Home/ 窪田真人 窪田真人 執筆者:窪田真人 MICE誘致を積極的に進め、観光立国を実現せよ! 2016.02.23 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆訪日外国人観光客数の大きな伸び 2015年の訪日外国人観光客数は、前年比47.1%増の1973万7400人で、過去最高だった14年の1341万3467人を大幅に上回り、3年連続で過去最高を更新しました。 訪日ビザの要件緩和や円安などを受け、中国などアジアを中心に訪日ブームが続いていることが背景にあります。1000万人を突破した13年から2年でほぼ倍増しており、年間2000万人の政府目標に大きく近づきました。 ◆更なる伸びしろが期待できるMICE そうした観光立国政策の中でも更なる成長が期待できるのがMICEです。 MICEとは「Meeting(企業等の会議)」、「Incentive Travel(報奨・研修旅行)」、「Convention(国際会議)」、「Exhibition/Event(展示会・見本市)」の頭文字を集めたもので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称を指します。 一般の観光とは異なり、MICEはグローバル企業や学術系の団体の関係者が世界各地から訪れる為、大型団体による長期滞在に繋がり易く、コンベンション施設や展示ホール、ホテルなどの宿泊関連施設、周辺の観光施設や交通機関など広範囲において、多大な経済効果をもたらす点に特徴があります。 MICEについても日本国内での開催件数は伸びており、2014年時点では2590件と前年比6.7%増、外国人参加者数は17.8万人と前年比30.9%増となっています。 今後は訪日外国人観光客数の増加によって広がった日本に対する関心を、積極的に経済効果の高いMICEの開催に繋げていくという点が、観光立国実現への大きなカギとなります。 ◆一般観光と異なるMICEの誘致 観光客は観光地を見て巡り、その体験を楽しむことで目的を達成し満足を得ますが、MICE参加者の訪問目的はビジネスにあります。 つまり、彼らにとってはスムースにビジネスが行えることが最重要事項です。観光客にとって重要な観光スポットを満喫することは、MICE参加者にとって重要な要素ではありません。 そのため日本は、MICEの開催地として適した環境づくりを進め、その点を重点的にPRしていく必要があります。 またMICEビジネスには、MICE参加者とMICE主催者の2種類のお客様がいますが、特にMICE主催者、その中でも開催地に関する決定権・投票権を持つキーパーソンに戦略的にアプローチを行わなくてはなりません。 ◆MICE誘致成功のために必要なもの では上記課題に対応するためにはいったい何が必要でしょうか。 交通網、MICE開催会場の整備や参加者の宿泊に必要なホテルの確保など、環境づくりはもちろん、効果的にMICE主催者にアプローチする体制を構築することが必要です。 昨今MICEを重要産業と位置づけ活動を進めているマレーシアでは、MICEを推進するMyCEB(マレーシア コンベンション&エキシビション ビューロー)という国営の組織を用意して対応しています。 MyCEBでは約20億円の予算を持ち、専属スタッフ約50人が業務に励んでおり、MICE主催者へのアプローチを効果的に進め、MICE誘致の拡大に大きく成功しています。 現在の日本のグローバルMICE戦略都市・強化都市7都市の総予算はMyCEBの1/3と大変少なく、人材も十分に確保できていない状況です。 よりMICE誘致を積極的に進め、日本をさらなる観光立国へとステップアップさせるために積極的な体制づくりを行い、国として日本経済の活性化に繋げていく努力が必要です。 慰安婦問題の終わりのはじまり 2015.12.31 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆「慰安婦問題」で日韓合意!? 日韓両政府は12月28日の外相会談で、旧日本軍の慰安婦問題の決着で合意したと、マスコミ各社が報じました。 なお日韓外相会談では、おおむね以下5点のことが合意されました。 1.当時の日本軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたことに対して、日本政府は責任を痛感している。 2.安倍首相はそのことに関して、心からの反省とお詫びを表明している。 3.韓国側が設立する財団に、日本政府の予算から資金(10億円)を拠出し、心の傷を癒す措置を講じる事業を支援していく。 4.在韓日本大使館前に置かれた元慰安婦の少女像に関しては、韓国政府はそれを移動すべく関連団体と協議し、適切な解決に向けて努力する。 5.今般の合意は「最終的かつ不可逆的」で、日韓両国は今後、国連など国際社会において、互いを非難することをしない。 上記合意を通し、岸田外相は「日韓間における従軍慰安婦問題の終結」を表明し、同盟国であるアメリカもまた日韓慰安婦合意を評価することを表明しています。 では、この日韓合意について我々はどのように評価するべきなのでしょうか。 ◆日本は白旗を上げた! 今回の日韓合意、その実態を踏まえると残念ながら全く評価されるものではありません。 そもそも従軍慰安婦なる存在は朝日新聞の一連の捏造報道が元になってつくられたものであり、全くのでたらめです。 韓国が外交上の切り札としてこのでたらめを使い始め、河野・村山談話を通し、日本が韓国に対して公式謝罪をしてしまった結果、世界中に「従軍慰安婦は存在した」、「日本は朝鮮の方々に悪いことをした」という認識が広まってしまいました。 また皆様ご存知の通り、1965年日韓国交正常化にあたって結ばれた日韓請求権・経済協力協定にて、日本は韓国に5億ドル(当時の韓国国家予算のほぼ2年分)の経済協力等を行い、日韓の賠償問題については完全かつ最終的に解決されています。 こうした背景があるにも関わらず、日本政府は「心の傷を癒す措置を講じる事業」に対する支援として、元慰安婦へ10億円もの財政支援を行おうとしているのです。 さらに岸田外相は共同記者発表で「当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している」と強調しました。 この主張は今年8月14日に出された戦後70年談話以上に、日本の戦争責任について言及した内容です。 こうした姿勢は「日本が従軍慰安婦問題を認めた」と諸外国に発信することに繋がります。 実際にこの日韓合意を受け、NYタイムズなど海外の大手メディア各社では「日本が従軍慰安婦問題を認め謝罪した」との認識のもと記事が多数書かれています。 以上をまとめると、日本は今回の日韓合意を通して、韓国のプロパガンダを認め、全く支払う必要のない10億円もの大金を国民の税金を元に韓国に支払い、さらには「日本が従軍慰安婦問題を認め謝罪した」と世界中に発信してしまったのです。 これは、従軍慰安婦問題について日本は韓国に白旗を上げたと言わざるを得ません。 ◆韓国の国益優先!迷走中の安倍内閣!! 従軍慰安婦問題が日韓の間で解決されたかのように報道がなされていますが、全く以てそんなことはありません。 そもそも50年前の1965年に決着がついているはずなのに、韓国は(朝日新聞の捏造記事が出されて以降)何度も従軍慰安婦問題を蒸し返しています。 韓国政府の「蒸し返さない」という言葉は全く信用できるものではありません。韓国は近い将来、新たな謝罪や補償を求めてくるでしょう。 また韓国側の強い要望により、今回の慰安婦問題合意は前代未聞の口約束形式でなされ、合意文書作成・調印見送りがなされました。 さらにソウル日本大使館前にある慰安婦問題を象徴する少女像については市民団体の意向次第とされ、撤去が約束された状態ではありません。 このように、日韓合意の内容は韓国に大きく譲歩したものになっています。 現在韓国は、最大の輸出先である中国経済の悪化の影響を受け、大きく経済が後退しています。 2015年10月の韓国の輸出額は前年比15.8%減少しました。輸出依存度が高いことで知られる韓国にとっては大きな打撃です。 こうした状況下において韓国の視点から考えると、日本との関係を改善し、経済関係を強化することは避けて通ることはできません。 外交交渉上日本はその点を大きく利用し、最大限自国の利益を確保するべく努めるべきでした。 にも関わらず、なぜこのように韓国にとって大変優位な合意内容になるのでしょうか。全く以て日本政府の意向が理解できません。 今回の合意は、これからさらに多くの問題につながるでしょう。 ◆日本と世界のあるべき発展のために そうした中で今、我々にできることは、「従軍慰安婦問題はデタラメである」という正しい歴史観を世界に発信し続けることでしょう。 そして従軍慰安婦問題の諸悪の根源となっているのが、河野・村山両談話の存在であり、一刻も早く両談話を撤回しなくてはなりません。 幸福実現党は歴史認識を巡る日本の名誉回復に向けて、自虐史観談話の撤回をはじめ、東京裁判史観の払拭に引き続き取り組んでまいります! 真実の下に日本、そして世界の発展を実現して参ります!! 参考:【幸福実現党声明】日韓外相会談を受けて http://shaku-ryoko.net/education/6914/ 日本は、日韓関係にどう立ち向かう? 2015.11.03 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆日韓首脳 3年半ぶり会談 2日午前、韓国訪問中の安倍首相はソウルの青瓦台にて、パク・クネ大統領と初めて個別に会談しました。 二国間の首脳会談は約3年ぶりであり、旧日本軍による従軍慰安婦問題について年内を含め早期妥結を目指す方針、また経済、安全保障の面で協力を強化する方針で一致しました。 なお会談時間のほとんどは、慰安婦問題についての話し合いに使われましたが、見解は平行線のまま、具体的な解決策が提示されることなく、終了しました。 ◆現在の韓国の状況 これまで従軍慰安婦問題を前面に出し、反日外交を進めてきたパク・クネ大統領が、なぜこのタイミングで安倍首相との個別会談を受け入れたのでしょうか。 その背景には経済・外交の両面における韓国の苦しい事情があります。 現在の韓国は、同盟国である米国と安全保障面でより強い関係を構築したい一方で、日本に対して歴史認識をめぐり共闘し経済の結びつきも強い中国と関係を維持せざるを得ない状況に置かれています。 すなわち米国、中国の間で大きく揺れ動いている、それが現在の韓国の状況です。 先月27日、米国政府が南シナ海での中国による人工島から12カイリ以内の海域に、アメリカ海軍のイージス艦を派遣し、航行させた件について、日本は米国の行動を支持する旨を表明していますが、韓国は、中国との経済的な繋がりを重視する姿勢から、自身の立場を表明していません。 しかしその中国は経済が悪化しており、先月10月の韓国の輸出額は前年比15.8%減少しました。輸出依存度が高いことで知られる韓国にとっては大きな打撃です。 こうした状況を踏まえ、韓国は日本との関係改善による経済活性化、また中国への経済依存の軽減を目指す目的で、今回の日韓首脳会談は行われました。 ◆元慰安婦への財政支援拡大!? 日韓首脳会談を受け、日本政府は対応策の検討に入っています。 特に慰安婦問題については、2007年に解散したアジア女性基金のフォローアップ事業の拡充を通し、元慰安婦への財政支援拡大を進めようとしています。 皆様ご存知の通り、1965年日韓国交正常化にあたって結ばれた日韓請求権・経済協力協定にて、日本は韓国に5億ドル(当時の韓国国家予算のほぼ2年分)の経済協力等を行い、日韓の賠償問題については完全かつ最終的に解決されています。 日本政府もその見解を持ちながらも、今回の会談を踏まえ、「基本的人権を踏みにじられた女性への人道的支援の充実」と称して、元慰安婦への財政支援拡大を行おうとしているのです。 こうした姿勢は「日本が従軍慰安婦問題を認めた」と諸外国に発信することに繋がりかねない為、絶対に実行されるべきではありません。 日本は、「従軍慰安婦問題はデタラメである」という正しい歴史観を世界に発信し続けるべきです。 そもそも現在の韓国の一番の問題点は歴史認識ではなく、経済における中国依存度があまりに大きいために、外交上中国に強く出ることができない状況、すなわち経済面にこそ大きな問題があります。 そのような状況下において、元慰安婦への財政支援拡大など日本にとって何もプラスに働きません。 ◆日本が目指すべき日韓関係の在り方 ただし、中韓の関係が更に強化される事態は避けなければなりません。 目指すべきは、日韓の経済的な繋がりが強化されることで韓国の対中国依存度を軽減し、日米韓における東アジアにおける安全保障体制を強化することです。 では日本はこの状況を踏まえ、何ができるのか。 その1つとして、韓国のTPP参加の後押し、協力を積極的に行うことが挙げられます。 特に韓国がTPPに正式に参加する場合、既に参加した12か国から厳しい市場開放などを求められることになりますが、韓国にその点を大きな負担と思わせることなく参加に導けるかが、日本に求められる役割となるでしょう。 日本が積極的に韓国のTPP参加に働きかけ、多くの輸出先が韓国に開かれれば韓国の対中国依存度を減らすことができます。 そして韓国は経済と外交の間で揺れ動く、現在の状況を一歩改善することができるでしょう。 日本は、こうしたアジアのリーダーとしての役割を果たしていくべきであると考えます。 世界のリーダー日本の在り方――シリア難民問題にどう立ち向かう? 2015.09.15 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆深刻化するシリア難民問題 シリア難民の受け入れをめぐるニュースが連日数多く報じられています。 シリア内戦が始まって4年半、戦乱を逃れて国内外に避難したシリア人は全国民(2240万人)の約半数以上にのぼりました。 特に最近は、難民に対する保障が充実し、経済的にも豊かなドイツを目指し、沢山の人々が移動しています。 その結果、ドイツへの入り口となっているハンガリーでは幹線道路が混乱したり、列車の運行に支障をきたすなど、多くの問題が発生しています。 こうしたシリア難民への対応に関して、それぞれの国が対応を求められています。 ◆積極的な欧米諸国 欧米諸国内ではドイツ、スウェーデンといった国が積極的に対応を進めています。 ドイツは既に約10万人以上のシリア難民を受け入れており、今年だけで80万人を受け入れることを表明しています。 スウェーデンは今年7万4000人を受け入れることを表明し、更には難民認定したシリア人全員に永住権を与え、すぐに家族を呼び寄せることができるようにするといった特別な施策を行っています。 また欧州へ向かう途中に船が転覆し、トルコの海岸に漂着したシリア人男児、3歳のアイラン君の遺体写真は多くの国々に大きな衝撃を与えました。 その報道以降、受け入れに消極的だった欧米諸国でも、人道的理由から受け入れの表明が数多くなされました。 イギリスのキャメロン首相が一転してシリア難民受け入れを表明したほか、オーストラリア、ニュージーランドなど同様の声明が出されました。またアメリカにおいても、来年までに1万人のシリア難民受け入れる旨の声明が出されています。 このように欧米諸国の流れとしては、全般的に積極的な難民受け入れに動いている状況です。 ◆消極的なアラブ諸国 その一方で欧州よりも文化や宗教的価値観がシリアに近い、GCC加盟6か国(バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦/UAE)については、難民の受け入れに対して消極的な姿勢を見せています。 難民の絶対数が多過ぎるため、国内秩序が乱れ、経済の混乱を招く可能性がある点、またシリア難民とISISのつながりがある可能性があり、安全保障上の観点からも、これら諸国では消極的な対応がなされています。 ◆日本の現状 こうした問題について、日本に対しても国際社会の一員としての対応が求められています。 国連の外務担当者より日本に対し「シリア難民400万人の受け入れ協力を要請する」というコメントが出されました。 また難民受け入れに消極的な態度を続ける日本に対し、「お金は出すが難民は受け入れない」とワシントン・ポスト、英インデペンデント紙など多くの海外メディアにおいて、批判的な記事が相次いで出されています。 実際にこれまで日本に難民申請をしたシリア人は60人で、そのうち認められたのは3人、また30人が「人道上の理由」により、長期滞在許可を得ている状況です。 昨年2014年は、ネパール、ベトナム、タイなどを中心に過去最高の合計5000件の難民申請を受け、認められたのは11件でした。 この認可された難民申請数の割合は先進国の中で最も低く、非常に難民の受け入れに厳しい態度を取っていると言えます。 ◆日本はシリア難民問題にどう立ち向かう? では日本はこのシリア難民問題にどう立ち向かい、対応するべきでしょうか。 言語の問題や、宗教的、文化的違いから受け入れ体制が不十分である、更にはISISとの繋がりが可能性として考えられ安全保障面が脅かされるなど、現段階では問題点が山積みというのが正直なところでしょう。 しかし世界のリーダー国としての立場、また外交面、特に欧米諸国との関係構築強化といった側面から見れば、やはりシリア難民の受け入れは避けるべきポイントではないと考えられます。 また今後、労働人口の減少、国家の経済力の低下が危惧される日本では移民の受け入れは避けて通ることができない道でしょう。 その1つのケースとして、今回のシリア難民の受け入れを捉えることも可能であると思います。 実際にドイツでは、難民の受け入れを経済力へと転化する試みが積極的になされ、今回のシリア難民の受け入れもそうした理由が強く働いていると言われています。 よって、日本はこのシリア難民の受け入れを、今後の移民受け入れのモデルケースとし、受け入れ体制の構築を進めることが望ましいのではないでしょうか。 まずシリア難民については受け入れを進め、世界のリーダー国としての役割を果たしていくことも検討すべきではないかと考えます。 今こそIoT市場の積極的拡大によって経済を活性化せよ! 2015.07.14 文/HS政経塾4期生 窪田真人 ◆IoTとは何か 昨今よく耳にするIoTという言葉、皆様ご存知でしょうか。 IoTとはInternet of Thingsの略語であり、モノのインターネットと言われているものです。 すなわち、私達の身の回りにあるモノにセンサーや制御機器を組み込んで、これをインターネットに繋いでネットワーク化することを意味します。 例えば自動車に搭載されたセンサーは、位置情報で現在位置を把握するだけではなく速度や進行方向、エンジンの回転数や温度、燃費など様々なデータをモニターしており、その情報をインターネットに繋げ監視する体制を築くことで、事前に故障の予兆を検知することができます。 このようにIoTは既に我々の生活に密接に関わり、存在しているのです。 ◆IoTで社会はどう変わるか それではIoTで社会はどう変わるのでしょうか?特に製造業の分野で大きな変革が起こると言われています。 製品設計、マーケティング、製造、アフターサービスなど、それぞれの工程において情報を集め、その情報を活かした活動を行い、加えてそうした活動のために、製品データの解析やセキュリティ確保といった業務活動の必要性が生じるため、バリューチェーン(商品がお客様に届くまでの間、どこでどれだけの価値が生み出されていくか)の在り方が変わります。 さらにはバリューチェーンの最適化が促され、生産性の向上が求められることになります。 その結果、IoTは「新たな産業革命」とまで称され、既存のビジネスモデルを大きく変えることになるのです。 予測として、インターネットに接続される機械やデバイスの数は、2015年で150億台、2020年には500億台を超えると言われており、市場規模は全世界で約365兆円にまで拡大すると言われています。 ◆ドイツのIoT戦略 IoTを自らの成長に取り込もうと、各社、各国は現在様々な取り組みを進めています。 特にドイツは官民一体となり、製造業のイノベーション政策として主導しているプロジェクト「Industrie 4.0」を通して、IoTにおける市場獲得を狙っています。 このプロジェクトは、工場を中心にインターネットを通じてあらゆるモノやサービスを連携することで、「ダイナミックセル生産」という生産方式を可能にすることを目指しています。 「ダイナミックセル生産」とは、生産工程の作業管理を行う生産管理システムをインターネットのネットワーク上に構築し、生産に関わるあらゆる情報にリアルタイムにアクセスできる体制を築くことで、最適な生産を行うものです。 具体的には、生産に必要な情報さえ提供すれば、多くのプレイヤーが生産活動に参加でき、顧客の要望に合わせて、製品ごとに異なる仕様、好みのデザインの商品を欲しいときに欲しい数量だけムダ無く作ることが可能になります。 こうした柔軟な生産体制の構築によって、ドイツは自国の製造業の優位性を担保しようとしているのです。 ただ、その実現のためには、工程管理、製造装置における「標準化」が大変重要なキーワードになります。 設計から生産に至るまでの一貫した生産工程を工程ごとに標準化し、求められる仕様に合わせて組み替えができるように対応する必要があり、柔軟で高度に統合された自律的な生産管理が求められます。 また製造装置は標準化プロセスの要となる要素であり、そのもの自体を世界標準とするために仕組みを提供していかなければなりません。 実際にドイツは工程管理、製造装置における「標準化」を進め、IoTにおける自国企業の競争優位性を担保することを目指しています。 ◆日本の現状ととるべきIoT戦略 こうしたドイツの動きに対し、日本はIoTに関する対応が後手に回っていると言わざるを得ません。 現状では、総務省がデータ活用による事業化について、ビッグデータのキーワードでIoTに取り組むよう、通信/IT業界へ推奨しているだけです。 その一方で、経済産業省はドイツをはじめとする他国のIoTへの取り組みが、自動車やハイテク、機械といった、日本がグローバルで強みを持つ産業競争力を下げる危険性があると考えています。 実際に、2014年12月に開催された『日本の「稼ぐ力」創出研究会(第8回)』(事務局:経済産業省 経済産業政策局 産業再生課)の説明資料には、その懸念として「我が国のAI・ビッグデータ産業は、グローバル・プレーヤーの一員となっていないのではないか」と記されています。 では日本はこれからIoTについてどのような手を打っていくべきなのでしょうか。考えられる戦略は以下の3つです。 (1)ドイツをはじめとする他国の標準化を受け入れ、その中でグローバル市場におけるシェア拡大を狙う (2)日本独自規格を作り、日本+アジアに展開して世界標準を目指す (3)業界・企業独自の技術を磨き上げて「技術と品質」でグローバル市場をリードする この中で私が進めるべきだと考える戦略は、(2)と(3)の融合です。 日本の最大の強みは、やはり自動車をはじめとするモノづくりにあるでしょう。 その優位性を担保するためには、一般化した技術については「標準化」を通し、他国を巻き込んだ生産体制を構築していくこと、その一方で、最先端の技術力、品質を生み出し続けることがグローバル市場における競争の源泉となるはずです。 IoTについて今日本がなすべきことは、自国の利益を確保しつつ、アジア、そして世界のリーダーとしての強い方針を打ち出し、日本独自規格を標準化し多くの国を巻き込んでいくこと、そして巨大な新生産体制を築いていくことなのです。 LCCの参入促進で、観光立国日本を目指せ! 2015.05.18 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆圧倒的な伸びを見せる訪日外国人旅行者数と旅行収支の黒字化 2003年度から精力的に行われてきた「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の効果もあり、2014年、訪日外国人数は過去最高の1341万4千人を記録しました。 また海外からの旅行者が日本で使った金額が日本からの旅行者が海外で使った金額を超え、旅行収支が黒字化しました(外国人:2兆2344億円>日本人:2兆245億円)。 これは海外旅行自由化前の1959年以来、55年ぶりの快挙です。 さらに2014年10月には、化粧品、食品など免税対象品の幅も広がったこともあり、訪日外国人一人当たりの旅行消費額は、前年比約6%増となりました。 まさに日本は観光立国への道を一歩ずつ歩んでいます! ◆日本へのアクセスコストを下げよ! こうした観光立国への実現を妨げている要因として度々挙げられるのが、航空券の高さです。 ではなぜ日本の航空券は高いのでしょうか? その理由の1つが公租公課の高さです。 公租公課とは、国または地方公共団体から航空会社に、国内の空港や航空管制を整備、維持するために課される金銭負担です。 その公租公課が航空券代に含まれ、旅行者に課せられている現状が挙げられます。 これまでにも公租公課の見直しは行われてきました。 特に2014年公租公課の引き下げを目的に、国内線、国際線ともに航空会社が支払う着陸料の算出において、新たな制度が導入されたことは記憶に新しいところです。 しかし残念ながらこうした政策の効果はあまり出ていません。 2014年1月より国が管理する28の空港のうち、地方都市に存在する各地方空港の着陸料を新規就航や増便に限って、3年間30~80%割引く政策も昨年よりはじまりましたが、これまでに制度適用が認められた案件はありません。 また2014年11月からは羽田空港の深夜早朝における国際線旅客便の着陸料を3年間20~50%割引く軽減措置を実施しましたが、航空券料金の低下は大きく見られず、こちらに関しても課題が残ります。 このような現状を踏まえ、航空券料金を下げるべく、新たな政策が求められています。 ◆LCCの参入を促し、観光立国日本の実現へ!! その解として、国をあげてLCCの参入を促すことが挙げられるでしょう。 具体的には大きく2つの政策が挙げられます。 1つ目に、補助金を通しLCC専用のターミナルを建設、開業を促すことが挙げられます。 実際に2015年4月に、成田空港にてLCC専用の新たなターミナル(第3ターミナル)が開業しましたが、建設コストを削減することで、従来の半額程度に航空各社が負担する施設の使用料を抑え、LCCの新規参入や増便を促すことに成功しています。 また2つ目に、空港発着枠について国土交通省が有している決定権を見直すことが挙げられます。 国土交通省は航空会社の過去のデータより「運賃水準の廉化の努力」、「安全性の確保(過去5年間の事故率)」などを元に評価を行い、発着枠の配分を決定しています。 なぜその評価を行うのが国土交通省である必要があるのか、また客観的に見て納得できる評価であるのか、再考の余地は十分にあります。 さらに既存の利用枠についても再度検討を行うべきです。既存枠は、JAL、ANA等のネットワークキャリアの既得権益となっており、LCCなど新規参入企業は参入の機会すらないのが現状です。 この点については既得権益を保護する仕組みが成立していると言え、航空会社間の競争が発生しにくい状況が存在し、航空運賃が下がらない理由の1つになっています。 LCCの参入を促すことで、訪日外国人数をもっと伸ばせるはずです。 航空業界に変革を起こすことで、観光立国日本を実現して参りましょう!! アジアのリーダー――日本の役割 2015.03.17 文/HS政経塾4期生 窪田真人 ◆英国のアジアインフラ投資銀行への参加表明 3月14日、15日の新聞各社紙面にて、中国政府が設立を提唱しているアジアインフラ投資銀行に、英国が参加することが大きく報じられました。 英国のアジアインフラ投資銀行への参加理由としては、中国主導の開発支援の枠組みに参加することで、中国との経済面での連携を強化する点が大きく挙げられます。 対露制裁の長期化などで欧州経済の悪化が避けられない状況下において、中国との関係強化による投資の呼び込みは経済の活性化において大きなプラスに働くと英国は捉えています。 英国はG7では初の加盟国ですが、この参加表明に続いて、イタリアをはじめとする他の欧州諸国やカナダ、オーストラリア、また韓国などが追随する可能性が高いと言われています。 ◆アジアインフラ投資銀行とは何か? アジアインフラ投資銀行とは、アジアの発展途上国を支援する国際開発金融機関として中国政府が設立を提唱しているものです。 経済成長が著しいアジアでは、その成長を支えるために、毎年少なくとも7500億ドル(約95兆円)に上るインフラ投資が必要とされており、日米欧が主導するアジア開発銀行では賄いきれない莫大なアジアのインフラ資金需要を、代替・補完的に賄うとしています。 現在、東南アジア10カ国、インドをはじめとする国々に今回参加を表明した英国を加えて、計28カ国の参加が既に決まっています。 出資比率はGDP(国内総生産)に基づいて決まるため、参加国中最大の経済大国、中国が半分以上の出資比率を確保することによって、中国が大きな発言権を握ることになります。 すなわち中国はこのアジアインフラ投資銀行設立を通し、アジアにおける自国の影響力を拡大し、中華圏の実現を目指しています。 また英国の参加は、アジアインフラ投資銀行の国際金融機関としての信用を高めることにつながります。 よってアジアインフラ投資銀行は、発行債券などの格付けを上げることができ、低金利での資金調達が可能になるでしょう。 中国にとって、アジアインフラ投資銀行への英国の参加は大きくプラスに働くと考えられます。 ◆日本もアジアインフラ投資銀行に参加するべき?? 日本は現在アジアインフラ投資銀行への参加について米国と共同歩調をとっており、参加に慎重な姿勢を示しています。 その理由として大きく挙げられるのは、主に次の3点です。 (1)設立にあたっての目的が不明瞭である(アジア開発銀行との違いがない) (2)人権、環境に対する方針、融資に関する規則が不明瞭である (3)中国の影響力が非常に大きく、日本のプレゼンスを十分に発揮できない その一方で、アジアインフラ投資銀行に参加するべきだという意見も多く聞かれます。こちらに関しても、大きく3点の理由が挙げられます。 (1)大きなビジネスチャンスの機会を得ることができる (2)中国の都合に沿った機関にならないよう、アジアインフラ投資銀行の内部から中国を牽制することができる (3)アジア諸国との関係をより強固にすることができる どの点を重視して捉えるかにもよりますが、これまでにも大きな問題として挙げられてきた中国のインフラ建設における人権侵害、環境破壊、反日デモや模倣品、海賊版の横行による日系企業への被害、また贈賄を前提とした中国特有のビジネス慣習などを踏まえると、日本が仮にアジアインフラ投資銀行に参加しても、想定しているメリットをストレートに享受することは難しいでしょう。 また出資比率はGDP(国内総生産)に基づいて決まり、その出資比率に比例して発言力の大きさも決まるため、日本は、アジアインフラ投資銀行に参加してもそのプレゼンスを大きく発揮することはできないでしょう。 ◆今こそアジア開発銀行の発展を通し、日本としてのプレゼンスを発揮するとき では日本はどうするべきでしょうか。 アジアインフラ投資銀行へは参加せず、今こそ明確な人権、環境に対する方針、融資に関する規則を示し、アジア開発銀行を通して、アジア諸国へのインフラ整備を積極的に進め、アジアのリーダーとしての立場を、確固たるものにすべき時であると考えます。 アジア開発銀行において日本は、米国と共に最大の出資比率を有しており、1966年の設立以降、歴代総裁は全員日本人が占めているなど大変大きな影響力を有しています。 また参加国/地域数は67にも上り、多くのOECD諸国が加盟している点も特徴として挙げられます。 日本はこのアジア開発銀行における地盤を最大限活用し、これまでのノウハウそしてリーダーシップを以てアジア諸国への支援を進めていくべきです。 その為に、参加国における出資比率の見直し、融資に関する規則の見直し、プロジェクト完了までの時間の短縮化などを通して、より強固で諸外国のニーズにあった体制づくりに、日本が中心となって励むべきでしょう。 間違っても、「中国の、中国による、中国のための国際金融機関」と言われるアジアインフラ投資銀行に参加し、中華圏の創造に貢献することで、アジア開発銀行のプレゼンス、またアジアにおける日本のプレゼンスを下げてはなりません。 今こそアジア開発銀行の発展を通し、日本は自らのプレゼンスを発揮するときなのです。 観光立国日本の実現を目指して 2015.01.05 文/HS政経塾4期生 窪田真人 ◆2014年訪日外国人観光客数は1200万人突破 ここ数年、銀座、新宿など都内の有名スポットに行くと、外国人観光客が多いという印象を持っている方も多いのではないでしょうか。 2003年当時の小泉政権によるビジット・ジャパンキャンペーンの開始から、2006年観光立国推進基本法の成立、2008年観光庁の設置、そして現安倍政権になってからは観光立国推進閣僚会議が中心となり、観光立国を目指した様々な政策が実行されてきています。 具体的には日本再興戦略において、2020年オリンピックには2000万人、2030年には3000万人の訪日外国人観光客を獲得するべく、訪日プロモーション、新規就航に伴う航空座席増加と航空運賃の低下、ビザ要件緩和などが進められています。 その結果、観光庁の調査によると、2014年は近隣諸国の経済成長、円安が追い風となったこともあり、外国人旅行者は史上最高の1200万人台後半に達すると言われています。 ◆高まる観光立国慎重論 そんな中、観光立国政策の推進に対して、異議を唱える論調が少しずつ高まってきている印象を受けます。 そうした論調の多くは、外国人観光客のマナーの悪さ、ビザ要件緩和に伴う不法滞在者の増加の2点を主たる問題点として挙げています。 その対応として、現在外国人観光客のマナーの改善を目指し、観光庁が主体となり外国人観光客に対するマナーブックの作成、頒布による対応が進められています。 またビザ要件緩和対象国の不法滞在者数は確かに増加している傾向があり、その対策が早急に求められます。 例として2013年7月よりビザ要件が緩和されたタイについては、タイ国籍者の不法滞在者数は2013年度前年比23%増と急増しています。 現在、ビザ要件緩和対象国の国籍を持つ旅行者の入国時の審査を強化することで、不法滞在者を減らすべく対応が進められています。 ◆観光立国になることで得られる大きなメリット 観光立国を目指す上でこうした問題点は実際にあり、対応を進めていかなければならない面は確かにあります。 しかしその問題点を大きく捉え過ぎることで、観光立国の推進を止めるべきではありません。 日本は観光立国を目指すことで、大きな経済効果が期待できる、民間外交を通して相互理解を高めることができるといったメリットを享受することができるためです。 特に、大きな経済効果は期待できるでしょう。 例として2009 年度に日本で支払われた経済波及効果は 27.1 兆円、雇用誘発効果が 462 万人となっており、日本において既に大きな市場として成立しています。 さらに生産年齢の急減により、他の多くの分野で内需縮小が予想される一方で、アジア諸外国の成長力の取り込みが期待できる、数少ない成長分野として、観光産業を捉えることができます。 このような潜在的な市場の大きさ、そして今後更なる広がりが期待できる点で、観光産業は重視されるべきです。 ◆より力強い観光立国を目指して では観光立国日本を実現するためには何が必要でしょうか。 最も力を入れるべきは、PR力の強化であると考えます。 世界の有名観光地を見るとドイツのロマンチック街道、フランスのロワール渓谷古城群など、観光地を点ではなく線で結んで誘客に成功している例が多く見られます。 現在日本も、観光庁の観光圏構想など地域連携の観光振興を図る動きもありますが、多くの場合、市町村や県単位で観光客の誘致を図っているため小規模であり、外国人観光客にとって認知すらされていないという状況です。 すなわち日本国内において一つ一つの観光地は大変魅力的なものであるにも関わらず、訴求したい相手にうまくPRできていないのです。 こうした問題に対して、観光庁、都道府県、そして市町村が一丸となり、日本国内の観光地を結ぶ魅力的なルートを作り、そのルート単位にてPRを行い、外国人観光客の獲得に努めていくといった政策が有効に働くはずです。 観光におけるPR力の強化を通して、必ずや観光立国日本を実現して参りましょう! ピンチをチャンスへ。今こそ日露関係改善を図るとき! 2014.09.29 文/HS政経塾4期生 窪田真人 ◆ 日露首脳11月会談、日露両政府基本合意 日露首脳会談が、11月北京で開催予定のAPEC首脳会議の際に行われると27日各紙が報じました。ロシアは日本にとって国防の面で対中国包囲網を形成する為に、地政学上大変重要な国です。 しかしこれまで日本政府は、ウクライナ問題を巡って米欧と共に対露制裁を発動し、今年秋に予定されていたプーチン大統領の訪日も困難になっていました。 こうした中での、日露首脳会談の開催は日本にとって大変大きな意義を持ちます。 ◆ 過去2回、日本の対露制裁における米露双方からの批判 2014年3月ロシアがウクライナ南部クリミア自治共和国の独立を承認した際には、日本は査証(ビザ)発給要件緩和に関する協議を停止する制裁措置を行いました。 7月マレーシア航空機墜落事故の際には、クリミア併合やウクライナ東部の騒乱に関与したとみられる40人、またクリミアのガス企業と石油供給会社の2社を対象とした資産凍結を行いました。 こうした日本による対露制裁は、米欧と比較して大変甘いものです。 特に2度目の制裁に関しては、欧米はプーチン大統領の側近や政府当局者に加え金融、エネルギー、軍事技術産業をターゲットにした幅広い追加制裁を推し進めたのです。 それに対し、日本は既に欧米で制裁されている2社に加え、ロシア政府要人が含まれていない40人を対象にした制裁内容であった為、「日本は対露制裁に関して熱心ではない」と米欧各国から批判が相次ぎました。 その一方でロシアからは、「いかなる留保を付けようとも、露日関係のあらゆる面に損失を与え、後退させることは必至である」という声明が出され、日露関係の悪化に繋がりました。すなわち、日本は米露双方から批判を受けるという非常に苦しい立場に立たされたのです。 ◆ 9月に入ってからの日露関係の動向 8月28日ロシア軍がウクライナ東部に数千人規模の部隊を侵入させていることが判明し、親ロシア派の司令官とウクライナ政府高官が認めたことにより、9月12日米欧が対露追加経済制裁を発動しました。 日本においても、米国から金融分野での対露追加制裁を要請され、24日から武器輸出の厳格化やロシアの一部銀行による証券発行制限など対露追加制裁を発動しています。 この対露制裁は表向き米欧に配慮したものであり、形式上は米欧並みとなっていますが、内容として実効性は乏しくロシアとの関係を重視したものとなっています。 しかしその結果、米欧からの評価を上げることはできましたが、ロシアからは批判声明が出され、日露関係をより冷え込ませる結果になってしまいました。 実際に制裁強化の検討が報じられて以降「露、外相会談を拒否」、「プーチン氏側近のイワノフ大統領府長官が北方領土の択捉島訪問」など日露関係の悪化を示唆するニュースが数多く報じられました。 さらに、「ロシアが中国に天然ガス供給へ」、「露中共同で日本海沿岸に北東アジア最大の港を建設へ」など中露における経済関係の強化を報じるニュースが数多く報じられている点も見過ごすべきではありません。 ウクライナ情勢を巡り米欧諸国との関係が悪化する中、ロシアが中国との経済関係を深めようとする構図が見受けられます。 ◆ 日露首脳11月会談を日本はどう活かすべきか 日本はアメリカとの関係強化により国防を守りつつ、一方ではロシアとの関係強化により国防上対中国包囲網を固めたい、また北方領土問題を解決したいというのが率直なところでしょう。 こうした状況において、日露首相会談は大変重要な意味をもちます。ではこの機会をどうやって日露関係の改善に繋げていくべきでしょうか。 その答えとして、(1)日本が強いリーダーシップを以て米欧とロシアの関係改善に積極的に働きかけること、(2)ロシアにとって必要なエネルギー輸出、ハイテク導入、また極東開発における経済協力を日本が進んで行うこと、この2点が挙げられます。 特に米欧とロシアの関係改善は大変難しいですが、日本にとっては非常に重要であり、進んで行うべきです。 例えばイスラム国対処においてアメリカは各国の連携を呼びかけていますが、ロシアは現在、国際連携を検討する立場をとっています。 ここで日本が積極的に働きかけ、ロシアを連携支持の立場に引き込んだのであれば、米露関係が改善され、日本のプレゼンスも上げることができるでしょう。 ピンチはチャンス。今こそ日本が主体的に日露関係の強化に踏み出す時ではないでしょうか。 地方自治体は地域の強みを生かした産業振興で人口増加を 2014.07.21 文/HS政経塾第4期生 窪田真人 ◆全国知事会議における「少子化非常事態宣言」 先週15日、佐賀県唐津市で開かれた全国知事会議にて「少子化非常事態宣言」が採択され、国・地方を通じて、少子化対策に総力を挙げて取り組む姿勢が打ち出されました。 これまでも幾度にわたって、企業誘致や市町村合併による財政基盤強化などの対策がなされてきましたが、若年層を中心とした都市への流出と子供の減少が止まる兆しは見えず、より積極的に国と地方が一丸となって人口増加政策を進めています。 また地方から首都圏への人の流出を食い止める政策を実施していくというのが今回の「少子化非常事態宣言」の主旨です。 政府は人口減少を克服することを目的に、「地方創設本部」を立ち上げ各省の地域活性化事業を統合し積極的実施を進め、また少子化対策の総合計画作成のもと、地域の実情に応じた就労や結婚の支援、高齢者から若年世代への資産移転を促す税財政制度の創設などを進める予定です。 ◆懸念される人口減少による地方衰退 この「少子化非常事態宣言」の裏には、このまま地方の人口が減り続ければ、多くの自治体が消滅しかねないという強い懸念があります。 2040年には総人口が9000万人を割り込み、2.5人に1人が65歳以上になり、全国の市区町村の約半数に当たる896自治体が消滅すると言われています。(「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会発表資料参照) 特に今回の非常事態宣言の当初案には、「日本破滅に向けた壮大なシナリオができつつある」との表現で、人口減少により経済面における衰退が、地方から全国に波及すると強調した文言が使われ、政府に対応を求める姿勢が全面的に強く打ち出されました。 ◆地方自治体の強みに根付いた産業を興すことの重要性 確かに少子化問題を発端にした、高齢社会の進行、人口減少、地方経済の衰退の問題に対応するためには、税制面での整備や規制緩和など国が中心となり進めていくべき点もあると考えます。 しかし、それだけでは各地方自治体の人口増に繋がるとは考えられません。人を引きつけ、増やす為には、その土地にまず雇用がなくてはなりません。 さらにその雇用は、その土地の強みに根付いた産業であればある程、永続的になるでしょう。 よって最も重要なのは、各地方自治体において、自らの強みを最大限に活かした産業が興されることであると考えます。 ◆高知県馬路村の例 高知県馬路村は人口1300人、山間部に位置しており、林業の衰退とともに、産業の停滞、人口減、高齢化といった課題を抱えていました。 しかし近年村の資源である「柚子」を見直し、最大限活用した様々な商品の開発を進めた結果、年商25億円、顧客35万人まで広げ、新たな雇用の創造に成功しています。 「ごっくん馬路村」という印象的な商品名の柚子ドリンクでご存知の方も多いかと思います。 馬路村は、経済活動を行う環境として恵まれているとは正直言えません。県都の高知市からは車で約2時間掛かり、村の96%が森林、高齢化も進み労働力に恵まれている訳でもありません。 しかしそうした中でも、村の強みを見つけ産業を生み出し、雇用を創出することに成功したのです。なおこうした地域経済の活性化、雇用拡大によって、労働力の流入が起こり、地方における人口減少の食い止めに大きくプラスに働くことは明らかです。 ◆地方の強みによって日本を繁栄させるという姿勢 例として高知県馬路村を挙げましたが、日本には、数多くの魅力的な特色をもった地方都市、市町村が存在します。そうした魅力的特色を最大限活かした産業を興すことで、各地方自治体から日本の発展に貢献していくことができるはずです。 P.F.ドラッカー氏も著書「マネジメント」の中で、「成果をあげる為には自らの強みに集中し、最大限生かすことが重要である」と述べています。その強みが日本の地方都市、市町村にはそれぞれあります。 政府によって地方が助けられるのではなく、むしろ地方の強みを以て日本を繁栄させていく姿勢が今こそ重要ではないでしょうか。 参考 「地方から都市への戦略~馬路村:高付加価値農業による雇用創出~」 http://www.jica.go.jp/partner/ngo_meeting/ngo_jbic/2003/08_report/pdf/workshop3.pdf 「NHKニュース 全国知事会議「少子化非常事態宣言」」 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140715/k10013035951000.html すべてを表示する 1 2 Next »