Home/ 黒川 白雲 黒川 白雲 執筆者:黒川 白雲 前・政務調査会長 長寿の秘訣は仕事にあり!―「生涯現役社会」をいかに築くか 2012.09.28 8月29日、希望者全員を65歳まで再雇用するよう企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が参院本会議で可決、成立しました。(8/29 毎日「改正高齢者雇用法成立:『65歳まで雇用』義務化」) これは、男性の厚生年金受給開始年齢(60歳、報酬比例部分)が来年4月から3年ごとに1歳ずつ引き上げられ、25年4月以降65歳(女性は5年遅れ)となるため、給料も年金もない「空白」期間を回避することが狙いです。 高齢者の収入確保と年金制度の維持のためには、今後とも定年の引き上げや再雇用の促進は不可欠であり、幸福実現党は「75歳定年制」を提唱しております。 実際、60歳の定年を過ぎても会社で働き続けたいという方は少なくありません。 60代、70代の男女を対象とした勤労意識調査によれば、「何歳まで働きたいと思いますか」という質問に対し、「65~69歳」が最も高く33.5%、続いて「70~74歳」22.0%、「75~79歳」14.3%、80歳以上4.4%となっており、実に75%近くが65歳以上、40%以上が70歳を過ぎても働きたいと考えています。(2011/5 株式会社GF「シニア・高齢者の働く意識の働く意識」) 高齢者が仕事を続けることは「生活費の確保」「生きがいの確保」に資するのみならず、「健康の維持増進」効果も大きいと言われています。 米国専門誌によれば、ギリシア人の男女約1万7千人を追跡調査した結果、退職していたグループは、仕事を続けていたグループに比べて、同年齢での死亡率が1.51倍高く、退職年齢が早い人の方が死亡率も高くなることが判明しています。(2008/8/30 日経「長寿と仕事の関係は?~早期退職悪影響も」) また、米石油大手シェルの社員を調査した2005年の別論文でも、55歳で早期退職した集団は、65歳で定年退職した集団より、死亡率が1.37倍高いことが判明しています。(同上) 日本でも同様の傾向が見られ、東京都健康長寿医療センター研究所の調査によれば、社会活動に参加している高齢者は、していない人よりも障害発生率が低く、生存している人が多かったことが判明しています。(「全国高齢者の生活と健康に関する長期縦断調査」プロジェクトの概要) その意味でも「健康で長く働き続ける社会」を目指していくことは重要ですが、現状の就業率は55~59歳では75.2%であるのに対して、60~64 歳は57.3%、65~69歳は36.3%、70~74歳は22.8%と大きく低下しています。(内閣府 平成24年版『高齢社会白書』) 高齢者の雇用を増やしていくために、幸福実現党は高齢者が働き続けることができる業種、ビジネスへの支援施策や高齢者によるベンチャービジネスの立ち上げ支援等を行なう予定です。 また、 高齢者が仕事で使いやすいパソコン、高齢者の労働支援となるネット環境やユビキタス機器の開発、情報バリアフリーの解消等に投資して参ります。 『もしドラッカーが日本の総理ならどうするか?』(大川隆法著、幸福の科学出版)でドラッカー霊は「年金制度を立て直すためには、『亡くなる五年前ぐらいまで働ける社会を、どうやって構築するか』ということを考える必要があります」と述べています。 今こそ、日本は世界に先駆けて「生涯現役社会」の実現していくことが迫られています。 幸福実現党は年金・医療などの社会保障不安が高まる中、国に頼らず、生涯を通じて元気に働き続けることができる「生涯現役社会」を築いて参ります。(文責・黒川白雲) 野田首相では習近平に勝てない――即刻解散・総選挙すべし! 2012.09.21 尖閣・沖縄に国難が迫っているのを無視して、民主党代表選、自民党総裁選がお祭り騒ぎで行われています。全く危機管理意識に欠ける無能な候補者、政治家ばかりです。 そうした中、民主党は21日午後の臨時党大会で党代表選の投開票を行い、大方の予想通り、現職の野田佳彦首相が大差で再選を果たしました。(9/21 産経「野田首相、大差で再選」) 野田首相は、谷垣自民党総裁と交わした「近いうち」に衆院を解散するとの約束を再考する可能性を示唆するなど、再選後の政権運営をにらんだ強気の発言を続けています。 野田首相は18日夜のTBSの番組でも、自公両党と消費増税法成立と引き換えに合意した「近いうち」の衆院解散について、合意後に自民党が首相問責決議案に同調したことで「状況の変化がある」と指摘しています。(9/19 「『近いうち解散』見直しを示唆 野田首相」) しかし、「問責決議案が可決されたから、解散を先延ばしにする」というのは、詭弁であり、本末転倒の「ドジョウ理論」に過ぎません。 問責決議は「野田内閣が強行して押し通した消費税増税法は、2009年の総選挙での民主党政権公約に違反」した責任を問うものであり、野田首相は国民との約束を破った責任を取って即刻辞任すべきです。 また、幸福実現党は、野田首相には深刻な国難を解決する能力は持ち合わせておらず、中国の次期最高指導者である習近平氏に対抗することはできないと考えます。 現在、日本は尖閣諸島、沖縄など、国難が深刻化していますが、その背景には歴代民主党政権の「弱腰外交」があります。 幸福実現党は立党時より、民主党の「弱腰外交」による「日本の植民地化の危機」について、警告して参りました。 幸福実現党立党直後の2009年6月20日、大川隆法党名誉総裁は「今度(2009年)の選挙で衆議院のほうでも(民主党が)過半数を取れば、日本の植民地化が始まります」と述べ、民主党政権になれば日本が植民地化することを民主党政権発足前に予言しています。(『幸福実現党とは何か』幸福実現党発刊) 民主党政権は、鳩山元首相の「友愛外交」、尖閣諸島中国漁船衝突事件で弱腰外交を露呈した菅前首相に続いて、野田首相も、尖閣諸島への香港活動家の強制送還等、弱腰外交を展開して来ました。 強い相手には立ち向かわず、相手が非力と見れば容赦なく攻めてくるのが中国の外交・軍事方針です。 こうした民主党政権の3年間の弱腰外交の積み重ねが、ここまで中国を増長させて来たのです。 こうした中、中国の習近平副主席は今年10月の中国共産党大会で胡錦濤国家主席から権力を引き継ぎ、10年間にわたり指導者の座に就くことが決まっています。 9月16日、大川隆法党名誉総裁は、大阪正心館にて御法話「経済繁栄の力」を説き、その中で、習近平氏が中国の反日デモやイスラム圏での反米運動を主導していることを明らかにしました。 その通り、産経新聞は9月19日、中国で反日デモなど、一連の強硬な対抗策を主導しているのは、胡錦濤国家主席ではなく、習近平氏であったことが判明したと報道しています。(9/19 産経「対日強硬策、習近平氏が主導」) 産経は、中国政府の対日政策は、胡錦濤国家主席時代の柔軟路線から、習近平氏の下では強硬路線に転換すると予測しています。(同上) 今回の大規模な反日デモや漁船1000隻による「尖閣包囲作戦」に見られるように、今後とも、習近平氏は彼が得意とする「迅速かつ大規模な組織戦」を展開して来ることが予測されます。 実際、習近平氏の守護霊の霊言『「中国と習近平に未来はあるか」―反日デモの謎を解く―』において、習近平氏は台湾、日本、フィリピン、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、そして、グアム、ハワイに至るまで強硬な侵略意図を持っていることを明らかにしています。⇒http://www.hr-party.jp/new/2012/28970.html もはや、野田民主党政権では中国の習近平次期政権に対抗できないことは明らかです。野田首相は即刻解散・総選挙を行い、毅然たる態度で国を守りぬく政党に政権を移譲すべきです。(文責・黒川白雲) 暴徒化する反日デモと反米デモ――その背後にある企みとは? 2012.09.16 今、同時発生的に、中国を中心に反日デモが暴徒化すると共に、イスラム教国を中心に反米デモが暴徒化しています。 日本政府による尖閣諸島の国有化に反対する数千人のデモ隊が15日、中国・北京の日本大使館前の道路を占拠し、大使館への乱入を目指すデモ隊と警察との間でもみ合いが発生しました。(9/15 ロイター「中国各地で反日デモ、北京の日本大使館では一部が暴徒化」) 反日デモは中国各地に広がり、南部の長沙ではデモ隊が日系スーパーを襲撃し、シャッターを破壊して店内に侵入し、商品に火をつけるなどしました。また、青島では、パナソニック等の工場やトヨタの店舗が襲撃され、火が放たれました。(9/16 FNN「中国各地で大規模な反日デモ 日系スーパーや企業など襲撃される」) また、9月11日、リビア東部の都市ベンガジで、群衆による米国領事館襲撃を受けて避難しようとしていたスティーブンス駐リビア米国大使と3人の大使館職員がロケット弾攻撃で死亡しました。(9/13 ロイター「米領事館襲撃、発端はイスラム教預言者の『冒涜』映像」) 襲撃の発端となったのはアメリカで制作された14分ほどの映画「Innocence of Muslims」で、イスラム教の預言者ムハンマドが女性好きのほか、同性愛者などとしても描かれ、さらにコーランがユダヤ教の聖典やキリスト教の聖書から作られたと解されるエピソードや、ムハンマドが子どもを犠牲にする冷酷な指導者として描いています。(同上) この内容はソーシャルメディアを通じて拡散し、イスラム教徒が「預言者が冒涜されている」と憤り、イスラム教国各地で大規模な抗議デモが起こっています。 イエメンでは首都サヌアにある米大使館が襲撃され、デモ隊と警官隊の衝突で死者が出るなど緊張が高まっており、米政府はイエメンに50人程度の海兵隊員を派遣するなど、事態の収拾に躍起となっています。(9/14 日経「反米デモ暴徒化、アジアにも飛び火 イスラム中傷映像」) イラクやイラン、クウェートなどで反米デモが起きている他、インドネシアやバングラデシュなど、アジア諸国にも波及し、沈静化には時間がかかる見込みです。(同上) 同時多発的に勃発した反日デモと反米デモは、尖閣国有化と米国の短編映画という全く別個の理由で起こっているように見えますが、大川隆法党名誉総裁は、両者には深い関係があることを示唆しています。 9月16日(日)、大川隆法党名誉総裁は、大阪正心館にて御法話「経済繁栄の力」を説き、その中で、現在激しさを増している中国の反日デモやイスラム圏での反米運動に対して裏から手を引き、日米を同時に排斥しようとする首謀者の正体やその目的を明らかにしています。 同御法話は9月17日(月)以降、幸福の科学の全国の支部・拠点・精舎で開示されます。ぜひ、ご覧ください。(※会場によっては、18日(火)以降開示の場合もございます。詳細はお近くの幸福の科学までお問い合わせください。⇒http://map.happy-science.jp/) また、反米デモの背景には、アラブ諸国の「イスラム主義への回帰現象」があります。 「アラブの春」と呼ばれるアラブ諸国の革命において、独裁政権から民主主義政権へと政権が入れ替わるケースが見られましたが、イスラム教を主体とする勢力が政権を握った例も見られます。 各国で温度差は見られるものの、イスラム教が国づくりの根幹になっていることは共通しています。 「アラブの春」以後、チュニジア、エジプトなどに樹立された新政権は「反米」の傾向が色濃く出ています。 その理由には、かつての独裁政権が欧米諸国の援助を受けてきたという一面があるからです。 また、かつての「キリスト教対イスラム教」という十字軍の歴史、「ユダヤ教対イスラム教」という中東戦争の歴史がオーバーラップし、事態を複雑にしていると言えます。 この問題を解決するためには、外交によるアプローチの他に、宗教によるアプローチも必要です。 この問題が発生したことにより一番迷惑を蒙っているのは、暴動を煽った人々でも、暴動をしている人々でもありません。 世界中でキリスト教やイスラム教の信仰心を持ち、普通に暮らしている人々に他なりません。 彼らのためにも、それぞれの宗教の指導者たちは積極的に事態の打開に努めるべきですが、それぞれの宗教の教義が邪魔をしているため、必ずしもそうはなっていません。 幸福実現党は「宗教政党」として、それぞれの宗教を融和させ、政治と宗教の両面のアプローチから世界の融和と平和を実現して参ります。(文責・黒川白雲) 終わらないシリアの悲劇~日本はどのように向き合うべきか~ 2012.09.07 「シリアの悲劇」がまだ終わりを見せません。 在英の反体制派組織「シリア人権観測所」は2日、内戦状態に陥ったシリアの8月の死者数が5440人に上ったと発表しました。 昨年3月に民主化デモが本格化して以来、1カ月間の死者数としては過去最悪の数字で、これまでの死者数は一般市民約1万8500人を含む約2万6000人に達しています。(9/3 毎日「シリア:8月死者5440人 昨春以来最悪」) なぜ、シリア情勢はこのように混迷を深めているのでしょうか? 最大の理由は、シリアの国力低下に伴う、中東全体のパワーバランスの崩壊です。 シリアの国力低下に伴い、シリアと友好的でなかった国々は、シリアをコントロールできる絶好の機会と考え、逆にシリアと友好的な国々はシリアの現政権の崩壊が自国の生存を脅かすことに繋がると考えるようになりました。 その結果、周辺国が各々の思惑に基づき、政権側・反政府側双方に対して支援が行われ、シリアの内戦がエスカレーションの一途を辿って来たのです。 それぞれの国が死活的な国益をかけて政権側・反政府側を支援しており、この構造を変えることは容易ではないため、内戦は今後とも続くものと考えられます。 では、シリアの問題を解決するためにどのような策を取ればよいのでしょうか? 国際連合などの国際組織は実質上、役に立たないことがこれまでの経過で明確です。 国連では、国連安保理の分裂や先日イランのテヘランで行われた非同盟諸国会議の非難合戦の様相からも分かる通り、各国はすでに共同歩調を取れなくなっています。(9/5 日経「非同盟会議に透けた米国・イランのせめぎ合い」) 国際連合などの国際組織が役に立たなくなっている今、アメリカによる武力介入が各所から求められていますが、アメリカとしては軍事介入を行いづらい状況にあります。 そもそも、オバマ米政権は国連を中心にした「対話による停戦」という青写真を描いて来ましたが、その枠組みは事実上崩壊しました。 オバマ政権は機能不全に陥った国連の枠組みに最後までこだわり、シリア問題と距離を置く姿勢を鮮明にしています。(8/18 日経) 米国が軍事介入を避けている理由としては、アメリカが武力介入した場合、イランの先鋭化を招き、ペルシャ湾情勢の悪化を引き起こす危険への配慮と共に、現在、大統領選挙の最中であること、アメリカの財政事情が厳しいこと等の米国の内政事情も挙げられます。 このことについて、幸福実現党の大川隆法名誉総裁は9月2日、福岡市で「国を守る宗教の力」と題する講演を行い、次のように述べています。 「今、シリアでは政府軍が民衆を殺していますが、オバマ大統領は金が惜しくてあまり介入したくない。しかし、死者数からみて、これで介入しなかったらアメリカとしての使命を放棄しています。 それだけ国力が弱っているのであれば、日本と中国、北朝鮮、あるいは韓国との間で国際紛争が起きたときにも、アメリカは同じような態度を取る可能性が高いと考えなければいけません。」 これまでの米国であれば、「世界の警察官」として、確実にシリアに軍事介入している場面ですが、シリアと距離を置く米国の姿勢を見れば、日本は日米同盟を基軸としつつも、「自分の国は自分で守る」という自主防衛を強化していくことが急務だと言えます。 では、今後、日本としてはシリア問題の解決に向け、どのような支援を行うべきでしょうか。 日本としては、現在、進行している内戦そのものに介入するよりも、内戦後の支援を行なうべきであり、その内容はシリアの経済基盤を回復させ、シリアが経済的に発展できるきっかけとなるような支援が望ましいと考えます。 アラブ諸国の革命の真の原因は経済政策の失敗によるものだからです。 また、内戦が反政府側の勝利に終わったとしても、シリアの政治的安定を図ることは、アラブ諸国の革命のその後を見ると非常に難しいと言わざるを得ません。 日本としての支援は長期化を見越して戦略的に行うべきです。日本がこれまで行って来た支援のように、安易に金銭だけを渡したりすることは反政府勢力の分裂による第二の内戦を助長する恐れがあります。 また、南スーダンで行っているように、自衛隊をインフラ整備に派遣することはシリア人の仕事を奪う結果となります。日本としてはシリア自身の「自助努力」を促す方向で、現在から支援計画を練り込むべきです。(文責・黒川白雲) 「島嶼防衛」の鉄則 2012.08.30 8月26日に静岡県の東富士演習場で行われた陸上自衛隊の「富士総合火力演習」において、今回初めて島嶼(とうしょ)防衛を想定した演習が行われました。(8/26 産経「富士総合火力演習 中国にらみ島嶼防衛を初めて想定」⇒http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120826/plc12082621460011-n1.htm) 島嶼防衛についての陸上自衛隊の関与については意外に思われる方も多いかと思いますが、これは自衛隊が、陸海空3自衛隊を一体として運用して島嶼防衛を行う「統合作戦(Joint Operation)」を推し進めている現れでもあります。 今回の演習では、海上自衛隊のP-3C対戦哨戒機が敵部隊の潜水艦、艦艇の動静を探り、航空自衛隊のF-2支援戦闘機が対艦ミサイルで侵略部隊を攻撃する役割を演じています。 更に一部の敵部隊に島嶼に上陸を許したと仮定し、陸自部隊が偵察から火砲射撃、突撃、敵部隊の制圧までの一連の作戦行動を行いました。 幸福実現党が主張して来たように、自衛隊が島嶼防衛を重視し始めたことは是として、実際の島嶼防衛において、こうした自衛隊の想定や戦略は果たして有効でしょうか? このことを1982年にイギリスとアルゼンチンとの間で起こったフォークランド紛争を例に挙げて説明したいと思います。 フォークランド諸島を巡るイギリスとアルゼンチンとの争いは、尖閣諸島を巡る日本と中国の争いに非常に似ていると同時に、程度の差こそはあれ、実効支配に置いている国よりも対立している相手国の方がその島に近いという地理的な環境も似ています。 アルゼンチンは地の利を活かして、イギリス海軍がフォークランド諸島に展開していない不在の隙を突いて、フォークランド諸島の周辺海域の制海権を確保し、悠々と上陸作戦を実行しました。 実際にアルゼンチンは1982年3月30日から4月3日にかけてフォークランド諸島に上陸しました(ロザリオ作戦)が、この上陸自体は少数の兵力を用いて秘密裏に行われたもので、自衛隊の想定のように大規模な兵力で堂々と行われたものではありません。 上陸したアルゼンチン軍は、周辺海域に展開するアルゼンチン海軍の空母「ベインティシンコ・デ・マジョ」から兵力の増援を受け、4月2日に東フォークランド島のポート・スタンレーを、4月3日にサウス・ジョージア島を占拠しました。 最終的にはマーガレット・サッチャー首相の決断によりイギリス軍は大規模な動員が行われて激しい戦闘の末、6月14日にフォークランド諸島を奪還しますが、駆逐艦2隻を始めとする艦艇6隻を失うなどイギリス軍の犠牲も少なくありませんでした。 フォークランド紛争で日本が学ぶべきことは、(1)実効支配下に置いている島の周辺の海域をしっかり守る。(2)島を奪還するためには大規模な兵力の動員が必要。(3)島を奪還するためには犠牲が伴う。という3つのポイントです。 自衛隊はこの3つのポイントに関して全くの準備不足です。特に(1)の周辺海域をしっかり守ることについては、先日の香港の活動家が尖閣諸島に上陸したことによって、周辺海域の海上防衛が全くなっていないことを証明してしまいました。 現在、沖縄や尖閣諸島に最も近い護衛艦がある海上自衛隊の基地は1000km強も離れた長崎県の佐世保基地です。これでは尖閣・沖縄有事の際に全く間に合いません。 先の大戦における日本の島嶼防衛は、敵が島嶼に上陸する段階で迎え撃つ、若しくは、内陸に引き込んで、地の利を生かして迎え撃つという発想に基づいています。 一方、英米の島嶼防衛戦略は「外敵の侵攻は海で迎え撃ち、敵には一歩たりとも上陸を許さない」という鉄則に基づいています。 米国も本土を島に見立て、強大な海軍や空軍、更には強力な海兵隊で、敵国に太平洋や大西洋を決して渡らせないという戦略を取っています(日米同盟や米英同盟もその戦略の一環です)。 実際に、第二次世界大戦開戦以降の世界の島嶼攻防戦を緻密に分析すると、島嶼の海岸線や島内陸で防衛する戦略を取った場合、ほとんど全て防衛に失敗しており、侵攻軍が島嶼占領に成功しています。(参照:北村淳著『島嶼防衛』明成社刊) イギリスもフォークランド奪還においては、鉄則通り、周辺海域・空域で圧倒的優勢な立場を確保してから島嶼侵攻を行い、島に立て籠もって侵攻軍を待ち受けて防衛したアルゼンチン軍は敗北しました。 島嶼防衛においては、「敵侵攻軍を少なくとも島嶼周辺海域・空域までの海洋で打ち破り、一歩たりとも海岸線に到達させてはならない。そのためには、敵侵攻軍に島嶼の周辺海域・空域での行動の自由を確保させてはならない」ということが鉄則になります。 自衛隊はこうした戦略や教訓を研究し、海上自衛隊の護衛艦を南西諸島に配備し、尖閣諸島や離島のパトロールを強化すべきです。 今回の富士総合火力演習には、中国や韓国の武官の姿も偵察に訪れていますが、本来、彼らに見せつけるべきは富士総合火力演習のようなショーではなく、尖閣諸島周辺海域における海上自衛隊艦艇の展開、南西諸島への大規模な兵力動員演習であるべきです。 尖閣諸島・離島防衛に向け、日本の「本気」を見せることこそが、中国の暴走を抑止する最大の戦略となるのです。(文責・黒川白雲) 「第3次アーミテージ報告」――今こそ、日米同盟を基軸として、世界の平和と繁栄を築く時! 2012.08.24 アーミテージ元米国務副長官やジョセフ・ナイ元国防次官補ら米国の超党派の外交・安全保障専門家グループが15日、日米同盟に関する新たな報告書を発表しました。 本報告書は、アメリカのシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)が発表した「日米同盟:アジアにおける安定の礎」(The U.S.-Japan Alliance:Anchoring Stabilityin Asia)と呼ばれる報告書です。⇒http://csis.org/files/publication/120810_Armitage_USJapanAlliance_Web.pdf 報告書の基本スタンスは、「日米両国は、中国の台頭や核武装した北朝鮮の脅威に直面している」との認識から、「日米同盟の重要性」を提言する内容となっています。 そして、中国の台頭などをふまえ、日本は一流国家であり続けたいのか、二流国家で満足するのか、「重大な転機」にあると指摘しています。(8/16 産経「『第3次アーミテージ報告』日米同盟、新たな役割と任務拡大求める」) 報告書は、日米同盟を(1)エネルギー安全保障、(2)経済及び貿易、(3)近隣諸国との関係、(4)新しい安全保障戦略という、4つのカテゴリーから分析し、提言をまとめています。 冒頭では、日米同盟の重要性を強調しながらも、アジアの安定における主たる努力はアメリカでなされたものであることを強調し、日本が自国の問題を見極めつつも、その国家規模に見合う責務を果たすことを求める内容となっています。 とりわけ日本の安全保障については、「集団的自衛権」行使容認を念頭に、米軍との共同対処を含めた「日本の新たな役割の検討と任務の見直し」を求めています。 また、民主党への政権交代後、日米同盟の空洞化が進み、抑止の実効性が失われ、日米同盟は「危機に瀕している」との厳しい認識を示しています。(8/19 産経「アーミテージ報告 同盟強化へ日本は奮起を」) 本報告書の提言は、(1)日本に対する提言、(2)日米同盟に対する提言、(3)アメリカに対する提言という、3つのカテゴリーから構成され、日米両政府に対して、政策の実行を求める内容になっています。 日本のマスコミは安全保障面に注目していますが、特に重点が置かれているのは、経済に関する提言であると考えられます。 日本に対する提言の1番目の提言において原発の再稼働を促し、2番目の提言では海賊行為に対する国際的な取組みの継続をとペルシャ湾におけるシーレーン防衛に対する支援を要請、3番目の提言では環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉に参加するよう強く促す内容になっています。 ここから読み取れるアメリカのメッセージは、「日本が経済が衰退するような選択肢を取るべきではない」という強い意志です。 今回のアーミテージ・ナイ報告を読み取ると、今後の日米同盟は単なる安全保障に関する同盟と言うよりは、その役割を経済分野にまで拡大させることで、より一層の緊密な「日米同盟」を求めていると考えることができます。 しかし、日本の政府並びに主要な政党はこの報告に応答することは不可能であると見做さざるをえません。 それは野田政権による消費税増税法案の可決、原発依存の見直し、TPP参加に関する優柔不断な態度、尖閣諸島や竹島への不法上陸に対する弱腰外交等の混乱を見ても明らかです。 幸福実現党は日米同盟堅持の主張を一貫して崩しておりません。同時に「自分の国は自分で守る」という自主防衛の旗印を掲げている唯一の保守政党です。 また、幸福実現党は、未来産業の振興、消費税増税の凍結、原発の積極的再稼働、TPPの積極的促進、大胆な金融緩和等、自由経済に基づく積極的な経済成長策によって日本経済を立て直すことができる唯一の責任政党です。 今こそ、日本は、新しい選択をなし、日米同盟を基軸として、世界の平和と繁栄をもたらす「リーダー国家」としての大きな使命を果たすべき時です。(文責・黒川白雲) 香港活動家、強制送還の愚――国家は主権侵害にどう対処すべきか 2012.08.17 「まもなく、沖縄県民が度肝を抜かれるようなことが起きるだろうと思います」――。 5月13日、大川隆法・幸福実現党創立者兼党名誉総裁は、ユートピア活動推進館における法話「宗教立国の実現」の中で、そう警鐘を鳴らしていました。 今回の竹島・尖閣への不法上陸は、まさに、その「予言」が的中した形です。(参照:The Liberty Web「竹島・尖閣不法上陸 大川隆法総裁の『予言』的中」⇒http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4715) 幸福の科学グループは、6月2日から全国上映された映画『ファイナル・ジャッジメント』、また、10月6日から上映される映画『神秘の法』(⇒http://shinpi2012.com/)においても、「近未来予言」として、アジアの軍事大国による日本侵略に強い警鐘を鳴らしています。 また、幸福実現党も2009年の立党以来、中国、北朝鮮による日本侵攻の危機に警鐘を鳴らして来ましたが、政府やマスコミは耳を傾けようとせず、結果として、韓国大統領による竹島上陸、香港の活動家らによる尖閣諸島上陸等を呼び込んだと言って良いでしょう。 更に許しがたいことに、政府は17日、沖縄県・尖閣諸島への不法上陸で入管難民法違反容疑で逮捕された香港の活動家ら14人の刑事処分を見送り、強制送還を行いました。事実上の「無罪赦免」です。 「強制送還」とは、入管難民法に基づく処分です。不法に上陸したものの、「他に罪を犯した嫌疑がないとき」は、入管に身柄を引き渡され、強制送還されることになります。 すなわち、出入国管理法第65条に基づき、不法上陸があっても、公務執行妨害や器物破損などの容疑がない場合は、裁判を受けずに強制送還される規定が適用された形です。 しかし、本来は、不法上陸自体が国家に対する主権侵害行為であり、厳罰に値する重大な犯罪であります。他の容疑の有無に関わらず、裁判で厳正に裁かれるべきです。 そもそも、今回のような領土や領海侵犯という意図的な主権侵害や侵略を企図する者に対して、一般的な不法入国や不法滞在を想定している出入国管理法で対処するには限界があります。 今後、不法上陸の再発を防ぐには、幸福実現党が訴えているように、領海侵犯取締法等の整備による厳罰化が急務であることが証明された形です。 また、強制送還の根拠となった「公務執行妨害や器物破損などの刑事犯罪が無かった」ということの真偽についても、今後、厳密に検証すべきです。 海上保安庁によると、巡視船は抗議船の活動家から、れんがやボルトを投げられ、船体の一部が破損しましたが、巡視船の乗員に直接危害を加えようとしたとは認定できず、海保幹部は「公務執行妨害や器物損壊といった容疑は適用しない」と話しているとのことです。(8/17 産経) しかし、パトカーにれんがやボルトを投げ、パトカーを破損させたら、たとえ警官にけがをさせなくても、間違いなく、公務執行妨害や器物破損で逮捕されるはずです。 なぜ、香港の活動家らが巡視船にれんがやボルトを投げ、海上保安庁の巡視船を破損させたのに、公務執行妨害や器物損壊を問わないのでしょうか? 国民に対して厳罰をくだし、主権侵害を図る不法入国者には甘い顔を見せるようでは「法の下の平等」が疑われます。 東京都知事の石原慎太郎氏も「弱腰外交というか、シナにへつらう情けない姿だ。保安庁の船に大きな石を投げている。ぶつかったあとがあちこちにあって、器物破損、公務執行妨害じゃないんですか。歴然とした刑事犯罪だ」と憤っています。(8/17 産経) 活動家らの逮捕に至る経緯を海上保安庁が撮影したビデオに、公務執行妨害の証拠になる映像が写っている可能性が高いと見られていますが、藤村官房長官は「領海警備に支障が生じる可能性が高い」として公開を拒否しました。(8/17 朝日) こうした民主党政権の情報隠蔽体質は、前回の尖閣諸島漁船衝突事件の対応と酷似しています。 政府は映像が公開されれば、今回の措置に対し、国民から大きな反発を買うことを恐れているのでしょう。政府がビデオ映像を公開しないならば、第二の「sengoku38」の出現が待たれます。 私達国民は、今回の強制送還の是非について、ビデオ公開も含めて徹底的に検証し、政府の弱腰外交を糾していくべきです。 8月17日、幸福実現党ついき秀学党首より、声明「香港活動家による尖閣諸島上陸事案への政府対応を受けて」 (http://www.hr-party.jp/new/2012/27869.html)が発表されましたが、不法上陸や領海侵犯を取り締まるための法的整備に加え、海保巡視船の増強や重武装化、尖閣を守る自衛隊の先島諸島への配備など、防衛体制の構築も急ぐべきです。(文責・黒川白雲) 消費税法案可決――8月10日、日本の民主主義が死んだ日 2012.08.10 消費税増税法案が10日夕の参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立しました。 現行5%の消費税率は2014年4月に8%、15年10月には10%と2段階で引き上げられます。 消費税5%分の引き上げで国民の負担は13.5兆円増えます。単純計算で、国民一人当たり年間10万円以上の負担増、4人家族で年間40万円以上の負担増となります。国民にとっては大変重い負担となります。 今回、野田首相、及び民主党議員は国民の「信」を徹底的に裏切りました。まさしく、「日本の民主主義は8月10日に死んだ」と言えます。 民主党は「消費税増税をしない」ことを公約に掲げて大勝し、政権を取りましたが、政権を取るや一転して「政治生命を懸けて」消費税増税を行うなど、あってはならない事態です。この点、小沢氏の言い分が正しいと言えましょう。 野田首相は10日夜、消費税増税法案が成立したことを受け、首相官邸で記者会見を行い、冒頭、「消費税を引き上げること、国民の皆様に負担をお願いすることは2009年の総選挙で民主党は勝利したが、マニフェスト(政権公約)には記載していなかった。この機会に深くおわびしたい」と述べました。(8/10 読売⇒http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120810-OYT1T01097.htm) 消費税増税してからお詫びの姿勢を示すなど、よくも白々しい茶番が言えたものです。国民を愚弄するのもいい加減にすべきです。 「お詫びの姿勢」を示すのであれば、野田首相をはじめ、消費税増税に賛成した民主党議員達は、マニフェスト違反を認め、日本の民主主義を踏みにじった罪で即刻、議員辞任すべきです。 また、今回、2014年、2015年と2段階の消費税増税が決定されました。これは「増税後の増税」まで決定したことを意味します。 2段階増税は企業や小売店、消費者等に煩瑣な手間と労力、資金負担をかける上、3年後の経済状況がどうなっているかも全く読めない中で増税することを決めるなど、一種の「恐怖政治」と言わざるを得ません。 本来であれば、こうした国政の暴走状態に対してブレーキをかけるのが参議院の役割ですが、「早期解散」という民主・自民の党利党略の駆け引きによって、深い議論がなされないまま、法案の早期成立を認めた参議院は存在価値が無いに等しいと言えます。 幸福実現党が主張して来た「参議院不要論」の正しさが証明された形です。 また、国政の暴走に対して警鐘を鳴らす役割を持ったマスコミは、「社会の木鐸」と言われる責任を微塵も果たしておらず、ひたすら民主党政権や財務官僚に尻尾を振り、財務省の広報紙に成り下がりました。「言論の自由は死んだ」と言えましょう。 また、デフレ期に増税をすることの悪影響を十分に理解しているはずの経済学者や財政学者達も、一部を除いて、ほとんどが「黙して語らず」を貫きました。たかが「御用学者」になりたいために、最も大切な「学問の良心」を捨て去って良いのでしょうか。 この国は「増税批判」を一切許さない、事実上の「国家総動員法」が敷かれているかのようです。 今回、明らかになったように、税金のあり方は「民主主義の成熟の度合いを示すバロメーター」です。 民主主義の発展の歴史は、課税権を専制君主から市民の手に戻す歴史でありました。 民主主義の最も大きな成果の一つは「代表なければ課税なし」という原則を確立し、国民が税をコントロールする地位を確保したことにあります。(参照:吉田寛著『公会計の理論』東洋経済新報社) どの世論調査を見ても、6割前後の国民が反対している消費税増税について、国民に「信」を問うことなく、増税を強行した野田政権は、日本の民主主義を明治時代まで引き戻したと言っても過言ではありません。 こうした異常事態を受け、幸福実現党の立木秀学党首は声明「消費増税法の成立を受けて」を発表し、マスコミにリリース致しました。⇒http://www.hr-party.jp/new/2012/27600.html 日本に「真の民主主義」を取り戻すべき時は今です! 衆議院の解散は近づきましたが、幸福実現党は次期衆議院選を全力で戦い、国民の負託を受け、消費税増税を凍結に追い込んで参ります。皆様の更なるご指導ご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。(文責・黒川白雲) 消費税は「不安定財源」――「欠陥」消費税増税法案を廃案にせよ! 2012.08.03 野田首相は8月3日、消費増税法案について10日の参院採決を目指すよう指示しました。お盆前採決を求める自民党側に配慮した形です。(8/3 読売「消費増税:参院採決10日を指示 首相、輿石幹事長と会談」) 政局の都合によって、参議院での十分な審議もなされないまま、国家の衰退をもたらす消費税増税を早期採決することは言語道断です。 そもそも、消費税増税法案の正式名称は「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」ですが、本当に消費税は「安定財源」と言えるのでしょうか? 財務省や財務省と一体となったマスコミが「安定財源」と称賛してやまない消費税がいかに「不安定財源」であるか。あるデータが発表されました。 7月30日、今年3月までの1年間で、国税の滞納額は6073億円となったことを国税庁が発表しましたが、内、消費税は3220億円と全体の53%を占め、これまでで最高の割合になりました。(7/30 NHK「国税滞納 消費税が50%超に」) 消費税の国税に占める割合は23.0%(平成24年度予算)にもかかわらず、新規滞納額が国税全体の半分を超えており、極めて異常です。 なぜ、他の税金と比べて、消費税の滞納が、これ程までも突出しているのでしょうか? それは「消費税」という納税システム自体に根本的な欠陥があるからです。 消費税は、商品を販売した業者が、商品の代金と一緒に消費税をいったん預かり、年度末にまとめて国に納める仕組みです。 国税庁は、経営の苦しい業者が結果として預かった消費税を運転資金に回すなどして、滞納するケースが増えたためではないかと分析しています(同上)。しかし、それだけが原因ではありません。 立場の弱い中小・零細小売店が、厳しい価格競争にさらされ、消費税分を売値に上乗せできない場合が多くあります。その場合、中小・零細小売店は「もらってもいない消費税」が課され、自腹を割いて納税しています。 東京・新橋のある居酒屋経営者は、大手チェーンとの激しい競争にさらされ、消費税分を価格に反映できず、「毎回かろうじて消費税を払っている状況で、今後、税率が引き上げられるようなことがあっても価格に上乗せできず、経営が続けられないかもしれない。厳しいのひと言だ」と苦悩を語っています。(同上) 中小企業庁が2002年に実施した調査によると、売上げ規模が小さくなればなるほど、「価格に消費税を転嫁できない」と答える事業者の比率が高くなっています(売上高1000万円以下で「完全な転嫁はできない」57.3%)。 その結果、消費税分を自らの資金から補填すべく、資金繰りに苦しんだり、泣く泣く滞納する業者が増えています。実際、東京商工リサーチによると、消費税率の引き上げ時期に、倒産件数が目立って増えています。 1996年に14,834件だった倒産が、消費税を増税した1997年には16,464件、1998年には歴代5位の18,988件に急増しており、現在、「消費税増税倒産」の増加が懸念されています。(6/27 東京新聞「消費税は取りはぐれないか?延滞額は不動の1位」) また、倒産の増加は失業者の増大、そして自殺者の増大を招きます。消費税増税後の1998年の自殺者数は31,755人となり、前年の23,494人の35.2%も増加し、史上初めて3万人を上回りました。 わずか2%の消費増税でも、日本社会はこれだけのダメージを受けたのです。ましてや消費税5%アップの暴挙は壊滅的ダメージをもたらします。 消費税を増税しても、結果として滞納が増えるのみであり、その結果、倒産、失業、自殺者を激増させ、「不幸の拡大総生産」を生み出すことを野田首相は知るべきです。 幸福実現党は、国民を不幸にする「消費税増税法案」成立を断固阻止すべく、全国各地で正論を訴え続けております!皆さまのご指導ご支援、何卒よろしくお願い申し上げます。(文責・黒川白雲) 「日の丸半導体」の凋落――「科学技術立国・日本」復活への道 2012.07.27 7月27日、富士通は半導体を生産する主力の三重工場を台湾企業に売却する方向で交渉を始めました。(7/27 日経「富士通、半導体の三重工場を売却 台湾社と交渉 」) 富士通は半導体製造部門を切り離し、ルネサスエレクトロニクス、パナソニックとシステムLSI事業を統合。統合新会社は半導体の設計開発に特化し、生産は外部企業に委託する予定です。 また、7月2日には、アメリカの半導体大手マイクロン・テクノロジーが、日本の半導体大手で、今年2月に会社更生法の適用を申請した「エルピーダメモリ」を買収すると発表しました。 その結果、世界のDRAM(記憶用半導体)業界は、業界首位の韓国のサムスン電子、2位の韓国のSKハイニックス、米マイクロンという3大メーカーが9割を占める状況となりました。(7/4 ロイター) 「エルピーダメモリ」は、経産省が旗振り役となった「国策企業」で、1999年に日立とNECの半導体製造部門が統合され、2003年に三菱電機の当該部門を吸収した日本唯一のDRAM専業メーカーでしたが、今年2月、業績不振を理由に会社更生法を申請していました。 政府は2009年に産活法を初適用してエルピーダに公的資金を投入しましたが、結局、再建に失敗。国費を投入した「日の丸半導体」企業が外資に買収されることは、日本国民として内心忸怩たるものがあります。 同じく7月2日、経営不振に陥っている日本の半導体大手「ルネサスエレクトロニクス」は、国内19半導体工場のうち、11カ所を3年以内に閉鎖や売却して整理する方針を発表。一部工場は世界最大手の台湾TSMCに売却する方針です。(7/2 ロイター) 「ルネサスエレクトロニクス」はNEC、日立製作所、三菱電機の半導体事業を設立母体とし、各地に分散している3社の工場をそのまま引き継ぎ、十分な整理統合を進めて来ませんでした。 1980年代、「日の丸半導体」は世界市場で80%のシェアを席巻し、「世界の工場」と謳われ、世界の半導体市場を制覇した「黄金期」を迎えていました。 1990年、半導体売上高の世界シェアは、NEC、東芝、モトローラ、日立製作所の順で、日本のトップ3社で、世界シェアの約3割を占めていましたが、90年代半ばから、韓国と台湾のメーカーの急速な追い上げを受けました。 現在の半導体トップ3社は、インテル、サムスン電子、テキサスインスツルメントで、この3社で、世界シェアの約3割を占めています。(2011/12/6 EE Times Japan「2011年の世界半導体売上高ランキング」) 政府は1996年から5年毎に「科学技術基本計画」を策定。第一期(1996年~)では政府研究開発投資は5年間で17兆円、第二期(2001年~)では同24兆円、第三期(2006年~)では同25兆円を投下。第四期(2011年~)では同25兆円を投資予定です。⇒http://www.jst.go.jp/tt/pamph/tt20120202-2.pdf 自民党政権時代から、政府は「科学立国・日本」の復活をかけ、1996年から15年間で計66兆円の政府研究開発投資を行って来ました。 年間では防衛費と同じく、GDP1%相当の投資がなされ、半導体分野にも多額の投資がなされて来ましたが、成果は必ずしも出ていません。政府は研究開発の投資対象を再検討すべきです。 2011年に閣議決定された「第4期科学技術基本計画」では「震災からの復興、再生の実現」「グリーンイノベーションの推進」「ライフイノベーションの推進」「科学技術イノベーションの推進に向けたシステム改革 」が柱として掲げられています。⇒http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/4honbun.pdf しかし、今計画で力点が置かれている「再生可能エネルギー」は、例えば、太陽光パネルでは、安値で世界市場を席巻する中国系企業に太刀打ちすることは容易ではありません。既にドイツやアメリカでも太陽光パネルメーカーが相次いで破産、撤退しています。 グローバル社会の競争の中で日本が生き残る道は、今後とも「科学技術立国」しかありません。 科学技術分野への投資は今後とも積極的に推進すべきですが、投資対象分野は、日本の生き残りを懸け、戦略的重点化(投資対象分野の選択と集中)を図るべきです。 幸福実現党は、交通革命、航空・宇宙産業、防衛産業、ロボット産業等の科学技術で世界をリードする政策を掲げています。 政府も「科学技術イノベーション」を掲げるのであれば、新興国とコスト競争を行なっているような分野にではなく、21世紀の潮流を予測し、「新時代のフロントランナー」となり得る未来産業分野に思い切った戦略的投資をなすべきです。(文責・黒川白雲) すべてを表示する « Previous 1 … 4 5 6 7 8 … 12 Next »