Home/ 釈 量子 釈 量子 執筆者:釈 量子 幸福実現党党首 人民元・基軸通貨への挑戦VS日米豪印クアッド+欧州【後編】 2021.04.28 https://youtu.be/bhWYlKosh7M 幸福実現党党首 釈量子 ◆中東で人民元取引拡大。米ドル覇権への挑戦 中国が中東に接近する狙いの二点目は、中東での人民元取引拡大です。これは、米ドル覇権への挑戦を意味します。 3月30日の「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、中国とイランは「中国イラン銀行」も設立すると述べています。 現在、世界の貿易や金融は米ドルを中心に取引されています。 米国の力の源泉は軍事力や経済力に加え、このドルの支配力にあります。 米国が管理するドルの決済システムから、制裁対象の銀行や企業を排除すれば、その後の貿易決済などが出来なくなります。 中国やイランにとって、このドル支配を打ち破ることは大きな目標です。今回の協定により、人民元の取引を増やしていくはずです。 気になるのは、中国の最大の原油輸入国、サウジアラビアの動きです。 4月3日の香港の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが3月、「中国のエネルギー安全保障を確保することは、今後50年間で最大の優先事項である」と報じています。 同紙では、「この発言から、将来的に、中国のサウジアラムコから輸入する原油は、人民元で取引される可能性が高い。そうなれば、他の国に波及する可能性がある」と指摘しています。 少し背景を補足すると、トランプ前大統領は、サウジアラビアとの関係を重視していました。 しかし、バイデン大統領は2月、人権外交の一環として、「ムハンマド皇太子がサウジアラビア記者のカショギ氏殺害を承認していた」という情報機関の報告書を公表し、皇太子の警備隊など76人に制裁を課しました。 結果として、中国とサウジアラビアが接近することになったわけです。 原油取引にドルを使うことは、米国のドル覇権を維持するための重要な要素でした。 サウジアラビアが米ドル決済から人民元決済に移行するようなことがあれば、これまでの枠組みを破壊する、米ドル覇権への挑戦だと言えます。 ◆「日米豪印クアッド+欧州」で一対一路阻止へ 現在、中国が主導し、17カ国が「国連憲章を守るための友好グループ」を立ち上げ、米欧に対抗する勢力として、参加を呼び掛けています。 17カ国とは、中国、北朝鮮、ラオス、カンボジア、イラン、シリア、アルジェリア、パレスチナ、アンゴラ、エリトリア、キューバ、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、セントビンセント・グレナディーン、ロシア、ベラルーシです。 参加国を見ると、北朝鮮やベネズエラなど、独裁色の強い専制国家が名を連ねています。今後、中東の国が参加する可能性があると思います。 これらの動きに対して、バイデン大統領は3月25日の記者会見で、世界の現状は「民主主義勢力と専制主義勢力の戦いだ」「近いうちに、米国で民主主義サミットを実現させたい」と述べました。 バイデン大統領は翌日の26日、イギリスのジョンソン首相との電話で、中国の一帯一路に対抗し、「民主主義国家で同様のイニシアチブを作り上げ、世界中の民主主義陣営を支援する構想」を提案しました。 現在、中国の一対一路に対抗する枠組みとして、日米豪印クワッドがあり、3月12日には、四カ国首脳のテレビ会議が開催されました。 しかし、主題が、新型コロナウイルスのワクチン供給になっていることに物足りなさを感じます。 海上自衛隊の発表によると、3月17日~18日、中東のアデン湾で、護衛艦「ありあけ」が、フランス海軍の原子力空母「シュルル・ド・ゴール」やベルギー海軍のフリゲート艦「レオポルド1世」と共同訓練を行いました。 3月19日~20日には、フランスとベルギーに加え、米海軍の強襲揚陸艦「マキンアイランド」とも共同訓練を行いました。 イギリスも5月に最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃軍を、ドイツも8月にフリゲート艦をインド太平洋に派遣する予定です。 日本にとって、これらの動きは歓迎すべきことですが、東シナ海や南シナ海、中東での中国の覇権拡大を抑え込むためには、もう一段踏み込む必要があります。 具体的には、日本はクワッドを軍事同盟である「アジア版NATO」として格上げすることを提案すべきだと思います。これは、中国が一番嫌がっていることです。 国内の親中派勢力は反対すると思いますが、今後は「クアッド+欧州」で中国の一対一路を阻止しなくてはなりません。 トランプ政権の中には、日米豪印のクアッドを「アジア版NATO」に発展すべきとの声が実際にありました。 今後は、主体的に、日本から声を上げていくべきではないでしょうか。 日本はウイグルや香港の人権弾圧を終わらせるためにも、正義を貫く「武士道の国」として生まれ変わらなくてはなりません。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 人民元・基軸通貨への挑戦VS日米豪印クアッド+欧州【前編】 2021.04.27 https://youtu.be/bhWYlKosh7M 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国王毅外相、中東6カ国訪問 3月24日~30日、中国の王毅外相は中東6カ国(サウジアラビア、トルコ、イラン、アラブ首長国連邦、オマーン、バーレーン)を訪問しました。 その狙いは、中国は経済協力や新型コロナウイルスのワクチンをテコに、中東との関係を強化し、ウイグルや香港の人権問題を巡る米欧の圧力に対抗することです。 3月27日には、中国の王毅外相とイランのザリフ外相が、25年間の「包括的戦略パートナーシップ協定」に署名をしました。 今回の公式発表では、協定の詳細は明らかになっていませんが、昨年夏にリークされた協定内容によると、中国は、原子力や港湾、鉄道などインフラ投資、原油・ガスのエネルギー開発、5G通信の科学技術協力などを行う見返りとして、イランの原油を安価で購入するというものでした。 中国は、約4000億ドル(約40兆円)の巨額投資を行う予定です。イランにとっては、安定した原油の買い手を確保したことになります。 中国外務省の発表によると、王毅外相は署名に先立ってロウハ二師と会談し、「世界がどのように変わろうとも、中国とイランの関係は変わらないだろう」と話しました。 また、外国勢力の介入や理不尽な制裁を非難し、米国のイランに対する経済制裁を牽制しました。 中国はイランと接近し、米欧の民主主義陣営への対抗軸をつくろうとしています。 ◆ペルシャ湾に中国軍駐留か このような動きをする中国は、具体的に何を狙っているのかでしょうか。 一点目は、中東での軍事的影響力拡大、エネルギー資源確保です。 中国は米中対立が激しくなる中、ここ数年、戦略的にイランへの関与を強めてきました。 例えば、2016年、習近平国家主席初となるイラン訪問を行いました。 今回の協定は、習近平氏のイラン訪問以降、水面下でずっと進めてきたものです。 イランの地元メディアによると、今回の協定で、中国はイランからペルシャ湾のキーシュ島を25年間借りて、中国軍の兵士が最大5000人駐留することができるようになります。 これは、ペルシャ湾に中国人民解放軍が駐留するという事態になります。 さらに、中国はホルムズ海峡の外側に位置する戦略的要衝のジャスク港(Jask Port)にインフラ投資し、軍事拠点化する可能性があります。 ジャスク港を押えればホルムズ海峡を押えることができます。 また、イラン以外でも、2015年、アフリカのジブチに中国人民解放軍の海外初の軍事拠点を設けました。 ジブチは「アフリカの角」と呼ばれ、バブ・エル・マンデブ海峡の南端にあり、アデン湾から紅海、スエズ運河へと船が通過する戦略的要衝です。 ジブチは中国に対してGDPの約70%の債務があります。債務の罠で、中国に掠め取られた国の一つです。 中国はすでにスリランカを「債務の罠」にかけ、スリランカのハンバントタ港を実質的に手に入れています。 スリランカ、パキスタン、イラン、ジブチの港をつなげると、中国の「真珠の首飾り」がより強固なものになることがわかります。 これらの動きを見ると、中国が中東やインド洋で軍事的影響力を拡大し、アメリカなどの影響力を排除しようとしていることがわかります。 (後編につづく) デジタル教科書が子供の思考力を奪う?GIGAスクール構想で教育が危ない【後編】 2021.04.18 https://youtu.be/FI22XvltFMM (4月6日収録) 幸福実現党党首 釈量子 前編では、「教育のデジタル化で危惧される3つ視点」の2つまで述べましたが、後編では3つ目の視点からお送り致します。 (3)デジタル教科書と学力 「教育のデジタル化」で危惧される3つ目の視点は、「デジタル教科書」です。 一人一台タブレットが実現すれば、教科書視力の低下もありますが、学習内容の理解度が下がる可能性が指摘されています。 15歳を対象とした国際機関による調査18年では、読解力テストの平均点について、日本は、本を「紙で読む方が多い」と答えた子供が「デジタルで読む方が多い」を大幅に上回っています。(朝日新聞記事)。 デジタルノートの導入も、プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者のデーターによると、パソコンに打ち込むより手書きでノートを取る学生の方が総じて成績が良いことが判明しています。 「手は第二の脳」と言ったのはカントですが「書く」というプロセスは、筆圧や紙との摩擦など感じ、手を動かすなど記憶する上で重要なのだろうと思います。 もっとも塾に通えない子供にとっては、ユーチューブ番組で理解を深めたり、英語ではネイティブの発音をマスターするのにいいという声もあります。 そういう子は中から上の子供が多く、家に帰って勉強しない子供は、「習熟」の面で、置き去りになる可能性もあります。 デジタル教科書は、紙の教科書のような無償給付の対象とはなっておらず、自治体や学校が費用を負担することになります。 民間の調査によれば2025年度のデジタル教科書市場は800億円と推計されていて、今後公的な支援が見込めると期待する向きもあります。 しかし、そうした皮算用の中で、今回の「GIGAスクール構想」はじめデジタル化が進んでしまえば、子供たちの記憶力や思考力を奪い、ひいては「亡国」の政策になる恐れがあると言わざるをえません。 特に、菅政権はデジタルを成長の起爆剤と考え、その方向で人材づくりを考えています。 さらに昨年12月には政府が、小中学生の学習履歴やテストの成績をマイナンバーに紐付けてオンラインで管理すると言い出して批判されました。 政権自体が、まるでロボットのようで、中国のAI全体主義に近づいているような怖さを感じます。 結局、この原因は、現在の教育行政が「唯物論」に基づいているからではないかと思わずにいられません。 特に、2001年文部省と科学技術庁が一つになって「文部科学省」ができてから、「科学によって証明されないものは学問ではない」と思われ始めている傾向が出てきました。 しかし、教育の本質は、「真理」の探究であり、人間として何が正しいことなのか、世界の仕組みや宇宙の法則などを探究していく、そして学問の一番奥にあるものはなにか。未知の奥にはこの大宇宙を創造した神仏の心があるわけです。 昨今の政治家や官僚を見ても、高学歴で優秀な人材が、嘘をつき、保身のために真実を改ざんし隠蔽するような事件が噴出しています。 いくら教育のデジタル化を進めても、自己中の人間ばかり輩出し、戦後共育そのものの失敗を象徴していると思われます。 ではどうするかということです。 ◆一国の興隆は、教育にあり 幸福実現党としては、戦後教育で欠落した「道徳教育・宗教教育」を充実させて、「善悪」の価値観や正義、自助努力の精神、愛や寛容の心などを教えることを重視すべきだと考えています。 仏教の釈尊、イエス・キリスト、孔子やソクラテスといった人類の教師たちの言葉を教え、「人間は等しく神の子である」という真理を学ぶことが、人権の尊厳の根拠を教えることにもなりますし、自己肯定感をはぐくむうえでも重要です。 「二宮尊徳」のような偉人を教えることも、志を立て、自助努力の精神で人生を切り開く力になるはずです。 朝読書や、図書館に司書を置いて充実させたりして、バランスを採る必要もあると思います。 子どもたちの読書時間は、平成18年から少しずつ増えていたのですが、平成28年度は学年が上がるにつれて減少し、今や高校二年生は「ほとんど読まない」と答えています。 一日の携帯スマホの利用時間の長い子供ほど一か月に読む冊数は少なくなる。1日3時間以上使用する子供の5割が「ほとんど読まない」と答えています。 これが何年後かにどういう結果を招くのか、気付いたころには手遅れでしょう。 一国の興隆は、教育の成功に始まり、一国の衰退は、教育の失敗に端を発するものです。 デジタル教科書が子供の思考力を奪う?GIGAスクール構想で教育が危ない【前編】 2021.04.17 https://youtu.be/FI22XvltFMM (4月6日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆「教育のデジタル化」を推進する菅政権 コロナ禍のなか、菅政権は「デジタル化」を推進し、人間の活動は対面からオンラインへと移行する既定路線が進んでいます。 そのような中、予想以上の大きな変化が起きているのが「学校教育」です。 教育のデジタル化は、子供たち、ひいては日本の将来に深刻な影響を及ぼしかねません。 文科省の「GIGAスクール構想」に基づき、小中学生に「一人一台」タブレット端末を配布がほぼ終了し、4月までに通信環境も、全国の小中高の97.9%にあたる3万1538校で整うとのことです。 さらに、「デジタル教科書」導入の動きも進んでいます。 2020年3月の時点では、公立学校全体の7.9%(公立小学校の7.7%、公立中学校の9.2%、公立高校の5.2%)にとどまっています。 「デジタル教科書有識者会議」では、次の小学校用教科書の改訂時期となる2024年の本格導入を求める中間発表をしています。 しかし、こうした教育現場の動きは子供の「学力」を真に上げるのかどうか、警鐘を鳴らす動きも増えてきました。 ◆「教育のデジタル化」で危惧される3つ視点 まず、教育のデジタル化で危惧されている点を3点お伝えします。 (1)脳への影響は? 代表的なものが「スマホ依存」でが、特に、医師や専門家からは、スマホは脳内の伝達物質で依存性と関係があるとされる「ドーパミン」が指摘されています。 たとえば、アルコールやギャンブル、タバコなどの刺激によって、ドーパミンが放出されストレスから逃避できます。 しかし、やがてドーパミンが薄れてくると、更なる刺激を求めてまた、アルコールやギャンブルなどに手を出してしまいます。 スマホやネットゲームもこれと同様のメカニズムから「スマホ依存は薬物依存と同じ」という認識が広がっています。 こうした危機感の中、昨年4月、日本で初めて香川県が「インターネット・ゲーム依存症対策条例」を施行しました。 子供のゲーム利用時間の制限を条例化し、18歳未満のゲーム使用は1日60分(休日は90分)まで。スマホ使用は、中学生以下は午後9時、それ以外は10時までを目安に、子供に守らせる努力義務を親に求めたわけです。 これには、憲法13条の「幸福追求権」を侵害しているとして高校生とその親が訴訟を起こすなど、賛否が分かれました。 施行から1年、香川県が調査結果を発表したところ、平日1時間以上ゲームを利用していると答えた小学生が全体の52%、中学生51%、高校生35%。「4時間以上」も小学生6%、中学生5%、高校生2%です。 また、平日午後9時以降の利用も、小学生は33%、中学生が78%。高校生の86%は同10時以降も利用していることがわかりました。 平日に3時間以上スマホなどを利用する「長時間利用」は17年の調査からそれぞれ2~11ポイント減少。県教委は「条例に一定の効果はあった」としているものの、「小中高生の4~6%に依存傾向がある」とも分析し対策を強化する方向です。 (2)スマホと学力低下 また、スマホが学力を低下させると警鐘を鳴らしている専門家もいます。 仙台市では「標準学力検査および仙台市生活・学習状況調査」を実施し、「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」を立ち上げています。 中心の東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏によると、1日一時間以上、スマホを使うと「平均国語2.3点、数学4.6点、理科3.8点、社会3.8点」下がり、特に数学は「1時間増えるごとに平均5点下がった」といいます。 また仙台市の5~18歳の224名を対象に3年間、脳発達をMRIで計測したところ、ネット習慣の多い子供は、前頭葉や頭頂葉、側頭葉、小脳などかなり広範な領域で大脳皮質の体積があまり増加せず、脳の奥に張り巡らされた神経線維も増加していなかったということで、「脳の発達にブレーキがかかってしまったことになる」と指摘しています。 (後編につづく) ミャンマー軍の市民弾圧、黒幕は中国か?【後編】 2021.03.27 https://youtu.be/dhRCYc6nE38 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国にとって生命線となるミャンマーからのパイプライン 米国防総省が昨年発表した「中国の軍事力に関する年次報告書」によると、中国の原油輸入先のランキングは、1位サウジアラビア、2位ロシア、3位イラク、4位アンゴラに続いて、中東諸国が名を連ね、中国が中東やアフリカの原油に如何に依存しているかということが分かります。 同報告書では、初めて、中国がミャンマーやタイ、シンガポール、インドネシア、パキスタン、スリランカなどのアジアの国々を軍事的な補給拠点として位置付けていると明記している点は注目すべきだと思います。 先ほどの中国がパイプラインの警備強化をミャンマー国軍に求めたという話を振り返っても、中国が背後にいることに反発した一部のデモ隊がパイプラインの攻撃を主張していたので、中国は相当警戒していたのだと考えられます。 3月14日、ミャンマーの中国企業の工場が放火されましたが、「中国黒幕説」を裏付ける証拠が続々と出てきて、ミャンマーの人々の怒りが頂点に達したことが背景にあります。 ◆「中国黒幕説」は中国民主派の仕業? 一方、中国は黒幕説を「荒唐無稽」と切って捨てています。 2月19日、中国の環球時報は「長年に渡り、西側諸国は中国を封じ込めるための戦略的要衝としてミャンマーを利用している」と指摘し、その上で、黒幕説を広めている二つの勢力があると述べています。 一つ目が、香港から英国に亡命した「デモシスト」初代主席ネイサン・ロー氏らの香港民主派で、彼らはフェイスブックやツイッターで中国黒幕説を主張しています。 香港・タイ・台湾・ミャンマーなどアジアの民主活動家が結束を示す、インターネット上の「ミルクティ同盟」にも呼び掛けています。 「ミルクティ同盟」というのは、香港や台湾、東南アジアで広がった若者たちの「反中同盟」のことです。 東南アジアやインドなどお茶を飲む時、よくミルクを入れて飲むのに対し、中国ではお茶にミルクを入れないことから、「東南アジアの人々から反中国連帯の象徴」と見なして言われます。 中国黒幕説を広めているとされる二つ目は、米国などから資金援助を受けているミャンマー国内の民主派団体で、香港の民主化運動と同じく、米国が内政干渉し、ミャンマーの民主化を促しているというわけです。 ◆「米中対立の縮図」としてのミャンマー問題 環球時報は、複数回にわたって「中国黒幕説」を否定する記事を掲載していますが、日米豪印のクアッドの動きが活発化し、ミャンマーの軍事クーデターをきっかけに、「中国包囲網」が強化されることを相当警戒しているように見えます。 このように、ミャンマーの問題を俯瞰しますと「米中対立の縮図」という大きな構図が見えてきます。 まず「全体主義VS民主主義」という価値観の対立軸です。 そして、アジアの地政学上の対立軸として「自由で開かれたインド太平洋戦略VS一帯一路構想」があります。 ◆ミャンマーの人々の間で広がる日本への失望、そして怒り ミャンマーの人々の間では、日本が局面打開のカギを握ると期待されたこともありましたが、現在は失望、怒りに変わっています。 原因は、日本政府が曖昧な態度を取り続けているからです。 米国やシンガポールでは、国のトップが直接ミャンマー軍を非難しているのに対して、菅首相は自分の言葉で非難をしていません。 また、ミャンマーの日本大使館は、ホームページで日本大使が軍と会談したことを報告し、その中で「日本大使が外務大臣と会った」と記載しました。 ミャンマーの人々は「日本政府が軍事政権を認めている」と失望し、それが怒りに転じています。 ミャンマーの人々の期待を裏切った原因は、ひとえに善悪の価値判断が弱いという一言に尽きるでしょう。 中国に対して「自由・民主・信仰」といった価値観ではなく、経済的利益に釣られて、中国の顔色をうかがうという姿勢が出てしまっています。 ◆アジアのリーダーとして日本はミャンマーの民主主義を守り抜くべき 日本は、米国や豪州と同じく、国軍からミャンマーの民主主義を守るという姿勢を明確に示すべきだと思います。 もしミャンマーが中国の傀儡政権になってしまったら、人権無視の全体主義が他のアジア諸国に広がる危険があります。 日本はASEAN諸国の中で、「自由の大国」としてリーダーシップを発揮し、中国発の全体主義がアジアに広がることを止めなくてはならないと思います。 幸福実現党としては、アウンサン・スー・チー氏の釈放を求めて声明を発表し、菅首相宛てに、アウンサン・スー・チー氏の解放を求めるための要望書を3月23日に提出して参りました。 今後とも、同じ仏教国ミャンマーとの精神的なつながりを大切にしつつ、ミャンマーの自由と民主主義を守るための活動を行ってまいります。 ミャンマー軍の市民弾圧、黒幕は中国か?【前編】 2021.03.26 https://youtu.be/dhRCYc6nE38 幸福実現党党首 釈量子 ◆ミャンマー政変の黒幕は中国か? 2月1日にミャンマーでは国軍による軍事クーデターが起き、今も流血が止まりませんが、今回は背後にある中国の動きなどを追ってみます。 ミャンマー民主化のシンボルであるアウンサン・スー・チー氏は、現在も拘束され監禁状態にあります。 また、ミャンマーの民主主義を守るために、数多くの市民や僧侶が抗議デモに参加していますが、国軍の銃撃で、3月21日時点で250人が死亡したとされています。 一般市民に銃口を向ける弾圧の様子は、1989年に起きた中国の天安門事件を思い起こさせますが、その中国は、近年ミャンマーとのつながりを重視してきました。 ◆中国とミャンマーの蜜月関係 2020年1月、習近平国家主席は19年ぶりにミャンマーを訪問し、ミャンマーのインフラやエネルギープロジェクトを推進する「中国ミャンマー経済回廊」に関する合意文書にサインしました。 そして2021年1月11日~12日には、王毅外相がミャンマーを訪問し、アウンサン・スー・チー国家顧問と面談した後、今回のクーデターを起こしたミン・アウン・フライン総司令官とも面談しています。そして一か月足らずで、今回のクーデターです。 クーデターに関して、シンガポールのリー・シェンロン首相が「容認できず、破滅的行為だ」と述べ、ミャンマーの民主化後退を非難し、インドネシアの外相は「政治的拘束者の解放」を要求したにも関わらず、中国は、国軍に対する非難を一切行いませんでした。 中国国営の新華社通信は、軍部のクーデターを「大規模内閣改造」とソフトな表現に言い換えました。 その翌日、中国とロシアは、国連安全保障理事会によるクーデターに対する非難決議を妨害しました。現在まで国連の非難決議は行われておらず、国連の積極介入を阻んでいます。 これらの動きを見て、「中国黒幕説」が広がっているわけですが、ここにきて、それを裏付けるような事実が続々と明らかになっています。 ◆中国黒幕説を裏付ける決定的な証拠!? オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)によると、2月下旬、中国雲南省の昆明(こんめい)からミャンマーのヤンゴンに向け、未登録の航空機が何度も飛んでいたことが明らかになっています。 1週間以上の期間に渡って、1晩に5便の運航があったとのことです。 それらの航空機は一般の民間企業が借りたことになっていましたが、驚くほど整然と運行されていたようです。 この件について、中国は「水産物の定期運航便」だと主張していますが、クーデター後、事実上全ての外国航空機のヤンゴン空港着陸が禁止された中で、中国の航空機だけ着陸したこともあり、ミャンマー市民の間で疑惑は広がりました。 ◆中国からミャンマーに何が運ばれたのか? ASPIの分析では、衛星写真や空港作業員、ミャンマー市民の話を総合すると、2つの可能性があると指摘しています。 1つ目は、中国がビルマ軍のデモ弾圧をバックアップするために、IT技術者を派遣している、というものです。 中国共産党は、インターネット上の「検閲」に関して“悪名高い”というか、非常に長けているわけですが、そのノウハウをミャンマーで活用しているのではないかということです。 2つ目は、中国がミャンマー軍の弾圧に使用する武器を供給している、というものです。 中国は、アジアトップの武器輸出国になっていますが、主な輸出先としては「一帯一路」の国々が挙げられ、ミャンマーは主要な輸出先になっています。 そして、中国の昆明市には、通信・電磁波・信号等を扱う諜報(シギント)部隊や、サイバー部隊、更には人民解放軍のロケット軍の基地があるということで、武器を大量に貯蔵し、補給設備が整っていると言われています。 ◆中国から見たシーレーンリスク 産経新聞(3月13日付)によると、2月下旬に行われたミャンマー国軍と中国との「非公式オンライン会議」の内容が流出しました。 会議の中で、中国側は、雲南省とミャンマー西部チャウピューを結ぶ天然ガスや原油のパイプラインの戦略的重要性を強調し、警備の強化を求めたことが明らかになったようです。 中国は中東から原油を輸入するためには、米国が支配権を握るマラッカ海峡を通らなくてはなりません。 中国の原油輸入の約8割がマラッカ海峡を通っており、この「マラッカ・ジレンマ」を回避するために、中国は陸路で中東から原油を調達できるように、ミャンマー西部のチャウピューから昆明に通じるパイプラインを建設しました。 ミャンマー以外にも、ロシアや中央アジアからもパイプラインを敷設して、マラッカ海峡を通らない輸入ルートを戦略的に開拓しています。 (つづく) 地方議会活性化の旗手、女性議員80%の秘密 2021.03.11 https://youtu.be/52yjz-gIVx8 幸福実現党党首 釈量子 ◆幸福実現党の公認地方議員は約8割が女性 いま男女平等の視点から様々な問題が提起されていますが、今回は政治分野における女性の活躍について考えてみます。 現在、幸福実現党には全国の地方自治体で42人の公認議員がおりますが、約8割(78.6%)が女性で構成されています。 この要因としては「男女共に神に創られた存在であり、それぞれの魂の尊厳を認めている」という、宗教政党ならではの信条が根底にあり、女性が活躍しやすいという面があるでしょう。 そんな我々から見ると、確かに日本の政治は女性の強みを活かしきれてはいません。 ◆世界でも極めて低い日本の女性議員の割合 現在、国政における女性議員の割合は衆議院で9.9%、参議院で22.9%となり、衆議院をベースに比較すると、世界で166位(2020年8月時点)となり、G20諸国のなかでは最下位になります。 また、都道府県含む全国1788自治体において、女性の首長は36人で僅か2%、都道府県議会の女性議員の割合は11.4%、市区町村議会は14.6%となります。 以上のように、議員の女性比率が低い原因として、「女性の政治進出」に対する偏見があると言えるでしょう。 内閣府の男女共同参画局によれば、市区町村議会で、女性議員が「0%~10%未満」の議会が13県もあり、全国には女性議員がゼロの自治体も数多くあります。 ◆「強制的に女性議員比率を高める」が世界の潮流 女性議員の比率を増やす施策を、法律によって強制的に進めようという流れもあります。 例えば、議席や候補者の男女比率をあらかじめ定める「クォーター制」と呼ばれるもので、法律によって規制されたり、政党が自主的に、党則として導入していたり、現在130の国で採用されています。 アジアでは、台湾の女性比率が最も高いのですが、憲法で「国政選挙における比例代表選挙で獲得した議席の内、女性の占める割合を50%以下にしてはならない」となっており、地方政府法でも「当選者4人のうち1人は女性」という条文もあります。 また、フランスでは2007年に「パリテ法(フランス語で同数、平等の意味)」が施行されましたが、これは各政党に男女50%ずつの候補者擁立を義務付けるものです。 同法に倣い、日本は2018年5月に「候補者男女均等法」を施行しましたが、罰則規定はなく、努力義務のみを定めたものです。 ◆男女格差を無くすのではなく、男女が強みを生かし合う時代を このような女性に一定の議席数や立候補数を割り当て、義務付けるといった施策は、逆に男性への差別となってしまうため、「機会の平等」「チャンスの平等」という原則は崩さない方がいいと考えます。 また、この問題は、男女の違いをなくそうとする「ジェンダーフリー」と共に語られることもありますが、男女の違いが厳然と存在し、それぞれの強みがある以上、違和感を覚えざるを得ません。 男女の違いを失わせることで、結婚して家庭を作り、支えあうことの大切さや精神的な価値を否定するような考え方には反対です。 かつてソ連でレーニンが「家族解体法」を作りましたが、家庭を破壊するような思想は、神仏にも受け入れられないはずです。 男女が強みを生かし、尊重し補完しあって、付加価値を生んでいけるような、新しい時代を開いていきたいと考えています。 ◆政治分野で高まる女性への期待感 実際、政治分野での女性に対する期待は高く、育児や子育て、介護を担う女性の声を代弁する存在は必要です。 また、地域のしがらみに関係なく、善悪を分かち、本質的なところでスパッと判断できるのも女性の特徴でしょう。 香川県東かがわ市・宮脇みちこ市議(幸福実現党)は、小学校跡地を中国のエリート校に無償で貸し出すという計画の静かな進行に不安を感じていた住民の声を受け、議会で敢然と異を唱えました。 地域のしがらみ等でハッキリ反対意見を言えない議員が多い中、反対の論陣を張り、中国の侵略を食い止めました。 こうした女性議員の勇気ある提言によって、地方政治を動かしている事例が、幸福実現党では全国各地から報じられています。 ◆女性が議員活動を継続できる環境づくりこそ不可欠 また、女性にとっては強制的に同数にするような施策より、出産や子育てによって議員活動をあきらめなくてもよい環境づくりの方が有効だと考えます。 この度、東京オリンピック組織委員会会長に就任された橋本聖子氏は、参議員1期目に、妊娠・出産をされましたが、これがきっかけとなり、出産で本会議欠席を認める議員規則が制定され、国会議員の産休制度につながりました。 地方議会では整備が行き届いていない面もありましたが、今年に入り、議会運営についてのルールのひな型となる「標準会議規則」を改正する動きに伴い、地方議会での産休制度等も整備されていくことが見込まれています。 議員となれば「公人」としての立場と重い責任があるため、長期の欠席が望ましくないのは当然ですが、出産や子育ての経験は、地方政治を考える上で大きなプラスとなるはずです。 幸福実現党としては、女性がのびのびと活躍できるような社会をつくるべく、ささやかながらお役に立って参りたいと思います。 中台戦争の発火点!中国の台湾侵略は東沙諸島から始まる。【後編】 2021.03.05 https://youtu.be/F5fNmPxuGfc 幸福実現党党首 釈量子 ◆親中姿勢が表れつつあるバイデン政権 米バイデン政権は「中国を、米国の強い競争相手である」と見ており、表向きは前トランプ政権の台湾政策を継承しているように見えますが、最近、親中姿勢が現れつつあります。 例えば、米国の大学が中国共産党の宣伝機関である「孔子学院」と接触した場合、前政権では米国の公的機関に報告する義務を課していましたが、バイデン政権はこれを撤回しています。 また、1月26日、中国発の新型コロナ感染拡大により発生している「アジア系米国人への差別」を無くすために、「中国ウイルス」「武漢ウイルス」という呼称を禁止し、今後政府関連文書で使用されないことになりました。 しかし、スペイン風邪など、感染症の発生地名で呼ぶことは通例であり、「コロナウイルス発生源が中国だった」ことの隠蔽に、手を貸す形になってしまっています。 更に2月16日、CNN主催のタウンミーティングが生放送で行われましたが、バイデン大統領は習近平氏との電話会談の中で「文化的に各国とその指導者が従うそれぞれ異なる規範がある」「ウイグルやチベットのことは言わない」と、中国のプロパガンダに同調するように話したと明らかにし、視聴者を驚かせました。 ◆オバマ政権の路線継承によって大惨事が起きるか? バイデン政権で対中政策を担うキーパーソンとして、インド太平洋調整官のカート・キャンベル氏がおります。 2009年から2013年にかけて、オバマ政権でバイデン副大統領と共に国務次官補として、欧州からアジアに外交政策の比重を移したアジア回帰政策を実行しました。 オースティン米国防長官は、中東で米軍を率いた経験はあるものの、アジアのことはよく分からないと言われ、実質的には、カート・キャンベル氏がアジア政策を決めることになるでしょう。 しかし、オバマ政権時も「アジア回帰政策で中国への抑止力が高まるのでは」と期待されたものの、オバマ政権最後の2016年には、中国が南シナ海で人工島を次々と軍事拠点化することに対し、何も対抗措置を取らなかった経緯もあります。 バイデン政権を「第3次(大惨事)オバマ政権」と揶揄する向きもありますが、人権外交が実行力を伴わず、再び、掛け声だけに終わらないかを注視する必要はあるでしょう。 ◆決して消えない米国における台湾防衛の灯 こうした台湾の厳しい状況から、2月18日、米議会の超党派は「台湾侵略防止法案(Taiwan Invasion Prevention Act)」を提出しました。 具体的には「台湾が武力攻撃を受けた場合に、大統領に軍事力行使の権限を与えること」「米台と他の同盟国との共同軍事演習」「台湾における米大統領もしくは国務長官と蔡英文総統の会談」「蔡英文総統の米国議会での演説」とかなり踏み込んだ内容となっています。 また、米シンクタンク「プロジェクト2049」は「バイデン大統領への覚書き(Memorandum to The Next President of the United States)」の中で、台湾防衛の重要性を訴えています。 現在、台湾関係法の枠組みで、米国は台湾を防衛するための武器を売却していますが、台湾は世界で最も危険な発火点のため、それでは不十分だと指摘し、「国防総省は陸海空、宇宙やサイバーなどの分野で、米国の安全保障の枠組みに台湾を組み込むこと」「米空母の台湾寄港や軍高官の交流」「米軍の台湾駐留」など、こちらも踏み込んだ提言をしています。 トランプ政権関係者以外にも、自由や民主主義といった価値観を共有する実質上の同盟国として、台湾を扱うべきだと考えている勢力があることが分かります。 ◆台湾の国家承認は世界史を変える分岐点 幸福実現党は、「今日の香港は明日の台湾、明後日の日本」と考えています。 自民党内にも一部、台湾との議員交流を進めようとする動きもありますが、現政権の中枢は親中派が中心となるので、ガス抜き程度の扱いにならないか心配です。 本年、太平洋にて米軍主導の大規模演習2021が予定されていますが、こうした機会を最大限に利用し、安全保障面で日米台の連携を強める意義は大きいでしょう。 日台交流基本法のような、国家間の関係を定める法制定も必要ですし、民間同士の交流を政府主導で進めるべきです。 2000年2月、台湾の半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)が、日本のつくばに研究開発を目的とした子会社設立を発表しましたが、投資額は最大186億円に上り、非常に良い事例でしょう。 日本は、自国の国益とアジアの自由と平和を鑑み、1972年の日中共同声明以降の歴史を見直すべきです。 米議会が中国をジェノサイド認定し、コロナを全世界に拡散させた中国共産党の悪を小さく見てはいけません。 日本が独自に台湾を正式に国として承認する方向を打ち出せば、地球的正義に筋を通すことができ、世界の方向性が決まってきます。世界史を変える分岐点になると思います。 「台湾を見捨てない」ということで、幸福実現党としても、党地方議員団と台北市の議員との交流(※)もさせて頂いておりますが、今後もこうした「日台の絆」を深めるべく、努力して参ります。 (※) 幸福実現党地方議員団が台湾を訪問、台北市議会議員らと交流 https://info.hr-party.jp/2019/10304/ ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 中台戦争の発火点!中国の台湾侵略は東沙諸島から始まる。【前編】 2021.03.04 https://youtu.be/F5fNmPxuGfc 幸福実現党党首 釈量子 ◆バイデン政権に対する4つの要求 2月22日、中国の王毅外相は、中国外交部が毎年実施している「藍庁論壇(ランティンフォーラム)」の開幕式で講演を行いました。 今年のテーマは「対話協力、相違点の管理・コントロール 中米関係の正しい軌道への回帰を推進」でしたが、ここで王毅外相は、習近平政権による「バイデン政権に対する4つの要求」を発表しています。 (1)台湾、香港、ウイグル、チベットへの支援を止めること。 (2)米中対話を再開すること。 (3)中国製品への関税や中国企業への制裁を止めること。 (4)孔子学院のような中国の組織や報道機関への規制を解除すること。 これらは全てトランプ政権が行ってきたことで、中国にとって本当に嫌だったことがよく分かりますが、今はバイデン政権の対中姿勢を試している状況でしょう。 ◆「台湾統一」は習近平の悲願 中でも、中国は4つの要求の筆頭に「台湾」を挙げています。 2022年10月に3選目を目指す習近平国家主席にとって、何としても手に入れたい政治的遺産が「台湾統一」だからです。 今年に入り、中国軍機が台湾の防空識別圏に入り、台湾も戦闘機を緊急発進(スクランブル)させるという事態が続いています。 1月23日、米空母「セオドア・ルーズベルト」がバシー海峡を通過しましたが、中国軍機は「セオドア・ルーズベルト」をターゲットにした軍事演習を行っていた模様で、台湾とバイデンへの試しが始まっています。 ◆急速に高まる「中台戦争」の可能性 中国による侵略行為急増について、オーストラリア戦略問題研究所(ASPI)は「中台戦争の危険性が急速に高まっている」と分析、軍事衝突のシナリオを予測しています。 中国が台湾本土侵略を強行する際、「接近拒否・領域拒否戦略(A2/AD)」によって、「いち早く既成事実を作り、米国が台湾を助けるには代償が大き過ぎると思わせるだろう」と指摘しています。 また、より現実的な選択肢として、「台湾領有の沖合の島を占領する可能性」を指摘し、具体的に「東沙諸島」を挙げています。 ASPIは「バイデン政権は米中対立が高まっても、大きな軍事衝突を引き起こすようなリスクを取らない」と中国が見ており、「限定作戦の東沙諸島占領ならば、米軍は反応しない」と読んでいるからです。 ◆中国の戦略的要衝にあたる東沙諸島 東沙諸島は台湾の高雄市から約460キロ、中国広東省から約260キロに位置し、中国大陸からの方が近くなっています。 そして、東沙諸島は南シナ海の入口で、中国海軍の基地がある海南島からバシー海峡を経て、太平洋へ向かうルート上にあるため、まさに中国軍が太平洋に進出する際の戦略的要衝にあたります。 海南島は、中国初の国産空母「山東」が配備され、また地下には中国海軍の潜水艦基地があり、原子力潜水艦が出入りする様子が衛星画像で確認されています。 中国が東沙諸島の上陸作戦を強行することは、台湾本土上陸作戦の予行演習という意味合いと共に、台湾統一への意思を見せつけることになります。 2020年5月、東沙諸島奪取を念頭においた上陸演習を8月に海南島で行う計画があると報道されましたが、9月10日、台湾国防部が大規模な空軍と海軍の訓練が東沙諸島と台湾の間で行われたことに抗議していることから、実際に行われたと見てよいでしょう。 また、台湾国防部は、2月19日・20日の2日間、中国軍機による東沙諸島周辺での演習実施を受け、緊急発進(スクランブル)したことを明らかにしています。 ◆中国から狙われる台湾領有の島々 前述のASPIは「もし米国が中国の侵略的行為を抑え込むことに失敗したら、東沙諸島の次に、金門島や馬祖列島(ばそれっとう)を狙ってくるだろう」とも指摘しています。 金門島は中国大陸からわずか2キロに位置し、1958年からの「金門砲戦」では中国から47万発もの砲弾が撃ち込まれています。 2018年からは、中国本土から水の補給が始まっており、ライフラインを中国に依存している状況です。 2020年3月、金門島周辺で違法漁業の取り締まりをしていた台湾の巡視船に、中国漁船が体当たりし、破損させています。 馬祖列島は、台湾からは211キロ、中国本土から24キロと本土により近接し、2020年10月から12月にかけて、馬祖列島周辺で、中国の約200隻の大船団が出現し、海底から砂を採取する作業を行ったと言われています。 このように、尖閣諸島周辺や南シナ海でも民間船を送り込んでいるのと同じく、台湾領海でも圧力を強化しています。 (つづく) ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 最終判断が迫る東京五輪、北京五輪で踏み絵を迫る覇権国家中国の思惑【後編】 2021.02.21 https://youtu.be/RAT3hERDzoo 幸福実現党党首 釈量子 ◆国際政治に翻弄された近代五輪の歴史 日本では、1964年東京五輪のイメージもあり、人類共通の祭典として、無条件で善なるもので、ボイコットは過激なことと思われがちです。 しかし、近代五輪の歴史を振り返ってみても、国際政治においては大きな問題になってきました。 特に、全体主義的な傾向を持つ国が、五輪を開催することによって、それを自国の国威発揚、およびイデオロギーの対外的発信の目的で使われるケースが散見されます。 象徴的な事例としては、1936年にナチス・ドイツ統治下で開催されたベルリン五輪において、アーリア民族の優越性とヒトラーの権力を世界中に見せつける機会として、最大限に利用されたことです。 また、1980年のモスクワ五輪は共産主義国で開催された初めての五輪となりましたが、1979年12月、ソ連がアフガニスタンへ侵攻すると、民主党カーター政権の米国がボイコットを表明し、日本や西ドイツもこれに続きました。 イデオロギーの大きな対立が起きている状況下での五輪大会は、各国にとって参加の可否は「その国の政治体制や行動を認めるかどうか」という「踏み絵」にもなるわけです。 ◆習体制3期目の威信をかけた一大プロジェクト・北京五輪 2008年の北京五輪は、経済成長著しい中国が「世界の大国」として認められる大きな契機となりましたが、次の北京五輪は、中国にとって「国威発揚」のための絶好の機会です。 また、2022年10月から3期目が始まる習近平国家主席にとって、覇権国家の威信をかけた一大プロジェクトとなるのは間違いありません。 人々の健康などは考慮されず、権力者の「面子」がすべてに優先されるのが全体主義国家です。 公式に発表されている中国のコロナ感染者数は、明らかに虚偽であると各国の識者からも指摘されていますが、そうした虚偽情報を根拠にしつつ、感染症対策の徹底や、外国人へのワクチン接種やPCR検査を義務付けるなどして、完全な形で北京五輪を開催するつもりでしょう。 2021年2月、WHOが武漢で現地調査を行いましたが、残念なことに武漢ウィルス研究所からの流出説を否定し、輸入した冷凍食品を発生源とする説は引き続き調査するなど、中国に丸め込まれた「茶番劇」に世界中が失望させられました。 ◆北京五輪から透けて見える中国の野望に対し、日本はどうすべきか? 習近平政権は「コロナとの戦いに勝利する」と宣言していますが、「人類がコロナに打ち克った証」として、北京での五輪開催が行われる可能性もあります。 コロナウィルスを完全に抑え込んだ中国の周到さ、完璧な大会準備等を世界中に示し、放映権を握る欧米メディアは予定通りの五輪開催に歓喜し、世界の国々が北京に集まる・・・というシナリオになりかねません。 ウイグルや香港へのおぞましい人権弾圧、台湾や日本の尖閣沖での領海侵犯も止まりません。 北京五輪終了後、米国の中間選挙、また次期米大統領選挙を見据え、五輪を成功させた三期目の習近平政権が軍事行動を拡大させていくことを念頭に置くべきです。 米バイデン政権が「北京五輪へのボイコット」を呼びかける可能性は極めて低いでしょうが、日本はアジアのリーダーとしての自覚が必要な時期になっています。 ◆国際協力という大義名分によって、国益の最大化を図る中国の欺瞞 近代五輪は「スポーツを通じた平和な世界実現への寄与」を目的にしていますが、こうした「国際協力」の大義名分のもと、国際機関を取り込み、国際的な枠組みを活用しながら、国益を最大化していくのが中国のやり方です。 そして、左派リベラルのマスコミはこうした中国の掲げる大義名分を批判出来ず、見事に騙されて続けてきました。 もし、北京五輪が「人類がコロナに打ち克った証」として開催され、世界各国が喜んで参加するようなことがあれば、新型コロナウィルスの発生源は、中国武漢の生物兵器実験室であるという疑惑について「中国の責任を問わない」ということを国際社会が認めたことを意味します。 ◆五輪の限界、求められる世界的正義の視点 五輪会場として、中国ほど「フェアプレーの精神」に反した会場はありません。 本来「平和の祭典」であるものが、全体主義国家の独裁者のプロパガンダと、権力強化のために利用されている。 これは、近代五輪精神の死滅であり、西洋型国際協調の理念が、中国の共産主義の下に屈してしまったことを意味します。 東京五輪も北京五輪も、「五輪自体の限界」を露呈している現状について、「世界的正義」の観点から、五輪開催について我々一人ひとりが考えるべき時が来ていると思います。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 すべてを表示する « Previous 1 … 15 16 17 18 19 … 25 Next »