Home/ 中野 雄太 中野 雄太 執筆者:中野 雄太 幸福実現党 静岡県本部幹事長 安倍晋三新総裁誕生は保守回帰の第一歩 2012.09.26 日中友好を祝っている場合ではない 9月25日は、台湾の漁船と海上保安庁との間で放水合戦が展開されました。尖閣諸島沖では、中国の漁船や監視船の接続水域への侵入も行われています。中国国内でも反日デモが過熱し、日系企業の損害は計り知れないレベルとなりました。また、同時に日本から中国への旅行もキャンセルが相次ぎ、旅行業界にも悪影響が出ています。 日本人や日系企業に対する異常なまでの嫌がらせや略奪・破壊行動がある中、旅行のキャンセルは当然です。また、今月末に北京で予定されていた日中国交正常化40周年記念のレセプショは、中国側からキャンセルが告げられています。 加えて、日中友好7団体の会長や鳩山元首相を含めた政治家の訪中も見送られました。鳩山氏側は「沖縄県・尖閣諸島の国有化をめぐり日中関係が緊迫している中、訪中がなんらかの影響を及ぼすのは好ましくない」とコメントしています。 しかしながら、日中外相会談は行われました。 駐中国大使の公用車に対する暴行と日本国旗盗難事件、そして尖閣諸島問題でこじれた日中関係改善を目指したいという日本政府の外交判断だというのは容易に想像がつきます。 ただし、日本政府の思いとは裏腹に、中国政府から日本側に「反省と誤りの是正」を求められました。 普通に考えれば、こうしたコメントは、日系企業への狼藉を働いている中国に対して日本政府が要求するものです。本来ならば、損害賠償請求をするなどして強い態度に出るべきですが、結局、尖閣諸島問題における継続審議を確認したに過ぎませんでした。これでは何のために外相会談なのかわかりません。 日本が反省すべき謝罪外交と自虐史観 はっきりものを言わない日本の外交を皮肉を込めて「したたか」だと見る視点もありますが、現実には譲歩に次ぐ譲歩の歴史だというのが真実でしょう。優柔不断や摩擦を回避するための安易な謝罪外交が及ぼした悪例はいくつもあります。 例えば、靖国神社参拝や歴史教科問題。 これらは、中国政府(韓国や北朝鮮も同様)の対日外交カードとなっているのが現状です。日本に対する明かな内政干渉に対して、歴代の内閣は譲歩し続けてきました。 靖国神社問題は、中曽根康弘内閣時代の1985年に表面化しました。それまで中曽根氏は首相在任中に10回も靖国神社に参拝しています。また、それまで歴代の首相の参拝に関して中国政府からの抗議はありませんでした。ところが、85年に中曽根康弘氏は、中国共産党内の内紛に巻き込まれていた友人の胡耀邦氏をかばうために参拝を自粛。以後、靖国神社問題が外交カードとなり、現職の首相による靖国神社参拝は21年後の2006年小泉純一郎首相までありませんでした。 それ以外には、南京大虐殺があります。1937年の12月、当時の南京には20万程度だったにも関わらず、最近になって日本軍によって虐殺された数は30万人になっています。 しかしながら、亜細亜大学の東中野修道氏を筆頭にした日本の学者による南京事件の解明により、中国側の列挙している写真や史実は誤りだらけで精査に耐えるものではないことが指摘されています(参考文献 『南京事件「証拠写真」を検証する』草思社)。 歴史教科書問題は韓国も絡んでいます。李明博大統領が喧伝する従軍慰安婦問題の再燃にしても、歴史的な検証をせずに発表した河野談話が日本政府の足かせになっているのは間違いありません。 つまり、中国や韓国の蛮行の裏には歴史認識問題があります。 「河野談話」や「村山談話」などの謝罪談話や、朝日新聞などが従軍慰安婦問題をたきつけたように、国内メディアによる偏向報道が問題を拡大させました。さらに、日教組を中心とした「日本は悪い国」という自虐史観の刷り込みを学校教育で行ってきたのは、ほかならぬ日本です。その意味では、日本にも責任があり、中国が要求しているものとは違った意味で「反省と誤りを糾す」必要があります。 保守回帰への第一歩 9月26日には、自民党の総裁選の決選投票で安倍晋三新総裁が誕生しました。 安倍新総裁は、上記で触れてきた靖国神社への参拝や河野談話などの完全撤廃を宣言しています。現時点、覇権主義の中国に備えて国防強化と歴史認識問題に踏み込める人材が誕生したことは、自虐史観の脱却から始まって憲法改正までの議論も可能となってきます。その意味で、安倍晋三新総裁の誕生は、我が国の保守回帰の第一歩となることでしょう。(文責:中野雄太) 魚釣島に上陸した2人の日本人の勇気 2012.09.19 波が高く決死の覚悟で臨んだ尖閣上陸 9月18日午前9時半過ぎ、2人の日本人が尖閣諸島の魚釣島に上陸をしました。今回は、筆者の取材を含めて、メディアで登場しない背景などを中心にレポートします。 中国漁船1千隻が尖閣に向けて出港、同時に領海の外側にある「接続水域」に航行するなど、早朝から不穏な動きがある中での上陸でした。 こうした厳しい現状の中で上陸したのは、鹿児島県の会社経営者であり、「薩摩志士の会」福澤峰洋(ふくざわ・ほうよう)会長。もう一人は、幸福実現党員であり、ロックシンガーのTOKMAこと椙杜徳馬(すぎのもり・とくま)氏でした(ただし、党からの指示ではなく個人として参加)。 筆者の取材では、出港当時の18日午前12時には、波の高さは2mと比較的高い状態でした。当初予定されていた船よりも大きい「第八みちたけ丸」に変更したとはいえ、石垣から北北西175kmの船旅は容易ではありません。 総勢5名による出港でしたが、「船酔いとの戦いでもあった」と述べている方もいました。 上陸した2人は、今回の出港に携わったスタッフや賛同者の名前を署名した日本国旗を携えていました。今回、やむなく同行できなかった鹿児島の地方議員も含め、一同の思いを乗せて上陸しています。 慰霊や島の掃除などを済ませ、ロックシンガーのTOKMA氏は憲法改正を明確に示した「I Love Zipang」を歌った模様です。 この歌は中国や北朝鮮の核ミサイルなどに右往左往する日本を皮肉り、国防強化をストレートに表現しています。 つまり、アーティストならではの政府に対する「抗議」を形に示したということです。 理屈を超えた行動に目を向けよ 2人の上陸に関して、中国政府は即座に声明を発表。 中国外務省洪副局長は「領土主権に対する重大な挑発行為」と強く反発しました。また、中国国内の日系企業への暴動が加速することや対抗措置をちらつかせていることも事実で、2人の上陸がさらに日中関係を悪化させるという見方も成り立ちます。 こうした状況の中で警察の制止をふりきって上陸したことへの批判もあるでしょう。 あるいは、尖閣諸島が国有化されたことで日本人の上陸も許されていないので、こうした行為は愚かであると切り捨てることも可能でしょう。 しかしながら、はっきりしているのは、尖閣諸島は日本の領土です。 日本の領土に日本人が上陸することは正当行為です。国有地に無断で入り込んだという向きもありますが、彼らはそれを知って行動し、代償も払っています。 それよりも問題なのは、領土問題そのものを避け、島の管理をろくにせず、購入後は施設の建設も行わない政府にあります。 また、今後は日本人が上陸する場合は即逮捕するということも唐突感が否めません。 一説には、中国に配慮しているとも言われておりますが、それらを無視しても、国有化するのならば管理計画の公表と利用方法を国民に提示していくべきです。税金によって購入している以上、当然の義務です。 また、中国政府は上陸者を「右翼分子」という言葉を使っていますが、彼らは右翼ではありません。正確には、愛国者です。さらに言えば、憂国者でもあります。 たとえ、状況が厳しく愚かだと言われようとも、自分の信念を曲げずに行動を貫き通したことは賞賛に値します。 実は、今回の主催者の福澤峰洋氏は、台風の影響で一時は中止も考えていました。しかしながら、9月18日には中国が来ることはある程度予想されていたこと、政府による尖閣国有化によって、今後は上陸が難しいので「最後のチャンス」だと考えていました。 同氏は、「たとえ他のメンバーが行かなくとも、自分一人でも上陸して日本人としての真意を見せたい」と、筆者に話してくれました。 要するに、彼らの行動は理屈ではないのです。百ある理論や説明よりも、行動によって示したということです。これは知行合一の精神の陽明学に通じるものです。 あるいは、明治維新の志士たちに多大なる精神的な影響を与えた吉田松陰の精神にも通じると言えるでしょう。 維新を語るなら国防から逃げるな 今年に入って、尖閣諸島に日本人が上陸したのは4件目です。一般の日本人が危機感を持っている何よりの証拠です。 こうした世相を反映しているのか、世間は「維新ブーム」です。 しかしながら、本当に現在の日本に維新を再現したいのならば、国防や安全保障問題を避けて通ることはできません。 日本維新の会になくて「幸福維新」を掲げる幸福実現党にあるのは、外交と安全保障です。今必要なのは、道州制や地域主権ではなく、国家主権です。 そして、本来ならば、一般人ではなく首相や防衛大臣などの政治家こそが体を張って領土問題や国防強化を訴えるべきだと考えます。 幸福実現党は、今回の2人の勇気ある行動に敬意を表し、今後も領土を守るべく提言を続けて参ります。(文責・中野雄太) 日本農業再生への道 2012.09.12 前回に引き続き、日本の農業問題について論じます。 日本は農業大国 先週は、カロリーベースでみた食料自給率のからくりを紹介し、米などの高関税や減反などによる生産調整により、割高な農産物が消費者の犠牲のもとに成り立っている点を指摘しました。 この食料自給率は、日本だけが国策で採用している指標であり、世界では全く相手にされていません。生産額でみれば60%を超えています。⇒TPPと農業問題 例えば、2007年のデータでは生産額ベースの自給率は66%。この数字は、米国、フランスに次いで世界3位です。さらに、農業生産額に占める国内販売シェアは1位となっています。 換言すれば、日本は欧米とは違って食料の輸入依存度が低く、国産比率が高いことを意味しています。 1位と2位の米国とフランスは生産額に占める輸出比率が高く、外需依存型の構造(それぞれ約40%、60%)であるのに対して、日本は国内市場志向が強いために高い自給率となっているのです。(浅川芳裕著『日本は世界5位の農業大国』の議論を参照)。 これまでの議論をまとめれば、日本は生産額では世界5位、生産額ベースの食料自給率では3位の農業大国だということです。 日本農業のアドバンテージ 日本の国土は南北に長く、気候も温暖で適度な湿度もあるために、農産物が栽培しやすい環境にあります。この点を強く主張しているのが、『それでも食料自給率100パーセントは可能だ』の著者である永田照喜治氏です。 同氏は、「永田農法」と呼ばれている独自の農業技術を持っており、アイデア一つで農業は再生することができることを指摘しています。 本書を読めば、永田氏の頭の中には農協や政府からの支援は微塵も感じられません。まさに、今後の理想的な農家を体現する一人であると言えましょう。 高齢化と後継者不足をどう乗り切るか ただし、現在の農業人口は減り続けており、農業従事者の高齢化と後継者問題も表面化しています。これは不可避な構造問題ですが、次のように考えることができます。 まず、農業人口減少=農業の衰退ではないこと。 現在の農業人口は約300万人。総人口の5.7%ですが、今後も減少することが予想されます。農業を維持していくためには、人口の減少を補う移民と若者や法人の農業参加が議論されていますが、移民は日本人に抵抗感が強く、現時点では選択肢にはなりそうもありません。 若者や法人の農業参加は、ようやく動き始めたばかりであり、まだまだ軌道に乗るには時間がかかりそうです(参入を促す農地法は09年に改正されたばかり)。 そこで現在ではGPS応用農業ロボットの開発が行われています。ロボットが実用化されれば、必要な作業を24時間ロボットが代替します。 天候に左右されやすい農業が、GPSの機能を応用すれば人間が働かなくとも作業ができるばかりでなく、農作物の情報を収集することもできます。実用化され、コスト面がクリアできれば、大規模化も可能となるでしょう。 しかしながら、ロボットがいつ実用化されるかは不明です。そこで大事になってくるのが、やはり人材の教育です。前述の浅川氏は、質的生産性を上昇させるために必要なことは、まず大規模化ではなく専門家(化)であると指摘します。 作物の知識、土壌の知識に通じる人材が増えれば増えるほど、生産性が上がるシステムが作れるというわけです(浅川芳裕 飯田泰之著『農業で稼ぐ!経済学』参照)。 さらに、現在の農業はものづくりのレベルで終わりません。生産の段階での研究や専門化に加え、販売や市場開拓をする必要があります。最近は交通網の発達とインターネットの普及によって北海道の農産物も容易に購入できるようになりました。 合わせて経理や財務を担当する人を雇って任せ、自分は生産と販売に特化することも可能となります。このように、現在の農業(第一次産業)はモノづくり(第二次産業)に加えてサービス業(第三次産業)の要素があるため、「第六次産業」だと言う人もいるほどです。 最後にTPPによる国際貿易の効果です。 TPP参加によって関税が下がり、海外からも安い農産品が入ってきます。当然、輸入品と競争する農家は苦しむでしょう。ただ、逆に言えば輸入農産物と競争することで、国内の農産物が勝ち残ることもあります。 私たちが「おいしくない」と感じた海外の農産物は、次第に淘汰されます。本当に生き残ることができるか否かは、最後は消費者が決めるので、貿易によって日本の農産物全てが駆逐されるわけではありません。 一方、国内では減反廃止や生産性追求を通じた規模の拡大により輸出産業へと進化し、黒字体質の強い農家が誕生する可能性もあります。要するに、TPPはデメリットばかりではなく、日本農業を活性化させる側面があるのです。 私の知人の農家は、政府の戸別所得補償に頼りません。あるいは、農協に依存することもありません。一方、最近は、「永田農法」のような新しい技術が開発されるなど、農業界にイノベーションが起きつつあるのは朗報です。 要するに、世界から賞賛される技術と品質、味覚を兼ね備えた日本農業の再生とは、農水省や農協による計画経済からの脱却であり、自由競争を通じた農業の飛躍的発展です。これが、幸福実現党が目指す農業政策の要諦です。(文責:中野雄太) TPPと農業問題 2012.09.05 消費税増税法案以外ははっきりと結論を下せない野田首相。 今週末ロシアのウラジオストクで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPP(環太平洋経済連携協定)参加表明を見送ることが決まったのが8月29日。表向きは参加に対して詳細が煮詰まっていないとされていますが、党内を中心とした反対勢力を融和するのが狙いだと考えられます。 TPPは農業問題だけではなく、国際貿易と法律論、環境問題、労働問題など幅広い論点が網羅されています。ただ、一言で言えば、TPPを通じてアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)と呼ばれる広域の自由貿易圏を創設することが最大の狙いです。2010年横浜APECでは、FTAAP実現に向けた方向性が改めて確認されました。 さて、HRPニュースファイルではTPP問題に関して、「デフレとの関連」「ISD条項」「医療制度」「知的財産権」問題を扱ってきましたが、今回は農業問題を取り上げます。 TPPに参加すると農業が壊滅するという意見があります。 農林水産省の試算では、関税や輸入課徴金の撤廃により農業生産額8.5兆円のうち4.1兆円(そのうち米は2兆円)減少するとされます。また、食料自給率は40%から14%に低下するため、食糧安全保障上問題があるとします(2011年度は39%)。あくまでも政府が対策を施さない場合の試算であるため鵜呑みはできませんが、国民に与える印象は強いものがあります。 食料自給率はカロリーベースで表示されており、1960年頃には約80%あったものが、50年後には半分にまで低下しました。 『TPP興国論』の著者である松田学氏によれば、日本人の食生活が洋風化したことを指摘しています。米や野菜中心の食生活から肉食に変わることで家畜のエサとなる穀物の輸入が増えます。この値はカロリー自給率から差し引かれます。既に、飼料用の穀物の輸入関税は低くなっているため、自給率を下げる要因になっているわけです(104p)。 実は、カロリーベースの食料自給率は日本の農水省が編み出した統計であり、他国では採用していません。本来ならば生産額の自給率を使用するのが筋ですが、対応する日本の値は66%になります!→農水省のHP参照 韓国でもカロリーベースとしての自給率は使用していますが、日本のように「食糧安全保障」という国策としては使用していません。 この点を鋭く指摘しているのが月刊雑誌「農業経営者」副編集長の浅川芳裕氏です。同氏は、カロリーベースの自給率の計算根拠を農水省に問いただしたところ、「食糧安全保障上の機密上」出せないと返答されたようです。 その裏には、農水省が日本の農業が弱いという印象を植え付け、保護を正当化している意図を感じざるを得ません。→http://bit.ly/OabdLI そして、日本の農業問題を議論するには米の減反政策に触れざるを得ません。 1970年以降から継続している減反政策により、減反面積は水田全体の約4割強にあたる100万ヘクタールにも達しました。加えて、供給を制限したことで米価は高くなっています。 『農業ビックバンの経済学』の著書である山下一仁氏によれば、減反対策で年間約2千億円、累計約7兆円の補助金が拠出されている点を指摘しています(120p参照)。 減反をやめて増産すれば、それだけで米価は下がります。加えて、余剰米は輸出にまわすこともできます。さすれば、食糧自給率向上にも有利になると思われるのですが、減反政策を撤回する方針は今のところ出ていません。 一方、世界的にも悪名高い米の関税率は778%。その代償として、日本政府は国内消費量8%にあたる77万トンの米を輸入する「ミニマムアクセス」が課されています。主な使用目的は海外への食糧援助。1万トン当たりの保管料は約1億円ですので77億円の税金が使われている計算です。過去の在庫量を入れた累計額は500億円以上にのぼります。 要するに、国民は高い米の価格だけではなく、米の保管料にも税負担を強いられているわけです。 こうした愚かな政策をするくらいなら、減反の廃止とTPP参加による関税撤廃に向けた交渉をしていく方がよほど健全です。 日本の世界5位の農業大国です。 神戸牛や松坂牛のように、海外でも売れる商品もあります。日本の農産物の品質は高く評価されており、今後も数多くの農産品を輸出商品へと変えることは夢物語ではありません。 巷間では、耕作放棄地や農業従事者の高齢化と跡継ぎ問題などがクローズアップされており、衰退産業の代名詞のように扱われていますが、議論のほとんどは農業の保護です。 むしろ今必要なのは、浅川氏が別の論文で述べているように、農業の経営黒字化のインセンティブを働かせることにあります。そのためには、競争原理を導入して補助金漬けの体質を改善する必要がありますが、TPPがその端緒となります。→http://bit.ly/PZY4mV TPPには、全参加国の同意と約10年間の協議期間が許されているのですから、過度に恐れる必要はありません。 幸福実現党としても、「日本の農業は弱い」という農業版自虐史観を脱却し、減反などの社会主義的な政府介入を撤廃していくことが不可欠だと考えます。そして、「強い農業」を実現するためにも、TPPを通じて市場競争を強めていく中に、日本農業の再生への道があると考える次第です。(文責:中野雄太) 財務省の絶対権力化を許してはならない 2012.08.29 増税の悪影響を直視しよう 8月10日に消費税増税関連法案が成立し、税と社会保障の一体改革の流れは加速していくことになります。 消費税だけではなく、所得税の最高税率の引き上げや相続税の強化も検討されています。加えて、毎年1.3兆円のペースで増加する社会保障問題があります。 本来ならば、「社会保障の選択と集中」と呼ばれるリストラがされてこそ、一体改革としての意味をなすわけですが、政府は社会保障関連の見直しを先送りし、増税だけが先行しました。 仮に今後も増税だけが先行したらどのようになるのでしょうか。 社会保障が専門の学習院大学の鈴木亘教授の見解によると、2025年には消費税率は25%程度、50年には40%近くになると主張。加えて、年金保険料の上昇が加わり、国民生活に多大な負担がかかる点を指摘しています。(4/13 産経「金曜討論」) ※ただし、鈴木教授は、消費税増税と社会保障への目的税化に反対はしているが、相続税や固定資産税と金融資産への課税強化を主張していることには注意。 大和総研の試算によれば、年収500万円の世帯では4年後には年間34万超の負担となることも明記されています。 過去の消費税増税の際には所得税減税などの軽減措置がありましたが、今年から始まった復興増税や社会保険料の上昇、そして子育て世代に重くのしかかる住民税の年少扶養控除も廃止されました。(8/11 夕刊フジ「消費税増税で年34万円の負担増!年収500万円の4人家族」) 要するに、今回は軽減措置もない純粋な増税だということであり、増税の悪影響が出るということです(これまでの動きを見る限り、日銀の金融政策が増税の緩和措置になることはあまり期待できない)。 もちろん、税金は公共サービスを運営するための必要経費です。税率が低く、経済活動に目立った悪影響を及ぼさなければ租税は適切だと言えますが、必要以上に税率が高くなると生産と消費は縮小します。極端なケースは100%の課税です。 いずれにしても、限度を超えた租税は市場経済の破壊手段になりかねません(ミーゼス『ヒューマン・アクション』748p参照)。 新聞紙上では、ようやく増税の悪影響が報道され始めましたが、まだまだ「増税やむなし」だと考えている国民はたくさんいます。法案が可決されたとはいえ、事実を伝える努力はやめるべきではありません。 財務省の絶対権力化に警戒せよ 現在、野田首相の問責決議に血道をあげている野党の自民党と公明党は増税政党です。次の選挙で政権交代が起きても、増税に反対する勢力が多数を占めない限り増税路線は踏襲、財務省の思うつぼとなります。 換言すれば、財務省は霞が関と永田町で絶大な権力を持ち始めたということです。 財務省が絶対権力を持つと、更なる重税国家となることは自明です。 そして、政治家は彼らの傀儡にしか過ぎません。既に、このような傾向は出ています。 野田政権は「直勝内閣」とも呼ばれ、勝栄次郎顧問の操り人形だと揶揄されるほどです。今後も、財務省寄りの人材=増税論者が総理となり続ければ、財務省の絶対権力化は一層強化されることになります。 政府には課税権がありますが、実質上の実務を握っているのは財務省です。財務省は選挙によって選ばれた代表者ではないため、権力が集中することは危険です。 リバタリアンの最高に位置するノーベル経済学者のハイエクは、「単一計画に役立てるように権力を集中すると、権力は単に移転するのではなく、限りなく強大になる」とも指摘します(『隷従への道』184p 東京創元社)。 また、イギリスの歴史家でもあり政治家でもあったアクトン卿は「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」という格言を残しています。 これを現代に当てはめると、財務省と政治家の癒着構造ということになるでしょう。 さらに言えば、増税で調達された資金を補助金として拠出される業界との既得権益が強化されます。永田町と霞が関、そして関連業界の「鉄のトライアングル」が形成されるわけです。 その結果、ますます政府は肥大化し、日本経済には競争力のない産業が温存されることになります。 減税路線=小さな政府への転換を 逆説的ではありますが、現在の日本の肥大化する政府を転換するには減税路線しかありません。 幸福実現党が主張する本格的な減税路線には、不要な税金を排除する「廃税」を含みます。(参照:日本で減税路線は可能か) 複雑で重い税金から、簡素で安い税金へと変えていかない限り、「財務省栄えて国滅ぶ」というシナリオが現実化してしまいます。 その意味で、「財務省からの自由」「重税からの自由」を実現するためにも、増税に反対する議員や経済に強く経営感覚のある議員ならびに候補者が国会に行かなければなりません。 幸福実現党は、その一翼を担うべく、今後も努力精進していく次第です。(文責・中野雄太) 勝栄次郎氏が財務省顧問に就任した意味とは 2012.08.22 消費税増税関連法案が8月10日に成立しました。いよいよ、我が国では復興増税と消費税増税のダブルパンチが現実化します。 増税法案の背後に財務省がいるのは明らかですが、「影の内閣」として君臨したのは勝栄次郎財務事務次官でした。 8月17日付で退任となった後は財務省顧問に就任しています。不思議なことに、勝氏の財務省顧問就任の記事や報道はほとんどありませんでした。これには何か裏があると思わざるを得ません。 容易に想像できるのは、勝氏が財務省顧問として「次なる増税」を目論んでいるということです。実際、政府側も2020年までには消費税を20%かそれ以上に引き上げたいと考えており、今回の増税は第一歩にしかすぎません。 そして、財務省はあらゆる手口を使って増税を正当化する理論武装をしています。 例えば、国民負担率という概念(租税負担率と社会保障負担率が国民所得に占める割合のこと)があります。 日本では40%(財務省のデーより、2012年度版で39.9%)です。これは、OECD(経済協力開発機構)諸国では低い部類に入ります(09年データで、32カ国中27位)。こちらを参照→財務省の「日本の国民負担率が低い」は統計のトリックである。 そもそも、国民負担率は経済学的にあまり意味がなく、増税を正当化したい財務省が好んで使用する統計の一つにすぎません。その他、国の債務水準の高さなどを理由に財政が「火の車」だと言う印象操作も同じです(拙著『日本経済再建宣言』第三章も参照)。 財務省に限らず、霞が関全般が自分たちに不都合なデータは公表しません。公表しても、公式HP上で見つけにく場所にリンクが張られています。実に狡猾なやり方で国民の知る権利を邪魔しています。 千葉商科大学大学院の吉田寛教授は、「税は略奪である」と喝破していますが、同じく略奪者が行う四つの方法を提示しています(『増税亡国論』『吉田きょう授の「公会計と均衡財政」』参照)。 第一:主権者が何者であるかを忘れさせる 第二:主権者に情報を提供しない 第三:主権者に選択肢を提供しない 第四:税制度を複雑にする 第一の論点から見てみましょう。 日本国憲法前文には、主権在民が記述されています。文字通り解釈すれば、主(あるじ)は国民であり、政治家や公務員は国民への奉仕者です。にもかかわらず、政府は国民の承諾なしに増税を決定してしまいました。 確かに、日本国憲法30条には納税の義務が明記されています。また、行政サービスは国民の税金によって運営されており、税金がなければ私たちの生活が不便になるのも事実です。 しかしながら、主権在民というのなら、課税の有無は国民の承諾を経るのが筋でしょう。国民が選挙を通じて承諾すればこそ、政府は課税が許されたことを意味します。 これが「代表なければ課税なし」の意味です。逆に言えば、国民の承諾なしの増税は「合法的略奪」だと言えます。 第二と第三は、上記で紹介した「洗脳の手口」です。 例えば、『日本経済再建宣言』にも明記したものをあげてみましょう。 バランスシートの負債ばかりを強調して資産の部を公表しない。日本が対外純資産250兆円を超える資産大国であることや、国家全体が黒字であることを公表しないことがこれに当たります。 第三は、「増税やむなし」の世論誘導です。これにマスコミが加担しているのは言うまでもありません。 第四は、公認会計士か税理士しか知らない知識です。国税は22種類、地方税は45種類です。実に67種類もの税金が存在するのですが、覚えるのも「酷」で、いちいち数えていたら「痴呆」になりそうな多さだと言えましょう。 こうしてみると、財務省は四つの原理を忠実に実行していることが分かります。また、勝氏が財務省顧問に就任したということは、今後もあらゆる巧妙な手口を使って増税を正当化する策を打ってくることでしょう。 ここでは、自由主義思想の大家の意見を参考に、反論を考えてみましょう。 ノーベル経済学者のハイエクの師でもあったL・ミーゼスは『ヒューマン・アクション』(村田稔雄訳)の中で、「租税が増大すればするほど、市場経済を危うくし、それとともに課税制度自体も危うくする。(中略) ある税率の高さを超えると、あらゆる特定税のみならず、一国の税制全体が自滅するようになるのである」(第28章p.749)とし、重税国家への警鐘を鳴らしています。実に正鵠を得た見解です。 幸福実現党は、主権在民の根本原則に戻って経済成長とスリムで簡素な税制と減税の実現を目指します。 増税しか選択肢が存在しないならば、日本経済の二流国への転落は必至です。税を預かる者にコスト意識がなく、有効な投資や行政サービスの向上を目指すならば、ある程度民間に権限を戻すべきです。 現在は公会計やPPP(公民連携)などの手法が発達しており、減税路線は決して絵空事ではありません。 勝氏の財務省顧問への就任は「増税バトル第二ラウンド」の幕開けです。増税法案可決に落胆している暇はないのです。(文責:中野雄太) 67回目の終戦記念日に靖国参拝を終えて 2012.08.15 幸福実現党は、67回目の終戦記念日に党役員と候補者などで靖国神社に昇殿参拝しました。 今回、民主党政権になって二人の閣僚(松原仁拉致問題担当相と羽田雄一郎国交相)が靖国神社に参拝しました(超党派では55名の議員が参拝)。 鳩山政権と菅政権時代にはゼロだったことを考慮すれば、少しは前進と言えますが、野田首相や他の閣僚は中国や韓国の要請通り参拝を自粛しています。 首相の靖国参拝は日本の内政問題にも関わらず、中韓の内政干渉に屈した弱腰外交は健在です。 さて、靖国神社の参拝問題の背景には歴史認識問題があります。歴史認識問題は領土問題とも密接に関係しています。 増税法案可決に熱心だった野田首相ですが、歴史認識に疎いのか、外交上の大きな失敗を犯し続けていることを指摘せざるを得ません。 まず、7月にはロシアのメドベージェフ首相の国後島訪問がありました。2010年の大統領時代以来二度目の訪問でしたが、日本政府は遺憾の意を表したのみでした。 尖閣沖での漁船衝突事故後、ロシアの態度はエスカレートし続けていますが、今回の訪問によって実効支配が強まってしまいました。 韓国との間では従軍慰安婦問題が再燃。韓国の日本大使館前に建てられた慰安婦像を皮切りに、米国の主要都市で慰安婦を糾弾する石碑建立も加わりました。 外務省と自民党議員による抗議はありましたが、具体的な追求はまだまだ継続する必要がありそうです。 そして、日本国内が消費税増税法案可決の最中、間隙をついて日本の領土である竹島に李明博韓国大統領が上陸。大統領の竹島上陸は、平和の祭典であるロンドン五輪にも大きな影響を与えました。 特に、男子サッカーの三位決定戦終了後に、韓国代表MFの選手が上半身裸で観客から受け取った「独島は韓国の領土」とハングルで書かれたプラカードを提示。 現在、IOC(国際オリンピック委員会)が五輪憲章違反の疑いがあるとして調査中ですが、ロゲ委員長は「当然、政治的表現に該当する」と指摘しています。⇒http://bit.ly/Oup92r 翻って、李大統領の竹島上陸は韓国国内で8割が支持。一部、政治的パフォーマンスだと皮肉る論調が見られますが、サッカー選手だけではなく韓流スターがリレー方式で泳いで竹島を目指すパフォーマンスを行っているところを見れば、韓国人の反日感情の高さは異常です。 中国も同様ですが、日本に対しては何をやっても構わないという教育の成果なのでしょう。 一方、日本政府は外務省を通じて、お決まりの「遺憾の意」を表明して形式上の反発はしました。そして、玄葉外務相は国際司法裁判所への提訴を発表。しかしながら、韓国側は司法解決を拒否しています。 韓国側が司法解決に応じなければ裁判をできません。逆に言えば、韓国政府が裁判では不利であることを自ら表明しているようなものです。日本政府は、断固正論を押し、韓国政府を引っ張り出す努力を継続するべきです。 さらに、驚くことに李大統領は14日、忠清北道大学の教育関係者との会合で、独立運動の犠牲者への天皇陛下の謝罪を要求しました(大統領として、公式の場としては初)。⇒http://bit.ly/MZmfmL 李大統領は一貫して、従軍慰安婦問題に対する日本側の「不誠実な対応」を非難し続けていますが、国体の象徴である天皇陛下を侮辱し、本来日本の領土である竹島を不法上陸した大統領こそ不誠実です。 野田首相をはじめ、官房長官や外務大臣はなぜ遺憾の意しか言えないのでしょうか。遺憾の意だけでは、沈黙したと同じです。国際社会では、沈黙は「承認」を意味します。 残念ながら、野田首相は一連の韓国大統領の乱心に対して完全に後手にまわっています。ロシアに次いで韓国、そして次は中国による尖閣諸島上陸が予想されています。 もし、尖閣を取られたら領土問題の失点は三つになります。増税法案可決に注いだ情熱を、ぜひ領土問題にも注いで頂きたい。 今後、韓国による要求が過熱するならば、政府は日韓スワップ協定の破棄(残念ながら政府は現状維持を表明)や韓国国債購入の白紙撤回を迫るべきです。 また、韓流スターの入国および活動の禁止、サムソン製品の禁輸など、経済的な制裁措置だけでも選択肢はいつくもあります。 首相が、心底遺憾だと思うならば、国体の侮辱と不法占拠に対する対抗措置は明確に発表するべきです。 あるいは、政治生命をかけて増税法案を通した野田首相なのですから、自衛隊のヘリで竹島に上陸して日章旗を立てる。 もしくは、今話題のオスプレイに試乗して竹島に上陸ないし視察をすることも考えてはどうでしょうか。きっと、名誉を回復する最高の舞台となるでしょう。 英霊の尊い犠牲によって今日の繁栄がある日本。終戦記念を終えて思うのは、英霊への感謝と日本人の誇り、そして繁栄の未来の継承です。 そのためにも、幸福実現党は今後も竹島問題で韓国と妥協するつもりはありません。必ず国際司法裁判所に持ち込んで決着をつける努力をしていきます。 同時に、外交・安全保障の強化、歴史認識問題の見直しを通して、日本の誇りを取り戻す活動を継続していく次第です。(文責:中野雄太) 原爆投下とソ連の侵略があった8月9日 2012.08.08 8月9日は、米軍が長崎に原爆を投下した日です。 1945年8月9日午前11時02分長崎県長崎市に対して米軍が投下したのは、広島に投下されたウラン235型よりも1.5倍強力なプルトニウム239型でした。 当時の長崎市の人口24万人のうち、約14万9千人が死没し、40%近くの建物が全壊ないし半壊したほどの破壊力でした。 広島と長崎では、いまだに原爆の後遺症に苦しむ方もいます。原爆によって失われた遺族の方々の気持ちを考えれば、毎年訪れる8月6日と9日に心が痛むのは私だけではありません。 広島と長崎から恒久平和と核廃絶の願いが出てくることは自然なことです。しかしながら、次の論点は政治やメディア、そして教育で長年タブー視されてきた問題であるため、多くの日本人は答えることができません。 例えば、実戦で原爆を投下して大量の市民を巻き込んだ米国が正義に適ったものであるのか。戦争を早期に集結するために、本当に原爆投下が必要であったのかは、依然として議論が分かれます。というより、議論すら許されていないのが現状です。 米国在住のジャーナリストの日高義樹氏の最新刊『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』(PHP研究所)という本を出版しました。日高氏の精力的な取材に基づけば、日本に落とされた原爆は「人体実験」だというショッキングな内容が記されており、話題を呼んでいます。⇒http://amzn.to/NZg8yg 同書は、広島と長崎の原爆に限らず、東京をはじめとする大都市の空襲にも焦点を当て、米軍による非戦闘員(軍人以外の一般人)の大量虐殺は到底容認することはできないことを記しています。特に広島と長崎は通常爆弾の空襲を受けていませんでした。 つまり、米軍は一発の原爆の威力と人体や建造物への影響を試したかったと思われます。広島型(ウラン)、長崎型(プルトニウム)の原料の異なる原爆の“実験”であったというのは米国側のこうした都合によるものです。 また、東京大空襲で司令官カーチス・ルメイ米国中将は、東京の民家は小さな軍需工場であり、その空襲は非戦闘員への攻撃ではないとの理屈立てましたが、これを素直に受け入れることはできません。 実際、戦後に実施された東京裁判(正式には、極東国際軍事裁判。1946年5月3日から48年11月12日まで行われた)では、日本の戦争犯罪が裁かれました。 東条英機首相をはじめ、28名の指導者を裁いた東京裁判では、通常の戦争犯罪を含めて「平和に対する罪」「人道に対する罪」が柱となりました。 当裁判が国際法の観点を欠いたものであることは、上智大学の渡部昇一名誉教授らを筆頭に歴史家によって明らかにされています。 さらに、日本側から提出された却下史料を掲載した『東京裁判日本の弁明』(講談社学術文庫小堀桂一郎編)は熟読に値する書物です。⇒http://amzn.to/Q9ncUf 特に清瀬一郎弁護人の論文は秀逸ですが、一連の論文を精読すれば、広島と長崎の原爆投下や非戦闘員まで巻き込んだ大空襲こそ「平和に対する罪」であり「人道に対する罪」だと結論が導けます。 人類史上、原子爆弾を投下した国の大統領や指導者は一切謝罪することなく、投下された国民は「日本は悪い国だったから原爆を落とされた」と謝罪するのは奇妙です。 むしろ、「米国こそ裁かれるべきだ」と東京裁判で唯一日本無罪を主張したR・パール判事の意見にこそ耳を傾けるべきです。 最後に、8月9日に関して忘れられた歴史を紹介します。 1945年8月9日は、ソ連が日ソ不可侵条約を破棄して宣戦布告。満州や朝鮮、南樺太や千島列島に侵略をしました。日本大使館から本土に向けての電話回線は切断されており、完全な奇襲攻撃でした。 原爆投下とソ連の奇襲によるダブルパンチは、戦況が悪化していた日本軍には相当な痛手でした。 さらに悪いことに、ソ連は8月18日に千島列島の最東端の占守島を侵略。千島列島を不法占拠しました。 精鋭部隊でもあった戦車第十一連隊の活躍があったおかげで、北海道から東北地方の占領は免れたとはいえ、現在の北方領土はこの時に占拠されています。 要するに、スターリンによる手段を選ばない卑劣な手段が背景にあったということです。その意味で、「北方領土奪取は、火事場泥棒であった」と言わざるを得ません。 現在、日本は米国とロシアと友好関係にあります。幸福実現党は、日米同盟や日露通商協定を主張しているので、こうした議論は矛盾すると思われるかもしれません。 しかしながら、既に敗戦から67年が経過しました。米国は「真珠湾を忘れるな」と同盟国の日本を批判的に教育していますし、ロシアは9月2日を対日戦勝記念日として制定しています。 国によって歴史認識に違いがあるのは当然のことですが、日本だけが自虐史観を抱えたままでは、対等以上の外交はできません。同盟国だからといって一方的な受け入れは避けるべきです。 歴史認識は内政問題ですから、何か言われたら内政干渉として退ければよいだけです。親米とか反米の問題ではなく、独立国として当然のことです。 自虐史観=東京裁判史観の脱却は、幸福実現党の教育政策の柱の一つであり、今後も力を入れていく分野です。 8月15日の終戦記念日におきましては、党役員、候補者による靖國神社参拝も予定しており、今日の平和な日本を築いてくださった英霊への深い感謝と、豊かで誇り高き日本の復活を誓わせていただく予定です。(文責・中野雄太) 多発する扇動型言論!民主主義は大丈夫か? 2012.08.01 最近、日本には愛国心の強い方がまだまだたくさんいると実感しています。ただ、マスコミや各種の政治活動を見ていると、愛国心が扇動型民主主義なっていると思えてなりません。 国を憂い、危機に向き合うことは極めて大事ですが、バランスを欠いた議論には要注意です。 現在の日本では増税や原子力発電の停止とTPP反対において根強い反対論が展開されています。 最近では、オスプレイ配置に対する反対もありますが、特に問題と思えるのが原発とTPPです。なぜなら、どちらも同じ構造を持っているからです。 【問題点1】ヒステリックで恐怖心を煽る 第一に指摘できるのは、一方的に国民の不安に付け込む情報発信です。 端的な例は、原子力発電の放射能漏れです。脱原発・反原発の方は放射能の恐怖を執拗に煽ります。 札幌医科大学の教授で、『放射能・原発、これだけ知れば怖くない!』(幸福の科学出版)の著者でもある高田純博士は、福島原発付近で実験を行い、福島県民による健康被害は起きないと喝破しました。 一方、高田教授以外にも上智大学の渡部昇一名誉教授は『原発は、明るい未来の道筋をつくる!』や『国を滅ぼす本当の敵は誰なのか』の中で、性急な脱原発の論理を破折しています。 加えて、筑波大学名誉教授の中川八洋氏は『脱原発のウソと犯罪』で、痛烈な脱原発批判を展開しております。HRPニュースファイルでも、脱原発の問題点を指摘し続けているのは、単なる賛成・反対といった短絡的な議論を避けるためです。 同じような傾向がTPP(環太平洋経済連携協定)にもあります。 TPPに参加することでデフレの加速や医療や農業の崩壊などが主張されています。 また、TPPに賛成することは「売国奴」だと言う方々もいます。あるいは、アメリカによる陰謀論を強く主張される方も根強く存在します。 貿易と投資の自由化によって外国企業に駆逐される可能性のあるJAや日本医師会などがTPP反対を明確に表明しているのはある程度理解できるにしても、競争がない状態は低品質で割高な製品とサービスの温床になります。 また、生産者の利益だけが注目され、消費者の利益は無視されることは公平ではありません。やはり、貿易と投資の自由化によって非効率な産業が効率化され、国内企業も良質で低廉な財やサービスを供給できる方がはるかに建設的です。 最初から、外国との競争に負けることを前提にし、なぜかTPPが国体そのものを破壊する「亡国最終兵器」だという主張には、論理飛躍があると言わざるを得ません。 TPPによってもたらされる貿易と投資の自由化に脅威が存在するとしても、参加国は急激な輸入増加による国内産業への影響を考慮して、10年をかけて関税や輸入障壁撤廃を目指します。 同時に、参加国全員でルール設定を協議します。米国による一極支配を懸念する声もありますが、一国の暴走が起こりにくいのです。 加えて、TPPには経済問題だけではなく、ISP条項に見られるような国家と投資家との紛争解決が既定されています。 日本のような海外投資が多い国はISPの恩恵を受けるだけではなく、中国やベトナムのような知的財産権侵害の常習犯を法治主義の国へと変えていく外交にも使えます。(参考資料:⇒アメリカのTPP参加は中国封じ込めが目的) ゆえに、経済効果、法律論、そして外交的視点からTPPは論じるべきです。 問題点2 専門的見地が無視される 前述の高田教授の例では、学術研究を無視し、一方的に放射能の危険性ばかりがマスコミでも喧伝され、多くの国民が脱原発・反原発に傾いています。 最近は10万規模とも呼ばれるデモ集会などが注目されますが、彼らから代替エネルギーの確保や安全保障の観点から国のエネルギー政策を幅広く考えている様子はありません。 TPPにおいても同様で、最近は、『TPP興国論』(松田学著)などを筆頭に、TPPを肯定する著作が出版されていますが、マスコミで紹介されることはほとんどありません。 やはり、きちんと両論併記して国民に正確な情報や知識を発信するべきです。その上で選挙を通して国民の信を問うのが筋です。今のままでは、国民は正しい判断ができるとはいいかねます。 結論:批判合戦ではなく建設的な議論を 最後に、最も主張しておきたい点があります。それは、原発とTPP賛成派にレッテルを貼り、「売国奴」呼ばりする風潮は戒めるべきだということです。 例えば、電力会社の社員の発言が問題視されるのはおかしなことです。 民主主義では言論の自由と表現の自由が保障されているのですから、彼らにも発言する自由があります。今の日本は、言論封殺に近く、民主主義の理念からは遠い状態にあります。(参考資料:「原発比率の『意見聴取会』発言者に中部電力社員 批判の声上がる」⇒http://www.youtube.com/watch?v=RBy4xXWogDA) ヒステリックで感情的な議論からは何も生まれません。今必要なのは、冷静で建設的な議論です。(文責:中野雄太) ノーベル経済学者スティグリッツの提言が日本経済に及ぼす影響 2012.07.25 HRPニュースファイルの中でも何度か紹介したことがあるコロンビア大学教授であり、2001年のノーベル経済学者のJ・スティグリッツが最新刊『世界の99%を貧困にする経済』(http://amzn.to/OVkTD8)を発刊しました。 近年話題となったウォールストリート占拠の根源となった「1%」の富裕層と「99%」の貧困層という現象は、同教授の見解に基づいているとも言われています。 同教授は、左翼ではありません。「情報の経済学」と呼ばれる新しい分析手法を開発したケインズ派に分類される学者ですし、市場経済における問題がなければ自由主義はメリットをもたらすことを肯定しています。 その意味で、共和党の保守系やTea Partyのようなリバタリアン=自由主義者とは距離感があるのは事実です。 上記の書籍を含めて、スティグリッツは米国内の所得不平等とグローバリゼーションに対する批判を主に展開しており、米国内に大きな影響を与えています。 同時に、スティグリッツの支持者は全世界にもいるため、彼の提言が全世界に与える効果も無視できません。では、どのような影響力を及ぼすのか。以下のようにまとめてみました。 (1)格差是正とグローバリゼーション批判派を勢いづかせる 同教授は、クリントン政権では大統領経済諮問委員会委員長を務めた後、世界銀行で上級副総裁、主席経済学者として活躍しましたが、米財務省やIMF(国際通貨基金)を痛烈に批判したため、世界銀行の上級副総裁を辞任しています。 同教授が執筆したGlobalization and Its Discontents(邦題:世界不幸にするグローバリズムの正体)では、米国主導の政策提言(緊縮財政や貿易自由化など)がもたらす問題点を指摘しています。 学者であると同時に実際の政策現場での体験だけに、スティグリッツの「告白」は、IMFや世界銀行、米財務省に動揺を与えました。 スティグリッツによれば、先進国と途上国の格差が開いているのは、ワシントンによる一部エリートに原因があるとします。 また、ウォールストリートの金融マンによる法外な報酬は社会正義として許容範囲を超えており、米国は格差是正をするべきであるとします。 08年にノーベル賞を受賞したP・クルーグマンやスティグリッツの同僚で国際的にも知名度の高いJ・サックス教授も同様の批判を展開しています。 このような流れはオバマ大統領と米民主党にとっては追い風になるでしょうが、前回の中間選挙で共和党が躍進して保守勢力が復活していますので、米国内で氏の意見がどこまで反映されるかは定かではありません。 (2)日本への影響とは 同氏の政策提言を日本で応用するに当たって注意が必要なのは以下の二点です。 例えば第一に、日本でも最近は貧困問題が注目されており、所得税の最高税率や相続税率の引き上げが提言されています。 また、資産課税を通じて所得の再分配強化も議論にあがっています。そこで、特に注目に値するのが次の論点です。 スティグリッツは、『世界の99%を貧困にする経済』の中で富裕層の減税は間違いであると論じています。 教授は「トリクルダウン説」を否定します。つまり、富裕層が豊かであれば、そのおこぼれが中間層や低所得層へ滴り落ちる(トリクルダウン)するという考えです。 これは、共和党の中に根強く存在する考え方であり、近年ではTea Partyが強く主張するロジックです。 しかし、同氏はむしろ、公共投資や社会保障関係を手厚くすることによって低所得層や中間層を底上げすることを主張します。 税制面では所得税と法人税の累進性強化、実効性の高い相続税の導入を提案していることを見ても分かる通り、伝統的な米国の自由主義に対するアンチテーゼです。 こうした論点が、日本でも幅を利かす可能性は高く、財務省をはじめとする増税派の理論的根拠になることでしょう。 第二に、米国主導によるグローバリゼーションへの批判は、TPP反対派と通じるものがあります。 実際に、米国による理不尽な要求があるのは事実ですが、それを抑止するためにTPPは参加国全部の合意を取り付ける制度です。 スティグリッツは、グローバリゼーションのメリットを十分に把握しているとはいえ、効率的な資源配分を阻害する原因が、ワシントンのエリートあるとしており、彼らに対する不信感は相当なものです。 ここ数十年のスティグリッツには、過激な体制批判の傾向があります。上記で紹介したメッセージは極めて政治性の強いものです。 日本ではスティグリッツファンが多いだけに、安易に同氏の政策提言が実行される可能性があります(具体的には、増税とTPP反対に使わる可能性が高い)。注) しかしながら、日本には、長年のゼロ成長から脱するためのマクロ経済政策こそ優先的に取り組むべきです。 日本は、日本としてやるべき政策を実行するのみです。同氏の意見は、あくまでも参考意見として研究するのがよいでしょう。(文責:中野雄太) 注)スティグリッツは消費税増税には否定的です。この点は我が党と同じスタンス。 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