Home/ 釈 量子 釈 量子 執筆者:釈 量子 幸福実現党党首 カトリック教会の香港教区トップが逮捕?ウイグル化する香港【後編】 2022.05.28 https://youtu.be/FCdIYOD1K5I 幸福実現党党首 釈量子 ◆現代でも起きている「宗教弾圧」 90歳にもなる枢機卿を逮捕するというのはれっきとした「宗教弾圧」ですが、これは中国共産党、習近平主席の方針に沿ったものと言えます。 中国では以前から、中国が任命した司教をバチカンが正式に追認するように求めていました。 中国共産党に忠実な人物が司教になれば、宗教は骨抜きです。専門家は、「バチカンが実質上、宗教信仰を認めない中国当局に妥協した」「悪魔との取引だ」と批判されていました。 中国の南部では、教会は破壊され、十字架はバーナーで焼き切られていますし、信徒の名簿が当局に渡れば逮捕 されます。こうした流れが、香港に及ぼうとしていると言えます。 昨年10月、中国政府の強い意向によって、香港の司教たちカトリックのトップが、中国政府の息のかかったカトリック、中国天主教愛国会から「宗教の中国化」についてレクチャーを受けたと言われています。 さらに、2か月後の12月、習近平主席は全国宗教工作会議で「わが国の『宗教の中国化』の方向を堅持する」とも演説しています。 ◆「宗教の中国化」という思想 この「宗教の中国化」というのは、習近平主席の宗教政策におけるキーワードです。 簡単に言うと、「宗教は中国共産党の考えに従い、その考えの普及に協力せよ」という内容です。 中国は、表向きには憲法で「信教の自由」は保障されています。(「中華人民共和国憲法」第36条) しかし実際は、中国の教会では、中国共産党に許可されていない教えの実践や説教といったことは禁止されています。 それどころか、習近平主席の思想を宣伝することまで要求され、厳しい検閲を受けています。 つまり中国の言う「信教の自由」とは、「習近平を“神”として崇めよ」ということです。これが「宗教の中国化」の本質です。 中国の仏教寺院のトップは「習近平の言葉を写経せよ」と言って指導をしている話も出ています。 そして香港でも、2020年7月の香港国家安全法の施行以来、「信教の自由」が著しく侵害されています。 キリスト教の神父も、中国共産党の取り締まりを恐れて、説教の内容を「自己検閲」しているとも言われています。 そういった厳しい逆風の中でも、中国政府による宗教弾圧に声を上げ続けていたのが、今回逮捕された陳日君(ゼン・ゼキウン)枢機卿でした。 世界から非難の声があがっているウイグル人への弾圧も、イスラム教といった宗教を根絶やしにするためのものです。 香港において、国際社会で目立ち過ぎないようにしつつも、着実に香港を「ウイグル化」しようとしているのが、習近平政権の狙いでしょう。 西側諸国の目から逃れつつ、香港市民を抑え込み、香港の経済的繁栄を手に入れてしまおうという魂胆です。 ◆最後の希望 そのために習近平主席が排除したいのがまさに「宗教」です。全体主義は宗教を恐れます。 宗教はこの世を超えた「あの世」「魂」といった存在を認めているので、この世の命を捨ててでも「自由」を守り、「信仰」を守ろうとする存在が本当に恐いからです。 これに対して、唯物論・無神論の国は、地上の権力者を「現人神」にします。それは「古代の暴君と同じような者が神を名乗れる」ということです。 だからこそ、宗教が最後の希望です。 大川隆法総裁が『メシアの法』で、「全体主義の傾向」として、次のように警告を鳴らしています。 「香港を制圧したら、次は台湾を制圧したくなるのです。間違いなくそうなるのです。そのあとは、尖閣とか沖縄も欲しくなるし、フィリピンの島から本土も取りたくなるし、ベトナムも取りたくなります。そのための布石として、ミャンマーの軍事政権はすでに北京に押さえられていて、布石は着々と打たれています。」 ◆全体主義と戦う幸福実現党 私たちは、「香港の自由を奪い、台湾を狙う中国の暴挙を放置したら、ヒトラーが順に国を取っていったのと同じことが起きる」と危惧しています。 私たち幸福実現党は宗教政党として、全体主義と闘います。 昨年から「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を行って、 5月12日に内閣府を通じて岸田文雄首相に提出してきました。 ■内閣総理大臣宛に「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を提出 https://info.hr-party.jp/2022/12681/ 日本の国会は、中国に対して未だに名指しで批判することもできず、ジェノサイド認定もしておりません。 公明党の強い意向を受けて、踏み込めないという実態があります。 また、自分の国を守ると言っても、憲法9条の根本的な改正もできていない自民党は、憲法の見直しではなく、「加憲」をすることでもって留まっております。 今回の逮捕をはじめ、中国の悪事に対しては、断固、非難の声を上げていくとともに、日本、台湾、アジアの平和を守るために国防の強化をしっかりと訴えていきます。 カトリック教会の香港教区トップが逮捕?ウイグル化する香港【前編】 2022.05.27 https://youtu.be/FCdIYOD1K5I 幸福実現党党首 釈量子 ◆急激に進む、香港の「ウイグル化」 急激に香港の「ウイグル化」が進んでいます。 「ウイグル化」とは、中国が新疆ウイグル自治区と呼ぶ東トルキスタンのウイグル人たちが置かれた悲惨極まりない状況に近づいてきているということです。 ウイグルでは、罪なき人々が「強制収容施設」に収監され、虐殺と搾取によって事実上の植民地、監獄同然となっています。香港はもはやそのような状況になってきています。 5月11日、カトリック教会の香港教区トップの司教をつとめた、陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿ら少なくとも4人が「香港国家安全法」により逮捕されました。 ゼン氏は2002年から2009年の間に香港司教を務め、2006年に枢機卿に任命されました。「雨傘革命」では主導的な役割を果たして民主化運動を応援し、「香港の良心」と呼ばれた方です。 幸福の科学グループの雑誌「ザ・リバティ」の取材にも何度も応じていただき、「中国も民主主義を導入すべき」ということを語っておられました。 ■「香港の信教の自由は風前の灯」 香港の良心と呼ばれる陳日君枢機卿インタビュー 2019.09.29 https://the-liberty.com/article/16317/ ◆「香港の良心を逮捕した男」とは 今回の一連の逮捕は、香港で新しい行政長官が選出された直後というタイミングですが、その新行政長官・李家超(ジョン・リー)氏は、香港警察の元保安局長です。 李氏は2019年からの民主派デモを弾圧したり、中国政府を批判していた蘋果日報(アップル・デイリー)を潰した強硬派として知られています。 この手腕を中国政府に評価されて、香港政府の事実上のナンバー2である政務官に抜擢されていました。 さらに、李氏は保安局時代の2018年、中国・新疆ウイグル自治区の「テロ対策施設」を視察していて、そこでは「大変参考になる」などと発言していたことも報じられています。 この「テロ対策」というのは名ばかりで、そこではウイグル人への大量虐殺、ジェノサイドが行われていることは言うまでもありません。 しかも、李氏はその後、香港と中国の境界近くに「反テロ訓練施設」をつくることを計画しています。 この施設は、拘束された活動家への拷問・強姦などで悪名高い「新屋嶺(しんおくれい、広東語ではサン・ウク・リン)拘留センター」の隣に、東京ドーム4個分もの広さで建設が進んでいます。グーグル・アースの衛星写真からも確認することができます。 市民からは、「強制収容所が建設される」「新屋嶺(しんおくれい)ではなく、新疆嶺(しんきょうれい)だ」と恐れる声が上がっていました。 今回の逮捕は、新行政長官が今後、香港の弾圧をさらに強化していくことを暗示しているといって間違いありません。 ◆相次ぐ海外の批判、そして“慎ましやか”な日本 これに対して海外では批判の声が相次ぎました。 アメリカ国務省のネッド・プライス報道官は5月11日、「香港当局が再び、あらゆる手段で異論を封じ、権利と自由を傷つけていくことを示した」との声明を発表し、香港政府を批判しました。 またイギリスのジェームズ・クリバリー大臣は、議会に対する声明で、「国家安全法による、民主派の逮捕は受け入れられない」「中国および香港当局には、国家安全法への強い反対を表明し続ける」と非難の声を上げています。 一方、バチカン(ローマ教皇庁)はゼン氏の逮捕について、「懸念している。今後の状況に最大の注意を払う」と遠慮がちなコメントを出しています。 これら、欧米の批判に対しては、中国政府の香港への出先機関(である外交部駐香港特派員公署)は「バカな政治劇はやめろ」と反論をしていますが、こういうのを、厚顔無恥というのだろうと思います。 残念なことに、日本の岸田文雄首相は5月4日にローマ教皇フランシスコと会談したばかりですが、 日本政府からは特に非難の声は出ていないようです。 (後編につづく) ウクライナ戦争で進行する史上最悪の食料危機【後編】 2022.05.19 https://youtu.be/usLR-0zspWU 幸福実現党党首 釈量子 ◆世界の「肥料庫」としてのロシア 史上最悪の食料危機は日本にどう影響するのでしょうか。 輸入とうもろこしの1%がロシア産で、輸入のほぼ全量を米国やカナダ、オーストラリア、ブラジルなどからの輸入のため、価格高騰の影響は受けながらも、「食料危機が日本を直撃」という事態には至っていません。 その代わりに、日本を直撃するものが「肥料危機」です。日本は肥料原料のほぼ全量、99%を輸入に依存しています。 ロシアはその肥料の三要素である「窒素、リン酸、カリウム」の全てで重要な役割を担っており、世界の「肥料庫」なのです。 三要素のうち、カリウムの25%をロシアとベラルーシに依存し、リン酸については、日本の輸入の約9割が中国産だと言われています。 現代の農業においては、化学肥料なしでは、産業ベースに乗る収量や品質を維持することが出来ず、絶対的な必需品です。 世界最大の肥料庫であるロシアからの供給が、ウクライナ戦争による物流の混乱と経済制裁の両面から途絶えることになれば、この「肥料危機」が日本はもちろん、世界中の農業に大打撃を与えることになります。 山形県で20ヘクタール以上の規模で米作を行う農業経営者にインタビューしたところ、次のように言っていました。 「肥料危機は次年度以降の農業経営に直撃する。肥料会社に問い合わせたところ『次年度も予約さえ入れれば同量確保は可能だが、価格は倍以上になる』と言われた」 また、「昨秋から、中国のリン酸や尿素などの輸出制限で肥料が高騰しているのに加え、トラクターの動力で使う軽油1600Lの経費など、ただでさえ苦しい。販売価格を大幅に上げるしか、生き延びる道はない」と。 ◆危機感ゼロの日本 米欧追従を貫く日本は、ロシアを敵に回してしまったことで、国防的には、北は北海道、南は沖縄に至るまで、ロシア・中国・北朝鮮といった敵性国から包囲され、いつ攻撃を受けてもおかしくない状況です。 また、資源インフレが起きる中、資源小国・日本の数少ない希望である原発再稼働も一向に進まず、エネルギー安全保障の脆弱さは否めません。 このタイミングで中国による台湾侵攻がもし起これば、日本のシーレーンは途端に封鎖され、エネルギーのみならず、食料の輸入も止まる可能性があるのです。 反面、13億人以上を抱える中国は、世界の穀物在庫(小麦51.1%、トウモロコシ68.8%、コメ59.8%)の半分以上を抱え、過去最高水準にまで、在庫を積み上げています。 要するに、世界は穀物在庫の残りを中国以外の国々で分け合っている図式になります。 中国は、肥料についても「一帯一路」の沿線国から輸入増強を図り、肥料生産プロジェクトも推進しています。 不測の時代に備える中国のしたたかな食料戦略を、危機感ゼロのお花畑・日本も少しは参考にしなくてはならないのではないでしょうか。 食料安全保障の柱を立てるためにも、今こそ「減反政策」を完全に廃止し、「食料増産体制」を確立すべきです。 そして世界最大の「肥料庫」としてのロシアとの関係改善を図ることは、日本の食糧増産にとって、シンプルかつベストの方策でしょう。 軍事防衛の面でも、エネルギー・食料安保の面でも、日本の危機を脱するカギを握る国は、実はロシアであるという現実認識がいま求められています。 岸田首相は、欧米追従一辺倒ですが、国家存続の危機に立たされた日本を守り抜くためには、「ウクライナよりも、ロシアを失った方が日本の打撃は大きい」ことを直視すべきです。リアリスティックな判断が必要です。 ウクライナ戦争で進行する史上最悪の食料危機【前編】 2022.05.18 https://youtu.be/usLR-0zspWU 幸福実現党党首 釈量子 ◆史上最悪の「食料危機」が到来 世界中のメディアがロシアとウクライナにくぎ付けになるなか、水面下でジワジワと食料危機が進行しています。 5月4日、「世界食糧計画(WFP)」(※1)は、突発的な事案で十分な栄養を摂取できずに命や生活を危険にさらす状態を示す「急性飢餓」の人口が、2021年から約4000万人も増加、過去最悪の1億9300万人に上ったことを明らかにしました。 3月末にWFPのビーズリー事務局長は「ウクライナでの戦争は第2次世界大戦以降、目にしたことのないような大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給をもたらそうとしている」とし、「大惨事の上の大惨事」と最大級の警告で表現しています。 なぜなら、今回の戦争が、世界有数の穀倉地帯ウクライナとロシアとの間で行われているからです。 ◆世界の2つの「食料庫」を直撃するウクライナ戦争 FAO(国連食糧農業機構)が毎月発表している、世界の食料価格指数(肉、酪農品、穀物、野菜・油糧、砂糖、2014~2016年平均=100)を見ると、2022年2月には1990年の統計以来の最高値141.1ポイントを記録しています。 更にウクライナ戦争が本格化した3月度は159.7と食料全体で未曽有の高騰を見せています。その中でも上昇が目立ったのが穀物で、170.1とこちらも過去最高値となっています。(※2) 小麦の世界の生産量は、2021年が7億7587万トンです。ロシアとウクライナの合計は、1億1835万トンで、2か国の生産規模は、全体の13.5%にあたります。 また、小麦の輸出量ベースを見ると、ロシアは世界第1位、ウクライナが世界第5位、2か国合計で国際穀物市場に流通する小麦の約25%~30%を占めます。 両国に小麦輸入の3割以上を依存している国がなんと50か国近く(世界196か国中)もあるという驚くべき状況です。 フランスのデータ分析会社(ケイロス)は6日、ウクライナの22年度産の小麦生産量は前年比で35%以上減少する見通しだと発表しています。 トウモロコシについても、ウクライナが世界第4位の輸出国で、世界の約20%を賄っています。 植物油の原料になるヒマワリ油に至っては、ロシア・ウクライナの2か国だけで世界流通の70~80%を占めているのです。 ◆「食料争奪戦」による争いが世界中で起こる? 特にウクライナへの小麦依存度が6割に上る、エジプトやトルコ、イランなど中東・北アフリカの国々では、すでに食料価格の急激な上昇に喘いでいます。 例えば、エジプトなどでは主食であるパンの価格が50%も上昇し、人口1億人の約3割にあたる貧困ライン(1日1.9ドル以下)を下回る人々の生活を直撃しています。 2011年に北アフリカのチュニジアからエジプト、中東全域に広がった「アラブの春」の革命のうねりは、実は、前年度のロシアやウクライナでの小麦の不作によりパン価格が高騰し、庶民の不満が渦巻いたことに端を発しました。 結果的に、複数の政権が転覆、カダフィ政権が倒れたリビアは未だ内戦状態、アサド政権打倒で内戦に突入したシリアも未だに混迷を深めています。 また、ロシアやウクライナに輸入依存していない国々であっても、不作や冷害などがひとたび起きると、それまで輸出に回していたものを、国内向けに確保するという動きになります。 そして、国際市場に出回る量が一気に減少してしまうために、世界的に一気に急騰する傾向があります。 ◆史上最悪の「食料危機」、真犯人は誰か? さて、ロシア・プーチン大統領は、4月5日、閣僚等と行った「農林水産業開発会議」において、食料供給については「ロシアに対して敵対的な政策を堅持する輸出を注意深く監視しなくてはならない」と述べました。 この食料危機において、自国の強みとしての穀物を「戦略物資」として、十二分に活用し、少しでも外交を有利に進めるつもりでいます。 実際に、ロシアは3月中旬に小麦の輸出制限を発表する一方で、ウクライナ産の小麦が手に入らないエジプトに対しては、ロシア産小麦を前年比の6倍近くまで輸出を急増しました。 イラン、トルコ、リビアにおいても前年比の2倍超を輸出しており、ウクライナ産が手に入らず困窮する国々に小麦を売り、結果的には、紛争の拡大を抑止している形になっています。 対してバイデン政権は食料危機に苦しむ国々へ870億円(6億7千ドル)規模の食糧援助を発表してはいます。しかし、今回の戦争の発端は、ロシアを挑発し、ゼレンスキー大統領をあおりに煽ったバイデン大統領の責任を問わねばなりません。 (後編につづく) (※1)世界食糧計画(WFP)53カ国や地域を対象とした食料危機に関する2021年度の調査報告書 https://ja.wfp.org/news/shiliaoweijiniguansurukuroharubaogaoshushiliaobuannojilugengxin (※2) https://www.fao.org/worldfoodsituation/foodpricesindex/en/?msclkid=6b1d3212cea311eca461734688c9448c 緊急経済対策で日本人は奴隷化する?困窮者給付2つの問題点【後編】 2022.05.13 https://youtu.be/pdBf7NYdvDc (4月28日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆困窮者の給付金のもう一つの問題 次に、困窮者給付金は給付の仕方に問題があります。 今回の給付金は、「真に生活に困っている方々への支援」として、いわゆる「プッシュ型」で給付します。 プッシュ型とは、一言で言えば、「押込み型」あるいは「押しつけ型」です。つまり、こちらで手続きしなくても政府が勝手にお金を振り込んでくれる、大変便利な制度です。 これに対して、プル型は「自己申告型」です。お金を受け取るためには、自分で動いて手続きをしなくてはいけません。 申告不要で迅速に手続きができるので、コロナ禍以降、メディアは「プッシュ型」をもてはやしています。 しかし、行政が国民一人ひとりのニーズを把握することは不可能なので、プッシュ型では「真に生活に困っている方々」だけに支援を行うことはできません。 今回の場合で言えば、なぜ低所得で子どもがいる世帯限定なのか、なぜ子ども一人あたり5万円なのかを説明できません。 そうすると、国民同士の不公平感が出てくるので、私にもお金を出せという話になります。 今後、経済の状態が一層悪くなれば、国民全員へのプッシュ型給付という話も出てくるかもしれません。 ◆日本人の自由を守るために しかし、プッシュ型の給付金は、基本的にマイナンバーと結びつき、国民の監視や資産への課税につながっていくため、非常に危険なものです。 政府は表向きにはあまり言いませんが、申請なしに給付を可能にすると言って、マイナンバーを推進すると、行政が国民の銀行の口座番号を把握したり、ゆくゆくは全銀行口座の紐づけなどを通じて所得状況や資産などを一元管理できるようになります。 ちなみに、紙のお金を無くして、全てを電子マネーにしてしまえば、タンス預金もできなくなるので、完璧です。 承認もしないで、判子もつかず、書類も書かず、「年収が幾ら、貯金が幾ら以上の人からは一律五十パーセントの税金を取って、恵まれない一千万世帯に、自動的に振り込む」ということが原理的に可能になります。 タダでお金がもらえることは嬉しいかもしれませんが、その後に待っているのは、地獄です。 こうした恐怖の世界が到来したら、それは今の監視国家の中国や北朝鮮と何ら変わらない国になってしまいます。 幸福実現党としては、こうした事態は何としても防がなくてはいけないと考えています。 やむを得ない事情の方への支援は必要かもしれませんが、政府の監視が前提となるプッシュ型はやめて、原則プル型での支援に限定していくことが、日本人の自由を守るために大切です。 ◆「勤勉の精神」こそ、道を切り拓く力 大川隆法党総裁の『正義の法』で次のように説かれています。 「私は、基本的には、「魚を与えるよりは、『魚の釣り方』を教えるほうが正しい」という考えを持っています。魚を与えても、持っている魚は必ず尽き、手持ちの魚はなくなります。しかし、「魚の釣り方」を教えたら、教えられた側は、一生、魚を釣ることができるのです」 この魚の釣り方という意味で言うと、「勤勉の精神」を身につければ、これは一生を通じた宝となって、道を切り拓く力となります。 教育の現場では、努力が報われることを教えていくことが重要です。そして政府は、減税や規制緩和を通して、「勤勉な努力による、自由とその成果を認める」社会を創っていくべきです。 緊急経済対策で日本人は奴隷化する?困窮者給付2つの問題点【前編】 2022.05.12 https://youtu.be/pdBf7NYdvDc (4月28日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆一時給付金ではなく雇用拡大を 4月26日、政府は物価上昇への緊急対策ですが、「ガソリンなどの原油価格への対策」「生活困窮者への支援」「中小企業への支援」「エネルギー・食料などへの安定供給」の4つの柱を掲げ、6.2兆円の国費を投じることを決めました。 今回は、特に「生活困窮者への支援」に給付金を出すことの是非に焦点を絞ってみたいと思います。 「低所得の子育て世帯へ、子ども一人あたり5万円給付」は、困っている家庭にはありがたいかもしれません。しかし、給付金は一時しのぎにしかなりません。 朝日新聞デジタルが26日の記事で今回の5万円支給に対する、あるシングルマザーの声を紹介しています。 「(給付金は)非常に助かる話です。ただ、それだけでは問題解決にはなりません。目先の5万円より、安定した収入を長く確保できる雇用が必要です」 ◆手厚い補助金をすれば下がる実質賃金 雇用の重要性としては、今回の緊急対策でも「中小企業への支援」を柱としていますが、ただし「賃上げをしたら、税金を安くする、補助金を上げる」という対策です。 安倍政権から行ってきた政府主導の政策でも、なかなか賃金は上昇しませんでした。実際に物価上昇を考慮した実質賃金は長期的には下がっています。 リーマンショックとコロナ不況の2つに共通していることは、不況に対して政府が大量の国費を投じたにもかかわらず、実質賃金は下落しました。 ◆企業の活力を奪う補助金 実質賃金が上がっていくためには、企業が付加価値の高い仕事、つまり、お客さんの役に立つ仕事を増やしていかなければいけません。 しかし、例えば飲食店は面倒なコロナの休業補助金の申請で、1円の富も生まない政府とのやりとりで、経営資源がどんどん浪費されていきます。 しかも、いざ支給されたのは数カ月後で、目の前のお店の危機に全く間に合わなかったという話はたくさんあります。 ひどい場合は、政府に取り入って補助金をたくさんもらったり、自分の企業に有利な規制をするよう政府と癒着していきます。 ◆経済を停滞させる電力自由化 最近の事例では、太陽光発電の事業者が気候変動対策のためと言って、土砂崩れが起きそうな場所でもどんどんソーラーパネルを敷き詰めています。 さらに、固定価格買取制度FITで、高い電気を国民に無理やり買わせ、2020年段階では、日本全体で2.4兆円も負担しており、一人あたり約2万円です。 それだけではなく、電力の自由化と称して、太陽光発電が苦手な安定供給の問題を、大手電力系の送配電部門に押し付ける規制を法制化しました。 つまり、規制や補助金で、政府の権限は大きくなり、利権が生まれてきます。こうなると、国の経済が停滞して、賃金が上がるどころの話ではなくなります。 ◆「働き方改革」の実態は「働かせない改革」 他にも「働き方改革」の規制で、労務管理が大変になり社会保険労務士の仕事は増えたそうです。 しかし「働き方改革」の実態は、国民を「働かせない改革」で、残業などで長く働いてお金を稼ぐ手段を奪ってしまいました。 約340万人の雇用(全体の5.6%に相当)を抱える運送業では、「働き方改革」によって、ドライバー不足がより深刻になり悲鳴も上がっています。 重ねて、コロナ・パンデミックに入ってからは、感染症対策の名目で、過剰な規制が課されています。 ◆いらない仕事の減量を 今、やるべき緊急対策は、無駄な仕事を政府がやるのではなく、いらない仕事を減量していくことで、民間がより付加価値の高い仕事に集中できるようにするためです。 そうすれば、自ずと雇用も増え、賃金も上がっていくでしょう。 ただ現在は円安の状況なので、中国資本が日本を経済面から侵略しないよう、外資の規制はしっかりとやるべきです。利権を温存させる理由に外資規制が使われないように注意しなければいけません。 (後編につづく) 止まらない円安と物価高騰。真犯人はいったい誰なのか? 【後編】 2022.05.08 https://youtu.be/kmKtTK4-gjE (4月21日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆レーガン政権に学ぶインフレを止める方法 1円もかからず、また、増税もすることなく、インフレを止める方法があります。 それが、「減量」です。政府に、無駄な仕事は断固させないことです。そして、無駄な政府の仕事や規制を撤廃していくことです。 実例として、40年前、アメリカのインフレを止めたレーガン政権があります。 当時のアメリカもまさにガソリン代が高すぎ、上限価格が規制されていました。レーガン大統領は就任初日になんと、この規制を撤廃してしまいました。 すると何が起こったのか。政府に統制されることなく自由に儲けられるということで、企業がやる気を出して、石油の開発に励んだ結果、かえって値段が下がりました。 このようにレーガン政権は、やらなくてよい規制を減量することで、企業の生産性を高め、過度なインフレを克服していきました。 これは現在の世界的な悪いインフレの解決に、非常に参考になります。 ◆緑のインフレとは アメリカではバイデン政権のバラマキ以外にもインフレになった理由があります。 CO2排出に規制をかけた結果、コストが上がってしまう、環境規制のシンボルカラーである緑のインフレです。 トランプ政権下で減量したエネルギー関係の規制を復活させてしまい、これが世界的にガソリンや天然ガスが不足している理由のひとつと言われています。 40年前のレーガン政権の取り組みについては、ラッファー教授の『「大きな政府」は国を滅ぼす』に詳しく出ています。 以上、今のアメリカにとってもインフレ解決のカギを握るのが、エネルギー関連の規制です。 ◆エネルギー価格上昇の解決策 日本は、まず「原発を動かさない」という規制を減量して、原発再稼働にアクセルを踏むべきです。 さらに、再生可能エネルギーを高額で買わなければいけない固定価格買取制度FITの規制を完全廃止し、石炭火力発電を縮小する規制を減量すれば、電気代は間違いなく下がります。 ガソリン価格については、選挙前で「ガソリン税ゼロ」とか「バラマキ」を言う政党ばかりですが、「脱炭素」の動きをやめれば、確実に下がります。 石油不足になっている背景には、脱炭素でCO2が悪者になり、原油の開発をしても割が合わないため、世界的に開発が停滞しているからです。 エネルギーの価格上昇を解決するためには、地球温暖化のCO2犯人説は間違いだと訴え、パリ条約を凍結していくことが重要です。 早くロシアとウクライナを停戦させて、ロシアの石炭輸入禁止はいち早く撤回して、石炭確保に動く必要があります。 既存の政治家たちは、お金をさらにばらまいて、脱炭素の名目でエネルギー規制を強め、ロシアとの関係を悪化させています。このままでは、どんどんインフレが進むことは間違いありません。 バラマキでは本当の意味で国民の苦しみを救うことにはならず、長期的には経済をもっと悪化させてしまうのです。 こうした「自民フレーション」「自民・公明インフレ」を止めるためには、無駄なことをしない、メタボな日本を大胆に「減量」させないと死んでしまいます。 幸福実現党は、バラマキ政策に明確に反対を訴えている、日本で唯一の政党です。 やらなくていい政府の仕事や規制を減量し、経済の自由を拡大します。それによって稼げる仕事が増え、国民の「勤勉の精神」を引き出して経済成長を目指そうとしているのです。 参考図書 『減量の経済学』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2709 『「大きな政府」は国を滅ぼす』著者 アーサー・B.ラッファー/ザ・リバティ編集部 訳 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2779 止まらない円安と物価高騰。真犯人はいったい誰なのか? 【前編】 2022.05.07 https://youtu.be/kmKtTK4-gjE (4月21日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆自公、野党のバラマキ思考 現在、ガソリン価格を中心として、記録的な「モノの値上がり」が続いています。モノの値段が上がっても、共に給料も増えていけばいいのですが、そうではありません。 給料が増えず、モノの値段だけが上がっていくため、国民の生活を苦しくします。これを「悪いインフレ」、いわゆる「コストプッシュ型」と言います。 「モノの値上がり」の対策として、4月26日に岸田総理が次のような「総合緊急対策」を発表しました。 事業規模は13兆円で、ガソリンの基準価格を「当面168円に引き下げる」としたうえで、石油元売り会社への補助金の上限を、現在の1リットルあたり25円から35円に引き上げる。 低所得の子育て世帯に対し、子ども1人あたり5万円の給付金をプッシュ型で支給することなどです。 「総合緊急対策」の発表前に公明党は、補正予算を選挙前に組むべきだと主張し、また野党に至っては20兆円規模の緊急経済対策を提言していました。 しかし、モノの値上がり、「インフレ」に対して、バラマキは逆効果になりかねません。 ◆アメリカのインフレの例 アメリカのインフレは、日本より悪く、3月には消費者物価指数が前の年の同じ月と比べて、8.5%上昇しました。これは1981年12月以来、約40年ぶりのことです。 この記録的な値上がりをバイデン政権は「ロシアのプーチンのせいだ」と言い張っています。しかし、インフレはロシアの特殊軍事作戦より前に始まっていました。 (参考)アメリカ合衆国労働省労働統計局 https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf 実際に、バイデン氏肝いりの1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策が両院で可決させ、バラマキを開始すると、インフレ率は跳ね上がっています。 ◆日本でインフレが進む原因 なぜ、バラマキでインフレが進むのでしょうか。バラマキでお金が増えるとお金の価値は下がるので、モノの値段が高くなります。 巷で出回っている1万円札が増えると、その分1万円札の価値は無くなっていきます。このように、単純にお金を配るバラマキでは、インフレは解決できません。それどころか、更に悪化しかねません。 さらに日本の場合、バラマキのもっと大きな弊害は円安です。円安は確実にコストを押し上げます。 日本は石油を海外の輸入に頼っています。石油などエネルギー資源は、電気や物流などなどすべてにかかってくるので、円安になるとそれだけ物価が上がります。 ガソリン価格が1Lで1ドルなら、円が1ドル100円の場合100円で買えますが、1ドル200円になれば、同じ1Lでも200円かかるので、2倍になってしまいます。 ◆円安の原因 政府に1200兆円もの莫大な借金があっても維持できると考えているのは、金利がゼロだからです。 利子率ゼロは、お金を返す政府からすれば得ですが、お金を貸す側の投資家からすれば魅力がありません。だから、投資家は利子率が高い、米国の国債を買いたいと思うわけです。 足元の10年ものの長期国債金利を見てみると、日本はゼロ金利政策で0.2パーセント台で、アメリカは、4月19日段階で2.94%。日本とは10倍以上の開きがあります。 これだけ差があれば、円からドルにお金が流れ込んでいくので円安となります。円安になると、石油の輸入代も高く、ガソリン代が値上がりしインフレとなります。 しかし、アメリカと同じように、日本も金利を上げればよいというわけにはいきません。日本には1200兆円という借金があり、下手に金利を上げると利払いが追い付かなくなって、財政破綻になりかねないからです。 つまり、日銀の黒田総裁は円安を止めようにも「万策尽きた」という状況にあります。バラマキをすればするほど借金は膨らみ、利上げができずさらなる円安を招きます。 その後に待っているのは、さらなる物価高騰、あるいは大増税です。そうなれば結局、生活が苦しい人がもっと増え、さらに悪循環に陥るのです。 しかし、実は1円もかからず、また、増税もすることなく、インフレを止める方法があります。この解決策を後編で述べていきます。 (後編につづく) 終わらないウクライナ戦争 世界大戦勃発の予兆【後編】 2022.05.06 https://youtu.be/jyY-VpZ1OIA 幸福実現党党首 釈量子 ◆戦争が世界に飛び火、核攻撃も 前編では、(1)ロシアとNATOの全面戦争の可能性を指摘しました。 (2)北朝鮮の戦術核による攻撃 戦争がアジアに飛び火する可能性も濃厚です。すでに、ロシアと北朝鮮の動きは連動しています。 北朝鮮は3月24日、長距離弾道ミサイルICBMの発射実験を行い、4月16日に新型誘導兵器の発射実験を行っています。 4月25日には、朝鮮人民革命軍創建90周年の軍事パレードを行い、(核兵器について)「戦争防止という一つの使命だけに縛られない」と発言しています。 その意味するところは、基地を攻撃するなど限定的な「戦術核」を使用するということです。 この発言によって、北朝鮮による核攻撃のハードルが一気に下がりました。 大川隆法総裁は4月26日に、「宇宙存在であるヤイドロンのメッセージ」を公開しています。 「(北朝鮮の」韓国への軍事侵攻が、もう近い。大統領替わる頃に何かやりたいと思っているだろうと思います」と。 5月10日に韓国ユン大統領の就任の代わり目にミサイルを撃つ可能性もあると警告しています。 米国や韓国はこうした北朝鮮の新しい動き、戦術核に対策ができるでしょうか。 (3)ロシアによる北海道侵攻 岸田首相は、ロシアへの経済制裁のみならず、自衛隊機を派遣するなどかなり深入りし、あっという間にロシアを敵対国にしてしまいました。 このままいけば、日本は尖閣防衛に加えて、ロシアによる北海道侵攻に備えなくてはなりません。 オホーツク海の海底には原子力潜水艦があり、もし米国がロシア本土に核攻撃した場合、核ミサイルで報復できます。 ロシアにとっても西からNATOが迫ってきたように、東から日米同盟が迫り、日本がロシアの敵対国になるならばどうなるでしょう。 プーチン氏は、オホーツク海に面した北海道の北側や東側をロシアの安全圏として確保しなくてはならないと考えるはずです。 北方領土の軍事基地からミサイルを撃ち、札幌の空が赤く染まったり、旭川で市街戦が行われるといった未来もありえます。 日露平和条約交渉の際にも、プーチン大統領は、北方四島を返還した場合に、米軍は駐留しないと確約するよう、安倍首相に強く求めました。 しかし、安倍首相は、日本は日米同盟があるので、米軍が駐留しないとはハッキリ言い切ることができなかったために、平和交渉が進みませんでした。 主権国家なら判断できるはずですが、「アメリカにお伺いを立てなければいけない」ということです。 今年の秋には、北海道で日米共同訓練が行われます。これらが全て、ロシアへの敵対行為として捉えられます。 最近、ロシア下院副議長が「北海道は元々ロシア領だった」と発言するなど、ロシアの口先介入はすでに始まっています。 しかし、ロシアが北海道に攻めてきても、米国は本当に日本を守ってくれるかは分かりません。 武器だけ支援し、最低限の関与しかない可能性もあり、ウクライナのように、日本を戦場として、ロシアと日本を戦わせるかもしれません。 それは、朝鮮半島も同様です。 今、バイデン大統領の描いた「民主主義国家VS権威主義国家」の構図によって、世界が分断されています。 北朝鮮やイラン、パキスタン、シリアなど、アメリカ嫌いの国が横に繋がっていっていく動きを、バイデン政権はまったく見えていないと言わざるをえません。 ◆日本が世界に示すべき平和への道 ここで日本は、冷静に国益を考えて行動しなくてはなりません。 日本は、中国やロシア、北朝鮮の三正面作戦には対応できません。国防強化は待ったなしです。 今できることとして、「日本はロシアを敵に回すな」「ウクライナの中立化で、ロシアと停戦を求める方向で努力すべきだ」「ロシアとの友好の道を残せ」、そして「中露離間外交に力を尽くせ」と強く訴えたいと思います。 それが、平和への道であると考えます。 終わらないウクライナ戦争 世界大戦勃発の予兆【前編】 2022.05.05 https://youtu.be/jyY-VpZ1OIA 幸福実現党党首 釈量子 ◆米国の目的は「ロシア弱体化」 前回に続き、「世界大戦勃発の予兆」という緊急性の高いテーマです。 米国は、ウクライナへの軍事支援を強化するために、330億ドル(約4兆3000億円)の追加予算を議会に要求しました。 米国は当初、ロシアとの直接対決を避けるために、防衛用の兵器に限定していましたが、ここにきて、重火器やヘリコプター、攻撃用無人機まで提供しています。 米国製の武器を運用できるよう、ウクライナ兵を訓練していることも明らかにしています。 こうした中で、4月24日、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官がキエフを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しています。 さらに4月25日、オースティン国防長官がポーランドで「ロシアが、ウクライナ侵攻と同等のことができない程度に弱体化することを望む」と発言しました。 国防長官の立場で、「米国の目標はウクライナを守るための戦いだけではなく、長期的にロシアを弱体化させることにある」と明言したのです。 オースティン国防長官の発言を受けて、ロシアのラブロフ外相は「米国が代理戦争を行っている」「ロシアの核使用は可能性がある」と警告しました。 ◆米国が代理戦争を行う理由 米国が代理戦争を行う理由は、直接対決のリスクを減らせることや、戦争に反対する国内世論を納得させるメリットがあるからです。 特に、バイデン大統領にとっては、米国は弱い者を助けているように見せながら、ロシアを弱体化させることができます。 しかもトランプ叩きにつながり、選挙対策としても、実に都合のよい構図だということです。 4月25日にはオースティン国防長官が、「西側諸国から適切な軍備支援が行われたら、ウクライナは戦争に勝利することができる」とも述べています。 ◆バイデン政権を批判する米報道 しかし、米国ではバイデン政権が、ロシアとウクライナの停戦に関心を示さず、さらに軍事的支援を強化をしていることに対する批判が増えてきました。 例えば4月14日、米国の保守系メディア「The American Conservative」に、「ワシントンはウクライナ人が最後の一人になるまでロシアと戦うだろう」という記事が出ました。 記事では、「ロシアとウクライナの外交的解決を妨げているのは米国だ」「欧米は戦争への支援と同じくらい平和に向けた努力を行うべき」などと主張しています。 このバイデン政権による「代理戦争」から、戦線はどうやら「世界大戦」の方向へと拡大しつつあります。 ◆戦争が世界に飛び火、核攻撃も 今後戦争が、飛び火していく可能性をみて参ります。 (1)ロシアとNATOの全面戦争 プーチン大統領は「作戦に干渉するなら、電撃的な対抗措置を取る」と強気の姿勢を崩しておらず、「他国の持っていない兵器がある」とまで語っています。 当然、「戦術核」の攻撃も辞さずということです。 5月9日の対独戦勝記念日に、「特殊軍事作戦」ではなく「戦争宣言」をする可能性が高いと言われています。 そうなれば、今までのような限定的でゆっくりした攻撃ではなく、軍事支援をしている国への攻撃を開始する可能性があります。 例えば、ポーランドは旧ソ連型の戦車200台やドローンを供与するなど、相当な軍事支援も行っています。 また、ウクライナとの国境から約70キロメートルのジェシュフに重要な補給拠点があり、頻繁に着陸する軍の輸送機からトラックに装備を積み替え、ウクライナに向かいます。 ジェシュフ近郊では、米国が派遣した欧州への増派部隊約2000人の大半が駐留しており、人道支援物資もここを経由します。 ロシアはポーランドへの天然ガス供給をすでに停止していますが、欧米の軍事支援が続けば、プーチン大統領はポーランドのジェシュフの補給拠点を攻撃するかもしれません。 もし、ロシアがポーランドに戦術核を落とした場合、NATOが報復攻撃を行えるかどうか。もし報復を行えば、ロシアとNATOの全面戦争になる可能性もあります。 (後編につづく) すべてを表示する « Previous 1 … 7 8 9 10 11 … 25 Next »