Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 毛沢東「一つの中国」要求で裏切らなかった米国、見捨てた日本【前編】 2022.02.17 https://youtu.be/FWRjyoFs5Xk 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆これまでの振り返り 前回と前々回に続いて台湾と日本との関係について考えて参ります。 今、台湾が中国の軍事的圧力にさらされていていますが、「台湾のために日本がすべきこと」を考えてみたいと思います。 前々回では、「日本には台湾を守る責任がある」ということを取り上げました。 ■日本には台湾を守る責任があるこれだけの理由 https://youtu.be/ERutq13kyco そして前回では、台湾を守るための方法として「台湾地位未定論」から考えてみました。 ■台湾の未来を変える方法を考える https://youtu.be/VH4glK1yFfY 台湾地位未定論とは、台湾は、中華人民共和国の領土でも、中華民国の領土ではなく、戦後の混乱期の中で台湾の主権が、どこにあるのか国際法的には未定であるという考え方です。 この考え方に基づけば「台湾の帰属は台湾人が決定すべきである」ということです。 その中で、台湾を中国共産党から守るためにどんなことができるのか、アメリカの法律である「台湾関係法」という法律を例に考えてみます。 ◆ニクソン訪中の二つの目的 アメリカも日本も、現時点では中国と国交を正式に結んでおり、台湾、中華民国とは国交を結んでいません。アメリカは台湾と断交して中国と国交正常化しましたが、しかし台湾を切り捨てたわけではありませんでした。 1972年2月、ニクソン訪中は世界に衝撃を与えました。当時は米ソ冷戦時代でしたが、本来なら同じ共産圏の側であったソ連と中国も対立し始めていました。 そこでアメリカとしては、対ソ戦略として中ソを離間させ、中国を西側に引き込もうとしたわけです。これがニクソン訪中の目的です。 ニクソン訪中のもう一つの目的は、大統領選挙で公約したベトナム戦争の終結です。そのためには北ベトナムを支援し強い影響力を持っていた中国との国交がどうしても必要だったのです。 ◆アメリカ版「台湾関係法」の背景 ニクソン訪中を受け入れた中国側の毛沢東は要求を出してきました。それが一つの中国です。 当時は、中国共産党による中華人民共和国と台湾にある中華民国の2つの中国がありました。台湾はあくまでも中国の一部だと要求してきたわけです。 これに対してニクソン政権は、台湾を切り捨てるわけにはいかないと拒否しました。自由と民主主義というアメリカと同じ価値観を共有している台湾を切り捨てるわけにはいかなかったわけです。 当時、国務長官をやっていたヘンリー・キッシンジャーは、「一つの中国」という毛沢東の要求に対して、「認識(Acknowledge)」します。ただそれを100%受け入れる訳ではありませんでした。 中国と国交を結ぶためには台湾と国交を絶たなければいけない。それをする代わりに台湾との関係はアメリカの国内法で定めるという、まさに苦肉の策をキッシンジャーは進めました。 ヘンリー・キッシンジャーが国務長官をやっていたのは、1972年から1977年までですが、これが最終的に実現したのが1979年のカーター政権の時です。 その時にできた法律が「台湾関係法」です。この時1979年にアメリカは中国との国交回復を実現するわけですが、ニクソン訪中からなんと7年かかっているのです。 アメリカは、最終的に「台湾関係法」によって、台湾との関係も切らずに維持しているわけです。 「台湾関係法」では、台湾との正式な国交はないが、国家に準ずる存在とすること。アメリカが台湾、中華民国と過去を結んだ条約はすべて維持すること。そして重要なことは台湾の安全は引き続きアメリカが守るため、防衛のための兵器をアメリカが台湾に輸出すると定めています。 7年間かけて中国と交渉し台湾との話を進めて、アメリカは今の台湾関係をつくったわけです。 (後編につづく) プーチンは侵略者なのか?マスコミが報じないウクライナ危機の真相【第3回】 2022.02.15 https://youtu.be/A4E221cNSRY (2月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆バイデン外交の問題点 では日本はどうすべきでしょうか。ここで注目したいのは、トランプ大統領との違いです。 ロシアに融和的だと国内で批判されていたトランプ大統領の時代には、ウクライナ危機が起こらずに、バイデン政権になって起きている、ということです。 トランプ大統領は、プーチン大統領と個人的な信頼関係を築きながら、ロシアとあまり敵対しないように配慮していました。 同じことは、北朝鮮にも言えます。金正恩氏と歴史的な会談を行ってから、北朝鮮のミサイルはピタリと止みました。これは、中国を牽制することにもつながっていました。 しかし、バイデン大統領になってから「民主主義国家」対「権威主義国家」の対立軸を打ち出し、中国や北朝鮮に加え、ロシア、そしてイランへの圧力を強めています。 バイデン氏になってから、世界の分断は進み、戦争のリスクが高まっています。 バイデン氏は就任後、ロシアに対しては、大統領選への介入を理由に金融制裁を行ったり、ロシアの外交官を国外退去しました。 さらに、ウクライナとの共同軍事演習を行うなど、米ソ冷戦時代のような外交を展開しています。 そして気が付けば、ロシアをどんどん中国側に追いやってしまっているわけです。日本は、こうした構図を理解する必要があります。 中露はいわば「偽装結婚」であり、ロシアは戦いたくない、ヨーロッパも紛争を抑止したい、ウクライナのゼレンスキー大統領でさえ、バイデンのパニック的な対応に迷惑し、「煽っている」と言っています。 日本が見抜かなければいけないのは、プーチン・ロシアの本質です。 ロシア正教を復活させた信仰者であり、無神論国家中国の習近平氏とは精神性が全く違います。 そして、2月8日にマクロン氏に伝えたようにプーチン大統領は、「ロシアは欧州の一部だ」といって、敵ではないと、仲間入りしたいわけです。 ◆日本は日露平和条約を締結すべき 幸福実現党は、日本政府がアメリカに対して、中国に焦点を絞るべきであり、アメリカの「中露二正面作戦」を改めるよう、提案すべきだと思います。 大川隆法党総裁は、1月9日の講話で、バイデン外交の売りである「民主主義国家」対「専制主義国家」の対立軸では限界があり、ロシアを味方に引き入れて信仰ある国々が手をつなげば、無神論国家・中国に勝てる可能性が出てくる、と指摘しています。 プーチン氏は、中国には、極東地域への侵略や、北極圏に影響力を伸ばそうとしていることなどについて今でも警戒をしています。 できれば、日本との関係を強化し、経済的な結びつきや安全保障上の結びつきを強めたいと考え、交渉の余地を残し続けていることに注目すべきでしょう。 日本は大局を見て、軽々に、バイデン外交政策に追随すると、今度は日本も、南西方面で中国と対峙しつつ、北方領土にミサイルを配備しているロシアも相手にせざるを得なくなり、中露「二正面作戦」を取らざるを得なくなってしまいます。 下手をすれば日本が戦場になる可能性もあります。逆に、ロシアと手を組めば、北朝鮮を抑えることも可能となります。 幸福実現党としては、北方領土問題を棚上げしても、ロシアと平和条約を締結すべきだと考えています。それは、「第三次世界大戦」にもつながりかねない構図ができるのを止めるためです。 またロシアをG8に入れるよう動き、西側の仲間にすべきです。日本にできることはそれほどありませんが、これは大きな貢献になります。 日本が、ロシアとの関係を再構築し、中露「分断」の方向に舵を切るべきだと考えます。 プーチンは侵略者なのか?マスコミが報じないウクライナ危機の真相【第2回】 2022.02.14 https://youtu.be/A4E221cNSRY (2月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 (2)プーチンの主張:「ミンスク合意の履行」 ◆プーチン論文の主張 プーチン大統領の主張の2点目は、プーチン大統領が2月1日にも強調していますが、2014年の「ロシアによるクリミア併合」の翌年、ウクライナとの間で締結した「ミンスク合意」を履行するよう強く求めています。 「ミンスク停戦合意」とも言われますが、「停戦」にとどまらないということを説明します。 プーチン大統領がウクライナについてどう考えているのか、一番良くわかるのは、昨年7月に発表されたプーチン大統領の論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」です。 ロシア大統領府公式サイト「プーチン論文」 http://www.kremlin.ru/events/president/news/66181 この中で、「元々、ロシア人とウクライナ人は異なる民族ではなかったが、共産主義だったソ連の民族政策によって、大ロシア人、小ロシア人、白ロシア人(ベラルーシ)からなる三位一体のロシア民族が解体され、ソ連崩壊後に、ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人という三つの個別のスラブ民族が国家レベルとして固定されたのである」と主張しています。 つまり、プーチンは「ソ連」の前のロシアを念頭に置いているのか、地政学的な安全保障の問題に加え、歴史的民族的さらには宗教的に、同じスラブ民族の「兄弟国家」だった地域を破壊されることに強い抵抗感を持っているわけです。 続けて、「ロシアは1991年から2013年に、天然ガスの値引きだけでも、820億ドル以上の値引きを行って、ウクライナを経済的にも巨額の支援を行ってきた」と述べています。 さらに「ウクライナは欧米によって危険な地政学的ゲームに引き込まれていった。その目的はウクライナをヨーロッパとロシアを隔てる障壁にし、またロシアに対する橋頭保にすることだ」と述べています。 欧州にとっても、ウクライナを市場にしたいことに加え、天然ガスのパイプラインも通っているのでエネルギーの観点からも確保したいわけです。 対するロシアは、ベラルーシやカザフスタンと結ぶ「関税同盟」に、ウクライナを引き込みたいという綱引き状態があったわけです。 プーチン論文の主張は、ロシア国民のみならず、ウクライナ東部やクリミア半島に住むロシア系住民の心に響きました。 ◆一枚岩ではないウクライナ 一方で、ウクライナの首都キエフや西部のウクライナ人は、プーチン論文に反感を持ちました。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとウクライナの関係は真なる兄弟ではなく、「カインとアベルの関係を思わせる」と指摘しています。 旧約聖書では、兄のカインが弟のアベルを殺してしまい、これが人類初の殺人であり、さらに、ヤハウェにアベルの行方を問われたカインは「知りません」と答えて、これが人類初の嘘だったとされています。 このように、ウクライナは1991年のソ連崩壊後、国家として独立しましたが、国内は決して一枚岩ではありません。 ◆プーチンの大義 こうした中、2014年初めに、ウクライナでクーデターが起こり、親欧米で反ロシアの政権が誕生したのをきっかけに、ロシアはクリミアの人々を守るためにクリミアを併合に踏み切ったわけです。 同時に、ロシア系住民が数多く住んでいるウクライナ東部のドンバスで、分離独立運動が始まり、ロシアは軍事的に支援し、戦闘状態が続きました。 プーチンにとっては、本来同じスラブ民族のウクライナで、ロシア文化やロシア語を排除する動きは看過できなかったわけです。 この内戦状態を収拾するために、2015年2月に、ドイツやフランス、ウクライナ、ロシアなどが結んだ休戦協定が「ミンスク合意」です。 当時のメルケル首相の働きで激しい戦闘は回避されましたが、小さな紛争は続いています。 問題は、プーチン氏が繰り返し「ミンスク合意」の履行を求めているのに対して、ウクライナは否定的な態度を採っていることです。 実際に、昨年10月には、「ミンソク合意」を破って、ウクライナ軍がウクライナ東部をドローン攻撃しました。 日本では報道もされませんが、「ミンスク合意」は、単なる休戦協定だけではなく、「ドンバス地域の強い自治権」を認めることや、「首長選挙」を行うことなどの、政治的条項が含まれていることです。 プーチン氏は、これを求めているわけです。 プーチン氏の論文からも伺えるように、ロシア文化圏に生きる人々を守ると言う大義のもと、ドンバスの自治権を守ることは「譲れない一線」だと考えています。 こうした経緯を見れば、プーチン氏が、欧米に対して「ミンスク合意」の履行を強く求めるのは、筋が通っているわけです。 こういう立場を理解することが、あるべき落としどころを模索するためには必要です。 (第3回に、つづく) プーチンは侵略者なのか?マスコミが報じないウクライナ危機の真相【第1回】 2022.02.13 https://youtu.be/A4E221cNSRY (2月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 緊迫化しているウクライナ情勢をきっかけに、いま米露対立の危機は、冷戦以降、最高に高まっています。 今回は、日本の安全保障にも係わる非常に重要なテーマと考え、マスコミも報じないウクライナ情勢を紐解きながら、その上で日本はどうすべきかについて、3回に分けて論じて参ります。 ◆米露対立の危機 ロシアがウクライナとの国境付近に10万人とも12万人とも言われる軍隊を駐留させましたが、アメリカは、「もしウクライナが攻撃された場合には「前例のない」制裁を科す」とロシアに通告し、バイデン大統領の指示で、東欧に3000人規模の軍隊を派遣することを決めました。 日本のメディアは欧米メディアを後追いしてか、もっぱらプーチン氏を「侵略者」のように報道しています。 今回は、プーチン大統領の言い分には正当性があるのかないのか、バイデン氏の判断に乗ってしまうことはどうなのかを考えます。 ◆プーチン大統領「軍事作戦を取りたくはない」 まず、事実関係を見ておきます。 昨年10月ごろから、ロシアがウクライナ国境沿いに軍隊を終結していました。 プーチン大統領は、年末恒例の記者会見で、ウクライナを侵攻に関する記者の質問に対して、「向こう(西側)が我々の国境に迫ったのだ!」と激しく否定しました。 プーチン大統領は、「アメリカやイギリスの国境に(ロシアが)迫っているのではない」そして、1990年代以降、相次ぐ「東方拡大」がロシアに脅威を与えてきた」のだと批判したわけです。 プーチン大統領は「ボールはコートのそちら側(NATOの側)にある」「何らかの返答を行うべきだ」と話しています。そしてプーチン大統領は、「軍事作戦を取りたくはない」とも発言しました。 しかし、ホワイトハウスは、ロシアが提示したNATOへの要求への返答を拒否し、プーチン大統領は「ロシアの主要な懸念は無視された」と、強い不満を述べました。 そこで、プーチン大統領の主張を見てみましょう。 (1)プーチンの主張:「NATOの東方不拡大」 ◆大戦後、NATO加盟国が東方に拡大 一点目は、プーチン氏の「NATOの東方不拡大」を求める主張です。 NATOとは「北大西洋条約機構」の略称であり、現在、北米や欧州諸国の30カ国が加盟しています。 第二次大戦後、ソ連や東側諸国を仮想敵国として創設された「軍事同盟」であり、加盟国が攻撃されたら、他の加盟国には参戦する義務が発生します。 1949年の創設時、加盟国は12カ国でしたが、米ソ冷戦中には、ギリシャ、トルコ、西ドイツ、スペインが加盟し、16カ国になりました。 1989年にベルリンの壁が崩壊して、1990年に統一ドイツがNATOに加盟します。 その後、東欧の国々が民主化を果たし、1991年の「ワルシャワ条約機構」解体、ソビエト連邦の崩壊もあって、一気に加盟国が増加しました。 これを、「NATOの東方拡大」と言います。 ◆「NATOは東方に拡大しない」という約束 これに対して、プーチン氏が「NATOの東方不拡大」を主張しているのには、根拠があります。 冷戦後、東西ドイツが統一されるにあたり、東西両陣営の間で「NATOは東方に拡大しない」という約束をしたというのです。 「にもかかわらず、一方的に反故にされた」と、これをプーチン氏は繰り返し主張しています。ベルリンの壁に変わる、新たな分断線を作っているのはNATOだという話です。 このプーチン氏の主張を裏付けるのが、1990年2月、ソ連のゴルバチョフソ連書記長と、アメリカのベーカー国務長官との会談です。 当時、西ドイツはNATOの加盟国でしたが、東ドイツは加盟していませんでした。 ベーカー国務長官や西ドイツのコール首相は「東西ドイツを併せた『統一ドイツ』がNATO加盟国として止まれるなら、NATO軍は1インチたりとも東方に拡大することはないとゴルバチョフ氏に話しています。 これがプーチン氏の主張の根拠になっています。 ◆NATOの言い分 これに対して、NATOの言い分は違います。 2014年4月に「当時の東方とは、東ドイツを意味しているのであって、東欧諸国にNATO加盟国を拡大するかどうかを議論した覚えはない」と発表し、ロシアの主張を否定しました。 現在のアメリカのスタンスは、この公式発表を踏襲しています。 このように、両者の見解が分かれていますが、東西ドイツ統一の偉業を成し遂げるために、ソ連の了承を得るために、ゴルバチョフ氏と「口約束」をした可能性は否定できません。 ゴルバチョフ氏は「約束があった」と言い、プーチン大統領は、ゴルバチョフ氏が、この時の約束を文書化しなかったことを今でも大変後悔しています。 なお、ドイツの『シュピーゲル』誌は、詳細な調査を踏まえ、事実上約束があったとの見解を出しています。 また、1993年エリツィン大統領と、アメリカのクリストファー国務長官会談の際に、クリストファー長官が「東欧諸国のNATO加盟は認めない」と言って、翌年、クリントン大統領が手のひらを返して「NATO拡大」の考えをエリツィンに伝えてきたことがありました。 ◆ロシアがウクライナを譲れない理由 エリツィンは「NATO加盟国をロシアの国境まで広げることは重大な間違い」と強く主張し、NATO加盟国との間に緩衝地帯を確保することは「譲れない一線」だとしました。 こういうところも、今に続くロシアの不信感につながっているところです。 ロシアの歴史の中で、ナポレオンやヒトラーがロシアに攻めてきた時、豪雪と凍結をもたらす「冬将軍」が敵国から守ったのは有名な話ですが、勝てたのはウクライナという緩衝地帯があったからです。 ウクライナはNATO加盟国であるポーランドやルーマニアとロシアの間に位置しています。 もしウクライナがNATOに加盟したら、モスクワからわずか870キロのキエフに敵軍が布陣することが可能になり、戦車でも片道10日ほどで到着でき、容易にモスクワを攻撃できるようになります。 ◆ウクライナのNATO加盟は「レッドライン」 緩衝地帯と不凍港を持つことは、ロシアの安全保障にとっては死活的なのだということを理解するべきでしょう。 昨年12月、プーチン大統領は「ウクライナにNATOのミサイルが配備されたら、モスクワを数分以内に攻撃できるので、これは容認できない。ウクライナはロシアへの玄関口だ」と話しています。 ロシアは安全保障上、ウクライナのNATO加盟を「レッドライン」と見て、警戒しているわけです。 そもそもソ連が崩壊したので、ロシアはもはやNATOの敵ではありません。それなのになぜロシアを排除した政治軍事同盟が必要なのか?と問うているわけです。 こうした過去の経緯を見ると、プーチン大統領が「NATOの東方不拡大」を主張し、拘束力を持った正式な条約を文書として残したいと固執することは、理解はできます。 (第2回に、つづく) 台湾の未来を変える方法を考える 2022.02.12 https://youtu.be/VH4glK1yFfY 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆「台湾地位未定論」とは何か 今回は、「どうしたら台湾の未来を変えることができるのか」について考えてみたいと思います。 幸福実現党大川隆法総裁が、今年1月9日の講演で台湾の未来について、一つのアイディアを提示されました。 「(1945年まで)台湾は日本だった。(その後、蒋介石の中華民国に占領されて)台湾は正式にまだできていないのだったら、蔡英文さんが日本の首相と会って、正式に日本から独立する文章を交換して、友好条約を結んだら、自動的に独立国家になれます。」 これは、「台湾の国際法的地位はまだ決まっていない」という「台湾地位未定論」というものです。 意外に思われる方もあると思うし、そんなことはおかしいという反対論もあると思うし、賛否両論あると思います。もしかしたら、蔡英文総統も反対かもしれません。 しかし、台湾には次のような動きもあります。 2006年に台湾の政治団体「台湾民政府」が、アメリカの連邦高裁で裁判を起こし、「日本が台湾に潜在的主権を持っている」とアメリカ政府に告訴したのです。 つまり、中華民国の台湾占領が今も続いており、台湾人は国際法的に無国籍になっているままだと訴えたわけです。 判決は、「台湾に国際的に承認された政府が存在しないため、台湾人は無国籍である。政治的な煉獄の中で生活している」でした。これに対してアメリカ政府は上告しませんでした。 つまり、アメリカ政府も台湾に国際的に承認された政府は存在しないということを認めたわけです。 これはどういうことなのか歴史を遡ってみましょう。 ◆国際法的に、台湾は中国に属さない 1945年、終戦直後、「ポツダム宣言」を日本が受諾しました。その第8項で、「日本の主権の範囲」を決めています。 日本の主権の範囲は、本州、北海道、九州及び四国、並びに我々(連合国)の決定する諸小島までです。その中に台湾を入っていませんでした。 「ポツダム宣言」を日本が受け入れたことによって、日本は台湾の領有権を放棄したことは確かです。 連合国が台湾をどこに帰属させるか決めることになっていたのですが、台湾の帰属についてサンフランシスコ講和条約の中でも定められていません。 しかし、中国大陸から中華民国がやってきて、台湾摂取(占領)を行いました。 日本では連合国米軍が横浜や沖縄を接収していますが、接収は、国際法的には暫定的な実効支配です。 結局、台湾は、今でも中華民国の領土でも、中華人民共和国の領土でもないのです。 正確には、台湾は今も連合国の占領下にあるということになるわけです。これが「台湾の地位はまだ未決定」であり、国際法的に確定されていいないという説です。 この説に対しては、もちろん中華人民共和国も中華民国政府も反対です。 ただ、アメリカ政府は前述の裁判の判決に対する姿勢と同じように、台湾が中華民国にせよ、中華人民共和国にせよ、中国に属すると認められたことは一度もないという立場です。 国際法的には、この説は有力のようです。 ◆台湾に対する日本の立場 日本政府も、おそらくアメリカ政府との同じ立場だと思います。 なぜなら、50年前に日中国交を回復した際に、中国が「台湾は中国の一部だ」と主張したとき、日本は「それを認識します」と表現しました。 英語でいうと、「Acknowledge」したけど「accept」はしてない。つまり、その中国の主張を認識はしたけども受け入れてはいないのです。 これに対しても、いろんな意見はあるとは思います。 ◆台湾の帰属は台湾人が決定すべき では、台湾はどうするべきなのか。 台湾の帰属は台湾人が決定すべき、これがアメリカ政府の立場であります。 日本の法律に基づいても、やはり台湾の帰属は台湾人が決定すべきであるということになります。 これが先ほどの大川隆法総裁が、「日本から独立して台湾という国になったらいいじゃないですか」という提案の理由です。 ただ、中国に台湾を占領させるようなことがあってはなりません。なぜなら、台湾には2300万人の人権があるわけです。第二のチベット、ウイグル、モンゴル、香港にさせてはなりません。 それに対して日本が具体的に何か手立てはあるのか。そのひとつとして、幸福実現党が前から主張しているのは、日本は「台湾関係法」をつくるべきであるということです。 この点については、次回あらためて紹介します。 【ウイグル人権決議】当初案骨抜きの裏側 2022.02.10 https://youtu.be/XdpJfSF950Y 幸福実現党党首 釈量子 ◆2度も見送られた非難決議 今回は、2月1日、衆院本会議で採択された「人権問題に関する決議」についてです。 中国が、ウイグル、チベット、南モンゴル、そして香港などで行っている人権弾圧について、世界中から非難が高まっています。 日本でも昨年6月、国会において中国に対する非難決議を採択する動きがありましたが見送られました。自民党内に連立を組む公明党への配慮があったとされています。 また、昨年12月にも、自民党の茂木幹事長が「日本政府の北京冬季五輪対応が表明されていない現時点では望ましくない」として、党内の足並みがそろわないという理由で見送られました。 ◆骨抜きにされた決議案 このように2度も見送られ、今回ようやく採択に至ったわけですが、その中身は当初予定されていたような「非難決議」とは程遠いものでした。 まず、人権弾圧への当事者国である「中国」への名指しがありません。昨年6月段階の決議案にも「中国」という文言はありませんでした。 主語を明確にせず、責任の所在を問わず、「人権侵害」が「人権状況」という表現となり、「非難」の言葉も削られ、国会が示すべき意思が完全に骨抜きにされました。 しかも本文中には、「弾圧を受けていると訴える人々」という「弾圧は事実かどうか分からないが、そのように訴える人がいる」という、まったくの他人事です。 さらには「深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう、強く求める」とありますが、誰に求めているのかは不明確なままです。 ◆価値観なき日本政治に未来はない 今回、日本は中国の行為に価値判断を示すことなく、お茶を濁すような決議を採択しました。 一方、アメリカ、カナダ、イギリスをはじめとする国々は、中国の行為を「ジェノサイド」と認定しています。 つまり、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺に匹敵する、あるいはそれを超える悪事であると、ハッキリと価値判断を示し、国の代表が中国に対して「非難」の意思を示しているのです。 なぜ日本はこれができないのか。一つの理由は経済的な問題です。中国には工場もあるし、従業員もいるために政治判断を逃げてきたからです。 さらには、極超音速ミサイルが登場し、中国そして、北朝鮮が世界を脅し、台湾や日本の沖縄も脅威にさらされています。 どこの国も安全保障戦略というものは、「何から、何を、何で、どうやって守るのか」という文脈で決定されます。 ナチス同然の脅威を非難もできないのであるならば、このミサイルを日本に向けていることに対して、どうやって日本を守るか論じることができるのでしょうか。 ◆人間の尊厳を踏みにじる暴挙を止める ここで幸福実現党は、ひとつ提案をさせていただいております。日本も普遍的な価値の体系に基づいて判断してはどうかということです。 幸福実現党は、「自由、民主、信仰」を政治の基本原則とし、国内外において独裁と専制を排除すべく努力すべきだと考えています。 そして、人間の尊厳の根拠は、神の子、仏の子としてつくられた存在であり、その尊厳が踏みにじることは、許されてはなりません。 この人間の尊厳を踏みにじるものを断じて許さないという強さは、信仰に基づく価値がなければ出てこないのではないとか思います。 中国で繰り広げられている悪魔の所業は、人権のレベルの問題ではなく人間の尊厳を踏みにじる暴挙です。 世界においては、中国と北朝鮮以外は何らかの信仰を持っているものです。そうした国々で、悪事をくい止めていかなければいけないと思います。 幸福実現党からは、この人権問題決議について、党声明「腰抜けの人権問題決議採択は日本の未来を誤らせる」を出しました。 また、引き続き、「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を全国で展開してまいります。 こうした活動を通じて、日本と世界の平和と繁栄を守って参ります。 ■党声明「腰抜けの人権問題決議採択は日本の未来を誤らせる」 https://info.hr-party.jp/press-release/2022/12404/ ■「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」のお願い https://info.hr-party.jp/2021/12200/ 日本には台湾を守る責任があるこれだけの理由【後編】 2022.02.04 https://youtu.be/ERutq13kyco 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆中国が台湾を取ったらどうなるか もし、万が一台湾が中国によって飲み込まれてしまったら、その後取られていく周りの国はどこでしょうか。 九州と台湾の間は、1400キロぐらいあり、その間に南西諸島のとても重要な島がたくさんあります。 その中には鹿児島県である奄美大島があり、その南が沖縄県ですが、日本の最南西には与那国島があります。 与那国島から台湾までは111 キロしかありません。台湾から尖閣諸島までは330 キロ。台湾から沖縄本島までは700キロしかないのです。 もし、台湾が中国になってしまったら、ここに中国人民解放軍のミサイルが配備され、台湾から100キロのとこに住んでいる日本人はどうしたらいいのでしょうか。尖閣諸島もどうやって守るのでしょうか。 このように、日本にとって台湾が中国に取られることは大変な危機を意味するのです。 ◆キューバ危機の教訓 同じようなことが過去の歴史でも起きています。例えば1962年の「キューバ危機」です。 米ソ冷戦の時代は、アメリカとソ連が核開発競争していました。当時、ソ連が同盟国であるキューバに核ミサイル基地をつくり、核兵器を配備しようとしていました。 ソ連から核ミサイルがキューバに持ち込まれるだけになった時に世界は震撼したわけです。アメリカが下手な手を打ったら、それがきっかけとなって米ソが戦争になってしまう可能性もありました。 アメリカとキューバは目と鼻の先にあって、キューバにソ連の核ミサイルが配備されたら、もうアメリカは終わりです。 当時のケネディ米大統領は、それをよく分かっていたので、すごいリスクがあったのですが、米艦隊を派遣しキューバを海上封鎖しました。それによってソ連から核兵器が持ち込まれないようにしました。 このケネディの判断でソ連は核ミサイルの配備を諦めたわけです。 これと同じことが今起きようとしているのではないでしょうか。台湾を中国に取られたら、まさに日本の「キューバ危機」に当たることが起きます。 ◆日本が台湾を守るべき第一の理由 台湾が中国に占領されたら日本は海上交通路を奪われ、独立を保つことができなります。これは日本の中国属国化を意味します。これが台湾を日本が守るべき最大の理由です。 いやいや、沖縄本島には在日米軍がいるではないかと思うのですが、そうなった場合、アメリカはきっと中国と話し合うでしょう。 話し合って結局、沖縄ぐらいまでは中国に譲る可能性は否定できません。 まさに、台湾は日本の安全保障にとって最も重要な国です。それを我々日本人は自覚する必要があると思います。 ◆日本が台湾を守るべき第二の理由 日本が台湾を守るべき第二の理由ですが、「日本は台湾の自由を守る責任がある」ということに関して、幸福実現党の大川隆法総裁は、2019年の3月の台湾で講演をしたことがあります。 その時の講演の内容は『愛は憎しみを超えて』という書籍として発刊されています。 『愛は憎しみを超えて』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2167 大川隆法総裁は「日本には、あなたがたを守る責任がある」と台湾の人たちに話しました。その理由は次のような理由からです。 先の大戦の時に、台湾は日本で台湾人は日本軍と共に闘ってくれたのです。その数21万人。そのうち3万人が戦死もしくは病死しています。そして靖国の英霊となっています。 大戦で戦った靖国の英霊は決して日本人だけではありません。 つまり、台湾の人たちのおかげで今の日本がある、台湾が国家存亡の危機にあるのならば、「日本は台湾を守る責任がある」ということを幸福実現党は訴えているのです。 日本には台湾を守る責任があるこれだけの理由【前編】 2022.02.03 https://youtu.be/ERutq13kyco 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆中国人民解放軍の台湾占領映像 今回のテーマは、「日本には台湾を守る責任があるのではないか」ということです。 いま、台湾は中国の人民解放軍に狙われています。 人民解放軍は香港を攻め落とそうとするときにも、香港と同じ街並みをつくって軍事演習する映像を撮っています。 同じように中国に台北の街並みと台湾総督府の建物をつくって、そこに攻めていく軍事演習のビデオもつくっています。 まず、その人民解放軍のバックにいる中国共産党の思考回路をあらためて確認してみたいと思います。 ◆中国共産党の二つの問題点 第一は「科学万能主義」です。 中国共産党は科学の進化を大変重視しています。それが宇宙開発、武器開発、特にバイオです。 例えばウィルスを人工的につくれるのであれば、それを生物兵器にする。普通は戦争でもそれは使ってはいけないというのが「善悪の思想」です。 ところが「科学万能主義」という考え方には、「善悪の思想」がありません。科学でできるものだったら何をやってもよいというのが「科学万能主義」です。 もう一つ、中国共産党の思考回路にあるのは「強制収容所」です。 民主国家であれば政府に対して反対を言う人がいてそこに議論があっていいわけですが、中国共産党の下では政府に従わない国民はいてはいけないわけです。 従わない国民は強制収容して、最終的にはジェノサイド、大量虐殺する。それがチベット、ウイグル等で行われてきました。 ◆中国の世界戦略 ところが、世界に対する戦略は全く違います。その戦略は、中国が世界のメシア、救世主になるということです。 途上国は、アメリカ、ヨーロッパが開発したワクチンは高いので買えません。中国は開発したワクチンをタダで配っています。 他にも一帯一路のプロジェクトとして、道路や高速道路、ダム、空港を中国が造ってあげています。こうして、アジア、アフリカ、南米の貧しい国々にとって中国は救世主になっているのです。 この戦略は見事に当たっており、先進国は中国によるウイグルの人権問題を批判していますが、批判している国が少ない理由はここにあります。 ◆現代のヒトラー このように多くの途上国は、中国をメシア扱いしていますが、これに対して幸福実現党の大川隆法総裁は今年『メシアの法』という本を出しました。 『メシアの法』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2697 この本のなかで、「習近平は決して世界のメシアではない、偽メシアです」と訴えています。 台湾については「中国の台湾侵攻を放置して見て見ぬふりをしていたらヒトラーが順番に国を取ったと同じことが起きる」と指摘しています。 これはどういうことかというと、第一次大戦後、ドイツでヒトラーが台頭すると周りの国を取り始めました。 フランス領のラインラントであったり、オーストリアに住んでいるのは、ドイツ人だからという理由で周りの国の領土を取り始めたのです。 他にもチェコスロバキアのズデーテン地方に住んでいるのもドイツ人であると領土の割譲を要求しました。 武力侵攻ではなく要求ですが、これに対して当時の世界の覇権国だったイギリスのチェンバレン首相は、ズデーテン地方の割譲まではいいだろうと認めてしまいました。 その代わり、これが最後だと言ってヒトラーもわかりましたと約束しました。しかし、ドイツはその後すぐにポーランドに侵攻しています。 最終的には、ごくわずかの中立国が残っただけでヨーロッパはドイツに侵攻され、イギリスは最後に残って孤立しました。これが歴史的な事実です。 習近平を現代のヒトラーに当てはめるとしたら、今度は中国共産党によって起こると警告しています。 (後編につづく) 腰抜けの人権問題決議採択は日本の未来を誤らせる(党声明) 2022.02.02 https://info.hr-party.jp/press-release/2022/12404/ 令和 4 年 2 月 2 日 幸福実現党 1日の衆院本会議で、中国による新疆ウイグルなどにおける人権問題に関する決議が賛成多数で採択されました。 岸田文雄首相は、中国に対して「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」と述べており、自民党を中心に中国の人権弾圧行為について非難の姿勢を示すべく、本決議の採択を進めてきたはずです。 しかしながら今回採択された決議は、人権弾圧の当事者である中国への名指しを避け、「人権侵害」や「非難」という核心的な文言が削除されるという、中国に過度に配慮したものとなりました。 ウイグル、チベット、南モンゴル、香港などで行われている中国による苛烈な人権弾圧行為への非難は、もはや一刻の猶予も許されません。 現状ではジェノサイドを超える暴挙が行われており、決議文のような「人権状況の全容を把握するために、情報収集を行うべき」といった生ぬるい状況ではありません。 国際社会が中国への非難を強め、経済制裁を行っているなか、このような腰抜けの決議を採択することは、国際社会に対し、日本は中国に宥和的であるという誤ったメッセージを送ることになり、国家の未来を危うくしかねません。 私たち幸福実現党は、昨年末より「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を全国で展開しています。 現在の中国の人権弾圧行為や覇権拡大を傍観したら、日本と世界からは自由が奪われ、人々は不幸のさなかに置かれることになります。 中国の暴挙を止めるのは、今を生きる私たちの責務だと信じるからです。 私たちは、「自由・民主・信仰」こそ政治の基本原則だと考えます。特に「信仰」のない政治は、神仏の目を意識しなくてもよくなるため、権力の暴走に歯止めをかけることができません。 幸福実現党は、信仰ある国で力を合わせ、無神論国家・中国の人権弾圧行為をくい止めるべく、今後も活動を続けて参ります。 以上 北朝鮮の極超音速ミサイルが日本に落ちたらどうなる?日本の国防は大丈夫?【後編】 2022.01.30 https://youtu.be/k5tUpg_euLc 幸福実現党党首 釈量子 ◆極超音速ミサイルの実験に失敗した米国 一方これに対して米国は、極超音速ミサイルの実験に2021年段階で失敗し、大きく出遅れてしまいました。 極超音速ミサイルは、極超音速に加速すると、空気とミサイルが摩擦を起こし、1000度以上の高温に達することで、電子機器が壊れ、ミサイルのコントロールが効かなくなる点などが、開発を困難にしています。 しかし、中国がどうやって、それを克服したのかは謎となっています。 いずれにしても、日本のミサイル防衛を根本から揺るがす事態が起きていることだけは間違いありません。 ◆「敵基地攻撃能力」は憲法違反ではない こうした事態を受けて、国会でも既に議論が交わされているのが「敵基地攻撃能力」です。 考え方は非常にシンプルで、ミサイルを迎撃できないなら、発射前にミサイルを打てないように敵基地を攻撃するしかない、ということです。 ちなみに、敵基地攻撃能力を持ったとしても直ちに憲法違反にはならず、必要最小限度の範囲であれば自衛手段として認められております。 これは日本だけの考え方ではなく、例えば、米国の国家安全保障戦略には「ミサイル防衛には敵基地攻撃能力も含む」と明記されています。 ◆中途半端な敵基地攻撃能力は最も危険!? 岸田首相は昨今の情勢を鑑みて、敵基地攻撃能力の必要性を訴え、国会において論戦が行われています。 ただ、「敵基地」といっても、北朝鮮が配備する弾道ミサイルは全て「車載移動式」であるため、攻撃したところで「もぬけの殻」という状況になってしまいます。 そのため防衛省では、ドローンの活用や、人工衛星によって電波を特定して攻撃することを考えていますが、叩く手段はなく、叩き漏らしたときの抑止力もありません。 最大の課題は、中途半端な敵基地攻撃能力を持つことで、かえって「核兵器」による反撃を招きかねないということです。 となると結局、核兵器に対しては、核で抑止力を持つことが不可欠であり、相手に攻撃を思いとどまらせるためには、本来は核保有について議論されなくてはならないはずです。 ◆新たな抑止力と防衛体制のかたち もっとも、地上に落とす広島・長崎型ではなく、電磁パルス(EMP)のように、パンと上空で爆発させることで電子機器を使えなくさせ、都市機能を麻痺させることを目的にするものでいいわけです。 日本を攻撃することによって、逆に「受け入れがたい被害」が敵国に生じるのであれば、これが十分に抑止力となります。 更に「ミサイルに対してミサイルで撃ち落とす」のではなく、日本独自の考え方として、電子戦と電磁波兵器による「電磁バリア」を築くべきだという指摘もあります。 例えば、言論チャンネルに多数ご出演頂いております用田和仁氏(元陸上自衛隊・西部方面総監)は、電磁波兵器がミサイルやドローンに内蔵されている電子機器を破壊すると提言しており、課題である電源の開発を急ぐために、早急に予算をつけるべきだと強く訴えていらっしゃいます。 ◆小手先の改革では何も変わらない 以上の通り、北朝鮮のミサイルと核について考えてきましたが、政府はいまだに「遺憾です」としか言えておりません。 また、未だに「二枚舌」というか、防衛白書を一つとってみても、北朝鮮については明確に「脅威」と書きながら、中国については、あくまで「懸念」という表現にとどまっています。(令和3年版『防衛白書』) しかし、北朝鮮よりも中国の方が明らかに軍事力は強大ですし、実際の自衛隊の配置も、中国を想定して、沖縄・南西諸島方面の防衛を強化しています。 コロナウィルスも「生物兵器」であると我々は考えており、「もう戦争は始まっている」という認識が必要だと考えます。 小手先の改革ではなく、国を護るということで、バシッと一本、精神棒を入れる必要があるのではないでしょうか。 ◆「自由・民主・信仰」に基づいた国家戦略を! 世界の正義と平和を構築するために、国家の基本原則として「自由・民主・信仰」という価値観が政治の基盤に必要だと考えます。 バイデン大統領が「民主主義国家 対 専制国家」といってロシアを中国に接近させてしまっていますが、プーチン大統領は元来、敬虔なロシア正教会の信仰者として、強い信仰心をお持ちです。 「自由・民主・信仰」を原則とする国々が手を結ぶべきです。 なぜなら、神を信じない国は、中国と北朝鮮ぐらいで、大抵の国は「信教の自由」を認めており、信仰を持たない国の独裁者に「遺憾です」といっても通じませんが、「神仏への信仰心を持つ国家 対 無神論・唯物論国家」の対立軸を構築できれば、勝てる可能性が出てくるのです。 また、「人権」「法の支配」という言葉もありますが、政治の上位概念にある「神への信仰」を認めなければ、その根拠というものは極めて甘いものになります。 北京五輪への外交的ボイコットや、ウイグルジェノサイドへの非難決議もできず、国防体制の構築もなかなか進みませんが、これは日本に精神的な柱が立っていないために、善悪の判別ができないことと無関係ではありません。 こうした観点から、日本の外交戦略を根本的に組み直し、国防も強化していくべきであると考えます。 日本は「武士道の国」として甦る必要があるのではないでしょうか。 すべてを表示する « Previous 1 … 9 10 11 12 13 … 101 Next »