Home/ 小川 俊介 小川 俊介 執筆者:小川 俊介 幸福実現党 三重県本部参議院選挙区代表 政府は即刻、「憲法審査会」を実質的に始動させよ! 2011.10.22 10月20日より第179臨時国会が開会し、51日間の政治日程がスタートしました。実質的な審議は来週28日に野田総理大臣が所信表明演説を行い、代表質問を31日から3日間行った上で、まず第3次補正予算案の審議に入り、早期成立を目指すことになります。 それに先立ち、憲法改正案や憲法改正の発議を審議する機関となる衆参の憲法審査会が21日開かれ、会長が選定されました。これにより、憲法改正に向けた議論が始動していくことになります。 「憲法審査会」は、2007年5月国民投票法の成立を受けて、憲法についての総合的な調査を行う「憲法調査会」と、国民投票法を審議する「憲法調査特別委員会」の2つの機関が統合され、2007年8月に設置されたものです。 しかし、「憲法審査会」が設置されてより4年間、民主党は委員名簿の提出に応じなかったため、事実上の休眠状態が続き、国家の根幹となる憲法改正の審議が放置されて来ました。 法的には衆参両院に設置されたはずの「憲法審査会」が、政権与党のサボタージュによって何一つ始動していない「違法状態」が続いて来たことは大問題です。 民主党は、自民党の強行採決に対する抗議として名簿提出に応じないと言っていましたが、実際には、民主党内の改憲派と護憲派との対立で原案をまとめられなかったことが審議拒否の真意であったと言えるでしょう。 今回、自公の要求に応じて、ねじれ国会の審議が円滑に行われるための材料として名簿提出を行いましたが、これまでの民主党の姿勢に鑑みるに、与党としての責務を果たすことは出来ないと言わざるを得ません。 また、実際に審査会が始動したとは言え、「具体的な改憲論議が進むとは言い難い」「当面はこれまでの経緯をおさらいをしてお茶を濁すのではないか」と見られています。 臨時国会も、三次補正や復興財源を巡る攻防が最大の焦点になっており、改憲に向けた熱は与野党ともに乏しいと言えます。民主党幹部も「そう簡単に動く話ではない」と語っており、改憲に向けては消極的な姿勢が鮮明です。(日本経済新聞10/21) 読売新聞社の全国世論調査(9/3~4日実施、面接方式)では、憲法を「改正する方がよい」と答えた人は43%、憲法改正の議論を望む人は計72%となっており、機能しない国会や厳しさを増す国際情勢などを踏まえ、多くの国民が改憲論議を求めていることが明らかになりました。 今こそ、与野党は憲法論議において変革への道筋を明確に示すべきです。 確かに、臨時国会においては、迅速かつ的確に判断しなければならない議案が山積しています。しかし、目先に突き付けられた課題だけに追われていて、本当に国家運営・国家経営が出来るでしょうか。 政治家は、国益を見据え、大所高所の視点カラ、戦略的、長期的、かつ創造的に政治力を発揮しなければなりません。 例えば、科学技術開発の基幹となる防衛産業の育成を視野に入れた「次期主力戦闘機(FX)の選定」や「集団的自衛権」「武器輸出禁止三原則の撤廃」「普天間基地移設問題」「南スーダンへのPKO派遣」における武器の使用制限の見直し等は、それぞれ個別の問題ではありません。 国防費を大幅削減していくアメリカとの同盟のあり方をどうするのか、中国の覇権主義に対して防衛のあり方をどうしていくのか、ということは、国家戦略の根幹を問う重大問題であり、最終的には憲法9条を改正しなければ、この国を守り抜くことはできないことは明らかです。 安全保障体制はすぐに築くことが出来るものではありません。そうであれば、なおさらのこと、国内政治だけを見て、互いに他党の様子見をしている余裕はありません。 憲法審査会にしても、形式的には設置されても、事実上、機能していないのであれば、国会は「国民の生命・安全・財産を守る」という最重要の責務を果たしているとは言えません。 「国難」迫る今、与野党議員は国家運営・国家経営の責任を果たさないのであれば、すぐに国会議員を辞すべきです。 政府は即刻、「憲法審査会」を実質的に始動させ、現代の世界情勢を踏まえた本質的な憲法改正論議をスタートすべきです。(文責・小川俊介) 「新聞週間」――メディアは国民の「知る権利」に奉仕せよ 2011.10.15 本日10月15日から「新聞週間」が始まります。社団法人日本新聞協会は、毎年、記念行事を開催すると共に、新聞が担う使命や責任を問い直す節目としています。 新聞の発行部数は、人口の多い中国、インドに次いで日本は世界第3位であり、この上位3ヵ国を成人人口で比較すると日本は断突の1位です。 また、一世帯あたりの部数は0.92部となり、ほぼ全世帯に行き届いている計算になります。文字離れが叫ばれて久しい日本ですが、世界の中では最も活字に溢れた国だと言えます。(新聞協会HP/『World press trends』2010年版) 特に、日本では新聞各紙の活字が社会に与える影響が世界で最も大きいことを踏まえ、新聞やメディアが本当の意味で、国民の「知る権利」に奉仕しているのかを厳しく問うべきです。 「新聞週間」にちなんで、東京新聞では「当たり前の新聞目指す 新聞週間に寄せて」(10/14論説主幹・清水美和氏)という記事で「庶民は正確な情報さえあれば賢い判断を下します」と主張しており、この点、的を得ています。 しかし、その後の行(くだり)を見ると、「膨大な借金を抱える日本は将来の増税もやむを得ないでしょう」と結論付け、短絡的に世論を「増税」に誘導しています。 また、「沖縄の人々が集中する米軍基地に反感を募らせていては、日米関係は安定しません」として、「米軍基地反対」を世論として誘導する意図が見られます。 上記は一例に過ぎませんが、新聞情報には、このような偏向報道が随所に見られます。偏った情報に基づいては、私たち国民は「正しい判断」や「正しい政治家の選択」をなすことが出来ません。 国民の側としても、メディアは単なる判断材料に過ぎないと自覚し、新聞の言論を鵜呑みにせず、情報の発信源は何処の誰か、本当に信頼に足るものなのか、そして隠された意図は何かなど、「メディア・リテラシー」(メディアから正しい情報を読み解く見識)を高めていく必要があります。 「増税」に関して言えば、増税が消費を冷え込ませて不況を深刻化させ、倒産やリストラが増大すること。消費税増税が自殺者が年間3万人を超える引き金となったこと。増税しても税収が減っている事実など、メディアは増税のデメリットも報じるべきです。 そして、「経済成長なくして、税収増(財政再建)も、社会保障の拡充も実現できない」という、世界では常識となっている国家経営の基本を国民に伝えるべきです。 また、「沖縄の米軍基地」に関して言えば、東シナ海や南シナ海における中国の覇権主義の脅威、日本の主要都市に照準を合わせている中国や北朝鮮の核兵器の脅威等を伝え、抑止力として日米同盟が不可欠であることを伝えるべきです。 実際、中国は、米軍がベトナムから撤退した年にベトナムに攻め込んでおり、また、フィリピンでも米軍が撤退した直後に、領海侵犯を行い、実効支配を始めています。 地政学的にも、沖縄に米軍基地が無くなれば、中国や北朝鮮の脅威から、日本や台湾、韓国等を守ることは困難になり、アジアの平和を守ることは出来ないという現実を伝えるべきです。 福島原発の報道においても、マスコミは中途半端な科学的知識を弄して不安を煽り立て、風評被害を拡大させていることに鑑みると、「風評被害」というよりも、「マスコミ被害」というべきものがあります。 また、「政権交代」の大合唱の結果、民主党政権の2年におよぶ混乱と政治空白による国難をもたらした責任を、新聞・マスコミ各社はどのように取るおつもりでしょうか。 新聞各社が国民に確かな視座を与えること無くして、国民は正しい判断は出来ず、日本再建を成し遂げることは出来ません。マスコミは公論を論じる重さを自覚し、その責任を果たして頂きたいと思います。 「新聞週間」の機会に、新聞は本当の意味で、国民の「知る権利」に応えるべく自己変革すべきですし、私たち国民はマスコミ報道の真偽を見抜き、情報を活用していく見識を高め、政治・経済の再建を成し遂げてまいりたいと思います。(文責・小川俊介) 「一票の格差」是正のみならず、小選挙区制の抜本的見直しを! 2011.10.08 野田首相は7日、民主党の樽床幹事長代行らと会談し、衆議院の選挙制度改革について、一票の格差の是正や、国会議員の定数削減を実現するため、与野党の間の協議を急ぐよう指示しました。 背景としては今年3月、「一票の格差」が最大2.3倍だった2009年衆院選に関して、最高裁が「違憲状態」だと認定したことが挙げられます。 また、参院選に関しても、最高裁の判決は出ていませんが、最大5倍だった2010年参院選について、東京・高松・福岡の3高裁が「違憲」であるとしており、「一票の格差」の早期解消、選挙制度の改革が求められています。 主権者である国民の民意を政治に反映させるために「一票の格差」を是正することは非常に重要であり、喫緊の課題であります。 しかし、小選挙区の定数300内47を全都道府県に1人ずつ割り振る「一人別枠方式」の見直しの是非など、各党各議員の思惑に基づく技術論に終始し、本質的な問題が見過ごされていることに危惧を深めます。 要するに、「一票の格差」が無くなれば、それで本当に日本の政治が良くなるのかということです。 小選挙区制を導入した選挙制度改革においては同様の議論が行われていました。 例えば、小選挙区制を導入すれば「金権政治が無くなり、クリーンな政治が実現する」「二大政党制による政権交代が可能となる」など、夢の選挙制度のように言われましたが、その結果はどうだったでしょうか? 狭い選挙区への利益誘導を主眼とする視野の狭さ、外交も安全保障も語らず、地方議員選挙かと疑うようなマニフェスト、国家運営に関する見識の不足など、人物が小粒となってしまい、大所高所から国家を論じる政治家としての職務が果たせなくなっています。 また、小選挙区制では「死に票」が増えます。2009年の総選挙の小選挙区では得票率が47%の民主党が74%の議席を獲得しました。2005年の郵政解散の時も、小選挙区では得票率が48%の自民党が73%の議席を獲得しています。小選挙区はそれだけ民意を反映していないと言えます。 その結果、有権者が自分の票が死に票になるのを嫌い、雪崩を打って勝ち馬に乗ろうとする「バンドワゴン現象」を加速させ、特定政党の大勝をもたらしています。これも民意の反映に歪みをもたらしています。 また、二大政党制の弊害として、二大政党だけに焦点が当たって、二大政党以外の主張がほとんど伝えられず、少数政党の「政治参加の自由」を妨げる要因となっています。 さらに、ねじれ国会による政治の空白も生んでいます。このような不安定な国家運営では国民の生命・安全・財産を守ることは出来ません。当然、参議院不要論も出ています。 いずれにしても、「一票の格差」の是正のみならず、そもそも、「日本の国家運営が出来ているのか」という問いかけが厳しく突きつけられるべきです。 国会が機能不全化している現状こそが、「一票」の価値が無駄にされ、主権者の権利が踏みにじられていると言え、そのことこそ、最大の「憲法違反」であると言えます。 小選挙区制が実施された1994年から、2013年の衆参両選挙でおよそ20年の節目となります。 日本の国益を守り、日本国民の生命・安全・財産を守る職責を果たす政治家の選出と小選挙区制を含めた選挙制度を根本的に見直す必要があるのではないでしょうか。 今、真に「一票」を本当に価値のあるものとすることこそが問われているのです。(文責:小川俊介) 小手先の復興増税が、日本を滅ぼす 2011.09.30 政府・民主党が提出した「復興増税案」が迷走しています。 例えば、「政府・民主党は27日に増税以外の財源を2兆円上積みして7兆円とし、増税額を9.2兆円に圧縮する方針で合意したが、28日に政府内から増税圧縮に慎重な発言が出たため混乱。 野田佳彦首相と民主党の輿石東幹事長らが同日急きょ会談し、最終的な増税額は9.2兆円とする方針を確認したが、増税以外の財源を2兆円上積みできる保証はない」(毎日新聞9/29)と報道されています。 要するに、税外収入2兆円の上積みは、あくまでも「目標」であり、実現する保証はないということです。 「税外収入」とは、端的に言えば、増税への批判をかわす為の“煙幕”であり、政府の復興増税を行うために、政府も努力しているところを見せる口実だということです。事業仕分けと同じくパフォーマンスだと言わざるを得ません。 更に問題なのは、その中身です。急きょ盛り込まれた「税外収入2兆円」の中身は、政府保有株式(日本たばこ産業(JT)1.7兆円とエネルギー関連企業7000億円)の売却です。 「エネルギー関連企業」とは、国際石油開発帝石や石油資源開発などで、海外の石油・天然ガスの鉱区を取得し、開発・生産を行い、日本のエネルギー政策の一翼を担っています。 世界的に資源獲得競争が激しくなる中、エネルギー関連会社の株式の売却は、“国家の生命線”となるエネルギー安全保障に大きな損失を与えかねません。 しかも、原子力発電による発電が削減され、石油やガス等の資源確保の必要性が強くなる日本において、エネルギー関連企業の果たす役割は大きくなっています。 特に、来夏までに行われるエネルギー基本計画の見直しに向けて、エネルギー政策の戦略が未確定の中、こうした判断は拙速に過ぎます。 思いつきのパフォーマンスで、国家のエネルギー安全保障の舵取りを簡単に売り渡して良いのでしょうか? 日本のエネルギー自給率は17.6%(原子力を除くと4%)。アメリカ71%、中国93%、ロシア183%、ブラジル92%、オーストラリア233%などと比較すると、非常に低く、原油の輸入依存度も99.86%と世界第4位で、エネルギー安全保障上、非常に脆弱な状況にあります。(IEA2009年統計) 加えて、国連は世界の人口が来月末に70億人を突破することが発表しました。「国連人口基金」東京事務所の池上清子所長は「70億人の世界には世界中の協力がなければ対応できない」と述べ、今後、途上国では食糧や資源の確保がこれまで以上に深刻化する見通しを語っています。(NHK9/28) 食糧と資源エネルギーの枯渇は世界的な課題として迫っており、各国とも国策として官民一体となって食糧や資源獲得に必死に乗り出しています。 このような厳しい世界情勢を前にして、日本は小手先の財源確保のために国益を売り渡して良いのでしょうか。 幸福実現党は、復興財源としては「復興債」を発行し、日銀の直接引き受けにより、迅速かつ大規模な復興支援を行うべきことを提言しています。事実上、必要な財源分のお札を刷るということです。 国債の日銀引き受けのデメリットとして、インフレ懸念を指摘する向きもありますが、深刻なデフレが続く現状においては、絶好のデフレ脱却策ともなります。 復興増税により景気悪化が進めば、税収が減少し、更なる財源不足に陥り、復興事業が困難になることは火を見るより明らかです。 野田首相は、小手先の財源確保ではなく、厳しい国内経済情勢と国際状況を見据えた上で「日本再建」に向けた政策判断をなすべきです。(文責・小川俊介) 松下政経塾の原点を忘れたドジョウ宰相 2011.09.17 「経済成長と財政健全化を車の両輪として同時に進めなければならない。これが天上の人となった松下幸之助さんに対して私が一番やらなければならない使命だ。」 野田佳彦首相は15日の衆院本会議で、かつて学んだ松下政経塾の創設者に増税を進める固い決意を語りました。 松下氏の名を先に出したのは、質問者の渡辺喜美みんなの党代表でした。松下氏が生前に説いた「無税国家論」を引き、「厳しい経済状況のときこそ大減税で景気を直すべきだ」と、首相に減税を迫りました。 これに対して、野田首相は「松下さんは財政危機について真剣に考え、国債残高増大に歯止めをかける必要性を主張していた。今や松下さんの想定よりもはるかに深刻な状況だ」と述べ、財政健全化のため増税は避けられないとの立場を強調しました。 しかし、こうした経済が深刻な状況にある時にこそ、国は減税を行い、国民の負担を減らすべきだというのが松下幸之助氏の教えだったはずです。 野田首相は『VOICE』2011年9月号においても「厳しい経済状況のときこそ、国は大減税をして景気を直すべきだ」「国費20%削減の大ナタを振るったうえで、思い切った『救国国債』を発行し、健全経済をつくりあげる大規模な先行投資を行うべきだ」 「毎年の予算の余剰金を積み立てて、ゆくゆくはその利子収益の分配だけで税金が不要となるような『無税国家』を目指すべきだ」と松下幸之助氏の「減税による景気回復」「大規模な先行投資」「無税国家論」等の政治哲学を紹介しています。 一見、松下幸之助氏に対して敬意を表しているかのようですが、結論として「当時から実行していれば、松下流の無税国家もいまごろ実現していたかもしれない」と、国会での答弁と同様、暗に時代錯誤だと批判。松下氏の信条を全て切って捨てています。 松下幸之助氏は「無税国家」「新国土創生」など、あるべき政治の実現を志して松下政経塾を創設。ついに第1期生から初首相誕生したことを喜ぶべき所でしょうが、その理想を捨て去り「まず、増税ありき」のドジョウ宰相では、松下氏もさぞ無念でありましょう。 ※松下幸之助氏の野田首相に関する評価については、9月20日発刊『沈みゆく日本をどう救うか―野田佳彦総理のスピリチュアル総合分析―』(大川隆法著、幸福実現党発刊)の松下幸之助氏の霊言をご参照ください。 野田首相が「夢」「矜持」「情」という言葉を大切にしているのであれば、門下生として、松下氏の掲げられた理想実現にこそ、誠を尽くすべきです。 野田首相は自身の著書『民主の敵』では「消費税5%分に相当する巨額の税金が、天下り法人に流れているわけです。消費税は何%が適切かといった議論は、日本の財政を完全情報公開したうえでの話だと思います」と増税する前提として、徹底した無駄の削減と公務員改革を訴えています。 しかし、現状、歳出削減には何も手を付けず、国民の負担を無視し、財務省と一体となった「増税ありき」の姿勢に「正心誠意」は感じられません。 所信表明から4日間で見えてきた、野田首相の「正心誠意」。何か信用できない「疑念」を感じるのは私だけでしょうか。 (文責・政務調査会部長代理 小川俊介) すべてを表示する « Previous 1 … 4 5 6