Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 武漢ウイルス研究所流出説に新事実【後編】 2021.10.14 https://youtu.be/Jtf4QUj0nsc 幸福実現党 釈量子 ◆中国のウソが暴かれた 前編では、「エコヘルス・アライアンス」が米国防総省の防衛先端技術計画局、通称「DARPA」に対して、1400万ドルの助成金を申請した際に作成された申請書「Project DEFUSE」があることを紹介しました。 その研究目的を見ると、「アジアでSARS関連のコロナウイルスが流行る可能性があるので、そのリスクを取り除くこと」と書かれています。 また、「武漢研究所の研究員に莫大なサラリーを支払うとか、アーリントンにあるDARPA本部に研究者を招待する」など、「エコヘルス・アライアンス」と武漢研究所の密接な関係が明かされています。 この計画のパートナーとして、武漢研究所の石正麗氏、通称バット・ウーマンも掲載されています。 主な研究内容は、「コロナウイルスの遺伝子を操作して変種を作り、雲南省のコウモリが生息している洞窟でそのウイルスを噴射し、コウモリが感染する様子を観察する。そして、それらのウイルスが人間にもたらすリスクを評価する」というものです。 しかし、最終的に、DARPAはこの申請を却下しました。 「Taiwan News」によると、トランプ政権の時に国務省でコロナ起源調査チームの責任者だったデイビッド・アッシャー氏は今回の申請書類を見た後、次のように指摘しました。 「今回の文書から得られる最大の発見は、新型コロナウイルスに見られる極めて特異な遺伝子配列の特徴を裏付ける状況証拠を示していることだ。」 「新型コロナウイルスの最も稀な特徴は「アミノ酸配列」である。これにより、人間への感染力が高まるからだ。」 さらに、「中国はエコヘルス・アライアンスと協力して、世界的なウイルス・プロジェクトに取り組んでいる。コロナウイルスの病原性を進化させるための研究を行うために、中国政府は予算を付けている。」 「今では、石正麗氏が研究している武漢研究所で、人工的に新型コロナウイルスが作成されたという証拠がある。中国のウソは暴かれた。」 これらの状況証拠が報道されるにつれ、更なる情報開示を求める声が強くなっています。 9月23日、共和党の下院議員マイク・ギャラガー氏は、「ドラスティック」の報告を見て、「新たな文書は、新型コロナウイルスの武漢ウイルス研究所流出説を裏付けるものだ」と主張しました。 さらに、「歴史上例を見ない、過去最大の隠蔽が行われていた可能性がある。私たちは核心に迫らなくてはならない」と断じ、「エコヘルス・アライアンス」や「情報機関」に対して、全ての関連書類を公開するように要求しました。 ◆トランプ元大統領「95%確信している」 最後に「スカイニュース オーストラリア」の番組に、トランプ前大統領やポンペオ前国務長官が出演し、武漢研究所ウイルス流出説に関して、現在の見解を述べています。 トランプ氏は、「武漢研究所ウイルス流出説を95%確信している」、意図的だったか、偶然だったかとの質問に対しては、「偶然だったと思う。意図的だとしたら、それは戦争を意味するからだ。武漢研究所の管理能力の不足からウイルスが流出したのだろう」と答えました。 ポンペオ氏も、次のようにと訴えています。 「間接証拠がたくさんある。当時、14人の外交官が武漢にいて、その場で起こったことを見た。その中心に、武漢研究所があった。もっと情報を公開できる時が来るだろう。」 「中国共産党の隠蔽が我々に示しているのは、人間性のかけらもないということだ。中国共産党を守るためなら、何百万人死んでも構わないと思っている。 新型コロナウイルスの全世界の感染者数は2億3千万人以上、死者数は480万人以上です。 もしどこかの国のテロリストによって、これだけの被害を生んだならば、こんなに簡単に政府の調査を終わらせることはないはずです。 数え切れないほど多くの人々の仕事を奪い、生活を奪い、命を奪った、新型コロナの起源追及を止めてはいけないと思います。 また、今回、仮にコロナウイルスが生物兵器として活用された場合、非常に効果的に、甚大な被害を相手国に与えることができることが明らかになりました。 日本の安全保障対策としては、最悪の事態に備えるために、米国と同じく、生物化学兵器に対する対策を早急に立てるべきだと思います。 武漢ウイルス研究所流出説に新事実【前編】 2021.10.13 https://youtu.be/Jtf4QUj0nsc 幸福実現党 釈量子 ◆「ザ・インターセプト」が公開した爆弾文書 バイデン政権は90日間に渡るコロナ起源の調査結果を、8月下旬に発表しました。 そこで得られた結論は、『武漢ウイルス研究所』からウイルスが流出したとする説と海鮮市場の自然発生説の二つの可能性があるが、どちらもあり得る。ハッキリさせるためには、中国政府の協力が必要だというものでした。 これについては、日本のメディアも報道しましたが、その後、大分トーンダウンした感があります。 しかし、最近になって、政府以外の民間組織が独自に調査し、新たな証拠が次々と明らかになっています。 アメリカのネットメディア「ザ・インターセプト」は、情報公開法を活用し、900ページ以上の膨大な未公開文書を入手し、9月7日、ネット上で公開しました。 アメリカの感染症対策の責任者を務めるファウチ氏が所長を務める「米国立衛生研究所」は2014年から2019年にかけてNPO法人「エコヘルス・アライアンス」(ピーター・ダスザック所長)に310万ドルの助成金を渡し、コロナの研究を委託しています。 公開文書には、この助成金がどのような研究に使われるかが具体的に書かれており、そのタイトルは「コウモリのコロナウイルス出現リスクに関する評価」でした。 そして、「エコヘルス・アライアンス」から「武漢ウイルス研究所」に59.9万ドルの資金が流れており、次のような共同研究を行っていました。 (1)まず、数千ものコウモリを捕まえて、そこから人間に感染する可能性のあるコロナウイルスをふるい分けて特定する。 (2)次に、武漢研究所で遺伝子操作を行って、人間に感染しやすい新たなコロナウイルスを作成する。 (3)最後に、本当に人間に感染しやすいウイルスになったかどうか効果を確かめるために、人間の遺伝子や細胞に置き換わったヒト化マウスで確認する。 また、研究所内での実験では、「適切なバイオセイフティ―基準を満たす環境下で行われる」ことにも触れています。 これは、ウイルスの扱いが極めて難しいことや、流出した場合の被害がどれだけ大きなものになるのかについても、よく認識していたことを示しています。 「ザ・インターセプト」の記事によると、ラトガース大学の分子生物学者リチャード・エブライト氏は「この文書には『新たなウイルスを作成していた』という重要な内容が含まれている」と指摘しています。 さらに、エブライト氏は、次のように述べています。 「武漢ウイルス研究所では、2つの異なるタイプのコロナウイルスをヒト化マウスに感染させて、実験していたことがハッキリわかった。即ち、SARS型コロナウイルスとMERS型コロナウイルスの実験を同時に行っていた。」 MERS型コロナウイルスは中東呼吸器症候群と呼ばれるもので、SARSよりも高い致死率を持ちWHOによると致死率35%以上です。 もしMERS型コロナウイルスが世界に広がっていたら、世界は想像できないような悲惨な被害を被っていたはずです。 ◆「ドラスティック」が公開した爆弾文書 もう一つ、9月21日、武漢研究所流出説を裏付ける爆弾文書を、新型コロナウイルスの起源調査に取り組んでいる科学者などで構成される「ドラスティック」というグループが公開しました。 「ドラスティック」によると、今回の文書は「特命の内部告発者から提供されたものだ」と主張しています。 同文書はコロナが広がる前の2018年、前出の「エコヘルス・アライアンス」が米国防総省の防衛先端技術計画局、通称「DARPA」に対して、1400万ドルの助成金を申請した際に作成された申請書類がありました。 申請書類のタイトルは、「Project DEFUSE」で、どういうプロジェクトかと言うと、「コウモリが運ぶコロナウイルスの脅威を取り除く」ということです。 次回、その詳細から見て参ります。 (後編につづく) 米英豪の新軍事同盟AUKUSオーカスで対中包囲網強化へ【後編】 2021.10.10 https://youtu.be/XT3U-tpm-WM (9月24日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が「包囲網牽制」に動く この動きに対して、中国は激しく反発しています。 9月16日の中国は国営メディア、環球時報の英語版Global Timesの社説に、ホンネを次のように掲載しました。 「オーストラリアは原子力潜水艦に核兵器を搭載するつもりはないと言っているが、信用できない。元々、原子力潜水艦は攻撃用に造られているからだ。」 あるいは、「オーストラリアは原潜保有により中国に対抗できると思わない方がよい。過ちを犯せば、中国は無慈悲にオーストラリアを処罰する。」 「オーストラリア軍が南シナ海や台湾海峡で中国軍と戦うことになれば、必ず、オーストラリア軍は中国のミサイルの標的となるだろう。」 「オーストラリアが反中の先鋒になるなら、最悪の事態に備えるべきだ。」 しかし、これらの反応から、中国はオーストラリアの原潜保有に相当な危機感を持ち、かなり焦っているのがわかります。 また、中国包囲網牽制のために、王毅外相は10日~15日、東南アジア3カ国と韓国を訪問しました。 韓国では、文在寅大統領と会談し、2022年2月の北京オリンピックへの協力を取り付けた。欧米で北京オリンピックの「ボイコット論」が拡大していますが、中国は文大統領を懐柔し、開幕式に招待するつもりです。 また、中国は16日、TPPへの参加を正式に申請しました。米国がTPPから脱退したままなので、その隙を突いて揺さぶりをかけるつもりです。 しかし、台湾が即座にTPPへの参加を正式に申請しています。 議長国の日本は、英国の加盟をいち早く実現し、一緒に台湾の早期加盟を後押しすべきだと考えます。 習近平国家主席は21日、国連総会の演説で、米国の民主主義の押し付けを批判しつつ、「小グループとゼロサムゲームを放棄すべきだ」と述べました。 クアッドやAUKUSなど、インド太平洋で、中国の海洋進出を阻止する動きが強まり、着実に追い込まれています。 ◆日本も原潜を保有し、中国包囲網強化を目指せ! 東南アジア各国は、AUKUS創設にどう反応しているのでしょうか? マレーシアのイスマイルサブリ首相は17日、オーストラリアのモリソン首相と電話で会談し、「新たな枠組みはインド太平洋地域に核兵器の軍拡競争を招く恐れがある」と伝えました。 インドネシア外務省は17日、「この地域で軍拡競争と軍事力の誇示が続くことを非常に懸念している」と声明を出しました。 フィリピンは17日、ロレンザーナ国防相がオーストラリアのダットン国防相と電話で会談し、AUKUSとは距離を置き、中立的な立場を取ることを強調しました。 このように、東南アジアの国々は経済的に中国に依存しており、出来れば、中国との間に波風を立てたくないと考えている国が多いのです。 しかし、日本はインドとともにAUKUSへの加盟を急ぐべきです。東南アジアの国々は日本がどう動くかを見ているからです。 日本が米英豪と価値観を共有する国として、中国に対して、正義を貫く姿勢を示せば、東南アジアの国々にも良い影響を与えることができます。 今回、オーストラリアが原潜を持てば、日米豪印の中で、日本だけが原潜を持たない国になります。 中国の海洋進出を抑えるために、中国包囲網を構築しなくてはなりません。日本も原潜保有を検討すべきです。 バイデン政権は米国一国の国力、軍事力では無理なので、多国間で中国を包囲する戦略を採用しており、日本に対する期待も高いので、日本も防衛のための原潜保有を望めば、実現可能ではないでしょうか。 むしろ、米国は日本国内の原子力アレルギーに配慮している可能性もあります。やはり、日本の政治のリーダーシップが必要です。 日本は、自分の国は自分で守る、そして日米同盟を基軸としつつ、中国包囲網を構築する役割を果たさなくてはなりません。 さらに、AUKUSにインドも加盟すれば、台湾や尖閣、南シナ海を守る抑止力は格段に高まります。 日本が変われば、アジアの未来も変わるのです。 米英豪の新軍事同盟AUKUSオーカスで対中包囲網強化へ【前編】 2021.10.09 https://youtu.be/XT3U-tpm-WM (9月24日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆米英豪のAUKUSで中国包囲網強化へ 米英豪は9月15日、3カ国による新たな軍事同盟AUKUS(オーカス)創設を発表しました。 AUKUSとは、米英豪3カ国の頭文字から生まれた名称です。軍事面だけでなく、サイバーや量子技術など最先端技術の分野でも協力することになっています。 AUKUS創設のポイントは3点あります。 (1)クアッドを補強する「軍事同盟」 一点目は、日米豪印のクアッドを補強する「軍事同盟」です。 アメリカが主導し価値観を共有する英国やオーストラリアと連携して、安全保障面から中国を抑え込むことが狙いだということです。 中国包囲網の枠組みとして、日米豪印のクアッドがありますが、その中身は、コロナワクチンの安定供給や気候変動への対応に止まっており、軍事同盟まで至っていないのが現状でした。 中国が一番恐れているのは、クアッドが「アジア版NATO」として軍事同盟に発展することです。だから、中国はクアッドに関して、「古い冷戦思考だ」といつも批判しているのです。 今後、軍事同盟としてAUKUSが機能することによって、クアッドの弱点を補強し、中国包囲網を強化することができます。 日本やインドまで加盟国が広がれば、中国包囲網は一層強化されるだろう。日本も近い将来の加盟を見越して、より一層連携を強化すべきです。 (2)オーストラリアの「原子力潜水艦保有」 二点目は、オーストラリアの原子力潜水艦保有です。 AUKUS創設にあたり、豪国は米国からの原潜技術の支援を受けて、原子力潜水艦8隻を建造する予定です。 原潜技術は「機密の塊」「秘中の秘」と言われており、1958年、ソ連の核攻撃から防衛するために、米国が英国に技術供与したのを最後に、どの国にも技術を渡していません。 一から原潜を造るとなると、2030年にならないとできないので、現在購入やリースを検討しており、予想以上に早く配備されそうです。 潜水艦の動力源としては、原子力とディーゼル式の二種類あります。原子力潜水艦はディーゼル式に比べて、極めて優位性が高いのです。 原潜はバッテリーを充電するために頻繁に海面に浮上する必要がなく、ステルス性も高いので長期間潜航でき、南シナ海など広範囲の哨戒活動が可能になります。 また、オーストラリアは米国の「バージニア級原子力潜水艦」の保有を予定しているので、トマホークミサイルを搭載することができます。 オーストラリアは核弾頭を搭載する予定はないと言っていますが、いざとなれば搭載可能です。他にも、特殊部隊「シールズ」を海中から出撃させることもできます。 現在、原潜を保有している国は、米国、英国、フランス、インド、ロシア、中国の6カ国ですが、オーストラリアが7番目の原潜保有国になります。 米国防総省によると、米中が保有する潜水艦について、米国は52隻保有しており、全て原潜ですが、中国は62隻保有してはいますが、原潜は7隻だけです。 中国の残りの55隻はディーゼル式です。オーストラリアの原潜8隻増強は、米軍にとっても大幅補強になり、南シナ海などの抑止力が一段と高まります。 (3)英国の「インド太平洋回帰」 三点目は、英国のインド太平洋回帰です。 英国はEU離脱後、外交方針を転換し、インド太平洋回帰の立場を鮮明にしています。 自由貿易の枠組みである、環太平洋パートナーシップ協定TPPへの加盟申請、クイーンエリザベス号の派遣、香港弾圧に対する非難など、アジアの自由と民主主義を守るために、具体的な取り組みをしています。 AUKUSも、インド太平洋回帰の一環です。 英国のタイムズによれば、今年3月、原潜保有を目指すオーストラリアの海軍から技術供与の相談が英海軍に持ちかけられていました。 英政府は、この情報をコードネームで厳重に管理し、ジョンソン首相やウォレス国防相ら約10人のみが情報を共有し、オーストラリアを交えた米国との交渉を進めました。 ジョンソン首相は16日、「グレート・ブリテンのインド太平洋への関与がどんな意味を持つかと言えば、今回のオーストラリアと米国との協力が答えだ」と述べました。 EU離脱後に掲げた「グローバル・ブリテン構想」のもとに、英国だけで外交成果を上げたことに自信を深めています。 (後編につづく) 中国不動産最大手「恒大集団」破綻危機!中国不動産バブル崩壊寸前! 【後編】 2021.10.06 https://youtu.be/7be7dSBggNs (9月14日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆習近平の摘発は芸能界にも 前編で紹介した企業規制と軌を一にして、芸能界の取り締まりを8月下旬より強化しています。 映画「レッドクリフ」に出演した趙薇さんの作品が動画配信サービスから一斉に削除されました。 ほかにも脱税が指摘された俳優や芸能事務所経営者の摘発が相次いでいます。中国メディアによると、8月末までに取り消された事務所は660に上るというから驚きです。 習氏は来年秋の党大会で3期目入りを実現するため、建国の父・毛沢東が提唱したスローガン「共同富裕」や「文化大革命」の復活を成し遂げ、自らの権力集中を狙っています。 しかし、この動きを突き進んでいくと、中国の「共同富裕」は「共同貧困」に陥り、ソ連崩壊と同じ運命を辿ることになるでしょう。 ◆日本企業は「脱中国」を急げ! アメリカの金融街では、このような中国に投資すべきか否か、議論が対立しています。 アメリカの投資会社ブラックロックは、2021年6月末時点で9.49兆ドル(約1054兆円)を運用する世界最大の運用資産会社ですが、海外投資家のために、中国企業の株式や、中国企業が発行するドル建て債券を購入してきました。 著名な投資家ジョージ・ソロスは最近、「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「フィナンシャルタイムズ」に寄稿し、「ブラックロックの中国投資は失策だ」と指摘しています。 中国に何十億ドルもの資金を投資すれば、顧客に損失を与え、アメリカや他の民主主義国の安全保障上の利益を損なう可能性が高いと述べました。 ソロス氏の主張の主なポイントは、「習氏が極めて国家主義的であり、中国を世界の支配勢力にすることを望んでいること」、そして「富の創造者を一党独裁の支配下に置く決意を持っている」ことです。 その一環として、IT企業への規制強化に加え、民間企業の社長よりも上の地位に、党代表者を置く経営の二重体制を導入していることを挙げました。 3点目は、2022年の党大会で終身制の下で国家主席を続けるために、独裁者として君臨していることです。 中国は習近平のもと一党独裁を維持するためには、少数民族や香港の弾圧も行うし、中国を代表する企業であっても反抗は一切許しません。 2022年の党大会に向けて、台湾侵攻も選択肢に入っていると考えるべきです。 私たちは、中国の不動産バブルは崩壊寸前にあり、習氏の毛沢東回帰路線ではこれ以上の経済成長は望めないと考えるべきです。 日本企業は、中国のバブル崩壊に備え、「脱中国」「製造業の国内回帰」を急がなくてはなりません。政府の後押しも当然必要です。 西側諸国と共通する「自由・民主・信仰」の価値観で、「中国包囲網」を一層強化し、日本も中国の覇権主義を押し止める力強い国にならなければなりません。 中国不動産最大手「恒大集団」破綻危機!中国不動産バブル崩壊寸前! 【前編】 2021.10.05 https://youtu.be/7be7dSBggNs (9月14日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ※9月14日収録された言論チャンネルの要点をまとめたものです。詳しくは、上記のURLから映像をご覧ください。 ◆中国不動産最大手「中国恒大」が破綻危機 中国の不動産バブル崩壊については、これまで何度も話題に上ってきましたが、中国最大手の不動産デベロッパー「中国恒大」が倒産危機に陥り、現実味を帯びてきました。 不動産投資は中国のGDPの1割、建設資材や家電など関連産業を含めるとGDPの3割を占め、中国政府はこれまで力を入れてきました。まさに中国の借金経済の象徴です。 しかし、不動産価格が高騰し、庶民の手が届かない価格になっており、中国でも貧富の格差が大きな問題になっています。 習近平国家主席は「マンションは住むものであって、投機するものではない」と言って、不動産デベロッパーこそがマンション価格を吊り上げている張本人と見なし、昨年より規制を強化しているのです。 この規制強化は、「三条紅線」と言われるもので、負債に上限を設ける3つのレッドラインを設定しました。 総資産に占める負債の割合などで、中国最大手のデベロッパー「中国恒大」は、このレッドラインに引っかかり、新規でお金を借りることが難しくなったことで、手元の現金が急速に不足したわけです。 中国恒大は、不動産バブルの中、多額の借金をしながら各地でマンションを建設し急成長しました。 中国恒大の2020年の住宅販売面積は中国第2位で、最近では電気自動車開発に乗り出すなど、事業を拡大した結果、負債総額は3000億ドル(約33兆円)という前例のない規模になっています。 9月9日時点で、香港証券市場の「中国恒大」の株価は、今年75%も下落しています。今後、中国政府が「中国恒大」の破綻を認めるかどうかが、注目されています。 最悪のシナリオは、格差を広めた極悪人への懲罰として、見せしめ的に破綻させることです。 他に、債権者が投資額の一部を回収できるシナリオがあります。決めるのは中国政府ですが、いずれにせよ兆単位なので、債権者にとって莫大な損失が生じるでしょう。 影響が大きいのは、海外投資家です。「中国恒大」は海外投資家から大量にお金を借りています。 市場は、かなりの確率で倒産する可能性が高いと見ています。9月に入って、格付け会社も相次いで格下げし、「破産の可能性がある」と明言しています。 9月13日のブルームバーグの記事によると、「中国恒大」のドル建て社債は、投資額の「25%回収」が基本シナリオだと述べています。 このシナリオ通りに進むと、運用会社など海外投資家の投資額2兆円のうち、5000億円しか回収できないことになります。 1兆5000億円の損失を埋め合わせるために、株式などの売却に動けば、金融市場、世界経済にも甚大な影響が出ることは避けられません。 ◆習近平の「共同富裕」は「共同貧困」に さて、習近平国家主席は、格差是正のため住宅価格の高騰を抑える政策を打ち出したわけですが、これは、毛沢東が掲げた「共同富裕」というスローガンに通じるものがあります。 習氏は8月17日、経済問題に関する会議で「共同富裕は社会主義の本質的な要求だ」と宣言して、貧富の格差を解消して、社会全体を豊かにするために、高所得層や企業に対して、社会への還元を求めました。 具体的な政策として、「企業への規制強化」と「寄付の強要」があります。 アリババ創業者のジャック・マー氏が昨年秋、「時代錯誤の規制が中国の技術革新を窒息死に追い込む」と発言した後、10月後半には消息不明になっています。 昨年11月、習政権はアリババ傘下の金融会社アント・グループの新規株式公開を延期に追い込みました。 具体的には、アリババに対して独占禁止法違反で約182億元(約3100億円)の罰金を科したほか、米国に上場した中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)などネット企業3社に対し、国家安全上の理由でネット規制当局が審査を行いました。 その後もユーザー数が100万人超の中国企業が海外上場する際に当局の審査を義務付けました。企業の呼び出しや指導も相次いでいます。 これらの規制によって、米国に上場している中国企業の時価総額1兆ドル以上を失いました。 また「共同富裕」の提唱を受け、IT大手「テンセント」CEOの馬化騰氏は77億ドル、出前サービス大手「美団」創業者の王興氏は23億ドルの寄付をそれぞれ申し出ました。 今後も、習近平にひれ伏す経営者が続出するだろうと思われます。 (後編に続く) 香港を護るために日本がすべきこと 2021.10.02 http://hrp-newsfile.jp/2021/4157/ 幸福実現党政務調査会・外交部会 久村晃司 ◆香港を侵食する「愛国主義ナチズム」 香港で9月20日、行政長官を選ぶ「選挙委員会」を選出する選挙が行われました。中国政府の掲げる「愛国者による統治」の原則に基づいた、初めての選挙となります。 結果は、当選者は民主派がゼロ、残りの議席はほぼ全て親中派が占めることになりました。したがって、来年3月の行政長官選では親中派の当選が確実となります。 「愛国者による統治」とは、中国共産党に従う「愛国者」以外を政治から排除するために習近平指導部が掲げた方針で、香港では「愛国者」でなければ立候補の資格を失うことになりました。 また民主派が8割超を占めていた区議会では、議員に「香港政府への忠誠」を宣誓することが義務づけられました。 宣誓をしたとしても、その議員の過去の言動が「宣誓違反」と見なされれば議員資格を剥奪され、刑事罰が科される可能性もあります。これを受け、今年7月、民主派の区議200名以上が辞職に追い込まれました。 中国は、世界各国が注目するなかで香港の「一国二制度」のシステムを崩壊させ、「愛国主義ナチズム」とも言うべき一党独裁体制を浸透させつつあります。 ◆ウイグルと同様の人権弾圧!? 香港の「ウイグル化」も進んでいます。 逃亡犯条例改正案をきっかけとした2019年以降行われた大規模なデモに関係する逮捕者は1万人を超え、中には秘密裏に中国本土に送られて拘束されている人々もいるとのことです。 また、逮捕者の一部は香港市内にある新屋嶺拘留センターに収容され、施設内で拷問・性的暴力などの深刻な人権侵害が行われていると言われています。 さらに、同センターに隣接する場所に「対テロ訓練施設」が建設されていることが分かっています。 中国政府は「対テロ戦争」の名のもとに、新疆ウイグル自治区でウイグル人の強制収容を正当化しています。つまり、香港でもまさに同じ“手法”によって、民主派への大弾圧が行われつつあるのです。 私たち日本人にとって香港問題は他人事ではありません。 もし香港で起きていることをなすがままに放置するならば、香港にとどまらず、台湾や沖縄・尖閣にも中国共産党の覇権が及ぶのは時間の問題です。 日本政府は、香港を護るべく、具体的な対策を講じるべきです。そこで今回は、日本が香港を護るために何ができるのか考えてみたいと思います。 ◆人権弾圧に関与した政府関係者への制裁を まず、人権弾圧に加担した政府関係者に対して制裁を行うことが考えられます。 アメリカではトランプ政権下の2019年11月に「香港人権民主主義法」が成立しました。 同法は、米政府が香港で一国二制度が機能しているか毎年検証することを義務付け、また香港で人権弾圧を行った当局者には米国への入国禁止などの制裁を科すことができます。 さらに2020年7月には「香港自治法」が成立し、香港の自治を侵害した当局者へのビザの発行停止や米資産の凍結に加え、該当する当局者と取引をする金融機関にも制裁を科すことが可能になりました。 香港自治法に基づき、アメリカは2020年8月に香港政府のキャリー・ラム行政長官や主要閣僚11名を、同年12月には中国政府高官14名を、2021年3月には中国と香港の当局者ら24名を制裁対象に指定しています。 一方、日本には外国での人権侵害を理由に制裁を行う法律、いわゆる「マグニツキー法(人権侵害制裁法)」にあたるものがありません。主要7カ国(G7)で人権侵害に対して制裁する法律がないのは日本だけです。 既存の外為法によっても、安全保障上の懸念があるときなどは経済制裁を行うことはできますが、人権問題のみを理由として制裁を実施する規定はありません。 また、日本は国連安保理決議に基づいてシリアのアサド大統領やリビアのカダフィ大佐などに対する資産凍結等の措置をとっていますが、中国が国連安全保障理事国である限り、中国が行っている人権弾圧に対する制裁が可決されることは、現実的にありえません。 こうした観点から、香港で行われている人権侵害から香港民主派の人々を守る意思を明確に示す意味でも、「日本版マグニツキー法」を制定すべきであると言えます。 ◆弾圧された香港民主派へ門戸を開く欧米諸国 日本政府としては、香港から逃れてくる人々を保護することも必要です。 香港の旧宗主国であるイギリスは、国家安全維持法の導入に対する抗議として、今年1月末に香港市民向けの特別ビザの申請受付を開始しました。 特別ビザの対象になるのは、1997年の香港返還前に生まれた香港市民が持つことのできる「イギリス海外市民(BNO)旅券」の保持者とその扶養家族で、取得権を持つのは香港人口の約7割の540万人です。 この特別ビザ制度では、対象者は5年間イギリスに滞在することができ、その後、永住権の申請が可能となり、さらに1年後には市民権を獲得する資格が得られます。 イギリス政府は6月末時点で約6万5千人が特別ビザを申請し、7割超が承認されたとしています。 また、アメリカではバイデン大統領が香港市民に一時的な「安全地帯」を提供するとして、アメリカに居住する香港市民の滞在期間を18カ月延長することを認めると発表しました。 カナダも香港市民の受け入れを拡大しています。 カナダ移民省は2020年11月に大学や専門学校を卒業した香港出身者に対して、3年間有効の就労許可の申請を認め、一年間就労経験を積めば永住権の申請や家族の呼び寄せが可能となります。 また仮に亡命申請が却下されても、香港に送還されることで身に危険が及ぶ場合には再申請の許可を与えるなど、寛大な措置を打ち出しました。 さらにオーストラリアでは2020年7月、香港・国家安全維持法の施行を受けて、モリソン首相は香港との犯罪人引き渡し条約を停止するとともに、就労ビザで滞在している香港人などに対して5年間のビザ延長の申請や永住権申請を可能にしました。 以上のいずれの国も、中国との緊張が高まるリスクを負いながら、香港で自由や人権が侵害されていることに強い危機感を持ち、勇気をもって香港市民の受け入れ策を打ち出しています。 ◆日本も香港からの亡命者に積極的な保護を 対して日本政府は、香港の人々を受け入れることに消極的です。 安倍晋三元首相は昨年6月に香港の金融人材の受け入れを推進する旨の発言をしていますが、これがどの程度、香港の人々の保護につながるのかは定かではありません。 そもそも日本は他国に比べて、難民認定への障壁が高いのが現状です。 法務省によると、2019年の難民申請数10,375人に対して認定者はたったの44人(認定率0.42%)でした。一方、NPO法人「難民支援協会」の統計によると、2019年の難民申請認定者数はドイツで5万3,973人(同25.9%)、米国が4万4,614人(同29.6%)、フランスが3万51人(同18.5%)などであり、日本が欧米諸国と比べて非常に低水準であることが分かります。 日本としては、中国政府の弾圧から逃れたい香港市民に移住の敷居を下げるために、香港市民の申請を特例として基準を緩和するなどの取り組みを強化する必要があります。 香港には親日家も多いと言われており、日本に亡命を求める人々も多いのではないでしょうか。欧米各国による救済措置を横目に、日本だけが香港人の受け入れを渋り、見捨てるようなことがあってはなりません。 ◆欧米と力を合わせて香港、そしてアジアの平和を守る アメリカ政府は9月15日、米英豪による新たな安全保障協力の枠組みである「AUKUS(オーカス)」の創設を発表しました。 この枠組みを通じて、オーストラリアは核を持たない国としては異例の原子力潜水艦配備が行われることになり、世界が注目しています。主要国の中国包囲網形成への本気度が改めて示されたと言えます。 ただ、アジアの大国である日本が、現在のように中国経済から得られる利益を失うことをためらい、優柔不断な外交を続けている限り、欧米諸国が本当の意味で一枚岩になることも難しいと言えます。 香港を護り、その自由と繁栄を取り戻すためには、欧米諸国と日本が一致団結することが不可欠です。 日本としてできる限りの努力をしていきながら、欧米諸国の対中包囲網の形成に力を添え、さらには牽引していくことで、アジアの平和のためのキーマン国家としての使命を果たすべきです。 自民党政権に足りない攻めの「経済安全保障」 2021.09.30 HRPニュースファイルの読者の皆様 おはようございます。 9月29日に自民党総裁選が行われましたが、その前日28日に政党のホームページにアップしたもので、現在の自民党政権の政策について幸福実現党政調会の見解を示したものです。 ※長文のため途中からリンクを貼らせていただいております。 ■自民党政権に足りない攻めの「経済安全保障」 幸福実現党政務調査会ニューズレター No.27 米中新冷戦が進展するにつれ、経済安全保障が脚光を浴びるようになりました。2021年の自民党総裁選では、候補者4人のうち、2人が経済安全保障に関する政策を公約に掲げました。 幸福実現党は、立党以来、安全保障の重要性を訴えており、こうした動き自体は歓迎すべきものです。 しかし、自民党が訴える経済安全保障は、主に自国の先端技術や軍事機密の防衛や、重要な産業の振興にとどまっています。 すなわち、日本経済全体の中国依存は、それほど問題視されていません。 自国の経済を特定の国に依存させることは、国家の生殺与奪の権を与えることに等しく、経済安全保障の問題そのものです。 自民党政権が、そうした根本的な経済安全保障を語ることができない理由は、その背景にある思想的限界に見るべきです。中国の間違いを明らかにする「正義」を示してはじめて、攻めの「経済安全保障」としての中国包囲網を、積極的に取り組むことができるようになるのです。 1. 自民党の唱える「経済安全保障」とは ◆「軍事力を使わない戦争」が始まっている 「中国が、アメリカが創り上げた世界秩序に挑戦している」というのが、現在の国際情勢です。そうした覇権争いは、最終的に、軍事的な戦争に発展するケースが非常に多いですが、その前段階として、両者は、あらゆる手段を使って、自国に有利な状況をつくり出そうとします。 特に中国は、積極的に他国から軍事機密や先端技術を盗み出そうとしてきました。それも、政府機関ではない民間企業が、通常の経済活動を装って、スパイ活動をしています。 例えば、2018年に中国スマートフォン大手のファーウェイが米トランプ政権によって制裁対象となりましたが、背景には中国のスパイ活動への懸念があります。 ◆経済を通じて、安全保障上重要な「情報」や「技術」を流出させない 日本も、こうした状況は、決して他人事ではありません。技術大国日本にとっても、自国の重要な情報や技術を流出させないことが喫緊の課題となったわけです。今や、民間レベルの技術や情報が他国に流れ、軍事利用されるのが世界の現実です。 そのため、近年、「経済安全保障」がにわかに脚光を浴びるようになりました。例えば、2021年の自民党総裁選では、高市早苗氏が先端技術の海外流出を防ぐため、「経済安全保障包括法」を公約に掲げました。 ◆「重要な産業」の他国への依存をやめる 経済安全保障のもう一つの論点は、サプライチェーンです。サプライチェーンとは、製品の供給網のことです。 昔は、国内で素材を加工し、製品化まで完結するのが一般的でしたが、現在は、複数国をまたがって製品を完成させることが当たり前の時代になりました。 それは、競争力を高めるために、最も安上がりの方法を企業が追及した結果です。 しかし、国をまたいだサプライチェーンの在り方は、有事のときに非常に弱いものとなります。 これは、今回のコロナ・パンデミックで浮き彫りとなりました。特に昨年、マスクや防護服などの医療品は海外依存度が高いため、しばらく入手困難な状況が続いたことは記憶に新しいでしょう。 医療品の他には、半導体が重要な戦略物資として挙げられることが多いです。 半導体は、電気を使うあらゆる製品に用いられ、「産業のコメ」と言われています。数年前までは、半導体の設計だけをして、実際の製造は、海外に委託する「ファブレス経営」が最先端でした。 工場を持っているとコストが高くなり、儲けが減ってしまうからです。 しかし、米中対立やコロナ・パンデミックによるサプライチェーンの混乱から、各国がこぞって国内誘致を進めているのが、現在の状況です。 経済安全保障では、こうした重要産業のサプライチェーン見直しも範疇に入ります。 重要な戦略物資を、有事の際に入手できなくなれば、安全保障が立ち行かなくなるからです。21年の自民党総裁選で岸田文雄氏が掲げた「経済安全保障推進法」では、まさにそうした観点が含まれています。 ◆自民党の経済安全保障への取り組みは、日本において極めて画期的なこと 自民党が正面から、こうした動きを見せるようになったことは、極めて異例です。数年前までは、安全保障で票を取るというのは、考えられない時代でした。 それが、自民党総裁選で、複数の候補者が積極的に掲げるようになったのは、隔世の感があります。 幸福実現党は、立党以来、安全保障の重要性を訴えてまいりました。「政権与党が、一部の安全保障政策を重視するようになったこと」は歓迎すべきです。 しかし、自民党の掲げる、こうした経済安全保障の取り組みには問題もあります。ここでは、その問題を指摘することで、あるべき経済安全保障の考え方を示します。 もちろんこのことは、自民党の掲げる経済安全保障を否定するものではありません。それは、極めて重要で、疎かにしてはならない政策が含まれており、明日にでも実行すべきものです。 しかし、経済安全保障として、それでは不十分であるため、その点をここでは論じます。 ※続きは、こちらからご覧ください。 https://info.hr-party.jp/2021/12076/ 自民党政権に足りない攻めの「経済安全保障」 幸福実現党政務調査会ニューズレター No.27 日英同盟の締結に向けて 日本に求められるインテリジェンス協力 2021.09.18 http://hrp-newsfile.jp/2021/4151/ 幸福実現党政調会・外交部会 久村晃司 ◆コロナ禍に勢いづく中国の覇権主義 コロナ・パンデミックの最中、中国は南シナ海や沖縄・尖閣などで不当に領土主権を主張して海洋進出を行い、日本をはじめアジア諸国の安全保障を脅かしています。 中国政府は9月1日には「改正海上交通安全法」を施行し、中国の海事当局は外国船に対し、「領海」からの退去や航行の阻止を行うことができるようになりました。 南シナ海や東シナ海を中心に、周辺国との緊張が高まる可能性が指摘されています。 日本にとって、自由や民主主義といった価値観を共有する欧米諸国と連携しながら、戦略的な外交・国防を展開して対中包囲網を築くことが急務となっています。 欧米各国のなかでも、中国包囲網の形成において重要な役割を担いうるのがイギリスです。 ◆イギリスとともに中国を封じ込める イギリスは現在、国際社会での地位や影響力を高めることを目指した戦略である「グレート・ブリテン」構想を掲げています。 その戦略の一環として8月下旬、イギリスの最新鋭空母クイーンエリザベスを中心とする空母打撃群が、沖縄南方で自衛隊及び米軍・蘭軍と共同訓練を行いました。 「インド太平洋」を「世界の成長の中心」と位置付けるイギリスは、このように中国の封じ込めに積極的に関与しています。 特に昨年、コロナ情報を隠蔽し、また香港の「一国二制度」を反故にした中国政府の横暴なふるまいを受けて、イギリスは対中抑止に向けて大きく舵を切りました。 日本としても、国連安全保障理事会の常任理事国であり、核保有国でもあるイギリスと連携を強化していく意義は大きいと言えます。 また「グレート・ブリテン」構想においても、イギリスは日本を安全保障上の重要なパートナーと位置付けています。 こういった背景から、日本が英国との関係を現在の準同盟関係から同盟関係に格上げし、対中抑止に向けた安全保障協力を強化していくことが、日本の基本的な外交戦略の一つとなりえます。 そこで今回は、日英同盟の構築にむけて日本が解決すべき課題について考えてみたいと思います。 ◆インテリジェンス協力で日英同盟の深化を 近年、イギリス政府から、日本の「ファイブ・アイズ」への参加を歓迎する声が出ています。 「ファイブ・アイズ」とは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソン系の英語圏五カ国で構成される機密情報共有の枠組みです。米英は特に、日本の持つ中国と北朝鮮、およびロシアに関する情報に関心があると言われています。 日英同盟の締結を考えるとき、日本がそうした枠組みを通してイギリスとの緊密なインテリジェンス協力を行うことができれば、同盟関係はより深く実効性のあるものになると言えます。 そこで問題となるのが、機密情報の共有に関して、日本の体制整備が不十分であることです。仮にファイブ・アイズに加盟したとしても、他の加盟国から機密情報を共有する相手国として信用されなければ、必要な情報は得られません。 そうした観点から、日本の解決すべき課題を挙げてみたいと思います。 一点目は、「機密情報の漏えい」のリスクです。日本は秘密の保全体制が充分に築かれていないという問題があります。 まず日本には、機密情報のアクセス権限を限定する資格である「セキュリティ・クリアランス体制」の導入が求められます。例えばアメリカでは、機密レベルは三段階に分けられており、官僚や役人、そして防衛産業などに携わる民間人もセキュリティ・クリアランスを持っています。 さらに、そうした情報が他国から狙われ、盗まれるリスクもあります。日本は「スパイ天国」ともいわれますが、「スパイ防止法」を制定することで情報を他国機関の働きかけから守る仕組みが必要です。 二点目は、「日本から有力な情報を提供できるのか」という問題です。インテリジェンスの世界は「ギブ・アンド・テイク」が原則と言われています。 つまり、ただファイブ・アイズに加盟しただけでは有力な情報は得られません。日本からもそれ相応の有益な独自情報を提供できなければ、協力関係を築くのは難しいのです。 日本にはアメリカでいう「CIA」やイギリスでいう「MI6」といった対外情報機関が存在しません。そのため、日本は他の主要国に比して、圧倒的にインテリジェンス能力が低いのが現状です。 将来的には、日本も自国の対外情報機関を創設する必要があるでしょう。また、その前段階としては、日本から機密情報を分析する能力を持った人材を育成する環境の整備も必要です。 三点目は、「対中抑止に向けた日本の覚悟」です。ファイブ・アイズは情報共有のための機能ですが、そもそもその五カ国が目指すのは、自由や人権、民主主義といった普遍的な価値観を守ることです。 例えば近年、先進国の多くが中国共産党によるウイグル人への人権弾圧に対して非難の声を強め、国際問題となっています。しかし、日本はこの問題について「深刻な懸念」を表明するにとどめ、具体的な行動はとっていません。 日本がそうした親中的な態度をとり続けている限り、欧米諸国、ましてやファイブ・アイズ加盟国から本当に信頼されることはありません。 日本に大きな期待を寄せるイギリスにとっても、日本が曖昧な態度を続けていては、「インド太平洋への回帰」という戦略は中途半端に終わってしまいかねません。 日本はいち早く、中国の横暴に対して善悪の価値判断を下し、中国の覇権拡大を押しとどめる決意を固める必要があります。 例えば、ウイグルでの人権弾圧問題を「ジェノサイド」と認定するなど、日本としての明確なスタンスを示していくことが大切です。もちろん、いざと言うときに欧米諸国と連携するためにも「憲法九条の改正」を避けて通ることはできません。 ◆日本の決意がアジアと世界を守る 以上、ファイブ・アイズ加盟国の仲間入りをし、日英同盟を締結していくために必要な課題について挙げました。 今年7月に建党100年を迎えた中国共産党は、香港に続き、台湾、沖縄・尖閣とその支配の手を伸ばそうとしています。 こうした危機に対し、イギリスをはじめ欧米諸国は徐々に声を上げ、立ち上がりつつあります。 欧米の国々が一枚岩になるには、アジアの大国である日本の行動が必要不可欠です。日本がキーマン国家として、積極的にアジアと世界の平和の建設に動くべき時が来ています。 デジタル庁に迫る中国軍の魔の手――私たちの個人情報が危ない? 【後編】 2021.09.12 https://youtu.be/HXDY7fceXRg 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が狙う究極の個人情報:DNAデータ 中国が最も狙っている個人情報の一つは、DNAです。 DNA情報は、身体の設計図ですので、その人やその民族の弱点というものが見えてくるわけです。 実際、アメリカの米中経済安全保障審査委員会(USCC)は2019年の段階で、中国が遺伝子情報を収集し、それを生物兵器に利用する危険性を報告しています。 もし、日本のDNAを収集したビックデータが流出すれば、生物兵器に悪用される可能性もあります。 厚生労働省などが所管する日本医療研究開発機構(AMED:エーメド)が国民の全遺伝子情報の15万人規模の大規模データベースづくりを目指すと言われています。 ちなみに、マイナンバーの健康保険証としての利用は、今年3月から始まっていて、10月からは、マイナンバーの専用サイトである「マイナポータル」で、薬剤情報・医療費情報の閲覧が順次可能になります。 政府のマイナンバーカードの健康保険証利用を推進するチラシには、「ご自身の診療情報がマイナンバーと紐づけられることはありません」と書かれています。 しかし、情報自体はデジタル化され、ネットにつながっているため、サイバー攻撃のリスクはゼロではないでしょう。 ◆期待できない日本のサイバー反撃能力 個人情報などが中国のサイバー攻撃で流出したとしても、それに対する日本の「反撃」は、おそらくできないでしょう。 「なぜ、反撃なのか」ということですが反撃能力をもつことで、一種の「抑止力」になるわけです。 例えば、今年の5月7日、アメリカのパイプラインがサイバー攻撃を受けて停止した事件が起きました。これに対し、アメリカは即時反撃し、犯人のロシア系のハッカーを敗北に追い込みました。 しかし日本において、自衛隊がこうした動きをするのは難しいです。 その理由は、憲法9条の問題です。9条では、軍隊を持ってはいけないことになっているので、自衛隊は必要最小限度の実力組織でなければなりません。 また、サイバー攻撃に対し、自衛権を発揮するためには、「武力行使の三要件」を満たす必要があります。 手短に言えば「日本の存続が危ぶまれるような存立危機事態であり、他に手段が無く、武力行使は必要最小限でないといけない」という条件です。 「武力行使の三要件」とは、厳密に言えば次の通りです。 (1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと,又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること(存立危機事態) (2)これを排除し,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がないこと (3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと 2020年の5月16日の衆議院の本会議で、当時の岩屋防衛大臣は、「どのようなサイバー攻撃がこの武力行使の三要件に言う武力攻撃に該当するかにつきましては、生起した事態の個別の状況に応じて判断すべきもの」と答えています。 ですが、厳しい武力行使の条件の中で、自衛隊が政府へのサイバー攻撃の反撃をできるかは、正直、疑問です。 デジタル後進国とも言われる日本が、焦ってアナログ情報をデジタル化すれば、サイバー攻撃の格好の餌食になるだけです。 ともかく、日本政府は、便利さなどデジタル庁の利点ばかり訴えますが、中国への情報流出という安全保障上の問題は間違いなくあります。 加えて、デジタル庁によって、「国民の情報を集めて監視する。さらには資産状況を把握し、税金をかけていく。そうして国民の自由を奪っていく」そうして日本を「デジタル全体主義」に導く面もあります。 ですから、政府に求めたいことは、憲法9条の改正や、スパイ防止法などの法律を制定して、サイバー攻撃から防衛できる体制を整えることです。 デジタル化以前にやるべきことはたくさんあるはずです。それを無視してデジタル化したところで、問題の解決は難しいでしょう。 すべてを表示する « Previous 1 … 11 12 13 14 15 … 101 Next »