Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 ウクライナ侵攻、終結の行方は?米欧日を巻き込むゼレンスキー大統領【前編】 2022.03.24 https://youtu.be/xNP88lD_mnk 幸福実現党党首 釈量子 ◆ポーランドを威嚇したロシアのねらい ロシア軍が3月13日、ポーランドの国境から20キロにあるウクライナのリビウ北西の「平和維持安保国際センター」と呼ばれている軍事基地を攻撃しました。 同基地は、米国やカナダの軍事顧問がウクライナ軍を訓練する軍事演習を行う場所で、ウクライナへの軍事支援の輸送ルートにもなっています。 空爆前日の3月12日、米国はウクライナに対する2億ドルの追加軍事援助を発表しており、ロシアは、ポーランドを軍事的に威嚇しつつ、米欧からの武器陸送を防ぐねらいがあったとみられます。 ◆米欧とロシアの軍事衝突の可能性 今回の空爆により、米欧とロシアの軍事衝突の可能性は一気に高まりました。 なぜかというと、米軍は地対空ミサイル「パトリオット」をポーランドに配備しており、ロシア軍のミサイルがポーランド国境に近づくほど、パトリオットで迎撃する可能性が出てきます。 ウクライナ領空で迎撃すれば、ロシアが米欧の軍事介入と見て、直接対決、全面戦争に発展する可能性もあり、まさに一触即発の状況です。 ただ、今のところ、米欧は経済制裁や金融制裁は行うけれども、「核戦争」「世界大戦」にならないようロシアとの軍事的衝突を避ける判断をしています。 ◆ゼレンスキー大統領のNATOに対する要求 ウクライナは、EUに対し早期加盟を求めていましたが、ポーランドやバルト3国などの東欧諸国は積極的でした。 しかし、ドイツやフランス、オランダなどの主要国は慎重で、ウクライナの早期加盟は難しい状況です。 これに対して、ゼレンスキー大統領は、「EUはもっと強くなれ」と発言、NATOに対して、ウクライナ上空に「飛行禁止空域」を設けるよう求めていました。 ウクライナ領空に「飛行禁止空域」を設ければ、NATOはロシア軍の戦闘機を撃墜しなくてはならず、ロシアとの全面戦争になってしまいます。 そのため、NATOは、「地上でも、領空でも、ウクライナに進出するつもりはない」と答えましたが、これに対して、ゼレンスキー大統領は、怒りを込めて次のように非難しました。 「飛行禁止空域の拒否は、ロシアがウクライナの都市に空爆を行ってもよいと、NATOが許可したことを意味する。今日以降、殺された人たちはNATOのせいで死ぬことになる。NATOが弱気なせいで、戦争が終わらない」 そして、3月14日には再度、「飛行禁止空域」を設けるようNATOに求めています。 ◆バイデン大統領「米国はウクライナで戦わない」 また、ゼレンスキー大統領が「ウクライナのパイロットが操縦に慣れているミグ戦闘機がほしい」と米欧に要請したところ、ポーランドは「保有する全てのミグ戦闘機を渡す用意がある」と発表しました。 ポーランドは早速、自国が参戦したことにならぬようドイツのアメリカ空軍基地経由でウクライナに渡す計画を立てました。 しかし、米国はこれを拒否。アメリカ空軍基地から戦闘機が飛び立てば、NATOが参戦したように誤解を与えるからです。 3月11日、バイデン大統領は、民主党内に「ウクライナに対して戦闘機を提供すべき」との声があることを踏まえて、「甘く考えるな。攻撃的な装備を送れば、それは『第3次世界大戦』だ」と釘を刺しました。 そして、「米国はウクライナでの戦争は行わない」と改めて強調しました。 このように、米欧はロシアとの全面戦争を避けるために、極めて慎重に、明確な一線を設けており、「世界大戦」を防ぐための賢明な判断ではないかと思います。 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、何とか米欧を参戦させてロシアと戦わせようとしていますが、大変危険なことです。 後編では、ゼレンスキー大統領はどのような大統領なのかという視点から、今回の問題を考えてみたいと思います。 (後編につづく) ウクライナ侵攻で原油価格高騰、エネルギー安全保障への影響【後編】 2022.03.19 https://youtu.be/4rtIRpJVTcc 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国を利する日本のシベリア事業の引き上げ 日本は、現在投資しているロシア極東の資源開発事業の「サハリン1」と「サハリン2」などからの投資を引き揚げすべきかどうかをめぐって経済界が二分されています。 3日の記者会見で、日本商工会議所の三村明夫会頭は、こうした資源開発事業から日本が撤退しても「LNGは中国に行くのではないか。ロシアを困らすことにはならず、日本のユーザーが大変なことになる」と述べました。 日本がロシアから引き揚げたとしても中国資本が入るだけで、味をしめるのは中国です。海外にエネルギーを頼る日本にとって、日本企業の権益で資源開発ができることは非常に重要です。 ですから、政府は、ロシアでの権益を維持する方針のようですが、ロシアでの燃料事業から撤退すべきでないという方針を明確に打ち出すべきです。 また、米エクソンや英シェルが撤退するなら、その権益は中国でなく日本が譲り受けるよう、国として動くべきです。 ◆脱炭素政策を撤回し原発再稼働を そして、政府は、2050年カーボンニュートラル、2030年46%削減などの脱炭素政策も、ドイツと同様に、安全保障を理由に、政策の見直しを進めるべきです。 まず、石炭火力の廃止の見直し、海外での資源開発の投資を継続すべきです。さらに、止まっている「原発を即時再稼働」させれば、現在ただ今の危機に一定の対応はできます。 ロシア軍のウクライナ侵攻で、チェルノブイリ原発の電源喪失が大きくクローズアップされましたが、国際原子力機関IAEAは、現時点で「安全性への致命的な影響はない」とする見解を示しています。 原子力委員会の元委員長代理である鈴木達治郎教授もNHKの取材に対して、次のように答えています。 「廃炉となって長時間経過していることから使用済み核燃料から出る熱の量は低く、電力が復旧できないとしてもすぐに大事故につながるとは考えにくい」 (チェルノブイリ原発 電源喪失 IAEA「安全性に致命的影響なし」) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220309/k10013523381000.html ウクライナ側に立ち、エキセントリックに煽るような報道ばかりですが、ここは冷静にならないといけないと思います。 そもそもロシアにとって、ウクライナは黒海にアクセスする重要なルートであり、そこを汚染することはメリットがないことです。 ですから、ロシアの目的は原発への攻撃ではなく、制圧であることは明らかです。 原発は、使用済み核燃料から放射性物質を取り出せば、核兵器は作れなくても、「核テロ」を行うことができるので、これを防ぐため、原発を制圧するのは定石通りです。 ゼレンスキ―大統領もNATOや日本を巻き込んで、戦争をさせてロシアをつぶそうとしていますが、これはやりすぎであり、分を過ぎています。 ウクライナのために「世界大戦」を起こすわけにはいきません。ウクライナにはロシアとEUの中立化に向けて、落としどころを模索すべきです。 いずれにせよ、現時点で、日本にとって電力を安定して供給でき、しかも南シナ海や台湾有事に強い原発の必要性を検討すべきなのではないでしょうか。 エネルギー問題に限らず、中国の脅威を考えれば、ロシアとの友好関係をとった方が、日本の国益は大きなものとなります。 また、日本としては、ウクライナの戦争を止めるためにも、ロシアと話し合って、ウクライナが、ロシアとEUと中立の立場で、存続できる道を模索するべきではないでしょうか。 ウクライナ侵攻で原油価格高騰、エネルギー安全保障への影響【前編】 2022.03.18 https://youtu.be/4rtIRpJVTcc 幸福実現党党首 釈量子 ◆原油価格の高騰 現在世界では、ウクライナ危機の影響もあって、ガソリンや天然ガスの値段が高騰しています。 経済産業省「石油製品価格調査」によると、日本では3月7日時点で、レギュラーガソリンの値段が9週連続の値上がりし、全国平均1リットルあたり174円60銭になっています。 これは、2008年のリーマン直前の高騰以来、約13年半ぶりの高値で、これも補助金で抑えた価格であり、実際は180円を超えていると思います。 ヨーロッパの状況はもっとひどく、ロシアへの依存度が高い天然ガス相場が、ロシアのウクライナ侵攻前後で2倍以上になったという話もあります。 こうした状況から、世界は、「やっぱり、エネルギー安全保障は重要である」という方向に向きつつあります。 ◆エネルギー政策を転換したドイツ ドイツでは、昨年9月の総選挙で政権交代が起き、環境保護を掲げる「緑の党」が政権与党入りしました。 連立政権は、2030年までに石炭火力発電を全廃することを検討していましたが、これを棚上げし、さらに、年末で廃止予定だった3基の原子力発電所の延命まで検討しています。 ドイツは、気候変動対策の急先鋒の国でしたが、なぜ、こうした動きになったかと言えば、ドイツのエネルギー供給があまりにもロシアに依存していたからです。 2020年の統計では、ドイツの天然ガスの55.2%、石炭の48.5%、石油の33.9%がロシア産です。 シュルツ首相は、2月27日の声明で「責任ある、将来を見据えたエネルギー政策が、我々の経済や気候だけでなく、安全保障にとっても極めて重要」と述べました。 ◆アメリカも「脱炭素政策」を見直しへ アメリカでも今回のウクライナ侵攻を受けて、「脱炭素政策」を見直すべきだという声が高まっています。 3月8日、バイデン政権は、発足以来消極的だった、国内での原油や天然ガスの増産を容認する方向へと舵を切りました。 同日、全米商工会議所は、声明でバイデン政権が規制している政府管理地の開発禁止措置を撤回するよう求めました。 バイデン政権は、ロシアからの原油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸入を禁止する大統領令に署名し、即日発効しましたが、これも同じく3月8日の出来事です。 アメリカがロシア産エネルギー資源の輸入を禁じることができるのも、自国内で十分な資源を賄えるからです。 いずれにしても、各国は、今回のウクライナ侵攻を受け、自国の安全保障を考えてエネルギー政策の見直しを始めています。 ◆日本もエネルギー政策の見直しを 日本では9日、岸田文雄総理が、アメリカの原油や天然ガスへの禁輸措置に関して「安定供給と安全保障を国益としてG7をはじめとする国際社会と連携し、しっかり取り組んでいきたい」と述べ、アメリカの追加制裁にただちに追随することはしませんでした。 これ自体は正しい判断かと思います。 エネルギー安全保障でいうと、ヨーロッパのエネルギーはロシア依存で、日本の場合、石油は中東依存です。 LNGの調達先はある程度分散しているものの、大部分の燃料が日本の海上輸送の大動脈である南シナ海を通って来ます。 ロシアからエネルギー資源を禁輸してしまうと、日本が輸入している1割程度のエネルギー資源がロシアから入ってこなくなり、裏を返せば、南シナ海ルートへの依存度が高まります。 つまり、中国の脅威を抱える日本にとっては、南シナ海や台湾近海の有事に備え、ロシアからの輸入を増やすことが、リスク低減になります。 ですから、簡単にロシアからのエネルギー資源の輸入を禁止しなかったことは正しかったと思います。しかし、これだけでは十分ではありません。 後編では、日本が投資しているロシア極東の資源開発事業から見て参ります。 (後編につづく) 【Society5.0】国が進めるムーンショット事業は本当に大丈夫!? 2022.03.17 https://youtu.be/52C0H56uKgo 幸福実現党党首 釈量子 ◆「Society 5.0」とは 今回は、政府が進める科学技術政策「Society 5.0」について考えます。 「Society 5.0」は、2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で、我が国が目指すべき未来社会の姿として、初めて提唱されました。 人類社会は「狩猟社会」(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と発展を遂げてきました。 そして、5番目の未来社会像として、政府が掲げたのが「Society 5.0」です。 内閣府のホームページでは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義しています。 Society 5.0の一環として国が進める「ムーンショット」事業があります。 ムーンショット事業には9つあり1番目が、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現する」、というものです。 ムーンショット目標1 https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html ◆ムーンショット事業の危険性 具体事例として挙げられているのが「アバター」です。「アバター」とは、自分の分身のことで、サンスクリット語のアバターラ「化身」の意味から来ています。 「ムーンショット事業」では、ロボット技術などを使って、リアルな三次元空間で、一人ひとりが好きなアバターを何台も操作できる社会を目指しています。 実際に、脳に直接、プラグや電極を差し込んだり、チップを埋め込んだりして操作する方法が、世界各国で研究されています。 中国では、すでにハトの脳に微小電極をインプラントして動きをコントロールしたり、電極を埋め込まれた実験用ラットが、直接人間の脳から信号を受け複雑な迷路から抜け出る実験に成功したと言われています。 また、イーロン・マスク氏が立ち上げたNeuralink(ニューラリンク)は、2021年4月、サルがコントローラーを使わず思考だけでピンポンゲームをプレイする映像を公開しました。 ◆日本の「ムーンショット事業」 では日本では、何を目指すかというと次のような技術です。 (1)自分の精神状態をスマホで把握できるようになる スマホで見られるということは、ほかの人も見られるということで、プライバシーの問題になりかねません。 (2)自分の過去の記憶からの解放される VR空間で過去のトラウマの事件をやり直し克服するというものです。 (3)自分の「やる気」のコントロール 脳を直接、電気で刺激し、うつ状態を和らげることを目指しているようですが、これも、人の心を操作できる可能性を否定できません。 今でさえ、サイバー攻撃が大変だと言われているのですから、アバターが不可欠になった社会の被害はもっと深刻になるでしょう。 前述したトラウマ修正プログラムは、社会からの抹殺もボタン一つ、人々の価値観を自在に操ることもできるようになるかもしれません。 そうしたインフラを管理するような企業や国家は、GAFAの比ではない権力が集中することになります。記憶の改ざんや精神の操作もできるなら、「洗脳」は簡単です。 ◆絶対に譲れない「人間の尊厳」 しかし、「絶対に譲れない一線」となるのが「人間の尊厳」です。人間の尊厳の根拠は、神が人間を創られたということです。その中心が、人の心であり、心こそが人間の「最後の砦」です。 唯物論に陥ってテクノロジーが暴走するとどうなるか。それが中国共産党政権のAI監視社会のような、この世の地獄です。 唯物論、科学万能主義で、神も仏の否定する先にあるものは、恐ろしい未来です。ですから、科学技術が進歩しても、それに釣り合うだけの霊性、精神性が人間にはどうしても必要です。 日本も「文部省」が「科学技術省」と一緒になった「文科省」以降、唯物的な、いわゆる科学万能主義が強くなってきています。 すでに、学校現場でも「知識教育」が「テクノロジー」と結びついて、若い世代でも「心」が何か分からないという人が増えています。 人工知能が進化してくと、人間の働きを代用するようになるので、人間はいらない社会がくると考える人が出てきています。 ◆教育の大事な役割 2017年、坂本龍馬や吉田松陰のような日本の誇りとなる偉人を教科書から削除する提言を発表し、波紋を広げています。 「歴史的な確定できる業績として、何があったかがはっきりしない」という「科学的な思考」が歴史の分野や宗教の分野にまで入り込んできています。 そうした科学的思考では、「AIに対抗する人材を養成する」と言っても、限界があります。 吉田松陰の「万巻の書を読むに非ざるよりは、寧んぞ千秋の人たるを得ん」という言葉が遺っています。 つまり、「万巻の書を読まずして、どうして千秋の人(千年も後に名前が遺るような人)になれようか」ということですが、こうした和歌を見ると、知識的だけで人を育てる方ではなかったことがよく分かります。 「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」の句には、自分の生死を超えて、世のため、人のために尽くそうという尊い「心」が現れていると感じられます。 この三十一文字が、当時の維新の志士たちの魂を震わせ、世の中を変えていく人材になっていきました。 このように心はAIが進化しても、千年経っても万年経っても絶対に届かない世界だということが言えるのではないかと思います。 自分がどんな人間になっていくのか。あるいはどんな使命のために自分が生まれてきたのか。そうした事を深く考えさせ、そして意志であるとか、志を持たせていく、そしてその心を練り込んでいくことが大切です。 科学が暴走して人類が不幸に陥らないために、未来産業も「人のぬくもり」の価値を高める方向で研究されるべきだと思います。 そもそも一流の科学者が、すべて神の世界を探究するという命題の下で様々な学問を進めてきたということも決して無視してはいけないことかと思います。 この科学技術が唯物論に立つことがないよう、私たちは声を上げていきたいと思っております。 ウクライナ侵攻で迫る第3次世界大戦、日本も戦場に【第3回】 2022.03.13 https://youtu.be/OoVkNQZ7kpo 幸福実現党党首 釈量子 ◆米国の二つ目の敗戦 今回のウクライナの情勢に関して、大川隆法党総裁の最新刊『ウクライナ侵攻とプーチン大統領の本心』の「あとがき」で、「バイデン氏は、対コロナ戦に続いて、二つ目の敗戦だ。残念だが頭が悪すぎた」と述べています。 『ウクライナ侵攻とプーチン大統領の本心』大川隆法党総裁著 https://www.amazon.co.jp/dp/4823303423/ref=cm_sw_r_tw_dp_7XBYRS66BSFSTB7MEM8D バイデン政権は、中国がばら撒いたコロナウイルスによって、世界で4億人以上、死亡者数600万人以上を出していますが、中国の責任を全く追及できません。 これが一つ目のコロナ敗戦です。 二つ目の敗戦ですが、現在、ウクライナのゼレンスキー大統領は米国では戦争を仲裁できないと考えて、中国にロシアとの仲裁をお願いしようとしています。 中国も乗り気になっているようですが、これでは米国の面子は丸潰れです。 ロシアと米欧は、バイデン大統領の失策により、戦争を防ぐどころか核戦争の危機にあります。 東アジアでは、中露接近により日本が戦場になる可能性が高まり、北朝鮮の核開発を勢いづかせ、台湾防衛に不安を与えています。中国は高笑いという状況です。 国連はもう機能せず、冷戦後に築かれてきた米国主導の国際秩序が揺らぎ始めているのは明らかです。 このように、米国のリーダーシップが弱まる中で、ロシアと中国、イラン、北朝鮮などの国がつながり、米欧日と対立するという第3次世界大戦の構図が出来上がりつつあります。 これが、ロシアをウクライナ侵攻に追い込んでしまった、バイデンの二つ目の敗戦です。 ◆プーチン大統領がNATOの東方拡大を認めない理由 ロシアにとってのウクライナはヨーロッパからの侵攻を防ぐために死活的に重要な地域です。この緩衝地帯があるおかげで、ナポレオンやヒトラーの侵略からロシアを守ることができました。 プーチン大統領にとっては、NATOの東方拡大は認めることはできず、ロシアにとってのウクライナは、米国にとってのキューバだということです。 キューバ危機では、ソ連がキューバに核兵器を配備しようとしたとき、「核戦争も辞さず」との覚悟で、ケネディ大統領は核兵器を持ち込ませないように海上封鎖しました。 アメリカでも国防省の元上級顧問ダグラス・マクレガー氏が「ロシアのウクライナ問題をアメリカのキューバ危機と一緒だ。ロシアの狙いは欧米との戦争ではない」ということを言っています。 プーチン氏をヒトラーとみる向きが大勢ではありますが、これは防衛なのかというところが決定的な見方の違いになっています。 プーチン大統領2月24日、改選前の演説を見ると、これまでのアメリカの非道ぶりを非難しており、一定の筋は通っていると思います。 ◆第三次世界大戦を防ぐには 「第三次世界大戦」を引き起こすような事態を防ぐためには、どのようにすべきでしょうか。 幸福実現党は、プーチン大統領の論理とウクライナの主張とを比較考量した時に、ウクライナがEUやNATOに加盟することを認めるべきではないと考えています。 また、日本は中露北の三正面を回避するための外交努力はすべきだと考えます。 ちなみに、絶妙な動きをしているのがインドです。インドは、ロシアとの関係も強く、肩入れしないよう、中立の立場を保っています。 インド政府は、制裁後もロシアとの貿易が継続できるよう検討しているようです。 イラン制裁の時も、インドルピーで、決算を続けました。米国追従ではなく、ロシアを見捨てることはしないと思われます。 日本も、国家存続の危機という認識で、政治的・外交的な落としどころを探るべきではないかと思います。 そして、「自由・民主・信仰」という価値観のもと、新しい地球的秩序の構築に向けて努力していくべきと考えます。 ウクライナ侵攻で迫る第3次世界大戦、日本も戦場に【第2回】 2022.03.12 https://youtu.be/OoVkNQZ7kpo 幸福実現党党首 釈量子 ◆ロシアのウクライナ侵攻を巡る東アジアの地殻変動 ロシアのウクライナ侵攻は、東アジアにも地殻変動を及ぼしつつあります。 (1)中国 3月2日の「ニューヨークタイムズ」が、中国が2月上旬、ロシアに対して、「ウクライナ侵攻を北京オリンピックが終わるまで遅らせてほしい」と頼んでいたと報道しました。 実際に、北京オリンピックが2月20日に終わり、2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まっています。 ロシアと中国の関係は、2014年のロシアのクリミア侵攻をきっかけに、欧米のロシアへの経済制裁が強まる中で、どんどん密接になりました。 特に、中国はロシアから原油や天然ガスを大量に輸入し、ロシアを支援しました。 今回、中国は一貫してロシアの立場を擁護する発言をしており、間違いなく中露接近は決定的になったわけです。 (2)北朝鮮 また、中国同様、ロシアの立場を一貫して擁護しているのが北朝鮮です。 北朝鮮はロシアのウクライナ侵攻中のタイミングで、弾道ミサイルを発射しました。 「北朝鮮の核兵器開発を正当化し、ウクライナの二の舞にはならない」と宣言しているかのようで、トランプ政権の非核化の交渉の真逆になっています。 ちなみに、ウクライナは1994年、核を持つ「米・英・ロシア」との間で、核兵器を持たない代わりに、ウクライナの安全を約束するという「ブタペスト覚書」を交わしました。 ウクライナ側は「この時に、もし核兵器を手放していなかったら、ロシアのウクライナ侵攻は起きなかったかもしれない」という見方をしています。 こうしたこともあって、北朝鮮は核保有の意義を確信し、北朝鮮の非核化は一段と遠のきました。これで日本の国防上の危機は高まったと見るべきです。 (3)台湾 次に台湾ですが、欧米とロシアの対立が激化、しアメリカがヨーロッパに戦力を配備することになれば、当然東アジアの戦力は手薄になります。 結果、中国の台湾侵攻にチャンスを与えることになってしまいます。 台湾では現在、「今日のウクライナ、明日の台湾」という言葉が、新聞やインターネットで踊っています。 昨年8月に米軍がアフガニスタン撤退で世界に失態を晒した時も、「今日のアフガン、明日の台湾」という言葉が広がりました。 市民の間では、ウクライナ民兵が戦う姿なども見て、応急処置や訓練に関する関心が高まり、自己防衛を意識する人が多くなっています。 米国と台湾の間には「台湾関係法」がありますが、台湾防衛義務は明記されていません。 歴代政権も台湾有事に軍事介入するかどうかを明確にしない方針、いわゆる「あいまい戦略」を採用しています。 今回のウクライナ侵攻についても、欧米諸国はウクライナを支持すると口にしながら、いざ戦いが始まったら全く兵を出しませんでした。 蔡英文政権は、台湾有事の際に米国の支援を期待していますが、アフガニスタンとウクライナの教訓を踏まえ、「自分の国は自分で守る決意と能力を持つことが先決だ」と繰り返し強調しています。 (4)日本 日本も他人事ではありません。 一番象徴的なのが、3月2日にロシア軍のヘリコプターが北方領土方面から来て、根室上空で領空侵犯した動きです。 これは明らかにロシアによる日本へのメッセージです。 日本は欧米に足並みを揃えて経済制裁に参加していますが、それに対する反発です。 昨年10月には中露の艦隊が津軽海峡を通って、日本を一周しましたが、これは、「台湾有事の際に日本が参戦すれば、北海道を占領するぞ」という警告でしょう。 北朝鮮のミサイルも連動しているとみるべきで、日本は、中国と北朝鮮、ロシアと対峙する三正面作戦をを行うつもりなのか、今後、岸田政権は、ロシアとの関係を中国や北朝鮮と同じく「脅威」と位置付ける方向で進んでいます。 これは、日本の存亡に関わる危険な判断だと思います。 ロシアは北海道に米軍基地やミサイルが設置されることを防衛上の危機と見ているので、日本が敵対国になれば、ウクライナと同じく北海道を緩衝地帯として確保したくなるでしょう。 となると、北海道も、尖閣並みの脅威に対応しないといけなくなります。そのための防衛予算、戦力、自衛隊の配備をどのように考えているのでしょうか。まさに国家存亡の危機です。 日本の独立を守るための「核シェアリング」の議論も出ていますが、岸田首相は「作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則を堅持する姿勢を貫いています。 「核シェアリング」とは、米国の核兵器を日本に持ち込んで、共同で管理することです。 我々は「核装備なくして、日本の独立を守れるのか」について議論を封じるべきではないし、憲法9条改正と合わせて、参院選の争点にすべきではないかと考えています。 (第3回につづく) ウクライナ侵攻で迫る第3次世界大戦、日本も戦場に【第1回】 2022.03.11 https://youtu.be/OoVkNQZ7kpo 幸福実現党党首 釈量子 ◆迫る第三次世界大戦 今回は、3回に分けて、ウクライナ情勢が世界に与える影響について考えてみたいと思います。 (1)欧米の対ロ制裁 米国はロシアに対して次々と経済制裁を行っており、その中でも「SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除」は核爆弾級の制裁だと言われています。 SWIFTは、国をまたいで送金する際に利用するインフラですが、ロシアの銀行がこれを利用できなくなることは、「世界経済からの排除」を意味します。 ただ、ドイツやフランスはロシアから天然ガスを輸入しているので、天然ガスの支払いができるロシアの銀行は対象外にはしていますが、厳しい状況に変わりはありません。 また、アメリカは、ロシア中央銀行の外貨資産を凍結し、日本も追随しました。 ロシアは、2014年のクリミア紛争の教訓で外貨を減らしてきていましたが、現在ロシアの通貨ルーブルは20%以上下落しています。 本来なら、ロシアの中央銀行は下落を止めるために、外貨を売って、ルーブルを買い支えなくてはなりません。しかし、外貨資産の凍結により、買い支えることができません。 ロシアの中央銀行は仕方なく、金利を9.5%から20%に引き上げて買ってもらいやすくしているわけですが、これも厳しい状況です。 他にも、プーチン氏やラブロフ外相の個人資産も凍結しています。 こうした欧米の制裁に対して、プーチン大統領は3月5日、「欧米の対ロ制裁は宣戦布告に等しい」と述べています。 但し、「神のご加護で、まだその事態には至っていない」と付け加え、米欧との戦争状態ではないと主張しました。 こうした経過で頭に浮かぶのが戦前の日本です。ABCD包囲網を敷かれて、原油の輸入ルートを閉ざされ、開戦に踏み切った状況に似ているような気がします。 つまり、今回の米欧の金融制裁、経済制裁がきっかけで、世界大戦に突入する可能性も出てきているわけです。 (2)飛行禁止区域の設定 ウクライナのゼレンスキー大統領はNATOに「ウクライナ上空に飛行禁止区域を設けてほしい」と要望しました。 飛行禁止区域を設けるということは、ロシアの戦闘機がウクライナの領空内に入ってきたら、NATOが撃ち落とすことになります。 これはNATOの参戦をウクライナが要求するのと一緒で、米国を含むNATOはそれはできないと即座に拒否しています。 プーチン大統領も「ウクライナに飛行禁止区域を設けることは、破滅的な結末をもたらす」と牽制しました。 (3)核恫喝 さらに心配なのが、核戦争の危機が高まっていることです。 2月27日、プーチン大統領は核戦力を運用する部隊に「任務遂行のための高度な警戒態勢」に入るように指示を出しました。 これは、ウクライナを支援する米欧に対して、核兵器の使用もあり得ると警告するものです。いわゆる核恫喝です。 そしてロシアの隣国ベラルーシは、「ロシアの核兵器受け入れ」を行うために、憲法を改正しました。 ◆冷戦時代に逆戻り 現在、NATOの核保有国はアメリカとイギリスとフランスで、ドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、トルコの5か国は自国に米国の核兵器を受け入れ、共同運用(核シェアリング)しています。 ベラルーシが核配備することになれば、米国やNATOに対して核配備の増強を促すことになり、核軍縮どころか、お互いが核で抑止するという冷戦時代の方向に逆戻りします。 さらに、これまでNATOに加盟していなかった北欧のフィンランドとスウェーデンでは、NATOに加盟しようとする動きが出てきました。 EUには所属していてもNATOに入っていなかった国もありますが、ロシアのウクライナ侵攻を見て、NATOに加盟していなければ武器を与えられるだけで、実際に部隊を派遣してくれないことがはっきりしたからです。 ロシアの外務省は「もしスウェーデンとフィンランドがNATOに加盟すれば、軍事・政治面で深刻な結果になる」と警告しています。 ◆バイデンの二つの選択肢 ロシアはNATO不拡大を要求していましたが、NATO加盟が加熱して、分断がどんどん進んでしまっています。こうした状況の中、アメリカもやることはあまりありません。 バイデン大統領は、ウクライナ侵攻に対する対応について「選択肢は二つ。ロシアとの戦争に突入し、第3次世界大戦を始めるか、代償を払わせるかだ」と答えています。 しかしバイデン大統領が言う代償とは、前述の経済制裁のことです。 これに対して、ロシアのラブロフ外相はアルジャジーラの取材で「第3次大戦の瀬戸際にあるのか」と質問され、「バイデン氏に聞くしかない。第3次大戦は、核戦争以外にない」と警告しました。 この様に、ロシアと米欧の関係を見ましたが、対立は最高度に高まっています。 (第2回につづく) ウクライナ紛争が日本に飛び火?大炎上「憲法9条で国は守れるのか?」論議【後編】 2022.03.06 https://youtu.be/gGpWqFruBAA 幸福実現党党首 釈量子 ◆日本復興の鍵を握る2つの証言 前編では、現代政治の元凶でもある吉田茂の問題点を指摘してきました。さらに具体的に見て参ります。 1949年に毛沢東の中華人民共和国が建国され、その後、北朝鮮が中国軍と一緒になって韓国に攻め込んできました。これが1950年の「朝鮮戦争」です。 この時、共産主義の脅威を感じたマッカーサーは考えを変えたのです。 1951年5月3日に、アメリカ上院軍事・外交合同委員会でのマッカーサーは、「彼ら(日本)が戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだった」と証言しました。 また、東条英機も「事、ここに至っては自存自衛上開戦止むを得ず」と、真珠湾攻撃に至った当時の状況を東京裁判で証言しています。 生前、渡部昇一氏は、この「マッカーサーの証言」と「東条英機の証言」が広く知られるようになれば、日本人の精神が復興していくに違いないと述べられています。 そして、「戦場で倒れ亡くなった人たちも、彼らの死はけっして無駄ではなかった。日本を守るために戦ってくれたと、もっと誇りに思ったのではないか」と指摘しています。 ◆再軍備より金儲けを選んだ戦後日本 そのマッカーサーが日本に「再軍備」を促した時に、それ否定したのが時の首相、吉田茂です。吉田茂は、「アメリカを番犬として飼っていると思えばいい」と考えました。 この「非武装中立」「われ関せず」の考えが現在まで尾を引いてしまっています。 吉田茂が退陣した後、1960年代に入ると、その薫陶を受けた、池田勇人首相が「所得倍増計画」を打ち出して「高度経済成長」を実現しました。 この成功体験があだとなって、「日本が発展できたのは、吉田路線のおかげだ」と吉田茂は「神話化」されていきました。 こうして「安全保障はアメリカに任せて、日本は金儲けしていればいい」という考えが、日本にしみついていったわけです。 ついには、そうした考えが「吉田ドクトリン」となって、「憲法9条の守護神」となってしまっています。 しかし、軍隊無き国家には外交もなく、政治もありません。 ◆「吉田ドクトリン」の代償 現在のウクライナ問題も、反射的にアメリカに追随しているだけで、独自の判断で外交ができているとは言えません。 また、欧米の先進国が中国のウイグル・ジェノサイドを批判する中、日本は名指しで中国の批判もできません。 1989年の天安門事件のときには、当時の海部俊樹首相が西側諸国の対中包囲網をいち早く破って制裁を解除したことで、中国を太らせてしまいました。 大川隆法総裁は、「吉田ドクトリン」に関して、「この罪には、やはり、『マルクスに次ぐぐらいの悪さ』があるのではないでしょうか」と指摘しています。(大川隆法著『国家繁栄の条件』より) このままだと、経済的利益のみを考えて中国の悪を正すということがバカバカしく、見えてしまいます。 また、国連もあてにならず、中国と戦争になるくらいなら属国になるほうがマシだという意見も出かねません。 これらは「吉田ドクトリン」の毒を国民の大多数が飲まされ続けてきた代償だと言えます。 ◆いまこそ憲法改正を いまウクライナを見て、日本も憲法改正まではできなくても、できることを進めなくてはならないという声も上がっています。 この国を死滅させようとしている「マッカーサー憲法」と、「吉田茂ドクトリン」に基づく、戦後日本の奴隷根性を払拭しなければなりません。 「正義と平和、独立自尊が国際関係の基本」です。 アフガンに続き、ウクライナのバイデン大統領の大失態を見て、「考えることができる人」をつくっていかなければなりません。 神仏の守りたる、この日本の国が、悪魔の支配下にはいることは、断じて許すことはできないのです。 戦後の平和主義の代償というものを考えた時に、今こそ「吉田茂の洗脳」から脱するときではないでしょうか。 ウクライナ紛争が日本に飛び火?大炎上「憲法9条で国は守れるのか?」論議【前編】 2022.03.05 https://youtu.be/gGpWqFruBAA 幸福実現党党首 釈量子 ◆ウクライナ紛争で「憲法9条」が炎上 2月24日、ロシアがウクライナを侵攻し、世界は騒然としています。 特に「米軍はウクライナでの紛争に関与しない。ウクライナでは戦わない」という「バイデン発言」が軍事侵攻を招いてしまったことに批判も集まっています。 ウクライナがそうなら、台湾危機が起きた場合、アメリカは台湾を守ってくれないのではないかという懸念も生まれています。 日本では、このウクライナ情勢がいわゆる「Wake up call」となり、安全保障に関する踏み込んだ議論が高まっています。 たとえば、安倍元首相が「核シェアリング」に言及したり、非核三原則の「核を持ち込ませず」を変えるべきだというような議論がなされています。 一方、共産党の志位委員長はツイッターで、「仮にプーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国に侵略させないための条項が憲法9条なのです」と主張し、これが炎上して、保守系の識者や政治家から反論があがっています。 日本維新の会の松井代表は「志位さん、共産党はこれまで9条で他国から侵略されないと仰っていたのでは?」とツイッターでつぶやきました。 また、自民党の細野豪志氏は「志位委員長のロジックでは他国のための憲法9条になってしまう」と指摘しています。 志位さんは「日本にプーチンのような独裁者が出ても大丈夫だ!」というわけで、「日本が一番危険なんだ。日本さえ牙を抜けば世界は平和だ」という考えが骨の髄まで染み込んでいるからです。 しかし「日本の伝統的な戦後の価値観を引きずった自虐史観に基づいて、日本さえ爪を切っておれば、牙を抜いておけば、世界平和になる」という思想は、戦後の日本の政治そのものに根深くあります。 北朝鮮にいくらミサイルを発射されても「遺憾です」しか言えない政治の根源はどこかを直視しなければ、この問題は解決がつきません。 ◆こんな日本にだれがした では、こんな日本にだれがしたのか。その現代政治の元凶は、はっきりと言ってしまえば、吉田茂首相なのです。 吉田首相は、「吉田学校」と呼ばれるように、池田勇人や佐藤栄作などの人材が輩出され、自民党の保守本流をつくり上げたと言われています。 現在の岸田首相が所属する「宏池会系」も吉田首相からの流れです。しかし、歴史を見てみると、本当に保守と言えるのかその流れを見て参ります。 1945年、先の大戦に負けた日本に、進駐したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、日本の非軍事化と武装解除を進めます。 同時に、日本を弱体化するために、日本の強みの根源である「宗教」を取り上げました。 憲法においても「政教分離」が定められると、「政治と教育から宗教を遠ざけたら日本を弱くできる」と考えました。 そして、「宗教は政治に関わってはいけない」「公立校で宗教教育をしてはいけない」という考え方が、私たちの「常識」として深く根付いてしまいました。 結果、背骨が抜かれた日本は、クラゲのような軟体動物になり、自分で立つこともできず、漂流していきました。 それによって、自分の国を自分で守るということができなくなってしまったのです。 (後編につづく) 毛沢東「一つの中国」要求で裏切らなかった米国、見捨てた日本【後編】 2022.02.18 https://youtu.be/FWRjyoFs5Xk 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆台湾を裏切った日中国交回復 前編では、米中国交正常化にあたり、7年間かけて「台湾関係法」として台湾との関係をつくったことを述べました。 では、日本はどうだったのでしょうか。アメリカと比較してみます。 日本では、田中角栄がニクソン訪中の7か月後の1972年9月に訪中しました。台湾との関係についても、毛沢東からアメリカと同じ要求をされます。 「中国と国交回復は結構です。そのためには条件がある。台湾と断交してください。一つの中国を受け入れてください」と。 アメリカは断固拒否しました。そして7年間かけて「台湾関係法」を考えたわけです。しかし、日本は台湾との国交断絶をあっさりと承知しました。 ですから日中国交回復は1972年です。アメリカはその7年後です。日中国交回復の本質は、日本の台湾に対する裏切りです。 日本は台湾に対する裏切りと同時に、アメリカより先に日本企業が巨大な中国市場への進出を勝ち取りました。 このようにアメリカと日本の対中国の姿勢は全然違っていたのです。 ◆さらに台湾を守る法律をつくったアメリカ それから約40年経って2018年、トランプ政権の時にアメリカはさらに重要な法律をつくりました。 それが「台湾旅行法」で、アメリカと台湾の政府高官が相互に自由に行き来して会談ができる法律です。 その後、実際に台湾とアメリカの政府高官の会談が始まりました。 2020年8月、トランプ政権の時のエイザー厚生長官が、ちょうどパンデミックに対し世界で最も成功した台湾に出向きました。 同年9月には、外交関係やっているのが国務省ですが、一番最高位のクラック米国務次官が台湾を訪問しました。 ここから議会の議員が台湾に行くようになっています。 昨年21年6月、アメリカ上院議員団の訪問を皮切りに3回ぐらい行われていますが、同年11月にはアメリカの下院議員団が台湾を訪れて蔡英文総統との会談をやっています。 そういう流れができると、今度はヨーロッパの国々が台湾に行くようになりました。21年8月には、チェコの議員団が台湾を訪問し、代表が台湾議会で演説をしました。 その後もバルト三国のリトアニアが台湾を応援し、それによって中国から圧力を受けています。 それがきっかけとなって、11月にリトアニアをはじめバルト三国の議員団が台湾に訪問しています。その後にはヨーロッパ議会の議員団が台湾に行っているのです。 このようにアメリカが「台湾旅行法」をつくったら、怒涛のごとくアメリカやヨーロッパの政府、議員が台湾に行っています。 そして、アメリカはもう一つ台湾関係で重要な法律である、「アジア再保証イニシアティブ法」をつくっています。2018年の末にトランプ大統領が署名してできた法律です。 その中身はインド太平洋地域における台湾の重要性を再確認し、台湾への防衛装備品の売却をさらに一層推進すべきだという内容です。 以上をまとめると1979年に「台湾関係法」、2018年には「台湾旅行法」、アジア再保証イニシアティブ法」と、3つの重要な法律をつくって、アメリカは台湾を守ろうとしているわけです。 そんな中で、日本が台湾のために何をしてきたでしょうか。 ◆台湾に対して日本がなすべきこと 日本がやったのは50年前に、日中国交回復で大騒ぎしたわけですが、その一方で台湾を切り捨て何もしてきませんでした。 中国が世界中から批判されているときに、今年は日中国交回復50周年だと言って日本はお祝いをするのでしょうか。 そうではなくて今日本がやるべきことは、遅まきながら日本版「台湾関係法」を日本がつくるべきではないでしょうか。 もちろんこれをつくるとなったら中国は激怒するでしょう。中国大陸に進出している日本企業がボイコット運動を受けたりするかもしれません。 それを恐れて、中国の顔色を伺って台湾を無視し続けるのでしょうか。やっぱりアメリカの動きをあらためて日本が学ばなければならないものがあると思うのです。 幸福実現党としては、日本版「台湾関係法」をまずは国会の中で議論すべきであると提案いたします。 すべてを表示する « Previous 1 … 8 9 10 11 12 … 101 Next »