Home/ 釈 量子 釈 量子 執筆者:釈 量子 幸福実現党党首 【Society5.0】国が進めるムーンショット事業は本当に大丈夫!? 2022.03.17 https://youtu.be/52C0H56uKgo 幸福実現党党首 釈量子 ◆「Society 5.0」とは 今回は、政府が進める科学技術政策「Society 5.0」について考えます。 「Society 5.0」は、2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で、我が国が目指すべき未来社会の姿として、初めて提唱されました。 人類社会は「狩猟社会」(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と発展を遂げてきました。 そして、5番目の未来社会像として、政府が掲げたのが「Society 5.0」です。 内閣府のホームページでは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義しています。 Society 5.0の一環として国が進める「ムーンショット」事業があります。 ムーンショット事業には9つあり1番目が、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現する」、というものです。 ムーンショット目標1 https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html ◆ムーンショット事業の危険性 具体事例として挙げられているのが「アバター」です。「アバター」とは、自分の分身のことで、サンスクリット語のアバターラ「化身」の意味から来ています。 「ムーンショット事業」では、ロボット技術などを使って、リアルな三次元空間で、一人ひとりが好きなアバターを何台も操作できる社会を目指しています。 実際に、脳に直接、プラグや電極を差し込んだり、チップを埋め込んだりして操作する方法が、世界各国で研究されています。 中国では、すでにハトの脳に微小電極をインプラントして動きをコントロールしたり、電極を埋め込まれた実験用ラットが、直接人間の脳から信号を受け複雑な迷路から抜け出る実験に成功したと言われています。 また、イーロン・マスク氏が立ち上げたNeuralink(ニューラリンク)は、2021年4月、サルがコントローラーを使わず思考だけでピンポンゲームをプレイする映像を公開しました。 ◆日本の「ムーンショット事業」 では日本では、何を目指すかというと次のような技術です。 (1)自分の精神状態をスマホで把握できるようになる スマホで見られるということは、ほかの人も見られるということで、プライバシーの問題になりかねません。 (2)自分の過去の記憶からの解放される VR空間で過去のトラウマの事件をやり直し克服するというものです。 (3)自分の「やる気」のコントロール 脳を直接、電気で刺激し、うつ状態を和らげることを目指しているようですが、これも、人の心を操作できる可能性を否定できません。 今でさえ、サイバー攻撃が大変だと言われているのですから、アバターが不可欠になった社会の被害はもっと深刻になるでしょう。 前述したトラウマ修正プログラムは、社会からの抹殺もボタン一つ、人々の価値観を自在に操ることもできるようになるかもしれません。 そうしたインフラを管理するような企業や国家は、GAFAの比ではない権力が集中することになります。記憶の改ざんや精神の操作もできるなら、「洗脳」は簡単です。 ◆絶対に譲れない「人間の尊厳」 しかし、「絶対に譲れない一線」となるのが「人間の尊厳」です。人間の尊厳の根拠は、神が人間を創られたということです。その中心が、人の心であり、心こそが人間の「最後の砦」です。 唯物論に陥ってテクノロジーが暴走するとどうなるか。それが中国共産党政権のAI監視社会のような、この世の地獄です。 唯物論、科学万能主義で、神も仏の否定する先にあるものは、恐ろしい未来です。ですから、科学技術が進歩しても、それに釣り合うだけの霊性、精神性が人間にはどうしても必要です。 日本も「文部省」が「科学技術省」と一緒になった「文科省」以降、唯物的な、いわゆる科学万能主義が強くなってきています。 すでに、学校現場でも「知識教育」が「テクノロジー」と結びついて、若い世代でも「心」が何か分からないという人が増えています。 人工知能が進化してくと、人間の働きを代用するようになるので、人間はいらない社会がくると考える人が出てきています。 ◆教育の大事な役割 2017年、坂本龍馬や吉田松陰のような日本の誇りとなる偉人を教科書から削除する提言を発表し、波紋を広げています。 「歴史的な確定できる業績として、何があったかがはっきりしない」という「科学的な思考」が歴史の分野や宗教の分野にまで入り込んできています。 そうした科学的思考では、「AIに対抗する人材を養成する」と言っても、限界があります。 吉田松陰の「万巻の書を読むに非ざるよりは、寧んぞ千秋の人たるを得ん」という言葉が遺っています。 つまり、「万巻の書を読まずして、どうして千秋の人(千年も後に名前が遺るような人)になれようか」ということですが、こうした和歌を見ると、知識的だけで人を育てる方ではなかったことがよく分かります。 「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」の句には、自分の生死を超えて、世のため、人のために尽くそうという尊い「心」が現れていると感じられます。 この三十一文字が、当時の維新の志士たちの魂を震わせ、世の中を変えていく人材になっていきました。 このように心はAIが進化しても、千年経っても万年経っても絶対に届かない世界だということが言えるのではないかと思います。 自分がどんな人間になっていくのか。あるいはどんな使命のために自分が生まれてきたのか。そうした事を深く考えさせ、そして意志であるとか、志を持たせていく、そしてその心を練り込んでいくことが大切です。 科学が暴走して人類が不幸に陥らないために、未来産業も「人のぬくもり」の価値を高める方向で研究されるべきだと思います。 そもそも一流の科学者が、すべて神の世界を探究するという命題の下で様々な学問を進めてきたということも決して無視してはいけないことかと思います。 この科学技術が唯物論に立つことがないよう、私たちは声を上げていきたいと思っております。 ウクライナ侵攻で迫る第3次世界大戦、日本も戦場に【第3回】 2022.03.13 https://youtu.be/OoVkNQZ7kpo 幸福実現党党首 釈量子 ◆米国の二つ目の敗戦 今回のウクライナの情勢に関して、大川隆法党総裁の最新刊『ウクライナ侵攻とプーチン大統領の本心』の「あとがき」で、「バイデン氏は、対コロナ戦に続いて、二つ目の敗戦だ。残念だが頭が悪すぎた」と述べています。 『ウクライナ侵攻とプーチン大統領の本心』大川隆法党総裁著 https://www.amazon.co.jp/dp/4823303423/ref=cm_sw_r_tw_dp_7XBYRS66BSFSTB7MEM8D バイデン政権は、中国がばら撒いたコロナウイルスによって、世界で4億人以上、死亡者数600万人以上を出していますが、中国の責任を全く追及できません。 これが一つ目のコロナ敗戦です。 二つ目の敗戦ですが、現在、ウクライナのゼレンスキー大統領は米国では戦争を仲裁できないと考えて、中国にロシアとの仲裁をお願いしようとしています。 中国も乗り気になっているようですが、これでは米国の面子は丸潰れです。 ロシアと米欧は、バイデン大統領の失策により、戦争を防ぐどころか核戦争の危機にあります。 東アジアでは、中露接近により日本が戦場になる可能性が高まり、北朝鮮の核開発を勢いづかせ、台湾防衛に不安を与えています。中国は高笑いという状況です。 国連はもう機能せず、冷戦後に築かれてきた米国主導の国際秩序が揺らぎ始めているのは明らかです。 このように、米国のリーダーシップが弱まる中で、ロシアと中国、イラン、北朝鮮などの国がつながり、米欧日と対立するという第3次世界大戦の構図が出来上がりつつあります。 これが、ロシアをウクライナ侵攻に追い込んでしまった、バイデンの二つ目の敗戦です。 ◆プーチン大統領がNATOの東方拡大を認めない理由 ロシアにとってのウクライナはヨーロッパからの侵攻を防ぐために死活的に重要な地域です。この緩衝地帯があるおかげで、ナポレオンやヒトラーの侵略からロシアを守ることができました。 プーチン大統領にとっては、NATOの東方拡大は認めることはできず、ロシアにとってのウクライナは、米国にとってのキューバだということです。 キューバ危機では、ソ連がキューバに核兵器を配備しようとしたとき、「核戦争も辞さず」との覚悟で、ケネディ大統領は核兵器を持ち込ませないように海上封鎖しました。 アメリカでも国防省の元上級顧問ダグラス・マクレガー氏が「ロシアのウクライナ問題をアメリカのキューバ危機と一緒だ。ロシアの狙いは欧米との戦争ではない」ということを言っています。 プーチン氏をヒトラーとみる向きが大勢ではありますが、これは防衛なのかというところが決定的な見方の違いになっています。 プーチン大統領2月24日、改選前の演説を見ると、これまでのアメリカの非道ぶりを非難しており、一定の筋は通っていると思います。 ◆第三次世界大戦を防ぐには 「第三次世界大戦」を引き起こすような事態を防ぐためには、どのようにすべきでしょうか。 幸福実現党は、プーチン大統領の論理とウクライナの主張とを比較考量した時に、ウクライナがEUやNATOに加盟することを認めるべきではないと考えています。 また、日本は中露北の三正面を回避するための外交努力はすべきだと考えます。 ちなみに、絶妙な動きをしているのがインドです。インドは、ロシアとの関係も強く、肩入れしないよう、中立の立場を保っています。 インド政府は、制裁後もロシアとの貿易が継続できるよう検討しているようです。 イラン制裁の時も、インドルピーで、決算を続けました。米国追従ではなく、ロシアを見捨てることはしないと思われます。 日本も、国家存続の危機という認識で、政治的・外交的な落としどころを探るべきではないかと思います。 そして、「自由・民主・信仰」という価値観のもと、新しい地球的秩序の構築に向けて努力していくべきと考えます。 ウクライナ侵攻で迫る第3次世界大戦、日本も戦場に【第2回】 2022.03.12 https://youtu.be/OoVkNQZ7kpo 幸福実現党党首 釈量子 ◆ロシアのウクライナ侵攻を巡る東アジアの地殻変動 ロシアのウクライナ侵攻は、東アジアにも地殻変動を及ぼしつつあります。 (1)中国 3月2日の「ニューヨークタイムズ」が、中国が2月上旬、ロシアに対して、「ウクライナ侵攻を北京オリンピックが終わるまで遅らせてほしい」と頼んでいたと報道しました。 実際に、北京オリンピックが2月20日に終わり、2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まっています。 ロシアと中国の関係は、2014年のロシアのクリミア侵攻をきっかけに、欧米のロシアへの経済制裁が強まる中で、どんどん密接になりました。 特に、中国はロシアから原油や天然ガスを大量に輸入し、ロシアを支援しました。 今回、中国は一貫してロシアの立場を擁護する発言をしており、間違いなく中露接近は決定的になったわけです。 (2)北朝鮮 また、中国同様、ロシアの立場を一貫して擁護しているのが北朝鮮です。 北朝鮮はロシアのウクライナ侵攻中のタイミングで、弾道ミサイルを発射しました。 「北朝鮮の核兵器開発を正当化し、ウクライナの二の舞にはならない」と宣言しているかのようで、トランプ政権の非核化の交渉の真逆になっています。 ちなみに、ウクライナは1994年、核を持つ「米・英・ロシア」との間で、核兵器を持たない代わりに、ウクライナの安全を約束するという「ブタペスト覚書」を交わしました。 ウクライナ側は「この時に、もし核兵器を手放していなかったら、ロシアのウクライナ侵攻は起きなかったかもしれない」という見方をしています。 こうしたこともあって、北朝鮮は核保有の意義を確信し、北朝鮮の非核化は一段と遠のきました。これで日本の国防上の危機は高まったと見るべきです。 (3)台湾 次に台湾ですが、欧米とロシアの対立が激化、しアメリカがヨーロッパに戦力を配備することになれば、当然東アジアの戦力は手薄になります。 結果、中国の台湾侵攻にチャンスを与えることになってしまいます。 台湾では現在、「今日のウクライナ、明日の台湾」という言葉が、新聞やインターネットで踊っています。 昨年8月に米軍がアフガニスタン撤退で世界に失態を晒した時も、「今日のアフガン、明日の台湾」という言葉が広がりました。 市民の間では、ウクライナ民兵が戦う姿なども見て、応急処置や訓練に関する関心が高まり、自己防衛を意識する人が多くなっています。 米国と台湾の間には「台湾関係法」がありますが、台湾防衛義務は明記されていません。 歴代政権も台湾有事に軍事介入するかどうかを明確にしない方針、いわゆる「あいまい戦略」を採用しています。 今回のウクライナ侵攻についても、欧米諸国はウクライナを支持すると口にしながら、いざ戦いが始まったら全く兵を出しませんでした。 蔡英文政権は、台湾有事の際に米国の支援を期待していますが、アフガニスタンとウクライナの教訓を踏まえ、「自分の国は自分で守る決意と能力を持つことが先決だ」と繰り返し強調しています。 (4)日本 日本も他人事ではありません。 一番象徴的なのが、3月2日にロシア軍のヘリコプターが北方領土方面から来て、根室上空で領空侵犯した動きです。 これは明らかにロシアによる日本へのメッセージです。 日本は欧米に足並みを揃えて経済制裁に参加していますが、それに対する反発です。 昨年10月には中露の艦隊が津軽海峡を通って、日本を一周しましたが、これは、「台湾有事の際に日本が参戦すれば、北海道を占領するぞ」という警告でしょう。 北朝鮮のミサイルも連動しているとみるべきで、日本は、中国と北朝鮮、ロシアと対峙する三正面作戦をを行うつもりなのか、今後、岸田政権は、ロシアとの関係を中国や北朝鮮と同じく「脅威」と位置付ける方向で進んでいます。 これは、日本の存亡に関わる危険な判断だと思います。 ロシアは北海道に米軍基地やミサイルが設置されることを防衛上の危機と見ているので、日本が敵対国になれば、ウクライナと同じく北海道を緩衝地帯として確保したくなるでしょう。 となると、北海道も、尖閣並みの脅威に対応しないといけなくなります。そのための防衛予算、戦力、自衛隊の配備をどのように考えているのでしょうか。まさに国家存亡の危機です。 日本の独立を守るための「核シェアリング」の議論も出ていますが、岸田首相は「作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則を堅持する姿勢を貫いています。 「核シェアリング」とは、米国の核兵器を日本に持ち込んで、共同で管理することです。 我々は「核装備なくして、日本の独立を守れるのか」について議論を封じるべきではないし、憲法9条改正と合わせて、参院選の争点にすべきではないかと考えています。 (第3回につづく) ウクライナ侵攻で迫る第3次世界大戦、日本も戦場に【第1回】 2022.03.11 https://youtu.be/OoVkNQZ7kpo 幸福実現党党首 釈量子 ◆迫る第三次世界大戦 今回は、3回に分けて、ウクライナ情勢が世界に与える影響について考えてみたいと思います。 (1)欧米の対ロ制裁 米国はロシアに対して次々と経済制裁を行っており、その中でも「SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除」は核爆弾級の制裁だと言われています。 SWIFTは、国をまたいで送金する際に利用するインフラですが、ロシアの銀行がこれを利用できなくなることは、「世界経済からの排除」を意味します。 ただ、ドイツやフランスはロシアから天然ガスを輸入しているので、天然ガスの支払いができるロシアの銀行は対象外にはしていますが、厳しい状況に変わりはありません。 また、アメリカは、ロシア中央銀行の外貨資産を凍結し、日本も追随しました。 ロシアは、2014年のクリミア紛争の教訓で外貨を減らしてきていましたが、現在ロシアの通貨ルーブルは20%以上下落しています。 本来なら、ロシアの中央銀行は下落を止めるために、外貨を売って、ルーブルを買い支えなくてはなりません。しかし、外貨資産の凍結により、買い支えることができません。 ロシアの中央銀行は仕方なく、金利を9.5%から20%に引き上げて買ってもらいやすくしているわけですが、これも厳しい状況です。 他にも、プーチン氏やラブロフ外相の個人資産も凍結しています。 こうした欧米の制裁に対して、プーチン大統領は3月5日、「欧米の対ロ制裁は宣戦布告に等しい」と述べています。 但し、「神のご加護で、まだその事態には至っていない」と付け加え、米欧との戦争状態ではないと主張しました。 こうした経過で頭に浮かぶのが戦前の日本です。ABCD包囲網を敷かれて、原油の輸入ルートを閉ざされ、開戦に踏み切った状況に似ているような気がします。 つまり、今回の米欧の金融制裁、経済制裁がきっかけで、世界大戦に突入する可能性も出てきているわけです。 (2)飛行禁止区域の設定 ウクライナのゼレンスキー大統領はNATOに「ウクライナ上空に飛行禁止区域を設けてほしい」と要望しました。 飛行禁止区域を設けるということは、ロシアの戦闘機がウクライナの領空内に入ってきたら、NATOが撃ち落とすことになります。 これはNATOの参戦をウクライナが要求するのと一緒で、米国を含むNATOはそれはできないと即座に拒否しています。 プーチン大統領も「ウクライナに飛行禁止区域を設けることは、破滅的な結末をもたらす」と牽制しました。 (3)核恫喝 さらに心配なのが、核戦争の危機が高まっていることです。 2月27日、プーチン大統領は核戦力を運用する部隊に「任務遂行のための高度な警戒態勢」に入るように指示を出しました。 これは、ウクライナを支援する米欧に対して、核兵器の使用もあり得ると警告するものです。いわゆる核恫喝です。 そしてロシアの隣国ベラルーシは、「ロシアの核兵器受け入れ」を行うために、憲法を改正しました。 ◆冷戦時代に逆戻り 現在、NATOの核保有国はアメリカとイギリスとフランスで、ドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、トルコの5か国は自国に米国の核兵器を受け入れ、共同運用(核シェアリング)しています。 ベラルーシが核配備することになれば、米国やNATOに対して核配備の増強を促すことになり、核軍縮どころか、お互いが核で抑止するという冷戦時代の方向に逆戻りします。 さらに、これまでNATOに加盟していなかった北欧のフィンランドとスウェーデンでは、NATOに加盟しようとする動きが出てきました。 EUには所属していてもNATOに入っていなかった国もありますが、ロシアのウクライナ侵攻を見て、NATOに加盟していなければ武器を与えられるだけで、実際に部隊を派遣してくれないことがはっきりしたからです。 ロシアの外務省は「もしスウェーデンとフィンランドがNATOに加盟すれば、軍事・政治面で深刻な結果になる」と警告しています。 ◆バイデンの二つの選択肢 ロシアはNATO不拡大を要求していましたが、NATO加盟が加熱して、分断がどんどん進んでしまっています。こうした状況の中、アメリカもやることはあまりありません。 バイデン大統領は、ウクライナ侵攻に対する対応について「選択肢は二つ。ロシアとの戦争に突入し、第3次世界大戦を始めるか、代償を払わせるかだ」と答えています。 しかしバイデン大統領が言う代償とは、前述の経済制裁のことです。 これに対して、ロシアのラブロフ外相はアルジャジーラの取材で「第3次大戦の瀬戸際にあるのか」と質問され、「バイデン氏に聞くしかない。第3次大戦は、核戦争以外にない」と警告しました。 この様に、ロシアと米欧の関係を見ましたが、対立は最高度に高まっています。 (第2回につづく) ウクライナ紛争が日本に飛び火?大炎上「憲法9条で国は守れるのか?」論議【後編】 2022.03.06 https://youtu.be/gGpWqFruBAA 幸福実現党党首 釈量子 ◆日本復興の鍵を握る2つの証言 前編では、現代政治の元凶でもある吉田茂の問題点を指摘してきました。さらに具体的に見て参ります。 1949年に毛沢東の中華人民共和国が建国され、その後、北朝鮮が中国軍と一緒になって韓国に攻め込んできました。これが1950年の「朝鮮戦争」です。 この時、共産主義の脅威を感じたマッカーサーは考えを変えたのです。 1951年5月3日に、アメリカ上院軍事・外交合同委員会でのマッカーサーは、「彼ら(日本)が戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだった」と証言しました。 また、東条英機も「事、ここに至っては自存自衛上開戦止むを得ず」と、真珠湾攻撃に至った当時の状況を東京裁判で証言しています。 生前、渡部昇一氏は、この「マッカーサーの証言」と「東条英機の証言」が広く知られるようになれば、日本人の精神が復興していくに違いないと述べられています。 そして、「戦場で倒れ亡くなった人たちも、彼らの死はけっして無駄ではなかった。日本を守るために戦ってくれたと、もっと誇りに思ったのではないか」と指摘しています。 ◆再軍備より金儲けを選んだ戦後日本 そのマッカーサーが日本に「再軍備」を促した時に、それ否定したのが時の首相、吉田茂です。吉田茂は、「アメリカを番犬として飼っていると思えばいい」と考えました。 この「非武装中立」「われ関せず」の考えが現在まで尾を引いてしまっています。 吉田茂が退陣した後、1960年代に入ると、その薫陶を受けた、池田勇人首相が「所得倍増計画」を打ち出して「高度経済成長」を実現しました。 この成功体験があだとなって、「日本が発展できたのは、吉田路線のおかげだ」と吉田茂は「神話化」されていきました。 こうして「安全保障はアメリカに任せて、日本は金儲けしていればいい」という考えが、日本にしみついていったわけです。 ついには、そうした考えが「吉田ドクトリン」となって、「憲法9条の守護神」となってしまっています。 しかし、軍隊無き国家には外交もなく、政治もありません。 ◆「吉田ドクトリン」の代償 現在のウクライナ問題も、反射的にアメリカに追随しているだけで、独自の判断で外交ができているとは言えません。 また、欧米の先進国が中国のウイグル・ジェノサイドを批判する中、日本は名指しで中国の批判もできません。 1989年の天安門事件のときには、当時の海部俊樹首相が西側諸国の対中包囲網をいち早く破って制裁を解除したことで、中国を太らせてしまいました。 大川隆法総裁は、「吉田ドクトリン」に関して、「この罪には、やはり、『マルクスに次ぐぐらいの悪さ』があるのではないでしょうか」と指摘しています。(大川隆法著『国家繁栄の条件』より) このままだと、経済的利益のみを考えて中国の悪を正すということがバカバカしく、見えてしまいます。 また、国連もあてにならず、中国と戦争になるくらいなら属国になるほうがマシだという意見も出かねません。 これらは「吉田ドクトリン」の毒を国民の大多数が飲まされ続けてきた代償だと言えます。 ◆いまこそ憲法改正を いまウクライナを見て、日本も憲法改正まではできなくても、できることを進めなくてはならないという声も上がっています。 この国を死滅させようとしている「マッカーサー憲法」と、「吉田茂ドクトリン」に基づく、戦後日本の奴隷根性を払拭しなければなりません。 「正義と平和、独立自尊が国際関係の基本」です。 アフガンに続き、ウクライナのバイデン大統領の大失態を見て、「考えることができる人」をつくっていかなければなりません。 神仏の守りたる、この日本の国が、悪魔の支配下にはいることは、断じて許すことはできないのです。 戦後の平和主義の代償というものを考えた時に、今こそ「吉田茂の洗脳」から脱するときではないでしょうか。 ウクライナ紛争が日本に飛び火?大炎上「憲法9条で国は守れるのか?」論議【前編】 2022.03.05 https://youtu.be/gGpWqFruBAA 幸福実現党党首 釈量子 ◆ウクライナ紛争で「憲法9条」が炎上 2月24日、ロシアがウクライナを侵攻し、世界は騒然としています。 特に「米軍はウクライナでの紛争に関与しない。ウクライナでは戦わない」という「バイデン発言」が軍事侵攻を招いてしまったことに批判も集まっています。 ウクライナがそうなら、台湾危機が起きた場合、アメリカは台湾を守ってくれないのではないかという懸念も生まれています。 日本では、このウクライナ情勢がいわゆる「Wake up call」となり、安全保障に関する踏み込んだ議論が高まっています。 たとえば、安倍元首相が「核シェアリング」に言及したり、非核三原則の「核を持ち込ませず」を変えるべきだというような議論がなされています。 一方、共産党の志位委員長はツイッターで、「仮にプーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国に侵略させないための条項が憲法9条なのです」と主張し、これが炎上して、保守系の識者や政治家から反論があがっています。 日本維新の会の松井代表は「志位さん、共産党はこれまで9条で他国から侵略されないと仰っていたのでは?」とツイッターでつぶやきました。 また、自民党の細野豪志氏は「志位委員長のロジックでは他国のための憲法9条になってしまう」と指摘しています。 志位さんは「日本にプーチンのような独裁者が出ても大丈夫だ!」というわけで、「日本が一番危険なんだ。日本さえ牙を抜けば世界は平和だ」という考えが骨の髄まで染み込んでいるからです。 しかし「日本の伝統的な戦後の価値観を引きずった自虐史観に基づいて、日本さえ爪を切っておれば、牙を抜いておけば、世界平和になる」という思想は、戦後の日本の政治そのものに根深くあります。 北朝鮮にいくらミサイルを発射されても「遺憾です」しか言えない政治の根源はどこかを直視しなければ、この問題は解決がつきません。 ◆こんな日本にだれがした では、こんな日本にだれがしたのか。その現代政治の元凶は、はっきりと言ってしまえば、吉田茂首相なのです。 吉田首相は、「吉田学校」と呼ばれるように、池田勇人や佐藤栄作などの人材が輩出され、自民党の保守本流をつくり上げたと言われています。 現在の岸田首相が所属する「宏池会系」も吉田首相からの流れです。しかし、歴史を見てみると、本当に保守と言えるのかその流れを見て参ります。 1945年、先の大戦に負けた日本に、進駐したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、日本の非軍事化と武装解除を進めます。 同時に、日本を弱体化するために、日本の強みの根源である「宗教」を取り上げました。 憲法においても「政教分離」が定められると、「政治と教育から宗教を遠ざけたら日本を弱くできる」と考えました。 そして、「宗教は政治に関わってはいけない」「公立校で宗教教育をしてはいけない」という考え方が、私たちの「常識」として深く根付いてしまいました。 結果、背骨が抜かれた日本は、クラゲのような軟体動物になり、自分で立つこともできず、漂流していきました。 それによって、自分の国を自分で守るということができなくなってしまったのです。 (後編につづく) 米大統領選2024 トランプ復活の兆し【後編】 2022.02.27 https://youtu.be/K3fnikz6Vio 幸福実現党党首 釈量子 【前編】で、トランプのバイデン批判として「(1)アフガニスタン撤退の大失敗」を取り上げましたが、その続きからです。 ◆トランプのバイデン批判 (2)パリ協定に復帰し、インフレ招く 二点目は、バイデン政権がパリ協定に復帰し、インフレを招いたことです。 パリ協定というのは、地球の温暖化に関する取り決めですが、トランプ政権の時代に、大胆な規制緩和を行って、シェールオイルの大増産を可能にし、米国は原油の輸出国になりました。 しかし、バイデン政権になり、環境規制が強くなって、現在、シェールオイルの新規採掘ができない状況にあります。 原油が高いのだから、もっとシェールオイルを増産すればいいのにと思うのですが、自縄自縛になっているわけです。 これも、トランプがバイデンを無能だと評価する理由の一つとして次のように述べています。 「(バイデン大統領が)パリ協定に復帰したことで、1年間でガス料金が2倍以上になってしまった。そして、OPECに増産をお願いする羽目になった」 個別にみると、ガソリンが40%増、食料品が7%増。家賃が3.8%増となっており、発電、輸送など、あらゆる生活コストを上げ、コストプッシュ型のインフレが進んでいます。 インフレが進むと生活がどんどん苦しくなっていきます。これも、バイデン支持率が下がっている原因です。 (3)2024年にホワイトハウスを奪還する 他にも、トランプは、「女性の陸上競技に男性が参加することを禁止する」とハッキリ言いました。 米国では、いわゆる女性を自認する男性が女性用トイレを利用したり、女性用サウナに入ったりすることが認められている州があります。 最近では、女性の陸上競技に男性が参加して優勝し、女性のアスリートから訴えられる事件も起きています。 そして、「我々はコロナを解き放った中国に責任を取らせるつもりだ。中国が引き起こした数十兆ドルの損害賠償責任を負わせるつもりだ」とハッキリ主張しました。 我々、幸福実現党も1月の記者会見で訴えましたが、現在、世界の首脳でこれを言える人は一人もいません。 さらに、今年の秋には中間選挙を控えていますが、トランプ氏は、次のように訴え大歓声で会場は満たされました。 「今年は下院議会と上院議会を取り戻し、本来のアメリカを取り戻す年にしたい。2024年には、我らが愛する美しい、美しいホワイトハウスを取り戻したい」 ◆トランプの宗教的価値観 トランプ大統領の主張は一見破天荒なように見えますが、そのバックボーンには、建国の父たちが大事にしていたユダヤ・キリスト教の宗教的価値観があります。 日本では殆ど報道はありませんでしたが、2月13日韓国ソウルで「世界サミット」が開催され、元首脳や現職の首脳が参加しました。トランプ氏もネットで参加し、演説を行いました。 トランプ氏はその演説の中で、トランプ自身の宗教的価値観を明確に述べています。 それは、「すべての人が政府ではなく、全能の神の手によって与えられる権利、自由、尊厳を享受している」とした上で、「信教の自由はすべての自由の基礎だ」というものです。 これは、米国の建国の父たちが起草した独立宣言「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と同じ価値観です。 自由というものは、政府から与えられるものではない。全能の神から与えられるものなのだ。これは大事な考え方です。 政府の役割は神から与えられた自由を制限しないように、規制緩和や減税をすることであり、「小さな政府」を目指すべきです。 また、トランプが中国と真っ向から戦うことができた最大の理由は、神の正義を実現せんとする宗教的価値観があります。 トランプ氏は公式には2024年大統領選出馬を表明していませんが、着実にその方向に向かって進んでいます。 今後も、トランプ氏の動きには注目していきたいと思います。 米大統領選2024 トランプ復活の兆し【前編】 2022.02.26 https://youtu.be/K3fnikz6Vio 幸福実現党党首 釈量子 ◆米国でトランプの存在感高まる アメリカのバイデン政権が誕生してから1年経ちましたが、支持率が急落しています。 世論調査のギャラップが米国の民主党と共和党の政党支持率の調査によると、1年前にバイデン政権が誕生した頃は、民主党の支持率49%、共和党の支持率40%でした。 しかし、昨年下半期に共和党が民主党の支持率を上回り、2021年末の段階で、共和党47%、民主党42%になりました。 バイデン政権就任からわずか1年余りで、共和党が民主党を5ポイントリードしています。 その共和党の中で、誰が2024年の大統領選に出てくるでしょうか。圧倒的に可能性が高いのが、トランプ前大統領です。 先月、米国の著名な政治サイト「The Hill」で紹介された共和党内の支持率調査によると、1位はトランプ57%で断トツです。2位はデサンティス12%、3位はペンス11%でした。 2位のデサンティス氏はフロリダ州知事で、トランプ氏の熱心な支持者でもあります。 昨年、サンティス知事は「個人の自由を制限する」という理由で、「ワクチンパスポート」の導入を禁止する行政命令を出し、トランプ氏と非常に近い政治思想を持っています。 3位のペンス氏はトランプ政権の副大統領です。 この調査では、もう一歩踏み込んで、「トランプがいなかったら、誰を支持するか」という共和党内の支持率調査をしています。 これを見ると、1位デサンティス30%、2位ペンス24%、3位クルーズです。 3位のテッド・クルーズ氏は、共和党上院議員で、対中強硬派の代表格です。トランプ氏とも考え方が近いとされます。 このような顔ぶれが出ているわけですが、やはり、何といっても圧倒的な存在感を持つのはトランプ氏です。 今年1月に入り、15日にアリゾナ州で、29日にテキサス州で支持者集会を開き、熱狂的な支持を集めました。 その中で、トランプ氏はバイデン政権の外交や内政について、実に率直に批判しています。 トランプ氏の政治的な考え方は、実に幸福実現党の見方、考え方に近いものです。 ◆トランプのバイデン批判 (1)アフガニスタン撤退の大失敗 一点目は、バイデン政権のアフガニスタン撤退の大失敗です。 トランプは、アフガニスタンからの撤退をめぐる大混乱は米国のイメージを変えてしまうくらいの致命的な失敗だったと強調します。 https://youtu.be/K3fnikz6Vio (※3:35~トランプ氏の演説) 「米国民は無能な大統領を持った。私が大統領なら、プーチンは決して軍隊を送るようなことはなかっただろう。私と習氏の間で、台湾占領なんて一度も話に上らなかった」 「アフガン撤退失敗は米国の歴史上最も恥ずかしい瞬間だった。米国人の人質を残したまま、軍隊が立ち去ってしまった。彼らは死の恐怖に直面した」 このように、トランプは、アフガンの失敗が強いアメリカというイメージを変えてしまい、弱いアメリカのイメージを与えてしまった。 アメリカは、世界から一目置かれる国ではなくなり、中国やロシア、それから北朝鮮の挑発を受けるようになってしまったと指摘しているわけです。 また、アフガン撤退について重要な点を、次のように指摘しています。 「アフガンには850億ドルに及ぶ装備品を残してきてしまった。7万台のトラック、70万丁のマシンガンやライフル、ナイトマスク、ヘリコプター。アフガニスタンが必要なのはこれらの20分の1程度で、後は売りさばく。中国が最新鋭の戦闘機や武器を入手し、再設計し、利用するだろう」 さらに、「米国は25年前に巨額のお金を使って、バグラム空軍基地を作ったのには理由があった。それは、アフガニスタンだからではなく、中国が核兵器を製造している工場から僅か1時間の距離にあったからだ。それが今や、中国がバグラム空軍基地を支配してしまった。これが、バイデン政権が無能な政権だと言うことだ」 その結果、「バイデンの弱さと無能さによって、第三次世界大戦のリスクを増大させてしまった」と批判しました。 (後編につづく) プーチンは侵略者なのか?マスコミが報じないウクライナ危機の真相【第3回】 2022.02.15 https://youtu.be/A4E221cNSRY (2月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆バイデン外交の問題点 では日本はどうすべきでしょうか。ここで注目したいのは、トランプ大統領との違いです。 ロシアに融和的だと国内で批判されていたトランプ大統領の時代には、ウクライナ危機が起こらずに、バイデン政権になって起きている、ということです。 トランプ大統領は、プーチン大統領と個人的な信頼関係を築きながら、ロシアとあまり敵対しないように配慮していました。 同じことは、北朝鮮にも言えます。金正恩氏と歴史的な会談を行ってから、北朝鮮のミサイルはピタリと止みました。これは、中国を牽制することにもつながっていました。 しかし、バイデン大統領になってから「民主主義国家」対「権威主義国家」の対立軸を打ち出し、中国や北朝鮮に加え、ロシア、そしてイランへの圧力を強めています。 バイデン氏になってから、世界の分断は進み、戦争のリスクが高まっています。 バイデン氏は就任後、ロシアに対しては、大統領選への介入を理由に金融制裁を行ったり、ロシアの外交官を国外退去しました。 さらに、ウクライナとの共同軍事演習を行うなど、米ソ冷戦時代のような外交を展開しています。 そして気が付けば、ロシアをどんどん中国側に追いやってしまっているわけです。日本は、こうした構図を理解する必要があります。 中露はいわば「偽装結婚」であり、ロシアは戦いたくない、ヨーロッパも紛争を抑止したい、ウクライナのゼレンスキー大統領でさえ、バイデンのパニック的な対応に迷惑し、「煽っている」と言っています。 日本が見抜かなければいけないのは、プーチン・ロシアの本質です。 ロシア正教を復活させた信仰者であり、無神論国家中国の習近平氏とは精神性が全く違います。 そして、2月8日にマクロン氏に伝えたようにプーチン大統領は、「ロシアは欧州の一部だ」といって、敵ではないと、仲間入りしたいわけです。 ◆日本は日露平和条約を締結すべき 幸福実現党は、日本政府がアメリカに対して、中国に焦点を絞るべきであり、アメリカの「中露二正面作戦」を改めるよう、提案すべきだと思います。 大川隆法党総裁は、1月9日の講話で、バイデン外交の売りである「民主主義国家」対「専制主義国家」の対立軸では限界があり、ロシアを味方に引き入れて信仰ある国々が手をつなげば、無神論国家・中国に勝てる可能性が出てくる、と指摘しています。 プーチン氏は、中国には、極東地域への侵略や、北極圏に影響力を伸ばそうとしていることなどについて今でも警戒をしています。 できれば、日本との関係を強化し、経済的な結びつきや安全保障上の結びつきを強めたいと考え、交渉の余地を残し続けていることに注目すべきでしょう。 日本は大局を見て、軽々に、バイデン外交政策に追随すると、今度は日本も、南西方面で中国と対峙しつつ、北方領土にミサイルを配備しているロシアも相手にせざるを得なくなり、中露「二正面作戦」を取らざるを得なくなってしまいます。 下手をすれば日本が戦場になる可能性もあります。逆に、ロシアと手を組めば、北朝鮮を抑えることも可能となります。 幸福実現党としては、北方領土問題を棚上げしても、ロシアと平和条約を締結すべきだと考えています。それは、「第三次世界大戦」にもつながりかねない構図ができるのを止めるためです。 またロシアをG8に入れるよう動き、西側の仲間にすべきです。日本にできることはそれほどありませんが、これは大きな貢献になります。 日本が、ロシアとの関係を再構築し、中露「分断」の方向に舵を切るべきだと考えます。 プーチンは侵略者なのか?マスコミが報じないウクライナ危機の真相【第2回】 2022.02.14 https://youtu.be/A4E221cNSRY (2月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 (2)プーチンの主張:「ミンスク合意の履行」 ◆プーチン論文の主張 プーチン大統領の主張の2点目は、プーチン大統領が2月1日にも強調していますが、2014年の「ロシアによるクリミア併合」の翌年、ウクライナとの間で締結した「ミンスク合意」を履行するよう強く求めています。 「ミンスク停戦合意」とも言われますが、「停戦」にとどまらないということを説明します。 プーチン大統領がウクライナについてどう考えているのか、一番良くわかるのは、昨年7月に発表されたプーチン大統領の論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」です。 ロシア大統領府公式サイト「プーチン論文」 http://www.kremlin.ru/events/president/news/66181 この中で、「元々、ロシア人とウクライナ人は異なる民族ではなかったが、共産主義だったソ連の民族政策によって、大ロシア人、小ロシア人、白ロシア人(ベラルーシ)からなる三位一体のロシア民族が解体され、ソ連崩壊後に、ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人という三つの個別のスラブ民族が国家レベルとして固定されたのである」と主張しています。 つまり、プーチンは「ソ連」の前のロシアを念頭に置いているのか、地政学的な安全保障の問題に加え、歴史的民族的さらには宗教的に、同じスラブ民族の「兄弟国家」だった地域を破壊されることに強い抵抗感を持っているわけです。 続けて、「ロシアは1991年から2013年に、天然ガスの値引きだけでも、820億ドル以上の値引きを行って、ウクライナを経済的にも巨額の支援を行ってきた」と述べています。 さらに「ウクライナは欧米によって危険な地政学的ゲームに引き込まれていった。その目的はウクライナをヨーロッパとロシアを隔てる障壁にし、またロシアに対する橋頭保にすることだ」と述べています。 欧州にとっても、ウクライナを市場にしたいことに加え、天然ガスのパイプラインも通っているのでエネルギーの観点からも確保したいわけです。 対するロシアは、ベラルーシやカザフスタンと結ぶ「関税同盟」に、ウクライナを引き込みたいという綱引き状態があったわけです。 プーチン論文の主張は、ロシア国民のみならず、ウクライナ東部やクリミア半島に住むロシア系住民の心に響きました。 ◆一枚岩ではないウクライナ 一方で、ウクライナの首都キエフや西部のウクライナ人は、プーチン論文に反感を持ちました。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとウクライナの関係は真なる兄弟ではなく、「カインとアベルの関係を思わせる」と指摘しています。 旧約聖書では、兄のカインが弟のアベルを殺してしまい、これが人類初の殺人であり、さらに、ヤハウェにアベルの行方を問われたカインは「知りません」と答えて、これが人類初の嘘だったとされています。 このように、ウクライナは1991年のソ連崩壊後、国家として独立しましたが、国内は決して一枚岩ではありません。 ◆プーチンの大義 こうした中、2014年初めに、ウクライナでクーデターが起こり、親欧米で反ロシアの政権が誕生したのをきっかけに、ロシアはクリミアの人々を守るためにクリミアを併合に踏み切ったわけです。 同時に、ロシア系住民が数多く住んでいるウクライナ東部のドンバスで、分離独立運動が始まり、ロシアは軍事的に支援し、戦闘状態が続きました。 プーチンにとっては、本来同じスラブ民族のウクライナで、ロシア文化やロシア語を排除する動きは看過できなかったわけです。 この内戦状態を収拾するために、2015年2月に、ドイツやフランス、ウクライナ、ロシアなどが結んだ休戦協定が「ミンスク合意」です。 当時のメルケル首相の働きで激しい戦闘は回避されましたが、小さな紛争は続いています。 問題は、プーチン氏が繰り返し「ミンスク合意」の履行を求めているのに対して、ウクライナは否定的な態度を採っていることです。 実際に、昨年10月には、「ミンソク合意」を破って、ウクライナ軍がウクライナ東部をドローン攻撃しました。 日本では報道もされませんが、「ミンスク合意」は、単なる休戦協定だけではなく、「ドンバス地域の強い自治権」を認めることや、「首長選挙」を行うことなどの、政治的条項が含まれていることです。 プーチン氏は、これを求めているわけです。 プーチン氏の論文からも伺えるように、ロシア文化圏に生きる人々を守ると言う大義のもと、ドンバスの自治権を守ることは「譲れない一線」だと考えています。 こうした経緯を見れば、プーチン氏が、欧米に対して「ミンスク合意」の履行を強く求めるのは、筋が通っているわけです。 こういう立場を理解することが、あるべき落としどころを模索するためには必要です。 (第3回に、つづく) すべてを表示する « Previous 1 … 10 11 12 13 14 … 25 Next »