Home/ 野村昌央 野村昌央 執筆者:野村昌央 HS政経塾6期生 日本を取り巻く国際情勢は激変――憲法改正で国防強化を 2018.05.02 日本を取り巻く国際情勢は激変――憲法改正で国防強化を HS政経塾 第6期卒塾生 野村昌央 ◆時代の要請に応じて改正されてきた主要国の憲法 本日は「憲法記念日」です。71年前の1947年5月3日、日本国憲法が施行されました。 憲法記念日は、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」日として定められています。 国の成長を考える憲法記念日だからこそ、議論の渦中にある「今の憲法を守り続けるべきなのか、それとも、憲法改正を行うべきなのか」を皆様と考える機会にさせていただければと思います。 日本の憲法は施行された71年前から全く書きかえられていません。 確かに、憲法は国の規範であることは間違いありません。ですが、国家の存続のためにその規範を改めることが必要であれば、十分に議論すべきことだと考えます。 世界の憲法は時代の要請に応じた形で改正されていることを皆さんは御存じでしょうか? 主要国を見ても、戦後、アメリカで6回、カナダで19回、フランスで27回、イタリアで16回、ドイツで59回の憲法改正が行われています。 ◆北朝鮮の脅威、その先にある中国の覇権主義 実際に、日本が置かれている国際情勢は大きく変化しています。 4月27日に南北首脳会談が行われ、南北の両首脳は笑顔で握手、緊張緩和を演出し朝鮮半島の「完全な非核化」を目標とすると宣言されました。 しかし、いつまでに、どのような方法で実現するのか明確になっておらず、過去、何度も裏切られてきた北の非核化交渉の歴史を見れば、半島情勢が話し合いで解決するとは思えません。 また、5月下旬から6月には米朝首脳会談が実施されます。しかし、核ミサイルの脅威にさらされている当事者の日本が蚊帳の外にいるのが現状です。 金正恩委員長に任期はありませんが、トランプ大統領の任期は長くとも2期8年間です。 平昌オリンピックからの融和路線を東京オリンピックまで続け、トランプ大統領が支持率を落として最初の任期である4年間で退陣すれば、金正恩は、近い将来米国からの圧力をかわすことが可能になります。 さらには、北朝鮮の騒動は、中国の覇権主義の隠れ蓑となっていることを忘れてはいけません。 習近平氏は米中共同記者会見で「太平洋には中国とアメリカを受け入れる十分な空間がある」と発言しています。 中国は北朝鮮を抑える振りをしながら、その狙いは、米中で世界を二分する意図をもっています。 ◆現在の国内政治は週刊誌政治 日本は間近にその危険にさらされていますが、国内政治はまともな議論もできない状況です。 森友問題・加計問題・防衛省の日報問題と、同じ問題でもう一年以上も国の命運を決める国会が振り回され続けています。 そこには大局観はなく、スキャンダルをマスコミがつついて、それに乗じた野党が積み木崩しのように安倍政権を崩そうとしています。 まるでマスコミや野党が結託して国会で政治日程に乗りつつあった憲法改正の議論をつぶそうとしているように見えます。 まさに、週刊誌で政治が動く「週刊誌政治」と言えるのではないでしょうか。 ◆加憲ではなく9条の改正で国防を強化 そもそも憲法とは一体何のためにあるのでしょうか。 よく言われるのは、「権力を縛る」役割です。「国家権力の暴走を抑止し、国民の権利を守るために憲法がある」ということです。 しかし、国家から国民の安全を守る力をも縛ってしまえば、国は周辺国に翻弄され続けることとなります。それでは主権ある独立国家とは言えません。 また、「国防の強化」は、「日本国憲法の特徴のひとつである『平和主義・戦争放棄』をダメにする」という意見もあります。 日本が平和主義を謳っていても、もしも平和を脅かす相手が現れた場合には平和で居続けることはできません。国が滅びることを黙って見ているのも平和主義と言えるのでしょうか。 日本が国防のあり方を世界標準に合わせ、北朝鮮や中国に悪を犯させないようにしてこそ、本当の平和主義ではないでしょうか。 やはり、憲法において自衛権の保持を明確にするべきです。「自分の国を自分で守る」ことは主権国家として当たり前の姿なのです。 他国の脅威に国民の安全が脅かされるならば、国のリーダーは毅然とした態度で国家を守る気概を示さなくてはなりません。 憲法9条に第3項を付け加える安倍首相の加憲案は、憲法に政府解釈を書き込むだけで現状と何も変わりません。 これでは北朝鮮と中国の狙いを阻止し、平和を守り続けることはできません。 幸福実現党は、憲法9条を改正し、国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる国防軍の組織を、明記すべきだと訴えています。 私達は今後とも一貫して国防の議論を喚起してまいります。今後とも幸福実現党へのご支援の程、よろしくお願い申し上げます。 民間力を活かした働き方改革を! 2018.04.13 民間力を活かした働き方改革を! HS政経塾 第6期卒塾生 野村昌央 ◆進む働き方改革の議論 政府は4月6日、今国会で最重要法案と位置付けていた「働き方改革関連法案」を閣議決定しました。 昨年(平成29年)3月には、安倍首相が議長を務めた「働き方改革実現会議」により、「働き方改革実行計画」がまとめられています。 この計画では「非正規雇用の処遇改善」「賃金引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」などの分野についての方向性が示され、現在まで様々な検討が進んでいます。 本稿では「柔軟な働き方」に注目してみたいと思います。 柔軟な働き方の主な内容は、「副業・兼業」「テレワーク」の促進です。(厚生労働省HPより) 副業・兼業を推進することで、一企業の仕事に捉われず幅広く能力を発揮し、同時にスキルアップを図りたいという労働者のニーズに応えることが目的とされています。 また、テレワークとは「情報通信機器を活用した在宅勤務」のことです。在宅での勤務を促進することで、育児や介護と仕事の両立をしやすくする目的です。 ◆柔軟な働き方改革の問題点 これらの改革の、新たな働き方を提案している点については評価できるでしょう。しかし、「仕事の成果ではなく、就労時間に着目していること」に根本的な問題があるように感じられます。 これらの柔軟な働き方は、残業ゼロという考え方をベースとして、労働力を最大限活かすことを想定していますが、残業時間の規制を強化することによって生じる懸念点が2点あります。 1点目は超過した労働時間については嘘の報告をすること。2点目は残業がゼロになることによって、所得の減少が起きることです。 これを補てんするのが「副業・兼業」ということになります。企業自身の仕事の効率化がうまくいかないまま残業規制が強化されれば、被用者の所得は減少し、企業の業績も低下します。 そうなれば副業を余議なくされ、副業のために在宅勤務をしやすくするということになってしまえば、本末転倒といえるのではないでしょうか。 実際に、企業側からは「残業禁止は逆効果である」との意見も出ています。 ◆民間の努力によってこそ多様な働き方ができる 働き方改革については、民間の努力によって成功している例もあります。 例えば、病院です。病院では、医師や看護師の地域偏在による人手不足に悩まされていますし、そもそも女性職員が多いため、一人一人の職員の事情に合わせた働き方のニーズに応えなければなりません。 そこで、フルタイム勤務のほか、就労時間帯や短時間勤務の要望に応えることで子育て中の女性医師が働きやすい環境を整えている病院も増えています。 短時間勤務を利用してもらうことが、子育てが落ち着けばまた戻ってきやすい環境にもなっています。 さらには、こうした働き方に対する周囲の職員の理解も重要です。職員のスキルアップの機会や、能力を発揮する機会を多く設けていくことで、働きやすい環境と同時に、働きがいのある環境も整える工夫がなされています。 ◆規制緩和から民間の力を活かした働き方改革を また日本の労働法は、正社員の解雇に対する規制が強くなっています。 しかし、この正社員の保護が、正社員として雇うことを企業に躊躇させている面もあるのではないでしょうか。 過去記事『「仕事は幸福」という価値観に立脚した労働法制を!』参照 http://hrp-newsfile.jp/2015/2108/ 奴隷的な過重労働は無くしていかなくてはなりません。 しかし、一日8時間労働という言葉に囚われて一律に残業を無くし、経済を衰退させかねない本末転倒の規制強化を行うのではなく、様々な雇用形態を促進し、雇用の流動性を高めていくなかに働きやすい社会が実現されていくのです。 【参考資料】 厚生労働省HP「柔軟な働き方に関する検討会」 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=482129 広島県三次市における避難訓練等の口頭陳述 2017.06.27 広島県三次市における避難訓練等の口頭陳述 幸福実現党 広島第3選挙区支部長 野村まさてる ◆広島での初の口頭陳述 先日、広島県内の各自治体に提出した「北朝鮮ミサイルに備えた避難訓練等の実施を求める陳情」ですが、三次市議会から、「総務常任委員会で審査が行われる事になったが、書面にない追加の趣旨説明と質疑応答を行う事ができるがどうするか」という連絡がありました。 広島県で初めて公の場で市議会議員に直接避難訓練の必要性を訴えるまたとない機会であるため、出席する旨を申請しました。 今回提出した陳情書は、当該議会の議員の署名などがない要望書であったため、審査を行うかどうかは任意だったようです。 また、特定政党からの要望である事や、提出者(筆者)が当該地域に住所がないなどの理由から、委員会では審査に否定的な意見もあったと聞きました。 そのような中で審査が行われたという事は、避難訓練の必要性を多くの市民が認識しているという事でもあります。 ◆委員会での陳述内容について 追加の趣旨説明として、 「21日に北朝鮮がICBMのエンジンの燃焼実験と思われる実験を行っていること」 「憲法前文にある『平和を愛する諸国』とは言えない国家が近隣に存在すること」 「東日本大震災時に避難訓練を行なっていた児童が助かったこと」 「想定外を無くし、万が一に備える事は行政の務めであること」 を伝えました。 質疑応答では、予想していた「不安を煽る事になる」などの意見は出ず、 「避難訓練以前にできる事もあるのではないか」 「他の自治体では避難訓練を実施しているか」 「県内の他の自治体にも陳情書を提出しているのか」 「政府には働きかけているのか。返答はあったのか」 「難民の受け入れは自治体ではなく政府の仕事ではないか」 といった質問がありました。 ◆口頭陳述を終えて 委員会での陳述の様子を記録に残そうと写真撮影を申し出ましたが、委員会の決議により却下されました。 委員会での陳述後に行われる審査は非公開との事で、委員会での採択はブラックボックスになっているようです。こうした対応は自治体によって違うようです。 やはり、自治体では具体的な対策はまだまだ進んでいませんが、陳情活動を展開することにより、地方議会へ働きかける力となります。 特に、広島では、陳情書の提出の際に「その思想は他国を刺激する」「不安を煽る事になる」などの言葉を複数の担当者から聞きましたが、陳情をタイムリーに提出する事が保守派の議員の方にその事案について認識してもらう事につながりました。 引き続き、万が一に備えて国民の安全を守る準備の必要性を訴えてまいります。 平和への一歩は「自由の創設」から踏み出せ 2017.05.09 平和への一歩は「自由の創設」から踏み出せ 幸福実現党広島第三選挙区支部長 HS政経塾第6期生 野村昌央 ウィーンで開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会に合わせて今月5日、広島県と沖縄県の高校生8人が準備委の議長を訪問しました。 訪問には広島市長と長崎市長も立ち会い、「核兵器のない平和な世界」の実現を求める署名が提出されました。署名の人数は51万人以上にのぼります。 松井一実広島市長は「核兵器保有国が核廃絶にしっかりと努力すれば、核兵器を持とうと考える国も減るはずだ」と述べました。 これを受け準備委議長は「核兵器廃絶は世界中の人の共通の願いだ。核保有国と非保有国の意見をうまく整理して、良い結論が出るよう努力する」と応じています。 準備委議長の言うとおり、核廃絶は私達の願いです。では、広島市はどのようにして核兵器を世界から無くそうとしているのでしょうか。 ◆広島市の目標は条約の締結 広島市では「全ての核兵器の実戦配備の即時解除」という目標を掲げ、「2020ビジョン」という取り組みを行っています。 2020ビジョンは目標を達成するために、NPT等での国際合意を根拠として各国の政府に「核兵器禁止条約」締結に向けた交渉を求めるというものです。 そして、2020年までにすべての核兵器を解体することを目指しています。現在、加盟都市は162カ国・7295都市に上ります。 多くの都市がこの取り組みに加盟していますが、それだけで核軍縮が実現するのでしょうか。 もちろん、話し合いによって解決する道は常に開かれていなくてはなりません。こうした取り組みも無駄ではないでしょう。 しかし、現実は話し合いに応じない国もあります。 オバマ大統領時代、アメリカが世界の警察官を止めている間に、北朝鮮や中国などは軍備増強を進め、核開発を進めています。 しかも、これらの国は日本や周りの国に対して否定的な考えを持っています。 ◆中国や北朝鮮に「自由の創設」を 北朝鮮では一部の特権階級を除き、国民には自由がありません。 幸福実現党創立者の大川隆法総裁は、著書『危機の中の北朝鮮』で、北朝鮮の取るべき舵について、金正恩に対して次のように指摘しています。 『危機の中の北朝鮮』大川隆法著/ 幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1850 「『戦わずして潔く負けを認める』ことも、トップにまだ仁徳があることを証明することにもなる。今がその時ではなかろうか。」 トランプ大統領はシリアやISへの爆撃で示してきたとおり、北朝鮮の挑発に対しては行動で応えるでしょう。そうなれば金正恩政権は核兵器を捨てなければ政権が存続できる道はありません。 また、中国も日本の各都市に核ミサイルの照準を合わせていると言われています。 私達は、武器を捨てて平和を訴えても、自国の権益を拡大するために他国を脅かそうとする意図を持つ国を抑えることはできないということです。 平和を訴えるにしても、その間に軍事拡張を押しとどめる抑止力を持たなければなりません。 同時に、核兵器の廃絶を実現するためには、こうした覇権主義的な核保有国の民主化・自由化を進めなくてはなりません。 つまり、核廃絶のために具体的にできることは、この世界の至るところに「自由の創設」を実現するということです。 中国の人達も平和を望んでいます。中国の体制が、共産党の独裁から民主政治に変わることができれば、世界から核兵器を廃絶する道が見えてくるはずです。 ◆想定外は許されない 現在、ミサイル攻撃が現実に起きる可能性があることは明らかで、現実になった時には想定外という言い訳は通用しません。 もしもの時に国民を守るための備えは政府や自治体にしかできません。 話し合いの道は開きつつも、日本は核抑止力を持って中国の覇権主義を押しとどめつつ、中国内部からの民主化革命を後押しすることが、人権弾圧をこの地上から無くし、平和裏に核廃絶を実現する理想的かつ現実的な方法なのです。 相続税と遺留分制度の廃止で日本を元気に! 2017.03.23 HS政経塾 第6期生 野村昌央 ◆改めて見る、相続税改正 平成27年から相続税法が改正されました。 改正された内容のうち、基礎控除については、「5000万円+(1000万円×法定相続人数)」から「3000万円+(600万円×法定相続人数)」に改正されています。 これによって、相続税が適用される人が増え、課税対象者は全人口の4%程度から8%になりました。実質的な増税です。 日本における相続税の税収は、平成5年度の2兆9000億円をピークとして、平成27年度には約1兆5000億円と減少が続いていました。 平成27年に相続税が改正され、平成28年度の相続税収は約1兆9680億円と増加しています。 しかし、相続税収は全体の税収に対して約2%しかありません。それに比べ、相続税があることの弊害は大きなものがあります。 ◆相続税のもとにある思想 平等の面を強調すれば、相続税を100%にすることで誰もが平等な人生のスタートを切ることができると考える方がいますが、そのような考えは行き過ぎた個人主義ではないかと筆者は考えます。 人間は家族を持ち、社会を形成して、互いの自由と権利を脅かさないために法律というルールを設けて生活を営んでいます。 家族に対して、有形無形にかかわらず、自分自身が人生で得てきた財産を残していきたい、引き継いでいきたいというのはごく自然な考えではないでしょうか。 もし、相続税を100%にして、そうした家族や近しい人での助け合い(互助・共助)を否定してしまうのであれば、ゼロから始める自助と、公助しかない社会になってしまいます。 そしてそれは、マルクスの言った社会主義思想に他なりません。 そうではなく、私有財産を認め、チャレンジして成功する人を称えることのできる社会でなくてはなりません。 他の人が成功できるということは、もちろん自分自身も成功することができる社会だからです。 そして、公的な支援に頼るのではなく、騎士道精神をもってよりよいコミュニティを築いていくことができる社会を目指さなくてはなりません。 また、相続税や贈与税は、所得再分配の思想をもとにしています。格差を否定し、努力し、チャレンジして成功することをも否定することにつながってはいけません。 ◆遺留分制度で家族の絆が奪われる なにより、相続税のために、子供が親の面倒を見ることが少なくなっている面があることを政府はしっかりと考えなければなりません。 例えば、遺留分制度があるために、親の面倒をみなくても、つながりがなくても、その財産を相続する権利があります。 どのように家族と交流を持とうが、社会福祉で生活することができ、相続も変わらないのであれば、子供は安心して親と別居します。 また、相続税があるために、家や土地を売らざるを得ず、お金で配分するということもあります。これでは家を持つ、家族で支え合って生きるということができない社会と言えます。 ◆家族の絆を深め、機会平等の社会を 生きて働いている時に所得税などの税金を納めてきたにも関わらず、死んでからもまた税金を取ることに、正当性があるのでしょうか。 憲法29条には「財産権は、これを侵してはならない」とあります。相続税は憲法に明記されている権利を侵している可能性があります。 この根底には、「お金は個人が持つのではなく、国が管理して、みんなのためにと考えたことに使うのが正しい」という社会主義思想の価値観が入り込んでいると言っていいでしょう。 遺留分制度が存在し、相続税がとられるということは、長い目で見れば日本には伝統的で文化的な価値のある家屋や資産は残りません。 家を大切にすることも、家族のつながりを大切にすることも無くなる、ということになりかねないのです。このような、国家が家庭の文化を破壊する相続税を廃止し、家族の絆と文化を守りながら、すべての人にチャンスが開かれる社会にしていかなくてはなりません。 リビングウィルの法制化で尊厳ある生き方を 2017.01.31 広島第3選挙区支部長 HS政経塾6期生 野村昌央 ◆リビングウィルとは? 2016年2月、「リビングウィル」の法制化を検討する超党派の議員連盟が、いわゆる「尊厳死法案」の国会への提出に向けて東京都内でシンポジウムを開きました。 「リビングウィル」とは「生前意思」のことで、自らの死後に資産をどうするか、葬儀はどのように行って欲しいかなどを記した遺言状の一種です。 その中でも、終末期の医療における意思表示に関し、法制化するかどうかの議論が行われています。 上述のシンポジウム後には、参院選を控えていたこともあり、議論を呼ぶことが懸念される尊厳死法案は国会に提出されませんでした。 終末期の医療における意思表示の法制化の議論では、「もうこれ以上治療の手立てが無い」患者の延命医療を施すのか、また、継続していくかの判断を、あらかじめ自分自身の意思表示をしたものに法的実行力を持たせるかどうかが検討されています。 医療技術の進歩によって、それまでは生命の危機となるような状況であっても、人工呼吸器や人工心肺などの装置の使用や、胃瘻を行うなど栄養することによって、生命を維持することができるようになってきました。 しかし、同時に、肉体機能を維持しているものの、意識は戻らず回復の見込みはない、衰弱していくのを待っているだけという患者も増えてきました。 ◆延命医療の現状と法制化についての議論 2007年に厚労省から発表された終末期医療に関するガイドラインでは、「本人の意思表示」を優先して治療方針を決定することが示されていますが、あくまでガイドラインであるため、各々の病院の方針や家族の要望によっては尊重されない場合も考えられます。 また、本人の意思表示が示されていない場合には家族が本人の意思を推定することになっていますが、一旦延命措置を始めてしまうと本人が苦しんでいたとしても、その機械を外すことになかなか踏み出せない場合もあります。 平成24年度に内閣府が実施した調査によると、「延命のみを目的とした医療は行わず自然にまかせてほしい」という回答が91%でした。 しかし、リビングウィルの普及率は3.2%というアンケート結果も出ています(平成26年「終末期医療に関する意識調査検討会)。こうした状況を鑑みても、リビングウィルを法制化することでしっかりと本人の意思を尊重できる環境を整えることも検討する時期が来ています。 リビングウィルの法制化については、「そもそも病気を抱えて生きている人の医療機器を外させるのか」「新たな治療法が後から開発されたらどうするのか」「自殺幇助になるのではないか」などの反対する意見があります。 やはり、あくまでも「これ以上治療の手段が無く、尊厳を持って生きられない状態になった時に、延命医療を行うかどうか」の意思表示について法制化し、上述した反対意見のような状況は起こらないようにするべきです。 ◆安心して人生を生き切る 自らの人生の終末期の治療方針をどう望むか、延命医療に関してどう考えるかについて、やはり自己決定権は持つべきであると考えます。 実際、法制化が進んでいる国では、遺言状と同じようにリビングウィルの普及も進んでいます。こうした状況は自分自身だけでなく、家族にとっても安心できるものです。 また、リビングウィルを用意することで、多くの方が尊厳を持って人生を生き切るということに関心を持ち、この世での人生を終えた時にスムーズなあの世への旅立ちを迎えていける方が増えていくことを願っています。 ※「“人生の最終段階における医療”の決定プロセスに関するガイドライン」(2015年 厚生労働省) ※「高齢者の健康に関する意識調査」(平成24年度 内閣府) ※「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(平成26年 終末期医療に関する意識調査等検討会) 幸福実現党「日本を変える!123の政策」より http://publications.hr-party.jp/files/policy/2016/008/origin/all.pdf ■終末期 はあの世に旅立つための準備期間と捉え、苦痛の期間を延命治療によって過度に長引かせることなく、幸福に旅立つ権利を尊重します。 ※ 人間の本質は、神仏によって創られた霊的存在であり、魂である。この世に生まれ、さまざまな経験を通じてつかんだ学びを持って、あの世に還る――その繰り返しのなかで、人間は魂の向上を目指しているという人生観のこと。 混合診療の解禁から医療産業の発展を 2016.12.13 HS政経塾 第6期生 野村昌央 ◆4月に創設された「患者申出療養制度」 皆さんは「混合診療」という言葉をご存じでしょうか。 医療保険の効かない医療行為(自由診療)を行う時、保険が適用される医療行為(点滴や入院費用など)を一緒に受けることを「混合診療」と言います。 これまでは混合診療は一部しか認められておらず、自由診療を受ける場合は、保険が適用される医療行為も全額自己負担となっていました。 今年2016年の4月から「患者申出療養制度」が創設され、保険の効かない先進医療などについて患者の希望を起点とした申し入れから、厚労省の審査を経て混合診療の承認を得ることができるようになりました。 医師会などからは、「混合診療の拡大につながる」と懸念が示されてきましたが、こうした反対などから、まだまだ混合診療の解禁は遠いというのが現実です。 ◆混合診療で考えられるメリットとデメリットは? なぜ混合診療の拡大は懸念されるのでしょうか。 混合診療の拡大で、「医療では患者側は医師の勧める治療が効果的かどうか判断できないため、よけいな医療行為が増える」「粗悪な医療行為が保険診療と一緒に行われる可能性」「自由診療を受けられる人と受けられない人の間に医療格差が生まれる可能性」などのデメリットが生じると言われています。 しかし、混合診療の規制緩和はがんじがらめの規制でガラパゴス化していると言われる日本の医療産業の発展に不可欠です。 混合診療の規制緩和によって、自由診療を受けるための患者負担が減ると同時に、自由診療部分におけるサービスの多様化が可能となれば、自由診療部分における市場が活性化していきます。 市場の活性化によって様々なニーズに応える医療機器や新薬の開発、サービスの向上、医師の技術の向上などが期待されます。 また、自由診療分野の民間保険の市場も拡大していきます。 ◆デメリットは解消できるの? まず、医療の質を評価するための情報公開を進めます。 現在公開される情報は、平均在院日数や救急受入件数などのプロセス部分での評価指標がほとんどです。 例えば「○○の手術件数」や、所属医師の実績を公開することで、医療機関の質の評価をできるようにします。 こうした情報が公開されることで、保険会社が医療機関の不正や経営努力を怠っていないかどうかを監視できるようになります。 これによって保険会社を通じて「どの医療機関がよいのか」を知ることができます。 同時に、中医協などの機関が不正を監査し、罰則規定を設けることで、数字の改ざんなどの医療機関と保険会社の癒着を防ぎます。 混合診療拡大での医療格差の問題については、自由診療を受けやすくなるという点では共通しているため、日本においては大きな問題とはならないと考えられます。 ◆混合診療の解禁から医療産業の発展を このままでは、日本の医療費負担はさらに増えていきます。しかし、財政難から将来的に医療保険の範囲は小さくなっていくと予想されます。 医療制度のあり方を見直し、産業を成長させ、自助努力と健康増進を基礎とした抜本的な制度改革を行っていかなくてはなりません。また、社会保険制度と福祉制度を一緒くたにせず、分けて考えることも必要です。 混合診療の拡大は日本の医療産業のサービスの多様化と市場の拡大という点において、発展の道を拓きます。 そのためにもまずは、一定の機能を有する病院、例えば臨床研修指定病院などで混合診療を認めていくことから始めていく必要があります。 これによって選択の自由を拡大し、医療産業の活性化を行っていくべきであると考えます。 「規制緩和で医療を輸出産業に」 http://hrp-newsfile.jp/2016/2946/ 規制緩和で医療を輸出産業に 2016.10.25 HS政経塾 第6期生 野村昌央 ◆問われるこれからの社会保障制度 21日に行われた経済財政諮問会議で、安倍首相は「医療費抑制の改革の具体化に向けた検討を加速する」よう、塩崎恭久厚生労働相に指示しました。(10月22日付・日経新聞より) 増加する社会保障費のなかでも医療費の伸びは著しく、平成27年度の医療費は41.5兆円となっており、前年度に比べ1兆5000億円増となりました。医療費の抑制策としては、最近では高額がん治療薬のオプジーボが緊急的に薬価を引き下げる方針となったことが話題となりました。 医療制度改革はこれまでにも行われていますが、その中身は給付額の削減や、保険料や医療機関窓口での自己負担の増加といった、今ある制度の枠組みの中での対応策であり、今後、安倍首相がどこまで医療改革を断行できるかが注目されます。 ◆日本の医療産業は規制だらけ 日本の医療は国民皆保険とフリーアクセスを特徴とし、全ての国民が等しく、どこでも医療を受けられる制度となっています。 どの医療を保険の効くものとするかは、中央社会保険医療協議会(中医協)によって定められ、保険収載を認められた医療行為が保険医療機関(病院等)で医療サービスとして受けられるようになっています。 また、一つひとつの医療行為に対する診療報酬(保険会社から医療機関へ支払われる保険給付)や薬の価格(薬価)も、中医協の議論を踏まえて厚生労働大臣が決定する制度が採られています。 様々な規制があるため、例えば混合診療の禁止(保険の効く医療サービスと、保険の効かない医療サービスを一緒に受けた場合、保険が効く医療サービスも全額自己負担となる)などから、海外では既に実用化されている先進医療を受けたくても、それを受けるためには様々な障壁があるのが現状です。 医療には高度に専門的な知識や技術が必要であるため、医療提供者と患者の間に医療に関する知識の差(情報の非対称性)が生じます。そのため、自由競争に任せると、本当は必要でない医療サービスであったとしても、それが不必要なのかどうかが患者にはわからないまま、医師の勧める医療サービスを受ける(モラルハザード)などの問題が起きる可能性があります。 これらの問題を防ぐことを目的として、日本の医療産業には様々な規制があるのです。 ◆医療制度改革で医療を成長産業へ しかし、平等に医療を受けられる社会を守るという目的のためとはいえ、採算のとりようがない今の枠組みのままでは、増税と国債発行による社会保障費の補填に頼り、将来世代にツケを回すだけです。 また、規制にがんじがらめでは医療資源の効率配分も難しく、ムダが生じます。このままでは、最短5年で医療制度は破綻するとする専門家もいます。「医療費抑制」という考え方のままでは、結局は医療保険の適用範囲の縮小などが行われることになると考えられます。 ただ制度の縮小を待つのではなく、「どうすれば医療産業が活性化するか」という視点を持ち、個人の選択の幅が広がり、より質の高い医療サービスを受けられるようになり、世界の人達が日本の医療を受けに来られるような輸出産業にしていく方向にシフトしていくべきではないでしょうか。 そうした改革に向けて、動き出している自治体もあります。愛知県では「国家戦略特区」への提案として「あいち医療イノベーション推進特区」というものがあります。 これは、名古屋大学医学部付属病院を国際医療拠点として「病床規制の特例」「外国人医療従事者の受け入れ」「保険外併用療養の拡充(混合診療の推進)」「医療機器分野への新規参入の促進」などの提案をするものです。 これらの規制緩和によって、愛知県は医療を国際競争に耐えうるものとし、優れた医療や医療機器の新たな市場を創造する「医療イノベーション」を推進しようとしています。 医療費抑制を目的とした今までの枠組みの中での医療改革ではもはや対応しきれなくなってきていることをしっかりと認識する必要があります。愛知県の医療イノベーションの提案のように、医療産業を成長産業としていく道を拓いていくことが、日本の医療を守ることにもつながっていくのです。 東京裁判史観を越え、日本の誇りを取り戻す 2016.08.30 HS政経塾 第6期生 野村昌央 ◆目的を知らなければ教訓を活かせない 毎年夏になると、テレビや新聞で戦争についての番組や記事が見られます。かつてあった戦争の体験を忘れず、語り継いでいく事は大切でしょう。 ですが、本当の意味で平和の実現に向けて行動するためには、戦争の犠牲となった人達の悲惨な体験を語り継ぐだけではなく、なぜ犠牲を伴ってまで戦争を戦ったのかを知る必要があります。 「戦争の目的は一体何だったのか」「なぜ開戦に至ったのか」を知らずに「戦争はいけない」とだけ言っても、何をすれば過去の教訓を活かせるのかが分からず、世界恒久平和の実現に向けて行動することができないのではないでしょうか。 ◆東京裁判に裁判としての正当性はない まず、先の戦争、大東亜戦争の目的ですが、GHQ最高司令官を務め、東京裁判条例をつくらせたダグラス・マッカーサー氏は1951年にアメリカ上院軍事外交合同委員会の場で、公式に「日本は自衛のために戦争に入った」事を証言しています。 そして、開戦に至った経緯について、東京裁判でインド代表判事のラダビノッド・パル博士は、日本に対する資源の禁輸措置の交渉を例にあげ、「日本と合衆国との条約が、一九三九年七月二十六日に廃棄されたので失効になったとき、日本に苛酷な経済的重圧が加えられた。禁輸が有効になったときの貧目標ならびにその日付を一瞥しただけでも、この措置が日本の民間人の生活にも、どれほどまでの影響をおよぼしたかが明らかになるであろう」としています。 そして制裁解除のための交渉について、「もし交渉が、当事者のだれでも、準備の時間を稼ぐ目的だけに図られたとみなしうるならば、時間を稼いだのは日本でなく、米国であったといわざるをえない。両国のそれぞれの資源を思い出して見れば、日本は時間の経過によってうるものはなにもなかった」と述べています。 つまり、資源供給が断たれた日本は自衛のために、アメリカを牽制しつつ、当時オランダ領であったインドネシアに資源を求めたというのが開戦に至った経緯です。 過去の教訓に学ぶとすれば、日本はエネルギー資源の自給と安定供給を万全にしなければならないということでしょう。 パル博士は東京裁判で判事を務めた後、国際連合国際法委員会議長に二度選出されています。また、東京裁判を批判する海外からの声はパル博士以外にもあります。 ハンキー元英国内閣官房長官はその著『戦犯裁判の錯誤』の中で、「パル判事は絶対に正しい」と述べています。 また、アメリカのロバート・A・タフト元上院議員は「勝者による敗者の裁判は、どれほど司法的な体裁を整えてみても、決して公正なものではありえない」と述べています。 ジョージ・ケナン国務省政策企画部初代部長も「そういう制裁は戦争行為の一部としてなされるべきであり、正義と関係ない」と東京裁判を非難しています。 ◆誇りを持って共存共栄の道を歩む 以上のように、東京裁判で作られた歴史認識は非常に一面的なものであり、フェアではありません。先の戦争の悲惨さだけでなく、その目的を知る事は、子供達の教育にとっても大切です。 自分を愛すればこそ他の人を愛せるように、自国に誇りを持って生きてこそ他国の文化も同様に敬う事ができるのです。 <参考文献> 東京裁判研究会編『パル判決書(下)』講談社学術文庫 佐藤和男『世界がさばく東京裁判』明成社 田中正明『パール判事の日本無罪論』小学館文庫 渡部昇一『「パル判決書」の真実』PHP研究所 原爆投下が戦争を早期終結させたのではない! 2016.05.24 文/HS政経塾6期生 野村昌央 ◆近づくオバマ大統領の広島訪問 いよいよ伊勢志摩サミット終了後の5月27日、オバマ米大統領が広島を訪問します。実現すれば世界で唯一の核兵器使用国の大統領が、現職大統領としては初めて被爆地を訪れることになります。 オバマ大統領は「核兵器のない世界」について言及すると見られ、世界中が広島に注目しています。 2009年4月にオバマ大統領がプラハで核兵器廃絶の演説を行ってから7年が経ちます。その間、2010年の「核体制見直し」の表明や、イランの核開発を遅らせる合意などに取り組んできました。 しかし、今年1月に行われた北朝鮮の4度目の核実験では、北朝鮮は核の小型化に成功したとみられており、東アジア地域での核の脅威はむしろ大きくなっています。 そうした中で日米だけが核のない世界を訴えても、中国や北朝鮮は応じません。むしろ喜ぶだけでしょう。 ◆原爆投下の正当化は将来に禍根を残す 来日に先立ってオバマ大統領はNHKとのインタビューを行いました。 インタビューの中で「(広島訪問での)メッセージに広島への謝罪は含まれるか?」という問いに対し、「含まれない。戦争のさなかにある指導者は、あらゆる決定を下すとの認識が大切だ」と答えています。 「戦争における指導者の決定に対して疑問を呈し検証するのは歴史家の仕事である」とインタビューでは続けていますが、原爆投下による大多数の民間人に対しての無差別攻撃は当時においても国際法違反です。 これをアメリカ大統領が正当化することによる国際社会への影響は甚大です。確かに、現職の大統領が原爆投下の過ちを認めてしまえばアメリカ国内での若者の愛国心が揺らいでしまうなどの懸念はあります。 しかし、今後、広島や長崎のような被爆地をつくらないためにも、民間人への無差別な大量殺戮は正当性を持ちえないということをはっきりさせるべきです。 ◆日本は和平交渉を続けていた アメリカ国内では原爆投下は「戦争を早期終結させた」という見方が多数となっていますが、広島でも「原爆の惨禍は恐ろしいことだが、原爆投下によってそれ以上の犠牲者が出ずに済んだ」と認識している方が少なからずいます。 しかし、本当に原爆投下は戦争を早期終結させたのでしょうか。 フーバー元大統領が著した『フーバー回顧録』によると、1945年2月のヤルタ会談の時期に、既に日本は和平についての打診を中立国であるスウェーデン公使に要請していました。 そうした日本の動きを受けて、7月のポツダム会議が行われています。日本側に和平の準備があった事を連合国側も把握していたのは明らかです。 また、どんな事情にせよ長崎による二度目の原爆投下は必要ありません。 ◆自虐史観を脱し、抑止力としての核配備を 核兵器の惨禍を二度と繰り返さないためには、「原爆投下は民間人に対する無差別攻撃であり、国際法違反である」という認識をしっかりと持つことが重要です。 同時に、原爆が戦争の早期終結をさせたというアメリカによる国内外の世論を説得するためのレトリックを打ち返していく必要があります。(ただし、昨年夏の米国内の調査では、若年層のうち45%が「原爆投下は間違いだった」とした。) 真に「核兵器のない世界」を目指すのであれば、日米の協力関係が不可欠です。 公正な歴史認識を持つことによって、日本は「過去に原爆を落とされても仕方ない悪行を行った国」という戦後のレッテルから解放されなければなりません。 そして主権国家として明確に自主防衛体制を築きつつ、日米同盟の片務性を解消するべきです。さらに独裁国家の核の暴発を防ぐための核抑止力を持つ必要があります。 日米が同盟国としての協力関係を堅持することで、真の平和と正義の実現を担っていく土台が整っていくものであると信じます。 すべてを表示する 1 2 Next »