発射していない」 「最も重要なのは、核実験が行われていないことだ」 そして、北朝鮮への「制裁を外せる日を楽しみにしている」とも述べていたのです。 ◆米朝交渉の中心は「米国にとっての脅威の除去」とみられる 今回の訪朝で、トランプ氏は「長距離弾道ミサイル」と「核」に焦点を絞ってきています。 つまり、核開発を止めさせ、米国の脅威となる長距離弾道ミサイルを廃棄させることを優先しているのです。 韓国にとっては「短距離」のミサイルが大きな問題を占めるのですが、それは問題には挙げられませんでした。 日本の脅威となるのは、九州や中国地方に届くスカッドR(短距離弾道ミサイル)や全国に届くノドン(準中距離弾道ミサイル)ですが、これらの扱いも不明なままです。 ◆日本を守るのは、やはり、日本自身の力 もし、北朝鮮の核兵器の全てが除去されるのなら、それをノドンやスカッドに積めなくなるので、日本の安全につながります。 しかし、北朝鮮の全域を捜索し、核兵器の全てを破棄させるのは、簡単なことではありません。 米国が1年交渉しても、いまだ核兵器を一つも廃棄できず、大統領が「核実験が止まった」ことを成果とせざるをえないのが現状です。 米朝交渉で、短距離や中距離のミサイルも廃棄対象になることを期待する方もいますが、今回、それは、主な議題ではないことが明らかになりました。 結局、日本は防衛力を強化し、「ミサイルを撃たせない体制」をつくらなければならないわけです。 ◆「ミサイルを撃たせない」ための二つの道 日本には「ミサイル防衛システム」がありますが、北朝鮮は100発以上の弾道ミサイルで日本を狙えるため、これで落とせるのは一部に限られます。 北朝鮮のミサイルに対抗するには、核兵器を持った米軍の部隊を日本に展開させるか、攻撃を踏みとどまらせる「抑止力」を持つかしかありません 前者は、非核三原則の「持ち込ませず」をなくし、米軍の核部隊や核搭載の艦艇などが公然と日本に滞在できる体制をつくることです。 しかし、オスプレイだけで大騒ぎになる日本で、これを実現するのは、困難をきわめます。 また、もともと沖縄返還時に、そこにいた核部隊を引き揚げた米国に、いまさらこのプランを求めることにも、政策的な矛盾があります。 「『核抜き・本土並み』の返還を求めたのは、日本ではないか」と言われることは避けられないでしょう。 (冷戦期には核抑止力が必要だったが、非核三原則があるので、日本は、結局、ながらく核持ち込みを容認する「密約」を結んでいた) ◆ミサイルを撃たせないための「ミサイル導入」 こうした事情を踏まえ、日本でも実現可能な策として、米国からの「巡航ミサイル」の導入を提言する人もいます。 米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める北村淳氏は、約1000億円で自衛隊艦艇には800発程度のトマホークミサイルを搭載可能だとも指摘しています。 (今のミサイル防衛システムを拡大し、北朝鮮のミサイル群への迎撃体制を完備させる場合は、新装備も含めて約2兆円が必要になると試算。なお、トマホークは、トランプ大統領が習主席を初めて米国に招いた時に、シリアに撃って見せた巡航ミサイル) 安倍首相も、2018年にやっと北朝鮮が数百基のノドンミサイルを配備していることを公の場で語りましたが(18/2/14衆院予算委)、結局、これを「撃たせない」ためには、日本も反撃できる体制をつくり、攻撃を思いとどまらせるしかありません。 前防衛大臣の小野田氏はこの政策に前向きだったので、政府も「巡航ミサイル導入」の議論を進めようとしていました。 しかし、現在は、もはや忘れ去られています。 今のままでは、安倍首相の「脅威の認識」と日本に必要な抑止力のレベルがつりあわないのですが、自民党の議員は、その矛盾に口をつぐんでいるようです。 (※18年防衛白書も北朝鮮が「スカッド用のTEL(移動式発射台)を最大100両、ノドン用のTELを最大50両、IRBM(ムスダン)用のTELを最大50両」もっているとの米軍の分析を紹介しているが、その対策は不明) ◆日本を攻撃させないためにも「自衛隊の強化」が必要 生前、渡部昇一氏は、武の語源は、矛をもって矛を止めることだと言っていました。 つまり、ミサイルを持つことで、北朝鮮にミサイルを撃たせなくすることが大事です。 幸福実現党が、立党以来、北朝鮮への「抑止力」強化を訴えてきたのは、戦争がしたいからではなく、戦争が起きるのを防ぐためです。 巡航ミサイルの導入に関しては、自民党よりも前から必要だと主張しています。 (※「巡航ミサイルを備えた潜水艦隊を充実(2010主要政策)」「巡航ミサイルなどの敵基地攻撃能力を保有(2013主要政策)」など) 2017年に北朝鮮危機が本格化してから「巡航ミサイルの保有」を検討した国会議員は、18年に米朝交渉が始まったのをいいことに、全てを米国任せにし、この問題に口をつぐんでしまいました。 しかし、このたびのトランプ訪朝で、短距離・中距離弾道ミサイルに対しては、日本自らが「撃たせない」だけの抑止力を持つべきことがはっきりしたのです。 幸福実現党は、今後も、日本を攻撃させないためにも、平和を守る「抑止力」の必要性を、訴え続けてまいります。 【参照】 ・ARIRANG NEWS(アリランテレビ):LIVE: [S.Korea-U.S. Summit] MOON,… トランプの「同盟不平等」論に安倍政権は答えられるのか 2019.07.02 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆日本政府を揺さぶった、トランプの「同盟不平等」発言 G20に出かける前に、トランプ大統領は、日米同盟が不平等だと指摘し、日本政府にゆさぶりをかけました。 (※以下の発言は6月26日のFOX BUSINESSのインタビューでのコメント) 「我々は日本と同盟を結んでいる」 「もし、日本が攻撃されたら、我々は第三次世界大戦を戦うことになる」 「我々はそこに行き、彼らを守る。我々の生命と予算を費やして戦う。我々はどんな犠牲を払ってでも戦うのだ」 「しかし、我々が攻撃された時、日本は我々のために戦う必要はない」 (その時)「彼らは、その攻撃をソニーのテレビで見ているだけだ」 政府関係者やマスコミは、トランプ氏がG20を前にして、急に大統領選の頃のような同盟否定論を語ったことに驚きました。 大統領になった後は、持論と現実との落差を知り、トランプ氏も「丸く」なったのではなかったのか――。 この発言は、そうした想定に「揺らぎ」を与える一撃だったからです。 ◆トランプの本音は変わらない こうした発言は、大統領選の頃から、トランプ氏が繰り返し語ってきた持論ではあります。 しかし、トランプ氏は、大統領になった後は、日米首脳会談などで同盟堅持を表明し、歴代政権に近い立場を取ってきました。 2018年までは、マティス国防長官(当時)のように、同盟を重視する軍人閣僚が外交・安保政策を支えていたので、トランプ氏はこの種の発言を減らしていましたが、最近は、安全保障に不熱心な日本への不満がたまり、また本音を語り始めています。 その不満の典型は「中国や日本は、ホルムズ海峡を通る自国のタンカーを自国で守るべきだ」という主張です。 24日のツイッターでは「中国が輸入する石油の91%はホルムズ海峡を通る。日本の石油の62%もそうだ。どうして米国は、こうした国々のために代償ゼロでシーレーンを守る必要があるのか」と書き、「米国は世界最大のエネルギー生産国なのだから、(この海峡に)とどまる必要さえない」とまで述べています。 日本は、米国に安全保障を依存しすぎていると考えているわけです。 ◆日米同盟は「かつてないほど強固」ではなかったのか? ただ、こうした本音トークがなされても、トランプ大統領が、すぐに日米同盟破棄に動く可能性は低いでしょう。 現在、対決姿勢を打ち出している中国が最も嫌がっているのは「日米同盟の抑止力」です。 北朝鮮にとっても、同盟を根拠に日本に展開する在日米軍は、大きな脅威になっています。 ここで同盟を解消すれば、中国と北朝鮮が手を叩いて大喜びするだけだからです。 5月の訪日時に、トランプ大統領は、米国の強襲揚陸艦「ワスプ」の上で「同盟はかつてないほど強固だ」と述べています。 訪問した横須賀基地は「鉄壁の日米協力関係のあかしだ」とも語りました。 結局、トランプ大統領は「同盟は必要」という現実を認めながらも、本音を語ることで、同盟国に、安全保障への「本気の取組み」を求めています。 また、こうした威嚇をちらつかせることで、日米通商交渉を有利に進めようとしています。 ◆「日米同盟は不公平」と主張するのはトランプ氏だけではない ただ、こうした「日米同盟は不公平だ」という主張は、トランプ氏だけが言っているわけではありません。 古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)は、議会からもそうした声が出ていることに注意を喚起しています。 JBプレスの記事では、「日米同盟は不公正であり、日本は憲法を改正して集団自衛権の完全行使を可能にし、米国を支援すべきだ」と主張してきたブラッド・シャーマン議員(民主党)が米下院の外交委員会で要職についたことを紹介しています。 この人がアジア太平洋を扱う「アジア太平洋・核不拡散小委員会」の委員長に就いたので、日本にもう一段の防衛努力が要求される可能性が出てきたと指摘しているのです。 ◆「集団的自衛権の限定容認」の限界 しかし、安倍政権は「集団的自衛権」の限定容認がなされたので、有事に米国を支援できると考えているのかもしれません。 ただ、その要件をみると、実際は、米国が攻撃されただけでは、集団的自衛権を使えないようになっています。 現状では、日本にとって「国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がない限り、米国が攻撃を受けても、集団的自衛権を使う条件は整わないのです。 世界最強の米国が被害を受けても、日本に前掲の「明白な危険」が生じないことは十分に起こりえます。 この場合は、米国大統領が参戦を求めても、集団的自衛権を使えない事態が発生しうるわけです。 (例えば、2001年にワールド・トレード・センターが崩落しましたが、この出来事で「日本の存立が脅かされた」と言えるかどうかは疑問です。どこかの反米国が工作員を用いて米国の重要施設にテロ攻撃をした程度では、前掲の「集団的自衛権を行使する要件」が満たされない可能性があります) こうした仕組みができているのは、日本の政治家が「米国の戦争に巻き込まれる」ことを避けようとしたからです。 たしかに「無駄な戦争に巻き込まれたくない」というのは、もっともな話ではありますが、その反面として、日本は、米国にとって「当てにならない同盟国」になっているのも事実なのです。 ◆安倍政権でも、日本の防衛費はたいして伸びていない 米国から見た時のもう一つの不満は、日本の防衛費の負担が少ないと言うことです。 トランプ政権は、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に「GDP比で2%の防衛費負担」を求めているので、GDP比1%程度の防衛費は、とても小さく見えているはずです。 安倍政権は、防衛費を増やしましたが、規模が小さく、物価も上がっているので、実際は、たいして変わっていません。 2014年から2018年までの防衛関係費の増額は3063億円。 伸び率は約6.3%です。 しかし、同時期の物価は約2.1%上がっているので、実質で見た防衛費の伸び率は4年間で4.2%。 年間伸び率は1%程度にすぎません。 自民党の「ゆるぎない防衛力を整備する」という公約は、看板倒れで終わっています。 ※上記計算 ・5兆1911億円 -4兆8848億円=3063億円。3063億÷4兆8848億で6.27%)… 【日露交渉】右手に「対露制裁」、左手に「平和条約」で進むわけがない 2019.06.29 【日露交渉】右手に「対露制裁」、左手に「平和条約」で進むわけがない HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆日露首脳会談 何が成果? 6月29日の日露首脳会談では、大きな進展がありませんでした。 今回、合意に至ったのは、以下の項目だと報じられています。 ・日ソ共同宣言を基礎にした交渉加速を継続 ・2023年までに相互訪問者を少なくとも20万人、計40万人に ・北極圏での液化天然ガス(LNG)生産事業や医療分野での協力拡大 ・北方四島での共同経済活動を秋に試行(観光やごみ処理等) ・航空機での北方領土元島民の墓参りの実施 (※北極圏でのLNG生産事業では、三井物産とロシアガス大手ノバテクが協力する) 内容をみると、特に、これといった大きな成果が見当たりません。 ◆新しい一手がなかった安倍政権 そもそも、今回は、6月22日の時点でプーチン大統領が、国営テレビのインタビューで領土返還の「計画はない」とあらかじめ述べていました。 南クリル諸島(北方領土)のインフラ建設を進めるとも発言しており、島の施設から「ロシア国旗を下ろすことはあるか」と訊かれた際には、「そうした計画はない」と答えていたのです。 今回は、今までと同じ議論を続けても、らちがあかないことは明らかでしたが、安倍首相に新しい一手はなかったのです。 日ロ首脳会談は26回目となりましたが、結局、平和条約と領土交渉は一向に進展していません。 ◆「外交の成果」を政策パンフに書けない自民党 今回の会談も含めて、安倍首相の「外交」は、PRが目立つわりには、十分な成果があがっていません。 それは、自民党の政策パンフレットを見れば分かります。 経済政策では、若者の就職内定率が過去最高であるとか、企業の倒産が減ったとか、具体的に並べる内容があるのですが、外交・安保政策には、それがないのです。 そのかわりに、安倍首相の「写真」で紙面が埋められています。 トランプ大統領とゴルフしたり、モディ首相やマクロン大統領、プーチン大統領などと一緒に映っている写真が「成果」のかわりに並べられているのです。 ◆たいして進展がない「外交・安保政策」 自民党の外交・安保政策には、「ゆるぎない防衛力を整備する」(米豪印等と)「自由で開かれたインド洋を実現」「北朝鮮の核・ミサイル放棄」「拉致被害者全員の帰国」などといった項目が並んでいます。 どれも大事ですが、これらの政策は政権ができた頃から主張してきたものです。 そのため、もはや「成果があったのかどうか」が問われるべき時が来ています。 対露外交については「領土問題を解決し、日露平和条約の締結を目指します」と書かれていました。 しかし、26回も首脳会談をし、プーチン大統領が2回訪日したのに、議論はたいして進んでいません。 そして、進んでいないのは、他の項目も同じなのです。 「防衛費が増えた」といいますが、微増にすぎません。 また、北朝鮮の核ミサイル放棄や拉致被害者の帰国は一向にめどがたちません。 「自由で開かれたインド洋の実現」は、中国に対抗する米国の「インド・太平洋戦略」との連携を意味しますが、今の日本は、中国のご機嫌取りに終始しています。 ◆日本は、右手で制裁しながら、左手で「平和条約と領土返還」を求めている。 日露交渉に関して言えば、そもそも、「ロシア制裁を続けながら領土返還を求める」という日本のスタンスに矛盾があります。 これは、2016年12月に、プーチン大統領が初めて訪日した時と全然、変わっていません。 当時は、オバマ大統領の任期が残り1ヶ月しかなく、トランプ政権のロシア政策も固まっていなかったので、制裁解除のチャンスだったのですが、安倍首相は決断できませんでした。 プーチン大統領にとっては、日本がひたすら米国に追随しているようにしか見えず、その後、領土返還について態度を硬化させています。 実際に、返還後の北方領土に米軍基地がつくられる可能性を危険視し、「日本がこの問題でどの程度主権を持っているのか分からない」と指摘しています。 制裁解除もできない国が、米軍の意に反して基地の建設を止められるとは信じがたいからです。 プーチン大統領には、右手で制裁しながら、左手で平和条約と領土返還を求める奇妙な外交に見えたに違いありません。 ◆日露交渉を進展させるために やはり、日露交渉を進展させたいのなら、日本は、態度を明確にしなければいけません。 まずは「ロシアは敵ではない」ということを示す必要があります。 対露制裁を解除し、ロシアのG8復帰を促すなど、日本は独立国として主体的に動くべきです。 ロシアを敵国扱いすることを終わらせなければ、平和条約の締結や領土返還交渉が進まないのは当然です。 我が国は、日露関係を強化することでロシアが中国寄りになることを防がなければなりません。 日米同盟があるので、米国の理解を得るのは大変ではありますが、これは、それだけの労力を費やすに値する政治課題です。 自民党の「対米追随」外交だけで、日本の未来を拓くことはできません。 幸福実現党は、対露外交に新たな一手を打ち、日露平和条約を早期に締結すべきことを訴えてまいります。 【参照】 ・自民党「令和元年政策パンフレット」 ・朝日デジタル「プーチン氏『日本の決定権に疑問』 北方領土と米軍基地」(2018/12/21) 香港デモは、中国の”国内問題”ではなく、国際問題だ 2019.06.28 香港デモは、中国の”国内問題”ではなく、国際問題だ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆G20を前にして、香港のデモ隊が各国領事館に陳情書を提出 G20首脳会談の前日に、香港のデモ隊は各国の領事館まで行進し、「逃亡犯条例」改正の完全撤回への支援を訴えました。 デモ隊は陳情書を領事館に提出し、この条例をG20の議題とすることを求めています。 「香港に自由を、いまこそ民主主義を」 「トランプ大統領、香港を解放してください」 そう訴えているのは、条例案の審議が止まっただけでは、まだ不十分だからです。 香港政府は、条例案が来年7月に廃案になることを受け入れると表明しましたが、議会は親中派が多数なので、実際は、あとで審議を再開できます。 そのため、デモ隊は香港政府が自ら案を完全撤回するまで妥協せず、各国政府に支援を呼びかけました。 香港政府は北京の言いなりなので、中国に主要国が抗議し、圧力をかけなければ、また改正案が蒸し返される恐れがあるからです。 ◆香港をめぐる米中高官のそれぞれの主張 29日には、米中首脳会談が開催されますので、両国の事前の動きを整理しておきます。 まず、6月17日に、ポンペオ国務長官は、香港デモについての見解を問われ、「トランプ大統領は常に熱心な人権の擁護者だ」「(香港問題が)会談の議題に含まれると確信している」と述べています(FOXニュースのインタビュー)。 これに対して、中国の張軍・外務次官補は24日に「香港の問題は純粋に中国の内政問題であり、いかなる諸外国にも干渉する権利はない」と反発。 G20が、世界の経済協議の場であることを理由に、香港について議論することは認められないと主張しました。 しかし、それは、適切な主張ではありません。 確かに、G20は、もとは国際経済会議でしたが、G7を拡大し、新興国にまで参加枠を広げたのは、急成長する国に応分の責任を求める意図があったからです。 そのため、香港の民主主義を維持するという、返還時の約束を守ることを各国が要求するのは当然です。 また、「逃亡犯条例」改正で、市民や外国人が当局の意のままに中国本土に引き渡されるようになれば、香港の信用が失墜し、「国際金融都市」としての機能が失われます。 香港が中国本土と同じになれば、香港から他のアジア諸国(シンガポールなど)に事務所を移転する企業が増えますし、香港への投資が減るので、結局、国際経済にも影響が出るのです。 つまり、ポンペオ国務長官が述べたように、これがG20の議題に入るのは、当然のことです。 「議論を認めない」と主張する中国は、G20が自国内の会議ではなく、「国際会議」であることを忘れてしまったのでしょう。 諸外国の首脳の言論の自由を奪う権利が、中国にあるはずがありません。 ◆香港デモの影響で、台湾の蔡英文総統と国民党候補者との支持率が逆転 香港デモに関しては、同じく中国の脅威を前にした台湾人が注目しています。 世論調査では、台湾人の7割(70.8%)が「香港人のデモを支持する」と答えており、中国への反感が高まっています。 中国は、香港と同時に、台湾の民主主義を脅かしているからです。 その結果、「中国との関係を改善し、景気回復を図る」という国民党の主張は、前よりも台湾人の心に響かなくなりました。 むしろ、中国への対決路線に切り替えた蔡英文総統の支持率が上がっています。 「蔡氏の支持率は47・7%(前月43・1%)、不支持率は43・6(前月46・8%)」 「17年11月から続いていた支持が不支持を下回る状態を抜け出した」(朝日6/25) 野党候補者のトップ3を見ると、香港デモについて「よく知らない」と答えた国民党の韓国瑜(高雄市長)は、首位から二位に下がりました。 現在は、郭台銘(テリー・ゴウ鳴海会長、7月1日に退任)が首位です。 第三位は、朱立倫元主席で、3人の支持率は拮抗しています。 (5/19⇒6/24、台湾民意基金会が野党候補者の支持率を調査) ・郭台銘:21.8%⇒29% ・韓国瑜:23.8%⇒26.4% ・朱立倫:18.3%⇒26.7% 郭氏が首位ですが、経済よりも「民主主義の危機」が懸念され、現在では、どの野党候補よりも蔡氏のほうが支持率が高くなっています。 「大手テレビ局TVBSが今月24日に公表した調査では、蔡氏に初めて逆転され、それぞれ8~15ポイント差を付けられている」(産経6/26) 香港市民が立ち上がったことで、アジアの政治の風向きが変わり始めています。| ◆G20議長国の日本が、率先して香港デモへの支援を打ち出すべき しかし、G20の議長国である日本の政治家は、中国のご機嫌伺いのため、香港デモへの明確な支持を打ち出せないでいます。 菅長官が6月13日に行った記者会見でも、まるで他人事のような発言がなされています。 ・「邦人保護の観点を含め、日本政府としても引き続き大きな関心を持って注視している」 ・「民主的なプロセスの下、十分議論が行われ、『一国二制度』の下で香港の自由や安定などが維持されることを強く期待している」 ・「今後とも香港当局とは必要に応じ意思疎通を続けていきたい」 ・「平和的な話し合いを通じて事態が早期に収拾されることを期待する」 そして、今の日本では、台湾の韓候補のように、香港デモに冷淡でも、支持率が急落することもありません。 日本では、水や空気があるのと同じように「平和」や「普通選挙」があるのは当然だと思われているので、香港デモが、中国の脅威に直面する自分たちにとっても大事な問題だとは、十分に受け止められていないのです。 幸福実現党は、こうした風潮を打破すべく、「沖縄・台湾・香港の自由を守ろう!」デモを開催し、香港デモの支持などを訴えました。 6月16日には、沖縄県本部が開催。410人が参加しています。 26日には、東京都新宿区でもデモを実施し、炎天下のなか、約950人が参加しました。 トランプ大統領が、香港デモを支持するのかもしれませんが、米国だけが言っても、他の主要国が賛同しなければ、中国への圧力は半減してしまいます。… G20で、日本は「拘束された日本人の解放」を中国に要求すべき 2019.06.25 G20で、日本は「拘束された日本人の解放」を中国に要求すべき HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆中国に拘束されたカナダ人解放で米国とカナダが連携 6月28~29日に大阪で開催されるG20首脳会談を前にして、各国の首脳は様々な「戦略」を練っています。 例えば、日本と同じく、米国の同盟国であるカナダは、米国と連携して、G20で中国に拘束されたカナダ人の解放を要求する方針を決めました。 トルドー首相は、6月20日の米加会談において、この件でトランプ大統領の合意を引き出しています。 「カナダを助けるためにできることは何でもやる」(トランプ大統領) 拘束されたカナダ人に関しては、ファーウェイ幹部の逮捕への見せしめとして、すでに死刑判決が言い渡されているので、米加首脳の双方が、何とかして取り返そうとしているのです。 ◆「拘束された日本人」を放置している日本政府 しかし、何度もトランプ大統領と会談した安倍首相には「中国で拘束された日本人を、日米で連携して解放を求める」という構想がないようです。 北朝鮮の拉致問題で米国に力添えを頼んでいることは、たびたび報道されていますが、こちらに関しては、なしのつぶてに近い状態です。 5月20日には、拘束された日本人に対して懲役15年の判決が出されましたが、菅官房長官は「邦人保護の観点から、できる限りの支援を行っていきたい」としか述べませんでした。 本当に罪を犯したかどうかも明らかにされないまま、日本人が15年も刑務所に入れられているのに、はっきりと抗議していないのです。 ◆相次ぐ「中国政府による日本人拘束」と実刑判決 近年、中国政府にスパイと疑われた日本人の拘束が相次いでいます。 2015年に5月20日には、温泉開発の調査をしていた50代の日本人男性に対して、中国の地方裁判所(海南省第1中級人民法院)が、懲役15年と10万元(約160万円)の財産没収の判決を言い渡しています。 この男性は、千葉県船橋市にある「日本地下探査」(地質調査を行う)の協力会社(※)の関係者で、17年3月、海南省で温泉開発の調査を試みた際に、拘束されました。 (※産経報道によれば遼寧省大連市にある「大連和源温泉開発公司」の社員) 「国家機密を窃取し、国外に違法に提供した罪」が適用され、男性のパソコンなどから地図を含む大量の資料が発見されたとのことですが、具体的に、何が「国家機密」の窃取にあたるのかは、定かではありません。 この会社に関しては、他にも取締りが行われ、山東省で温泉探査をしていた社員も拘束されています。 17日には同省の中級人民法院が、その日本人社員に対して、懲役5年6カ月と財産3万元(約48万円)没収の判決を言い渡しました。 また、北京市では、5月21日に、日中青年交流協会の鈴木英司理事長に、スパイ罪で懲役6年の実刑判決を言い渡しています(5万元の財産没収を伴う)。 さらには、18年2月には、伊藤忠商事の40代の男性社員が広州市で拘束され、公判が行われています。 2015年以降、9人の日本人が国家機密を盗んだ罪などで起訴され、8人に実刑判決が出されているのです。 ◆安倍首相 日中関係は「完全に正常な軌道へと戻った」 そんな馬鹿な・・・。 これらの日本人に重刑が科されるまでの事実関係は、明らかにされていません。 そうした状態で懲役刑などの重刑が科されるのは、まともな自由民主国ではありえないことです。 中国では「共産党」が議会も行政も司法もすべて指導することになっているので、政権の意図から離れた裁判が期待できません。 そんなところで、日本国民が囚われ、重刑を課せられているのを無視することは、国家としての責任放棄です。 人間には、まともな裁判を受ける権利があるのですから、これは人権侵害を黙認しているのと同じことです。 4月15日の日中外相会談で、河野外相は、中国が拘束した日本人9人の早期帰国を要請しましたが、中国側は「国内法令に基づいて適切に対応する」と述べただけで終わり、結局は、重刑判決で終わったのです。 安倍首相は、3月6日に「完全に正常な軌道へと戻った日中関係を新たな段階へと押し上げていく」と述べましたが、実際には、異常な出来事が起きています。 「昨年秋の訪中で習近平国家主席と互いに脅威とならないことを確認した」はずなのに、日本人が人質のように囚われ続けています。 (※首相発言は参院予算委での発言) ◆G20で日本人拘束を抗議し、早期帰国を中国に要求すべき 日本は、6月末のG20で、日本人の拘束と実刑判決に抗議し、早期帰国を中国に要求すべきです。 こんなことをする中国の国家主席を国賓待遇でもてなすのは、馬鹿げています。 国民の声明と安全と財産を守るのが、国家の役割なのですから、日本人の拘束解除がなされ、帰国の道筋が立たなければ、国賓待遇を取り消すぐらいのことができなければ、日本は、国家とは言えません。 日本は明確に香港デモを支援すべきですが、そもそも、自国民の拘束に対して抗議ができない現状を改めるべきです。 それができないのは、選挙対策のために「日中友好」という人気取りの看板を掲げているからなのではないでしょうか。 既存の政党は、この問題をまともに取り上げていませんが、幸福実現党は、国民の生命と安全と財産を守るために力を尽くしてまいります。 そのために、拘束された日本人の解放を訴えてまいります。 【参照】 ・日経電子版「トランプ氏、カナダ人拘束問題を提起へ 米中会談で」(2019.6.21) ・産経ニュース「『邦人保護の観点からできる限り支援』 菅氏、中国で実刑判決の日本人」(2019.5.21) ・AFP通信「日中交流団体役員に懲役6年=スパイ罪で、日本人今月4人目」(2019.5.21) ・時事ドットコム「邦人に懲役15年=50代男性、国家機密入手・提供-中国海南省」(2019.5.20) ・産経ニュース「東シナ海、中国に自制要請 拘束邦人の帰国も 日中外相会談で河野氏」(2019.4.16) ・産経ニュース「首相、日中関係『完全に正常な軌道に戻った』 参院予算委で」(2019.3.6) 逡巡するトランプに、日本はイラン攻撃反対を伝えるべき【後編】 2019.06.23 逡巡するトランプに、日本はイラン攻撃反対を伝えるべき【後編】 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆米国は、また「神を信じる人々」を殺すのか 前回、述べたように、イランの体制は、結局、北朝鮮や中国のような、唯物思想の人権弾圧国家とは違います。 「時代相応に自由化も必要だ」とは言えますが、他国が武力で変革を迫らなければいけないような、悪しき独裁国家ではありません。 イランを「悪」とみなして、その国を滅ぼせば、大義もないままに、神を信じる人々を戦火に巻き込むだけです。 (※「9.11」以降、「テロとの戦い」により、イラクやアフガン、パキスタンで発生した暴力による死者は約50万人ともいわれている) また、アメリカは、1億5000万人を超えるシーア派のイスラム教徒を敵に回すので、さらなる「テロとの戦い」を強いられます。 イランはイラクの4倍近い面積があり、人口は2倍いるのですから、勝利しても、その後の統治は困難を極めます。 地域が不安定化し、エネルギー供給も危機にさらされるので、何もよいことはありません。 ◆同じ「造物主」を信じる者が争うという愚 そして、最も大事なことは、キリスト教とイスラム教は、もともとは同じ「造物主」を信じる宗教だということです。 それが認められず、延々と戦いが続いていることが、最大の問題です。 ムハンマドは、自分を導く神は、旧約聖書、新約聖書に出てくる神でもあると考えましたが、ユダヤ教徒やキリスト教徒は、今に至るまで、彼を預言者とは認めていません。 これは、愛を説いて死んだイエスと、兵を率いたムハンマドとでは生き方が違いすぎるので、両者の教えが同じ神から来たとは思えないということなのかもしれません。 しかし、ムハンマドが、実際に目指していたのは、イエスと同じく、人々が愛し合う世界をつくることでした。 その理想は、最後にメッカ入城を果たした時に、明らかになりました。 彼は、捕虜となった民に「おまえたちには、いかなる責を問うこともしない」「さあ、立ち去れ、おまえたちは自由である」と述べたからです。 彼が、今なお、人々に尊敬されているのは、勝利の後に復讐を禁じ、敵を許すことを人々に教えたためです。 自分を迫害した部族を許した彼の姿をみて、メッカの民は、彼が本当の預言者だと信じるようになりました。 そこには、イエスが説いた「神の愛」と同じものが流れています。 結局、キリスト教においても(※)、イスラム教においても、戦争は、自衛のための最後の手段でしかありません。 大義名分が立たない戦いを起こし、無駄に命を奪うことは、相手が異教徒であったとしても、イエスやムハンマドの教えにかなう行為ではありません。 (※キリスト教の戦争観の例をあげると、トマス・アクィナスの『神学大全』では、避けられない自衛の戦いは「正戦」という論法になっている) ◆日本が戦争を調停できる国となるために 今回、安倍首相は米・イラン関係の改善を図ろうとしましたが、その試みは「タンカー攻撃」という、残念な結末になっています。 「石油のバイヤー」でしかない日本の首相が、出ていっても、「アメリカの犬、帰れ」という厳しい反応で終わったわけです。 これは「エコノミック・アニマル」の限界だとも言えます。 日本が、本当に、戦争を調停できるようになるためには、少なくとも、世界から尊敬される国でなければなりません。 こうした日本の限界については、今から25年前に、幸福実現党・大川隆法総裁が、すでに指摘していました。 「宗教から遠ざかりさえすれば、第二次大戦のような惨禍は避けられるものと、ひたすら無宗教化をすすめてきた。その結果得られた、世界からの評価は、色・金・欲にまみれた経済奴隷としての日本人の姿に象徴される」(『信仰告白の時代』) これを脱却するためには、まず、民主主義の基礎である「個人の尊厳」は、人間が神によって造られ、自由を与えられたことに由来する、という真実を思い出すことが大事です。 日本は、経済大国になった後、次の目標を見失いましたが、これからは、その自由を用いて世界の繁栄に貢献し、後世に残るような「精神の高み」をつくることを目指すべきです。 日本が国の根本にあるべき「宗教的な価値観」を取り戻し、「徳ある国家」をつくることができたならば、争いを続ける国々も「日本の首相の話を聞いてみたい」と思うようになり、キリスト教国とイスラム教国との対立を仲裁できるようになるはずです。 そのためには、まず、戦後体制から脱却し、「自分の国は自分で守る」誇り高い国家を取り戻すべきですし、その上に、世界を感化できるだけの精神的主柱が必要になります。 そうした理想を抱き、幸福実現党は、真の民主主義と徳ある国家を建設すべく、力を尽くしてまいります。 【参照】 ・AFP通信「米『テロとの戦い』の死者、約50万人に 調査報告」(2018.11.9) 50万人という数字の出所は「米ブラウン大学 ワトソン国際公共問題研究所」 ・ビルジル・ゲオルギウ(中谷和男訳)『マホメットの生涯』河出書房 ・大川隆法著『信仰告白の時代』 逡巡するトランプに、日本はイラン攻撃反対を伝えるべき【前編】 2019.06.22 逡巡するトランプに、日本はイラン攻撃反対を伝えるべき【前編】 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆トランプ大統領がイラン攻撃承認を撤回 6月20日にイランが米国の無人機を撃墜したことを発表し、トランプ大統領は、イラン攻撃をひとたびは承認しました。 しかし、その後、攻撃開始の10分前に撤回命令を出しています。 「攻撃への許可を出して30分以内に150人の死者が出る。それは好ましくない」 「(無人機撃墜と)釣り合いが取れていない」 21日のNBCインタビューでは、理性的に思い直したことを明かし、「私は戦争を望んでいない」と述べています。 ただ、同時に、戦争となれば、「(イランは)完全に破滅する」とも警告しているので、イラン攻撃については、予断を許さない状況が続いています。 ◆イランのハメネイ師が米国との対話に応じない理由 トランプ氏は外交ルートを通じてイランとの対話も模索していますが、ハメネイ師は応じていません。 イラン側は、「いかなる攻撃も地域的、国際的に重大な結果を招く」と返答しています。 こうした険しい姿勢となったことには、十分な理由があります。 米国は対外的な合意(イラン核合意)を「政権が変わったから」という国内の事情で破談にし、制裁まで課しているからです。 イスラエルの核を黙認しながら、イランの核を「悪」とみなす米国の矛盾に我慢して合意したのに、それを破棄されたハメネイ師は「面目丸つぶれ」です。 イラン側から見れば、とても、最高指導者が話し合いに応じられるような状況ではありません。 ◆イランは「ならずもの国家」? トランプ政権は、2017年に出した「国家安全保障戦略」で、イランを北朝鮮とともに「ならずもの国家」(the rogue states)と批判しました。 そして、2018年に就任した大統領補佐官(安全保障担当)のボルトン氏は、イランを「悪の枢軸」と呼んだブッシュ政権の頃の国連大使です。 現政権においてもイランは悪しき独裁国家にカウントされており、強硬派の閣僚は、攻撃の機会を伺っています。 ◆イランの最高指導者と、北朝鮮の金一族とは何が違う しかし、イランと北朝鮮の体制には、大きな違いがあります。 まず、北朝鮮では、金日成はスターリンや毛沢東の支援を得て、軍を編成しました。 そして、領土を奪い、人々に、社会主義と金一族を崇めるイデオロギー(主体思想)を強制しました。 これは、反対者が強制収容所に入れられる、スターリン型の独裁体制です。 ところが、イランの体制は、その成り立ちが違います。 イランでは、欧米の傀儡となり、イスラムを軽んじた皇帝(パフレヴィー2世)に徒手空拳の信徒が戦いを挑み、民族の伝統と宗教に根ざした国をつくりました。 この「イラン革命」の指導者がホメイニ師であり、今のハメネイ師は、後継者にあたります。 イスラムの場合、教えを解釈する高位の法学者は、生き方だけでなく、政治の指針を示します。 (イスラム教の場合、僧侶や牧師ではなく、教えを解釈する「法学者」が信徒の指導役となる) ハメネイ師が、ロウハニ大統領のように国民投票で選ばれないのは、その体制が、彼らの信じるシーア派イスラム教に基づいているからです。 これは、ローマ法王をキリスト教圏の住民投票で選ぶわけにはいかないのと同じことです。 その正統性は、彼らが、自分たちの信じる教えに基づいて国を立てたことに由来しています。 結局、イランでは、人々の支持を得た宗教運動の結果、国ができたのであり、金日成のように、軍隊によって人々を力づくで従わせたわけではありません。 また、北朝鮮に比べると、大統領選や議会選で国民が政治家を選べることも、大きな違いになっています。 イランの体制には、北朝鮮に比べると、十分な正統性があるのです。 ※シーア派イスラム教とイランの政治体制 シーア派では、ムハンマドの従弟のアリーが殺された後、教えの解釈を担う後継者(イマーム)が12代目まで続いたが、12代目が「お隠れ」してしまい、いつの日か「マフディー」(救世主)として帰ってくると信じられている。その救い主が帰ってくるまで、人々を導き、政治にも指針を示す役割を担うのが「法学者」。ホメイニ師やハメネイ師は、その法学者の最高位にあたる。 ◆イランの体制は抑圧的か イランの体制は、シーア派イスラムの教えのもとで、可能な限り、近代の政治制度を取り込んだものです。 これは、欧米から見れば「異質」な体制ですが、それだけで「悪」と決めつけるべきではありません。 また、イランの体制については、人権抑圧的だという批判が繰り返されています。 例えば、米国務省は、毎年、イランは信教の自由を迫害していると批判しています。 ただ、英米はもともと宗教弾圧を行ったパフレヴィー朝を支援していたのですから、これは、あまり説得力のない話です。 イランは女性の人権を抑圧しているとも、よく批判されますが、同国の大学は、男性よりも女性の学生のほうが多く、女性の社会進出は意外と進んでいます。 ロウハニ政権では、2013年8月に発足した時、11人の副大統領(大臣に相当)のうち、3人の女性が任命されました。 同国では、女性の政治家や経営者、スポーツ選手なども数多く活躍しています。 サウジアラビアで女性の運転が解禁されたのは、つい最近ですが、イランでは1940年代から女性の運転が認められていました。 人権面では、改善すべき点も残っていますが、「イラン女性が虐げられている」というイメージには、誤解も含まれているようです。 【参照】 ・産経ニュース「『戦争ならイラン破滅』トランプ氏がテレビインタビューで発言」(2019.6.22) ・同上「【中東見聞録】ハメネイ師、安倍首相への『伝言なき』メッセージ」(2019.6.22) ・鵜塚健『イランの野望 浮上する「シーア派大国」集英社新書 【米・イラン対立(後編)】安倍外交の失敗と日本がやるべき三つのこと 2019.06.19 【米・イラン対立(後編)】安倍外交の失敗と日本がやるべき三つのこと HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆イランは、米国がいうほど「悪い国」なのか? 昔、ブッシュ政権が「悪の枢軸」と呼んだように、米国は、長らくイランを敵国とみなしてきました。 確かに、米国と抗う中で、イランがミサイル開発などで北朝鮮や中国とのつながりを深めたのは事実です。 しかし、この両者には、決定的な違いがあります。 イランは、北朝鮮や中国とは違い、神を信じる人々が集う国です。 人権面では問題もありますが、選挙が行われ、一定の範囲で民意が政治に反映され、大統領は選挙で選ばれます。 このあたりは、北朝鮮や中国との大きな違いです。 イランの体制は、国民の大多数が信じるイスラム教シーア派に根差しています。 彼らが自分たちの宗教に根差した体制をつくることは、ごく自然な動きであり、それを「欧米と違うから」というだけで、悪だと決めつけることはできません。 ◆「アメリカの正義」には何が足りないのか イランでは「ホメイニ革命」の頃、多くの民衆が米国の傀儡政権を拒絶し、イスラムに基づいた独自の国を建てる道を選びました。 そのため、米国がイランの現政権を打倒し、武力で新政権を立てた場合、イランの民には、昔の傀儡政権の時代への逆戻りにしか見えません。 その場合は、イラク以上に激しい抵抗運動が起きることが予想されます。 イランの体制にも、多々問題はありますが、だからといって、それで米国がイランに傀儡政権を立てる正統性が生まれるわけではありません。 なぜかと言えば、国家は、単なるメカニズムではなく、歴史と伝統、宗教に根ざした共同体だからです。 人々が価値観を共にし、力を合わせ、それを実現しようとする中で国家が生まれ、それが世代を超えて継承されます。 だからこそ、米国が勝手に持ち込んだ価値観を受け入れる義理はないし、それを子供の代にまで受け継ぐいわれもないのです。 これが分からないアメリカは、「民主主義」という美しい言葉を並べて政権をつくり、イラク戦争やアフガン戦争の「統治」に甚大な犠牲を払いました。 結局、武力のみで自国に都合の良い政権を立てられるという発想には、根本的な欠陥があります。 それは、歴史の浅い国が陥りがちな間違いなのかもしれません。 ◆成果のない安倍首相のイラン訪問 今回、安倍首相がイランを訪問し、米国とイランとの間を取り持とうと試みました。 しかし、その結果、二隻の日本のタンカーが攻撃を受けました。 このパターンは、2015年に安倍首相が中東を訪問した後に、日本人がイスラム国に人質に取られた事件と似ています。 安倍政権はイラン訪問で日本の存在感を高められると見たのですが、結局、2015年の時と同じく、イスラム勢からの「返答」は厳しいものでした。 そうなったのは、政治・経済的な利害関係よりも上位にある価値観がなかったからです。 米・イラン対立の奥には、イスラム教とキリスト教を中心とした二大文明の衝突がありますが、そこに「石油のバイヤー」でしかない日本の首相が「トランプのお友達」としてノコノコと出ていった結果、「アメリカの犬、帰れ」という厳しい反応が返ってきました。 日本に、二つの宗教の相克を超える高度な価値観がない限り、仲裁などできるはずがありません。 ◆日本がやるべき三つのこと 最後に、今回のタンカー攻撃が日本に示唆することを整理してみます。 まず、第一に、幸福実現党が主張してきた原発再稼働の必要性が明らかになりました。 戦争などでホルムズ海峡から原油を送ることが無理になれば、日本のエネルギー供給も危険になるため、原発の必要性が高まります。 そうしたリスクがあるのに、原発を止めてきた政府の方針には間違いがあるわけです。 大川総裁は、2010年6月に日本のタンカーが攻撃される可能性に警告を発したことがあります(大川隆法著『アダム・スミス霊言による新・国富論』P20)。 幸福実現党は、立党時からシーレーン防衛の重要性を訴えてきたのですが、民主党政権が止めた原発は、いまだに再稼働がままならない有様です。 第二は、イラン攻撃には反対すべきだということです。 トランプ政権内に、それを望むかのような動きもありますが、日本政府ははっきりと反対すべきでしょう。 (※限定攻撃であっても、エスカレートすれば大規模化の可能性は残る) 前述のように、米国のイラン攻撃には十分な大義もなく、規模が拡大すれば米国に甚大な負担をもたらすからです。 幸福実現党・大川隆法総裁は、6月14日の講演会(「されど不惜身命!」)において(※)、イランへの「攻撃が結果的に非常に大きな被害を生むし、日本のエネルギー供給も危険になる」と警告しました。 また、アメリカとの同盟関係を大切にしつつも、日本が、独立国家として言うべきことは言う国家にならないといけないと提言しています。 この「独立国家」となるということが、三番目にやらなければいけないことです。 結局、日本はイランのことをあれこれ言う前に、マッカーサー憲法に基づいた体制を立て直さなければいけません。 幸福実現党は、立党時に、綱領において「大国日本の使命」を果たすことをうたいました。 「日本は宗教的寛容の精神の下、宗教が共存共栄し、人々が幸福を享受した歴史を有しています。こうした自由と寛容の精神に基づく平和を世界レベルで実現していくことこそ、『大国日本の使命』です」 この綱領の通り、戦後体制を脱却し、日本に新たな精神的主柱を立てるべく、力を尽くしてまいります。 ※幸福実現党・大川隆法総裁の講演については「幸福実現NEWS 特別号 6月15日『香港の危機は他人ごとではない 「正義」を世界に発信できる日本へ』を参照 https://info.hr-party.jp/files/2019/06/17114027/fk3ylfc2.pdf 【米・イラン対立(前編)】米軍のイラン攻撃はあるのか? 2019.06.18 【米・イラン対立(前編)】米軍のイラン攻撃はあるのか? HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「タンカー攻撃」その後 中東のホルムズ海峡付近で日本と台湾のタンカーが攻撃され、米国とイランの間で緊張が高まっています。 トランプ大統領やボルトン補佐官、ポンペオ国務長官らが「イランの犯行だ」と主張するなかで、イランは攻撃への関与を否定。 事実や状況に基づいた証拠がないと米国に反論しました。 イランを警戒する米国は空母打撃群とB52爆撃機を中東に送っており、米軍1000人の増派も決まったので、今後の動向が注目されています。 ただ、この問題の結論を先に述べれば、日本は、イラン攻撃には反対すべきです。 イラン攻撃は、戦火の拡大を招く危険性がありますし、米国側の正当性も怪しいからです。 この攻撃には「『アメリカの犬』アベ帰れ!」という意図が含まれていたとみるべきだと考えます。 ◆本当にイランが犯人なのか? ポンペオ国務長官は、イランを犯人と断定した際には、以下の四点を主張しました。 ・機密情報(※原則非公開) ・使用された兵器や攻撃に必要な専門知識の程度 ・最近のイランによる類似したタンカー船攻撃 ・これほど高度な攻撃を実行できる勢力はほかにない ただ、これは、推測の域を超えていません。 米国側は、イラン海軍がタンカーから機雷を外す画像などを公開し、証拠隠滅をはかったとも述べました。 その通りなら、イランは首脳会談をしながら日本のタンカーを攻撃し、その後に自国の海軍で消火し、救助したことになります。 しかし、イランに、そこまで周到に日本をだまし撃ちしなければいけない理由があったのでしょうか。 日本はイランと深刻な対立関係にあるわけではありません。 その意味では、米国の主張には、大きな疑問点が残っています。 イラン海軍が、救援活動の延長として危険物を処理しただけなのかもしれないからです。 ◆米国とイランの大規模戦争はあるのか この案件で気になるのは、米国とイランとの間で武力紛争などが起きるかどうかです。 しかし、両国の軍事力の差や近年の中東情勢を考えると、これだけで大きな戦争を起こすのは、それなりに困難です。 米国にも、イランにも、それぞれ、大戦争をしがたい理由があるからです。 ◆イランと米国の戦力差は歴然 まず、イランが米国と大規模な戦争ができないのは、軍事力の差が大きすぎるからです。 そもそも、核兵器のないイランは核大国の米国には勝てません。 彼らの弾道ミサイルは中距離弾(シャハブ)でも中東全域と欧州の一部にしか届かないので、狙えるのは、イスラエルや中東の米軍基地などにとどまります。 イランがミサイルを撃っても、米国は多数の機動部隊を集めれば、千発以上のトマホークと爆撃でイランの要所を攻撃できます。 (※イラク戦争では空母6隻を中心に機動部隊が展開した) 開戦となれば、サイバー攻撃やミサイルで空港や通信施設が破壊されます。 イランにはホメイニ革命前に米国が売った戦闘機(F14やF4)やソ連製戦闘機(MiG29やSu24等)やソ連製防空システム(S300)があり、それなりの戦力ですが、これで、今の米空軍に対抗することはできません。 米国のステルス戦闘機(F22)や高度な情報ネットワークを備えた戦闘機部隊(空母はF18を運用)には勝てず、制空権は米国のものになります。 (※米空軍はデータリンクを用いて飛行隊の全機が敵情報を共有して戦うが、イラン軍は個々の戦闘機がそれぞれ敵を見て戦うだけ) イラクより時間はかかりそうですが、結局、米国は爆撃で陸上戦力を滅ぼしながら、陸上部隊を展開することができます。 本当にイラン打倒を図ったら、米軍が戦闘機や攻撃ヘリでイラクの戦車を狩っていったのと同じ光景が繰り返されるでしょう。 イラン海軍は潜水艦で奇襲し、駆逐艦やミサイル艇でペルシャ湾を荒らすことはできますが、規模が小さいので、その後に米軍に一掃されます。 イラン軍は、米国を核で威嚇することも、通常戦力で勝つこともできないのです。 ◆米国はイランに勝てても「治める」ことはできない しかし、だからといって、米国は安易にイランと戦争できません。 米国には、イラク戦争の手痛い体験があります。 米軍はイランを打倒できますが、戦後統治には重大な痛みが伴うことが、イラクやアフガニスタンで実証されました。 米国はフセインを打倒後、統治を楽観視しましたが、イラクは日本とは違い、天皇のような秩序の中心もなく、議会政治をきちんと運営してきた歴史もありませんでした。 そのため、戦後は統治不全地域となり、宗教紛争や反米闘争が相次ぎます。 約4500人の米軍人が死に、統治まで含めた国費は300兆円以上にのぼりました。 (※米経済学者スティグリッツ氏はその戦費を3兆ドルと試算) 「独裁者から解放されれば、民衆は喜んでついてくる」という幻想は無残に打ち砕かれ、ブッシュが率いた共和党政権は多くの国民の支持を失ったのです。 ◆米・イラン対立 ありそうなのは「限定攻撃」か? 結局、イランには米国と戦える戦力はありません。 また、米国はイランに勝てても、そのあとに「治める」ことができません。 イラク統治の崩壊の結果、生まれたものは「イスラム国」でした。 その繰返しを防ぐ方法を持たないまま、アメリカがイランに大きな戦争をしかければ、ブッシュ政権の二の舞になります。… すべてを表示する « Previous 1 … 24 25 26 27 28 … 101 Next »